JP4200593B2 - 結晶質l−アスコルビン酸−2−リン酸エステルナトリウム塩およびその製造方法 - Google Patents

結晶質l−アスコルビン酸−2−リン酸エステルナトリウム塩およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規な結晶質のL−アスコルビン酸−2−リン酸エステルナトリウム塩(以下「APS」と略記することがある。)およびその製造方法に関する。結晶質APSはL−アスコルビン酸誘導体として有用であり、化粧品、医薬品、食品添加物、その他各種の工業分野に使用される。
【0002】
【従来の技術】
L−アスコルビン酸(ビタミンC)は多様な生理作用、薬理作用を持つことが知られていたが、なかでもメラニン色素沈着防止への効果があることから美白化粧料に用いられてきた。L−アスコルビン酸は、酸素、熱に対して不安定であり、この不安定なL−アスコルビン酸の2位の水酸基をリン酸エステル化することにより、安定化させ、様々な用途に用いられる。特にナトリウム塩、すなわちAPSは水に対して溶解度が高い特徴を持ち、化粧品用途として使われている。
APSの粉末は、従来吸湿性であることにより、長期の保存状態によっては安定性に問題を来す場合があり、加水分解を起こしやすく、元の原料であるビタミンCが生じ、さらに分解する。その結果、この粉末は段々と白色から黄色に変色していくため、化粧品、医薬品、食品添加物等に使用する際に変色、着色の問題が生じる。したがって、保存時の吸湿性改善が望まれている。
APSの製造方法については、L−アスコルビン酸−2−リン酸エステル(以下{AP}と略記することがある。)に関する報告の中に、一部紹介されている。例えば、特開平−2131494号公報に、APSの結晶の製造に関する記述がある。APSを含有する水溶液に、40〜80℃の温度で加熱・還流しながら、メタノールを添加し、さらに、2〜10時間加熱還流した後に、一晩かけて室温まで冷却して、APSの結晶を取得している。この方法では、収率が71〜85%と低い。また、APSを含有する水溶液を40〜80℃という温度で長時間加熱するため、APSの分解がおこり収率が低下することや夾雑するビタミンCが分解して着色する欠点がある。さらに、この方法によると、添加終了後2〜10時間加熱還流を継続することや一晩かけて室温まで冷却するなど生産性が低いという欠点がある。特開平10−17580号公報に、有機溶媒中に非晶質APSを懸濁させ、加熱することにより結晶質APSを製造する方法の記述がある。この方法についても40〜120℃という温度が必要であり、工業的には加温設備と還流設備の設置が必要となり、繁雑となる。さらに、この方法では固体状の非晶質APSを事前に取得する必要があり、非晶質APSは晶析湿体を分離する際の濾過性が悪く、工業的にも効率的な方法とはいえない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このように、これまでの吸湿性を改善できる結晶質APSを製造する方法は、簡便性、収率、着色等の面で充分とは言い難い。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、前記欠点を改善するために鋭意検討した結果、室温近辺で、簡便且つ短時間に、変色、着色の少なく、工業的に生産が容易な吸湿性を改善した新規な結晶質APSが得られることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、次の事項に関する。
(1)L−アスコルビン酸−2−リン酸エステルイオンに対するナトリウムイオンがモル比で3未満の水溶液から有機溶媒を貧溶媒として晶析することを特徴とする結晶質L−アスコルビン酸−2−リン酸エステルナトリウム塩の製造方法。
(2)炭素数4以下の低級脂肪族アルコール、炭素数4以下の脂肪族飽和ケトンおよび炭素数4〜6の環状エーテルから選ばれる1種または2種以上の有機溶媒を、L−アスコルビン酸−2−リン酸エステルイオンに対するナトリウムイオンがモル比で3未満になるよう調整されたL−アスコルビン酸−2−リン酸エステルナトリウム塩を含有する水溶液に添加、あるいはL−アスコルビン酸−2−リン酸エステルイオンに対するナトリウムイオンがモル比で3未満になるよう調整されたL−アスコルビン酸−2−リン酸エステルナトリウム塩を含有する水溶液を有機溶媒中に添加し、かかる添加を0〜40℃の温度範囲で、有機溶媒の溶液中濃度が30〜90%(V/V)になるように、0.5〜10時間かけて滴下することを特徴とする結晶質L−アスコルビン酸−2−リン酸エステルナトリウム塩の製造方法。
(3)L−アスコルビン酸−2−リン酸エステルイオンに対するナトリウムイオンがモル比で2.70〜2.99である(1)または(2)に記載の製造方法。
【0005】
