JP4199976B2 - 浸漬型膜分離装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、下水、有機性汚水などの膜分離活性汚泥処理に用いられる浸漬型膜分離装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
浸漬型膜分離装置は、小型合併処理浄化槽など小型の生活排水小型処理設備や、都市の大規模下水処理設備において用いられ、反応槽内の被処理水中に浸漬され、前記被処理水を濾過する平板状膜モジュールと、該平板状膜モジュールの下方に配置され、散気を行う散気装置とを備えている。例えば、特開平7−275668号公報には、小型合併処理浄化槽に用いられると思われる浸漬型膜分離装置が示されており、この浸漬型膜分離装置は、2本の散気装置としての散気管が備えられている。
【0003】
一方、都市の下水処理設備のような大規模な活性汚泥処理設備において用いられる浸漬型膜分離装置では、図13に示すように、幅寸法が1000mm程度の幅広である複数の平板状膜モジュール53と、通常、5本の粗大気泡散気装置としての粗大気泡散気管551〜555とが備えられている。図13は従来の浸漬型膜分離装置の構成を説明するための一部破断斜視図、図14は図13に示す従来の浸漬型膜分離装置を備えた活性汚泥処理設備の構成を示す図である。
【0004】
この従来の浸漬型膜分離装置51は、図13に示すように、上下が開口した箱状の膜ケース52の内部に、複数の平板状膜モジュール53を膜面53aが上下方向垂直で且つ互いに平行となるように適当間隔で奥行き方向に並列に配置し、さらに、上下と、左右の側面下部とが開口した箱状の散気ケース54の内部に、5本の粗大気泡散気装置としての粗大気泡散気管551〜555を配置し、並列に配置された複数の平板状膜モジュール53の下方に5本の粗大気泡散気管551〜555が位置するように、膜ケース52と散気ケース54を互いに上下に分離可能に積層配置することにより構成されている。粗大気泡散気管551〜555の各々には、反応槽56の外部に設置された空気源としてのブロワ57より給気管58を通じて散気のための空気が所定量供給されるようになっている。
【0005】
粗大気泡散気管551〜555は、図13に示すように、複数の平板状膜モジュール4の下方に配置されており、平板状膜モジュール幅方向と直角をなす方向(奥行き方向)に延びて各平板状膜モジュール53とはそれらの下方で直交するように配置されている。粗大気泡散気管551〜555には、その外周面下部に孔径5〜15mmφの多数の散気孔が散気管長手方向に沿って設けられている。これらの粗大気泡散気管551〜555により散気を行う目的は、粗大気泡散気管551〜555からの粗大気泡により生起される気液二相の膜間上昇流によって平板状膜モジュール53の膜面53aに作用する剪断応力を利用して、該膜面53aを洗浄して膜面53aに汚泥ケーキ層が堆積することを防止すること、また、被処理液中の好気性微生物の好気処理のために酸素供給を行うことにある。この場合、粗大気泡は、微細気泡に比べて上昇速度が速く剪断応力が大きいことから、特に平板状膜モジュール53の膜面洗浄に効果的である。
【0006】
従来の浸漬型膜分離装置1では、粗大気泡散気管551〜555は、図15に示すように、幅1000mm程度の平板状膜モジュール53の下方に配置されている。すなわち、平板状膜モジュール53に対する粗大気泡散気管551〜555の配置については、1番〜5番の5本の粗大気泡散気管551〜555が互いに200mmの等間隔を有し、かつ、真ん中にある3番の粗大気泡散気管553が平板状膜モジュール53の幅中央位置の下方に位置するように配置されている。なお、各粗大気泡散気管551〜555と平板状膜モジュール53との上下方向における間隔は一定である。また、5本の粗大気泡散気管551〜555の各々には同一空気量が供給され、これらの粗大気泡散気管551〜555の各々からの散気量は、同一になるように設定されている。
