JP4213048B2 - 湿潤時に空隙率が低下する織編物 - Google Patents

湿潤時に空隙率が低下する織編物 Download PDF

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Description

本発明は、湿潤時に織編組織内の空隙率が低下し、一方、乾燥時には織編組織内の空隙率が可逆的に向上する織編物に関するものである。
湿潤時と乾燥時とで、布帛の空隙率が可逆的に変化する布帛は、感湿布帛とも称され、近年種々提案されている。
たとえば、特許文献1では、吸湿性ポリマーから形成された糸条に加撚を施し、該糸条を用いて構成された織編物が提案されている。かかる織編物は、吸湿時に撚りトルクを発生させ、織編物の平面的な組織形状を立体的な組織形状に変化させて空隙率を向上させることにより、通気量を大きくするものである。また、本発明者らは、先に特願2003−177763号において、吸水自己伸張糸と非自己伸張糸とを用いて、湿潤時に空隙率が向上し、乾燥時には空隙率が低下する織編物を提案した。
一方、合成繊維や天然繊維などからなる通常の織編物を、スイミングウエアー、スポーツウエアーなどとして使用すると、雨などの湿潤により透けやすくなるという問題があり、その改善が求められていた。また、湿潤時には防水性が向上し、乾燥時には通気性が向上する、着用快適性に優れる布帛の提案が望まれていた。
しかしながら、前記の感湿布帛は、いずれも湿潤時に空隙率が向上し、乾燥時に空隙率が低下するものであり、前記の用途に対しては逆の効果を奏するものであり、湿潤時に空隙率が低下し、乾燥時には空隙率が可逆的に向上する織編物の提案が望まれていた。
特開平10−77544号公報
本発明は、上記の背景に鑑みなされたものであり、その目的は、湿潤時に織編物の寸法があまり変化することなく性能よく空隙率が低下し、一方、乾燥時には空隙率が可逆的に向上する織編物を提供することにある。
本発明者らは上記の課題を達成するため鋭意検討した結果、吸水自己伸張糸と非自己伸張糸を用いて織編物を織編成する際、吸水自己伸張糸と非自己伸張糸とに特定の糸長差をもうけることにより、所望の、湿潤時に布帛の寸法があまり変化することなく布帛の空隙率が性能よく低下し、一方、乾燥時には布帛の空隙率が向上する織編物が得られることを見出し、さらに鋭意検討を重ねることにより本発明を完成するに至った。
かくして、本発明によれば「吸水自己伸張糸と非自己伸張糸からなる織編物であって、温度20℃、湿度65%RHの雰囲気中における該織編物中の吸水自己伸張糸の糸長を(A)、他方、非自己伸張糸の糸長を(B)とするとき、A/Bが0.9より大であり、かつ前記織編物が下記(1)〜(3)の要件のうち少なくとも1要件を満足し、かつ前記吸水自己伸張糸が、ポリブチレンテレフタレートをハードセグメントとし、ポリオキシエチレングリコールをソフトセグメントとするポリエーテルエステルエラストマーからなるポリエーテルエステル繊維であることを特徴とする湿潤時に空隙率が低下する織編物。」が提供される。
(1)丸編組織を有し、かつ吸水自己伸張糸と非自己伸張糸が該丸編組織の複合ループを形成してなる。
(2)織組織を有し、かつ吸水自己伸張糸と非自己伸張糸が引き揃えられて該織組織の経糸および/または緯糸を構成してなる。
(3)吸水自己伸張糸と非自己伸張糸が、各々織編物の構成糸条として、1本交互にまたは複数本交互に配列してなる。
非自己伸張糸としては、ポリエステル繊維が好適である。また、かかる織編物において、湿潤時と乾燥時とで空隙変化率が10%以上であることが好ましい。
