JP4200570B2 - テンショナー - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は自動車エンジンのカムシャフト部材に駆動力を伝達するタイミングベルトまたはタイミングチェーンに一定の張力を付与するテンショナーに関する。
【0002】
【従来の技術】
テンショナーはチェーンやタイミングベルトが使用中に伸びたり、摩耗して緩みが生じたときに、これらを一定の方向に押し付けて一定の張力を付与するために使用されている。
【0003】
図7は従来のテンショナーを示す構成図である。ケース12の内部に第1及び第2のシャフト部材9,10が組み付けられて挿入されている。ケース12はエンジン本体に取り付けられるものであり、このため、取付孔33が形成されたフランジ部31が外側に延びている。
【0004】
第1及び第2のシャフト部材9,10の組み付けは、第1のシャフト部材9の外周面に雄ねじ部32を形成する一方、第2のシャフト部材10の内周面に雌ねじ部33を形成し、これらのねじ部32,33を螺合させることによって行われる。組み付けられた第1及び第2のシャフト部材9,10は、第1のシャフト部材9の後端部を受座15に嵌合させることによりケース12内に支持される。又、組み付け状態では、第1のシャフト部材9は前側略半分部分に螺合しており、後側略半分部分に捩りばね11が外挿されている。
【0005】
捩りばね11は一端が第1のシャフト部材9に係止され、他端がケース12に係止されている。従って、捩りばね11を捩って所定のトルクを付与させた状態で組み立てると、捩りばね11の回転付勢力によって第1のシャフト部材9が回転するようになっている。
【0006】
第2のシャフト部材10は筒状となっており、第1のシャフト部材9の前側の略半分部分が螺合状態で挿入される。この第2のシャフト部材10は軸受34を挿通することにより、軸受34によって支持されている。軸受34はケース12の先端部分に固定されている。
【0007】
前記軸受34には略小判形状の摺動孔35が形成されている。又、第2のシャフト部材10の外周は摺動孔35と同形状に形成されており、第2のシャフト部材10を軸受34の摺動孔35に挿入することにより、第2のシャフト部材10の回転が拘束される。
【0008】
このような構造では、捩りばね11の回転付勢力の作用により第1のシャフト部材9が回転しても、第1のシャフト部材9に螺合している第2のシャフト部材10は回転することがない。このため、捩りばね11の回転付勢力が第1のシャフト部材9の回転を介して第2のシャフト部材10の推進力に変換され、第2のシャフト部材10が進出する。これにより、第2のシャフト部材10はタイミングベルトやチェーンを常に押し付けるため、これらに一定の張力を付与することができる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述した従来のテンショナーでは、第2のシャフト部材が進出するプッシュタイプの構造であるので、エンジン本体内のタイミングチェーンやタイミングベルトを押し付けるようにテンションーをエンジン本体に取り付けるには、テンショナーをエンジン本体若しくはチェーンおよびベルトラインの外部に取り付ける必要がある。このため、エンジン本体の外部には、突出部分が多くなってしまう。この突出部分の増大は、ユーザによっては、外観上からも好ましくなく、エンジン本体の内部にテンショナーを設け、エンジン本体の外部に突出部分をなくすことが課題となっていた。
【0010】
そこで、本発明は、このような課題を考慮してなされたものであり、エンジン本体の内部への取付けを可能し、エンジン本体の外部における突出部分をなくすことのできるテンショナーを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、請求項1に記載のテンショナーは、エンジン内部に取り付けられるテンショナーであって、軸方向の移動が拘束された回転可能な第1のシャフト部材と、この第1のシャフト部材に螺合によって取り付けられると共に軸方向への移動が可能で且つ回転が拘束された第2のシャフト部材と、前記第1のシャフト部材を一方向に回転付勢するばねと、をケース内に収容する構造となっており、前記第2のシャフト部材をケース内に引き込む方向に前記ばねが第1のシャフト部材を回転付勢し、前記付勢による第2のシャフト部材の引き込み方向と逆方向の軸荷重を受ける受座が、前記ケース内に設けられるとともに、前記第1のシャフト部材にフランジ部が設けられ、前記フランジ部が前記受座に接触することで前記荷重を受けることを特徴とする。