【0007】
このように構成される浸漬型膜分離装置1が、図14に示すように、反応槽56内の被処理水(活性汚泥と原水との混合液)中に浸漬設置されており、各平板状膜モジュール53は、集合管59を介して、管路途中に吸引ポンプ60が介装されている処理水取出し管路61に接続されている。そして、浸漬型膜分離装置51を備えた活性汚泥処理設備において、粗大気泡散気管551〜555による散気を行いながら、平板状膜モジュール53により被処理水を固液分離して濾過し、平板状膜モジュール53を透過させた膜透過水を処理水として吸引ポンプ60にて反応槽56の外部に取り出すようにした膜分離活性汚泥処理が行われている。
【0008】
【特許文献1】
特開平7−275668号公報(第2図)
【特許文献2】
特開2002−224685号公報(第1図)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし前述した従来の浸漬型膜分離装置1では、前記5本の粗大気泡散気管551〜555の配置が適切でないことから、幅1000mm程度の幅広の平板状膜モジュール53の膜面全体にわたって膜面洗浄効果を得ることができず、運転時間の経過とともに平板状膜モジュール53の幅方向における端部領域などに汚泥ケーキ層が堆積するという問題があった。
【0010】
このことについて説明すると、気泡には浮力が作用して周囲の液体よりも速く上昇しようとする。したがって、図16に示すように、粗大気泡散気管55 1 〜55 5 からの上昇する粗大気泡は、流れの早い方へ早い方へと寄って行くことになり、上昇するに従って徐々に平板状膜モジュール53の幅方向における中央部領域付近に集まってくるようになる。そして、このような平板状膜モジュール幅方向中央部領域に集まって行くような粗大気泡の上昇流(プルーム)が一旦生じると、平板状膜モジュール幅方向における均一な流れにはならない。
【0011】
このため、粗大気泡が通過しない部位では、膜面の洗浄が行われないので膜面に堆積する汚泥が取り除かれない。その結果、気液二相の膜間上昇流が遅くなり、気泡がさらに行き渡り難くなり、最終的には、膜面の汚泥は、大量に付着し膜面を閉塞して嫌気状態になり汚泥ケーキ層と呼ばれる粘着性の強い固形物になる。このように、平板状膜モジュール幅方向における粗大気泡の分布に関しては、不均一になった場合の自己修復機能はなく、一度局部的な膜面の閉塞が起こるそれがきっかけになり、その周囲の膜面洗浄も行われ難くなってしまう。
【0012】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、平板状膜モジュール幅方向において粗大気泡が不均一分布するような粗大気泡の上昇流の発生を抑制することができ、これにより平板状膜モジュールの膜面全体にわたって膜面洗浄効果を得ることができるようにした、浸漬型膜分離装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本願発明では次の技術的手段を講じている。請求項1の発明は、反応槽内の被処理水中に浸漬され、前記被処理水を濾過する平板状膜モジュールと、該平板状膜モジュールの下方に配置され、散気を行う散気装置とを備えた浸漬型膜分離装置において、前記散気装置は、前記平板状膜モジュールの有効幅の1/4を有する一方の平板状膜モジュール幅方向端部領域の下方に配置され、複数本の粗大気泡散気管で構成される一方の端部領域用粗大気泡散気装置と、前記平板状膜モジュールの有効幅の1/4を有する他方の平板状膜モジュール幅方向端部領域の下方に配置され、複数本の粗大気泡散気管で構成される他方の端部領域用粗大気泡散気装置と、前記平板状膜モジュールの幅方向中央位置の下方に配置され、1本の粗大気泡散気管で構成される中央部領域用粗大気泡散気装置とを有し、前記各粗大気泡散気管が、それぞれ、平板状膜モジュール幅方向と直角をなす方向に延びており、平板状膜