JP4220729B2 - 液晶光変調器及びそれを用いた液晶表示装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は液晶光変調器及びそれを用いた液晶表示装置に関し、特に、強誘電性液晶を用いて光強度を変調する液晶光変調器及びそれを用いた液晶表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶膜に電界を加えて、液晶分子の配列状態を変化させるという液晶の電気光学効果を応用すると光変調器が容易に実現できる。液晶光変調器は、他の電気光学効果を示す無機結晶に比べて低電圧で動作し、比較的大きな面積のものを廉価に作ることができるため、ディスプレイ用の電気光学素子として近年注目されている。
【0003】
このような液晶光変調器の1つとして、自発分極を持ちカイラルスメクティックC相を示す強誘電性液晶を、透明電極間の狭いギャップ(通常、2〜3μm)に充填し、液晶分子の配向を双安定化した表面安定化強誘電性液晶がある(参考文献1:N.A.Clark and S.T.Langerwall Appl.Phys.Lett.,Vol.36,No.11,pp.899−901,1980)。
【0004】
その場合、液晶分子は基板と水平な面内で配向膜の配向処理方向から、液晶材料固有のコーン角だけ傾いた2つの安定な配向状態を持ち、それらの2つの配向は、透明電極に加える電圧の極性を切り替えるとスイッチングする。この素子を偏光透過軸が直交した2つの偏光板で挟み、一方の偏光板の偏光透過軸を2方向の配向状態のいずれかに平行に設定することにより、双安定性の光変調動作が得られる。
【0005】
液晶の複屈折効果を有効に利用して、高い透過率を得るためには、コーン角は22.5度程度が望ましい。この分子配向スイッチングは、数十〜数百μsecの高速な光変調を可能にするため、高速動作が求められるフラットパネルディスプレイに有用である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記の液晶光変調器は液晶の分子配列が双安定のため、中間調表示が困難である。そのため、階調を必要とする画像表示に応用できない。また、液晶の配向が不連続となる配向欠陥(ジグザグ欠陥)が発生しやすく、それに伴う黒表示で光漏れにより、光変調のコントラスト比が低下するといった問題を抱えている。
【0007】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、中間調表示を行うことができ面内均一性やコントラスト比に優れた液晶光変調器及びそれを用いた液晶表示装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、最大透過率が得られる理想的なコーン角が45度であるのに対して40度以上のコーン角を有し厚みが1μm以下であるカイラルスメクティックC相の強誘電性液晶膜と、
毛先押し込み量が0.4mm以上のラビング処理により形成され、前記強誘電性液晶膜を挟み液晶分子を配向させる一対の配向膜と、
前記強誘電性液晶膜と前記一対の配向膜とを挟む一対の透明電極と、
前記強誘電性液晶膜と前記一対の配向膜と前記一対の透明電極を挟んで配置され偏光透過軸が直交する一対の偏光板と、
前記一対の透明電極間に印加して光透過率を連続的に変化させる両極性の直流電圧の電圧源とを有することにより、
透明基板上に塗布した配向膜の影響が強くなって双安定特性が消失し、印加電圧に応じて透過率が連続的に変化して中間調表示を行うことができる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の液晶光変調器において、
前記一対の配向膜は、高プレチルト配向膜であることにより、
配向欠陥が生じにくくなり、面内均一性やコントラスト比に優れた液晶光変調器を構成できる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2記載の液晶光変調器において、
前記一対の配向膜は、配向処理方向が逆方向であることにより、
配向欠陥が生じにくくなり、面内均一性やコントラスト比に優れた液晶光変調器を構成できる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか記載の液晶光変調器において、
前記一対の偏光板は、いずれか一方の偏光透過軸が、前記一対の配向膜の配向処理方向と平行であることにより、
印加電圧に応じて透過率を連続的に変化させることが可能となる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明の液晶光変調器の一実施例の構成を示す模式図である。同図中、自発分極をもつカイラルスメクティックC相を示す強誘電性液晶膜1が、配向膜3aを付着させた透明電極4aと配向膜3bを付着させた透明電極4bに挟まれて配設される。透明電極4a,4bそれぞれは透明基板5a、5bに付着させて形成されている。透明電極4a、4bはリード線6a、6bを介して、両極性電圧を供給できる電圧源7に接続されている。
