JP4187708B2 - 固体電解質膜および固体電解質膜の製造方法 - Google Patents
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Description
このような固体電解質膜を製造する方法としては、従来から種々の方法が知られており、例えば、特公昭58−15544号公報に開示された技術(以下、「第一の従来技術」という。)がある。この第一の従来技術においては、白金粉末や白金を担持したカーボン粉末等の触媒粉末とポリテトラフルオロエチレン等の結着剤との混合物を膜に加熱圧着する技術が開示されている。
また、電極触媒層の表面近傍において、電極触媒層中(固体高分子電解質樹脂と触媒粉末との分散物中)における固体高分子電解質樹脂の成分濃度が高すぎる場合には、電極触媒層の抵抗が増加することによって電解電圧が上昇し、電解セルのエネルギ効率が低下するという問題があった。
この際、本発明に係る固体電解質膜においては、前記触媒粒子が、酸化イリジウムおよび白金の少なくとも一方であることが好ましい。
なお、固体高分子電解質膜11に対して電極触媒層16,17を設ける方法(いわゆる、固体電解質膜の製造方法)については、後に詳細に説明する。
以下、本実施形態に係る電解セルにおける電解処理等について、さらに詳細に説明する。
以下、係る固体電解質膜を製造するための具体的方法を、図面に基づいて詳細に説明する。
すなわち、本実施形態においては、固体電解質膜を構成する固体高分子電解質膜に対して、直接的に各電極触媒層を形成するのではなく、まずはじめに、シート体上に各電極触媒層を形成させる。
また、この第一の塗布工程においては、スクリーン印刷によって、シート体40上に第一の触媒層形成物41aの塗布が行われる。
さらに、ここで用いられる第一の触媒層形成物41aは、触媒粒子としての酸化イリジウム粒子と、固体高分子電解質膜のプロトン伝導性を有する電解質成分(以下、「イオン交換体」という。)とを主成分として混合されたものである。塗布には、酸化イリジウム、イオン交換体および溶媒を混合して調整した触媒・イオン交換体混合液(この「触媒・イオン交換体混合液」は、「触媒層形成物」ともいう。)が用いられる。ここで、イオン交換体としては、例えば、固体高分子電解質膜と同じ電解質成分を含むデュポン社製のナフィオン液(ナフィオン含有率5〜10重量%)が用いられ、溶媒としては純水が用いられる。そして、本実施形態においては、第一の触媒層形成物41aを構成する酸化イリジウム粒子とイオン交換体との比(重量比)が、下式[数1]の如く定められている。
また、この工程においては、第一の触媒層形成物41aは完全に乾燥させるのではなく、次に印刷したときに逆に版の裏につかない程度の乾燥状態とする。これは、次工程以降にて形成される第二の陽極触媒層と第一の陽極触媒層41との接合性を高めるためである。そのために、この工程においては、例えば、室温にて、1〜2時間程度の乾燥処理が行われ、急ぐ場合は、90〜100℃で30分程度の乾燥処理が行われる。
また、この第二の塗布工程においても、第一の塗布工程の場合と同様に、スクリーン印刷によって、第二の触媒層形成物42aの塗布が行われる。
さらに、ここで用いられる第二の触媒層形成物42aも、第一の触媒層形成物41aと同様に、酸化イリジウム粒子とイオン交換体とを主成分として混合されたものである。塗布には、酸化イリジウム、イオン交換体および溶媒を混合して調整した触媒・イオン交換体混合液が用いられる。そして、本実施形態においては、第二の触媒層形成物42aを構成する酸化イリジウム粒子とイオン交換体との比(重量比)が、下式[数2]の如く定められている。
また、この工程においても、第一の乾燥工程と同様に、第二の触媒層形成物42aは完全に乾燥させるのではなく、次に印刷したときに逆に版の裏につかない程度の乾燥状態とする。これは、次工程以降にて形成される第三の陽極触媒層と第二の陽極触媒層42との接合性を高めるためである。そのために、この工程においては、例えば、室温にて、1〜2時間程度の乾燥処理が行われ、急ぐ場合は、90〜100℃の環境下にて30分程度の乾燥処理が行われる。