モジュール幅方向において前記中央部領域用粗大気泡散気装置を構成する前記1本の粗大気泡散気管から等距離に、前記一方の端部領域用粗大気泡散気装置を構成する前記複数本の粗大気泡散気管と前記他方の端部領域用粗大気泡散気装置を構成する前記複数本の粗大気泡散気管とがそれぞれ配置されるとともに、反応槽の上下方向において前記平板状膜モジュールから等距離に前記各粗大気泡散気管がそれぞれ配置されており、前記一方の端部領域用粗大気泡散気装置と前記他方の端部領域用粗大気泡散気装置と前記中央部領域用粗大気泡散気装置から散気するとともに、前記両方の端部領域用粗大気泡散気装置による各散気量が、それぞれ、前記中央部領域用粗大気泡散気装置による散気量の2倍以上となるように、散気を行うものであることを特徴とする浸漬型膜分離装置である。
【0014】
請求項2の発明は、前記請求項1記載の浸漬型膜分離装置において、さらに微細気泡散気装置を備えていることを特徴とするものである。
【0015】
請求項3の発明は、前記請求項2記載の浸漬型膜分離装置において、前記微細気泡散気装置は、前記両方の端部領域用粗大気泡散気装置及び前記中央部領域用粗大気泡散気装置を収納する散気ケースの外部に配置されていることを特徴とするものである。
【0016】
本願の請求項1〜3の発明による浸漬型膜分離装置によれば、前記した3つの各領域用粗大気泡散気装置により、一方と他方の端部領域用粗大気泡散気装置による各散気量VR,VLが、それぞれ、中央部領域用粗大気泡散気装置による散気量VCの2倍以上となるように、散気を行うよう構成したものであるから、幅寸法が1000mm程度の幅広の平板状膜モジュールを備えたものでも、平板状膜モジュール幅方向において粗大気泡が中央部領域付近に集まってきて不均一分布するような粗大気泡の上昇流の発生を抑制することができので、これにより平板状膜モジュールの膜面全体にわたって膜面洗浄効果を得ることができ、平板状膜モジュールの幅方向における端部領域などに汚泥ケーキ層が堆積することを防止することができる。
【0017】
この場合、一方の端部領域用粗大気泡散気装置からの散気量VRと、他方の端部領域用粗大気泡散気装置からの散気量VLとは、同一の散気量とすることがよい。また、中央部領域用粗大気泡散気装置による散気量VCに対する前記散気量VR,VLの上限値は、平板状膜モジュールの大きさなどにより一概に定められないが、散気量VCの3倍が適切である。
【0018】
また、本発明による浸漬型膜分離装置では、散気装置が微細気泡散気装置を備えているものが望ましい。微細気泡散気装置は、孔径1〜5mmφの多数の散気孔を有しており、粗大気泡散気装置に比べて酸素溶解効率が高く、好気性微生物に対する酸素供給に効果的である。したがって、粗大気泡散気装置による酸素供給が不足する場合には、微細気泡散気装置を備えることが望ましい。この場合、微細気泡散気装置は、粗大気泡散気装置を収納する散気ケースの外部(膜ケースの外部)の反応槽底面に配置して、微細気泡が粗大気泡と合体しないようにすることがよい。なお、散気ケースの外部(膜ケースの外部)には、膜ケース上端の開口から該ケース外部を下降する下降流が形成される。
【0019】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の一実施形態による浸漬型膜分離装置の構成を示す一部破断斜視図である。
【0020】
浸漬型膜分離装置1は、図1に示すように、上下が開口した箱状の膜ケース2の内部に、上段膜ユニット3Aと下段膜ユニット3Bとを所定間隔をおいて上下2段に並べて配置し、さらに、上下と、左右の側面下部とが開口した箱状の散気ケース5の内部に、5本の粗大気泡散気装置としての粗大気泡散気管61〜65を配置し、下段膜ユニット3Bの下方に前記粗大気泡散気管61〜65が位置するように、膜ケース2と散気ケース5とを互いに上下に分離可能に積層配置することにより構成されている。
【0021】
