JP4202123B2 - 偶高調波ミクサ - Google Patents

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Description

【0001】
【技術分野】
この発明は、無線通信システムの送受信装置に用いられる偶高調波ミクサ、特に、高周波信号の周波数を変換するだけでなく、ディジタル無線通信システムで多用されるGMSK、QPSKまたはQAMなどの変調方式に用いられる直交変調器や直交復調器に適した偶高調波ミクサに関するものである。
【0002】
【背景技術】
高周波信号における周波数混合の手段の1つに、アンチパラレルダイオードペア(APDP)を用いた偶高調波ミクサがある。偶高調波ミクサの原理は、マービン コーン(Marvin Cohn)等による“Harmonic mixing with an antiparallel diode pair”、IEEE Transactions on Microwave theory and techniques,Vol.MTT−23,No.8,pp667−673,August 1975に記載されている。図1はこの文献に記載された従来の偶高調波ミクサの構成を示す概略回路である。図において、1a,1bはダイオード、2はこれらのダイオード1a,1bから成るアンチパラレルダイオードペア(APDP)である。図1に示すように、APDP2では、ダイオード1a,1bが極性が逆になるように並列に接続されている。3は分波回路、4は分波回路3に含まれ一端がRF端子7に接続された高域通過フィルタ(HPF)、5は分波回路3に含まれ一端がHPF4の他端およびAPDP2に接続され他端がLO端子8に接続された帯域通過フィルタ(BPF)、6は分波回路3に含まれ一端がHPF4、BPF5およびAPDP2に接続され他端がIF端子9に接続された低域通過フィルタ(LPF)である。
【0003】
次に動作について説明する。
図1に示す偶高調波ミクサが受信用ミクサとして動作する場合、高周波信号(RF信号)およびローカル発振波(LO波)がRF端子7およびLO端子8を介して分波回路3へ印加される。RF端子7に印加されたRF信号は、分波回路3のHPF4を経てAPDP2に入力される。このとき、RF信号のLO端子8への漏洩はBPF5で阻止される。また、LO端子8に印加されたLO波はBPF5を経てAPDP2に入力される。このとき、LO波のRF端子7への漏洩はHPF4で阻止される。APDP2に印加されたRF信号およびLO波から中間周波信号(IF信号)が発生する。発生したIF信号は、LPF6を経て出力信号端子であるIF端子9へ出力される。このとき、RF信号およびLO波はLPF6で阻止される。
【0004】
図1に示す偶高調波ミクサが送信用ミクサとして動作する場合、IF信号およびLO波がIF端子9およびLO端子8を介して分波回路3に印加される。IF端子9に印加されたIF信号は、LPF6を経てAPDP2に入力される。このとき、IF信号のRF端子7への漏洩はHPF4で阻止される。また、IF信号のLO端子8への漏洩はBPF5で阻止される。さらに、LO端子8に印加されたLO波は、BPF5を経てAPDP2に入力される。このとき、LO波のRF端子7への漏洩はHPF4で阻止される。APDP2は、入力されたIF信号およびLO波からRF信号を発生する。発生したRF信号は、HPF4を経て出力信号端子であるRF端子7へ出力される。
【0005】
次に周波数変換の動作について説明する。
偶高調波ミクサを構成するAPDP2の電圧と電流の関係を図2に示す。ダイオード1a,1bは極性が逆になるように並列に接続されているので、印加電圧が負の場合にはダイオード1aを電流が流れ、印加電圧が正の場合にはダイオード1bを電流が流れる。ところで、各ダイオードを流れる電流は一般的に次式で表される。
I=Is*(exp(qV/kT)―1) (1)
ここで、Isは飽和電流、qは電荷、Vは印加電圧、kはボルツマン定数、Tは絶対温度である。式(1)で表される電流は、印加電圧Vがある値Vtとなるまではほとんど流れず、Vtを超えると急激に増大するという特性を示す。したがって、ダイオード1a,1bから成るAPDP2は、第2図に示すように、V>VtまたはV<−Vtの領域でのみ電流が流れる直流特性を有する素子であるとみなすことができる。こうした、直流特性を有するAPDP2に図3に示す振幅VpのLO波を印加すると、図4に示すように、LO波の振幅が−Vtから+Vtの範囲にあるときはどちらのダイオードにも電流が流れず、LO波の振幅が+Vtを超えたかまたは−Vt未満の時にどちらか一方のダイオードがONして電流が流れる。その結果、APDP2では図5(a)に示すように半周期ごとに逆位相の低周波電流が流れ、図5(b)に示すように半周期ごとにAPDP2は次式で表されるコンダクタンスgが高まる動作をする。
g=|dI/dV| (2)
図5(b)はコンダクタンスgがLO波の2倍の周波数で変化することを意味する。実際に、コンダクタンスの波形をフーリエ解析すると、LO波の2倍の周期となる項の係数の値が大きくなっている。このようにして、APDP2を用いた偶高調波ミクサは、LO波の2倍波と入力信号の混合波を出力することができる。
【0006】
図1に示す従来の偶高調波ミクサは、所望の周波数の半分の周波数のLO波で動作可能である。そのため、上記文献をはじめ大半の公開文献では、偶高調波ミクサはマイクロ波とりわけミリ波の送受信機に適用されており、偶高調波ミクサはLO波の周波数を半分にできるので、送受信機の低価格化の効果をもたらすことが期待されている。
【0007】
しかしながら、このようなAPDPを用いた偶高調波ミクサは、その構成上、LO波電力の変動によって入力信号と出力信号の比である変換利得が大きく変化してしまうという課題がある。図6(a)は印加するLO波の振幅を最適値以下に設定した場合、図6(b)は最適値に設定した場合、図6(c)は最適値以上に設定した場合にそれぞれAPDP2に流れる電流を示すグラフである。図6(a)に示すようにLO波の振幅を最適値以下に設定した場合、LO波の振幅が不足するので十分なコンダクタンスが得られず、ミクサ動作させた場合の変換利得が著しく低下してしまう。図6(b)に示すように最適な振幅のLO波を印加した場合には十分な変換利得が得られる。図6(c)に示すように最適値以上の振幅のLO波を印加した場合には、APDP2を流れる電流の波形はほぼLO波と同一周期の正弦波となる。このため、そのコンダクタンスのフーリエ級数において、LO波の2倍の周期となる項の係数の値は小さくなり、所望の混合波であるLO波の2倍波と入力信号との混合波のレベルが低下し変換利得が低下してしまう。こうした変換利得のLO波電力依存性を第7図に示す。この図から、変換利得が最大となるLO波電力があり、その前後のLO波電力では変換利得が低下することがわかる。
【0008】
