JP4196663B2 - 液晶表示装置および液晶表示装置の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、透明状態を呈するメモリ性液晶層を含む液晶表示装置およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、TN、STN、TFT液晶表示素子が広く使用されている。これらの液晶表示素子は、所定の駆動を常時行って表示を行う。これに対し、メモリ性の動作モードを有するコレステリックまたはカイラルネマチック液晶等のメモリ性液晶が注目され、それを備えた液晶表示装置の実用化が検討されている。カイラルネマチック液晶を用いた液晶表示装置のセル構造、液晶材料、駆動法などの基本構成については、非特許文献1や特許文献1〜6に示されている。
【0003】
一対の平行基板間に挟持されたメモリ性液晶は、その液晶ディレクタが一定周期でねじれた「ねじれ構造」を有する。そのねじれ中心軸(以下、ヘリカル軸という。)の基板に対する向きによって、光の反射態様が異なる。図10は、メモリ性液晶の各種状態を示す模式図であり、鼓型で表した液晶ドメインの配列状態を示す。
【0004】
複数の液晶ドメインの各ヘリカル軸の平均的な方向が基板面に対してほぼ垂直となる状態をプレナー状態という。図10(a),(b)は、このプレナー状態を示している。プレナー状態のうち、図10(b)に示すように各ヘリカル軸が揃った状態を完全プレナー状態という。プレナー状態では、入射光のうちの、液晶層のねじれの向きに対応した円偏光を選択反射する。選択反射される波長λは、液晶組成物の平均屈折率nAVGと液晶組成物のピッチpの積にほぼ等しい(λ=nAVG・p)。
【0005】
ピッチpは、カイラル剤等の光学活性物質の添加量cと光学活性物質の定数HTP(Helical Twisting Power)から、p=1/(c・HTP)によって決まる。したがって、選択反射波長は、光学活性物質の種類と添加量によって調整できる。メモリ性液晶の選択反射波長が可視域外となるようにピッチを設定すれば、選択反射時に特定の色を反射することはなくなる。このとき、図10(a)に示すように、複数の液晶ドメインのヘリカル軸が平均的にはほぼ基板に対して垂直な方向を向いているものの、向きが僅かずつ異なっていると、その液晶ドメイン間にて入射光の散乱現象が発生する。この場合、やや白濁のある透明状態を呈する。
【0006】
選択反射を呈するプレナー状態に対して、複数の液晶ドメインのヘリカル軸が基板面に対してランダム方向または非垂直方向に配列したフォーカルコニック状態をとることもできる。図10(c)は、フォーカルコニック状態を示している。一般的に、フォーカルコニック状態の液晶層は全体として散乱状態を示す。選択反射時のように特定の波長の光を反射することはない。また、フォーカルコニック状態およびプレナー状態は、無電界時でも安定に存在する。よって、選択反射波長を可視域外に設定した場合には、プレナー状態では弱い散乱を含む透明状態になり、フォ−カルコニック状態では比較的強い散乱状態になる。
【0007】
また、樹脂膜に液晶層が接した際に接触面となる面に対する液晶分子の配向角度をプレチルト角という。面と液晶分子とが完全に平行になる場合のプレチルト角は0°である。プレチルト角は、液晶層に接する樹脂膜に大きく依存する。
【0008】
特許文献7には、樹脂膜の種類およびラビング処理の有無によるメモリ性液晶の状態の違いが示されている。低いプレチルト角を実現する樹脂膜にラビング処理を施さない場合、プレナー状態もフォーカルコニック状態も安定する。ただし、この場合におけるプレナー状態は、ヘリカル軸の向きに僅かなばらつきがある(図10(a)参照)。高いプレチルト角を実現する樹脂膜にラビング処理を施さない場合も同様である。また、低いプレチルト角を実現する樹脂膜にラビング処理を施した場合、フォーカルコニック状態が安定しない。すなわち、液晶をフォーカルコニック状態に変化させたとしても、プレナー状態に戻ってしまう。このプレナー状態は、液晶ドメイン間のヘリカル軸のばらつきを抑制した完全プレナー状態(図10(b)参照)である。また、高いプレチルト角を実現する樹脂膜にラビング処理を施した場合、プレナー状態もフォーカルコニック状態も安定する。このときのプレナー状態は、完全プレナー状態である。特に、特許文献7では、ラビング処理が施されたプレチルト角60°以上の樹脂膜に接するようにメモリ性液晶層を設けることにより、完全プレナー状態を発現させる液晶表示素子が開示されている。
【0009】
なお、低いプレチルト角とは、20°以下のプレチルト角を指し、高いプレチルト角とは60°以上のプレチルト角を指す。一般にプレチルト角が20〜60°の範囲の角度になる場合はほとんど知られていない。
【0010】
60°以上の高いプレチルト角を実現する樹脂膜にラビング処理を施した液晶表示素子は、完全プレナー状態を発現させた場合において、散乱を生じさせずに光を選択反射する。この液晶表示素子に、選択反射波長の一部に赤外光を含むカイラルネマチック液晶を用いることで、従来得ることができなかった高い透明性を呈する透過−散乱型のメモリ性液晶表示素子を実現することができる。選択反射波長を可視域外に設定し、完全プレナー(図10(b))とした場合には、非常に透明度の高い透明状態を得ることができ、フォ−カルコニックの散乱状態(図10(c))とのあいだで高い透過−散乱のコントラストを得られる。このように完全プレナー状態において高い透明性を呈する液晶表示装置を透明表示装置という。
【0011】
本出願人は、この透過−散乱型のメモリ性液晶表示素子の発明を特願2001−373274号として出願し、透過−散乱型の情報表示体の発明を特願2002−282562号として出願している。
【0012】
また、液晶をアイソトロピック状態から液晶状態(液晶としての性質を示す状態)に変化させたときに、液晶が最初にプレナー状態になるかフォーカルコニック状態になるかは、液晶の種類や界面となる樹脂膜の種類に依存する。プレナー状態で透明になるメモリ性液晶を、60°以上のプレチルト角を実現する樹脂膜に接するように配置し、そのメモリ性液晶をアイソトロピック状態から液晶状態に変化させるとする。従来、このような場合に最初に透明なプレナー状態になるようなメモリ性液晶は確認されていなかった。すなわち、アイソトロピック状態から液晶状態に変化したときに最初にフォーカルコニック状態になるメモリ性液晶しか確認されていなかった。
【0013】
次に、液晶表示装置の駆動法について説明をする。特許文献1では、駆動電圧の振幅の大きさによって、プレナー状態をフォーカルコニック状態に、またフォーカルコニック状態をプレナー状態にそれぞれ変化させている。後者の場合は、液晶分子が電圧印加方向にほぼ平行になるホメオトロピック状態を経由して起こすので、最も高い電圧が必要とされる。
【0014】
メモリ性液晶では、一連の印加電圧波形の実効値が直接電圧消去後の状態を決定するのではなく、電圧消去後の表示は、直前に印加された電圧パルスの印加時間および振幅値に依存する。
【0015】
図11は、印加電圧と電圧印加後の液晶の状態(反射率)との関係の例を示す。反射率が高くなっている状態はプレナー状態であり、反射率が低くなっている状態はフォーカルコニック状態である。メモリ性液晶を用いて線順次駆動を行う場合に、メモリ性液晶をプレナー状態にするための電圧をVPとする。また、フォーカルコニック状態にするための電圧をVFとする。この場合、Vr=(VP+VF)/2,Vc=(VP−VF)/2となるような電圧Vr,Vcを用いて駆動する。ただし、電圧を印加しても表示状態が変わらない上限電圧Vsよりも電圧Vcが低くなるように、電圧VP,VF,Vr,Vcを定める。
【0016】
駆動の際、選択行の行電極をVrに設定し、非選択行の行電極を0Vに設定する。また、ある行電極が選択された場合、プレナー状態に変化させるべき画素が存在する列の列電極を−Vcに設定し、フォーカルコニック状態に変化させるべき画素が存在する列の列電極をVcに設定する。すると、図12に示すように、選択行の画素のうち、プレナー状態に変化すべき画素にはVr+Vc(すなわちVP)が印加される。また、フォーカルコニック状態に変化させるべき画素にはVr−Vc(すなわちVF)が印加される。この結果、選択行の各画素は、プレナー状態またはフォーカルコニック状態に変化する。そして、各行を選択していくことにより所望の画像を表示する。なお、非選択行の画素にはVcまたは−Vcが印加されるが、Vc<Vsであるので非選択行の表示は変化しない。
