JP4244832B2 - エンジンブロックの振動伝達特性解析装置 - Google Patents

エンジンブロックの振動伝達特性解析装置 Download PDF

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Description

この発明は、エンジンブロックの振動伝達特性解析装置、およびその装置に採用される加振装置に関する。
内燃機関であるエンジンを搭載した車両の走行時において、快適な乗り心地を得るためのエンジン制御の1つに、エンジンでのノッキングの発生を検知し、ノッキングを解消するようにエンジンを制御する方法がある。この制御を実現するためには、エンジンにノッキングセンサを配設し、ノッキングの発生時に生じる振動をノッキングセンサにより検知して、この検知情報に基づきエンジンの燃焼条件の設定を行なっている。
ノッキングの発生時には、エンジンブロックに生じるノッキング振動を正確にノッキングセンサにより検出する必要がある。具体的には、予めノッキングの発生時にエンジンブロックに生じるノッキング振動の伝達特性(以下、ノッキング振動伝達特性と称する。)を把握しておくことが重要である。そこで、試験的にエンジンブロックに振動を与えてエンジンブロックにノッキング振動を擬似的に発生させて、ノッキング振動伝達特性を事前に把握しておくことが考えられる。しかしながら、現段階においては、ノッキング振動を予め測定し解析するためのエンジンブロックの振動伝達特性解析装置は存在しない。
下記特許文献1には、予め記憶した制御信号により、液体が充填されたエンジンの燃焼室を油圧加振型アクチュエータおよび圧電加振型アクチュエータの両方を用いて加振し、擬似的に実機エンジンの筒内圧力を再現する擬似燃焼加振装置が開示されている。この装置を用いた場合、図20に示すように、燃焼圧によるエンジンブロックの振動騒音特性(特定の周波数領域における振動の伝達特性)を予め知ることはできる。しかし、実機エンジンにおけるノッキング振動伝達特性そのものを得ることはできない。
また、振動伝達特性を得るためには、被加振物に対して、所定の角度を維持して(たとえば垂直方向)振動を正確に加振する必要がある。下記特許文献2には、加振軸の連結構造に関する発明が開示されているが、具体的なエンジンに振動特性をえるための加振装置に関する開示はない。
特開平11−094690号公報 特開平08−136392号公報
したがって、本発明の第1の目的は、エンジンにおけるノッキング振動特性等を得るための、エンジンブロックの振動伝達特性解析装置およびその装置を用いた振動伝達特性解析方法を提供することにある。また、この発明の第2の目的は、被加振物に対して、所定の角度を維持して振動を正確に加振するための加振装置を提供することにある。
この発明に基づいたエンジンブロックの振動伝達特性解析装置においては、シリンダヘッドと、シリンダボアを有するシリンダブロックとを備えるエンジンブロックを加振して、上記エンジンブロックの振動伝達特性を解析するために用いられる、エンジンブロックの振動伝達特性解析装置であって、上記シリンダボアの内面の、燃焼室に相当する領域に配置されるシリンダブロック振動測定器と、燃焼室に面し上記シリンダヘッドの内面に配置されるシリンダヘッド振動測定器と、上記エンジンブロックの所定位置に連結し、上記エンジンブロックに所定の振動を与えるための加振装置とを備えている。
また、他の形態におけるエンジンブロックの振動伝達特性解析装置においては、上記シリンダブロックは、ノッキングの発生を検出するノッキングセンサを取付けるためのノックセンサ取付ボスを有し、上記加振装置は、上記ノックセンサ取付ボスを利用して連結される。
また、他の形態におけるエンジンブロックの振動伝達特性解析装置においては、上記シリンダヘッドは、プラグ固定用のプラグ孔を有し、上記シリンダヘッド振動測定器は、上記プラグ孔を利用して配置される。
また、他の形態におけるエンジンブロックの振動伝達特性解析装置においては、上述したエンジンブロックの振動伝達特性解析装置を用いた、エンジンブロックの振動伝達特性解析方法であって、以下に示すステップを有している。