また、上記式(1)中の飽和電流Isが絶対温度Tの関数であり、さらに指数項内にもTが含まれるので、ダイオードの直流特性は温度依存性を有する。図8は、このような温度依存性を有する2つのダイオードが極性が逆になるように並列に接続されたAPDP2の直流特性の温度依存性を示すグラフである。電流が流れ始める電圧Vtは温度上昇に伴い減少する。すなわち、高温時には小さい電圧となり、低温時には高い電圧となる。したがって、変換利得のLO波電力依存性は図9に示すように温度によって異なる。したがって、同一のLO波電力でも温度によって変換利得が異なることとなる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従来の偶高調波ミクサは以上のように構成されているので、変換利得のLO波電力依存性および温度依存性を通信機の設計において考慮せねばならずそのために余計なコストがかかるという課題があった。また、偶高調波ミクサに供給されるLO波電力のレベルは部品のばらつきなどにより変動するうえに、偶高調波ミクサそのものの特性のばらつきが重なると、変換利得が大きく変動してしまうという課題もあった。さらに、低温時には変換利得が低下するため、受信機では雑音指数が劣化して受信感度が低下し、送信機では所望の出力が得られず、高温時には変換利得が上昇して信号レベルが高まり、送受信機ともに偶高調波ミクサ後段でひずみが発生するなどの課題があった。
【0010】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、供給されるLO波の振幅の変動や温度変化に起因する変換利得の変動を抑制できる偶高調波ミクサを得ることを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る偶高調波ミクサは、第1の接続点および第2の接続点間に第1の抵抗、第1のダイオードおよび第2の抵抗の順に直列に接続された第1の直列部と、第1の接続点および第2の接続点間に第3の抵抗、第2のダイオードおよび第4の抵抗の順に直列に接続されると共に第1の直列部に対して並列に接続され、且つ第1および第2のダイオードの極性が逆になるように接続された第2の直列部とを備え、第1の直列部は、第1の抵抗に並列に接続された第1のキャパシタおよび第2の抵抗に並列に接続された第2のキャパシタを有しており、第2の直列部は、第3の抵抗に並列に接続された第3のキャパシタおよび第4の抵抗に並列に接続された第4のキャパシタを有しており、LO波の印加、RF信号およびIF信号の入出力を第1の接続点および第2の接続点のうちの少なくともいずれか一方から行うアンチパラレルダイオードペア手段を備えたものである。
【0012】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、LO波の振幅や温度に関わらず各ダイオードに流れる電流をほぼ一定に保つことができるので、LO波電力の変動および温度変化に起因する偶高調波ミクサの変換利得の変動を抑制できる効果が得られる。
また、アンチパラレルダイオードペア手段に印加されるRF信号は、第1および第2の抵抗を通過せずに第1および第2のキャパシタを通過したり、第3および第4の抵抗を通過せずに第3および第4のキャパシタを通過するので、各ダイオードに直列に接続された抵抗によるRF信号のレベル低下を抑制する効果が得られる。
【0013】
【発明を実施するための最良の形態】
実施の形態1.
図10はこの発明の実施の形態1による偶高調波ミクサの構成を示す概略回路図である。図において、1a,1bはダイオード、10a,10bは抵抗、11はダイオード1a,1bと抵抗10a,10bから成るアンチパラレルダイオードペア部(アンチパラレルダイオードペア手段)である。なお、以下ではアンチパラレルダイオードペア部をAPDPと略す。図10に示すように、APDP11では、互いに極性が逆になるようにダイオード1a,1bが並列接続されているとともに、各ダイオードのカソードに対応する抵抗が直列に接続されている。すなわち、APDP11は、ダイオード1aと抵抗10aとが直列に接続された第1の直列部と、ダイオード1bと抵抗10bとが直列に接続された第2の直列部とから構成され、第1および第2の直列部はダイオード1a,1bの極性が逆になるように並列に接続されている。
【0014】
また、3は分波回路、4は分波回路3に含まれ一端がRF端子7に接続された高域通過フィルタ(HPF)、5は分波回路3に含まれ一端がHPF4の他端およびAPDP11の一端に接続され他端がLO端子8に接続された帯域通過フィルタ(BPF)、6は分波回路3に含まれ一端がHPF4、BPF5、およびAPDP11の一端に接続され他端がIF端子9に接続された低域通過フィルタ(LPF)である。なお、APDP11の他端は接地電位に接続されている。
【0015】
次に動作について説明する。
図11は常温時のAPDP11の端子電圧と電流の関係を示すグラフであり、以下では、図11を参照しながら実施の形態1による偶高調波ミクサの動作を説明する。従来と同様に、APDP11の端子間の印加電圧Vがある値Vtとなるまで、APDP11には電流がほとんど流れず、Vtを超えると電流は急激に増大するという特性を示す。したがって、この実施の形態1によるAPDP11は、図11に示すように、V>VtまたはV<−Vtの領域でのみ電流が流れる直流特性を有する素子であるとみなすことができる。しかしながら、APDP11の端子電圧の増大に伴うAPDP11を流れる電流の増大率は、従来のAPDP2に比べて小さく、端子電圧が多少変化してもAPDP11を流れる電流の変化は極めて小さい。すなわち、LO波の振幅や温度に関わらず各ダイオードに流れる電流をほぼ一定に保つことができるので、コンダクタンスの変動を小さく抑えることができる。したがって、このような直流特性を有するAPDP11にLO波を印加した場合、LO波電力の変動や温度変化に起因する変換利得の変動を小さく抑えることができる。
【0016】
図12は、図10のようにダイオード1a,1bにそれぞれ抵抗10a,10bを直列に接続して構成したAPDP11に印加されるLO波の電力と変換利得の関係を示すグラフである。図11に示す直流特性と同様に、APDP11に印加されるLO波の電力があるしきい値を越えると変換利得は急激に増大するが、LO波電力が所定の値Poに到達すると変換利得は最大値となり、Poを越えて増大するのに伴い変換利得はゆっくり減少する。このように、この実施の形態1によるAPDP11の変換利得は、LO波電力が所定の値Poを越えるとLO波電力の変動に対する変動が小さいというLO波電力依存性を示す。したがって、LO波電力の変動に起因する変換利得の変動を小さく抑えることができる。
【0017】
以上、LO波電力依存性について述べたが、この発明は温度変化に起因する直流特性の変動による変換利得の変動を抑える効果も奏する。図13は常温時のAPDP11の直流特性とともに高温時および低温時の直流特性を示している。上記したように、APDP11の端子電圧の増大に伴うAPDP11を流れる電流の増大率は、従来のAPDP2に比べて小さく、端子電圧が多少変化してもAPDP11を流れる電流の変化は極めて小さい。この結果、たとえ温度が変化しても、同一の端子電圧を印加しているならばAPDP11を流れる電流はほとんど変化しない。図14はAPDP11の変換利得のLO波電力依存性の温度変化に伴う変動を示すグラフである。図に示すように、温度変化に伴い多少は変動するものの、所定の値Po以上のLO波電力を印加すると、温度変化に対する変換利得の変動は非常に小さくなる。