【0017】
次に、透明状態を呈さない液晶表示装置の電極間隔について説明する。図13は、電極の配置状況を示す説明図である。マトリクス表示を行う液晶表示装置では、一方の基板上に、間隔を開けて行電極101が配置される。もう一方の基板上にも、間隔を開けて列電極102が配置される。以下、この間隔を電極間隔と記す。また、同一基板上で隣り合う電極同士の間の領域を線間領域と記す。透明にならない液晶(可視域の選択反射光を反射する液晶)を用いる場合、フォーカルコニック状態の画素に挟まれる線間領域105がプレナー状態になっていると、その線間領域105で選択反射が生じて表示のコントラスト比が低下してしまう。
【0018】
また、メモリ性液晶は、外力が加えられるとプレナー状態に変化する性質を有する。従って、指などで液晶表示装置に触れると、その領域がプレナー状態に変化することがある。その領域をフォーカルコニック状態に戻す場合、画素の領域は電圧VFを印加することでフォーカルコニック状態に戻すことができる。一方、線間領域105では液晶が電極に挟まれていないので、電圧VFを印加できない。
【0019】
そこで、フォーカルコニック状態に戻してコントラスト比の低下を防止するため、電極間隔が所定の値になるように定めていた。図14は、セルギャップ(行電極101と列電極102との間の間隔)と電極間隔との関係を示す説明図である。図14に示すように、セルギャップがd(μm)である場合、電極間隔a(μm)は1.0・d〜4.0・dとなるように定められる。このように電極間隔を定めれば、線間領域105に隣接する画素に電圧VPを印加したときに、電極の近傍領域106に漏れ電界が生じ、近傍領域106はフォーカルコニック状態に変化する。そして、電極間隔a(μm)が1.0・d〜4.0・dの範囲になるように定められていれば、近傍領域106のフォーカルコニック状態が線間領域105に波及し、線間領域105の液晶がフォーカルコニック状態になる。従って、電極に挟まれていない線間領域105の液晶をフォーカルコニック状態に戻すことができる。なお、画素に電圧VPを印加した場合、その画素はプレナー状態になる。このように電極間隔を定める液晶表示装置の構成については、例えば特許文献8に記載されている。
【0020】
また、有機化学の分野において、紫外線を照射してアルキル基を切断する技術が知られている。紫外線を照射してアルキル基を切断する技術は、例えば、フィルム上に透明電極を配置した液晶パネルに利用されている。フィルムにはアルキル基が存在し、このアルキル基によって、フィルムへのシール材の接着が困難になっていた。シール材の印刷部分に紫外線を照射することで、フィルムにシール材を接着しやすくする技術が利用されている。なお、本出願において特許を受けようとする発明は、紫外線を照射してアルキル基を切断する技術についての文献調査を行わずに発明されたものである。
【0021】
【特許文献1】
米国特許第3936815号明細書
【0022】
【特許文献2】
米国特許第4097127号明細書
【0023】
【特許文献3】
米国特許出願公開第2002/0036614A1明細書
【0024】
【特許文献4】
米国特許出願公開第2002/0047819A1明細書
【0025】
【特許文献5】
米国特許出願公開第2002/0122148A1明細書
【0026】
【特許文献6】
米国特許出願公開第2002/0126229A1明細書
【0027】
【特許文献7】
特開2001−343648号公報(段落0008,0009,0017−0025、第1図)
【0028】
【特許文献8】
特開2001−337314号公報(段落0027−0044)
【0029】
【非特許文献1】
George H.Heilmeier, Joel E.Goldmacher et al, Appl. Phys. Lett., 13(1968),132
【0030】
【発明が解決しようとする課題】
透明表示装置の使用態様として、透明なガラス板の一部に配置する使用態様が考えられる。この場合、各画素をプレナー状態にしておけば、ガラス板全体を透明にすることができる。また、画素をフォーカルコニック状態にしておけば、透明なガラス板の一部に所望の情報を表示することができる。また、複数の透明表示装置を連接する使用態様も考えられる。しかし、従来の液晶表示装置と同様に電極間隔を定めると、線間領域がフォーカルコニック状態になる。そのため、透明表示装置が透明状態であるときであっても、透明表示装置の画素がグリッドとして認識されてしまう。すなわち、図15に示すように、ガラス板111の一部として透明表示装置112を連接して、ガラス板111全体を透明にしておく場合であっても、透明表示装置112のグリッドが観察者に認識されてしまう。美観の点を考慮すると、透明表示装置112に情報を表示しない場合には、グリッドも認識されず、ガラス板111全体が透明に見えることが好ましい。
【0031】
また、液晶の透明状態と散乱状態を利用した液晶表示装置の態様として、片側の基板のみを透明基板とする場合も考えられる。この場合においても、グリッドが認識されにくくすることが好ましい。
【0032】
そこで、本発明は、線間領域のメモリ性液晶をプレナー状態またはプレナー状態に近い状態に維持し、グリッドが認識されにくくすることができる液晶表示装置およびその液晶表示装置の製造方法を提供することを目的とする。
【0033】
【課題を解決するための手段】
本発明の態様1は、同一の透明基板上で隣接する透明電極の間隔をa(μm)、予め定めたセルギャップをd(μm)としたときに、4.0・d≦a≦15.0・dを満足するように、二枚の透明基板上にそれぞれ透明電極を設け、各透明基板の透明電極側の面に、メモリ性液晶に60°以上のプレチルト角を与える配向能を有する樹脂膜を形成し、各透明基板の透明電極側の面を対向させ、選択反射光の波長に可視域外の波長を含むメモリ性液晶を透明基板間に配置し、メモリ性液晶をアイソトロピック状態に変化させ、対向する透明電極間に存在するメモリ性液晶に、20V/μm以上であって、対向する透明電極間に短絡を生じさせる電圧よりも低い電圧を印加しながら、メモリ性液晶を徐冷し、メモリ性液晶がアイソトロピック状態から相転移した後に電圧の印加を停止することにより、同一基板上で隣り合う電極同士の間の領域のメモリ性液晶を含むメモリ性液晶全体をプレナー状態に変化させることを特徴とする液晶表示装置の製造方法を提供する。
【0038】
本発明の態様2は、同一の透明基板上で隣接する透明電極の間隔をa(μm)、予め定めたセルギャップをd(μm)、一つの透明電極の幅をw(mm)としたときに、4.0・d≦a≦1000・w/2を満足するように、二枚の透明基板上にそれぞれ透明電極を設け、各透明基板の透明電極側の面に、メモリ性液晶に60°以上のプレチルト角を与える配向能を有する樹脂膜を形成し、各透明基板の透明電極側の面を対向させ、選択反射光の波長に可視域外の波長を含むメモリ性液晶を透明基板間に配置し、対向させた透明基板を介してメモリ性液晶に加圧することにより、同一基板上で隣り合う電極同士の間の領域のメモリ性液晶を含むメモリ性液晶全体メモリ性液晶をプレナー状態に変化させることを特徴とする液晶表示装置の製造方法を提供する。
【0039】
本発明の態様3は、同一の透明基板上で隣接する透明電極の間隔をa(μm)、予め定めたセルギャップをd(μm)、一つの透明電極の幅をw(mm)としたときに、4.0・d≦a≦1000・w/2を満足するように、二枚の透明基板上にそれぞれ透明電極を設け、各透明基板の透明電極側の面に、メモリ性液晶に60°以上のプレチルト角を与える配向能を有する樹脂膜を形成し、各透明基板の透明電極側の面を対向させ、選択反射光の波長に可視域外の波長を含むメモリ性液晶を透明基板間に配置し、対向させた透明基板の外側から、メモリ性液晶をプレナー状態に変化させるための電圧を印加することにより、同一基板上で隣り合う電極同士の間の領域のメモリ性液晶を含むメモリ性液晶全体をプレナー状態に変化させることを特徴とする液晶表示装置の製造方法を提供する。
