JP4175555B2 - 光分岐器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フェルールとコリメートレンズとの間隔を調整することにより、光分岐比率を、光分岐フィルタ板固有の光分岐比率とは異なる所望の値に設定できるようにした光分岐器に関するものである。この光分岐器は、例えば光通信システムなどにおいて、光ファイバ内を伝搬する光の分岐取り出しに有用である。
【0002】
【従来の技術】
光分岐器は、光通信システムや光計測システムなどにおいて、光ファイバ内を伝搬する光の一部を分岐させて取り出しモニタリングする場合などに使用する光受動部品である。光分岐器には様々なタイプがあるが、その一つにバルク型がある。
【0003】
バルク型の50%光分岐・結合器の一例が、特開平10−186164号公報に開示されている。これは、2本の光ファイバ芯線を有する2芯フェルールと、それによる2本の光線に共通の均質媒質レンズからなるコリメートレンズの組み合わせを2組、コリメートレンズが内側に位置するように対向配置し、両コリメートレンズの焦点位置にハーフミラーをほぼ垂直入射となる向きに設置した構成である。
【0004】
光分岐・結合器の場合には入出力の端子数は様々であるが、分岐光の一方をモニタ光として使用する光分岐器の場合には、1入力・2出力の構成となる。そして、ハーフミラーに代えて所定の光分岐比率の光分岐フィルタ板が用いられる。
【0005】
この種の光分岐器では、入力用のポート▲1▼と出力用のポート▲2▼を構成する2本の光ファイバ芯線を有する第1フェルールと、それらに共通の第1コリメートレンズと、光分岐フィルタ板と、第2コリメートレンズと、出力用のポート▲3▼を構成する光ファイバ芯線を有する第2フェルールとがこの順序で配列されている。光分岐フィルタ板は第1コリメートレンズの焦点位置に設置され、第2コリメートレンズは第1コリメートレンズと光結合するように対向して位置する。そして第1フェルールの端面は、第1コリメートレンズの焦点位置に一致し、他方、第2コリメートレンズの端面も、第2のコリメートレンズの焦点位置に一致するように調整されている。
【0006】
この場合、ポート▲1▼とポート▲2▼の結合効率は100%、ポート▲1▼とポート▲3▼の結合効率も100%である。従って、例えば、光分岐フィルタ板の光分岐比率が4%の場合、ポート▲1▼からの入力光の4%がポート▲2▼から出力し、96%がポート▲3▼から出力することになる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
このようなバルク型光分岐器の場合、入力光に対する出力光の光分岐比率を変更するには、光分岐フィルタ板自体の変更を必要とする。光分岐フィルタ板としては、例えば平面透明基板に誘電体多層膜を形成した構造の誘電体フィルタ板が用いられるが、その膜設計を変更し、反射率、透過率を所定の値に調整することで対応している。
【0008】
このため、使用条件などにより要求される光分岐比率毎に、異なる光分岐フィルタ板を組み込む必要があり、多種類の光分岐比率の光分岐フィルタ板を予め設計、製作し準備しておかねばならず、光分岐器がコスト高となることは避けられない。
【0009】
本発明の目的は、同種の光分岐フィルタ板を組み込んでいても、光分岐比率を自由に調整できる構造の光分岐器を提供することである。本発明の他の目的は、同種の光分岐フィルタ板を組み込んでいても、光分岐比率の波長特性を調整できる構造の光分岐器を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る光分岐器は、それぞれ入力用のポート▲1▼と出力用のポート▲2▼を構成する2本の光ファイバ芯線を有する第1フェルールと、それらに共通の第1コリメートレンズと、光分岐フィルタ板と、第2コリメートレンズと、出力用のポート▲3▼を構成する光ファイバ芯線を有する第2フェルールとがこの順序で配列され、前記光分岐フィルタ板は第1コリメートレンズの焦点位置に設置され、第2コリメートレンズは第1コリメートレンズと光結合するように対向して位置する構造である。本発明では、第1フェルールの端面の位置を、第1コリメートレンズの焦点位置から光軸に沿った方向にずらせて、そのずれ量によってポート▲1▼からポート▲2▼への光分岐比率が光分岐フィルタ板固有の光分岐比率と異なる所望の値に調整され、他方、第2フェルールの端面の位置は、ポート▲1▼とポート▲3▼とが共焦点レンズ系を形成し結合効率100%となるように調整されている。
【0011】
また本発明は、上記の構成において、第1フェルールの端面の位置を、第1コリメートレンズの焦点位置から光軸に沿った方向にずらせて、そのずれ量によってポート▲1▼からポート▲2▼への光分岐比率を光分岐フィルタ板固有の光分岐比率と異なる値にして波長特性が調整され、他方、第2フェルールの端面の位置は、ポート▲1▼とポート▲3▼とが共焦点レンズ系を形成し結合効率100%となるように調整されている光分岐器である。
