この発明は、合成樹脂製のコイルタイプ、ジグザグタイプの線条ファスナーエレメントをファスナーテープの一側縁に取り付けたスライドファスナーおよび隠しスライドファスナーの上止めまたは下止めの止部に関するものである。
従来、合成樹脂製のコイルタイプまたはジグザグタイプの線条スライドファスナーおよび隠しスライドファスナーにおける上止め、下止めの止部に関し、種々タイプの止部が提案されている。たとえば図10に示すように線条ファスナーエレメント列の末端部における複数個のエレメントの頭部にわたり、それらのテープ寄りの裏面に断面円形状の合成樹脂片を溶着可能に形成し、合成樹脂片はエレメント列の末端に位置する端部を表面へ曲げて屈曲部を設け、屈曲部の端面がエレメントの表面よりも低く形成し、屈曲部をエレメント列末端のエレメント頭部の側面に形成された湾入した噛合面に溶着したスライドファスナーの止部が知られている。
また、図11に示すように合成樹脂製のコイルタイプの線条ファスナーエレメント列内に一定長さのフィラメントを挿入し、挿入したフィラメントとファスナーエレメントとを超音波溶接して下止めを形成することが知られている。
実公昭56−51773号公報
中国実用新案登録第125468.6号説明書
前述の図10に示した止部は、合成樹脂片を超音波加工によって線条ファスナーエレメント列の頭部の下面に加圧して溶着するとともに、末端をエレメントの表面側へ屈曲してエレメント頭部の側面に溶着するものであり、合成樹脂片の溶着加工がきわめて面倒で安価に作製することができない。合成樹脂片はエレメントの表面に溶着させたものであるから、使用中に剥離するおそれがあるなど問題がある。
また図11に示した下止めは、合成樹脂製の線条ファスナーエレメント列内に挿入したフィラメントが全長にわたってファスナーエレメントと溶着しているため、下止め部位のファスナーエレメントを縫着した縫糸が超音波溶接加工によって劣化され、スライドファスナーの開閉に伴う負荷により縫糸が切断しファスナーチエンが破損して長期の使用に耐えられないなど問題がある。
この発明は、上述の問題点を考慮して発明されたものであり、請求項1記載の発明は、合成樹脂製の線条ファスナーエレメント列を装備した通常タイプまたは隠しタイプのスライドファスナーにおけるスライダーの抜脱防止用の上止め、下止めを線条ファスナーエレメントに合成樹脂製の棒状体を挿入した後に、一部を溶着し、止部は脱離損失また劣化現象が影響しない、堅牢で品質がよく安価に作製できるスライドファスナーの止部を提供することが主たる目的である。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の目的に加え、止部を形成するのに、線条ファスナーエレメント列の端部に挿入した棒状体の外端部を溶着して溶着部を形成することによって、止部の非溶着部すなわち棒状体の内端部側の縫着糸に線条ファスナーエレメント列と棒状体とを溶着したときの熱が過度に加わることがなく、縫着糸が脆弱化することを防ぐことができるスライドファスナーの止部を提供することが目的である。
請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明の目的に加え、止部を形成するのに、線条ファスナーエレメント列の端部に挿入した棒状体における外端部と内端部とを溶着して溶着部を形成することによって、棒状体の両端部からの抜脱を防ぐことができるスライドファスナーの止部を提供することが目的である。
請求項4乃至7記載の発明は、請求項2または3に記載の発明の目的に加え、止部における第1溶着部、第2溶着部、非溶着部の関係形態を特定し、優れた機能を発揮できる止部を備えたスライドファスナーの止部を提供することが目的である。
請求項8記載の発明は、請求項1記載の発明の目的に加え、線条ファスナーエレメント列に合成樹脂製の棒状体を理想的な形で配置し、簡単に上止めを作製できるスライドファスナーの止部を提供することが目的である。
請求項9記載の発明は、請求項1記載の発明の目的に加え、線条ファスナーエレメント列に合成樹脂製の棒状体を理想的な形で配置し、簡単に下止めを作製できるスライドファスナーの止部を提供することが目的である。
