JP4199400B2 - スタッド溶接機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、スタッドを着脱自在に保持する保持具を有し、且つ、保持具をスタッドの軸線方向に移動させるための保持具駆動機構が内蔵された本体と、本体に連設された把手と、保持具に保持されたスタッドの近傍において母材に当接させることにより本体の位置決めを行う脚体とを備えたスタッド溶接機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種スタッド溶接機は、本体と把手とからなる全体の形状が銃によく似ているところから、一般にスタッド溶接ガンと呼ばれており、作業者が把手を握り持って、本体を一定姿勢に維持しながら、溶接作業を行うように構成されている。
【0003】
スタッド溶接機の本体に内蔵される保持具駆動機構には、特開平7−9146号公報に例示されているとおり、保持具に装着したスタッドの母材側への移動を圧縮バネによって行い、スタッドの母材からの引上げ移動をソレノイドによって行う形式と、モータの回転運動を直線運動に変換する伝動機構を備え、保持具に装着したスタッドの少なくとも母材側への移動をモータ出力によって行う形式と、保持具に装着したスタッドの少なくとも母材側への移動をリニアモータの出力によって行う形式とがある。
【0004】
何れの形式においても、保持具駆動機構の制御回路の働きで、スタッドの先端を母材の
溶接すべき位置に一旦、接触させた状態から自動的にスタッドを母材から引き上げると共に、スタッドの先端と母材との間に所要時間アークを発生させ、母材の溶融池が形成された時点で、スタッドを自動的に所定距離下降させることにより、溶融池にスタッドの先端を押し込み、スタッドの溶接を完了するように構成されている。
【0005】
しかしながら、従来のスタッド溶接機(スタッド溶接ガン)では、作業者が把手を握り持って、本体を一定姿勢に維持しているため、作業者の顔が本体近く(本体の延長線近く)にあることが必要であり、実用上、把手の長さには限界がある。
【0006】
従って、溶接可能な範囲は自ずと限られており、例えば、把手を長く形成して遠くの位置にスタッドを溶接したり、床に腹這いになって、母材と障害物とで挟まれた狭小なスペースにスタッド溶接機の本体を差し込んで、スタッドを溶接するといった作業は不可能であった。
【0007】
尚、スタッド溶接機(スタッド溶接ガン)の本体に装備されているスタッドの保持具に、保持具と同様なスタッド保持手段を備えたアタッチメントを取り付けることによって、通常のスタッド溶接ガンを用いて、金属部材(母材)における凹んだ狭い部分にスタッドを溶接できるようにしたスタッド溶接治具は、特開平8−309541号公報によって提案されている。
【0008】
しかしながら、このスタッド溶接治具を使用しても、これを取り付けるスタッド溶接機自体は、作業者が把手を握り持って、本体を一定姿勢に維持する通常のスタッド溶接ガンであるから、作業者の顔が本体近く(本体の延長線近く)にあることが必要である。従って、溶接可能な範囲が限られることになり、把手を長く形成して遠くの位置にスタッドを溶接することは、実際上、不可能であり、H型鋼の上下フランジの相対向する面にスタッドを溶接する場合などに適用できるに過ぎない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上記の現状に鑑み、本発明は、母材と対向する位置にある障害物を利用してスタッド溶接機の本体を一定姿勢に維持できるようにすることによって、作業者の顔が本体近く(本体の延長線近く)にある必要性をなくし、母材と障害物とで挟まれた狭小なスペースにスタッド溶接機の本体を差し込んで、スタッドを溶接できるようにしたスタッド溶接機を提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明が講じた技術的手段は、次のとおりである。即ち、本発明は、スタッドを着脱自在に保持する保持具を有し、且つ、保持具をスタッドの軸線方向に移動させるための保持具駆動機構が内蔵された本体と、本体に連設された把手と、保持具に保持されたスタッドの近傍において母材に当接させることにより本体の位置決めを行う脚体とを備えたスタッド溶接機において、前記本体の保持具とは反対側の位置に本体に対して昇降動作する可動体を設け、把手に設けた操作部の操作により、可動体が本体に対して上昇して母材とは反対側にある障害物に当接し、障害物を支えにして本体を一定姿勢に維持するように構成し、前記脚体の先端には、スタッドの先端を覆うセラミック製アークシールドの保持具と、脚体の先端よりも母材側に突出した状態にスプリングで付勢されたコロが設けられていることを特徴としている。
