JP4178588B2 - 誘導電動機の制動方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気的に制動を行なう誘導電動機の制動方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、誘導電動機では端子間に直流電圧をかけることで回転を停止させる方法が、ダイナミックブレーキとしてよく知られている。これは、回転している回転子が固定磁界中に置かれると、回転子内に渦電流が発生し、この電流により新たに回転子に発生する磁束が、回転子の回転とは逆方向にトルクを発生することを利用している。実用上は、直流電圧回路を別に設けることなく、誘導電動機の制御用トライアックを開閉することで、誘導電動機に半波整流した直流電圧をかける場合が多い。
【0003】
図5は従来の誘導電動機の制動方法を示す回路図であって、半波整流した直流電圧をかける誘導電動機の制動方法として、特開平3−212181号に記載された回路を示している。主巻線2と補助巻線3とで固定子巻線を形成する単相誘導電動機1のうち、主巻線2に交流電源7をトライアック6により整流した脈動電圧を供給する。その結果、主巻線2から発生する磁束が回転子4に作用して、回転子4の回転を拘束して制動をかけるようにしたものである。しかし、誘導電動機に半波整流電圧をかけて制動を行う場合、停止せずに継続して回転することがある。それは、つぎのような理由による。
【0004】
一般に誘導電動機では、90度方向が違う主巻線と補助巻線によって回転磁界を作り、起動を行う。このとき回転子には渦電流が発生するので磁極も形成される。この影響により、回転子は回転磁界の回転方向にトルクを発生する。回転が始まった後は起動用の補助巻線を切り離して、主巻線だけで発生する180度ごとの交番磁界によって駆動する。
【0005】
ここで、図5の様な構成の回路において、すでに回転中でありリレー5により補助巻線3を切り離した後の誘導電動機1における主巻線2の端子電圧を測定しながら、交流電源7をトライアック6で切断すると、図6の様な波形が得られる。図6は従来の誘導電動機において交流電源を切断した時の主巻線端子間の電圧波形図であって、波形のaの時点で電源は切断されて回路電流iはゼロとなっているが、主巻線2の端子には電圧vが発生しており、時間と共に減衰している。これは、回転子中に残留していた渦電流によりできた回転子4の磁極と、回転子4のはずみの回転の作用で、誘導電動機が発電を行っていたからである。よって、交流電源7により回転している状態の回転子4では、磁極を保たれていることがわかる。
【0006】
この電源を切断したばかりの状態で半波整流電圧を固定子巻線にかけると、回転子中に残留していた渦電流によりできた回転子の磁極と、360度ごとに発生する固定子巻線の磁界との相互作用が働く。さらに、回転速度を保ちつづけるだけのトルクが回転子に与えられれば、磁界の方向自体は回転しなくとも、回転子は回り続けることができる。
【0007】
このように、誘導電動機に半波整流した直流電圧をかける従来の制動方法では、逆に回転子の回転を誘発する可能性があり、確実に制動を行えない。
【0008】
そこで、この制動方法を改善したものとして、従来つぎのような技術が提案されている。すなわちこの技術は、固定子巻線から電源を切り放したのち、回転子に残留した渦電流が所定の値にまで減衰する所定の時間後に、半波整流電圧を印加するように構成することで、確実に制動を行おうとするものである。
【0009】
【発明の解決しようとする課題】
しかしながら上記従来の制動方法は、確実に制動を行えるものの固定子巻線から電源を切り放したのち、回転子に残留した渦電流が所定の値にまで減衰するまでの間、惰性で回転させて置かなければならず、例えば、ディスポーザ等で安全装置として短時間で急制動が必要な場合、回転子に残留した渦電流が減衰しきらずに停止させることが出来ないという問題点があった。
【0010】
そこで本発明は、前記従来の問題点を解決するもので、半波整流電圧による制動において、回転子の回転の継続がなく、確実に制動トルクを発生させて急制動させることができる誘導電動機の制動方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、回転子と、主巻線及び補助巻線からなる固定子巻線と、回転方向を切替えるために前記補助巻線に接続されたリレーと、前記固定子巻線への電源供給及び前記リレーを制御する制御回路からなる誘導電動機において、前記主巻線から電源を切り放したのち、前記補助巻線を短絡してから所定の時間後に、前記主巻線に半波整流電圧を印加して前記回転子を制動する誘導電動機の制動方法であって、前記補助巻線を短絡してからの所定の時間及び前記主巻線に半波整流電圧を印加する時間の少なくとも1方を、補助巻線の一端に接続され補助巻線に流れる誘導電流の電流値に応じた信号を出力する電流検出手段が出力する信号、又は、前記補助巻線に流れる誘導電流値が予め設定された電流値以上となったときに点灯するLEDを有するフォトカプラを用いて判断することを特徴とする誘導電動機の制動方法である。
【0012】