前記の目的を達成するため、この発明のうち請求項1記載の発明は、合成樹脂製のモノフィラメントから形成した線条ファスナーエレメント列3をファスナーテープ7の一側縁に装着し、ファスナーエレメント列3の末端に位置する複数個のファスナーエレメント4ここでファスナーエレメントとはファスナーエレメント列のうちの1ピッチのものを指すものであり、複数個のファスナーエレメント4における噛合状態あるいは非噛合状態の噛合頭部20の裏側に位置する噛合空間部23に合成樹脂製の棒状体14、例えばモノフィラメントを挿入し、モノフィラメントを挿入したファスナーチエン1の端部側において、ファスナーエレメント4と棒状体14とを溶着して溶着部15を設け、またファスナーエレメント4と棒状体14とを溶着せずに非溶着部16を併設してスライダー27の止部10を形成したところに特徴があるスライダー27用の止部10を主な構成とするものである。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成に加え、線条ファスナーエレメント列3内に挿入した合成樹脂製のモノフィラメントなどの棒状体14の外端部17に溶着部15、15aを設けたスライドファスナーの止部である。
請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明の構成に加え、線条ファスナーエレメント列3内に挿入した合成樹脂製のモノフィラメントなどの棒状体14の外端部17に溶着部15として第1溶着部15aを設け、棒状体14の内端部18に溶着部15として第2溶着部15bを設け、第1溶着部15aと第2溶着部15bとの間に非溶着部16を設けたスライドファスナーの止部である。
請求項4記載の発明は、請求項2記載の発明の構成に加え、線条ファスナーエレメント列3内に挿入した棒状体14に形成する溶着部15、15aは、棒状体14の長さの半分以下になるように形成したスライドファスナーの止部である。
請求項5記載の発明は、請求項3記載の発明の構成に加え、線条ファスナーエレメント列3内に挿入した棒状体14に形成する第1溶着部15aは、第2溶着部15bの長さ以上になるように形成したスライドファスナーの止部である。
請求項6記載の発明は、請求項3記載の発明の構成に加え、線条ファスナーエレメント列3内に挿入した棒状体14に形成する非溶着部16は、第1溶着部15aの長さと第2溶着部15bの長さとの和以下になるように形成したスライドファスナーの止部である。
請求項7記載の発明は、請求項3記載の発明の構成に加え、線条ファスナーエレメント列3内に挿入した棒状体14に形成する第1溶着部15aは、第2溶着部15bの長さおよび非溶着部16の長さよりも長くなるように形成したスライドファスナーの止部である。
請求項8記載の発明は、請求項1記載の発明の構成に加え、合成樹脂製のモノフィラメントなどの棒状体14をファスナーチエン1が左右に隔離された状態の線条ファスナーエレメント列3内の端部に挿入し、ファスナーエレメント4と棒状体14とを溶接して上止め12を形成したスライドファスナーの止部である。
請求項9記載の発明は、請求項1記載の発明の構成に加え、合成樹脂製のモノフィラメントなどの棒状体14をファスナーチエン1が噛合した状態の線条ファスナーエレメント列3内の端部に挿入し、ファスナーエレメント4と棒状体14とを溶接して下止め11を形成したスライドファスナーの止部である。
この出願の発明の効果として、請求項1記載の発明は、合成樹脂製の線条ファスナーエレメント列をファスナーテープの一側縁に装着し、ファスナーエレメント列の末端に位置する複数個のファスナーエレメントにおける噛合頭部の裏側に位置する噛合空間部に合成樹脂製の棒状体を挿入し、該棒状体を挿入した複数個のファスナーエレメントのうちのファスナーエレメント数個と棒状体とを溶着して溶着部を設け、棒状体を挿入した複数個のファスナーエレメントのうちの棒状体が溶着したファスナーエレメント以外のファスナーエレメントは溶着せずに非溶着部としてスライダー用の止部を形成したことによって、下記の効果を奏する。