本発明によれば、湿潤時に寸法があまり変化することなく性能よく空隙率が低下し、乾燥時には、空隙率が可逆的に向上する織編物が得られる。かかる織編物をスイミングウエアーやスポーツウエアーなどとして使用すると、湿潤により織編物の空隙率が低下するため、濡れた際、透け難く、かつ防水性が向上するといった効果が得られる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明において、吸水自己伸張糸と非自己伸張糸は以下に定義する糸である。すなわち、枠周:1.125mの巻き返し枠を用いて荷重:0.88mN/dtex(0.1g/de)をかけて一定の速度で巻き返し、巻き数:10回のかせを作り、かせ取りした糸を温度20℃、湿度65RH%の環境下に24時間放置し、これに非弾性糸の場合は1.76mN/dtex(200mg/de)、弾性糸の場合は0.0088mN/dtex(1mg/de)の荷重をかけて測定した糸長(mm)を乾燥時の糸長とする。該糸を水温20℃の水中に5分間浸漬した後に水中より引き上げ、該糸に乾燥時と同様に非弾性糸の場合は1.76mN/dtex(200mg/de)、弾性糸の場合は0.0088mN/dtex(1mg/de)の荷重をかけて測定した糸長(mm)を湿潤時の糸長とする。なお、前記非弾性糸とは破断伸度が200%以下の糸であり、前記弾性糸とは破断伸度が200%より高い糸である。そして、下記式で求められる繊維軸方向の膨潤率が5%以上のものを吸水自己伸張糸と定義する。他方、該膨潤率が5%未満のものを非自己伸張糸と定義する。
膨潤率(%)=(((湿潤時の糸長)−(乾燥時の糸長))/(乾燥時の糸長))×100
ここで、吸水自己伸張糸としては、前記の膨潤率を有するものであれば特に限定されないが、6%以上(より好ましくは8〜30%)の膨潤率を有するものであることが好ましい。
かかる吸水自己伸張糸としては、例えば、ポリブチレンテレフタレートをハードセグメントとし、ポリオキシエチレングリコールをソフトセグメントとするポリエーテルエステルエラストマーからなるポリエーテルエステル繊維や、ポリアクリル酸金属塩、ポリアクリル酸およびその共重合体、ポリメタアクリル酸およびその共重合体、ポリビニルアルコールおよびその共重合体、ポリアクリルアミドおよびその共重合体、ポリオキシエチレン系ポリマーなどを配合したポリエステル繊維、5−スルホイソフタル酸成分を共重合したポリエステル繊維などが例示される。なかでも、かかる吸水自己伸張弾性繊維として、ポリブチレンテレフタレートをハードセグメントとし、ポリオキシエチレングリコールをソフトセグメントとするポリエーテルエステルエラストマーからなるポリエーテルエステル繊維が好適に例示される。
上記ポリブチレンテレフタレートは、ブチレンテレフタレート単位を少なくとも70モル%以上含有することが好ましい。ブチレンテレフタレートの含有率は、より好ましくは80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上である。酸成分は、テレフタル酸が主成分であるが、少量の他のジカルボン酸成分を共重合してもよく、またグリコール成分は、テトラメチレングリコールを主成分とするが、他のグリコール成分を共重合成分として加えてもよい。
テレフタル酸以外のジカルボン酸としては、例えばナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルキシエタンジカルボン酸、β−ヒドロキシエトキシ安息香酸、p−オキシ安息香酸、アジピン酸、セバシン酸、1、4−シクロヘキサンジカルボン酸のような芳香族、脂肪族のジカルボン酸成分を挙げることができる。さらに、本発明の目的の達成が実質的に損なわれない範囲内で、トリメリット酸、ピロメリット酸のような三官能性以上のポリカルボン酸を共重合成分として用いても良い。
また、テトラメチレングリコール以外のジオール成分としては、例えばトリメチレングリコール、エチレングリコール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、ネオペンチルグリコールのような脂肪族、脂環族、芳香族のジオール化合物を挙げることができる。更に、本発明の目的の達成が実質的に損なわれない範囲内で、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールのような三官能性以上のポリオールを共重合成分として用いてもよい。