この構成において、回転子に残留した渦電流による回転エネルギーを補助巻線への誘導電流として積極的に消費させてから、半波整流電圧を印加する。これにより、惰性回転時間を大幅に短縮でき、確実に制動トルクを発生させることにより制動時間を短縮することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
請求項1に記載の発明は、回転子と、主巻線及び補助巻線からなる固定子巻線と、回転方向を切替えるために前記補助巻線に接続されたリレーと、前記固定子巻線への電源供給及び前記リレーを制御する制御回路からなる誘導電動機において、前記主巻線から電源を切り放したのち、前記補助巻線を短絡してから所定の時間後に、前記主巻線に半波整流電圧を印加して前記回転子を制動する誘導電動機の制動方法であって、前記補助巻線を短絡してからの所定の時間及び前記主巻線に半波整流電圧を印加する時間の少なくとも1方を、補助巻線の一端に接続され補助巻線に流れる誘導電流の電流値に応じた信号を出力する電流検出手段が出力する信号から判断するようにした。また、請求項2に記載の発明は、回転子と、主巻線及び補助巻線からなる固定子巻線と、回転方向を切替えるために前記補助巻線に接続されたリレーと、前記固定子巻線への電源供給及び前記リレーを制御する制御回路からなる誘導電動機において、前記主巻線から電源を切り放したのち、前記補助巻線を短絡してから所定の時間後に、前記主巻線に半波整流電圧を印加して前記回転子を制動する誘導電動機の制動方法であって、前記補助巻線を短絡してからの所定の時間及び前記主巻線に半波整流電圧を印加する時間の少なくとも1方を、前記補助巻線に流れる誘導電流値が予め設定された電流値以上となったときに点灯するLEDを有するフォトカプラを用いて判断するようにした。
【0014】
この構成により、確実に制動ができ、制動時間を短縮することができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記補助巻線と前記切替リレーを接続した時に、閉回路となるように配置された抵抗器により、前記補助巻線に過大電流が流れるのを防止するようにしたものである。
【0016】
(参考例1)
図1は、本発明に関連した参考例1の誘導電動機の制動方法を示す回路図、図2は同制動時の主巻線端子間の電圧波形図である。
【0017】
図1において、誘導電動機1は、回転子4と、主巻線2及び補助巻線3からなる固定子巻線により構成され、リレー5a,5bと、制御素子であるトライアック6a及び6bを介して交流電源7に接続されている。
【0018】
リレー5a,5bは、補助巻線3及び主巻線2に対して90°補助巻線の位相を変えるためのコンデンサー8に接続されており、どちらかをONさせることで補助巻線3に印加する交流電圧の位相を180°反転させることにより、回転子4の回転方向を切り替える。また、両方ともOFFの状態では、補助巻線3は短絡状態となる。
【0019】
9は制御回路であり、交流電源7のゼロ電位を検出して、リレー5a,5bとトライアック6a,6bを制御する。回転起動時には、まず、リレー5aもしくは5bをONして回転方向を決定し、主巻線駆動用トライアック6a及び補助巻線駆動用トライアック6bをONすることで、90度方向が違う主巻線と補助巻線によって回転磁界を作り起動する。このとき回転子4は、渦電流によって発生する回転磁界の回転方向にトルクを発生する。従って、回転が始まった後は補助巻線駆動用トライアック6bをOFFして補助巻線3を切り離し、主巻線2だけで発生する180度ごとの交番磁界によって駆動する。
【0020】
以上のように構成された誘導電動機の制動方法について、以下、その動作を図1に基づいて説明する。回転中の誘導電動機1から交流電源7を切り離すと、回転子4に渦電流による磁束が発生しており、この回転する磁束による発電作用で、固定子巻線の端子間に誘導起電力が生ずる。この時点で、リレー5a,5bを両方ともOFFすると、補助巻線3は短絡状態となり、補助巻線3に誘起した起電力は、誘導電流として補助巻線3内を流れて、補助巻線3の抵抗成分により熱エネルギーとなって急激に減衰してゆく。この補助巻線3の誘導電流が半分以下に減衰する時間をT1とする。
【0021】
減衰時間T1経過した後に、図2に示すとおり、制御回路9により交流電源7のゼロ電位を検出して、正または負の片側の周期においてだけ、トライアック6aをONする。すると誘導電動機1の主巻線2の端子には、半波整流電圧が印加される。誘導電動機1の回転が停止した時間T2後に、トライアック6aをOFFにする。以上のように回転子に残留した渦電流による回転エネルギーを、補助巻線への誘導電流として積極的に消費させることによって、短時間で急制動することが出来る。
【0022】
(参考例2)
図3は本発明に関連した参考例2の誘導電動機の制動方法を示す回路図である。図3において図1と同一符号を付したものは、参考例1と基本的に同一の作用を奏するから、詳細な説明は省略する。10は抵抗器であり、補助巻線3と抵抗器の接続用リレー11を接続した時に閉回路となるように配置されている。
【0023】
以上の構成にすることにより、回転中の誘導電動機1から交流電源7を切り離した時に、補助巻線3に流れる誘導電流が過大に流れるのを防ぎ、リレー素子の破壊を防止し補助巻線3の異常発熱を押さえることができる。