【0018】
以上述べたように、この実施の形態1によれば、偶高調波ミクサに印加されるLO波の電力の変動および温度変化に伴う変換利得の変動を抑制することができる。
以下に示すように、上記した実施の形態1は多くの変形例があり得る。図15はこの実施の形態1の一変形例による偶高調波ミクサの構成を示す概略回路図である。この変形例による偶高調波ミクサはスタブ分波形ミクサであり、図中、図10に示したものと同一の符号は上記実施の形態1による偶高調波ミクサと同一ないしは相当部分を示している。また、12はLO波に対して1/4波長の電気長を有する先端開放線路、13はLO波に対して1/4波長の電気長を有する先端短絡線路である。
【0019】
図15に示すスタブ分波形ミクサは、IF信号の周波数がLO波の周波数に比べて低い場合に用いられる。LO波の周波数に対しては、先端短絡線路13はAPDP11との接続点Aから見て開放に見え、先端開放線路12はAPDP11との接続点Bから見て短絡に見える。したがって、LO端子8に印加したLO波はAPDP11を経て先端開放線路12へと流れる。また、IF信号の周波数がLO波の周波数に比べて低いので、RF信号の周波数はLO波の周波数の約2倍となる。このため、RF信号の周波数に対しては、先端短絡線路13はAPDP11との接続点Aから見て短絡に見え、先端開放線路12はAPDP11との接続点Bから見て開放に見える。したがって、RF端子7に印加したRF信号はAPDP11を経て先端短絡線路13へと流れる。
【0020】
この変形例においても、抵抗10a,10bとこれらにそれぞれ直列に接続されたダイオード1a,1bとから構成されるAPDP11の直流特性はLO波電力の変動および温度変化に大きく依存することはないので、LO波電力の変動および温度変化に起因する変換利得の変動を抑制することができる。
【0021】
上記説明ではIF信号が不平衡信号であると仮定してきたが、この実施の形態1はこれに限定されるものではなく、IF信号が平衡信号の場合にも適用できる。図16は、この実施の形態1の他の変形例による、平衡信号であるIF信号をミキシングするため偶高調波ミクサの構成を示す概略回路図である。図において、40はAPDP11と接地電位の間に設けられた、RF信号およびLO波だけを通過させる高域通過フィルタ(HPF)、6bはHPF40とAPDP11の接続点に一端が接続され、IF信号を反転したものを入出力するための反転IF端子9bに他端が接続された低域通過フィルタ(LPF)である。HPF40はキャパシタだけで構成される簡単な回路であってもよい。そして、平衡信号であるIF信号およびその反転信号はそれぞれIF端子9aおよび反転IF端子9bを介して入出力される。このように構成した偶高調波ミクサにおいても、APDP11の直流特性は同様にLO波電力の変動および温度変化に伴い大きく変動することはないので、LO波電力の変動および温度変化に起因する変換利得の変動を抑制することができる。
【0022】
図17はこの実施の形態1の他の変形例によるAPDP11の構成を示す概略回路図である。この変形例では、APDP11を構成するダイオード1a,1bのそれぞれのアノードに抵抗10a,10bがそれぞれ接続されている。この変形例によるAPDP11を偶高調波ミクサに適用した場合にも、同様な効果が得られる。すなわち、LO波電力の変動および温度変化に起因する変換利得の変動を抑制することができる。
【0023】
図18はこの実施の形態1の他の変形例によるAPDP11の構成を示す概略回路図である。この変形例では、ダイオード1aのカソードに抵抗10aが接続され、ダイオード1bのアノードに抵抗10bが接続されている。この変形例によるAPDP11を偶高調波ミクサに適用した場合にも、同様な効果が得られる。すなわち、LO波電力の変動および温度変化に起因する変換利得の変動を抑制することができる。
【0024】
上記実施の形態および変形例では、APDP11を構成する各ダイオードに直列接続する抵抗数が1つであったが、この発明はこれに限定されるものではなく複数の抵抗を各ダイオードに接続してもかまわない。図19はそのような変形例によるAPDP11の構成を示す概略回路図である。この変形例では、APDP11を構成する各ダイオードに直列に接続される抵抗数は2であり、各ダイオードのアノードおよびカソードの双方にそれぞれ抵抗が接続されている。この変形例によるAPDP11を偶高調波ミクサに適用した場合にも、同様な効果が得られる。すなわち、LO波電力の変動および温度変化に起因する変換利得の変動を抑制することができる。
【0025】
実施の形態2.
図20はこの発明の実施の形態2による偶高調波ミクサの構成を示す概略回路図である。図中、図10に示したものと同一の符号は上記実施の形態1による偶高調波ミクサと同一ないしは相当部分を示しており、以下ではその説明を省略する。また、図20において、1cはダイオード1aに直列に接続されたダイオード、1dはダイオード1bに直列に接続されたダイオードである。このように、この実施の形態2によるAPDP11は、直列に接続(従属接続)された2つのダイオード1a,1cとこれらに直列に接続された抵抗10aとから成る第1の直列部と、直列に接続された2つのダイオード1b,1dとこれらに直列に接続された抵抗10bとから成る第2の直列部とが、ダイオード1a,1cとダイオード1b,1dの極性が逆になるように並列に接続されたものである。
【0026】
次に動作について説明する。
この実施の形態2による偶高調波ミクサに組み込まれたAPDP11の動作は、基本的には、上記実施の形態1によるAPDP11と同様に動作する。したがって、以下では、この実施の形態2の特徴的な部分についてのみ説明する。
【0027】
APDP11の各直列部ではダイオードが2段従属接続されているので、ダイオード一段あたりに印加される端子電圧は1/2になる。一般に、ダイオードに発生するひずみは、印加される端子電圧が大きくなるにつれ非線形的に大きくなる。したがって、ダイオードを一段とした場合に比べて、入力する信号のレベルが高くなった場合のひずみの大きさを抑制することができる。すなわち、良好なひずみ特性が得られる。
【0028】
また、言うまでもなく、上記のように構成したAPDP11を用いた偶高調波ミクサにおいても、上記実施の形態1と同様に、APDP11の直流特性はLO波電力の変動および温度変化に伴い大きく変動することはないので、LO波電力の変動および温度変化に起因する変換利得の変動を抑制することができる。
【0029】
なお、APDP11を構成する各直列部において従属接続されるダイオード数は2に限定されるものではなく、APDP11をそれぞれ3つ以上のダイオードを多段従属接続した2つの直列部から構成してもよい。この変形例は、入力する信号のレベルが高くなった場合にひずみの大きさをさらに抑制することができる。
【0030】
実施の形態3.