【0040】
本発明の態様4は、透明基板上に複数の透明電極を配置し、第2の基板上に第2の電極を配置し、透明基板と第2の基板の表面に、カイラルネマチック液晶に60°以上のプレチルト角を与える配向能を有する樹脂膜を形成し、隣接する透明電極の間の領域の樹脂膜に紫外線を照射し、隣接する第2の電極の間の領域の樹脂膜に紫外線を照射することにより、隣接する透明電極の間の領域の樹脂膜および隣接する第2の電極の間の領域の樹脂膜の配向能を、カイラルネマチック液晶に与えるプレチルト角が20°以下になるように変化させ、透明基板と第2の基板との間のセルギャップがd(μm)となるように対向配置し、その後、透明基板と第2の基板の間に少なくとも2以上の安定した光学状態を有するカイラルネマチック液晶を設ける液晶表示装置の製造方法を提供する。
【0041】
本発明の態様5は、第2の基板を透明とし、第2の基板上の第2の電極を透明とする液晶表示装置の製造方法を提供する。
【0042】
本発明の態様6は、カイラルネマチック液晶の選択反射波長域に可視外域の波長を含む液晶表示装置の製造方法を提供する。
【0043】
本発明の態様7は、一つの透明電極の幅をw(mm)とし、透明基板上の隣接する透明電極の間隔をa(μm)とすると、4.0・d≦a≦1000・w/2を満足する液晶表示装置の製造方法を提供する。
【0044】
本発明の態様8は、透明基板上に複数の透明電極を配置し、第2の基板上に第2の電極を配置し、透明基板と第2の基板のそれぞれの内面の透明電極または第2の電極の位置に、カイラルネマチック液晶に60°以上のプレチルト角を与える配向能を有する第1の樹脂膜を形成し、隣接する透明電極の間の領域に、カイラルネマチック液晶に20°以下のプレチルト角を与える配向能を有する第2の樹脂膜を形成し、第1の樹脂膜と第2の樹脂膜にラビング処理を施し、透明基板と第2の基板のセルギャップをd(μm)となるように対向配置し、その後、透明基板と第2の基板の間に少なくとも2以上の安定した光学状態を有するカイラルネマチック液晶層を封入する液晶表示装置の製造方法を提供する。
【0046】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
[実施の形態1]まず、第一の実施の形態について説明する。図1は、本発明による液晶表示装置の例を示す模式的断面図である。また、図2は、この液晶表示装置の電極の配置状態を示す説明図である。なお、図2では、図1に示す高分子薄膜7を省略して示している。
【0047】
行電極側基板1および列電極側基板2は、透明基板(例えば、ガラス基板)である。列電極側基板2上には、間隔を開けて複数の列電極4が配置される。同様に、行電極側基板1上にも間隔を開けて複数の行電極3が配置される。ただし、図1,2では、一本の行電極のみを示している。行電極3および列電極4は、互いに直交するように設けられる。
【0048】
図2に示すように、各列電極4の間の電極間隔をa(μm)とする。この電極間隔a(μm)は、列電極と行電極との間隔(セルギャップ)をd(μm)としたときに、4.0・d≦a≦15.0・dを満足するように定められる。4.0・d<a≦15.0・dを満足するように定めてもよい。また、図2では、行電極間の線間領域を示していないが、各行電極の間の電極間隔(a(μm)とする)も、列電極の電極間隔と同様に定めればよい。
【0049】
行電極側基板1および列電極側基板2の間には、メモリ性液晶6が配置される。メモリ性液晶6は、プレナー状態のときに透明状態を呈する液晶である。メモリ性液晶6として、例えば、入射光が選択反射されて選択反射光が生じるプレナー状態と、入射光が散乱するフォーカルコニック状態とを呈し、選択反射光の波長に赤外域の波長が含まれるカイラルネマチック液晶が用いられる。以下、このようなカイラルネマチック液晶をメモリ性液晶6として用いる場合を例に説明する。このカイラルネマチック液晶の選択反射光の中心波長は、0.7μm以上1.2μm以下であることが好ましい。選択反射光の中心波長がこの範囲内にあれば、フォーカルコニック状態の散乱性が高く、より高い透過−散乱のコントラストを得ることができる。
【0050】
行電極3および列電極4には、それぞれ高分子薄膜(樹脂膜)7が設けられる。高分子薄膜7は、基板間に挟持されるメモリ性液晶6に接するように設けられる。高分子薄膜7は、60°以上のプレチルト角を実現する樹脂膜である。80°以上のプレチルト角を実現する樹脂膜であればさらに好ましい。高分子薄膜7は、硬化した樹脂として各基板上に固着される。硬化した樹脂とは、例えば、ガラス転移温度が少なくとも60℃以上になっている状態の樹脂である。ガラス転移温度は60℃以上になっていればよいが、ガラス転移温度が100℃以上になっていればさらに好ましい。60°以上のプレチルト角を実現する樹脂膜は、例えばJSR株式会社製の品番「JALS−862−R3」のポリイミドを硬化させることによって実現させることができる。高分子薄膜7は、60°以上のプレチルト角を実現できるものであれば、他の樹脂によって形成されてもよい。
【0051】
樹脂膜7には、ラビング処理を施すことが好ましい。樹脂膜7にラビング処理を施さない場合、樹脂膜7に挟まれる液晶は、プレナー状態のときに、完全プレナー状態ではなく液晶ドメイン間のヘリカル軸がわずかにずれた状態になる(図10(a))。この結果、斜め方向から液晶表示装置を観察した場合、透過率が若干低下する。一方、樹脂膜7にラビング処理を施した場合、樹脂膜7に挟まれる液晶は、プレナー状態に変化させると、完全プレナー状態で安定する。この場合、斜め方向から液晶表示装置を観察しても透明状態として視認される。従って、樹脂膜7にラビング処理を施すことが好ましい。特に、行電極側基板1と列電極側基板2の双方の樹脂膜7に対してラビング処理を施すことが最も好ましい。また、液晶表示装置が垂直入射光のみを使用する場合には、ラビング処理を施さなくてもよい。例えば、液晶表示装置を光学シャッタとして用いる場合には、ラビング処理を施さなくてもよい。以下の説明では、各基板の樹脂膜7にそれぞれラビング処理を行ったものとして説明する。
【0052】
メモリ性液晶6は、液晶表示装置作製時に完全プレナー状態にされる。液晶表示装置作成時において完全プレナーにされるのは、各画素の位置(各行電極3と各列電極4の交差部分)に配置されたメモリ性液晶だけではない。各列電極4の線間領域21および各行電極3の線間領域(図1,2において図示せず)に配置されたメモリ性液晶も液晶表示装置作成時に完全プレナー状態にされる。各線間領域に配置されたメモリ性液晶を完全プレナー状態にする液晶表示装置の製造方法については後述する。
【0053】
行電極3と樹脂膜7との間または列電極4と樹脂膜7との間に、金属酸化物によって形成される電気絶縁層を設けてもよい。
【0054】
また、行電極3と列電極4との間の間隔(セルギャップ)はスペーサ等で保持し、2μm以上6μm以下とすることが好ましい。特に4μmとすることが好ましい。セルギャップが小さすぎると表示のコントラスト比が低下し、大きすぎると駆動電圧が上昇し、またプレナー状態での液晶配向に乱れが生じ透明性が若干損なわれることがあるからである。
【0055】
また、液晶表示装置は、その外周部に沿って、メモリ性液晶6を封止するためシール材5を備える。シール材5として、硬化後に透明になるシール材を用いることが好ましい。硬化後に透明になるシール材としては、例えば、エポキシ系、アクリル系、ウレタン系、エン−チオール系またはそれらの混合系のシール材がある。シール材は、例えば熱硬化や光硬化等の方式により硬化する。
【0056】
既に説明したように、メモリ性液晶6は、液晶表示装置作製時に完全プレナー状態にされている。液晶表示装置作製後に液晶表示装置を駆動した際の液晶の状態について説明する。
【0057】
