JP4229247B2 - ルーフモール及びその塗装方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、車体のルーフの溝部に嵌着されるルーフモールとその塗装方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
図8及びその9−9断面を示す図9のように、乗用車の車両60のルーフ61においては、ルーフの中央パネル62と側部パネル63との継ぎ目64に溝部65が形成されて、その溝部65にルーフモール70を装着する事によって前記継ぎ目64を隠蔽している。
【0003】
前記溝部65では、中央パネル62と側部パネル63の端部が重ねられてスポット溶接されており、その継ぎ目64から雨漏りするのを防止するためシール材Sが塗布されている。なお、溝部65の車両前後方向両端は、急激な形状変化が有るとプレス成形時にその部分で破れを生じるため、ルーフの前端及び後端に向けて徐々に浅くされている。
【0004】
前記ルーフモール70は、塩化ビニル樹脂等からなる樹脂の押出成形品からなり、意匠部71と、その意匠部71の裏面から下方へ伸びる脚部72とを備え、脚部72の下部の側面にリップ73が形成されている。また、脚部72には適宜金属製芯材74が埋設される。
【0005】
ところで、従来における前記ルーフモール70は、通常、次のような手順でルーフに取り付けられている。すなわち、前記ルーフ61の継ぎ目64をスポット溶接し、ルーフ61の静電塗装及び溝部65内へのシール材Sの塗布を行った後、予め前記意匠部71表面に塗装を施したルーフモール70の脚部72を溝部65に嵌着し、リップ73の先端を溝部65の内部側面に密着させることによりルーフモール70を溝部65に固定し、溝部65の開口を意匠部71で塞いでいる。
【0006】
なお、前記溝部65の車両前後方向両端付近では、溝部65の深さが浅くなっているため、溝部65の深さに応じて脚部72の下部を切除する必要があり、その切除の際にリップ73も除去されるので、リップ73を利用してルーフモール70を溝部65に固定することができなくなる。そこで、従来では、溝部の両端については、接着剤や両面接着テープ又はクリップ等を用いてルーフモールを固定していた。
【0007】
ところが、前記のようなルーフモール70にあっては、その取付けに先立って、前記溝部65内に対しシール剤を塗布する作業が必要なため、その作業が煩雑である。しかも、前記ルーフモール70は、車体ルーフ61と違って合成樹脂製であることから、通常の金属製車体の塗装に用いられる静電塗装を適用できず、車体のルーフ61とは別に予めルーフ61の色に合わせて塗装等で着色しなければならなかった。そのため、通常、ルーフモールとルーフとは同一色にされるにもかかわらず、ルーフとは別個にルーフモールの塗装作業を行わねばならず、その塗装作業が面倒であった。さらに、ルーフモールとルーフを同一の塗料で同時に塗装できないため、ルーフモールの色と車体のルーフの色が微妙に異なり、ルーフの外観を損なうことがある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は前記の点に鑑みなされたもので、車体のルーフとルーフモールの意匠部の色が一致し、しかもルーフの塗装時にルーフモールの意匠部を塗装でき、さらにはルーフ溝部の処理が簡単になるルーフモールとその塗装方法を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
すなわち、請求項1の発明は、意匠部の裏面に脚部が形成され、前記脚部を介して車体ルーフの溝部に嵌着されて車体ルーフと共に塗装されるルーフモールであって、前記意匠部の少なくとも表面を前記ルーフと接触する意匠部縁まで導電性樹脂で構成し、前記脚部は、下端に溝部幅方向へ突出した突出部を有し、少なくとも前記脚部の突出部を含む下面に感熱型メルトシール材を設けたことを特徴とするルーフモールに係る。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1記載のルーフモールを車体ルーフの溝部に嵌着した後、前記車体ルーフと共にルーフモールの表面を塗装することを特徴とするルーフモールの塗装方法に係る。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下添付の図面に従ってこの発明を詳細に説明する。