(4)L−アスコルビン酸−2−リン酸エステルナトリウム塩の濃度が溶液中で1〜15(wt/V)である(1)〜(3)のいずれかに記載の製造方法。
(5)有機溶媒が、メタノールおよび/またはアセトンである(1)〜(4)のいずれかに記載の製造方法。
(6)CuKα線を用いる粉末X線回折で、面間隔d( )および相対強度[()内に%で表わす。]の解析パターンが実験誤差の範囲内で10.35(61)、8.45(100)、7.09(27)、6.43(8)、5.76(9)、5.16(89)、4.96(30)、4.57(10)、4.37(28)、4.20(47)、4.13(18)4.01(14)、3.59(47)、3.47(39)、3.37(10)、3.29(17)、3.11(57)、3.07(49)、3.03(30)、2.99(25)、2.95(21)、2.90(11)、2.81(17)、2.74(23)、2.67(40)、2.57(60)、2.43(19)、2.35(34)、2.28(13)、2.23(10)、2.06(19)、1.94(12)、1.85(10)、1.76(12)である結晶質L−アスコルビン酸−2−リン酸エステルナトリウム塩。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を具体的に説明する。
【0007】
本発明に係る新規な結晶質APSは次の物理化学的性質を示す。
(1)X線回折スペクトル;CuKα線、40kV、40mAの条件で測定して得られたX線回折結果を 面間隔d( )および相対強度[()内に%で表す。]は次のとおりである。ただし、X線回折結果は測定条件によっては、通常許容される範囲内で変更する。
10.345(61)、8.450(100)、7.087(27)6.430(8)、5.764(9)、5.157(89)、4.957(30)、4.572(10)、4.367(28)、4.203(47)、4.134(18)4.005(14)、3.593(47)、3.466(39)、3.368(10)、3.288(17)、3.114(57)、3.074(49)、3.025(30)、2.988(25)、2.947(21)、2.899(11)、2.812(17)、2.743(23)、2.673(40)、2.573(60)、2.434(19)、2.352(34)、2.278(13)、2.230(10)、2.064(19)、1.940(12)、1.847(10)、1.762(12)。
(2)赤外吸収スペクトル;KBr錠剤法で測定した赤外吸収スペクトルを第1図に示す。
(3)溶解性は、水に可溶(25℃における溶解度は38%(wt/V)であり、有機溶媒に不溶(アルコール類、ケトン類、クロロホルム等)である。
(4)吸湿性は、第2図に非晶質APSとの吸湿による重量増加率の比較を示す。
【0008】
本発明の結晶質APSの製造方法によると、APイオンに対するナトリウムイオンがモル比で3未満になるよう調整されたAPSを含有する溶液を使用する。
APイオンに対するナトリウムイオンがモル比で3を越えるよう調整されたAPSを含有する溶液に有機溶媒を滴下した場合、0〜40℃の温度条件であっても、析出したAPSは、飴状で部分的に寒天状になり分離が困難になる。APイオンに対するナトリウムイオンがモル比で3を越えるよう調整されたAPSを含有する溶液を有機溶媒に滴下した場合、非結晶のAPSかあるいは特開平2-131494号公報に記述された結晶質APSが生成するが、晶析後分離による濾過性が悪くなり、分離が困難になり、固液分離不良による純度の低下を招く。
【0009】
しかしながら、APイオンに対するナトリウムイオンがモル比で3未満になるよう調整されたAPSを含有する溶液を使用すると、APSを含有する溶液中に有機溶媒を添加好ましくは滴下、あるいはAPSを含有する溶液を有機溶媒中に添加好ましくは滴下する場合のいずれも結晶質のAPSが取得でき、晶析後分離の濾過性も非常に良い。
【0010】
このように、室温近辺、特に0〜40℃の温度条件で、APイオンに対するナトリウムイオンがモル比で3未満になるよう調整されたAPSを含有する溶液で晶析を行い、結晶質APSを取得することにより、短時間に効率よく、品質の良い結晶質のAPSを製造することができる。
本発明で用いられるAPSを含有する溶液は、APを含有している溶液であればよいが、水溶液が好ましい。AP溶液、APのアルカリ金属塩溶液もしくはアルカリ土類金属塩溶液などから調製できる。例えば、アスコルビン酸を直接ホスホリル化して得られたAP含有溶液(特公昭43−9219号公報、特公昭45-23746号公報、特開平6-345786公報等)が挙げられる。また、5,6−O−イソプロピリデン−L−アスコルビン酸をホスホリル化して得られたAP含有溶液(特公昭43−9219号公報、特公昭45−4497号公報、特公昭45−30328号公報、特公昭59−4438号公報等)も好適に利用できる。更に、L−アスコルビン酸とリン酸供与体とから酵素あるいは微生物の作用により生成したAP含有溶液(特開平2−42996号公報等)も利用できる。金属塩としてはカリウム塩、ナトリウム塩、アルカリ土類金属塩としてはマグネシウム塩、カルシウム塩が挙げられる。