上段膜ユニット3Aと下段膜ユニット3Bとは、それぞれ、複数の平板状膜モジュール4を膜面4aが上下方向垂直で且つ互いに平行となるように適当間隔で奥行き方向に並列に配置してなるものである。上段膜ユニット3Aの平板状膜モジュール4と、下段膜ユニット3Bの平板状膜モジュール4とは、互いに奥行き方向における位置が一致するように配置されている。
【0022】
前記5本の粗大気泡散気管61〜65は、下段膜ユニット3Bの平板状膜モジュール4の下方に配置されており、平板状膜モジュール幅方向と直角をなす方向(奥行き方向)に延びて各平板状膜モジュール4とはそれらの下方で直交するように配置されている。これらの粗大気泡散気管61〜65には、その外周面下部に孔径5〜15mmφの多数の散気孔が散気管長手方向に沿って設けられている。粗大気泡散気管61〜65の詳細な配置位置については後述する。なお、粗大気泡散気管61〜65と下段膜ユニット3Bの平板状膜モジュール4との上下方向における間隔は一定である。
【0023】
また、上段膜ユニット3Aと下段膜ユニット3Bとの間における一方の平板状膜モジュール幅方向端部には、平板状膜モジュール4の奥行き方向へ延びる1本の補助用粗大気泡散気管7Rが配置されている。同様にして、他方の平板状膜モジュール幅方向端部にも1本の補助用粗大気泡散気管7Lが配置されている。
【0024】
また、散気ケース5の外部(膜ケース2の外部)の反応槽底面には、散気ケース5の両側に微細気泡散気装置としての平板状をなすメンブレン式微細気泡散気板8R,8Lがそれぞれ配置されている。さらに、散気ケース5内における反応槽底面には、粗大気泡散気管61〜65より下方であって、かつ、平板状膜モジュール幅方向中央部の下方に位置するように1つのメンブレン式微細気泡散気板8Cが配置されている。メンブレン式微細気泡散気板8R,8L,8Cには、孔径1mmφの多数の散気孔が設けられている。
【0025】
前記のように構成される浸漬型膜分離装置1を用い、粗大気泡散気管61〜65よる粗大気泡の分布状態を調べる実験を行った。この実験は、実際とほぼ同じ水深5mの実験用の反応槽内に浸漬型膜分離装置1を設置し、粗大気泡散気管61〜65の平板状膜モジュール幅方向における配置位置を後述の第1〜第6の管配置(第6の管配置は従来例)に変化させ、これらの各管配置にて浸漬型膜分離装置1を運転して実施した。これらの運転時の上段膜ユニット3Aの平板状膜モジュール4の膜面4aに作用する剪断応力を剪断応力計にて計測し、その計測結果と、平板状膜モジュール4の膜面4aでの汚泥付着状態観察結果とに基づいて、粗大気泡散気管61〜65よる粗大気泡の分布状態について評価を行った。
【0026】
図2は5本の粗大気泡散気管の配置位置を説明するための図である。
【0027】
図2に示すように、下段膜ユニット3Bの平板状膜モジュール4について、幅方向に4等分し、平板状膜モジュール4の有効幅の1/4を有する一方の平板状膜モジュール幅方向端部領域LRと、平板状膜モジュール4の有効幅の1/4を有する他方の平板状膜モジュール幅方向端部領域LLと、これらの端部領域LR,LLを除く残りの平板状膜モジュール幅方向中央部領域LCとを定めている。この場合、平板状膜モジュール4の有効幅は1000mmで、前記幅方向中央部領域LCの長さは500mm、その右側の位置する前記一方の幅方向端部領域LRの長さは250mm、その左側に位置する前記他方の幅方向端部領域LLの長さは250mmである。
【0028】
粗大気泡散気管61〜65は、図2における右から順に、1番、2番、3番、4番、5番の粗大気泡散気管とし、実験に際し、図2に示すように配置した。この場合、粗大気泡散気管61〜65の配置位置の表示は、粗大気泡の分布が左右対称な現象であるから、平板状膜モジュール幅方向の中央を原点とし、これより右側を正、左側を負で示してある。第1〜第5の管配置は本発明例のものであり、第6の管配置は従来例のものである。
【0029】