【0012】
また、請求項2に記載の発明は、前記受座に対して摺動回転するフランジ部が前記第1のシャフト部材に形成され、前記受座およびフランジ部が前記第2のシャフト部材に作用する引き込み方向に向かって径が漸増する斜面ないし球面で接触している構成とした。この構成により、自動調心性をもたせ、偏心荷重が作用しても、作動の円滑性をより一層向上させることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)
以下、実施の形態1を図面を参照して詳細に説明する。図1は、実施の形態1に係るテンショナーをエンジン本体内に設けたレイアウトを示すレイアウト図である。実施の形態1に係るテンショナーはエンジン本体1内に設けられることにより、エンジン本体1の外部に形成される突出部分をなくす構造となっている。
【0014】
すなわち、エンジン本体1内にクランクスプロケット2と、一対のカムスプロケット3との間に無端状のタイミングチェーン4が掛け渡されている。チェーンガイド5は、タイミングチェーン4を案内する弯曲状の案内面6を有し、基部の支点7を中心にして揺動できるように取り付けられている。このチェーンガイド5にテンショナー26が連結プレート8を介して連結されている。このテンショナー26でチェーンガイド5を図1において反時計方向に揺動させることにより、タイミングチェーン4の張力を調整する構造となっている。
【0015】
図2は図1のテンショナーの構成を示す構成図である。このテンショナーは、軸方向の移動が拘束された回転可能な第1のシャフト部材9と、この第1のシャフト部材9に螺合によって取り付けられると共に軸方向への移動が可能で且つ回転が拘束された第2のシャフト部材10と、前記第1のシャフト部材9を一方向に回転付勢するばねとをケース12内に収容し、第1のシャフト部材9の回転力を第2のシャフト部材10をケース12内に引き込む引込力に変換するプルタイプの構造としたものである。
【0016】
詳しくは、前記第1のシャフト部材9は中実状に、第2のシャフト部材10は中空状にそれぞれ形成されている。第2のシャフト部材10は断面小判型形状を有し、これに対応した小判状の軸受孔13が軸受部14に形成されることにより、第2のシャフト部材10は、回転が拘束され、且つ軸方向に移動可能に取り付けられている。
【0017】
前記ばねとして捩りばね11を用い、この捩りばね11は、第1および第2のシャフト部材9,10を貫挿し、一端が第1のシャフト部材9の外周面に形成した溝13内に係止され、他端がケース12の開口端部に切欠した孔14に係止されている。この捩りばね11は、その捩り方向と第1及び第2のシャフト部材9,10の螺合部22の螺合方向との組み合わせにより第2のシャフト部材10をケース12内に引き込む方向に第1のシャフト部材9を回転付勢する機能を有する。
【0018】
第2のシャフト部材10の引き込み方向と逆方向の軸荷重を受ける受座15がケース12内に設けられている。前記受座15に対して摺動回転するフランジ部16が前記第1のシャフト部材9に形成され、前記受座15およびフランジ部16が平面で接触している構成となっている。
【0019】
前記フランジ部16の端部に溝17が形成され、この溝17に工具を差し込んで第1のシャフト部材9を予め逆回転させておくことにより第2のシャフト部材10をケース12内に引き込む方向に第1のシャフト部材9を回転付勢し、不使用の際、ストッパ18を溝17に差し込んで第1のシャフト部材9の回転を阻止する構造となっている。この構造により、第2のシャフト部材10がケース12内に引き込まれように付勢される。符号20はケース12の開口端部を覆うカバーであり、中心に工具またはストッパ18を差し込む穴21が形成されている。
【0020】
次に、上記の構成において、テンショナーの作用を説明する。図3は実施の形態1に係るテンショナーの作用を示す作用説明図である。タイミングチェーン4でクランクスプロケット2からカムスプロケット3に駆動伝達させると、チェーンガイド5では、タイミングチェーン4の張力によって時計方向に揺動せんとする揺動力が連結プレート8に作用する。
【0021】
一方、テンショナーでは、第2のシャフト部材10をケース12内に引き込む方向に第2のシャフト部材10に引込力が作用する。この引込力と揺動力とが互いに逆方向で釣り合う位置に第2のシャフト部材10がケース12から引き出される。タイミングチェーン4の張力が交番的に増減するが、テンショナーは、タイミングチェーン4の交番的な張力の増減を相殺するように釣り合い位置を交番的に移動させる。これによりタイミングチェーン4に一定の張力を付与することができる。