まず、画素部分、すなわち行電極と列電極とが交差した部分における液晶の状態について説明する。駆動時において、行電極の電位を設定する行電極ドライバ(図示せず。)は、各行電極3を一本ずつ選択し、選択した行電極の電位をVrとし、非選択行の行電極の電位を0Vに設定する。また、列電極の電位を設定する列電極ドライバ(図示せず。)は、個々の行が選択されると、各列電極の電位をVc,−Vcのいずれかに設定する。この結果、選択行の各画素にはVr+Vc(すなわちVP)またはVr−Vc(すなわちVF)の電圧が印加される。そして、選択行の各画素は、印加電圧に応じて完全プレナー状態(透明状態)またはフォーカルコニック状態(散乱状態)を呈する。このように、画素部分の液晶は、初期状態(液晶表示装置作製時)には完全プレナーであるが、駆動時には印加電圧に応じて状態が変化する。
【0058】
次に、各列電極4の線間領域21に位置するメモリ性液晶の状態について説明する。図2に示す行電極3が選択され、行電極3の電位がVrに設定されているとする。このとき、図2に示す二つの列電極4の電位はVcまたは−Vcに設定されている。この場合、線間領域では一方の基板側にしか透明電極が存在しないため、線間領域に配置されたメモリ性液晶にはメモリ性液晶をフォーカルコニック状態に変化させる電圧が印加されることはない。従って、線間領域に配置されたメモリ性液晶は、フォーカルコニック状態に変化しない。よって、線間領域のメモリ性液晶は、液晶表示装置作製時に完全プレナー状態(透明状態)にされ、駆動時に散乱状態に変化することはない。
【0059】
なお、図2に示す行電極3の電位がVrに設定されている場合、線間領域に配置されたメモリ性液晶に全く電圧が印加されないわけではない。また、線間領域に配置されたメモリ性液晶において、フォーカルコニック状態に変化し始める電圧(しきい電圧)が低い部分が存在している場合もある。そのため、行電極3の電位をVrに設定した際、線間領域のメモリ性液晶の一部がフォーカルコニック状態に近づく場合も生じうる。しかし、線間領域のメモリ性液晶において、フォーカルコニック状態に変化し始めるしきい電圧が低い部分が存在したとしても、そのようなメモリ性液晶はわずかである。従って、行電極3の電位がVrに設定されたとしても、線間領域全体が散乱状態に変化することはなく、液晶表示装置作製時に設定された完全プレナー状態(透明状態)に近い状態に維持される。
【0060】
ただし、図2に示す列電極4の電位が−Vcに設定されると、列電極4と行電極3との間に電圧VPが印加される。この場合、列電極4の近傍11に漏れ電界が生じ、列電極4の近傍11の液晶はフォーカルコニック状態に変化する。しかし、電極間隔a(μm)をセルギャップの4倍以上に設定しているので、近傍11のフォーカルコニック状態が線間領域に波及することはない。
【0061】
また、ここでは、図2に示す行電極3が選択されている場合を例に説明した。図2に示す行電極3が選択されていない場合、行電極3の電位は0Vに設定されるので、列電極4の線間領域には電圧が印加されない。従って、列電極4の線間領域のメモリ性液晶はフォーカルコニック状態に変化しない。
【0062】
同様に、行電極の線間領域(図1,2において図示せず。)のメモリ性液晶もフォーカルコニック状態に変化しない。各列電極の電位はVcまたは−Vcに設定される。しかし、行電極の線間領域では、列電極側基板にしか透明電極が存在しない。そのため、行電極の線間領域でも、メモリ性液晶はフォーカルコニック状態に変化しない。
【0063】
以上のように、列電極の線間領域および行電極の線間領域に存在するメモリ性液晶は、液晶表示装置作製時に完全プレナー状態にされ、その後フォーカルコニック状態に変化しない。従って、各画素を完全プレナー状態にして、表示領域全体を透明にした場合に、図15に示すようなグリッドを認識されにくくすることができる。
【0064】
次に、本実施の形態の液晶表示装置の製造方法について説明する。図3は、本発明による製造方法の一例を示す流れ図である。
【0065】
まず、行電極側基板、列電極側基板になるそれぞれの透明基板に、ストライプ状の透明電極を設ける(ステップS1)。この透明電極は、例えばITO(Indium Tin Oxide)で形成される。透明電極を設ける際には、予め液晶表示装置のセルギャップの値(d(μm))を定めておき、そのセルギャップd(μm)に対して電極間隔が所定の関係を満たすように透明電極を設ける。すなわち、列電極側基板2になる透明基板に列電極4を設ける場合には、列電極4の電極間隔が4.0・d以上15.0・d以下の範囲に収まるように各列電極4を配置する。同様に、行電極側基板1になる透明基板に行電極3を設ける場合には、行電極3の電極間隔が4.0・d以上15.0・d以下の範囲に収まるように各行電極3を配置する。
【0066】
なお、ステップS1では、各透明電極の電位を設定する駆動ドライバと各透明電極とを接続する配線も設ける。
【0067】
続いて、それぞれの透明基板上に樹脂膜を形成する(ステップS2)。ステップS2では、例えば、各透明基板上にポリイミドを印刷し、各透明基板を焼成してポリイミドを基板上に固着させる。このポリイミドは、液晶分子のプレチルト角が60°以上になるような樹脂膜を形成するためのものである。なお、透明基板上にポリイミドを配置する際、印刷ではなく、スピンコート法によってポリイミドを配置してもよい。
【0068】
続いて、行電極側基板1および列電極側基板2の樹脂膜を設けた面に対して、ラビング処理を行う(ステップS3)。すなわち、形成された樹脂膜7の表面を、布等で一定方向に擦る処理を行う。ラビング方向は、例えば、それぞれのストライプ電極が交差交差するように二枚の基板を重ね合わせた際、各基板におけるラビング方向が対向するように定める。
【0069】
ラビング処理後、二枚の透明基板から空セルを作製し、その空セルに液晶を注入する(ステップS4)。ステップS4では、透明基板の外周部のうち液晶注入孔となる箇所以外にシール材(硬化後透明になるシール材)を印刷する。次に、一方の透明基板を下側に配置し、スペーサを散布してからもう一方の基板を重ね合わせ、シール材を硬化させる。このとき、予め定めたセルギャップd(μm)と等しい直径のスペーサを用いる。また、各透明基板を重ね合わせる際には、行電極と列電極とが直交するように重ね合わせる。この結果得られる空セルに対し、メモリ性液晶(プレナー状態のときに透明状態を呈する液晶)6を注入し、液晶注入孔を封止する(ステップS4)。
【0070】
ステップS4において、液晶セル内に注入され、線間領域に配置されたメモリ性液晶は、完全プレナー状態になっているとは限らない。そこで、以下のステップS5以降の処理を行い、線間領域に配置されたメモリ性液晶を完全プレナー状態に変化させる。
【0071】
ステップS4の後、液晶セル内のメモリ性液晶6をアイソトロピック状態に変化させる(ステップS5)。ステップS5では、メモリ性液晶6のクリアリングポイントよりも高い温度環境下に液晶セルを配置することによって、液晶の状態をアイソトロピック状態に変化させる。液晶は、温度に応じて、液晶としての性質を示す状態とアイソトロピック状態とに変化する。クリアリングポイントとは、液晶としての性質を示す状態を維持する温度とアイソトロピック状態を維持する温度との境界温度である。一般に、クリアリングポイントはTcと表される。
【0072】
液晶の温度をTcよりも高くし、液晶をアイソトロピック状態にしたならば、各行電極3と各列電極4の電位を設定して、行電極と列電極との間のメモリ性液晶6に電圧を印加する。このとき、メモリ性液晶6に対して20V/μm以上の電圧を印加する。すなわち、液晶層1μmあたりの印加電圧が20V以上になるようにする。メモリ性液晶6に対する印加電圧は、行電極および列電極間に短絡を生じせしめる電圧よりも低い電圧になるようにする。例えば、メモリ性液晶6に対する印加電圧の最大値を25V/μmに定める。すなわち、メモリ性液晶6に対する印加電圧を、20V/μm以上25V/μm以下の電圧として定める。
【0073】
例えば、セルギャップが4μmである場合、行電極と列電極との間の液晶に80V以上100V以下の電圧を印加すればよい。なお、電極と樹脂膜との間に絶縁膜を設けた場合には、列電極と行電極との間に、絶縁膜による電圧降下分だけ高い電圧を発生させてもよい。例えば、セルギャップが4μmであっても、絶縁膜を設けた場合には、行電極と列電極との間に180Vまでの電圧を発生させてもよい。絶縁膜において電圧降下が生じるので、短絡が発生することはない。
【0074】
