JP4178666B2 - ケイ素系高分子およびその製造方法 - Google Patents

ケイ素系高分子およびその製造方法 Download PDF

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  • Polyoxymethylene Polymers And Polymers With Carbon-To-Carbon Bonds (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、導電性などの特性に優れた新規なケイ素系高分子およびその製造方法、並びにそのケイ素系高分子の製造に用いる新規なケイ素化合物およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリシランに代表されるケイ素系高分子は、例えばセラミックス用プレカーサ、導電性材料、光伝導性材料(フォトコンダクタ)、非線形光学材料などの分野において、その応用が広く検討されており、興味深い材料となっている。
これまで、ポリマー主鎖にケイ素のみを持つ各種のポリシランの合成、およびその特性が、例えばChem. Rev., 89(1989年), 1359 -, R. D. Miller and J. Michlの総説に報告されている。一方、主鎖にケイ素原子とπ共役系を交互に持つケイ素系高分子も多数合成され、ポリシランと同様な分野における応用が期待されている。そのようなケイ素系高分子に関しては、例えば、石川満夫「新しい有機ケイ素ポリマー」、1991、19頁以降を参照できる。これらのポリマーの光吸収は基本的に紫外域に限られ、その光伝導性などの感応波長も概ね紫外域に限られる。
【0003】
しかし、最近では、主鎖にケイ素原子とπ共役系を交互に持つケイ素系高分子の中でも可視吸収を持つ大きなπ共役系を導入することによって可視応答性や導電性を付与したものが報告されている。特に、主鎖にケイ素原子とオリゴチオフェンを持つケイ素系高分子が可視域に光吸収を持つことは、P. Chichart, et al., Chem. Mater., 3, 8 (1991);S. H. Yi, et al., Synth. Metals, 58, 353 (1993);K. Tanaka, et al., Organometallics, 13, 3496 (1994);A. Kunai, et al., Organometallics, 15, 2000 (1996)などに、その合成方法と共に述べられている。
【0004】
本発明者らは、ケイ素原子とオリゴチオフェンを主鎖に持つ上述のケイ素系高分子が、可視域の光を吸収し光キャリア発生することを見出し、さらにフラーレン(C60など)などのアクセプターをドーピングすることによって可視域での光キャリア発生効率が大きく向上することを見出しており、その発明は、特開平8‐125249号公報として公開されているとともに、柿本他、日本化学会第69春季年会予稿集 2A143 (1995);柿本他、日本化学会第70春季年会予稿集 1PB003 (1996)、同3S306 (1996);およびM. Kakimoto et al., Macromolecules, 30, 7816 (1997)などで報告されている。
【0005】
また、可視応答性π共役系として両端にアセチレン(エチニル基)の付いたオリゴチオフェンを繰り返し単位に持つ新規なケイ素系高分子が特開平10−045915号公報にされており、より長波長側での光伝導性応答などが示されている。
【0006】
上記2つの公開公報に開示された発明は、オリゴチオフェンなどの導入により可視光領域での光伝導性が発現し、さらにフラーレンなどのアクセプターをドーピングすることによりその光キャリア発生効率が高められるなど画期的な発明ではあるが、導電性の観点からすると、アクセプタドーピングの結果得られる導電性は高くても10-2S/cmオーダー程度であり未だ十分とは言えなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、ドーピングすることによって高い電導性を有し、光やドーパントに対して比較的安定な主鎖にケイ素と可視応答性π共役系を含む高分子およびその製造方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の課題を解決するために、一般式(1):