【0011】
APが塩の形である場合、あるいはAP含有溶液がアルカリ金属、アルカリ土類金属を含有する場合は、その水溶液を適当なイオン交換樹脂で処理して脱カチオンすることが望ましい。APをイオン交換樹脂に吸着させ、0.1〜2Nの希塩酸で溶出した後、水酸化ナトリウムでナトリウム量の調整が行われる。
水酸化ナトリウムによるナトリウム量調整は、通常10〜48%の水酸化ナトリウム水溶液で行われる。調整するナトリウムの範囲はAPイオンに対するナトリウムイオンがモル比で3未満であるが、回収率の観点から、その範囲が2.70〜2.99であることが特に好ましい。
ナトリウム調整後の溶液中のAPSの濃度は1〜15%(wt/V)、好ましくは5〜10%(wt/V)であり、必要に応じて水で希釈し、あるいは加熱、減圧、逆浸透膜等によって濃縮される。
【0012】
次いで撹拌下、下記に示す有機溶媒を、添加終了後の溶液中の有機溶媒濃度が30〜90%(V/V)の範囲内で用い、APSを含有する溶液を有機溶媒中に添加好ましくは滴下する。この時に用いられる有機溶媒の量は、少なすぎるとAPSの回収率が低下する。一方、多すぎてもAPSの回収率にはほとんど変化ない。したがって、用いる有機溶媒の種類によって多少異なるが、50〜80%(V/V)の範囲が特に好ましい。
【0013】
本発明で用いられる有機溶媒は、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等の炭素数4以下の低級脂肪族アルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等の炭素数4以下の脂肪族飽和ケトン類、およびテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等の炭素数4〜6の環状エーテル類が挙げられる。これらの溶媒は単独でも、混合しても用いることができる。これらの有機溶媒は、APSを固体として単離した後、水−有機溶媒系の母液から蒸留などの操作によって回収されるため、共沸点をもたずに低沸点で安価な溶媒が好ましい。したがって、メタノール、アセトンまたはその混合溶媒が特に好ましい。
【0014】
APSを含有する溶液を有機溶媒中に添加する時の温度は、室温近辺、特に0〜40℃で行わうことが適当である。APSを含有する溶液と有機溶媒を混合すると、混ざる時に希釈熱を発するため、予め有機溶媒あるいはAPSを含有する溶液を10〜20℃に冷却しておき、また、添加するAPSを含有する溶液あるいは有機溶媒も予め10〜20℃に冷却しておくことが好ましい。添加中の温度が、40℃以上になると、APSの分解や夾雑するVCの分解がおこり、着色するため好ましくない。また、0℃以下の温度ではAPSの回収率や着色に関する問題はないが、冷凍機などの冷却設備の能力を大きくしなければならないため経済的に不利である。添加中も冷却を継続し、10〜30℃に保ちながら添加を行うことが、特に好ましい。
【0015】
APSを含有する溶液を添加するのに要する時間は、0.5〜10時間である。滴下時間が速すぎると、析出したAPSの粒子径が細かくなり、遠心分離機で分離取得する際に目漏れをおこし回収率が低くなる。滴下時間が遅い場合は、回収率や着色に問題はないが、無意味にプラントを占有するため経済的に不利になる。したがって、1〜6時間で添加することが特に好ましい。
【0016】
有機溶媒中にAPSを含有する溶液を滴下した後、0〜40℃の温度で0.25〜1時間熟成させ、遠心分離機等の装置を用いて、APSの固体を単離し、前記有機溶媒で充分洗浄した後、真空乾燥等の処理によって、白色粉末状の結晶質APSが、高純度かつ高収率で得られる。
【0017】
本発明の結晶質APS製造方法においては、有機溶媒中に予め本発明に係る結晶質APSを種晶として添加しておき、この有機溶媒にAPイオンに対するナトリウムイオンがモル比で3未満のAPSを含有する水溶液を添加することにより本発明に係る結晶質APSを製造することができる。
【0018】
本発明の製造方法によって得られる結晶質APSは、吸湿性が少なく、安定性に優れており、例えば医薬品(例、口腔用薬剤、点眼剤、浴用剤等)、化粧品(例、化粧水、乳液、クリーム、パック等)、食品(例、パン等)などとして用いられる。
【0019】
【実施例】
次に実施例によって、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0020】