【0011】
上記の構成によれば、把手に設けた操作部の操作により、可動体がスタッド溶接機の本体に対して上昇して母材とは反対側にある障害物に当接し、障害物を支えにして本体を一定姿勢に維持するので、母材にスタッドを溶接する際、作業者が把手を握り持って、本体を一定姿勢に維持する必要がなく、作業者の顔が本体近く(本体の延長線近く)にある必
要がない。
【0012】
従って、把手が長くてもスタッド溶接が可能であり、母材と障害物とで挟まれて、作業者が入れないような狭小なスペースにスタッド溶接機の本体を差し込んで、スタッドを溶接することができる。
【0013】
殊に、把手を本体に対して直角に連設してあると、本体のスタッド軸線方向での寸法を可及的に小さく設定すると共に、把手を長く設定することによって、母材と障害物とで挟まれた狭小なスペースの奥深くまでスタッド溶接機の本体を差し込んで、スタッドを溶接できることになる。
【0014】
また、母材の表面に付けられたスタッド溶接位置のマークを目視する必要がある場合は、脚体に、保持具に保持されたスタッドの近傍の母材表面を写し出すミラーを連設して実施すれば、作業者の顔が本体近く(本体の延長線近く)になくても、マークの目視が容易である。
【0015】
尚、スタッドの先端を覆うセラミック製アークシールド(フェルール)を用いる場合、 脚体の先端に、セラミック製アークシールドの保持具を設けることによって実施できる。この場合、本発明のように、脚体の先端に、脚体の先端よりも母材側に突出した状態にスプリングで付勢されたコロを設けて実施すれば、スタッド溶接機の本体をスタッド溶接位置に差し込むまで、セラミック製アークシールドを母材表面から浮いた状態に確実に保持することができ、本体をスタッド溶接位置に差し込む途中で、セラミック製アークシールドが母材と接触して不測に外れてしまう虞がない。そして、本体がスタッド溶接位置まで差し込まれたら、可動体を本体に対して上昇させ、コロを下方に突出付勢するスプリングの力以上の圧力で可動体を障害物に当接させることにより、コロが引っ込み、セラミック製アークシールドが母材表面に接触することになる。
【0016】
【発明の実施の形態】
図1〜図3は、本発明に係るスタッド溶接機Aの一例を示す。1は本体、2は、本体1に対して直角に連設された把手である。本体1には、可動軸3が設けられており、可動軸3の先端にスタッド4を着脱自在に保持する保持具5が設けられている。また、本体1には、可動軸3を介して保持具5をスタッド4の軸線方向に移動させるための保持具駆動機構6が内蔵されている。
【0017】
保持具駆動機構6としては、保持具5に装着したスタッド4の母材B側への移動を圧縮バネによって行い、スタッド4の母材Bからの引上げ移動をソレノイドによって行う形式や、モータの回転運動を直線運動に変換する伝動機構を備え、保持具5に装着したスタッド4の少なくとも母材B側への移動をモータ出力によって行う形式であってもよいが、図示の例では、保持具5に装着したスタッド4の少なくとも母材B側への移動をリニアモータ7の出力によって行う形式を採用している。8はリニアモータ7の制御回路、9は保持具5の移動量を電気信号として設定する移動量設定器である。制御回路8には、移動量設定器9の設定値と可動軸3の移動量を検出する移動量検出器(図示せず)の検出値とを入力とし、両入力が一致するように制御する所謂フィードバック系のサーボ回路が設けられている。
【0018】
本体1の把手2と反対側の側面には、保持具5に保持されたスタッド4の近傍において母材Bに当接させることにより本体1の位置決めを行うアース兼用の脚体10が設けられている。脚体10は、締付け固定具11を緩めることにより、本体1に対してスタッド軸線方向に位置調節可能に構成されている。
【0019】
本体1の保持具5と反対側の位置には、本体1に対して昇降動作する可動体12が設けられており、本体1の横側面には、可動体12の駆動機構13が付設されている。そして、把手2に設けた操作部の操作により、可動体12が本体1に対して上昇して母材Bとは反対側にある障害物Cに当接し、障害物Cを支えにして本体1を一定姿勢に維持するように構成してある。
【0020】