【化3】
Figure 0004178666
(式中、R 1 は水素原子、炭化水素基またはAであり、R 2 およびR 3 は、それぞれ水素原子もしくは炭化水素基であり、Aは式:
- NR 2
(式中、Rは、水素原子、1〜18個の炭素原子を有する直鎖または分岐アルキル基、6〜18個の炭素原子を有するアリール基、または7〜24個の炭素原子を有するアラルキル基である。)で表されるアミノ基であり、mは2以上の数、nは2以上の数である。)
で示される、主鎖にケイ素原子とオリゴチエニレン基を含む繰り返し単位を有する高分子であって、ケイ素原子上に少なくとも1つのアミノ基を有するケイ素系高分子を提供するものである。
【0011】
に、ビス(ハロゲン化チエニル)アミノシラン化合物と両端トリアルキルスタニルチオフェンもしくは両端トリアルキルスタニルオリゴチオフェンを、触媒の存在下、反応させることを特徴とする、上記第3の発明のケイ素系高分子の製造方法をも提供するものである。
【0012】
に、上記の製造方法に用いる下記一般式(2):
【化4】
Figure 0004178666
(式中、R1 は水素原子、炭化水素基またはAであり、R 〜R5は水素原子もしくは炭化水素基であり、Aはアミノ基であり、Xはハロゲン原子である。)
で示されるビス(ハロゲン化チエニル)アミノシラン化合物を提供するものである。
に、1量のアルキルジアルキルアミノジハロシランにハロゲン化チエニルリチウム試薬もしくはハロゲン化チエニルグリニヤール試薬を2量反応させることを特徴とするこのビス(ハロゲン化チエニル)アミノシラン化合物の製造方法をも提供するものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
第1の発明における高分子では、式(1)中のR 1 、R 2 、R 3 が炭化水素基である場合に、炭化水素基としては炭素数1〜18のものが好適に用いられ、例えばアルキル基、アリール基、アラルキル基などが挙げられる。炭化水素基は、アルコキシ基などで置換されていてもよい。アルキル基の炭素数は、通常1〜18、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜6であって、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、およびヘキシル基である。アリール基の炭素数は、好ましくは6〜18、より好ましくは6〜10であって、具体的には、フェニル基、ナフチル基である。アラルキル基の炭素数は、好ましくは7〜18、より好ましくは7〜10であって、具体的には、アニシル基、およびβ−フェネチル基などである。また、R 1 がアミノ基Aであってもよく、この場合はケイ素原子に2つのアミノ基が結合することになる
【0014】
また、Siに結合したアミノ基は、ヨウ素、キノン類、フラーレンなどのアクセプタと相互作用することにより、電荷移動錯体を形成し易くする作用があり、電気伝導性の向上に寄与し得る。
アミノ基とは、一般に式:-NR2で表され、式中、Rは通常、水素原子、1〜18個の炭素原子を有する直鎖または分岐アルキル基、6〜18個の炭素原子を有するアリール基、または7〜24個の炭素原子を有するアラルキル基である。また、アルキル基、アリール基、アラルキル基の水素原子の一部をさらに別の感応基で置換してもよい。アミノ基Aの具体例としては、無置換のアミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ-n-プロピルアミノ基、ジ-n-ブチルアミノ基、ビス(トリメチルシリル)アミノ基、ジフェニルアミノ基、メチルフェニルアミノ基などが挙げられる。
【0017】
式(1)のケイ素系高分子では、高分子主鎖中のケイ素原子の数は少なくとも2であり、分子末端は、例えば水素、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、トリアルキルシリル基などの任意の基であってよい。また、同一分子の末端同士が結合した環状高分子であってもよい。
本発明のケイ素系高分子の重量平均分子量は通常500〜100万である。
【0018】