【0022】
このように、テンショナーとしてプッシュタイプに代えてプルタイプのものを用いたので、エンジン本体1の内部への取付けを可能し、エンジン本体1の外部における突出部分をなくすことができる。また、実施の形態1に係るテンショナーは、ケース12内に第2のシャフト部材10を引き込むことにより、第1および第2のシャフト部材9,10が互いに引張り合うプルタイプの構造であるので、第2のシャフト部材を引き出す方向の反力が揺動力により作用した場合の第1および第2のシャフト部材9,10の螺合部22での作動の円滑性および安定性を向上させることができる。また、第2のシャフト部材10における引き込みおよび引き出しのいずれの作動性も向上させることができる。したがって、タイミングチェーン4の過張力やばたつきを防止することができる。
【0023】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2を図面を参照して詳細に説明する。図4は、実施の形態2に係るテンショナーを示し、(a)は第1のシャフト部材のフランジ部および受座が斜面で接触する場合を、(b)は第1のシャフト部材のフランジ部および受座が球面で接触する場合をそれぞれ示す構成図である。実施の形態2に係るテンショナーは前記実施の形態1と略同様の構成を有するが、以下の構成の点で特徴を有する。即ち、図4(a)に示すように、第1のシャフト部材9の端部に形成されるフランジ部16と、このフランジ部16を受ける受座15とは第2のシャフト部材10の引き込み方向に向かって径が漸増する斜面24で接触する構成となっている。また、図4(b)に示すように、第1のシャフト部材9の端部に形成されるフランジ部16と、このフランジ部16を受ける受座15とは第2のシャフト部材10の引き込み方向に向かって径が漸増する球面25で接触する構成となっている。この構成において、フランジ部16が前記斜面24または球面25により案内されて軸芯方向に移動する自動調心性をもたせことにより、作動の円滑性をより一層向上させることができる。さらに、偏心荷重が作用した場合でも、安定した作動性を確保することができる。
【0024】
(実施の形態3)
次に、実施の形態3を図面を参照して詳細に説明する。図5は、実施の形態3に係るテンショナーを示し、(a)は外観構成を、(b)は内部構成をそれぞれ示す構成図である。実施の形態3に係るテンショナーは前記実施の形態1とは第1および第2のシャフト部材9、10のレイアウト・組み合わせを逆仕様とした点で特徴を有する。
【0025】
すなわち、第1のシャフト部材9は中空状に、第2のシャフト部材10は中実状にそれぞれ形成されている。第1のシャフト部材9の端部にフランジ部16が形成され、このフランジ部16と面摺動するフラットな受座15がケース12の端部に取り付けられている。前記ケース12の開口端部にカバー20が取り付けられ、このカバー20には、その側壁にピン孔23が、その端部に穴21がそれぞれ形成されている。
【0026】
第1のシャフト部材9の開口端部に切欠孔27が形成されている。この切欠孔27は前記ピン孔23から挿入されるストッパピン18bを係止させると共に、前記穴21から挿入される工具を引っ掛ける機能を有する。実施の形態3に係るテンショナーの作用については、前記実施の形態1と略同様であるので、その説明を省略する。
【0027】
(実施の形態4)
次に、実施の形態4を図面を参照して詳細に説明する。図6は、実施の形態4に係るテンショナーを示し、(a)は左側面を、(b)は内部構成をそれぞれ示す構成図である。実施の形態4に係るテンショナーは前記実施の形態3と略同様の構成を有するが、ばねとしてゼンマイ11を用いたゼンマイタイプの構成とした点で特徴を有する。
【0028】
すなわち、第1のシャフト部材9の両端部の途中にフランジ部16が形成され、このフランジ部16を受けるフラットな受座15がケース12の開口端部に形成した段付部30に嵌合により取り付けられている。ブラケット28より突出する第1のシャフト部材9の端部にゼンマイ11が装着され、ゼンマイ11の一端が第1のシャフト部材9c端部に形成したスリット29に係止され、他端がカバー20の外側に突出して折曲されることにより係止されている。
【0029】