【0012】
典型的な例としては、本発明で用いる第1コリメートレンズ及び第2コリメートレンズは、均質媒体レンズである。平凸レンズでもよいし、両凸レンズあるいは球レンズでもよい。また光分岐フィルタ板は、通常、平面透明基板に誘電体多層膜を形成した構造であって、該光分岐フィルタ板が光路内でほぼ垂直入射となる向きに挿入されている。
【0013】
ところで、光結合するコリメータ間の結合効率は、コリメータの光軸方向の軸ずれa、光軸と垂直方向の軸ずれd、角度ずれθにより変化する。光軸方向の軸ずれaに対する結合効率η1 は、次の(1)式で表される。また、光軸と垂直方向の軸ずれd、角度ずれθに対する結合効率η2 は、次の(2)式で表される。ここで、λは波長、ωはビームウエスト径、sはレンズの距離である。
【0014】
【数1】
Figure 0004175555
【0015】
従って、意図的に軸ずれ、角度ずれを生じさせることにより、結合効率が変化し、光分岐比率を調整できることになる。本発明は、この点に着目したものである。ここで、機械的な位置合わせ精度(例えば10μm)に対する結合効率の変化の割合は、角度ずれ、光軸と垂直方向の軸ずれ、そして光軸方向の軸ずれの順に小さくなる。それ故、機械的な位置合わせに対する安定度は、高い方から、光軸方向の軸ずれ、光軸と垂直方向の軸ずれ、角度ずれの順となる。実際に製品を製造する場合には、安定度が低いものを調整するよりも、安定度が高いもので調整した方が容易であり、精度も向上する。本発明では、このような観点から、フェルールとコリメートレンズとの光軸方向の軸ずれを調整することにより、光分岐の比率を調整している。
【0016】
また、上記のように、フェルールとコリメートレンズとの間隔を、最適な結合効率が得られる距離から意図的にずらすと、結合効率が低下し、波長依存性が生じる。これは、結合効率を下げたことにより、光学部品の波長分散が顕著に現れるためである。本発明は、この現象を積極的に利用することにより、光分岐比率の波長特性を調整している。
【0017】
【実施例】
図1は本発明に係る光分岐器の一実施例の概略構成を示す説明図である。この実施例は、約4%反射する光分岐フィルタ板を組み込んだ2%光分岐器の例である。
【0018】
それぞれ入力用のポート▲1▼と出力用のポート▲2▼を構成する2本の光ファイバ芯線10,12を有する第1フェルール14と、それらに共通の第1コリメートレンズ16と、光分岐フィルタ板18と、第2コリメートレンズ20と、出力用のポート▲3▼を構成する光ファイバ芯線22を有する第2フェルール24とがこの順序で配列され、筐体26に収納された構造である。ここでは第1及び第2コリメートレンズ16,20として平凸均質レンズを用いている。
【0019】
ここで光分岐フィルタ板18は平面透明基板に誘電体多層膜を形成した構造であって、反射率が4%となるように設計製作されたものである。前記光分岐フィルタ板18は、第1コリメートレンズ16の焦点位置に、光路内でほぼ垂直入射となる向きに挿入され、第2コリメートレンズ20は第1コリメートレンズ16と光結合するように対向して位置する。また、ここでは、光分岐フィルタ板18が第2コリメートレンズ20の焦点位置にくるように、該第2コリメートレンズの位置を設定する。
【0020】
本実施例では、第1フェルール14の端面の位置を、第1コリメートレンズ16の焦点位置F1 から光軸に沿った方向に距離aだけずらせており、そのずれ量aによってポート▲1▼からポート▲2▼への光分岐比率が光分岐フィルタ板固有の光分岐比率(4%)と異なる所望の値(ここでは2%)となるように、即ち結合効率を50%に調整する。他方、第2フェルール24の端面の位置(第2コリメートレンズ20から第2フェルール24の端面までの距離b)は、ポート▲1▼とポート▲3▼とが共焦点レンズ系を形成し結合効率100%となるように調整する。
【0021】
例えば光通信システムでは、ポート▲1▼からの入力光をポート▲3▼から出力し、また光分岐フィルタ板で分岐した一部の光をポート▲2▼から出力させて信号のモニタに使用する。上記実施例の構成によって、ポート▲1▼からポート▲2▼へのモニタ光の光分岐を、光分岐器内部に組み込んでいる光分岐フィルタ板固有の光分岐比率とは異なる任意の比率に設定することができる。この実施例では、ポート▲1▼からの入力光の2%をポート▲2▼からモニタ光として出力し、ポート▲1▼からの入力光の96%をポート▲3▼から出力することになる。
【0022】
図2にその組立構成例を示す。第1フェルール14と第1コリメートレンズ16とを第1スリーブ30に収容し、第2フェルール24と第2コリメートレンズ20とを第2スリーブ34に収容する。そして、光分岐フィルタ板18を収めた筐体34内に、それら第1スリーブ30と第2スリーブ32を両側から挿入して組み立てる。例えば、第1スリーブ30における第1フェルール14と第1コリメートレンズ16との関係を、ポート▲1▼からポート▲2▼への光の結合効率が50%となるように矢印x方向に調整して筐体内に組み込む。他方、第2スリーブ32では、ポート▲1▼からポート▲3▼への光の結合効率が100%となるように第2フェルール24を調整する。