メモリ性液晶6に、20V/μm以上であって、短絡を生じせしめる電圧よりも低い電圧を印加したならば、その電圧を印加したままメモリ性液晶6をTcよりも低い温度に徐冷する(ステップS6)。メモリ性液晶の温度がTcよりも低くなったならば、画素領域12に存在するメモリ性液晶への電圧印加を急激に遮断する(ステップS7)。
【0075】
アイソトロピック状態のメモリ性液晶6をTcより低い温度に徐冷すると、メモリ性液晶6はアイソトロピック状態から相転移して、液晶としての性質を示す。図4は、このときのメモリ性液晶の状態を示す説明図である。図4では、行電極と列電極との間の画素領域12を斜線で示した。ステップS6,7において、この画素領域12の液晶に20V/μm以上の電圧を印加しながら、Tcより低い温度に徐冷した後、電圧印加を急激に遮断すると、画素領域12の液晶は完全プレナー状態になる。画素領域12の液晶では、20V/μm以上の電圧が印加されているときに、液晶分子の長軸方向が電界方向とほぼ平行な状態になる。この液晶は、印加電圧が急激に遮断されることで完全プレナー状態になる。また、線間領域21に存在する液晶には、画素領域12と同一の20V/μm以上の電圧は印加されない。しかし、液晶を高温状態とすることで液晶の配向変化のしきい値電界強度を低下させることができる。そのため、4.0・d≦a≦15.0・dを満足するa(μm)を電極間隔と定めた場合には、画素領域12において液晶分子の長軸方向が電界方向とほぼ平行な状態になると、その状態が線間領域21にも波及する。すなわち、線間領域21に存在する液晶も画素領域12に存在する液晶と同様の状態(液晶分子の長軸方向が電界方向とほぼ平行な状態)になる。そして、この状態のときに印加電圧を急激に遮断すると、画素となる箇所だけでなく線間領域も含めて、液晶全体がプレナー状態に変化する。
【0076】
ただし、電極間隔a(μm)を15.0・d(μm)よりも大きく定めると、間隔が広すぎて、電圧印加時に液晶分子の長軸方向を電界方向とほぼ平行な状態に変化させていく波及効果が及びにくくなる。そのため、電極間隔の上限を15.0・d(μm)と定める。
【0077】
なお、徐冷の際、液晶温度がTcより低くなる前に、画素領域12における液晶分子の長軸方向は電界方向とほぼ平行な状態になっていて、この状態が線間領域21にも波及していると考えられる。
【0078】
また、20V/μm以上の電圧を印加する際、画素領域12の近傍には、図14に示す場合と同様の漏れ電界が生じていると考えられれる。しかし、液晶をフォーカルコニック状態に変化させる漏れ電界の効果よりも、液晶分子の長軸方向を電界方向とほぼ平行な状態に変化させていく波及効果の方が大きい。そのため、徐冷の際、線間領域21において液晶の一部がフォーカルコニック状態になることはない。
【0079】
以上のように、画素領域12および線間領域21において、液晶分子の長軸方向が電界方向とほぼ平行な状態に変化し、その後、急激に電圧印加を遮断することで、メモリ性液晶は完全プレナー状態に変化する。従って、電圧印加を停止した時点で、線間領域も含む表示領域全体が透明な状態となる。この結果、図15に示すようなグリッドが認識されにくくなる。
【0080】
プレナー状態で透明になるメモリ性液晶を、60°以上のプレチルト角を実現する樹脂膜に接するように配置し、そのメモリ性液晶をアイソトロピック状態から液晶状態に変化させたときに、完全プレナー状態になる液晶は従来確認されていなかった。しかし、本発明の製造方法のように、電圧を印加しつつアイソトロピック状態から徐冷することで、画素領域12の液晶を、液晶分子の長軸方向が電界方向とほぼ平行になる状態とし、その後、電圧印加を急激に遮断して完全プレナー状態にすることができる。そして、電極間隔a(μm)をセルギャップの15倍以下に定めているので、画素領域12において液晶分子の長軸方向が電界方向とほぼ平行な状態になった際、その状態を線間領域21に波及させることができる。従って、印加電圧を急激に遮断したときに、画素領域12に存在する液晶だけでなく、線間領域21に存在する液晶も、完全プレナーに変化させることができる。
【0081】
そして、既に説明したように、4.0・d≦aとしているので、この液晶表示装置を駆動した場合に線間領域に配置されたメモリ性液晶はフォーカルコニック状態に変化しない。従って、線間領域では、メモリ性液晶が完全プレナー状態(透明状態)に近い状態に維持される。その結果、グリッドを認識しにくくすることができる。
【0082】
[実施の形態2]次に、第二の実施の形態について説明する。第二の実施の形態による液晶表示装置の構成は、図1に示す場合と同様である。ただし、電極間隔a(μm)の範囲が異なる。第一の実施の形態では、セルギャップをd(μm)としたときに、4.0・d≦a≦15.0・dを満足する値として電極間隔aを定めた。しかし、本実施の形態では、15.0・d以下という制限を設けない。、その代わりに、ある透明電極の両側の線間領域の幅が、その透明電極の幅の1/2以下になるようにし、その関係がそれぞれの透明電極で成立するようにする。すなわち、セルギャップをd(μm)、任意の透明電極の幅をw(mm)とし、その透明電極とその透明電極に隣接する透明電極との電極間隔a(μm)としたときに、4.0・d≦a≦1000・w/2を満足する値として電極間隔a(μm)を定める。電極間隔a(μm)の上限を、電極の幅の1/2よりも大きくすると、画素間の間隔が広くなり、表示が粗くなってしまうからである。なお、各透明電極の幅は同一であることが一般的であるので、以下の説明では、各透明電極の幅がいずれもw(mm)であるとする。
【0083】
また、本実施の形態においても、各列電極4の線間領域および各行電極3の線間領域に配置されたメモリ性液晶は、液晶表示装置作製時に完全プレナー状態にされ、以後、完全プレナー状態を維持する。
【0084】
本実施の形態の液晶表示装置を駆動した際の液晶の状態は、図1に示す場合と同様である。すなわち、各画素の位置に配置されるメモリ性液晶は、印加電圧(VPまたはVF)に応じて完全プレナー状態またはフォーカルコニック状態に変化する。また、線間領域に配置されるメモリ性液晶は、一方の基板側にしか透明電極が存在しないので、液晶表示装置製造時以降、フォーカルコニック状態に変化しない。また、電極間隔a(μm)はセルギャップの4倍以上に設定されている。従って、透明電極の近傍の液晶が漏れ電界によりフォーカルコニック状態に変化したとしても、透明電極近傍のフォーカルコニック状態が線間領域に波及することはない。
【0085】
次に、本実施の形態の液晶表示装置の製造方法について説明する。液晶セルを作製するまでの処理は、上述のステップS1〜S4までの処理と同様である。ただし、ステップS1において、電極を透明基板に配置する際には、4.0・d≦a≦1000・w/2を満足する値として電極間隔a(μm)を定める。ここでd(μm)はセルギャップ、w(mm)は1本の電極の幅である。ステップS4において、液晶セル内に注入され線間領域に配置されたメモリ性液晶は、完全プレナー状態になっているとは限らない。そこで、以下に示す方法で、線間領域に配置された液晶を完全プレナー状態に変化させる。
【0086】
液晶セルを作製したならば、その液晶セルの外部からメモリ性液晶6に対し外力を加える。メモリ性液晶は、電圧が印加されなくても外力が加えられればプレナー状態に変化する性質がある。従って、メモリ性液晶6が配置された各領域に対し一定の外力を加えれば、線間領域に配置された液晶を含むメモリ性液晶6の層全体をプレナー状態に変化させることができる。なお、プレチルト角は60°以上であり、各基板の樹脂膜にはラビング処理が施されているので、メモリ性液晶6は完全プレナー状態に変化する。
【0087】
図5は、液晶セルに一定の外力を加える方法の例を示す説明図である。平板31から所定の高さにローラ32を設ける。この平板31上に液晶セル33を配置して、ローラ32の下を通過させる。ローラ32の高さは、平板31との間に液晶セルを配置したときに、メモリ性液晶をプレナーに変化させる力を加える高さに設定する。ローラ32と平板31との間を液晶セル33が通過すると、ローラ32は透明基板を介して液晶セル33内のメモリ性液晶を端の領域から順に加圧する。液晶セル33は、ローラ32によって一定の力を加えられ、線間領域に配置された液晶を含むメモリ性液晶6の層全体がプレナー状態になる。