図21はこの発明の実施の形態3による偶高調波ミクサの構成を示す概略回路図である。図中、図10に示したものと同一の符号は上記実施の形態1による偶高調波ミクサと同一ないしは相当部分を示しており、以下ではその説明を省略する。また、図21において、14aはダイオード1aに直列に接続された抵抗10aに並列に接続されたキャパシタ、14bはダイオード1bに直列に接続された抵抗10bに並列に接続されたキャパシタである。このように、この実施の形態3によるAPDP11は、直列に接続されたダイオード1aおよび抵抗10aとこの抵抗10aに並列に接続されたキャパシタ14aとから成る第1の直列部と、直列に接続されたダイオード1bおよび抵抗10bとこの抵抗10bに並列に接続されたキャパシタ14bとから成る第2の直列部とが、ダイオード1aとダイオード1bの極性が逆になるように並列に接続されたものである。
【0031】
次に動作について説明する。
以下ではRF信号およびLO波をそれぞれRF端子7およびLO端子8に印加し、IF信号をIF端子9から取り出す受信用ミクサを想定して説明する。また、この実施の形態3による偶高調波ミクサに組み込まれたAPDP11は、基本的には、上記実施の形態1によるAPDP11と同様に動作する。したがって、以下では、この実施の形態3の特徴的な部分についてのみ説明する。
【0032】
図22はこの実施の形態3によるAPDP11中のRF信号の流れを示す説明図である。偶高調波ミクサが受信用ミクサとして動作する場合、LO波はもちろんのこと、RF信号がAPDP11に印加される必要がある。キャパシタ14a,14bが無い場合(すなわち、図10に示した上記実施の形態1の場合)、RF信号がAPDP11に印加されると、各ダイオードに直列接続された抵抗10aまたは抵抗10bで電圧降下が生じ、その結果、各ダイオードに印加されるRF信号の電圧が低下する。この結果、変換利得の低下が生じる。
【0033】
これに対して、図22に示すこの実施の形態3によるAPDP11では、印加されるRF信号の正のサイクル時、RF信号はAPDP11中において抵抗10bを通らずに、キャパシタ14bを通過する。他方、印加されるRF信号の負のサイクル時、RF信号はAPDP11中において抵抗10aを通らずに、キャパシタ14aを通過する。この結果、抵抗10aまたは抵抗10bによる電圧降下が生じることがないので、変換利得の低下を生じることなく偶高調波ミクサのLO波電力の変動および温度変化に起因する変換利得の変動を抑制することができる。
【0034】
この実施の形態3による偶高調波ミクサは、IF信号を入力してRF信号およびLO波を出力する送信用ミクサとしても使用可能であり、この場合も同様な効果を奏する。
【0035】
以下に示すように、上記した実施の形態3は多くの変形例があり得る。
上記説明ではIF信号が不平衡信号であると仮定してきたが、この実施の形態3はこれに限定されるものではなく、IF信号が平衡信号の場合にも適用できる。図23は、この実施の形態3の一変形例による、平衡信号であるIF信号をミキシングするため偶高調波ミクサの構成を示す概略回路図である。図において、40はAPDP11と接地電位の間に設けられた、RF信号およびLO波だけを通過させる高域通過フィルタ(HPF)、6bはHPF40とAPDP11の接続点に一端が接続され、他端が反転IF端子9bに接続された低域通過フィルタ(LPF)である。HPF40はキャパシタだけで構成される簡単な回路であってもよい。そして、平衡信号であるIF信号およびその反転信号はそれぞれIF端子9aおよび反転IF端子9bを介して入出力される。このように構成した偶高調波ミクサにおいても、APDP11の直流特性は同様にLO波電力の変動および温度変化に伴い大きく変動することはないので、LO波電力の変動および温度変化に起因する変換利得の変動を抑制することができる。
【0036】
実施の形態3の他の変形例では、APDP11を構成するダイオード1a,1bのアノードに抵抗10a,10b並びにキャパシタ14a,14bがそれぞれ接続されている。この変形例によるAPDP11を偶高調波ミクサに適用した場合にも、同様な効果が得られる。すなわち、LO波電力の変動および温度変化に起因する変換利得の変動を抑制することができる。
【0037】
また、実施の形態3の他の変形例では、ダイオード1aのアノードに抵抗10aおよびキャパシタ14aが接続され、ダイオード1bのカソードに抵抗10bおよびキャパシタ14bが接続されている。この変形例によるAPDP11を偶高調波ミクサに適用した場合にも、同様な効果が得られる。すなわち、LO波電力の変動および温度変化に起因する変換利得の変動を抑制することができる。
【0038】
また、実施の形態3の他の変形例では、ダイオード1aのアノードおよびカソードの双方に抵抗およびキャパシタを並列に接続したものが接続され、ダイオード1bのアノードおよびカソードの双方に抵抗およびキャパシタを並列に接続したものが接続されている。この変形例によるAPDP11を偶高調波ミクサに適用した場合にも、同様な効果が得られる。すなわち、LO波電力の変動および温度変化に起因する変換利得の変動を抑制することができる。
【0039】
さらに、上記実施の形態3および変形例では、APDP11を構成する各直列部のダイオードの数は1つであったが、ダイオードの数はこれに限定されるものではない。APDP11を構成する各直列部には2つ以上のダイオードが多段従属接続され得る。この変形例は、上記実施の形態2で述べたように、入力する信号のレベルが高くなった場合にひずみの大きさを抑制することができる。
【0040】
実施の形態4.