本発明において、ケイ素原子に結合したアミノ基は、電子供与性を示し、また非共有電子対などの影響でケイ素原子および主鎖のπ共役電子系に対して何らかの作用を与えることが予想される。また、特定のドーパントと電荷移動錯体を形成するときにもアミノ基部分との結合が有効に働く。このため、本発明の新規ケイ素系高分子は、光伝導性材料(フォトコンダクタ)、導電性材料、非線形光学材料などとして有用である。
【0019】
本発明のケイ素系高分子に、無機もしくは有機のアクセプタをドーピングすれば電荷移動錯体が得られる。
無機のアクセプタとしては、5フッ化ヒ素(AsF5)、5フッ化アンチモン(SbF5)、ヨウ素(I2)、塩化鉄(FeCl3)などが例示できる。また、有機のアクセプタとしては、フラーレン類(C60,C70など)、キノン類(テトラシアノキノン、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノンなど)、オキソジアゾール類(2−(4−ビフェニル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールなど)などが例示できる。
アクセプタの配合量は、導電性材料の高分子100重量部につき、0.01から1000重量部、好ましくは1〜100重量部である。
一般的に、上記無機アクセプタは気体として高分子に導入されることが多い。上記有機アクセプタは、高分子とともに溶媒に溶解された後塗布することによって導入するか、溶融混合によって導入することができる。いずれの場合も、電荷移動錯体の形成は、高分子およびアクセプタのいずれにも存在しない長波長側の新たな光吸収の発生によって知ることができる。
【0020】
また、本発明では、ビス(ハロゲン化チエニル)アミノシラン化合物と両端トリアルキルスタニルチオフェンもしくは両端トリアルキルスタニルオリゴチオフェンを、触媒の存在下、反応させることにより製造する方法を提供するものである。この反応は、下記式(3)に示す反応式により進行する。
【0021】
【化5】
式(3):
Figure 0004178666
上記反応式(3)中、R1、R2、R3、R4,R5、R6、R7が炭化水素基である場合に、炭化水素基としては炭素数1〜18のものが好適であり、例えばアルキル基、アリール基、アラルキル基などが挙げられる。炭化水素基は、アルコキシ基などで置換されていてもよい。アルキル基の炭素数は通常、1〜18、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜6(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、およびヘキシル基)である。アリール基の炭素数は、好ましくは6〜18、より好ましくは6〜10(例えば、フェニル基、ナフチル基)である。アラルキル基の炭素数は、好ましくは7〜18、より好ましくは7〜10(例えばアニシル基、およびβ−フェネチル基など)である。また、R1がアミノ基であってもよく、この場合はケイ素原子に2つのアミノ基が結合することになる。
【0022】
また、Aはアミノ基であり、一般に式:-NR2で表され、この式中、Rは通常、水素原子、1〜18個の炭素原子を有する直鎖または分岐アルキル基、6〜18個の炭素原子を有するアリール基、または7〜24個の炭素原子を有するアラルキル基である。また、アルキル基、アリール基、アラルキル基の水素原子の一部をさらに別の感応基で置換してもよい。アミノ基Aの具体例は、上記と同様である。
Xは、ハロゲン原子であり、例えば、塩素、フッ素、臭素、ヨウ素などが挙げられ、好ましくは臭素およびヨウ素が用いられる。
【0023】
式中、Bは、比較的活性なトリアルキルスタニル基であり、その中のアルキル基としては炭素数1〜18のものが好適であり、より好ましくは炭素数2〜6のものであり、特に試薬の入手しやすさからトリ(n-ブチル)スタニル基もしくはトリメチルスタニル基が用いられる。
ここに示した両端トリアルキルスタニルチオフェンもしくは両端トリアルキルスタニルオリゴチオフェンは、両端ハロゲン化チオフェンもしくは両端ハロゲン化オリゴチオフェンを2量のアルキルリチウム試薬と反応させて両端リチオ化物とした後、2量のトリアルキルクロロスタナンと反応させることによって得られる。この化合物は反応性が比較的高いため、ビス(ハロゲン化チエニル)アルコキシシランとの反応直前に系中で発生させることが望ましいが、別に調製して、精製後に系に加えても構わない。