【0088】
外力を加えるのではなく、液晶セルの透明基板の外側から電圧を印加することによってメモリ性液晶をプレナー状態に変化させてもよい。図6は、液晶セルの透明基板の外側から電圧を印加する状態を示す説明図である。図6では、図1と同じ構成部を、図1と同様の符号で示している。一対の電極35は、二枚の透明基板1,2の外側から液晶セルに対して電圧を印加する。この電圧の値は、線間領域に配置されたメモリ性液晶をプレナー状態に変化させる電圧に、透明基板1,2による電圧降下相当の電圧を加算した値である。このような電圧を印加することによって、線間領域に配置されたメモリ性液晶をプレナー状態にすることができる。プレチルト角は60°以上であり、各基板の樹脂膜にはラビング処理が施されているので、メモリ性液晶6は完全プレナー状態に変化する。
【0089】
第一の実施の形態で示した製造方法では、液晶を高温状態ととし、20V/μm以上の高電圧を印加することで画素領域における液晶分子の長軸方向を電界方向とほぼ平行な状態とした。そして、この状態が線間領域にも波及するので、電圧印加を遮断したときに、画素領域および線間領域の液晶を完全プレナー状態にすることができた。それに対し、本実施の形態では、透明基板を介してメモリ性液晶を加圧したり、あるいは、透明基板の外側からメモリ性液晶に電圧を加える。この場合、線間領域のメモリ性液晶は、加圧や電圧印加によって周囲の状態とは無関係に完全プレナー状態になる。従って、電極間隔a(μm)の上限をセルギャップの15倍と定める必要はない。ただし、電極間隔が電極の幅の1/2を越えると表示が粗くなるので、電極間隔の上限を電極の側の1/2とする。
【0090】
本製造方法によって製造した液晶表示装置を駆動した場合、線間領域に配置されたメモリ性液晶はフォーカルコニック状態に変化しない。従って、線間領域では、メモリ性液晶が完全プレナー状態(透明状態)に近い状態に維持される。その結果、グリッドを認識しにくくすることができる。
【0091】
なお、第二の実施の形態においても、第一の実施の形態と同様、液晶表示装置が垂直入射光のみを使用する場合にはラビング処理を施さなくてもよい。
【0092】
[実施の形態3]液晶分子のプレチルト角を60°以上にすることができる樹脂膜の化学構造については、明らかになっていない。本発明者は、液晶分子を垂直に配向させることができるシランカップリング材に基づいて、60°以上のプレチルト角を実現できる樹脂膜の表面状態を推定した。
【0093】
液晶分子を垂直に配向させることが可能なシランカップリング材の例として、「R−Si(OH)3」、「R,R’−Si(OH)2」等がある。R,R’の構成は「CH3(CH2)n−」である(ただし、nは6〜22程度)。なお、「R−Si(OH)3」は、「R−Si(OCH3)3」や「R−Si(OH2CH3)3」を加水分解して生じる。また、「R,R’−Si(OH)2」は、「R,R’−Si(OCH3)2」や「R,R’−Si(OH2CH3)2」を加水分解して生じる。
【0094】
ポリイミドには、ジアミンやピロメリット酸のような無水酸化物が含まれている。
【0095】
垂直配向可能なシランカップリング材の構造より、ポリイミドに含まれるジアミンの一部は、長鎖アルキル基を有していると推定される。そして、長鎖アルキル基によって、液晶分子が界面に対して高角度(60°以上)をなすように拘束されるため、プレチルト角が高くなると考えられる。なお、この界面にラビング処理を施すと、界面に対して高角度をなすように配列した液晶分子が平坦な面を形成し、その結果液晶ドメインのヘリカル軸が揃って完全プレナー状態を呈すると推定される。本発明者は以上の知見に基づき、本発明の第三の実施の形態を導いた。
【0096】
本発明の第三の実施の形態における液晶表示装置の構成は、図1に示す場合と同様である。ただし、第二の実施の形態と同様に、セルギャップをd(μm)とし、任意の透明電極の幅をw(mm)とし、その透明電極とその透明電極に隣接する透明電極との電極間隔a(μm)としたときに、4.0・d≦a≦1000・w/2を満足する値として電極間隔a(μm)を定める。なお、以下の説明では、各透明電極の幅がいずれもw(mm)であるとする。また、行電極側基板1および列電極側基板2において、線間領域に位置する樹脂膜7は、紫外線を照射される。すると、線間領域の樹脂膜の表面に存在するアルキル基は切断される。従って、線間領域の樹脂膜に接する液晶分子はアルキル基によって拘束されなくなる。その結果、線間領域の樹脂膜と液晶層との界面において、プレチルト角は20°以下になる。よって、紫外線照射後の樹脂膜にラビング処理を施せば、ラビング配向面を有し20°以下のプレチルト角を実現する樹脂膜を形成することができる。
【0097】
ラビング配向面を有し20°以下のプレチルト角を実現する樹脂膜に接するメモリ性液晶は、フォーカルコニック状態が不安定になり、完全プレナー状態を保とうとする。すなわち、仮にメモリ性液晶をフォーカルコニック状態に変化させる電圧が印加されたとしても、その電圧印加が停止されればメモリ性液晶は完全プレナー状態に戻る。従って、第一の実施の形態におけるステップS5〜S7の処理を行わなくても、線間領域に配置される液晶を完全プレナーに近い状態にすることができる。また、第二の実施の形態のように、外力を加えたり、透明基板の外側から電圧を印加しなくてもよい。
【0098】
線間領域では片側の透明基板にしか透明電極が存在しない。従って、液晶表示装置を駆動する際、線間領域にはメモリ性液晶をフォーカルコニック状態にするような電圧は印加されない。また、その片側の透明基板の透明電極に設定された電位によってメモリ性液晶の状態が変化したとしても、プレチルト角が20°以下となるラビングされた樹脂膜に接するメモリ性液晶は完全プレナー状態に戻ろうとする。同様に、透明電極の近傍の液晶が漏れ電界によりフォーカルコニック状態に変化したとしても、電圧印加停止後、その液晶は完全プレナー状態に戻ろうとする。従って、線間領域では、完全プレナー状態(透明状態)に近い状態になり、グリッドを認識されにくくすることができる。
【0099】
なお、一方の基板の線間領域に対向する領域も線間領域であるとは限らない。この場合、メモリ性液晶は、一方の基板側では、ラビング配向面を有し20°以下のプレチルト角を実現する樹脂膜に接する。もう一方の基板側では、ラビング配向面を有し60°以上のプレチルト角を実現する樹脂膜に接する。このメモリ性液晶は、二つの基板の界面においてフォーカルコニック状態が不安定になるわけではない。しかし、少なくとも一方の基板の界面ではフォーカルコニック状態が不安定であり、その界面付近のメモリ性液晶は完全プレナー状態を保とうとする。従って、線間領域において、完全プレナー状態を維持しようとするメモリ性液晶が存在しているので、線間領域の表示状態を透明状態に近い状態にすることができる。その結果、各画素を完全プレナー状態にして、表示領域全体を透明にした場合に、グリッドを目立たなくすることができる。
【0100】
次に、本実施の形態の液晶表示装置の製造方法について説明する。図8は、本発明による製造方法の一例を示す流れ図である。
【0101】
行電極側基板、列電極側基板になるそれぞれの透明基板に、ストライプ状の透明電極を設ける(ステップS11)。続いて、それぞれの透明基板上に樹脂膜を形成する(ステップS12)。ステップS11,S12は、上述のステップS1,S2と同様の処理である。ただし、電極を透明基板に配置する際には、4.0・d以上、電極の幅の1/2以下の範囲の値として電極間隔a(μm)を定める。
【0102】
次に、行電極側基板と列電極側基板のそれぞれにおいて、配線領域以外の領域をマスクする。そして、樹脂膜を形成した面に紫外線を照射する(ステップS13)。すると、マスクされていない配線領域の樹脂膜の表面に存在するアルキル基が切断される。この結果、各基板に設けられた樹脂膜のうち、配線領域の樹脂膜は、20°以下のプレチルト角を実現する樹脂膜に変化する。
【0103】
次に、行電極側基板および列電極側基板の樹脂膜を設けた面に対して、ラビング処理を行う(ステップS14)。その後、各基板にシール材を印刷し、スペーサを散布してから二枚の基板を重ね合わせる。この結果得られる空セルに対してメモリ性液晶を注入する(ステップS15)。ステップS14,S15の処理は、ステップS3,S4と同様の処理である。