【0023】
ところで前記のように、第1フェルールの端面位置を第1コリメートレンズの焦点位置からずらすと、結合効率が下がり、波長依存性が生じる。これは、結合効率を下げたことにより、光学部品の波長分散が顕著に現れるためである。この現象を応用することで、光分岐比率の波長特性を調整できる。
【0024】
図1の構成において、ポート▲1▼からポート▲2▼への光結合効率を60%に調整した。その時のポート▲1▼からポート▲2▼への挿入損失値の波長特性を図3に示す。図3から分かるように、見かけ上の挿入損失値が波長に対し減少しており、光分岐比率が波長に対し増加する波長特性を呈する。因みに、同じ部品を使用してポート▲1▼からポート▲2▼への光結合効率を100%に調整した時のポート▲1▼からポート▲2▼への挿入損失値の波長特性を図4に示す。この場合には、波長に対して光分岐比率はほぼ一定となる。これらのことから分かるように、結合効率を低下させるほど、光分岐比率の波長依存性は大きくなる。従って、結合効率を調整することで、光分岐比率の波長特性を調整することができる。
【0025】
【発明の効果】
本発明は上記のように、第1フェルールの端面の位置を、第1コリメートレンズの焦点位置から光軸に沿った方向にずらせるように構成した光分岐器であるから、同種の光分岐フィルタ板を組み込んでいても、光分岐比率を自由に調整することができる。従って、多種類の光分岐比率の光分岐フィルタ板を予め設計、製作し準備しておく必要が無く、製造コストを削減することが可能となる。
【0026】
また、本発明は上記のように、第1フェルールの端面の位置を、第1コリメートレンズの焦点位置から光軸に沿った方向にずらせるように構成した光分岐器であるから、同種の光分岐フィルタ板を組み込んでいても、光分岐比率の波長特性を調整することができ、波長特性の要望にも対応することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る光分岐器の概略構成を示す説明図。
【図2】その組立構成図。
【図3】結合効率60%における挿入損失−波長特性を示すグラフ。
【図4】結合効率100%における挿入損失−波長特性を示すグラフ。
【符号の説明】
10,12 光ファイバ芯線
14 第1フェルール
16 第1コリメートレンズ
18 光分岐フィルタ板
20 第2コリメートレンズ
22 光ファイバ芯線
24 第2フェルール
26 筐体

Claims (3)

  1. それぞれ入力用のポート▲1▼と出力用のポート▲2▼を構成する2本の光ファイバ芯線を有する第1フェルールと、それらに共通の第1コリメートレンズと、光分岐フィルタ板と、第2コリメートレンズと、出力用のポート▲3▼を構成する光ファイバ芯線を有する第2フェルールとがこの順序で配列され、前記光分岐フィルタ板は第1コリメートレンズの焦点位置に設置され、第2コリメートレンズは第1コリメートレンズと光結合するように対向して位置する構造の光分岐器であって、
    第1フェルールの端面の位置を、第1コリメートレンズの焦点位置から光軸に沿った方向にずらせて、そのずれ量によってポート▲1▼からポート▲2▼への光分岐比率が光分岐フィルタ板固有の光分岐比率と異なる所望の値に調整され、他方、第2フェルールの端面の位置は、ポート▲1▼とポート▲3▼とが共焦点レンズ系を形成し結合効率100%となるように調整されていることを特徴とする光分岐器。
  2. それぞれ入力用のポート▲1▼と出力用のポート▲2▼を構成する2本の光ファイバ芯線を有する第1フェルールと、それらに共通の第1コリメートレンズと、光分岐フィルタ板と、第2コリメートレンズと、出力用のポート▲3▼を構成する光ファイバ芯線を有する第2フェルールとがこの順序で配列され、前記光分岐フィルタ板は第1コリメートレンズの焦点位置に設置され、第2コリメートレンズは第1コリメートレンズと光結合するように対向して位置する構造の光分岐器であって、
    第1フェルールの端面の位置を、第1コリメートレンズの焦点位置から光軸に沿った方向にずらせて、そのずれ量によってポート▲1▼からポート▲2▼への光分岐比率を光分岐フィルタ板固有の光分岐比率と異なる値にして波長特性が調整され、他方、第2フェルールの端面の位置は、ポート▲1▼とポート▲3▼とが共焦点レンズ系を形成し結合効率100%となるように調整されていることを特徴とする光分岐器。
  3. 第1コリメートレンズ及び第2コリメートレンズは均質媒体レンズであり、光分岐フィルタ板は平面透明基板に誘電体多層膜を形成した構造であって、該光分岐フィルタ板が光路内でほぼ垂直入射となる向きに挿入されている請求項1又は2記載の光分岐器。
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