また、この第三の塗布工程においても、第一および第二の塗布工程の場合と同様に、スクリーン印刷によって、第三の触媒層形成物43aの塗布が行われる。
さらに、ここで用いられる第三の触媒層形成物43aも、第一および第二の触媒層形成物41a,42aと同様に、酸化イリジウム粒子とイオン交換体とを主成分として混合されたものである。塗布には、酸化イリジウム、イオン交換体および溶媒を混合して調整した触媒・イオン交換体混合液が用いられる。そして、本実施形態においては、第三の触媒層形成物43aを構成する酸化イリジウム粒子とイオン交換体との比(重量比)が、下式[数3]の如く定められている。
また、この工程においても、第一および第二の乾燥工程と同様に、第三の触媒層形成物43aは完全に乾燥させるのではなく、次に印刷したときに逆に版の裏につかない程度の乾燥状態とする。これは、次工程たる転写工程(後述する)における固体高分子電解質膜との接合性を高めるためである。そのために、この工程においては、例えば、室温にて、1〜2時間程度の乾燥処理が行われ、急ぐ場合は、90〜100℃の環境下にて30分程度の乾燥処理が行われる。
従来であれば、このようにイオン交換体が偏在した状態で乾燥処理等が行われていたので、固体高分子電解質膜との接合性不良等の種々の問題が発生していた。
すなわち、固体高分子電解質膜と接する面近傍については、適切なイオン交換体を有するべく、また、シート体表面(シート体40と第一の陽極触媒層41とが接している面)近傍については、適切な触媒粒子を有するべく、「逆さ乾燥」を行う際の各種条件、および触媒粒子とイオン交換体との比を定めている。
また、この第一の塗布工程においては、スクリーン印刷によって、シート体80上に第一の触媒層形成物81aの塗布が行われる。
さらに、ここで用いられる第一の触媒層形成物81aは、触媒粒子としての白金(あるいは白金黒)粒子(以下、単に「白金粒子」という。)と、イオン交換体とを主成分として混合されたものである。
塗布には、白金粒子、イオン交換体および溶媒を混合して調整した触媒・イオン交換体混合液が用いられる。イオン交換体としては、例えば、固体高分子電解質膜と同じ成分を用いる。また、溶媒としては、純水が用いられる。そして、本実施形態においては、第一の触媒層形成物81aを構成する白金粒子とイオン交換体との比(重量比)が、下式[数4]の如く定められている。
また、この工程においては、第一の触媒層形成物81aは完全に乾燥させるのではなく、次に印刷したときに逆に版の裏につかない程度の乾燥状態とする。これは、次工程以降にて形成される第二の陰極触媒層と第一の陰極触媒層81との接合性を高めるためである。そのために、この工程においては、例えば、室温にて、1〜2時間程度の乾燥処理が行われ、急ぐ場合は、90〜100℃の環境下にて30分間程度の乾燥処理が行われる。
また、この第二の塗布工程においても、第一の塗布工程の場合と同様に、スクリーン印刷によって、第二の触媒層形成物82aの塗布が行われる。
さらに、ここで用いられる第二の触媒層形成物82aも、第一の触媒層形成物81aと同様に、白金粒子とイオン交換体とを主成分として混合されたものである。塗布には、白金粒子、イオン交換体および溶媒を混合して調整した触媒・イオン交換体混合液が用いられる。そして、本実施形態においては、第二の触媒層形成物42aを構成する白金粒子とイオン交換体との比(重量比)が、下式[数5]の如く定められている。
また、この工程においても、第一の乾燥工程と同様に、第二の触媒層形成物42aは完全に乾燥させるのではなく、次に印刷したときに逆に版の裏につかない程度の乾燥状態とする。これは、次工程たる転写工程(後述する)における固体高分子電解質膜との接合性を高めるためである。そのために、この工程においては、例えば、室温にて、1〜2時間程度の乾燥処理が行われ、急ぐ場合は、90〜100℃の環境下にて30分間程度の乾燥処理が行われる。