【0104】
このように液晶表示装置を製造すれば、線間領域に配置されたメモリ性液晶は、20°以下のプレチルト角を実現し、かつラビング処理された樹脂膜に接する。そして、この樹脂膜に接するメモリ性液晶は、完全プレナー状態を維持しようとする。従って、線間領域の表示を透明状態に近い状態に維持することができる。その結果、各画素を完全プレナー状態にして表示領域全体を透明にした場合に、グリッドを目立たなくすることができる。
【0105】
[実施の形態4] 本発明の第四の実施の形態における液晶表示装置の構成は、第三の実施の形態と同様である。セルギャップをd(μm)とし、任意の透明電極の幅をw(mm)とし、その透明電極とその透明電極に隣接する透明電極との電極間隔a(μm)としたときに、4.0・d≦a≦1000・w/2を満足する値として電極間隔a(μm)を定める。なお、以下の説明では、各透明電極の幅がいずれもw(mm)であるとする。
【0106】
ただし、本実施の形態では、液晶層に接する樹脂膜として、配向能の異なる2種類の樹脂材料をあらかじめ準備し、それらを基板上に塗り分けて配置する。透明電極に対応する位置には、液晶に対して高プレチルト角(60°以上)の配向能を有する樹脂材料を塗布し配置する。また、電極線間の細い間隙の位置においては、液晶に対して低プレチルト角(20°以下)の配向能を有する第2の樹脂材料を準備し、それをインクジェット方式で基板上に塗布し配置すればよい。図7に示すように、インクジェット方式で樹脂膜を塗布することにより、細い線間領域のみに第2の樹脂材料を塗布することができる。なお、基板上に樹脂膜を設ける前に基板上に透明電極を設けるが、この処理は、第三の実施の形態のステップS11と同様の処理である。
【0107】
その後、基板上の第1の樹脂膜と第2の樹脂膜に対して、ラビング処理を施する。さらに、二つの基板の周辺にシール材を配置し、二つの基板を対向配置せしめて空セルを形成し、空セル内にカイラルネマチック液晶を注入する。この処理は、第三の実施の形態におけるステップS14,S15と同様の処理である。
【0108】
すると、基板間の液晶は、電極線間の領域に位置する液晶も、電極に応じた位置にある液晶も、第1の樹脂膜と第2の樹脂膜のそれぞれの配向能によって、基板面上で所望の配向状態をとることができる。すなわち、透明電極上の樹脂膜は、液晶に対して60°以上の高プレチルト角を与える配向能を有し、またラビング処理が施されているので、各画素の液晶を所望の状態にすることができる。また、線間領域の樹脂膜は、液晶に対して20°以下の低プレチルト角を与える配向能を有し、またラビング処理が施されているので、線間領域の樹脂膜に接する液晶がフォーカルコニック状態になったとしても完全プレナー状態(透明状態)に戻すことがでいる。よって、基板面の全体において、電極で駆動できる領域と駆動できない領域の双方について、透明状態を保持できる。その結果、各画素を完全プレナー状態にして、表示領域全体を透明にした場合に、グリッドを目立たなくすることができる。
【0109】
また、本実施の形態においては、あらかじめ第1の樹脂材料をほぼ全面的に塗布し、その後、電極線間の位置に、インクジェット方式で第2の樹脂材料を線状に塗布することによって、第1の樹脂膜と第2の樹脂膜とを基板面上に、マトリックス状に、または所望の電極パターンの形状に応じて作り分けることができる(図7参照)。
【0110】
上記の各実施の形態において、メモリ性液晶は、プレナー状態において透明になるものであれば、選択反射波長が赤外域の波長でなくてもよい。すなわち、選択反射波長に可視域外の波長を含んでいればよい。例えば、選択反射波長に紫外域の波長を含むメモリ性液晶を用いてもよい。
【0111】
また、上記の各実施の形態において、液晶セルの片側の基板として、透明基板以外の基板を用いてもよい。このような態様の液晶表示装置においても、液晶の透明状態および散乱状態を利用して表示を行う場合、グリッドを見えにくくするという効果を得られる。なお、片側の基板のみを透明とする液晶表示装置の例として、片側の基板に鏡面基板を用い、鏡面基板の上に鏡面電極を配置する態様がある。液晶が透明状態(プレナー状態)の場合、鏡面での反射が観察される。一方、液晶が散乱状態(フォーカルコニック状態)の場合、散乱による白色が観察される。
【0112】
【実施例】
[例1]二枚のガラス基板にそれぞれ160本のストライプ状の透明電極を設けた。各透明電極の長さは200mmであり、幅は1.25mmである。また、いずれのガラス基板においても、各透明電極の電極間隔を20μmとした。この二枚のガラス基板を組み合わせて作製される液晶表示装置の画面サイズは200mm×200mmであり、画素数は160画素×160画素である。
【0113】
そして、各ガラス基板の液晶層に接する側にポリイミド(JSR株式会社製「JALS−682−R3」)の樹脂溶液を印刷し、180°で焼成してポリイミドの樹脂層を形成した。その後、各ガラス基板の樹脂膜に対してラビング処理を行った。このとき、それぞれのストライプ電極が交差するように二つの基板を重ね合わせた際、各基板におけるラビング方向が対向するようにラビング方向を定めた。各基板の樹脂膜の膜厚は約40nmであった。また、各基板の樹脂膜によって実現されるプレチルト角は89〜90°であった。すなわち、80°以上のプレチルト角を実現することができた。
【0114】
一方のガラス基板を下側に配置し、その基板に直径4μmの樹脂製のスペーサを散布してセルギャップが4μmになるようにした。また、他方の基板の外周部のうち、液晶注入孔となる部分以外にシール材を印刷した。そして、各基板のストライプ電極が交差するようにガラス基板を重ね合わせてシール材を硬化させ、空セルを作製した。この空セルのセルギャップは4μmである。また、各基板の電極間隔は20μmである。従って、電極間隔はセルギャップの5倍であり、4.0・d≦a≦15.0・dという関係を満たす。
【0115】
市販のネマチック液晶(メルク・ジャパン株式会社製「MJ00423」:Tc=94.0℃、Δn=0.230、ε=15.0)の82.2質量部、(化1)に示すカイラル剤8.9質量部、(化2)に示すカイラル剤8.9質量部からなるカイラルネマチック液晶A(以下、液晶Aと記す。)を調整した。
【0116】
【化1】
【0117】
【化2】
【0118】
この液晶Aのヘリカルピッチの長さは0.599μmであった。先に作製した空セルに液晶を真空注入法で注入し、注入孔を紫外線硬化の封止材で封止して液晶パネルを作製した。
【0119】
続いて、その液晶パネルの周囲の温度を上昇させ、液晶パネル内の液晶Aの温度が液晶AのTcより高くなるようにした。すると、液晶Aは、液晶としての性質を示さないアイソトロピック状態になった。液晶Aがアイソトロピック状態になった後、一方のガラス基板の透明電極ともう一方のガラス基板の透明電極との電位差が80Vになるように各ガラス基板の電極の電位を設定した。セルギャップは4μmであるので、透明電極が直交する画素部では、80V/4μm=20V/μmの電圧が印加される。この電圧印加状態を保ちながら、液晶Aを徐冷した。そして、液晶Aの温度がTcよりも低くなったときに、液晶Aに対する電圧印加を急激に遮断した。このとき液晶パネルは、画素領域、線間領域とも、均一な非常に透明度の高い状態を呈した。
【0120】
この液晶パネルの各画素をプレナー状態にするように駆動した後、線間領域の状態を顕微鏡写真で撮影した。その撮影結果を図9(c)に示す。ただし、図9は、クロスニコル(偏光板直交状態)で観察した写真を示している。従って、透明状態(プレナー状態)の部分は黒く観察され、散乱状態(フォーカルコニック状態)の部分は白く観察される。図9(c)に示すように、画素の部分と線間領域はともに黒く観察され、プレナー状態になっていることが確認できる。なお、画素の近傍(画素と線間領域の境界付近)は白く観察され、漏れ電界によってフォーカルコニック状態になっていることが確認される。
【0121】