【0014】
透明基板5aの強誘電性液晶膜1とは逆側に配設された入射側の偏光板8aは、強誘電性液晶1の液晶分子2の長軸方向の偏光透過軸を有しており、透明基板5bの強誘電性液晶膜1とは逆側に配設された出射側の偏光板8bは、強誘電性液晶1の液晶分子2の長軸方向と直交する方向の偏光透過軸を有している。
【0015】
入射光9は、入射側の偏光板8aを透過することにより、強誘電性液晶1の液晶分子2の長軸方向に偏光され、強誘電性液晶膜1に入射する。この入射光は強誘電性液晶膜1で偏光状態が制御されたのち、他方の透明基板5bを通し出射側の偏光板8bを透過透過することにより、強度変調された出射光10となる。
【0016】
すなわち2つの偏光板8a、8bの偏光透過軸を直交させ、偏光板8a、8bのいずれか一方の偏光透過軸を配向膜3a,3bの配向処理方向と平行にすることにより、電圧源7による極性及び電圧強度の制御により、液晶分子2の配向方向が透明基板5a,5bの面内で連続的に変化して、光透過率が連続的に変化するアナログ的な光変調機能が得られる。
【0017】
強誘電性液晶膜1には、40度以上(理想的には45度)のコーン角をもたせることにより、入射光に対する複屈折効果を高めることができ、高い光利用率が期待できる。アナログ的な分子配向変化を得るためには、液晶分子2の分子配向が配向膜3a,3bの配向処理方向に安定化されるように、配向膜3a,3bの配向力を強くするか、もしくは強誘電性液晶膜1の厚みを1μm以下と薄くして、配向膜3a,3bの影響を強めることができる。これにより、透明基板上に塗布した配向膜の影響が強くなり、強誘電性液晶膜1の双安定特性が消失する。
【0018】
強誘電性液晶膜1の厚みは、2μm程度でも液晶分子配向が可能であるが、コーン角が広い強誘電性液晶膜では分子配向のスイッチング軸が面内でぶれやすくなり、配向欠陥が生じやすくなる。しかし1μm以下であれば、配向欠陥を大幅に低減することが可能となる。すなわち、強誘電性液晶膜1の膜厚を減少させれば、液晶分子2の分子配向を安定化することができる。
【0019】
更に、配向膜3a,3bとして高プレチルト配向膜を用いて、液晶分子2を透明基板5a,5bから起こして配向させることにより(例えば、透明基板5a,5bと液晶分子2のなす角度であるチルト角は10度程度)、更に配向欠陥を減らして、面内均一性やコントラスト比を高めることができる。この場合、2つの配向膜3a,3bの配向処理は逆方向(アンチパラレル)が効果的である。しかし、平行配向であっても一定の欠陥抑制が期待できる。
【0020】
強誘電性液晶1の分子配向を一方向に安定化する配向膜3a,3bには、摩擦(ラビング)処理、もしくは偏光紫外光の照射による配向処理を施されたポリイミド樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、斜方蒸着されたSiO、SiO2のいずれかの配向膜を用いることができる。
【0021】
強誘電性液晶膜1の材料としては、入射光の偏光状態を大きく制御できるように、液晶の屈折率異方性△n(△n=異常光屈折率ne−常光屈折率no)が大きい方が好ましい。
【0022】
そのため、屈折率異方性の大きなシッフ塩基系強誘電性液晶、アゾ系強誘電性液晶、アゾキシ系強誘電性液晶、ビフェニル系強誘電性液晶、エステル系強誘電性液晶、もしくはフェニルピリミジン系強誘電性液晶などが適している。また、自発分極が大きな強誘電性液晶材料を用いることにより、高速応答と低電圧駆動が可能となる。
【0023】
透明電極4a,4bとしては、錫をドープした酸化インジウム(ITO:In2O3:Sn)などが好適である。透明電極4a,4bを付着させる透明基板5a,5bには、ガラスもしくはプラスティックフィルムを用いることができ、プラスティックフィルムを透明基板5a,5bに用いた場合には、液晶光変調器をフレキシブルにすることが可能である。また、透明基板5a,5bで挟まれた強誘電性液晶1の膜厚は、球状のスペーサを分散するか、フォトリソグラフィーで樹脂製の微細構造物を形成することにより、一定に保つことが可能である。
【0024】
このような液晶光変調器と、蛍光管、冷陰極管、発光ダイオードなどのバックライトを組み合わせることにより、動画表示に適した高速な液晶表示装置を構成することができる。また、液晶光変調器に反射板を組み合わせて用いるか、内蔵させることにより、反射型ディスプレイを構成することも可能である。
【0025】
実施例として、強誘電性液晶膜1にチッソ社、液晶組成物(コーン角度42.9度、カイラルピッチ14μm)を用いて作製した液晶光変調器について述べる。作製方法は以下の通りである。
【0026】
まず、透明ガラスを用いた2枚の透明基板5a,5bに、それぞれ厚み72nmのIn2O3:Snを蒸着して透明電極4a,4bを形成し、さらに透明電極4a,4b上にスピンコート法によって高プレチルト用ポリイミド(JSR社JALS−246−R4)を塗布し、厚み50nmの配向膜3a,3bを形成した。この配向膜3a,3bを微細なレーヨンブラシ(安川加工社、YA−20−RW)で一方向にラビングした。