すなわち、陰極触媒層に適切な触媒粒子を有するべく、触媒粒子とイオン交換体との比を定めている。
また、本実施形態においては、この熱圧着を行う際に、150℃程度の温度にて40kg/cm2程度の圧力を加えた状態で10分間程度保持するような条件を与えている。
また、電極触媒層16,17の表面近傍においても、固体高分子電解質樹脂の成分濃度を適切な状態に維持することが可能となるので、電極触媒層16,17における抵抗の増加、延いては電解電圧の上昇を防ぎ、電解セルのエネルギ効率の低下を防止することができる。本実施形態に係る固体電解質膜10によれば、電解電圧を1.85〜1.90V以下に維持可能な電解セルを得ることができる。
具体的に、従来技術に係る固体電解質膜を用いて構成された電解セルによれば、電解時間の経過に伴って電圧の上昇(300時間で約0.5Vの上昇)がみられたが、本発明に係る固体電解質膜を用いて構成された電解セルによれば、係る電圧上昇はみられなかった。例えば、陽極触媒層の第一の層を、IrO2:ナフィオン=3:1、第二の層を、IrO2:ナフィオン=1.67:1とし、陰極触媒層を、Pt:ナフィオン=4:1として、「ナフィオン117」を用いた場合には、長時間電解処理を行った場合であっても、電解電圧は、1.77〜1.80V(80℃、1.4A/cm2)にて維持され、特に電圧上昇を示すことはなかった。また、「ナフィオン112」を用いた場合には、「ナフィオン117」よりも膜厚が薄いため、膜厚抵抗が下がり、長時間電解処理を行った場合であっても、電解電圧は、1.59〜1.62V(80℃、1.4A/cm2)にて維持され、特に電圧上昇を示すことはなかった。
さらに、陰極電極触媒層17の触媒粒子は、本実施形態にて説明したものに限定されるわけではなく、白金黒等を用いてもよい。また、陰極電極触媒層17は、一種類の触媒粒子を用いて形成される場合には限定されず、複数種の触媒粒子を用いて形成してもよい。
このように三層以外の構造とした場合であっても、本実施形態にて説明した製造方法における乾燥工程等を行えば、比較的容易に、電極触媒層中における固体高分子電解質等の分布状態が適切に調整された固体電解質膜を得ることができる。
Claims (13)
- 固体高分子電解質膜と、前記固体高分子電解質膜に設けられた電極触媒層とを有する固体電解質膜であって、触媒粒子と前記固体高分子電解質膜の電解質成分とを主成分とする触媒層形成物を用いて前記電極触媒層が形成されており、
前記電極触媒層が、前記触媒層形成物を下方向に向けた状態で乾燥させることによって形成されたことにより、
前記電極触媒層を形成する前記触媒粒子と前記電解質成分との分布状態が傾斜していることを特徴とする固体電解質膜。 - 固体高分子電解質膜と、前記固体高分子電解質膜に設けられた電極触媒層とを有する固体電解質膜であって、触媒粒子と前記固体高分子電解質膜の電解質成分とを主成分とする触媒層形成物を用いて前記電極触媒層が形成されており、
前記電極触媒層において、固体高分子電解質膜に近い側の一の部位と、該一の部位に対して前記固体高分子電解質膜と反対側に位置する他の部位とを比較した場合に、前記他の部位における前記触媒粒子の含有率が、前記一の部位における前記触媒粒子の含有率以上であるように、
前記電極触媒層を形成する前記触媒粒子と前記電解質成分との分布状態が傾斜していることを特徴とする固体電解質膜。 - 前記電極触媒層が複数の層を用いて形成されており、
前記複数の各層中において、固体高分子電解質膜に近い側の一の部位と、該一の部位に対して前記固体高分子電解質膜と反対側に位置する他の部位とを比較した場合に、前記他の部位における前記触媒粒子の含有率が、前記一の部位における前記触媒粒子の含有率以上であるように、