【0024】
実際の反応では、脱気乾燥したシュレンク管中で、不活性ガス雰囲気下、初めに両端ジハロゲン化チオフェンもしくはオリゴチオフェンを溶媒に溶解させて、これに上記の処理を行い、両端トリアルキルスタニルチオフェンもしくは両端トリアルキルスタニルオリゴチオフェンを得る。これを精製せずに、この反応溶液に1当量のビス(ハロゲン化チエニル)アミノシランと反応触媒を加えて、加熱攪拌することによって反応を行う。
反応温度は、好ましくは20〜150℃であり、一般的には使用した溶媒の還流温度が使用される。また、反応時間は、例えば0.1〜200時間程度である。
【0025】
反応終了後、蒸留水を加えて加水分解した後に溶媒不溶の成分を除き、水層と油層を分液ロートで分離し、水層はクロロホルムなどの溶媒で抽出し、油層に加える。得られたクロロホルム溶液を乾燥、濃縮した後、生成ポリマーを分別沈殿することによって、重量平均分子量500〜100万程度の目的の構造を持つケイ素系高分子が得られる。
【0026】
上記反応に用いる溶媒としては、ヘキサン、ペンタン、ベンゼン、トルエンなどの炭化水素や、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)などのエーテル系溶媒などが用いられる。特に、ジエチルエーテル、THFが好適である。また、これらの溶媒を混合して用いることもできる。
溶媒の量は、ビス(ハロゲン化チエニル)アルコキシシランと両端トリアルキルスタニルオリゴチオフェンの合計100重量部当たり、100〜100000重量部であってよい。
【0027】
反応触媒としては、パラジウム触媒が好適に用いられ、より好ましくは、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムやテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムが好適に用いられる。もちろん、パラジウム触媒だけに効果が限定されるわけではない。
【0028】
本発明の新規ビス(ハロゲン化チエニル)アミノシラン化合物において、一般式(2)中、Xのハロゲン原子については、塩素、臭素、ヨウ素などが挙げられ、好ましくは臭素が用いられる。また、式中、Aのアミノ基としては、上記と同様に、無置換のアミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ-n-プロピルアミノ基、ジ-n-ブチルアミノ基、ビス(トリメチルシリル)アミノ基、ジフェニルアミノ基、メチルフェニルアミノ基などが好ましく挙げられる。
【0029】
本発明におけるビス(ハロゲン化チエニル)アミノシラン化合物の製造方法は、1量のアルキルアミノジハロシランに、ハロゲン化チエニルリチウム試薬もしくはハロゲン化チエニルグリニヤール試薬を2量反応させることからなる。
この反応は、脱気乾燥したフラスコ中、不活性ガス雰囲気下、溶媒中ジブロモチオフェンのモノグリニヤール体を得て、このモノグリニヤール体の溶液の中に、トリアルコキシアルキルシランを加えて、加熱攪拌することによって行う。
【0030】
反応温度は、好ましくは20〜150℃であり、さらに好ましくは50〜100℃である。また、反応時間は、例えば、0.1〜48時間程度である。
上記反応に用いる溶媒としては、ヘキサン、ペンタン、ベンゼン、トルエンなどの炭化水素や、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)などのエーテル系溶媒などが用いられる。特に、ジエチルエーテル、THFが好適である。また、これらの溶媒を混合して用いることもできる。
溶媒の量は、トリアルコキシアルキルシラン100重量部当たり、100〜1000000重量部であってよい。
【0031】
【実施例】
以下、実施例および比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
実施例1
ビス ( - ブロモチエン - - イル ) ジエチルアミノヘキシルシランの合成