この発明は、止部に溶着部を形成したことにより、止部を強固に溶着一体化し堅牢な止部に仕上げることができる効果がある。しかも止部に非溶着部を形成したことにより、止部の内端部分の縫糸に超音波溶接時における発熱による劣化現象を惹起することがなくスライドファスナーの開閉時に生じる、縫糸への負荷集中によっても糸切れしないので長期の使用に耐えられ、品質のよい止部に仕上げることができ、販路の拡大が図れる効果がある。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加え、棒状体の外端部に溶着部を設けたことによって、非溶着部側すなわち棒状体の内端部側の縫着糸が溶着時の熱により脆弱化することを抑え、スライダーが止部に向けて移動し、スライドファスナーが開放状態となったときに最も負荷の加わる止部の内端部側の縫着糸が糸切れすることを未然に防ぐ効果がある。
請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加え、棒状体の外端部に溶着部としての第1溶着部、また棒状体の内端部に溶着部としての第2溶着部を設け、第1溶着部と第2溶着部との間に非溶着部を設けたことによって、棒状体の両端部、特に棒状体の内端部が、線条ファスナーエレメント列が分離した状態となるスライドファスナーの開放時にエレメント内から抜脱することを未然に防止することができる効果がある。
請求項4乃至7記載の発明は、請求項2または3記載の発明の効果に加え、止部における第1溶着部の長さを棒状体の長さの半分以下、また第2溶着部の長さ以上に形成し、非溶着部の長さを第1溶着部の長さと第2溶着部の長さとの和以下、さらに第1溶着部の長さを第2溶着部の長さおよび非溶着部の長さよりも長く形成するなど、諸条件の溶着部を形成することによって、線条ファスナーエレメント列と棒状体とを有効かつ適切に溶着し、止部として優れた機能を発揮できる効果がる。
請求項8記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加え、棒状体は隔離状態の線条ファスナーエレメント列内に挿入して上止めを形成したことによって、線条ファスナーエレメントが隔離した状態のファスナーストリンガーに簡単に棒状体を採択利用し、容易に上止めを作製できる効果がある。
請求項9記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加え、棒状体は、噛合状態の線条ファスナーエレメント列内に挿入して下止めを形成したことによって、線条ファスナーエレメントが噛合した状態のファスナーチエンに簡単に棒状体を採択利用し、容易に下止めを作製できる効果があるなど、この発明が奏する効果はきわめて顕著である。
この発明におけるスライドファスナーの止部は、図1に示すようにスライドファスナーの上端および下端に取り付ける上止め12および下止め11から形成される止部10であり、スライドファスナーはポリアミド、ポリエステルなどのモノフィラメントをコイル状に捲回してコイル状ファスナーエレメント5を形成し、またモノフィラメントをジグザグ状に屈曲してジグザグ状ファスナーエレメント6を形成して、それぞれ線条ファスナーエレメント列3を形成する。この線条ファスナーエレメント列3をファスナーテープ7の一側縁に縫糸8によって縫着し、通常タイプのコイルスライドファスナーまたはジグザグスライドファスナーに仕上げる。また線条ファスナーエレメント列3をファスナーテープ7の一側縁に形成した折返部25の面上に縫糸8によって縫着して隠しスライドファスナーに仕上げることもできる。