図24はこの発明の実施の形態4による偶高調波ミクサの構成を示す概略回路図である。図中、図10に示したものと同一の符号は上記実施の形態1による偶高調波ミクサと同一ないしは相当部分を示しており、以下ではその説明を省略する。また、図24において、15aは一端がダイオード1aのカソードと抵抗10aとの接続点に接続されたキャパシタ、15bは一端がダイオード1bのアノードと抵抗10bとの接続点に接続されたキャパシタである。この実施の形態4によるAPDP11は、その一端において抵抗10a,10bが接続されるように、第1の直列部では抵抗10aがダイオード1aのカソードに接続され、第2の直列部では抵抗10bがダイオード1bのアノードに接続されている。
【0041】
また、キャパシタ15a,15bの他端同士は接続され、その接続点はHPF4を介してRF端子7に接続されているとともに、BPF5を介してLO端子8に接続されている。また、抵抗10a,10bの接続点はIF端子9に接続されている。キャパシタ15a,15bのそれぞれの容量は、RF信号およびLO波を通過させIF信号を阻止するような値に設定されている。
【0042】
次に動作について説明する。
以下ではRF信号およびLO波をそれぞれRF端子7およびLO端子8に印加し、IF信号をIF端子9から取り出す受信用ミクサを想定して説明する。図25にこの実施の形態4によるAPDP11中のRF信号の流れを示す。APDP11に印加されたRF信号は、キャパシタ15aまたはキャパシタ15bを通過し、ダイオード1aまたはダイオード1bに入力する。従って、実施の形態3と同様に、各ダイオードに直列に接続された抵抗によるRF信号の電圧降下は生じない。一方、直流電流はキャパシタ15a,15bで阻止されるので、ダイオード1aおよび抵抗10aから構成される第1の直列部とダイオード1bおよび抵抗10bから構成される第2の直列部とから構成される並列回路は、上記実施の形態1によるAPDPと同様に動作する。したがって、このような構成のAPDP11を用いた偶高調波ミクサにおいても、APDP11の直流特性はLO波電力の変動および温度変化に伴い大きく変動することはないので、LO波電力および温度変化に起因する変換利得の変動を抑制することができる。
【0043】
さらに、ダイオード1aまたはダイオード1bで発生したIF信号はキャパシタ15a,15bで阻止されるので、IF信号は抵抗10a,10bの接続点に接続されたIF端子9を介して出力される。このとき、RF信号は、抵抗10a,10bのそれぞれの抵抗値に比べてキャパシタ15a,15bのそれぞれの呈するインピーダンスが小さいので、抵抗10a,10bで阻止されてIF端子9に現れることはない。したがって、これまでに示した実施の形態において必要であった、IF信号だけを通過させる低域通過フィルタ(LPF)が不要となる。
【0044】
この実施の形態4による偶高調波ミクサは、IF信号を入力してRF信号およびLO波を出力する送信用ミクサとしても使用可能であり、この場合も同様な効果を奏する。
【0045】
以下に示すように、上記した実施の形態4は多くの変形例があり得る。
上記説明ではIF信号が不平衡信号であると仮定してきたが、この実施の形態4はこれに限定されるものではなく、IF信号が平衡信号の場合にも適用できる。図26は、この実施の形態4の一変形例による、平衡信号であるIF信号をミキシングするため偶高調波ミクサの構成を示す概略回路図である。この変形例による偶高調波ミクサは図16の偶高調波ミクサと同様に動作し、図24に示したものと同様に、APDP11の直流特性はLO波電力の変動および温度変化に伴い大きく変動することはないので、LO波電力および温度変化に起因する変換利得の変動を抑制することができる。
【0046】
また、APDP11を構成する各直列部のダイオードの数は1つに限定されるものではない。APDP11を構成する各直列部には2つ以上のダイオードが多段従属接続され得る。この変形例は、上記実施の形態2で述べたように、入力する信号のレベルが高くなった場合にひずみの大きさを抑制することができる。
【0047】
実施の形態5.
図27はこの発明の実施の形態5による偶高調波ミクサの構成を示す概略回路図である。図中、図21に示したものと同一の符号は上記実施の形態3による偶高調波ミクサと同一ないしは相当部分を示しており、以下ではその説明を省略する。この実施の形態5によるAPDP11は、その一端において抵抗10a,10bが接続されるように、第1の直列部では抵抗10aがダイオード1aのカソードに接続され、第2の直列部では抵抗10bがダイオード1bのアノードに接続されている。また、キャパシタ14aが抵抗10aに並列に接続され、キャパシタ14bが抵抗10bに並列に接続されている。抵抗10a,10bの接続点はIF端子9に接続されている。
【0048】
また、図27において、15aは一端がダイオード1aのカソードと抵抗10aとの接続点に接続されたキャパシタ、15bは一端がダイオード1bのアノードと抵抗10bとの接続点に接続されたキャパシタである。キャパシタ15a,15bの他端同士は接続され、その接続点はHPF4を介してRF端子7に接続されているとともに、BPF5を介してLO端子8に接続されている。キャパシタ14a,14bのそれぞれの容量は、IF信号を通過させるように設定されており、キャパシタ15a,15bのそれぞれの容量は、RF信号およびLO波を通過させIF信号を阻止するように設定されている。
【0049】
次に動作について説明する。
以下ではRF信号およびLO波をそれぞれRF端子7およびLO端子8に印加し、IF信号をIF端子9から取り出す受信用ミクサを想定して説明する。図24に示した上記実施の形態4では、抵抗10aまたは抵抗10bを通過してIF信号がIF端子9へと出力される。このため、IF信号が抵抗10aまたは抵抗10bにより減衰する場合がある。これに対して、この実施の形態5では、抵抗10a,10bにそれぞれ並列にキャパシタ14a,14bが接続されているので、キャパシタ14a,14bのそれぞれの容量をIF信号が通過するような値に設定することで、IF信号は抵抗10a,10bによる減衰を受けずにIF端子9を介して外部へ出力される。
【0050】
このようにしても、APDP11の各直列部のダイオード1aまたはダイオード1bを流れる電流は、キャパシタ14aまたはキャパシタ14bの影響を受けずに、抵抗10aまたは抵抗10bにより一定に保たれる。したがって、このような構成のAPDP11を用いた偶高調波ミクサにおいても、APDP11の直流特性はLO波電力の変動および温度変化に伴い大きく変動することはないので、LO波電力の変動および温度変化による変換利得の変動を抑制することができる。
【0051】
この実施の形態5による偶高調波ミクサは、IF信号を入力してRF信号およびLO波を出力する送信用ミクサとしても使用可能であり、この場合も同様な効果を奏する。
【0052】
以下に示すように、上記した実施の形態5は多くの変形例があり得る。
上記説明ではIF信号が不平衡信号であると仮定してきたが、この実施の形態5はこれに限定されるものではなく、IF信号が平衡信号の場合にも適用できる。図28は、この実施の形態5の一変形例による、平衡信号であるIF信号をミキシングするため偶高調波ミクサの構成を示す概略回路図である。図中、6は一端がAPDP11のダイオード1a,1bの接続点に接続され、他端が反転IF端子9bに接続された低域通過フィルタ(LPF)である。この変形例による偶高調波ミクサは図16の偶高調波ミクサと同様に動作し、図27に示したものと同様に、APDP11の直流特性はLO波電力の変動および温度変化に伴い大きく変動することはないので、LO波電力の変動および温度変化による変換利得の変動を抑制することができる。
【0053】
また、APDP11を構成する各直列部のダイオードの数は1つに限定されるものではない。APDP11を構成する各直列部には2つ以上のダイオードが多段従属接続され得る。この変形例は、上記実施の形態2で述べたように、入力する信号のレベルが高くなった場合ひずみの大きさを抑制することができる。
【0054】
実施の形態6.