一方、ポリオキシエチレングリコールは、オキシエチレングリコール単位を少なくとも70モル%以上含有することが好ましい。オキシエチレングリコールの含有量は、より好ましくは80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上である。本発明の目的の達成が実質的に損なわれない範囲内で、オキシエチレングリコール以外にプロピレングリコール、テトラメチレングリコール、グリセリンなどを共重合させても良い。
かかるポリオキシエチレングリコールの数平均分子量としては、400〜8000が好ましく、なかでも1000〜6000が特に好ましい。
前記のポリエーテルエステルエラストマーは、たとえば、テレフタル酸ジメチル、テトラメチレングリコールおよびポリオキシエチレングリコールとを含む原料を、エステル交換触媒の存在下でエステル交換反応させ、ビス(ω−ヒドロキシブチル)テレフタレート及び/又はオリゴマーを形成させ、その後、重縮合触媒及び安定剤の存在下で高温減圧下にて溶融重縮合を行うことにより得ることができる。
ハードセグメント/ソフトセグメントの比率は、重量を基準として30/70〜70/30であることが好ましい。
かかるポリエーテルエステル中には、公知の有機スルホン酸金属塩が含まれていると、さらに優れた吸水自己伸張性能が得られ好ましい。
ポリエーテルエステル繊維は、前記ポリエーテルエステルを、通常の溶融紡糸口金から溶融して押し出し、引取速度300〜1200m/分(好ましくは400〜980m/分)で引取り、巻取ドラフト率をさらに該引取速度の1.0〜1.2(好ましくは1.0〜1.1)で巻取ることにより製造することができる。
他方、非自己伸張糸としては、木綿、麻などの天然繊維やレーヨン、アセテートなどのセルロース系化学繊維、さらにはポリエチレンテレフタレートやポリトリメチレンテレフタレートに代表されるポリエステル、ポリアミド、ポリアクリルニトリル、ポリプロピレンなどの合成繊維が例示される。なかでも、通常のポリエステル繊維が好ましく例示される。
前記吸水自己伸張糸及び非自己伸張糸の繊維形態は特に限定されず、短繊維でもよいし長繊維でもよい。繊維の断面形状も特に限定されず、丸、三角、扁平、中空など公知の断面形状が採用できる。吸水自己伸張糸及び非自己伸張糸の総繊度、単糸繊度、フィラメント数も特に限定されないが、風合いや生産性の点で総繊度30〜300dtex、単糸繊度0.6〜10dtex、フィラメント数1〜300本の範囲が好ましい。
本発明の織編物は、吸水自己伸張糸と非自己伸張糸からなる。その際、両者の重量比として、本発明の主目的である、湿潤時の空隙率低下を効果的に得る上で、前者:後者で10:90〜60:40(より好ましくは20:80〜50:50)の範囲であることが好ましい。
織編物の構造としては、その織編組織、層数は特に限定されるものではない。例えば、平織、綾織、サテンなどの織組織や、天竺、スムース、フライス、鹿の子、デンビー、トリコットなどの編組織が好適に例示されるが、これらに限定されるものではない。層数も単層でもよいし、2層以上の多層であってもよい。
吸水自己伸張糸と非自己伸張糸との糸配列としては特に限定されないが、以下の糸配列が好適に例示される。
まず、その1として、吸湿自己伸張糸と非自己伸張糸が引き揃えられて、編物のニードルループや、織物の経糸および/または緯糸を構成する糸配列があげられる。例えば、図1に示すように、吸湿自己伸張糸と非自己伸張糸とが丸編組織の複合ループ(2本の糸条で、同時にニードルループを形成する。添え糸編みとも言われる。)を形成してなる糸配列や、図2に示すように、吸水自己伸張糸と非自己伸張糸が、引き揃えられて織組織の経糸および/または緯糸に配された糸配列が例示される。
その2として、吸湿自己伸張糸と非自己伸張糸が、織編物の経糸および/または緯糸において1本交互(1:1)や複数本交互(2:2、3:3など)に配された糸配列があげられる。例えば、図3に示すように、丸編物中に吸水自己伸張糸と非自己伸張糸が1:1に配された糸配列、図4に示すように、織物中に吸水自己伸張糸と非自己伸張糸が1:1に経糸および緯糸に配された糸配列などが例示される。