前記各層を形成する前記触媒粒子と前記電解質成分との分布状態が傾斜している請求項1又は2に記載の固体電解質膜。 - 前記固体高分子電解質膜に近い側の一の層と、前記一の層に接して前記固体高分子電解質膜と反対側に位置する他の層とを比較した場合において、前記他の層における前記触媒粒子の含有率が、前記一の層における前記触媒粒子の含有率以上である請求項3に記載の固体電解質膜。
- 陽極側の前記電極触媒層が二つの層を用いて形成されており、前記固体高分子電解質膜に接している第一の層における前記触媒粒子と前記電解質成分との比が1〜2:1であり、前記第一の層に接している第二の層における前記触媒粒子と前記電解質成分との比が3〜6:1である請求項3または4に記載の固体電解質膜。
- 前記触媒粒子が、酸化イリジウムおよび白金の少なくとも一方である請求項1から5のいずれか1項に記載の固体電解質膜。
- 固体高分子電解質膜に電極触媒層を接合して形成される固体電解質膜の製造方法において、触媒粒子と前記固体高分子電解質膜の電解質成分とを主成分とする触媒層形成物をシート体に塗布する塗布工程と、
該触媒層形成物における前記シート体表面に近い側の一の部位と、該一の部位に対して前記シート体表面と反対側に位置する他の部位とを比較した場合に、前記他の部位における前記触媒粒子の含有率が、前記一の部位における前記触媒粒子の含有率以下となるように調整しつつ前記触媒層形成物を乾燥させる乾燥工程と、
前記シート体に形成された前記電極触媒層を前記シート体から前記固体高分子電解質膜に転写させる転写工程とを有していることを特徴とする固体電解質膜の製造方法。 - 前記塗布工程と前記乾燥工程とが交互に複数回行われた後に、前記転写工程が行われる請求項7に記載の固体電解質膜の製造方法。
- 前記塗布工程が、スクリーン印刷を用いて行われる請求項7または8に記載の固体電解質膜の製造方法。
- 前記乾燥工程が、前記シート体における前記触媒層形成物の塗布面を鉛直線方向に向けた状態で行われる請求項7から9のいずれか1項に記載の固体電解質膜の製造方法。
- 前記転写工程が、熱圧着によって行われる請求項7から10のいずれか1項に記載の固体電解質膜の製造方法。
- 前記触媒粒子として、酸化イリジウムおよび白金の少なくとも一つが用いられる請求項7から11のいずれか1項に記載の固体電解質膜の製造方法。
- 固体高分子電解質膜に電極触媒層を接合して形成される固体電解質膜の製造方法において、
触媒粒子と前記固体高分子電解質膜の電解質成分とを主成分とする触媒層形成物をシート体に塗布する塗布工程と、
該触媒層形成物おける前記シート体表面に近い側の一の部位と、該一の部位に対して前記シート体表面と反対側に位置する他の部位とを比較した場合に、前記他の部位における前記触媒粒子の含有率が、前記一の部位における前記触媒粒子の含有率以下となるように調整しつつ前記触媒層形成物を乾燥させる乾燥工程と、
前記シート体に形成された前記電極触媒層を前記シート体から前記固体高分子電解質膜に転写させる転写工程とを有し、
陽極側シート体に形成される陽極触媒層が、前記塗布工程と前記乾燥工程とを二回繰り返すことによって、二つの層から形成されており、前記陽極側シート体に接すべく第一の形成層を塗布する際における前記触媒粒子と前記電解質成分との比が3〜6:1であり、前記第一の形成層に接すべく第二の形成層を塗布する際における前記触媒粒子と前記電解質成分との比が1〜2:1であって、陰極側シート体に形成される陰極触媒層が、前記塗布工程と前記乾燥工程とを行うことによって形成されており、前記転写工程において、前記固体高分子電解質膜の両面から、前記陽極側シート体に形成された陽極触媒層と前記陰極側シート体に形成された陰極触媒層とを熱圧着することを特徴としている固体電解質膜の製造方法。
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