【0027】
2枚の配向膜3a,3b付きの透明基板5a,5bを配向方向が逆方向になるように、1μm径もしくは1.8μm径もしくは2.5μm径の球状スペーサを介在させて重ね合わせギャップを形成した。そのギャップに、100℃で加熱した強誘電性液晶1を注入し、室温に戻して液晶配向の均一性を偏光顕微鏡により観察した。
【0028】
ラビング強度が強く、レーヨンブラシの毛先押し込み量が0.4mmと大きくした場合、膜厚の減少による液晶配向の均一化が見られた。強誘電性液晶膜1の膜厚が2.5μmではランダムな分子配向となったが、強誘電性液晶膜1の膜厚を薄くして1.8μmにすると配向した液晶領域が現れ始め、さらに薄く膜厚1μmにすると、ラビング方向に一様に配向した液晶領域が観察された。
【0029】
しかし、ラビング強度が弱く、レーヨンブラシの毛先押し込み量が0.2mmと小さくした場合、配向組織の改善効果は低いことが分かった。配向処理を強くして透明基板5a,5b間のギャップを膜厚1μmと薄くすることにより、配向欠陥が減少した結果、コントラスト比が膜厚1.8μmの20:1から、膜厚1μmの250:1に大幅に改善できた。
【0030】
図2は、電圧源7により印加直流電圧を−5V〜+5Vまで変化させたときの透過光強度変化を示す。印加電圧に応じて透過光の強度が連続的に変化して、V字状の光変調特性が確認された。また、試作した素子の応答時間(立上がり時間+立下り時間)は0.6msecと高速であり、動画用の表示材料に好適である。
【0031】
このように、広いコーン角を有する強誘電性液晶膜を用い、膜厚を薄くすることで、表示の一様性やコントラスト比に優れ、高速なアナログ変調が可能な液晶光変調器および液晶表示装置を提供することができる。従って、本発明の液晶光変調器や液晶表示装置は、フラットパネルディスプレイに好適であり、本発明を用いることにより階調を伴う動画表示が可能となる。
【0032】
【発明の効果】
上述の如く、請求項1に記載の発明によれば、透明基板上に塗布した配向膜の影響が強くなって双安定特性が消失し、印加電圧に応じて透過率が連続的に変化して中間調表示を行うことができる。
【0034】
また、請求項2に記載の発明によれば、配向欠陥が生じにくくなり、面内均一性やコントラスト比に優れた液晶光変調器を構成できる。
【0035】
また、請求項3に記載の発明によれば、配向欠陥が生じにくくなり、面内均一性やコントラスト比に優れた液晶光変調器を構成できる。
【0036】
また、請求項4に記載の発明によれば、印加電圧に応じて透過率を連続的に変化させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液晶光変調器の一実施例の構成を示す模式図である。
【図2】印加直流電圧を変化させたときの透過光強度変化を示す図である。
【符号の説明】
1 強誘電性液晶膜
2 液晶分子
3a,3b 配向膜
4a,4B 透明電極
5a,5b 透明基板
6a、6b リード線
7 電圧源
8a,8b 偏光板
9 入射光
10 出射光
Claims (7)
- 最大透過率が得られる理想的なコーン角が45度であるのに対して40度以上のコーン角を有し厚みが1μm以下であるカイラルスメクティックC相の強誘電性液晶膜と、
毛先押し込み量が0.4mm以上のラビング処理により形成され、前記強誘電性液晶膜を挟み液晶分子を配向させる一対の配向膜と、
前記強誘電性液晶膜と前記一対の配向膜とを挟む一対の透明電極と、
前記強誘電性液晶膜と前記一対の配向膜と前記一対の透明電極を挟んで配置され偏光透過軸が直交する一対の偏光板と、
前記一対の透明電極間に印加して光透過率を連続的に変化させる両極性の直流電圧の電圧源とを有することを特徴とする液晶光変調器。 - 請求項1記載の液晶光変調器において、
前記一対の配向膜は、高プレチルト配向膜であることを特徴とする液晶光変調器。 - 請求項1または2記載の液晶光変調器において、
前記一対の配向膜は、配向処理方向が逆方向であることを特徴とする液晶光変調器。 - 請求項1乃至3のいずれか記載の液晶光変調器において、
前記一対の偏光板は、いずれか一方の偏光透過軸が、前記一対の配向膜の配向処理方向と平行であることを特徴とする液晶光変調器。 - 請求項1乃至4のいずれか記載の液晶光変調器において、
前記配向膜は、ラビング配向処理または偏光紫外線光の照射による光配向処理を施されたポリイミド樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、及び斜方蒸着処理されたSiO、SiO2のいずれかであることを特徴とする液晶光変調器。 - 請求項1乃至5のいずれか記載の液晶光変調器において、
前記透明電極は、ガラスもしくはプラスティックフィルムの透明基板に付着させて形成したことを特徴とする液晶光変調器。 - 請求項1乃至6のいずれか記載の液晶光変調器を用いて表示を行うことを特徴とする液晶表示装置。
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