図29はこの発明の実施の形態6による偶高調波ミクサの構成を示す概略回路図である。図中、図10に示したものと同一の符号は上記実施の形態1による偶高調波ミクサと同一ないしは相当部分を示しており、以下ではその説明を省略する。この実施の形態6によるAPDP11は、その一端において抵抗10a,10bが接続されるように、第1の直列部では抵抗10aはダイオード1aのカソードに接続され、第2の直列部では抵抗10bはダイオード1bのアノードに接続されている。
【0055】
また、図29において、17aは一端がダイオード1aのアノードに直列に接続されたキャパシタ、17bは一端がダイオード1bのカソードに直列に接続されたキャパシタ、18aは一端がダイオード1aのカソードと抵抗10aの接続点に接続されたキャパシタ、18bは一端がダイオード1bのアノードと抵抗10bの接続点に接続されたキャパシタ、19aは一端がダイオード1aのアノードとキャパシタ17aの接続点に接続された抵抗、19bは一端がダイオード1bのカソードとキャパシタ17bの接続点に接続された抵抗である。キャパシタ17a,17bの他端同士は接続されその接続点は接地電位に接続されている。抵抗10a,10bは接続されその接続点はIF端子9aに接続されている。抵抗19a,19bは接続されその接続点は反転IF端子9bに接続されている。キャパシタ18a,18bの他端同士は接続されその接続点はHPF4を介してRF端子7に接続されているとともに、BPF5を介してLO端子8に接続されている。なお、キャパシタ17a,17b、並びにキャパシタ18a,18bのそれぞれの容量は、RF信号およびLO波を通過させかつIF信号を阻止するような値に設定されている。
【0056】
次に動作について説明する。
以下ではRF信号およびLO波をそれぞれRF端子7およびLO端子8に印加し、IF信号およびその反転信号をIF端子9aおよび反転IF端子9bから取り出す受信用ミクサを想定して説明する。
【0057】
RF端子7に印加されたRF信号はHPF4を経てAPDP11に入力される。入力されたRF信号はキャパシタ18aまたはキャパシタ18bを経てダイオード1aまたはダイオード1bに入力し、さらにキャパシタ17aまたはキャパシタ17bを経て接地電位へと至る。したがって、抵抗10a,10b,19a,19bによるRF信号の電圧降下が生じない。一方、直流電流はキャパシタ18a,18bで阻止されるので、ダイオード1aと抵抗10a,19aとが接続された1つの直列部(第1の直列部とは異なる)とダイオード1bと抵抗10b,19bとが接続された他の直列部(第2の直列部とは異なる)とから構成される並列回路は、上記実施の形態1によるAPDPと同様に動作する。したがって、このような構成のAPDP11を用いた偶高調波ミクサにおいても、APDP11の直流特性はLO波電力の変動および温度変化に伴い大きく変動することはないので、LO波電力の変動および温度変化に起因する変換利得の変動を抑制することができる。
【0058】
また、ダイオード1aまたはダイオード1bで発生したIF信号はキャパシタ17a,17b並びにキャパシタ18a,18bで阻止されるので、IF信号およびその反転信号は抵抗10a,10bの接続点並びに抵抗19a,19bの接続点からそれぞれ出力される。このとき、RF信号は、抵抗10a,10b,19a,19bのそれぞれの抵抗値に比べてキャパシタ14a,14b,18a,18bのそれぞれの呈するインピーダンスが小さいので、抵抗10a,10b,19a,19bで阻止されてIF端子9aおよび反転IF端子9bに現れることはない。したがって、これまでに示した実施の形態1から実施の形態3において必要であった、IF信号だけを通過させる低域通過フィルタ(LPF)がなくても、IF信号を平衡信号として出力することができる。
【0059】
この実施の形態6による偶高調波ミクサは、IF信号を入力してRF信号およびLO波を出力する送信用ミクサとしても使用可能であり、この場合も同様な効果を奏する。
【0060】
以下に示すように、上記した実施の形態6は多くの変形例があり得る。
上記説明ではIF信号が平衡信号であると仮定してきたが、この実施の形態6はこれに限定されるものではなく、IF信号が不平衡信号の場合にも適用できる。図30は、この実施の形態6の一変形例による、不平衡信号であるIF信号をミキシングするため偶高調波ミクサの構成を示す概略回路図である。この変形例では、抵抗19a,19bの接続点に接続された反転IF端子9bが取り除かれており、第1の直列部では、抵抗10aとダイオード1aとキャパシタ17aとが直列に接続され、第2の直列部では、抵抗10bとダイオード1bとキャパシタ17bとが直列に接続されいる。これにより、IF信号は不平衡信号としてIF端子9のみから入出力される。この変形例においても、APDP11の直流特性はLO波電力の変動および温度変化に伴い大きく変動することはないので、LO波電力の変動および温度変化に起因する変換利得の変動を抑制することができる。
【0061】
また、APDP11を構成する各直列部のダイオードの数は1つに限定されるものではない。APDP11を構成する各直列部には2つ以上のダイオードが多段従属接続され得る。この変形例は、上記実施の形態2で述べたように、入力する信号のレベルが高くなった場合にひずみの大きさを抑制することができる。
【0062】
実施の形態7.