本発明例の第1〜第5の管配置のものでは、1番の粗大気泡散気管61と2番の粗大気泡散気管62とは、前記一方の平板状膜モジュール幅方向端部領域LRの下方に配置された一方の端部領域用粗大気泡散気装置を構成している。また、5番の粗大気泡散気管65と4番の粗大気泡散気管64とは、前記他方の平板状膜モジュール幅方向端部領域LLの下方に配置された他方の端部領域用粗大気泡散気装置を構成している。また、3番の粗大気泡散気管63は、前記平板状膜モジュール幅方向中央部領域LCの下方に配置された中央部領域用粗大気泡散気装置を構成している。なお、第3管配置と第5管配置において、前記端部領域LRと前記中央部領域LCとの境界上にある2番の粗大気泡散気管62は、その作用効果から、前記一方の端部領域用粗大気泡散気装置を構成するものとし、同様に、前記端部領域LLと前記中央部領域LCとの境界上にある4番の粗大気泡散気管64は、その作用効果から、前記他方の端部領域用粗大気泡散気装置を構成するものとしてある。
【0030】
図3は平板状膜モジュールの膜面に作用する剪断応力を説明するための図、図4は上段膜ユニットの平板状膜モジュールの膜面に作用する剪断応力を計測する剪断応力計の設置位置を示す図である。
【0031】
図3に示すように、対向する平板状膜モジュール4の膜面4a間に上昇流があると、膜間中央で速度が大きく、膜面では速度がゼロになる。剪断応力τは、膜面4aの接線方向に作用する応力で、上昇流の速度の膜面垂直方向の勾配に比例し、τ=μ×(∂v/∂x)で表される。ここで、v:速度、μ:粘性係数、x:膜面垂直方向変位である。このような剪断応力を、図4に示すように、上段膜ユニット3Aの平板状膜モジュール4の幅方向における第1から第10の10箇所の計測点で計測するようにしている。このような剪断応力の計測結果から、粗大気泡散気管61〜65よる粗大気泡の分布状態を評価することができる。
【0032】
この粗大気泡の分布状態を評価するために2つの評価指針を導入した。その一つは時間比率αである。図5は時間比率を説明するための図であり、横軸は時間を示し、縦軸は平板状膜モジュール4の膜面に作用する剪断応力を示している。時間比率αは、図5に示すように、所定の剪断応力レベルτj以上(負の剪断応力の場合は、所定の剪断応力レベル以下)を経験している時間の割合である。前記所定の剪断応力レベルτjは、本例では後述するように5Pa刻みで正負合わせて26レベル設定されるようになっている。時間比率αの値が大きいということは、その計測点において所定の剪断応力レベルτj以上の剪断応力が作用している時間が長いことを表している。
【0033】
もう一つの評価指針は頻度βである。図6は頻度を説明するための図であり、横軸は時間を示し、縦軸は平板状膜モジュール4の膜面に作用する剪断応力を示している。頻度βは、剪断応力が1分間(t1=60s)当たりに所定の剪断応力レベルτj以上に上昇(負の剪断応力の場合は剪断応力レベルτjより下降)する回数である。図6の場合、剪断応力は設定された剪断応力レベルτjを7回超えており、頻度β=(60/t1)×7=7回/minとなる。図6に示すように、膜面に作用する剪断応力が変動しているために、ある剪断応力レベルτjを超える剪断応力が血流の脈のように変動しながら作用しており、そのような変動により、膜面に付着する汚泥が除去される場合、この変動する回数を表す頻度βが重要になる。
【0034】
そして、前記時間比率αと前記頻度βを導入した式(1)により気泡分布指針値γを求め、粗大気泡散気管61〜65よる粗大気泡の分布状態を定量的に評価するようにした。
【0035】
【数1】
【0036】
式(1)において、iは第1(i=1)から第10(i=10)の計測点を表し、jは5Pa刻みで段階的に評価する剪断応力レベルτjを定めるためのレベル値を表す。すなわち、j=1〜13での評価する剪断応力レベルτjは、τj=5j−65である(j=1のときはτ1=−60Pa、j=13のときはτ13=0Pa)。また、j=14〜26での評価する剪断応力レベルτjは、τj=5j−70である(j=14のときはτ14=0Pa、j=26のときはτ26=60Pa)。したがって、α3,17は、第3計測点における剪断応力レベルτ17:15Pa以上となる時間比率を表している。また、β3,17は、第3計測点における剪断応力レベルτ17:15Pa以上となる頻度を表している。