止部10は、ファスナーエレメント4と同質素材のポリアミド、ポリエステルのモノフィラメントから形成された棒状体14をスライドファスナーのサイズによって適宜長さにカットして形成し、この棒状体14を線条ファスナーエレメント列3の端部における複数個のファスナーエレメント4の噛合頭部20の裏側に存在する噛合空間部23に挿入する。噛合空間部23とは、一対のファスナーストリンガ2の対向するファスナーエレメント4同士が噛合した時に、相手方のファスナーエレメント4の噛合頭部20における膨出部分が入り込む空間であり、噛合空間部23はファスナーエレメント4が噛合状態の場合も非噛合状態の場合でも存在するので、この噛合空間部23を利用して棒状体14を挿入する。噛合空間部23に挿入された棒状体14は、線条ファスナーエレメント列3の末端部側に位置する外端部17と、外端部17とは反対側で、線条ファスナーエレメント列3の内方側に位置する内端部18とを有し、外端部17側に位置する数ピッチのファスナーエレメント4と棒状体14とを超音波加工機による超音波溶接によって溶着して溶着部15を形成し、また内端部18側に位置する数ピッチのファスナーエレメント4と棒状体14とは溶着せずに非溶着部16を形成して、上止め12または下止め11のスライダー用の止部10を形成する。
止部10の上端側は、線条ファスナーエレメント列3がスライダー27の摺動により噛合又は分離される際に、縫糸8に引っ張り力や捻り力等の負荷が集中する部分である。従って、止部10の上端側に棒状体14の非溶着部16を形成し、下端側に溶着部15を形成したところに特徴がある。非溶着部16付近の縫糸8は超音波溶接時の熱による影響を一切受けていないので劣化が生じてなく、スライドファスナーの開閉動作によって縫糸8が切れてしまうことがない。また止部10の下端側には負荷がそれほど加わらないので、仮に縫糸8が超音波溶接時の熱で劣化していたとしても切れる恐れがなく、溶着部15によってファスナーエレメント4と棒状体14とが溶着一体化して堅牢な止部10に形成することができる形態のスライドファスナーの止部である。
さらに、この発明の止部は、図8に示すように噛合状態の線条ファスナーエレメント列3の端部に棒状体14を挿入し、この棒状体14の外端部17にファスナーエレメント4と棒状体14とを溶着した溶着部15として第1溶着部15aを設け、また棒状体14の内端部18にファスナーエレメント4と棒状体14とを溶着した溶着部15としての第2溶着部15bを設け、第1溶着部15aと第2溶着部15bとの間にファスナーエレメント4と棒状体14とを溶着しない非溶着部16を形成して、噛合空間部23に挿入した棒状体14の両端部17、18が抜脱しないように形成し、かつスライダー27か止部10に激突しても非溶着部16が僅かに撓んで衝撃を吸収し緩和できるスライドファスナーの下止め11としての止部を形成することもできる。
図1〜4に示す実施例1のスライドファスナーの止部について説明すると、ファスナーチエン1は、ポリアミド、ポリエステルのモノフィラメントをコイル状に捲回してコイル状ファスナーエレメント5を形成し、このコイル状ファスナーエレメント5内に芯紐9を挿通して線条ファスナーエレメント列3を形成し、この線条ファスナーエレメント列3をファスナーテープ7の一側縁の上面へ2本針3本糸の二重環縫タイプの縫糸8によって縫着し取り付けて連続ファスナーチエン1を形成する。この連続ファスナーチエン1を所定長さ毎にコイル状ファスナーエレメント5をカットしてファスナーテープ7の一側縁の上面にコイル状ファスナーエレメント5が存在しないスペース部を設け、このスペース部におけるファスナーテープ7をカットして単位長さのファスナーチエン1を完成する。
ファスナーチエン1の一端におけるコイル状ファスナーエレメント5が噛合した状態の噛合頭部20の裏側に存在する噛合空間部23にコイル状ファスナーエレメント5と同質素材のモノフィラメントから形成された棒状体14を所定の長さにカットし、この棒状体14を挿入して超音波加工機によって超音波溶接するが、超音波溶接は挿入された棒状体14の外端部17側、すなわち止部10の下端部となる部分のみをコイル状ファスナーエレメント5と溶着し、超音波溶接はコイル状ファスナーエレメント5の表側から行うことで、エレメント5の表面にわずかにくぼんだ溶着部15が形成される。また棒状体14の内端部18側、すなわち止部10の上端部となる部分は、コイル状ファスナーエレメント5とは溶着することなく非溶着部16を形成することによって下止め11を形成してスライダー用の止部10が完成する。この実施例においては、噛合空間部23は、噛合頭部20と、噛合頭部20の上端と下端に連結された上下脚部21と、同エレメント5内に挿通された芯紐9とにより囲まれた空間である。