図31はこの発明の実施の形態7による偶高調波ミクサの構成を示す概略回路図である。図中、図10に示したものと同一の符号は上記実施の形態1による偶高調波ミクサと同一ないしは相当部分を示しており、以下ではその説明を省略する。この実施の形態7によるAPDP11は、その一端において抵抗10a,10bが接続されるように、第1の直列部では抵抗10aはダイオード1aのカソードに接続され、第2の直列部では抵抗10bはダイオード1bのアノードに接続されている。
【0063】
また、図31において、10cは一端がダイオード1aのアノードに直列に接続された抵抗、10dは一端がダイオード1bのカソードに直列に接続された抵抗、16aは抵抗10cに並列に接続されたキャパシタ、16bは抵抗10dに並列に接続されたキャパシタ、18aは一端がダイオード1aのカソードと抵抗10aの接続点に接続されたキャパシタ、18bは一端がダイオード1bのアノードと抵抗10bの接続点に接続されたキャパシタである。抵抗10a,10bは接続されその接続点はIF端子9aに接続されている。抵抗10c,10dの他端同士は接続されその接続点はLPF6を介して反転IF端子9bに接続されているとともに、HPF40を介して接地電位に接続されている。キャパシタ18a,18bの他端同士は接続されその接続点はHPF4を介してRF端子7に接続されているとともに、BPF5を介してLO端子8に接続されている。なお、キャパシタ16a,16b,18a,18bのそれぞれの容量は、RF信号およびLO波を通過させかつIF信号を阻止するような値に設定されている。
【0064】
次に動作について説明する。
以下ではRF信号およびLO波をそれぞれRF端子7およびLO端子8に印加し、IF信号およびその反転信号をIF端子9aおよび反転IF端子9bから取り出す受信用ミクサを想定して説明する。
【0065】
RF端子7に印加されたRF信号はHPF4を経てAPDP11に入力される。入力されたRF信号はキャパシタ18aまたはキャパシタ18bを経てダイオード1aまたはダイオード1bに入力し、さらにキャパシタ16aまたはキャパシタ16bを経て接地電位へと至る。したがって、抵抗10a,10b,10c,10dによるRF信号の電圧降下が生じない。一方、直流電流はキャパシタ18a,18bで阻止されるので、ダイオード1aと抵抗10a,10cとが接続された第1の直列部とダイオード1bと抵抗10b,10dとが接続された第2の直列部とから構成される並列回路は、上記実施の形態1によるAPDPと同様に動作する。したがって、このような構成のAPDP11を用いた偶高調波ミクサにおいても、APDP11の直流特性はLO波電力の変動および温度変化に伴い大きく変動することはないので、LO波電力の変動および温度変化に起因する変換利得の変動を抑制することができる。
【0066】
また、ダイオード1aまたはダイオード1bで発生したIF信号はキャパシタ16a,16b,18a,18bで阻止されるので、IF信号および反転IF信号は抵抗10a,10bの接続点並びに抵抗10c,10dの接続点からそれぞれ出力される。このとき、RF信号は、抵抗10a,10b,10c,10dのそれぞれの抵抗値に比べてキャパシタ16a,16b,18a,18bのそれぞれの呈するインピーダンスが小さいので、抵抗10a,10b,10c,10dで阻止されてIF端子9aおよび反転IF端子9bに現れることはない。したがって、これまでに示した実施の形態1から実施の形態3において必要であった、IF信号だけを通過させる低域通過フィルタ(LPF)がなくても、IF信号を平衡信号として出力することができる。
【0067】
この実施の形態7による偶高調波ミクサは、IF信号を入力してRF信号およびLO波を出力する送信用ミクサとしても使用可能であり、この場合も同様な効果を奏する。
【0068】
以下に示すように、上記した実施の形態7は多くの変形例があり得る。
上記説明ではIF信号が平衡信号であると仮定してきたが、この実施の形態7はこれに限定されるものではなく、IF信号が不平衡信号の場合にも適用できる。図32は、この実施の形態7の一変形例による、不平衡信号であるIF信号をミキシングするため偶高調波ミクサの構成を示す概略回路図である。この変形例では、抵抗10c,10dの接続点にLPF6を介して接続された反転IF端子9bが取り除かれている。これにより、IF信号は不平衡信号としてIF端子9のみから入出力される。この変形例においても、APDP11の直流特性はLO波電力の変動および温度変化に伴い大きく変動することはないので、LO波電力の変動および温度変化に起因する変換利得の変動を抑制することができる。
【0069】
また、APDP11を構成する各直列部のダイオードの数は1つに限定されるものではない。APDP11を構成する各直列部には2つ以上のダイオードが多段従属接続され得る。この変形例は、上記実施の形態2で述べたように、入力する信号のレベルが高くなった場合にひずみの大きさを抑制することができる。
【0070】
実施の形態8.
図33はこの発明の実施の形態8による偶高調波ミクサの構成を示す概略回路図である。図中、図21に示したものと同一の符号は上記実施の形態3による偶高調波ミクサと同一ないしは相当部分を示しており、以下ではその説明を省略する。この実施の形態8によるAPDP11は、その一端において抵抗10a,10bが接続されるように、第1の直列部では抵抗10aはダイオード1aのカソードに接続され、第2の直列部では抵抗10bはダイオード1bのアノードに接続されている。キャパシタ14aは抵抗10aに並列に接続されており、キャパシタ14bは抵抗10bに並列に接続されている。
【0071】
また、図33において、20aは一端がダイオード1aのアノードに直列に接続されたキャパシタ、20bは一端がダイオード1bのカソードに直列に接続されたキャパシタ、21aは一端がダイオード1aのアノードとキャパシタ20aの接続点に接続された抵抗、21bは一端がダイオード1bのカソードとキャパシタ20bの接続点に接続された抵抗である。抵抗10a,10bの接続点は、HPF4を介してRF端子7、BPF5を介してLO端子8、およびLPF6を介してIF端子9aに接続されている。抵抗21a,21bの他端同士は接続されその接続点は反転IF端子9bに接続されている。キャパシタ20a,20bの他端同士は接続されその接続点は接地電位に接続されている。なお、キャパシタ14a,14b,20a,20bのそれぞれの容量は、RF信号およびLO波を通過させかつIF信号を阻止するような値に設定されている。
【0072】
次に動作について説明する。
以下ではRF信号およびLO波をそれぞれRF端子7およびLO端子8に印加し、IF信号およびその反転信号をIF端子9aおよび反転IF端子9bから取り出す受信用ミクサを想定して説明する。
【0073】
RF端子7に印加されたRF信号はHPF4を経てAPDP11に入力される。入力されたRF信号はキャパシタ14aまたはキャパシタ14bを経てダイオード1aまたはダイオード1bに入力し、さらにキャパシタ20aまたはキャパシタ20bを経て接地電位へと至る。したがって、抵抗10a,10b,21a,21bによるRF信号の電圧降下が生じない。一方、直流電流はキャパシタ20a,20bで阻止されるので、ダイオード1aと抵抗10a,21aとが接続された第1の直列部とダイオード1bと抵抗10b,21bとが接続された第2の直列部とから構成される並列回路は、上記実施の形態1によるAPDPと同様に動作する。したがって、このような構成のAPDP11を用いた偶高調波ミクサにおいても、APDP11の直流特性はLO波電力の変動および温度変化に伴い大きく変動することはないので、LO波電力の変動および温度変化に起因する変換利得の変動を抑制することができる。