続いて、この液晶パネルの各画素をフォーカルコニック状態にするように駆動した後、線間領域の状態を顕微鏡写真で撮影した。その撮影結果を図9(d)に示す。図9(d)に示すように、画素の部分は白く観察され、フォーカルコニック状態になっていることが確認できる。また、線間領域は黒く観察され、プレナー状態になっていることが確認できる。図9(c),(d)から、線間領域はプレナー状態に保たれていることが確認される。これは、線間領域が透明状態に保たれていることを意味する。従って、液晶パネルの全面を透明状態にする場合、線間領域も透明であるので、図15に示すようなグリッドが視認されにくいことがわかる。
【0122】
[比較例1]例1と同様の空セルに液晶Aを注入して液晶パネルを作製した。ただし、この液晶パネルでは、液晶Aをアイソトロピック状態にして電圧を印加しながら徐例するという処理を行わなかった。
【0123】
この液晶パネルの各画素をプレナー状態にするように駆動した後、線間領域の状態を顕微鏡写真で撮影した。その撮影結果を図9(a)に示す。図9(a)に示すように、画素の部分は黒く観察され、プレナー状態になっていることが確認できる。しかし、線間領域は白く観察され、フォーカルコニック状態になっていることがわかる。
【0124】
続いて、この液晶パネルの各画素をフォーカルコニック状態にするように駆動した後、線間領域の状態を顕微鏡写真で撮影した。その撮影結果を図9(b)に示す。図9(b)に示すように、画素の部分と線間の部分はともに白く観察され、フォーカルコニック状態になっていることが確認できる。図9(a),(b)から、線間領域はフォーカルコニック状態に保たれていることがわかる。従って、液晶パネルの全面を透明状態にする場合、線間領域は散乱状態を呈するため、図15に示すようなグリッドが視認されてしまうことがわかる。
【0125】
【発明の効果】
本発明の液晶表示装置によれば、線間領域に配置されたメモリ性液晶をプレナー状態またはプレナー状態に近い状態に維持することができる。従って、各画素をプレナー状態にとして表示領域全体を透明にした場合であっても、グリッドが認識されにくくすることができる。
【0126】
また、本発明の液晶表示装置の製造方法によれば、線間領域に配置されたメモリ性液晶をプレナー状態にすることができる。従って、各画素をプレナー状態にとして表示領域全体を透明にした場合であっても、グリッドが認識されにくくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による液晶表示装置の例を示す模式的断面図。
【図2】 液晶表示装置の電極の配置状態を示す説明図。
【図3】 本発明による液晶表示装置の製造方法の一例を示す流れ図。
【図4】 徐冷時のメモリ性液晶の状態を示す説明図
【図5】 液晶セルに一定の外力を加える方法の例を示す説明図。
【図6】 液晶セルの透明基板の外側から電圧を印加する状態を示す説明図。
【図7】 インクジェット方式で樹脂材料を塗布する状態を示す説明図。
【図8】 本発明による液晶表示装置の製造方法の一例を示す流れ図。
【図9】 線間領域の顕微鏡写真の例を示す説明図。
【図10】 メモリ性液晶の各種状態を示す説明図。
【図11】 メモリ性液晶の印加電圧と反射率との関係の例を示す説明図。
【図12】 画素への印加電圧の説明図。
【図13】 電極の配置状況を示す説明図。
【図14】 従来の液晶表示装置におけるセルギャップと電極間隔との関係を示す説明図。
【図15】 ガラス板の一部にグリッドが表示される状況を示す説明図。
【符号の説明】
1 行電極側基板
2 列電極側基板
3 行電極
4 列電極
6 メモリ性液晶
7 高分子薄膜(樹脂膜)
21 線間領域
Claims (8)
- 同一の透明基板上で隣接する透明電極の間隔をa(μm)、予め定めたセルギャップをd(μm)としたときに、4.0・d≦a≦15.0・dを満足するように、二枚の透明基板上にそれぞれ透明電極を設け、
各透明基板の透明電極側の面に、メモリ性液晶に60°以上のプレチルト角を与える配向能を有する樹脂膜を形成し、
各透明基板の透明電極側の面を対向させ、選択反射光の波長に可視域外の波長を含むメモリ性液晶を透明基板間に配置し、
前記メモリ性液晶をアイソトロピック状態に変化させ、
対向する透明電極間に存在するメモリ性液晶に、20V/μm以上であって、前記対向する透明電極間に短絡を生じさせる電圧よりも低い電圧を印加しながら、メモリ性液晶を徐冷し、
前記メモリ性液晶がアイソトロピック状態から相転移した後に電圧の印加を停止することにより、同一基板上で隣り合う電極同士の間の領域のメモリ性液晶を含むメモリ性液晶全体をプレナー状態に変化させる
ことを特徴とする液晶表示装置の製造方法。 - 同一の透明基板上で隣接する透明電極の間隔をa(μm)、予め定めたセルギャップをd(μm)、一つの透明電極の幅をw(mm)としたときに、4.0・d≦a≦1000・w/2を満足するように、二枚の透明基板上にそれぞれ透明電極を設け、
各透明基板の透明電極側の面に、メモリ性液晶に60°以上のプレチルト角を与える配向能を有する樹脂膜を形成し、
各透明基板の透明電極側の面を対向させ、選択反射光の波長に可視域外の波長を含むメモリ性液晶を透明基板間に配置し、
対向させた透明基板を介してメモリ性液晶に加圧することにより、同一基板上で隣り合う電極同士の間の領域のメモリ性液晶を含むメモリ性液晶全体をプレナー状態に変化させる
ことを特徴とする液晶表示装置の製造方法。 - 同一の透明基板上で隣接する透明電極の間隔をa(μm)、予め定めたセルギャップをd(μm)、一つの透明電極の幅をw(mm)としたときに、4.0・d≦a≦1000・w/2を満足するように、二枚の透明基板上にそれぞれ透明電極を設け、
各透明基板の透明電極側の面に、メモリ性液晶に60°以上のプレチルト角を与える配向能を有する樹脂膜を形成し、
各透明基板の透明電極側の面を対向させ、選択反射光の波長に可視域外の波長を含むメモリ性液晶を透明基板間に配置し、
対向させた透明基板の外側から、メモリ性液晶をプレナー状態に変化させるための電圧を印加することにより、同一基板上で隣り合う電極同士の間の領域のメモリ性液晶を含むメモリ性液晶全体をプレナー状態に変化させる
ことを特徴とする液晶表示装置の製造方法。 - 透明基板上に複数の透明電極を配置し、第2の基板上に第2の電極を配置し、透明基板と第2の基板の表面に、カイラルネマチック液晶に60°以上のプレチルト角を与える配向能を有する樹脂膜を形成し、
隣接する透明電極の間の領域の樹脂膜に紫外線を照射し、隣接する第2の電極の間の領域の樹脂膜に紫外線を照射することにより、隣接する透明電極の間の領域の樹脂膜および隣接する第2の電極の間の領域の樹脂膜の配向能を、カイラルネマチック液晶に与えるプレチルト角が20°以下になるように変化させ、
透明基板と第2の基板との間のセルギャップがd(μm)となるように対向配置し、
その後、透明基板と第2の基板の間に少なくとも2以上の安定した光学状態を有するカイラルネマチック液晶を設ける
液晶表示装置の製造方法。 - 第2の基板を透明とし、第2の基板上の第2の電極を透明とする請求項4に記載の液晶表示装置の製造方法。
- カイラルネマチック液晶の選択反射波長域に可視外域の波長を含む請求項4または5に記載の液晶表示装置の製造方法。
- 一つの透明電極の幅をw(mm)とし、透明基板上の隣接する透明電極の間隔をa(μm)とすると、4.0・d≦a≦1000・w/2を満足する請求項4、5または6に記載の液晶表示装置の製造方法。
- 透明基板上に複数の透明電極を配置し、
第2の基板上に第2の電極を配置し、
透明基板と第2の基板のそれぞれの内面の透明電極または第2の電極の位置に、カイラルネマチック液晶に60°以上のプレチルト角を与える配向能を有する第1の樹脂膜を形成し、
隣接する透明電極の間の領域に、カイラルネマチック液晶に20°以下のプレチルト角を与える配向能を有する第2の樹脂膜を形成し、
第1の樹脂膜と第2の樹脂膜にラビング処理を施し、透明基板と第2の基板のセルギャップをd(μm)となるように対向配置し、
その後、透明基板と第2の基板の間に少なくとも2以上の安定した光学状態を有するカイラルネマチック液晶層を封入する
液晶表示装置の製造方法。
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