【0037】
また、αave,jは式(2)で表され、評価しようとする所定の剪断応力レベルτj(レベル値j)の場合における第1から第10の各計測点での時間比率の平均値である。βave,jは式(3)で表され、前記剪断応力レベルτj(レベル値j)の場合における第1から第10の各計測点での頻度の平均値である。
【0038】
【数2】
【0039】
【数3】
【0040】
式(1)の気泡分布指針値γは、26段階の各剪断応力レベルτjにおける平均値からの変位量を表している。つまり、式(1)の右辺の第1項は時間比率αi,jについての平均値αave,jからの変位量の大小を表しており、第2項は頻度βi,jについての平均値βave,jからの変位量の大小を表しています。式(1)の係数「0.5」は重み付けの値であり、気泡分布指針値γは時間比率と頻度をそれぞれ50%ずつ等しく重み付けをして扱っている。よって、もし全ての計測点で時間比率αi,j=αave,j、かつ、頻度βi,j=βave,jであれば、すなわち、時間比率αi,jと頻度βi,jが、それぞれ、10箇所全ての計測点で平均値と一致していれば、気泡分布指針値γはゼロとなり、それぞれが平均値から離れるにしたがって、気泡分布指針値γは大きくなる。したがって、気泡分布指針値γの大小によって粗大気泡散気管61〜65による粗大気泡の分布状態を評価することができ、平板状膜モジュール幅方向において粗大気泡が不均一分布するような粗大気泡の上昇流の発生を抑制すると、気泡分布指針値γはその値が小さくなることになる。
【0041】
表1に散気量についての実験条件を示す。ケース1とケース2とは粗大気泡の散気量については同一であり、ケース1とケース2との違いは、ケース1では散気ケース5外部のメンブレン式微細気泡散気板8R,8Lによる微細気泡の散気を行い(散気板8Cは設置せず)、一方、ケース2では平板状膜モジュール幅方向中央部の下方に位置するメンブレン式微細気泡散気板8Cによる微細気泡の散気を行った点にある(散気板8R,8Lは設置せず)。この表1に示す条件で、前記第1〜第6の管配置それぞれにて浸漬型膜分離装置1を運転し、そのときの上段膜ユニット3Aの平板状膜モジュール4の膜面4aに作用する剪断応力を計測し、得られた計測値から、前記気泡分布指針値γを求めた。結果を表2、表3に示す。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】
【表3】
【0045】
表2、表3からわかるように、前記第1〜第5の管配置とした本発明による浸漬型膜分離装置1によれば、第1〜第5のいずれの管配置の場合にも従来例である第6の管配置としたものに比較して気泡分布指針値γを小さくすることができており、目視観察によっても、引き上げられた平板状膜モジュール4の膜面4aでの汚泥の付着もなかった。特に、ケース1、ケース2にともに第1、第2及び第4の管配置において良好な結果が得られた。このように、一方の端部領域用粗大気泡散気管61,62による散気量VR(=200NL/min)と他方の端部領域用粗大気泡散気管64,65による散気量VL(=200NL/min)が、それぞれ、中央部領域用粗大気泡散気管63による散気量VC(=100NL/min)の本例では2倍となるように、散気を行うことにより、幅寸法が1000mm程度の幅広の平板状膜モジュール4を備えたものでも、平板状膜モジュール幅方向において粗大気泡が中央部領域付近に集まってきて不均一分布するような粗大気泡の上昇流の発生を抑制することができ、これにより平板状膜モジュール4の膜面全体にわたって膜面洗浄効果を得ることができた。
【0046】