その3として、吸水自己伸張糸と非自己伸張糸が、混繊糸、複合仮撚捲縮加工糸、合撚糸、カバリング糸などの複合糸として織編物を構成する態様があげられる。
次に、本発明の織編物において、温度20℃、湿度65%RHの雰囲気中における該織編物中の吸水自己伸張糸の糸長を(A)、他方、非自己伸張糸の糸長を(B)とするとき、A/Bが0.9より大(好ましくは1.0〜2.0、特に好ましくは1.0〜1.5)である必要がある。該A/Bが0.9以下であると、本発明の主目的である、湿潤時の空隙率低下効果が得られず好ましくない。
ここで、糸長の測定は以下の方法で行うものとする。まず、織編物を温度20℃、湿度65%RHの雰囲気中に24時間放置した後、該織編物から、30cm×30cmの小片を裁断する(n数=5)。続いて、各小片から、吸水自己伸張糸及び非自己伸張糸を1本ずつ取り出し、吸水自己伸張糸の糸長A(mm)、非自己伸張糸の糸長B(mm)を測定する。その際、非弾性糸の場合は1.76mN/dtex(200mg/de)、弾性糸の場合は0.0088mN/dtex(1mg/de)の荷重をかけて測定する。そして、(糸長Aの平均値)/(糸長Bの平均値)をA/Bとする。ここで、小片から取り出す吸水自己伸張糸と非自己伸張糸とは織編物中において同一方向のものである必要がある。例えば、吸水自己伸張糸を織物の経糸(緯糸)から取り出す場合、他方の非自己伸張糸も経糸(緯糸)から取り出す必要がある。また、吸水自己伸張糸と非自己伸張糸が、複合糸として織編物を構成する場合には、裁断された小片(30cm×30cm)から複合糸を取り出し(n数=5)、さらに複合糸から吸水自己伸張糸と非自己伸張糸を取り出して前記と同様にして測定するものとする。
前記のように、吸水自己伸張糸と非自己伸張糸との糸長差をもうける方法としては、以下の方法が例示される。
例えば、その1として、前記の織編物を製編織する際、吸水自己伸張糸として、前記の弾性を有するポリエーテルエステル繊維を使用し、該ポリエーテルエステル繊維と非自己伸張糸と引き揃え、同一の給糸口に同じ給糸速度で給糸して製編織する方法があげられる。
その2として、前記の織編物を製編織する際、非自己伸張糸の沸水収縮率を吸水自己伸張糸の沸水収縮率と同じか、大きくする方法があげられる。かかる織編物を通常の染色加工工程に供することにより、非自己伸張糸の糸長が短くなり、他方の吸水自己伸張糸との糸長差をもうけることができる。
その3として、吸水自己伸張糸をオーバーフィード(過供給)させながら非自己伸張糸を引き揃えて、通常の空気混繊加工、撚糸、カバリング加工などにより複合糸を得て、該複合糸を用いて織編物を製編織する方法があげられる。
次に、本発明の織編物において、乾燥時に比べて湿潤時に空隙率が低下するメカニズムについて、以下説明する。
例えば、吸水自己伸張糸と非自己伸張糸とが、乾燥時、図1の(2)に示すように、同じ糸長で丸編組織の複合ループを形成している丸編物の場合、湿潤時、図1の(1)に示すように吸水自己伸張糸が自己伸長し、たるむことにより、空隙が小さくなる。
吸水自己伸張糸と非自己伸張糸とが、乾燥時、図2の(2)に示すように、同じ糸長で引き揃えられて織組織の経糸および/または緯糸を構成してなる織物の場合、湿潤時に図2の(1)に示すように、吸水自己伸張糸が自己伸張し、たるむため、空隙が小さくなる。
吸水自己伸張糸と非自己伸張糸が、乾燥時、図3の(2)に示すように、同じ糸長で1:1に配列してなる丸編物では、湿潤時、図3の(1)に示すように、非自己伸張糸からなるループは膨潤してそのループが大きくなる。その結果、編物内の空隙が小さくなる。
吸水自己伸張糸と非自己伸張糸とが、乾燥時、図4の(2)に示すように、同じ糸長で
織物の経糸と緯糸に1:1に配列してなる織物では、、湿潤時に図4の(1)に示すように、吸水自己伸張糸が自己伸張し、たるむことにより、空隙が小さくなる。