窒素雰囲気下、滴下ロートを付けた200mL3ツ口フラスコに、14.0g(57mmol)の2,5-ジブロモチオフェンを入れ、80mLの乾燥ジエチルエーテルに溶解させた。系を−80℃に冷却して、これに滴下ロートより、37.0mL(57mmol)の1.54M n-ブチルリチウムヘキサン溶液をゆっくり滴下した。このまま反応混合溶液を攪拌しつつ一旦室温まで昇温した後、再び−80℃に冷却して、これに7.49g(28.5mmol)のジエチルアミノヘキシルジクロロシランを全量滴下し、1時間攪拌後、室温に戻してさらに一晩攪拌した。その結果、目的の化合物が得られた。
【0032】
反応溶液に蒸留水を加え加水分解した後、分液ロートで分離し、水層はエーテル抽出して油層と合わせた。無水硫酸マグネシウムで脱水した後、エバポレータで濃縮した。得られた粗生成物を減圧蒸留することにより、目的のビス(5-ブロモチエン-2-イル)ジエチルアミノヘキシルシランを無色透明の液体として単離した。収量は、7.0g(収率48%)であった。沸点は、160〜165℃/1.0mmHgであった。
【0033】
得られたビス(5-ブロモチエン-2-イル)ジエチルアミノヘキシルシランの各NMR、質量スペクトルおよび元素分析のデータは以下の通りである。
1H-NMR(δ,DCl3): 0.83 - 1.35(m, 19H), 2.89(q, 4H, -NCH2-), 7.05(d, 2H, J = 3.6Hz, チエニレンプロトン), 7.09(d, 2H, J = 3.6Hz, チエニレンプロトン)。
【0034】
13C-NMR(δ,DCl3): 14.07, 15.11, 15.61, 22.57, 23.21, 31.34, 33.15, 39.66(N-CH2-), 118.11, 131.21, 136.83, 139.29(チエニレンカーボン)。
29Si-NMR(δ,DCl3): -18.42。
MS m/z: 503 (m+79Br81Brとして)。
元素分析: 計算値(C18H23S2Br2SiN): C, 42.78; H, 4.59; N, 2.77。 測定値: C, 42.80; H, 4.85; N, 2.52.
【0035】
【化6】
Figure 0004178666
【0036】
実施例2
ポリ ( ジエチルアミノ -n- ヘキシルシリレンクィンケ ( , - チエニレン ) )の合成
5,5"-ジブロモ-2,2':5',2"-ターチオフェン0.80g(2.0mmol)をアルゴンガス雰囲気下50mLのシュレンク管に入れ、THF20mLを加えた。−40℃に冷却し、1.54M n-ブチルリチウムヘキサン溶液2.53mL(4.0mmol)を滴下した後、室温に戻し、30分間攪拌した。
次に−10℃に冷却し、トリ(n-ブチル)クロロスタナン(n-Bu3SnCl)1.40g(4.3mmol)を滴下し、その後ゆっくり室温に昇温した後、1時間攪拌した。
【0037】
この溶液に、実施例1で得たビス(5-ブロモチエン-2-イル)ジエチルアミノ-n-ヘキシルシラン1.02g(2.0mmol)とテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(Pd(PPh3)4)0.10g(モノマーに対して4.3mol%)を加えてよく攪拌し、20時間還流させた。室温に戻した後、濾過しエバポレータで濃縮した。得られた粗生成物をn-ヘキサン/トルエンで再沈精製した。
その結果、オレンジ-赤色粉末状のポリ(ジエチルアミノ-n-ヘキシルシリレンクィンケ(2,5-チエニレン))0.70gが得られた(収率59%)。ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)分析により求めた重量平均分子量(Mw)は、ポリスチレン換算で、27、000であり、分散Mw/Mnは1.8であった。
【0038】
得られた高分子についての各NMR分析、および元素分析の結果は以下の通りである。
1H-NMR(δ,CDCl3): 0.87-1.46(m, 19H), 2.98(4H, -NCH2-), 7.07-7.16(m, 10H, チエニレンプロトン)。
13C-NMR(δ,CDCl3): 14.11, 15.22, 15.94, 22.62, 23.39, 31.39, 33.24, 39.84(-NCH2-), 124.33, 124.69, 124.96, 135.97, 136.33, 137.28, 142.96(チエニレンカーボン)。