実施例1
窒素雰囲気下、純水1210mL、ピリジン303g及び5,6−イソプロピリデン−L−アスコルビン酸150gを混合溶解し、0〜10℃に冷却後、50%水酸化カリウム水溶液を加えて、pHを約13に調整した。この溶液に、オキシ塩化リン150gと50%水酸化カリウム水溶液とを滴下しながら、pH13、0〜10℃の温度を保って反応を行った。滴下終了後、ピリジンを減圧下、留去し、35%塩酸を加えてpHを4に調整した。
このpH調整液に純水6500mLを加えて希釈した後、中塩基性陰イオン交換樹脂(アンバーライトIRA−68 オルガノ製)2000mLを詰めたカラムに通した。次いで、0.05N−塩酸23.5Lで展開した。更に、0.2N−塩酸11Lで展開し、APのみを含有する分画区分を得た。
この分画区分の溶液に48%水酸化ナトリウム水溶液を加え、2−APイオンのモル量に対するナトリウムイオンのモル量の比が2.85になるように調整した。減圧下、APSの濃度が9%(wt/V)になるまで濃縮操作を加え、APSを含有する溶液を得た。
窒素雰囲気下、95%メタノール750mLを400rpm の速度で撹拌し、10〜15℃に冷却した。予め10〜15℃に冷却しておいたAPSを含有する溶液250mLを、液の温度が10〜25℃の範囲になるように冷却を継続しながら、4時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに1時間撹拌を継続し、熟成させた。
【0021】
遠心分離機を用いて、析出したAPSの固体を濾取し、その固体を95%メタノール100mLで充分に洗浄した。
真空下、40℃で乾燥し、結晶質APSを20.0g(収率89%)得た。
【0022】
実施例2
実施例1と同様な方法でAPSを含有する溶液を調製した。
窒素雰囲気下、98%アセトン500mLを400rpm の速度で撹拌し、10〜15℃に冷却した。予め10〜15℃に冷却しておいたAPSを含有する出発溶液250mLを、液の温度が10〜25℃の範囲になるように冷却を継続しながら、4時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに0.5時間撹拌を継続し熟成させた。
遠心分離機を用いて、析出したAPSの固体を濾取し、その固体を98%アセトン80mLで充分に洗浄した。
真空下、40℃で乾燥し、結晶質APSを20.5g(収率91%)得た。
【0023】
実施例3
実施例1と同様な方法でAPSを含有する溶液を調製した。
窒素雰囲気下、98%テトラヒドロフラン750mLを400rpmの速度で撹拌し、10〜15℃に冷却した。予め10〜15℃に冷却しておいたAPSを含有する出発溶液250mLを、液の温度が10〜25℃の範囲になるように冷却を継続しながら、2時間かけて滴下した。滴下終了後、更に1時間撹拌を継続し熟成させた。
遠心分離機を用いて、析出したAPSの固体を濾取し、その固体を98%テトラヒドロフラン120mLで充分に洗浄した。
真空下、40℃で乾燥し、結晶質APSを19.6g(収率87%)得た。
【0024】
実施例4
実施例1と同様な方法でAPSを含有する溶液を調製したが、この時のAPイオンのモル量に対するナトリウムイオンのモル比が2.55に調整した。
窒素雰囲気下、95%メタノール750mLを400rpmの速度で撹拌し、10〜15℃に冷却した。予め10〜15℃に冷却しておいたAPSを含有する出発溶液250mLを、液の温度が10〜25℃の範囲になるように冷却を継続しながら、6時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに0.5時間撹拌を継続し熟成させた。
遠心分離機を用いて、析出したAPSの固体を濾取し、その固体を95%メタノール100mLで充分に洗浄した。
真空下、40℃で乾燥し、結晶質APSを15.8g(収率70%)得た。
【0025】
実施例5
L−アスコルビン酸−2−リン酸エステルマグネシウム塩32gを純水368gに溶解した。この溶液を強酸性陽イオン交換樹脂(アンバーライトIR−120B オルガノ製)2000mLを詰めたカラムに通した。更に純水1200 を通してAPのみを含有する溶液1600mLを得た。この溶液に含まれるマグネシウムイオンは3ppm以下であった。
この溶液に48%水酸化ナトリウム水溶液を加え、APイオンに対するナトリウムイオンのモル比が2.85になるように調整した。減圧下、APSの濃度が9%(wt/V)になるまで濃縮操作を加え、出発溶液を得た。
窒素雰囲気下、95%メタノール750mLを400rpmの速度で撹拌し、10〜15℃に冷却した。予め10〜15℃に冷却しておいたAPSを含有する出発溶液250mLを、液の温度が10〜25℃の範囲になるように冷却を継続しながら、2時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに0.25時間撹拌を継続し、熟成させた。