まず、上記エンジンブロックの所定位置に連結された加振装置により、上記エンジンブロックに所定の振動を加えるステップと、上記エンジンブロックの振動に基づき、上記シリンダボアの内面の燃焼室に相当する領域の振動を上記シリンダブロック振動測定器により測定するステップと、上記エンジンブロックの振動に基づき、燃焼室に面する上記シリンダヘッドの振動を上記シリンダヘッド振動測定器により測定するステップと、上記シリンダブロック振動測定器から得られる振動情報および上記シリンダヘッド振動測定器から得られる振動情報に基づき、上記シリンダブロックの振動伝達特性を解析するステップとを備えている。
また、この発明に基づいた加振装置においては、被加振物と加振装置とを連結するように設けられる加振軸を有し、上記被加振物を上記加振装置を用いて加振するための加振装置であって、上記加振軸は、上記被加振物に連結される加振ロッドと、上記加振ロッドを摺動可能に受入れるため、一端側が開放し他端側に延びる有底の軸孔が設けられ、他端側に上記加振装置が連結されるアタッチメントと、上記アタッチメントに上記加振ロッドを固定するすための固定手段とを備えている。
また、他の形態における加振装置においては、上記加振軸は、上記加振ロッドを上記軸孔内に最大限収容し、上記加振ロッドを上記軸孔に対して最大限傾斜させた状態での、軸孔の内壁面と、この内壁面に接する加振ロッドの外周面の母線とによって形成される角度を保証角度とし、この保証角度が、所定角度以下となるように、上記加振ロッドと上記アタッチメントの軸孔との関係を定めたことを特徴とする。
この発明に基づいたエンジンブロックの振動伝達特性解析装置およびこの装置を用いた振動伝達特性解析方法によれば、加振装置によりエンジンブロックに所定の振動を与え、この振動の伝達をシリンダブロック振動測定器とシリンダヘッド振動測定器とにより測定可能としている。
ここで、エンジンにおけるノッキングの発生時のピストン位置は、圧縮上死点後(ATDC)約10°〜60°の範囲にあるため、燃焼室内のシリンダブロックに伝達する振動は、ピストンによって抑制され、シリンダヘッドからの振動伝達(ヘッド横振動)が支配的となる。一方、ピストン位置が低下すると、ピストンによるシリンダブロックの抑制が開放されて、シリンダブロックが共振を始める。このシリンダブロックの共振は、ノッキングの発生点火時期におけるエンジンノイズに影響を与え、ノッキングセンサにおけるSN(ノッキング信号/ノイズ信号)比に影響を与えることになる。
そこで、本発明においては、シリンダブロック振動測定器とシリンダヘッド振動測定器との2種類の振動測定器を配設することにより、加振装置によりエンジンブロックに所定の振動を与えた場合の応答信号をシリンダブロック振動測定器およびシリンダヘッド振動測定器によりピックアップすることで、シリンダブロックの振動特性とシリンダヘッドの振動特性を把握することができる。その結果、エンジンブロックの振動伝達特性として、ノッキング信号(S:シリンダヘッドの振動特性)とノイズ信号(N:エンジンブロックの振動特性)とによるSN比を得ることを可能としている。
また、加振装置を、ノックセンサ取付ボスを利用してシリンダブロックに連結し、シリンダヘッド振動測定器を、プラグ孔を利用して配置することにより、実機のエンジンにおいては、ノッキング振動は、燃焼室で発生した振動が、シリンダヘッドおよびシリンダブロックを伝達して、ノックセンサ取付ボスに取付けられたノックセンサにより振動信号としてピックアップされるが、この伝達経路とは逆の経路により振動信号が伝達されることにより、シリンダブロック振動測定器およびシリンダヘッド振動測定器を用いて、伝達振動信号を正確にピックアップすることが可能となる。
また、すでにエンジンブロックに設けられているノックセンサ取付ボスおよびプラグ孔を利用することで、加振装置およびシリンダヘッド振動測定器を取付けるためのエンジンブロックへの追加加工を回避することができる。また、ノックセンサ取付ボスおよびプラグ孔は、エンジンブロックに対して、その位置精度等が高精度に設けられていることから、加振装置による振動の付与およびシリンダヘッド振動測定器による振動のピックアップを高精度に行なうことができる。