29Si-NMR(δ,CDCl3): -17.62。
元素分析:計算値(C30H33NS5Si): C, 60.46; H, 5.58; N, 2.35。測定値: C, 59.34; H, 5.36; N, 2.01
【化7】
Figure 0004178666
【0039】
比較例1
ポリ ( テトラエチルジシラニレンクォーターチエニレン ) の合成
標記化合物は、A. Kunai, et al., Organometallics, 15, 2000 (1996)に記載の方法に従って下記のように合成した。
すなわち、1,2-ビス(5-(ブロモ-2,2'-ビチエン-5'-イル)-1,1,2,2-テトラエチルジシラン0.661g(1.0mmol)を乾燥THF5mLに溶解してマグネシウム金属0.0243g(1.0mmol)と反応させることによりグリニヤール試薬を調製した。このグリニヤール試薬に、ニッケル錯体触媒(ジクロロ(ジフェニルホスフィノエタン)ニッケル(II)をモノマーに対して1mol%加えて、脱気封管(内容量約20mL)し、加熱して反応させた。反応温度は140℃、反応時間は15時間であった。上記文献に記載されたのと同様の後処理を行い、オレンジ色粉末状のポリ(テトラエチルジシラニレンクォーターチエニレン)0.38gが得られた(収率76%)。ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)分析により求めた重量平均分子量(Mw)は、ポリスチレン換算で、22,000であり、分散Mw/Mnは2.3であった。
各NMRおよびIRスペクトルの結果は、文献記載のものと一致した。また、このポリマーのTHF溶液の吸収スペクトルを測定したところ、412nmに吸収極大を示した。
【0040】
比較例2
ポリ (n- プロピルエトキシシリレンクィンケチエニレン ) の合成
5,5”-ジブロモ-2,2':5',2”-ターチオフェン1.22g(3.0mmol)をアルゴンガス雰囲気下50mLのシュレンク管に入れ、THF20mLを加えた。−40℃に冷却し、n-ブチルリチウムヘキサン溶液(6.0mmol)を滴下した後、室温に戻し30分間攪拌した。
次に−10℃に冷却し、トリ(n-ブチル)クロロスタナン(n-Bu3SnCl)2.12g(6.5mmol)を滴下し、その後ゆっくり室温に戻した後、終夜攪拌した。
【0041】
この溶液に、ビス(5-ブロモチエン-2-イル)ジエトキシアミノn‐プロピルシラン1.24g(3.0mmol)とテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(Pd(PPh3)4)0.010g(モノマーに対して約3mol%)を加えてよく攪拌し、40時間還流させた。室温に戻した後、蒸留水を加えて加水分解し、液層と油層を分液ロートで分離し、水層はクロロホルムで抽出して油層に加えた。得られたクロロホルム溶液を硫酸マグネシウムで乾燥し、エバポレータで濃縮した後、得られた粗生成物をエタノール/クロロホルムで再沈し、さらにn-ヘキサン/クロロホルムで再沈精製した。
【0042】
その結果、オレンジ色粉末状のポリ(n-プロピルエトキシシリレンクィンケチエニレン)0.95gが得られた(収率60%)。ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)分析により求めた重量平均分子量(Mw)は、ポリスチレン換算で、10,000であり、分散Mw/Mnは1.7であった。また、このポリマーのTHF溶液の吸収スペクトルを測定したところ、431nmに吸収極大を示した。
【0043】
実施例3
光吸収スペクトルの測定
実施例2で合成したポリマーについて、トルエン溶液での光吸収スペクトルを測定した。結果を図1に示す。このポリマーは可視域に光吸収を持つことがわかり、このことから、可視光に応答する光伝導性材料などに利用可能であることがわかる。また、ポリマーの光吸収極大波長は432nmであり、これは繰り返し単位中のチオフェン環数が同じ5つである比較例2のポリマーの光吸収極大波長とほぼ同じであった。これは可視吸収がポリマー主鎖のオリゴチオフェン部分に起因するものであることを示している。