遠心分離機を用いて、析出したAPSの固体を濾取し、その固体を95%メタノール100mLで充分に洗浄した。
真空下、40℃で乾燥し、結晶質APSを20.7g(収率92%)得た。
【0026】
実施例6
実施例1と同様な方法でAPSを含有する出発溶液を調整した。
窒素雰囲気下、APSを含有する出発溶液250mLを300rpmの速度で撹拌し、10〜15℃に冷却した。予め10〜15℃に冷却しておいた95%メタノール750mLを、液の温度が10〜25℃の範囲になるように冷却を継続しながら、4時間かけて滴下した。滴下終了後、更に0.5時間撹拌を継続し、熟成させた。
遠心分離機を用いて、析出したAPSの固体を濾取し、その固体を95%メタノール100mLで充分に洗浄した。
真空下、40℃で乾燥し、結晶質APSを20.3g(収率90%)得た。
【0027】
【発明の効果】
本発明の製造方法により、簡便且つ高収率に結晶質のL−アスコルビン酸−2−リン酸エステルナトリウム塩が提供される。また、本発明により、吸湿性が少なく安定性の優れた新規な結晶質L−アスコルビン酸−2−リン酸エステルナトリウム塩が提供される。
【0028】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で得られた結晶質L−アスコルビン酸−2−リン酸エステルナトリウム塩の赤外線吸収スペクトルである。
【図2】結晶質L−アスコルビン酸−2−リン酸エステルナトリウム塩と非晶質L−アスコルビン酸−2−リン酸エステルナトリウム塩の吸湿(条件:相対湿度75±5%、温度25℃)による重量増加率の比較データである。縦軸は元の重量と比較したときの増加率を示し、横軸は時間を示す。
【0029】
【符号の説明】
1 結晶質L−アスコルビン酸−2−リン酸エステルナトリウム塩の吸湿増加率曲線
2 非晶質L−アスコルビン酸−2−リン酸エステルナトリウム塩の吸湿増加率曲線

Claims (6)

  1. L−アスコルビン酸−2−リン酸エステルイオンに対するナトリウムイオンがモル比で3未満の水溶液から有機溶媒を貧溶媒として晶析することを特徴とする結晶質L−アスコルビン酸−2−リン酸エステルナトリウム塩の製造方法。
  2. 炭素数4以下の低級脂肪族アルコール、炭素数4以下の脂肪族飽和ケトンおよび炭素数4〜6の環状エーテルから選ばれる1種または2種以上の有機溶媒を、L−アスコルビン酸−2−リン酸エステルイオンに対するナトリウムイオンがモル比で3未満になるよう調整されたL−アスコルビン酸−2−リン酸エステルナトリウム塩を含有する水溶液に添加、あるいはL−アスコルビン酸−2−リン酸エステルイオンに対するナトリウムイオンがモル比で3未満になるよう調整されたL−アスコルビン酸−2−リン酸エステルナトリウム塩を含有する水溶液を有機溶媒中に添加し、かかる添加を0〜40℃の温度範囲で、有機溶媒の溶液中濃度が30〜90%(V/V)になるように、0.5〜10時間かけて添加することを特徴とする結晶質L−アスコルビン酸−2−リン酸エステルナトリウム塩の製造方法。
  3. L−アスコルビン酸−2−リン酸エステルイオンに対するナトリウムイオンがモル比で2.70〜2.99である請求項1または2に記載の製造方法。
  4. L−アスコルビン酸−2−リン酸エステルナトリウム塩の濃度が溶液中で1〜15(wt/V)である請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
  5. 有機溶媒が、メタノールおよび/またはアセトンである請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
  6. CuKα線を用いる粉末X線回折で、面間隔d( )および相対強度[()内に%で表わす。]の解析パターンが実験誤差の範囲内で10.35(61)、8.45(100)、7.09(27)、6.43(8)、5.76(9)、5.16(89)、4.96(30)、4.57(10)、4.37(28)、4.20(47)、4.13(18)4.01(14)、3.59(47)、3.47(39)、3.37(10)、3.29(17)、3.11(57)、3.07(49)、3.03(30)、2.99(25)、2.95(21)、2.90(11)、2.81(17)、2.74(23)、2.67(40)、2.57(60)、2.43(19)、2.35(34)、2.28(13)、2.23(10)、2.06(19)、1.94(12)、1.85(10)、1.76(12)である結晶質L−アスコルビン酸−2−リン酸エステルナトリウム塩。
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