ここで、表2に示す前記ケース1の場合に比べて、表3に示す、平板状膜モジュール幅方向中央部の下方にメンブレン式微細気泡散気板8Cを配置した前記ケース2の場合には、気泡分布指針値γが大きくなっており、粗大気泡が不均一分布するような上昇流の発生を抑制する効果が小さくなっている。この原因は、前記ケース2の場合、中央部にあるメンブレン式微細気泡散気板8Cからの微細気泡により、粗大気泡散気管61,62,64,65からの粗大気泡が記ケース1の場合に比べて平板状膜モジュール幅方向中央部に寄ってくるためと考えられる。したがって、好気性微生物に対する酸素供給に効果的である微細気泡散気装置については、前記ケース1の場合のように、散気ケース5の外部に配置することが好ましい。
【0047】
図7は、ケース1での第1の管配置(本発明例)の場合における時間比率αi,j(i=1〜10,j=1〜26)を示す図である。図7において横軸は剪断応力、縦軸は時間比率、奥行き軸は計測位置(第1〜第10の計測点)をそれぞれ示す。図8は、ケース1での第1の管配置(本発明例)の場合における頻度βi,j(i=1〜10,j=1〜26)を示す図である。図8において横軸は剪断応力、縦軸は頻度、奥行き軸は計測位置(第1〜第10の計測点)をそれぞれ示す。また、図9は、図8における剪断応力レベルが15Paでの頻度βi,17(i=1〜10)を示す図である。
【0048】
ケース1の場合、表2に示すように、第1の管配置、第2の管配置及び第4の管配置としたものでは、従来例である第6の管配置としたものに比較して気泡分布指針値γの値を半分以下に小さくすることができた。このことは、前記図7〜図9に示されるように、各計測点での、例えば剪断応力レベルが15Paでの頻度βi,17(i=1〜10)と時間比率αi,17(i=1〜10)が、ほぼ一定で変動が小さいことからも裏付けられた。
【0049】
図10は、ケース1での第6の管配置(従来例)の場合における時間比率αi,j(i=1〜10,j=1〜26)を示す図である。同じく、図11は、ケース1での第6の管配置(従来例)の場合における頻度βi,j(i=1〜10,j=1〜26)を示す図である。また、図12は、図11における剪断応力レベルが15Paでの頻度βi,17(i=1〜10)を示す図である。
【0050】
これに対して、第6の管配置(従来例)のものでは、気泡分布指針値γの値は0.054であり(表2参照)、目視観察によっても、引き上げられた平板状膜モジュールの幅方向における両側端部の膜面への汚泥の付着、また中央部にも膜面への汚泥の付着が発生していることが観察された。このことは、前記図10〜図12に示されるように、各計測点での、例えば剪断応力レベルが15Paでの頻度βi,17(i=1〜10)と時間比率αi,17(i=1〜10)が、ほぼ一定でなく変動が大きいことからも裏付けられた。
【0051】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明による浸漬型膜分離装置は、一方と他方の端部領域用粗大気泡散気装置による各散気量VR,VLが、それぞれ、中央部領域用粗大気泡散気装置による散気量VCの2倍以上となるように、散気を行うよう構成されている。これにより、本発明による浸漬型膜分離装置によれば、幅寸法が1000mm程度の幅広の平板状膜モジュールを備えたものでも、平板状膜モジュール幅方向において粗大気泡が中央部領域付近に集まってきて不均一分布するような粗大気泡の上昇流の発生を抑制することができるので、平板状膜モジュールの膜面全体にわたって膜面洗浄効果を得ることができ、平板状膜モジュールの幅方向における端部領域などに汚泥ケーキ層が堆積することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による浸漬型膜分離装置の構成を示す一部破断斜視図である。
【図2】5本の粗大気泡散気管の配置位置を説明するための図である。
【図3】平板状膜モジュールの膜面に作用する剪断応力を説明するための図である。