スライダー用の止部10は、図4に示すようにファスナーチエン1をスライダー27によって開口する場合、スライダー27がコイル状ファスナーエレメント5を分離させながら止部10に達すると、止部10を構成する複数のファスナーエレメント4には噛合空間部23に棒状体14が挿入されているので分離することなく、スライダー27の摺動を停止させる。このとき非溶着部16に存在する縫糸8は超音波溶接の加熱を受けず劣化されないから強固にコイル状ファスナーエレメント5を固定する。また止部10の溶着部15は左右のコイル状ファスナーエレメント5を棒状体14によって溶着一体化されているので、強固堅牢な下止め11を形成し、縫糸8が超音波溶接の際、多少加熱されたとしてもごく僅かな範囲であり、スライドファスナーの開閉動作により縫糸8が切れてしまうことがない下止め11である。
一つの実例を示せば、モノフィラメントの棒状体14の長さは約7mmであり、そのうち溶着部15の長さは約3mm、非溶着部16の長さは約4mmとするのが好ましい。
図示はしないが、コイル状ファスナーエレメントをファスナーテープを織成すると同時に、ファスナーテープの一側に織り込んで織成する織込みスライドファスナーにおいても、同様の形態の止部を形成することができる。さらにまたコイル状ファスナーエレメントを経編みテープを編成すると同時に、テープの一側に編み込んで編成する編込みスライドファスナーにおいても、同様の形態の止部を形成することができる。
図5に示す実施例2のスライドファスナーは、コイル状ファスナーエレメント5がファスナーテープ7の表面から見えない隠しスライドファスナーに関するものであり、ファスナーテープ7は一側が反転されて折返部25を形成し、この折返部25の表面にコイル状ファスナーエレメント5に芯紐9を挿通して縫糸8によって縫着し、連続隠しファスナーチエン1を形成する。この連続隠しファスナーチエン1におけるコイル状ファスナーエレメント5を所定の間隔でカットしてスペース部を設け、このスペース部におけるファスナーテープ7をカットして所定の長さの隠しファスナーチエン1を作製する。
隠しファスナーチエン1の一端における噛合頭部20が噛合した状態の噛合頭部20の裏側に存在する噛合空間部23内へコイル状ファスナーエレメント5と同質素材のモノフィラメントから形成された所定長さの棒状体14を挿入し、棒状体14を超音波溶接によって外端部17側のみを溶着した溶着部15と、内端部18側は溶着しない非溶着部16とを形成することによって、隠しファスナーチエン1に下止め11を形成してスライダー用の止部10を形成する。作用、機能については前例と同様である。この実施例においては、噛合空間部23は、噛合頭部20と、噛合頭部20の上端と下端に連結された上下脚部21と、上下脚部21により挟持されたファスナーテープ7の側端縁とにより囲まれた空間である。
図6に示す実施例3のスライドファスナーは、ジグザグ状ファスナーエレメント6を用いたジグザグタイプのスライドファスナーであり、樹脂製のモノフィラメントをジグザグ状に屈曲してジグザグ状ファスナーエレメント6を形成し、このジグザグ状ファスナーエレメント6をファスナーテープ7の一側縁を表裏から挟持し、跨乗した状態で脚部21間を縫糸8によって縫着し取り付けて連続ファスナーチエン1を形成する。この連続ファスナーチエン1を所定長さ間隔でジグザグ状ファスナーエレメント6をカットしてスペース部を設け、このスペース部におけるファスナーテープ7をカットして単位長さのファスナーチエン1を作製する。
ファスナーチエン1の端部における左右のジグザグ状ファスナーエレメント6が噛合した状態の噛合頭部20の裏側に存在する噛合空間部23にジグザグ状ファスナーエレメント6と同質素材のモノフィラメントから形成した所定長さの棒状体14を挿入し、この棒状体14の外端部17側をファスナーエレメント4の表裏から超音波溶接して、エレメント6の表裏面がわずかにくぼんだ溶着部15を形成し、また内端部18側は溶接せずに非溶着部16を形成して下止め12としての止部10を形成する。作用、機能については前例と同様である。