また、この発明に基づいた加振装置によれば、被加振物と加振装置とを連結するように設けられる加振軸において、この加振軸に、加振ロッドとアタッチメントとの連結機構を採用している。これにより、被加振物への連結作業の容易性、被加振物への連結位置決めの正確性を向上させること可能となる。また、アタッチメントの軸孔への加振ロッドの挿入時に生じる保証角度を一定角度以下となるように軸孔と加振ロッドとの間を規定することにより、加振ロッドを被加振物に対して所定の角度方向に正確に加振させることが可能となる。
(実施の形態1)
以下、本発明に基づいたエンジンブロックの振動伝達特性解析装置およびその装置を用いた振動伝達特性解析方法の実施の形態について、図を参照しながら説明する。
まず、図1から図6を参照して、実施の形態1におけるエンジンブロックの振動伝達特性解析装置およびその装置を用いた振動伝達特性解析方法について説明する。図1は、本実施の形態におけるエンジンブロックの振動伝達特性解析装置100の構成およびコンピュータ200を示す全体斜視図であり、図2は、エンジンブロックの振動伝達特性解析装置100の構成を示す側面図であり、図3は、高精度高さ調節機構120の構造を示す模式図であり、図4は、エンジンブロックの内部構成を示す模式断面図である。また、図5は、シリンダヘッド162の拡大断面図であり、図6は、図5中VI線矢視図である。
(振動伝達特性解析装置100の構造)
本実施の形態における振動伝達特性解析装置100の構造は、図1および図2に示すように、定盤110の上に、振動伝達特性を解析すべきエンジンブロック160と、このエンジンブロック160に所定の振動を与えるための加振装置130とが配設されている。エンジンブロック160は、外方からの振動を遮断するために定盤110との間に防振ゴム150が介在されている。また、加振装置130は、エンジンブロック160に対して正確に振動を加える観点から定盤110との間に高精度高さ調節機構120が介在されている。加振装置130としては、電磁式の加振装置等が用いられる。なお、本実施の形態における振動伝達特性解析装置100の外形寸法は、幅450mm、奥行き450mm、高さ400mm程度である。
加振装置130は、図2に示すように、高精度高さ調節機構120のベース121に取付けられた保持治具122に設けられたU字溝123に、加振装置130の支持ボルト131が保持され、粗い高さ調節を行なうことを可能としている。また、高精度高さ調節機構120としては、図3に示すように、ベース121のケース121a内に配設された楔部材121bと楔部材121cとを有し、ハンドル121dを回転させることで、楔部材121cがX方向及びY方向に移動して、数十μm単位での高さ位置調節を可能としている。
エンジンブロック160は、図2に示すように、シリンダボアを有するシリンダブロック161とシリンダヘッド162とを備え、加振装置130の加振軸140は、シリンダブロック161に設けられたノックセンサ取付ボス163に連結されている。加振軸140の詳細構成については後述する。このノックセンサ取付ボス163は、実機エンジンにおいて、ノッキングの発生を検出するノッキングセンサを取付けるための円筒状の突起部である。
また、図4を参照して、シリンダブロック161の、シリンダボア161Aの内面のノックセンサ取付ボス163に対向する位置には、シリンダブロック振動測定器としてのシリンダブロック振動検出センサ310が配置されている。実機のエンジンにおいては、シリンダボア161A内には、上下に摺動するピストン164が配設され、シリンダブロック振動検出センサ310が配置される位置は、シリンダボアの内面の燃焼室Aに相当する領域に配置される。ノックセンサ取付ボス163は、精度良く形成されていることから、シリンダブロック161に対して、加振軸140を精度良く取付けることを可能としている。
図5を参照して、シリンダヘッド162に設けられたプラグ孔162pには、シリンダヘッド振動測定器としてのシリンダヘッド振動検出センサ320が配置され、このシリンダヘッド振動検出センサ320は、特殊ボルト301、金属キューブ302、および、センサ303から構成されている。より具体的な構成については、後述する。このプラグ孔162pは、図6に示すように、シリンダヘッド162に設けられる吸気バルブ孔162iと排気バルブ孔162eとに囲まれたシリンダヘッド162の中央領域に設けられている。また、このプラグ孔162pは、機械加工により、精度良く形成されていることから、シリンダヘッド162に対して、シリンダヘッド振動検出センサ320を精度良く取付けることを可能としている。