本発明の織編物において、空隙率は以下の方法により測定されるものである。
すなわち、光学顕微鏡により織編物表面を20倍に拡大して観察し、内田洋行社製デジタルプラニメーターを用いて織編物表面のうち糸条が占める面積と、糸条が存在しない面積を計測し、下記の式により空隙率(%)を算出するものとする。
空隙率(%)=((糸条が存在しない面積)/((糸条が占める面積)+(糸条が存在しない面積)))×100
そして、上記の空隙率を、乾燥時と湿潤時についてそれぞれ測定(n数=5)し、下記式により空隙変化率(%)を算出する。ここで、乾燥時とは、温度20℃、湿度65%RHの環境下で24時間放置した後の試料の状態であり、湿潤時とは、上記試料を温度20℃の水中に5分間浸漬した後に水中から引き上げ、試料を2枚のろ紙の間にはさみ、490N/m(50kgf/m)の圧力で1分間加重し、繊維間に存在する水分を取り除いた状態を示す。
空隙変化率(%)=(((乾燥時の空隙率)−(湿潤時の空隙率))/(乾燥時の空隙率))×100
かかる空隙変化率としては、10%以上(より好ましくは15〜200%、特に好ましくは18〜50%)であることが好ましい。
本発明の織編物には、常法の染色仕上げ加工が施されてもよい。さらには、常法の撥水加工、起毛加工、紫外線遮蔽あるいは抗菌剤、消臭剤、防虫剤、蓄光剤、再帰反射剤、マイナスイオン発生剤等の機能を付与する各種加工を付加適用してもよい。
以下、実施例をあげて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。なお、実施例中の各物性は下記の方法により測定したものである。
<沸水収縮率>JIS L 1013−1998、7.15で規定される方法により、沸水収縮率(熱水収縮率)(%)をn数3で測定した。
<糸長の測定>織編物を温度20℃、湿度65%RHの雰囲気中に24時間放置した後、該織編物から、経緯の方向が織編物と同じになるよう30cm×30cmの小片を裁断する(n数=5)。続いて、各々の小片から、吸水自己伸張糸及び非自己伸張糸を1本ずつ取り出し、弾性糸である吸水自己伸張糸には0.0088mN/dtex(1mg/de)の荷重をかけ、非弾性糸である非自己伸張糸には1.76mN/dtex(200mg/de)の荷重をかけて吸水自己伸張糸の糸長A(mm)、非自己伸張糸の糸長B(mm)を測定する。そして、(糸長Aの平均値)/(糸長Bの平均値)をA/Bとする。
<空隙率>光学顕微鏡により織編物表面を20倍に拡大して観察し、内田洋行社製デジタルプラニメーターを用いて織編物表面のうち糸条が占める面積と、糸条が存在しない面積を計測し、下記の式により空隙率(%)を算出した。
空隙率(%)=((糸条が存在しない面積)/((糸条が占める面積)+(糸条が存在しない面積)))×100
該空隙率を、乾燥時と湿潤時についてそれぞれ測定(n数=5)し、下記式により空隙変化率(%)を算出した。ここで、乾燥時とは、温度20℃、湿度65%RHの環境下で24時間放置した後の試料の状態であり、湿潤時とは、上記試料を温度20℃の水中に5分間浸漬した後に水中から引き上げ、試料を2枚のろ紙の間にはさみ、490N/m(50kgf/m)の圧力で1分間加重し、繊維間に存在する水分を取り除いた状態を示す。
空隙変化率(%)=(((湿潤時の空隙率)−(乾燥時の空隙率))/(乾燥時の空隙率))×100
[実施例1]
ハードセグメントとしてポリブチレンテレフタレートを49.8重量部、ソフトセグメントとして数平均分子量4000のポリオキシエチレングリコール50.2重量部からなるポリエーテルエステルを、230℃で溶融し、所定の紡糸口金より吐出量3.05g/分で押出した。このポリマーを2個のゴデットロールを介して705m/分で引取り、さらに750m/分(巻取りドラフト1.06)で巻取り、44デシテックス/1フィラメントの弾性を有する吸水自己伸張糸を得た。この吸水自己伸張糸の湿潤時の繊維軸方向への膨潤率は10%であり、沸水収縮率は8%であった。