【0044】
実施例4
電気伝導度(導電性)測定
実施例2および比較例1、2で得たポリマーを、トルエン溶液からスピンコートして、石英ガラス基板上に成膜した。このフィルムをガラスセル中に入れ、減圧下で塩化第2鉄(FeCl3)もしくはヨウ素(I2)の蒸気をガラスセルに導入することでドーピングを行った。塩化第2鉄ドーピングの場合は、塩化第2鉄を150℃付近まで加熱することにより得られた蒸気を導入した。また、ヨウ素ドーピングの場合は、蒸気を室温で導入した。フィルムの電気伝導度の測定は4端子法で行った結果、3種のポリマーについて、それぞれ表1に示す電気伝導度が得られた。
【0045】
これらの結果より、ヨウ素をドーピングした場合の本発明の高分子の電導性は、4.4S/cmであり、著しく高い電導性を有していることがわかる。このことより、ドーピングした本発明の高分子は導電性高分子材料として利用可能であることが示された。また、ヨウ素をドーピングした際には、サンプルフィルムは褐色から黒色に変色しており、ヨウ素とこの実施例2のケイ素系高分子が効果的に電荷移動錯体を形成したために強い可視吸収が生じたものと考えられる。
【0046】
【表1】
Figure 0004178666
Figure 0004178666
【0047】
【発明の効果】
本発明のケイ素系高分子は、新規高分子であるとともに、ケイ素原子に結合したアミノ基の効果により、ヨウ素などをドーピングした場合に効果的に電荷移動錯体を形成して高い導電性を示す導電性高分子材料となる。
また本発明のケイ素系高分子の製造方法によれば、主鎖にケイ素原子とオリゴチオフェンユニットを含む繰り返し単位を有する高分子であり、ケイ素原子に少なくとも1つのアミノ基が結合したケイ素系高分子を製造することが可能である。
本発明におけるケイ素系高分子およびその製造方法は、可視応答性光電子材料や導電性材料などへの応用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例2で得た可視応答性ケイ素系高分子のテトラヒドロフラン溶液の吸収スペクトルを示した図である。

Claims (6)

  1. 一般式(1):
    Figure 0004178666
    (式中、R1 は水素原子、炭化水素基またはAであり、R2およびR3は、それぞれ水素原子もしくは炭化水素基であり、Aは式:
    - NR 2
    (式中、Rは、水素原子、1〜18個の炭素原子を有する直鎖または分岐アルキル基、6〜18個の炭素原子を有するアリール基、または7〜24個の炭素原子を有するアラルキル基である。)で表されるアミノ基であり、mは2以上の数、nは2以上の数である。)
    で示される、主鎖にケイ素原子とオリゴチエニレン基を含む繰り返し単位を有する高分子であって、ケイ素原子上に少なくとも1つのアミノ基を有するケイ素系高分子。
  2. ビス(ハロゲン化チエニル)アミノシラン化合物と両端トリアルキルスタニルチオフェンもしくは両端トリアルキルスタニルオリゴチオフェンを、触媒の存在下、反応させることを特徴とする請求項に記載のケイ素系高分子の製造方法。
  3. 一般式(2):
    Figure 0004178666
    (式中、R1 は水素原子、炭化水素基またはAであり、R 〜R5は水素原子もしくは炭化水素基であり、Aは式:
    - NR 2
    (式中、Rは、水素原子、1〜18個の炭素原子を有する直鎖または分岐アルキル基、6〜18個の炭素原子を有するアリール基、または7〜24個の炭素原子を有するアラルキル基である。)
    で表されるアミノ基であり、Xはハロゲン原子である。)
    で示されるビス(ハロゲン化チエニル)アミノシラン化合物。
  4. 量のアルキルジクロロアミノシランにハロゲン化チエニルリチウム試薬もしくはハロゲン化チエニルグリニヤール試薬を2量反応させることを特徴とする請求項に記載のビス(ハロゲン化チエニル)アミノシラン化合物の製造方法。
  5. 請求項1に記載のケイ素系高分子を含んでなる導電性材料。
  6. 請求項1に記載のケイ素系高分子に、有機もしくは無機のアクセプタをドーピングした電荷移動錯体。
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