(ノッキング振動解析方法)
上記構成からなる振動伝達特性解析装置100を用いた、ノッキング発生時におけるエンジンブロック160の振動解析方法、具体的には、エンジンブロック160の振動伝達特性として、ノッキング信号(S:シリンダヘッドの振動特性)とノイズ信号(N:エンジンブロックの振動特性)とによるSN比を得る方法について説明する。まず、加振装置130を用いて、エンジンブロック160のノックセンサ取付ボス163に連結された加振軸140から、エンジンブロック160に所定の振動を加える。
次に、シリンダブロック振動検出センサ310およびシリンダヘッド振動検出センサ320を用いて、シリンダブロック161に生じる振動信号1およびシリンダヘッド162に生じる振動信号2をピックアップする。振動信号1および振動信号2は、コンピュータ200に入力され、エンジンブロック160のノッキング発生時における振動伝達特性(S/N比)が解析される。
(振動伝達特性の具体的解析方法)
ここで、シリンダブロック振動検出センサ310およびシリンダヘッド振動検出センサ320を用いた振動伝達特性の具体的な解析方法について、図7および図8を参照して説明する。なお、図7は、シリンダブロック161に生じる振動およびシリンダヘッド162に生じる振動を図示した模式図であり、図8は、ノッキング発生点火時期における信号強度とノッキング発生頻度との関係を示す図である。
実機エンジンにおけるノッキング発生時のピストン164の位置は、図7に示すように、圧縮上死点後(ATDC)約10°〜60°の範囲にあるため、燃焼室A内のシリンダブロック161へ伝達する振動は、ピストン164によって抑制され、シリンダヘッド162からの振動伝達(S:ヘッド部振動応答)が支配的となる。一方、ピストン164の位置が低下すると、ピストン164によるシリンダブロック161の抑制が開放されて、シリンダブロック161が共振(N:ライナー部振動応答)を始める。
このシリンダブロック161の共振は、ノッキングの発生点火時期におけるエンジンノイズに影響を与え、ノイズ信号を大きくする結果、ノッキングセンサにおけるSN(ノッキング信号/ノイズ信号:ヘッド部振動応答S/ライナー部振動応答N)比に悪影響を与えることになる。つまり、図8に示すように、ノイズ信号Nが、ノイズ信号N’に移行する(強度が強くなる)ことで、ノッキング判定レベル(S)にノイズ信号が近づく結果、SN比を悪化させることになる。このように、ノッキングの発生点火時期におけるエンジンブロック160の横振動(初期振動)は、シリンダヘッド162からの振動伝達が支配的であり、シリンダブロック161からの信号がノイズ信号となる。
そこで、本実施の形態における振動伝達特性解析装置100においては、シリンダブロック振動測定センサ310とシリンダヘッド振動測定センサ320との2種類の振動測定センサを燃焼室A内に配設することにより、加振装置130によりエンジンブロック160に所定の振動を与えた場合の応答信号をシリンダブロック振動測定センサ310およびシリンダヘッド振動測定センサ320によりピックアップすることで、シリンダブロック161の振動特性とシリンダヘッド162の振動特性、つまり、ノッキング信号(S:シリンダヘッドの振動特性)とノイズ信号(N:エンジンブロックの振動特性)とによるSN比を予め把握することができる。
(本振動伝達特性解析装置100によって得られたSN比と実機エンジンのSN比との相関関係について)
ここで、本振動伝達特性解析装置100によって得られたSN比と実機エンジンのSN比との相関関係について、図9および図10を参照して説明する。なお、図9は、本振動伝達特性解析装置100によって得られた各種エンジンと擬似SN比との関係を示す図であり、図10は、実際にエンジンを駆動させた状態での、各種エンジンにおける実機SN比合否を示す図である。
本振動伝達特性解析装置100によって得られたエンジンのノッキング発生時におけるSN比を擬似SN比と定義し、実際のエンジン駆動から得られたSN振動比を実機SN比と定義する。エンジン(A)、エンジン(B)、および、エンジン(C)より、擬似SN比と実機SN比とを比較した。