可動体12の駆動機構13としては、例えば、可動体12を上昇付勢するバネと、バネによる付勢力に抗して可動体12を下降姿勢にロックする係止具とから構成し、把手2に設けたスイッチの操作により、係止具によるロックを解放して、可動体12をバネの力で上昇させるように構成したり、可動体12を上昇付勢するバネと、バネによる付勢力に抗して可動体12を下降姿勢に引き込むソレノイドとから構成し、把手2に設けたスイッチの操作により、ソレノイドを消磁して、可動体12をバネの力で上昇させるように構成するなど、種々の具体的な構成を採用することが可能であるが、図示の例では、次のような構成を採用している。
【0021】
即ち、図1、図2に示すように、把手2に設けた上昇用の操作部14aと下降用の操作部14bの操作により制御回路15を介して正逆転することが可能なモータ16を本体1に連設する一方、可動体12には、スタッド軸線(保持具5の可動軸3)と平行なラックギヤ17付きの軸18を設け、軸18が挿通される伝動ケース19には、ラックギヤ17と噛み合う回転のみ自在なギヤ20と、ウオームギヤを利用した減速機21とを設け、前記モータ16の出力により、減速機21、ギヤ20、ラックギヤ17を介して軸18を駆動し、可動体12を昇降動作させるように構成してある。
【0022】
脚体10には、保持具5に保持されたスタッド4の近傍の母材B表面を写し出すミラー22がビス23により着脱自在に連設されている。把手2は一定長さのものであってもよいが、図示の例では、締付け具24を緩めることにより伸縮できるように構成されている。25はスタッド4への通電用ケーブル、26は溶接作業用の操作スイッチである。
【0023】
上記の構成によれば、図3に示すように、母材Bと障害物Cとで挟まれた狭小なスペースにスタッド溶接機Aの本体1を所定位置まで差し込んだ状態で、把手2に設けられた上昇用の操作部14aを操作することにより、図2に仮想線で示すように、可動体12が上昇して、障害物Cに当接し、障害物Cを支えとして本体1を一定姿勢に維持することができる。
【0024】
従って、母材Bにスタッド4を溶接する際、作業者が把手2を握り持って、本体1を一定姿勢に維持する必要がなく、作業者の顔が本体近く(本体の延長線近く)にある必要がなくなるので、把手2が長くてもスタッド溶接が可能であり、母材Bと障害物Cとで挟まれて、作業者が入れないような狭小なスペースにスタッド溶接機の本体1を差し込んで、スタッド4を溶接することができる。
【0025】
また、母材Bの表面に付けられたスタッド溶接位置のマークを目視する必要がある場合は、図2に示すように、脚体10に連設されたミラー22を見ることにより、作業者の顔が本体近く(本体の延長線近く)になくても、マークを目視することができる。
【0026】
図4〜図9は、本発明に係るスタッド溶接機Aの他の例を示す。このスタッド溶接機Aは、脚体10の先端に、スタッド4の先端を覆うセラミック製アークシールド(一般に、フェルールと呼ばれている。)27の保持具28と、脚体10の先端よりも母材B側に突出した状態にスプリング29で付勢されたコロ30を設けた点に特徴がある。
【0027】
具体的に説明すると、前記保持具28は、図5に示すように、バネ31の力によりセラ
ミック製アークシールド27を弾性的に挟持する一対の挟持片28a,28bによって構成されている。コロ30は、スプリング29の支持部材31に対して長孔32の範囲内で上下動自在に構成された可動枠33に軸支されており、支持部材31を脚体10にビス23で着脱自在に取り付けられている。ミラー22は省略してもよいが、図示の例では、前記可動枠33にミラー22を取り付けてあり、コロ30と一体的に上下動するように構成してある。
【0028】
上記の構成によれば、脚体10の先端に、脚体10の先端よりも母材B側に突出した状態にスプリング29で付勢されたコロ30を設けてあるので、セラミック製アークシールド27を用いる場合、スタッド溶接機Aの本体1をスタッド溶接位置に差し込むまで、図8の(A)に示すように、セラミック製アークシールド27を母材B表面から浮いた状態に保持することができる。
【0029】
そして、本体1がスタッド溶接位置まで差し込まれたら、可動体12を本体1に対して上昇させ、コロ30を下方に突出付勢するスプリング29の力以上の圧力で可動体12を障害物Cに当接させることにより、本体1が一定姿勢に維持されると共に、図8の(B)に示すように、コロ30が引っ込み、セラミック製アークシールド27が母材B表面に接触することになる。従って、本体1をスタッド溶接位置に差し込む途中で、セラミック製アークシールド27が母材Bと接触して不測に外れてしまう虞がない。
【0030】