前記カバー20には、その側壁にピン孔23が、その端部に穴21がそれぞれ形成されている。前記ゼンマイ11の一端を係止するスリット29は、前記穴21cから挿入されるストッパピン18を係止させると共に、前記穴21から挿入される工具を引っ掛ける機能を有する。第2のシャフト部材10のヘッドとチェーンガイド5とはピン連結されている。実施の形態2に係るテンショナーの作用については、前記実施の形態1と略同様であるので、その説明を省略する。
【0030】
なお、本発明は、前記実施の形態1〜4に限定されるものでなく、種々の改変が可能であることは、勿論である。例えば、前記実施の形態1〜4では、タイミングチェーンの張力調整に用いたテンショナーで説明したが、これに限らず、タイミングベルトの張力調整に用いるテンショナーに適用することもできる。
【0031】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、請求項1に記載の発明によれば、テンショナーをプルタイプの構成としたので、エンジン本体の内部への取付けを可能し、エンジン本体の外部における突出部分をなくすことができる。また、テンショナーがケース内に第2のシャフト部材を引き込むことにより、第1および第2のシャフト部材が互いに引張り合うプルタイプの構造であるので、第2のシャフト部材を引き出す方向の反力が揺動力により作用した場合の第1および第2のシャフト部材の螺合部での作動の円滑性および安定性を向上させることができる。また、第2のシャフト部材における引き込みおよび引き出しのいずれの作動性も向上させることができる。したがって、タイミングチェーンの過張力やばたつきを防止することができる。
【0032】
また、請求項2に記載の発明によれば、前記受座およびフランジ部が前記第2のシャフト部材に作用する引き込み方向に向かって径が漸増する斜面ないし球面で接触している構成としたので、自動調心性をもたせ、偏心荷重が作用しても、作動の円滑性をより一層向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1に係るテンショナーをエンジン本体内に設けたレイアウトを示すレイアウト図である。
【図2】図1のテンショナーの構成を示す構成図である。
【図3】実施の形態1に係るテンショナーの作用を示す作用説明図である。
【図4】実施の形態2に係るテンショナーを示し、(a)は第1のシャフト部材のフランジ部および受座が斜面で接触する場合を、(b)は第1のシャフト部材のフランジ部および受座が球面で接触する場合をそれぞれ示す構成図である。
【図5】実施の形態3に係るテンショナーを示し、(a)は外観構成を、(b)は内部構成をそれぞれ示す構成図である。
【図6】実施の形態4に係るテンショナーを示し、(a)は左側面を、(b)は内部構成をそれぞれ示す構成図である。
【図7】従来のテンショナーを示す構成図である。
【符号の説明】
1 エンジン本体
2 クランクスプロケット
3 カムスプロケット
4 タイミングチェーン
5 チェーンガイド
6 案内面
7 支点
8 連結プレート
9 第1のシャフト部材
10 第2のシャフト部材
11 捩りばね
12 ケース
13 溝
14 孔
15 受座
16 フランジ部
17 溝
18 ストッパ
20 カバー
21 穴
22 螺合部
23 ピン孔
24 斜面
25 球面
26 テンショナー
27 切欠孔
28 ブラケット
29 スリット
30 段付部
Claims (2)
- エンジン内部に取り付けられるテンショナーであって、
軸方向の移動が拘束された回転可能な第1のシャフト部材と、
この第1のシャフト部材に螺合によって取り付けられると共に軸方向への移動が可能で且つ回転が拘束された第2のシャフト部材と、
前記第1のシャフト部材を一方向に回転付勢するばねと、をケース内に収容する構造となっており、
前記第2のシャフト部材をケース内に引き込む方向に前記ばねが第1のシャフト部材を回転付勢し、前記付勢による第2のシャフト部材の引き込み方向と逆方向の軸荷重を受ける受座が、前記ケース内に設けられるとともに、
前記第1のシャフト部材にフランジ部が設けられ、
前記フランジ部が前記受座に接触することで前記荷重を受けることを特徴とするテンショナー。 - 前記受座に対して摺動回転するフランジ部が前記第1のシャフト部材に形成され、前記受座およびフランジ部が前記第2のシャフト部材に作用する引き込み方向に向かって径が漸増する斜面ないし球面で接触していることを特徴とする請求項1に記載のテンショナー。
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