また、図示はしないが、ジグザグ状ファスナーエレメントを重合してファスナーテープの一側縁上に縫糸によって縫着し取り付けてジグザグタイプのスライドファスナーを形成してもよい。
図7に示す実施例4のスライドファスナーは、コイル状ファスナーストリンガー2の端部に形成した上止め12のスライダー用止部10に関するものである。上止め12はファスナーストリンガー2の上端部、例えば図1に示すように端部のコイル状ファスナーエレメント5の噛合頭部20の裏側に存在する噛合空間部23に、コイル状ファスナーエレメント5と同質素材のモノフィラメントから形成された所定長さの棒状体14を挿入し、この棒状体14の外端部17側、すなわち止部10の上端部となる部分の数ピッチのコイル状ファスナーエレメント5と棒状体14とを超音波溶接して溶着部15を形成し、内端部18側、すなわち止部10の下端部となる部分の数ピッチのコイル状ファスナーエレメント5と棒状体14とは溶接せずに非溶着部16を形成した上止め12としての止部10である。
上止め12は左右のファスナーストリンガー2に設置してもよいが、一方側のファスナーストリンガー2に設置してもよい。上止め12は噛合相手となるファスナーエレメント4の噛合頭部20が上部10側の噛合頭部20間へ進入できないように形成すればよい。完成された上止め12は非溶着部16では、縫糸8が加熱され劣化されていないから、コイル状ファスナーエレメント5を強固に固定し、かつ溶着部15はコイル状ファスナーエレメント5と棒状体14とを溶着一体化され強固堅牢な上止め12に仕上げることができ、スライダー用の止部10として有効に活用できる。
図8、9に示す実施例5のスライドファスナーは、コイル状ファスナーエレメント5をファスナーテープ7の側縁に縫糸8で逢着して線条ファスナーエレメント列3を備えたファスナーチエン1を形成する。形成されたファスナーチエン1は、ファスナーエレメント5が噛合した状態の線条ファスナーエレメント列3の端部に噛合頭部20の裏側の噛合空間部に合成樹脂製のモノフィラメントから形成された棒状体14を所定の長さにカットして挿入し、超音波加工などによって溶着部15を形成する。
溶着部15は棒状体14の外端部17側に数個のファスナーエレメント4と棒状体14とが溶着した第1溶着部15aを設け、また棒状体14の内端部18側に複数個のファスナーエレメント4と棒状体14とが溶着した第2溶着部15bを設ける。この際第2溶着部15bは棒状体14の内端部18よりも外側のファスナーエレメント4同士も溶着して第2溶着部15bを形成する。
線条ファスナーエレメント列3の端部に形成された溶着部15は棒状体14の外端部17側に第1溶着部15a、内端部18側に第2溶着部15bを設け、この第1溶着部15aと第2溶着部15bの間にファスナーエレメント4と棒状体14とを溶着しない非溶着部16を設ける。このように第1溶着部15a、第2溶着部15b、非溶着部16から形成された止部はスライドファスナーの下止め11として用い、下止め11に非溶着部16を設けることにより、ファスナーエレメント4と棒状体14とが過度に溶着することがなく、溶着した棒状体14とファスナーエレメント4とが脆弱化して破損することがない。また下止め11が硬直化することがなくスライダー27が激突しても衝撃をよく吸収して緩和させ破損を防止する。
さらに、図9に示すように、ファスナーエレメント4が左右に分離して、ファスナーチエン1が開放された状態となった場合に、棒状体14の内端部18が溶着していることから、ファスナーエレメント4の噛合空間部23内から抜脱することがなく、ファスナーエレメント4が噛合する際に噛合不良が発生することがない。
ここで、棒状体14の長さ方向における第1溶着部15aと、第2溶着部15bと、非溶着部16の長さ関係は、第1溶着部15aが最も長く、第2溶着部15bと非溶着部16は同じ長さとなっている。ただし、ファスナーエレメント4に棒状体14が挿入する部分においては、第1溶着部15aが最も長く、次いで非溶着部16が長く、第2溶着部がもっと短くなっている。