図1はこの発明の一実施例に係るルーフモール及びルーフの溝部を示す断面図、図2はルーフモールの脚部を溝部に嵌着した際を示す断面図、図3はルーフモールを取り付けた状態を示す断面図、図4は他の例のルーフモールを示す断面図、図5は焼き付け後のルーフモールを示す断面図、図6はさらに他の例のルーフモールを示す斜視図、図7は参考例のルーフモールを示す斜視図である。
【0012】
図1に示すルーフモール10は、車体ルーフRの溝部31に嵌着されるものであって、公知の押出成形により形成され、溝部31の長さに応じて所定長とされている。この例のルーフモール10は、意匠部11とその裏面に形成された脚部15とを備え、内部に金属製芯材16が埋設されている。なお、図示の溝部31は、上部が階段状に開いた形状からなっていて、その段部31aにルーフモール10の意匠部11を配置した際に意匠部11がルーフR表面からそれ程突出しないようになっている。
【0013】
前記意匠部11は、意匠部本体11aとその表面に積層された導電樹脂層11bとで構成され、このルーフモール10が溝部31に取り付けられた際に前記溝部31に蓋をするよう、意匠部11の幅が溝部31の幅より大とされ、意匠部11の縁が前記段部31a上に載置される大きさからなる。
【0014】
前記意匠部本体11aは脚部15と同一樹脂で一体に形成されており、ルーフRの塗料焼き付け温度、通常140〜160℃の温度で形状の崩れや溶融を生じない耐熱性樹脂で構成されている。この耐熱性樹脂としては、後記感熱型メルトシール21と接着性の良好なポリエステル系樹脂、あるいはウレタン系樹脂が好ましい。
【0015】
前記導電樹脂層11bは、意匠部11表面に静電塗装を可能とする導電性を賦与するためのもので、少なくとも意匠部11表面に設けられ、さらにはこのルーフモール10を溝部31に嵌着した際に導電樹脂層11bがルーフRと接触してルーフRから意匠部11表面まで一連の導電性を賦与できるように、意匠部縁13まで設けられている。なお、導電性樹脂層11bは、ルーフRとの接触を良好とするため、意匠部縁13を巻き込むようにして意匠部11裏側まで設けてもよい。さらに、意匠部11全体を導電性樹脂としてもよいが、材料費が嵩むため、この例のように意匠部本体11aの表面(適宜裏面を含む)に設けるのが好ましい。導電性樹脂層11bを構成する導電性樹脂としては、静電塗装が可能な導電性(体積抵抗1.2×106 Ω−cm以下)を有するもので、実施例においては、ポリエステルや熱可塑性ウレタン等の耐熱性樹脂に、カーボンブラックを50wt%添加したものである。
【0016】
それに対し、前記脚部15は、ルーフRの溝部31内に挿入される部分で、ルーフの溝部幅wより小さな幅とされ、高さについては溝部の深さhよりも小さくされている。この例の脚部15は下端15aが幅方向に突出した拡大形状となっている。この脚部15の上部には熱によるルーフモール10の伸縮をおさえるために、ステンレスや鉄あるいはアルミニウム等からなる金属芯材16が埋設されている。また、浅くなったルーフ前後の溝部31両端付近に対応するルーフモール10の両端付近においては、溝部31の深さに応じて脚部15の下部が傾斜して切断される。
【0017】
さらに、前記脚部15の下面には、この例のように、感熱型メルトシール材21を設けるのが好ましい。この感熱型メルトシール材21は、感温型メルトシール材とも称され、車体ルーフRの塗料焼き付け温度(140〜160℃)で溶融して溶着性(接着性)を発揮するものからなり、変性エポキシ樹脂等を使用できる。この感熱型メルトシール材21は、ルーフモール10が取り付けられるルーフRの溝部31の幅wと略等しい幅、好ましくは僅かに小さな幅とされ、また、ルーフモール10の全長に渡って設けてもよいが、この例では30cm〜50cm間隔で設けられている。この感熱型メルトシール材21の厚みについては、ルーフモール10をルーフRの溝31に挿入した際における感熱型メルトシール材21の未溶融状態時に、前記導電性樹脂層15bで覆われた意匠部11の両縁がルーフRの溝部31の開口縁に接触するように設定され、その厚みは溝部31の深さh等によっても異なるが、通常、0.5mm以上、好ましくは1mm〜4mm程度とされる。
【0018】
次に、前記ルーフモール10の塗装方法の発明に関する実施例について説明する。まず、図2に示すように、前記ルーフモール10の脚部15を、静電塗装前の車体ルーフRの溝部31に挿入嵌着し、意匠部11の縁を溝部31の段部31a,31aに載置し、意匠部11表面の導電性樹脂層11bを意匠部11の両縁でルーフRの溝部31の段部31aに接触させる。前記溝部31は、ルーフRの中央パネル32と側部パネル32がスポット溶接によって接合された継ぎ目34に形成されている。符号37は溝部底面を示す。