一方、非自己伸張糸として沸水収縮率が10%であり、湿潤時の膨張率が1%以下である、通常のポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント糸(84デシテックス/24フィラメント)を用意した。
次いで、28ゲージのシングル丸編機を用いて、上記吸水自己伸張糸と上記非自己伸張糸とを同じ給糸速度で該編機に給糸することにより、47コース/2.54cm、40ウェール/2.54cmの編密度にて天竺組織の丸編物を編成した。ついで、この丸編物を常法の染色仕上げ方法にて加工を行った。得られた丸編物において、A/Bが1.0であった。また、得られた丸編物において、乾燥時では、空隙率30%、湿潤時には、空隙率25%と湿潤時に空隙率が低下し満足なものであった。
[比較例1]
実施例1において、吸水自己伸張糸をドラフト率50%でドラフトさせながら上記非自己伸張糸と同時に該編機に給糸すること以外は実施例1と同様にして丸編物を編成した後、同様の染色仕上げ加工を行った。得られた丸編物において、A/Bが0.7であった。また、得られた丸編物において、乾燥時では、空隙率15%、湿潤時には、空隙率23%と湿潤時に空隙率が向上した。
本発明によれば、乾燥時と比べて、湿潤時に寸法があまり変化することなく性能よく空隙率が可逆的に低下する織編物が得られる。かかる織編物をインナーウエアーやスポーツウエアーなどとして使用すると、湿潤時に織編物内の空隙が小さくなるため、雨などにより湿潤されても透けにくく、かつ防水性が向上するという効果が得られる。他方、乾燥時には、織編物内の空隙が大きくなり、通気性が向上するという効果が得られ、その工業的価値は極めて大である。
本発明に係る織編物において、吸水自己伸張糸と非自己伸張糸とが丸編組織の複合ループを形成する糸配列を模式的に示すものであり、(1)湿潤時、(2)乾燥時である。 本発明に係る織編物において、吸水自己伸張糸と非自己伸張糸とが、引き揃えられて織組織の経糸および緯糸を構成する糸配列を模式的に示すものであり、(1)湿潤時、(2)乾燥時である。 本発明に係る織編物において、吸水自己伸張糸と非自己伸張糸とが1:1に配列されて丸編物を構成する糸配列を模式的に示すものであり、(1)湿潤時、(2)乾燥時である。 本発明に係る織編物において、吸水自己伸張糸と非自己伸張糸とが織物の経糸と緯糸に1:1に配列されて織物を構成する糸配列を模式的に示すものであり、(1)湿潤時、(2)乾燥時である。
符号の説明
1−1,1−2,3−1,3−2,5−1,5−2,7−1,7−2 非自己伸張糸
2−1,2−2,4−1,4−2,6−1,6−2,8−1,8−2 吸水自己伸張糸

Claims (3)

  1. 吸水自己伸張糸と非自己伸張糸からなる織編物であって、温度20℃、湿度65%RHの雰囲気中における該織編物中の吸水自己伸張糸の糸長を(A)、他方、非自己伸張糸の糸長を(B)とするとき、A/Bが0.9より大であり、かつ前記織編物が下記(1)〜(3)の要件のうち少なくとも1要件を満足し、かつ前記吸水自己伸張糸が、ポリブチレンテレフタレートをハードセグメントとし、ポリオキシエチレングリコールをソフトセグメントとするポリエーテルエステルエラストマーからなるポリエーテルエステル繊維であることを特徴とする湿潤時に空隙率が低下する織編物。
    (1)丸編組織を有し、かつ吸水自己伸張糸と非自己伸張糸が該丸編組織の複合ループを形成してなる。
    (2)織組織を有し、かつ吸水自己伸張糸と非自己伸張糸が引き揃えられて該織組織の経糸および/または緯糸を構成してなる。
    (3)吸水自己伸張糸と非自己伸張糸が、各々織編物の構成糸条として、1本交互にまたは複数本交互に配列してなる。
  2. 非自己伸張糸がポリエステル繊維である請求項1に記載の湿潤時に空隙率が低下する織編物。
  3. 湿潤時と乾燥時との空隙変化率が10%以上である請求項1または請求項2に記載の湿潤時に空隙率が低下する織編物。
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