【0024】
(実施の形態)
図4は本発明の実施の形態の誘導電動機の制動方法を示す回路図である。図4において図1と同一符号を付したものは、上記と基本的に同一の作用を奏するから、詳細な説明は省略する。図4(a)では誘導電動機1の補助巻線3の端子の一端には、電流検出手段12が接続され、電流検出手段12からは補助巻線3の電流値に応じた信号が出力される。
【0025】
なお、電流検出手段12は、図4(b)のような抵抗器10の両端に発生する電圧を高抵抗等で構成されている分圧回路13で分圧して、平滑化回路14により整流して平滑化することによりその電位を検出する方法でもよい。また、図4(c)のような、フォトカプラ15を使った回路で、補助巻線3に設定した電流値以上が流れたとき、フォトカプラ15のLEDが点灯し、出力がONするのを捉えてもよい。
【0026】
以上のように構成された誘導電動機の制動方法について、以下、その動作を図4(a)に基づいて説明する。回転中の誘導電動機1から交流電源7を切り離した後、リレー5a,5bを両方ともOFFすると、補助巻線3は短絡状態となり誘導電流として補助巻線3内を流れて、急激に減衰してゆく。この補助巻線3の誘導電流を、電流検出手段12により検出して、電流値に応じた信号へと変換する。この信号が、所定の値以下に減衰した時点で、制御回路9は回転子4の渦電流が減衰したと判断し、交流電源7のゼロ電位を検出して、正または負の片側の周期においてだけトライアック6aをONする。すると誘導電動機1の主巻線2の端子には、半波整流電圧が印加される。その結果、主巻線2から発生する磁束が回転子4の回転を拘束して制動できる。この時、補助巻線3には再度誘導電流が流れて回転子4の回転が遅くなるにつれて徐々に減衰して行く。この誘導電流を、電流検出手段12により検出して、電流検出手段12より出力される信号が所定の値以下に減衰した時点で、制御回路9は誘導電動機1の回転が停止したと判断し、トライアック6aをOFFにする。
【0027】
以上のように補助巻線3を短絡してからの所定の時間及び主巻線2に半波整流電圧を印加する時間の少なくとも1方を、補助巻線3に流れる誘導電流値から判断することによって、短時間で急制動することが出来る。
【0028】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように本発明の誘導電動機の制動方法によれば、回転子に残留した渦電流による回転エネルギーを補助巻線への誘導電流として積極的に消費させるので、短時間で急制動することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の参考例1の誘導電動機の制動方法を示す回路図
【図2】 本発明の参考例1の制動時の主巻線端子間の電圧波形図
【図3】 本発明の参考例2の誘導電動機の制動方法を示す回路図
【図4】 本発明の実施の形態の誘導電動機の制動方法を示す回路図
【図5】 従来の誘導電動機の制動方法を示す回路図
【図6】 従来の誘導電動機において交流電源を切断した時の主巻線端子間の電圧波形図
【符号の説明】
1 誘導電動機
2 主巻線
3 補助巻線
4 回転子
5a,5b リレー
6a,6b トライアック
7 交流電源
8 コンデンサー
9 制御回路
10 抵抗器
11 接続用リレー
12 電流検出手段
13 分圧回路
14 平滑化回路
15 フォトカプラ
Claims (3)
- 回転子と、主巻線及び補助巻線からなる固定子巻線と、回転方向を切替えるために前記補助巻線に接続されたリレーと、前記固定子巻線への電源供給及び前記リレーを制御する制御回路からなる誘導電動機において、前記主巻線から電源を切り放したのち、前記補助巻線を短絡してから所定の時間後に、前記主巻線に半波整流電圧を印加して前記回転子を制動する誘導電動機の制動方法であって、前記補助巻線を短絡してからの所定の時間及び前記主巻線に半波整流電圧を印加する時間の少なくとも1方を、補助巻線の一端に接続され補助巻線に流れる誘導電流の電流値に応じた信号を出力する電流検出手段が出力する信号から判断することを特徴とする誘導電動機の制動方法。
- 回転子と、主巻線及び補助巻線からなる固定子巻線と、回転方向を切替えるために前記補助巻線に接続されたリレーと、前記固定子巻線への電源供給及び前記リレーを制御する制御回路からなる誘導電動機において、前記主巻線から電源を切り放したのち、前記補助巻線を短絡してから所定の時間後に、前記主巻線に半波整流電圧を印加して前記回転子を制動する誘導電動機の制動方法であって、前記補助巻線を短絡してからの所定の時間及び前記主巻線に半波整流電圧を印加する時間の少なくとも1方を、前記補助巻線に流れる誘導電流値が予め設定された電流値以上となったときに点灯するLEDを有するフォトカプラを用いて判断することを特徴とする誘導電動機の制動方法。
- 前記補助巻線と前記切替リレーを接続した時に、閉回路となるように配置された抵抗器により、前記補助巻線に過大電流が流れるのを防止することを特徴とする請求項1または2記載の誘導電動機の制動方法。
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