【0019】
このとき、前記ルーフモール10の脚部15下面の感熱型メルトシール材21は、前記したように感熱型メルトシール材21の厚み設定により、溝部31の底面37と接し、あるいは溝部底面37から僅かに離れた状態となる。
【0020】
そして、前記ルーフRと共にルーフモール10の意匠部11表面の塗装を行う。この塗装は、従来行われているルーフRの塗装工程で行われるもので、公知の静電塗装が利用される。この静電塗装は、塗装粉体に電荷を与えて静電場内に飛散させ、静電気の吸引力によって被塗装物に付着させて塗装する方法である。この発明では、被塗布物はルーフR及びルーフモール10の意匠11部表面であり、前記のように樹脂製ルーフモール10の意匠部11表面が導電性樹脂層11bからなって、その導電性樹脂層11bがルーフRに接触していることから、ルーフモールの意匠部11表面とルーフRが連続した導電性物質となり、ルーフRのみならずルーフモール10の意匠部11表面も静電塗装可能となる。しかも、前記車体ルーフRとルーフモール10の意匠部11表面とを、同一の塗料でかつ同一条件で同時に塗装できるために、工数が余分にかからないと共に、ルーフRとルーフモール10の意匠部11表面間に微妙な色の差違を生じることがない。
【0021】
その後、ルーフの塗料の焼き付けを、通常140℃〜160℃で行う。その際の熱によって、図3に示すように、前記ルーフモール10の脚部15下面の感熱型メルトシール材21が溶融し、溝部底面37に広がって溝部底面37の継ぎ目34をシールし、その後の冷却硬化によって、ルーフモール10の脚部15が溝部底面37に感熱型メルトシール材21で接着(溶着)固定される。さらに、前記感熱型メルトシール材21の溶融時の流動性によって、該メルトシール材21が溝部底面37のスポット溶接部の凹凸上で平滑となるため、その感熱型メルトシール材21により溝部31に接着固定されているルーフモール10の脚部15及び脚部15上の意匠部11が波打たず、良好なルーフモール意匠面が得られる。
【0022】
また、図4に示したように、脚部15の下面と共に脚部15下端側面の突出部15cの上面両側部にもメルトシール材21aを設けておけば、塗料の焼き付けの際に、図5のように、メルトシール材21,21aが溶融結合して脚部下端の突出部15cを包み込むようにして溝部底面37と接着するため、ルーフモール10をより確実に溝部31に固定することができる。
【0023】
図6には他の実施例のルーフモール40を示す。このルーフモール40は、モール本体部41と、係合脚部45とよりなる。モール本体部41は、意匠部42とその意匠部42と一体に形成された脚本体部43とよりなる。前記意匠部42及び脚本体部43は、前記図1ないし図5の実施例における意匠部11及び脚部15と同様の構成及び樹脂からなり、符号41aは導電性樹脂層、44は芯材である。
【0024】
前記係合脚部45は、前記脚本体部43と係合してルーフモール40の脚部46を構成するもので、前記感熱型メルトシール材21と接着良好な耐熱性樹脂からなる。この係合脚部45は、前記ルーフRの溝部31に挿入可能な大きさの底板47とその上面に立設された平行な2つの係止片48,48とで構成されている。前記係止片48の上端は内向きの係合突部48aとなっていて、この係止片48,48間に上方から脚本体部43が挿入された際に、脚本体部43下端の側面突出部43a,43aと係止片48,48の係合突部48a,48aが係合して脚本体部43と係合脚部45が一体となった脚部46を形成するようになっている。また、前記係合脚部45の底板47下面、すなわち脚部46下面には感熱型メルトシール材21が設けられている。なお、この例では、係合脚部45の底板47には金属製芯材49が埋設されている。
【0025】
この例のルーフモールディング40においても、図1ないし図5の例と同様、前記ルーフRの溝部31に脚部46を嵌着し、ルーフRと共に静電塗装を行い、その後焼き付けを行うことによって、意匠部42表面の塗装とルーフモール40の溝部31への固定を行うことができる。さらに、この例によれば、経時劣化等によりルーフモール40の意匠部42の外観が低下等した場合には、モール本体部41をやや強引に上方へ引っ張り上げれば、モール本体部41の脚本体部43と係合脚部45との係合を解除できるので、前記ルーフRの溝部31に溶着した感熱型メルトシール材21を裂傷させることなく、モール本体部41のみをルーフRから外すことができ、その後、新たなモール本体部を再び係合脚部45の係止片48,48間に挿入係合させればモール本体部を交換することができる。