具体的な例を挙げると、棒状体14の長さBは7mmで、溶着部の全長Aは8mmである。そして、第1溶着部15aの長さa1 は4mm、第2溶着部の長さa3 は2mm、非溶着部16の長さa2 は2mmである。第2溶着部15bは2mmの長さのうち、棒状体14と1mmの長さで溶着している。
各部の長さ関係は上記長さに限定されず、例えば第1溶着部15aと第2溶着部15bの長さを同じ長さとして、非溶着部16の長さを第1溶着部15aと第2溶着部15bの各々よりも長く、かつ、第1溶着部15aと第2溶着部15bとの和と同じ長さとしても良い。
具体的な例を挙げると、棒状体14の長さBは7mm、溶着部全長Aは8mmとし、第1溶着部15aの長さa1 を2mm、第2溶着部の長さa3 を2mm、非溶着部16の長さa2 を4mmとする。第2溶着部15bは2mmの長さのうち、棒状体14と1mmの長さで溶着する。
上記具体例では、溶着部全体の長さが非溶着部の長さ以上であり、非溶着部16の長さは第1溶着部15aと第2溶着部15bの和以下の長さである。これにより棒状体14とファスナーエレメント4との溶着強度を確保する。
好ましくは棒状体14の外端部17とファスナーエレメント4とを溶着した第1溶着部15aを最も長くすることである。これにより、第1溶着部15aは、スライダー27が下止め11に当接し、下止め11に隣接する左右のファスナーエレメント4が押し広がられたときに、最も負荷のかかりにくい位置に有り、下止め11の破損が防止される。
また、棒状体14と第1および第2の溶着部15a,15bの幅方向における寸法関係は、棒状体14の幅よりも各溶着部15a、15bの幅が広く、各溶着部15a、15bの幅内に棒状体14の幅が収まる寸法となっている。
具体例を挙げると、棒状体14の直径、すなわち幅が6mmであるのに対し、各溶着部15a、15bの幅は10mmとなっている。棒状体14はファスナーエレメント4との溶着時に押圧され変形して、その幅が上記寸法よりも増大し、各溶着部15a、15bにおいてファスナーエレメント4と広幅の範囲で強固に溶着することができる。
この発明のスライドファスナーにおける止部は、ポリアミド、ポリエステルのモノフィラメントから形成されたコイルタイプ、ジグザグタイプの線条ファスナーエレメントをファスナーテープの一側縁に取り付け、通常タイプまた隠しタイプのスライドファスナーに仕上げ、このスライドファスナーの上止め、下止めであり、止部はスライダーの摺動による負荷でファスナーエレメントをファスナーテープへ取り付けた取付糸が糸切れしないとともに、止部の端部を強固堅牢に溶着一体化し、かつ止部は金属を一切用いず、表面にバリがない止部であるから、特に衣服用のスライドファスナーに適し活用できる。
通常タイプのスライドファスナーの正面図である。
同上スライドファスナーにおける下止めの正面図である。
同上スライドファスナーの下止めの図2のA−A断面図である。
同上スライドファスナーの作用を示した一部切欠した正面図である。
隠しタイプのスライドファスナーにおける下止めの断面図である。
ジグザグタイプのスライドファスナーにおける下止めの断面図である。
通常タイプのファスナーストリンガーに上止めを示す正面図である。
他の通常タイプのスライドファスナーにおける下止めの正面図である。
同上スライドファスナーの作用を示した一部切欠した正面図である。
公知のスライドファスナーの下止めの断面図である。
他の公知のスライドファスナーの下止めの正面図である。
符号の説明
3 線条ファスナーエレメント列
4 ファスナーエレメント
5 コイル状ファスナーエレメント
6 ジグザグ状ファスナーエレメント
7 ファスナーテープ
8 縫糸
10 止部
11 下止め
12 上止め
14 棒状体
15 溶着部
15a 第1溶着部
15b 第2溶着部
16 非溶着部
17 外端部
18 内端部
20 噛合頭部
23 噛合空間部
27 スライダー