セラミック製アークシールド27が母材B表面に接触した後、把手2に設けた溶接作業用の操作スイッチ26を操作することにより、図9の(A)〜(D)に示すように、スタッド4が所定量引き上げられると共に、スタッド4先端と母材Bとの間のセラミック製アークシールド27で囲まれた空間内で所要時間、アークを発生させ、母材Bの溶融池が形成された時点で、スタッド4が自動的に所定量下降し、溶融池にスタッド4の先端を押し込んでスタッド4の溶接を完了することになる。
【0031】
尚、以下の構成は、付加的な構成であるから、省略して実施してもよいが、この実施の形態では、図4及び図7に示すように、把手2の長手方向中間部の側面にも、把持部34を設けてある。把持部34は固定的に設けられているが、ネジ込み方式等により把手2に対して着脱自在に設けてもよい。また、把持部34の付根近傍には、上下両端に把手2の長手方向と平行な貫通孔35が形成された支持体36が設けられており、任意の貫通孔35にL型のゲージ37を任意の方向から挿抜自在並びに回転自在に挿入して、支持体36の端部にネジ込まれた止めネジ38で固定するように構成されている。
【0032】
従って、図7に示すように、母材Bの端部にゲージ37を当接させたり、図示しないが、支持体36の上端側の貫通孔35に付け替えたゲージ37を障害物Cの端部に当接させることにより、母材Bと障害物Cに挟まれたスペースに本体1を挿入する深さを規定することができ、同一深さの位置に連続してスタッド4を溶接する場合に便利である。
【0033】
その他の構成は、図1〜図3で説明した実施の形態と同じであるから、同一構成部材に同一符号を付し、説明を省略する。
【0034】
【発明の効果】
本発明は、上述した構成よりなり、母材と対向する位置にある障害物を利用してスタッド溶接機の本体を一定姿勢に維持できるため、母材にスタッドを溶接する際、作業者が把手を握り持って、本体を一定姿勢に維持する必要がなく、作業者の顔が本体近く(本体の延長線近く)にある必要がなくなるので、把手が長くてもスタッド溶接が可能であり、母材と障害物とで挟まれて、作業者が入れないような狭小なスペースにスタッド溶接機の本体を差し込んで、スタッドを溶接することができる等の効果がある。
殊に、本発明によれば、前記脚体の先端に、スタッドの先端を覆うセラミック製アークシールドの保持具と、脚体の先端よりも母材側に突出した状態にスプリングで付勢されたコロが設けられているので、スタッド溶接機の本体をスタッド溶接位置に差し込むまで、セラミック製アークシールドを母材表面から浮いた状態に確実に保持することができ、本体をスタッド溶接位置に差し込む途中で、セラミック製アークシールドが母材と接触して不測に外れてしまう虞がない。そして、本体がスタッド溶接位置まで差し込まれたら、可動体を本体に対して上昇させ、コロを下方に突出付勢するスプリングの力以上の圧力で可動体を障害物に当接させることにより、コロが引っ込み、セラミック製アークシールドが母材表面に接触することになる。従って、本体をスタッド溶接位置に差し込む途中で、セラミック製アークシールドが母材と接触して不測に外れてしまう虞がない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るスタッド溶接機の一例を示す斜視図である。
【図2】 要部の構成を説明する図である。
【図3】 使用状態を説明する側面図である。
【図4】 他の実施の形態を示す斜視図である。
【図5】 要部の構成を説明する斜視図である。
【図6】 要部の構成を説明する図である。
【図7】 使用状態を説明する側面図である。
【図8】 作用を説明する図である。
【図9】 作用を説明する図である。
【符号の説明】
A…スタッド溶接機、1…本体、2…把手、4…スタッド、5…保持具、6…保持具駆動機構、10…脚体、12…可動体、13…駆動機構、14a,14b…操作部。
Claims (1)
- スタッドを着脱自在に保持する保持具を有し、且つ、保持具をスタッドの軸線方向に移動させるための保持具駆動機構が内蔵された本体と、本体に連設された把手と、保持具に保持されたスタッドの近傍において母材に当接させることにより本体の位置決めを行う脚体とを備え、前記本体の保持具とは反対側の位置に本体に対して昇降動作する可動体を設け、把手に設けた操作部の操作により、可動体が本体に対して上昇して母材とは反対側にある障害物に当接し、障害物を支えにして本体を一定姿勢に維持するように構成し、前記脚体の先端には、スタッドの先端を覆うセラミック製アークシールドの保持具と、脚体の先端よりも母材側に突出した状態にスプリングで付勢されたコロが設けられていることを特徴とするスタッド溶接機。
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