【0026】
図7に示す参考例のルーフモール50も、モール本体部51と、そのモール本体部51の脚本体部53と係合して脚部56を構成する係合脚部55とよりなり、その係合脚部55の下面に感熱型メルトシール材21が貼着されており、前記ルーフRの溝部31に脚部56が挿入嵌着された後、ルーフRと共に意匠部52表面の静電塗装が行われ、その後の焼き付けによって感熱型メルトシール材21が溶融し、係合脚部55が前記溝部底面37に接着固定される。また、モール本体部51を引っ張り上げれば、モール本体部51のみをルーフRから外すことができ、図6の例と同様にモール本体部を交換することができる。なお、この例においては、係合脚部55は、断面凹形状をしたもので、所定間隔で所要数設けられる。また、モール本体部51の導電性樹脂層51aを除く部分の樹脂、特に脚本体部53の樹脂は、感熱型メルトシール材21と接着しにくい耐熱性樹脂、例えば熱可塑性ポリオレフィンエラストマー(TPO)とし、係合脚部55については感熱型メルトシール材21との接着性が良好な樹脂、例えばポリエステル系樹脂、あるいはウレタン系樹脂とするのが好ましい。符号54は脚本体部側面の係合突条、57は係合脚部55の係合突起、58は金属製芯材である。
【0027】
【発明の効果】
以上図示し説明したように、請求項1の発明のルーフモールによれば、意匠部の表面を車体ルーフと接触する意匠部縁まで導電性樹脂で構成したものであるため、車体ルーフにルーフモールを取り付けた後、車体ルーフの塗装時にルーフモールの意匠部表面の塗装を行うことができ、ルーフモールの意匠部表面と車体ルーフとを同一塗料によって着色できるので、作業が簡略になると共に色合わせに苦労することなくルーフの美観を良好にできる。
【0028】
また、請求項1の発明によれば、前記効果に加えて次の効果が得られる。すなわち、ルーフモール脚部の下面に感熱型メルトシール材を設けた構造であるため、ルーフの溝部内の継ぎ目に対して、別個のシール作業を行うことなく、ルーフモールの取り付けと同時にシールを行うことができ、ルーフの溝部の継ぎ目処理が簡単になる効果がある。車両前後方向両端の端末部においても、特別な接着加工を行う必要がない。しかも、ルーフの溝部における継ぎ目のスポット溶接部によるルーフモールの波打ちを生じ難いので、ルーフモールの意匠部(意匠面)及びルーフの外観を良好にすることができる。
【0029】
さらに、請求項2の発明に係るルーフモールの塗装方法によれば、車体ルーフと共にルーフモールの表面を塗装できるため、別個に塗装していた手間を省くことができるのみならず、車体ルーフとルーフモールの色あわせに苦労することなく、美麗に塗装することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の一実施例に係るルーフモールを示す断面図である。
【図2】 ルーフモールの脚部を溝部に嵌着した際を示す断面図である。
【図3】 ルーフモールを取り付けた状態を示す断面図である。
【図4】 この発明のルーフモールの他の例を示す断面図である。
【図5】 焼き付け後を示す断面図である。
【図6】 さらに他の実施例に係るルーフモールを示す斜視図である。
【図7】 参考例に係るルーフモールを示す斜視図である。
【図8】 従来のルーフモールが取り付けられた車両の斜視図である。
【図9】 図8の9−9線で切断した断面図である。
【符号の説明】
10 ルーフモール
11 意匠部
15 脚部
21 感熱型メルトシール
31 溝部
Claims (2)
- 意匠部の裏面に脚部が形成され、前記脚部を介して車体ルーフの溝部に嵌着されて車体ルーフと共に塗装されるルーフモールであって、前記意匠部の少なくとも表面を前記ルーフと接触する意匠部縁まで導電性樹脂で構成し、
前記脚部(15)は、下端に溝部幅(w)方向へ突出した突出部(15c)を有し、少なくとも前記脚部(15)の突出部(15c)を含む下面に感熱型メルトシール材(21)を設けたことを特徴とするルーフモール。 - 請求項1記載のルーフモールを車体ルーフの溝部に嵌着した後、前記車体ルーフと共にルーフモールの表面を塗装することを特徴とするルーフモールの塗装方法。
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