【図4】上段膜ユニットの平板状膜モジュールの膜面に作用する剪断応力を計測する剪断応力計の設置位置を示す図である。
【図5】時間比率を説明するための図である。
【図6】頻度を説明するための図である。
【図7】ケース1での第1の管配置(本発明例)の場合における時間比率αi,j(i=1〜10,j=1〜26)を示す図である。
【図8】ケース1での第1の管配置(本発明例)の場合における頻度βi,j(i=1〜10,j=1〜26)を示す図である。
【図9】図8における剪断応力レベルが15Paでの頻度βi,17(i=1〜10)を示す図である。
【図10】ケース1での第6の管配置(従来例)の場合における時間比率αi,j(i=1〜10,j=1〜26)を示す図である。
【図11】ケース1での第6の管配置(従来例)の場合における頻度βi,j(i=1〜10,j=1〜26)を示す図である。
【図12】図11における剪断応力レベルが15Paでの頻度βi,17(i=1〜10)を示す図である。
【図13】従来の浸漬型膜分離装置の構成を説明するための一部破断斜視図である。
【図14】図13に示す従来の浸漬型膜分離装置を備えた活性汚泥処理設備の構成を示す図である。
【図15】従来の浸漬型膜分離装置における5本の粗大気泡散気管の配置位置を説明するための図である。
【図16】上昇するに従って徐々に平板状膜モジュールの幅方向における中央部領域付近に集まってくるような粗大気泡の上昇流の様子を説明するための図である。
【符号の説明】
1…浸漬型膜分離装置 2…膜ケース 3A…上段膜ユニット 3B…下段膜ユニット 4…平板状膜モジュール 4a…膜面 5…散気ケース 61〜65…粗大気泡散気管 7R,7L…補助用粗大気泡散気管 8R,8L,8C…メンブレン式微細気泡散気板
Claims (3)
- 反応槽内の被処理水中に浸漬され、前記被処理水を濾過する平板状膜モジュールと、該平板状膜モジュールの下方に配置され、散気を行う散気装置とを備えた浸漬型膜分離装置において、
前記散気装置は、前記平板状膜モジュールの有効幅の1/4を有する一方の平板状膜モジュール幅方向端部領域の下方に配置され、複数本の粗大気泡散気管で構成される一方の端部領域用粗大気泡散気装置と、
前記平板状膜モジュールの有効幅の1/4を有する他方の平板状膜モジュール幅方向端部領域の下方に配置され、複数本の粗大気泡散気管で構成される他方の端部領域用粗大気泡散気装置と、
前記平板状膜モジュールの幅方向中央位置の下方に配置され、1本の粗大気泡散気管で構成される中央部領域用粗大気泡散気装置とを有し、
前記各粗大気泡散気管が、それぞれ、平板状膜モジュール幅方向と直角をなす方向に延びており、
平板状膜モジュール幅方向において前記中央部領域用粗大気泡散気装置を構成する前記1本の粗大気泡散気管から等距離に、前記一方の端部領域用粗大気泡散気装置を構成する前記複数本の粗大気泡散気管と前記他方の端部領域用粗大気泡散気装置を構成する前記複数本の粗大気泡散気管とがそれぞれ配置されるとともに、反応槽の上下方向において前記平板状膜モジュールから等距離に前記各粗大気泡散気管がそれぞれ配置されており、
前記一方の端部領域用粗大気泡散気装置と前記他方の端部領域用粗大気泡散気装置と前記中央部領域用粗大気泡散気装置から散気するとともに、前記両方の端部領域用粗大気泡散気装置による各散気量が、それぞれ、前記中央部領域用粗大気泡散気装置による散気量の2倍以上となるように、散気を行うものであることを特徴とする浸漬型膜分離装置。 - 前記散気装置は、さらに微細気泡散気装置を備えていることを特徴とする請求項1記載の浸漬型膜分離装置。
- 前記微細気泡散気装置は、前記両方の端部領域用粗大気泡散気装置及び前記中央部領域用粗大気泡散気装置を収納する散気ケースの外部に配置されていることを特徴とする請求項2記載の浸漬型膜分離装置。
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