【0074】
また、ダイオード1aまたはダイオード1bで発生したIF信号はキャパシタ14a,14b,20a,20bで阻止されるので、IF信号および反転IF信号は抵抗10a,10bの接続点並びに抵抗21a,21bの接続点からそれぞれ出力される。このとき、RF信号は、抵抗10a,10b,21a,21bのそれぞれの抵抗値に比べてキャパシタ14a,14b,20a,20bのそれぞれの呈するインピーダンスが小さいので、抵抗10a,10b,21a,21bで阻止されてIF端子9aおよび反転IF端子9bに現れることはない。したがって、これまでに示した実施の形態1から実施の形態3において必要であった、IF信号だけを通過させる低域通過フィルタ(LPF)がなくても、IF信号を平衡信号として出力することができる。
【0075】
この実施の形態8による偶高調波ミクサは、IF信号を入力してRF信号およびLO波を出力する送信用ミクサとしても使用可能であり、この場合も同様な効果を奏する。
【0076】
以下に示すように、上記した実施の形態8は多くの変形例があり得る。
上記説明ではIF信号が平衡信号であると仮定してきたが、この実施の形態8はこれに限定されるものではなく、IF信号が不平衡信号の場合にも適用できる。図34は、この実施の形態8の一変形例による、不平衡信号であるIF信号をミキシングするため偶高調波ミクサの構成を示す概略回路図である。この変形例では、抵抗21a,21bの接続点に接続された反転IF端子9bが取り除かれており、第1の直列部では、抵抗10aとダイオード1aとキャパシタ20aとが直列に接続され、第2の直列部では、抵抗10bとダイオード1bとキャパシタ20bとが直列に接続されている。これにより、IF信号は不平衡信号としてIF端子9aのみから入出力される。この変形例においても、APDP11の直流特性はLO波電力の変動および温度変化に伴い大きく変動することはないので、LO波電力の変動および温度変化に起因する変換利得の変動を抑制することができる。
【0077】
また、APDP11を構成する各直列部のダイオードの数は1つに限定されるものではない。APDP11を構成する各直列部には2つ以上のダイオードが多段従属接続され得る。この変形例は、上記実施の形態2で述べたように、入力する信号のレベルが高くなった場合にひずみの大きさを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 従来の偶高調波ミクサの構成を示す概略回路図である。
【図2】 従来の偶高調波ミクサに用いられるAPDPの直流特性を示すグラフである。
【図3】 APDPに印加されるLO波の波形を示す図である。
【図4】 APDPに印加されるLO波の波形とAPDPに流れる電流波形との関係を示すグラフである。
【図5】 APDPのダイオードを流れる電流波形およびダイオードのコンダクタンスの時間変化を示すグラフである。
【図6】 印加するLO波の振幅を最適値以下に設定した場合、最適値に設定した場合、最適値以上に設定した場合にそれぞれAPDPに流れる電流波形を示すグラフである。
【図7】 従来の偶高調波ミクサの変換利得のLO波電力依存性を示すグラフである。
【図8】 従来の偶高調波ミクサに用いられるAPDPの直流特性の温度依存性を示すグラフである。
【図9】 従来の偶高調波ミクサの変換利得のLO波電力依存性の温度変化に伴う変動を示すグラフである。
【図10】 この発明の実施の形態1による偶高調波ミクサの構成を示す概略回路図である。
【図11】 この発明の実施の形態1による偶高調波ミクサに用いられるAPDPの直流特性を示すグラフである。
【図12】 この発明の実施の形態1による偶高調波ミクサの変換利得のLO波電力依存性を示すグラフである。
【図13】 この発明の実施の形態1による偶高調波ミクサに用いられるAPDPの直流特性の温度依存性を示すグラフである。
【図14】 この発明の実施の形態1による偶高調波ミクサの変換利得のLO波電力依存性の温度変化に伴う変動を示すグラフである。
【図15】 この発明の実施の形態1の一変形例による偶高調波ミクサの構成を示す概略回路図である。
【図16】 この発明の実施の形態1の他の変形例による偶高調波ミクサの構成を示す概略回路図である。
【図17】 この発明の実施の形態1による偶高調波ミクサに用いられるAPDPの他の例の構成を示す概略回路図である。
【図18】 この発明の実施の形態1による偶高調波ミクサに用いられるAPDPの他の例の構成を示す概略回路図である。
【図19】 この発明の実施の形態1による偶高調波ミクサに用いられるAPDPの他の例の構成を示す概略回路図である。
【図20】 この発明の実施の形態2による偶高調波ミクサの構成を示す概略回路図である。
【図21】 この発明の実施の形態3による偶高調波ミクサの構成を示す概略回路図である。
【図22】 この発明の実施の形態3による偶高調波ミクサに用いられるAPDPにおけるRF信号の流れを示す図である。
【図23】 この発明の実施の形態3の一変形例による偶高調波ミクサの構成を示す概略回路図である。
【図24】 この発明の実施の形態4による偶高調波ミクサの構成を示す概略回路図である。
【図25】 この発明の実施の形態4による偶高調波ミクサに用いられるAPDPにおけるRF信号の流れを示す図である。
【図26】 この発明の実施の形態4の一変形例による偶高調波ミクサの構成を示す概略回路図である。
【図27】 この発明の実施の形態5による偶高調波ミクサの構成を示す概略回路図である。
【図28】 この発明の実施の形態5の一変形例による偶高調波ミクサの構成を示す概略回路図である。
【図29】 この発明の実施の形態6による偶高調波ミクサの構成を示す概略回路図である。
【図30】 この発明の実施の形態6の一変形例による偶高調波ミクサの構成を示す概略回路図である。
【図31】 この発明の実施の形態7による偶高調波ミクサの構成を示す概略回路図である。
【図32】 この発明の実施の形態7の一変形例による偶高調波ミクサの構成を示す概略回路図である。
【図33】 この発明の実施の形態8による偶高調波ミクサの構成を示す概略回路図である。
【図34】 この発明の実施の形態8の一変形例による偶高調波ミクサの構成を示す概略回路図である。

Claims (1)

  1. 第1の接続点および第2の接続点間に第1の抵抗、第1のダイオードおよび第2の抵抗の順に直列に接続された第1の直列部と、
    上記第1の接続点および上記第2の接続点間に第3の抵抗、第2のダイオードおよび第4の抵抗の順に直列に接続されると共に上記第1の直列部に対して並列に接続され、且つ上記第1および第2のダイオードの極性が逆になるように接続された第2の直列部とを備え、
    上記第1の直列部は、
    上記第1の抵抗に並列に接続された第1のキャパシタおよび上記第2の抵抗に並列に接続された第2のキャパシタを有しており、
    上記第2の直列部は、
    上記第3の抵抗に並列に接続された第3のキャパシタおよび上記第4の抵抗に並列に接続された第4のキャパシタを有しており、
    LO波の印加、RF信号およびIF信号の入出力を上記第1の接続点および上記第2の接続点のうちの少なくともいずれか一方から行うアンチパラレルダイオードペア手段を備えた偶高調波ミクサ。
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