本振動伝達特性解析装置100を用いて、エンジン(A)、エンジン(B)、および、エンジン(C)の各エンジンブロックを用いて、各エンジンの擬似SN比を測定した結果、図9に示すように、エンジン(A)が最も制御性が良好な擬似SN比が得られ、次いで、エンジン(C)、エンジン(B)の順で、擬似SN比が得られた。
次に、エンジン(A)、エンジン(B)、および、エンジン(C)の各エンジンを実際に駆動させて、ノックセンサにより信号をピックアップして、実機SN比を測定した結果を、図10に示す。エンジン(A)およびエンジン(C)においては、合格のSN比が得られ、エンジン(B)においては、不合格のSN比が得られた。このように、擬似SN比が最も悪いエンジン(B)において、実機SN比も不合格の判定となり、本振動伝達特性解析装置100によって得られたSN比と実機エンジンのSN比との間に相関関係があることが証明された。
(シリンダヘッド振動検出センサ320の具体的構成)
次に、シリンダヘッド振動検出センサ320の具体的構成について、図11を参照して説明する。ここで、上述したようにシリンダヘッド振動検出センサ320においては、シリンダヘッド162に生じる横振動成分を正確に測定する必要があることから、その取付け位置、角度にも十分注意する必要がある。たとえば、シリンダヘッド162に対する取付け角度が不正確であれば、振動ベクトル方向の違いにより、測定誤差が生じることになる。そこで、本実施の形態においては、シリンダヘッド162に設けられたプラグ孔162pを用いて、シリンダヘッド振動検出センサ320を取付けている。
シリンダヘッド振動検出センサ320は、上述したように特殊ボルト301、金属キューブ302、および、センサ303から構成されている。ここで、特殊ボルト301へのセンサ303の取付けに際しても、取付け角度の正確性が要求されるため、機械加工により寸法精度が高精度に仕上げられた金属キューブ302(立方体形状)を、特殊ボルト301とセンサ303との間に介在させている。特殊ボルト301および金属キューブ302の材質は、測定誤差を生じさせない観点から、シリンダヘッド162と同素材で形成されていることが好ましい。
特殊ボルト301への金属キューブ302の固定には、様々な固定構造が考えられる。図11(A)に示す接着剤を用いる固定構造、図11(B)に示す、特殊ボルト301側に雄ネジ305A、金属キューブ302側に雄ネジ305Aを受入れる雌ネジ305Bを設ける固定構造、図11(C)に示す、金属キューブ302側に雄ネジ305A、特殊ボルト301側に雄ネジ305Aを受入れる雌ネジ305Bを設ける固定構造、図11(D)に示す、独立した雄ネジ(スタッドボルト)305Aを準備し、特殊ボルト301および金属キューブ302のそれぞれに、雄ネジ305Aを受入れる雌ネジ305Bを設ける固定構造等が挙げられる。
なお、センサ303の取付け角度の正確性が要求されるため、平坦面を形成した金属キューブ302を設ける場合について説明したが、この取付け構造は、あくまでも一例であり、たとえば、シリンダヘッド162に対して、取付け角度の正確性を満足させることが可能な場合には、センサ303を直接シリンダヘッド162に取付ける固定構造の採用も可能である。
(加振位置の他の構成)
上記本振動伝達特性解析装置100においては、シリンダブロック161に対して(具体的には、シリンダボア161Aの内壁面に対して)、その加振方向が正確に垂直となるようにするため、また、シリンダブロック161への追加加工を不要とするために、既存のノックセンサ取付ボス163を用いて、このボス163に加振装置130の加振軸140が連結されている。しかし、シリンダブロック161への高い位置精度を確保して、取付け領域を設けることが問題にならない場合には、別途シリンダブロック161またはシリンダヘッド162に、加振軸140を連結するための領域を設けることも可能である。
エンジンブロック160を加振させるための他の構成としては、図12に示すように、シリンダヘッド162を加振する方法が挙げられる。この加振方法においては、シリンダヘッド162に設けられたプラグ孔162pに加振のための加振用ボルト141を螺合させて、この加振用ボルト141に加振装置の加振部を連結させる。加振部の連結は、図12に示すように、外部から加振(矢印F1)する方法だけでなく、図13に示すように、加振用ボルト141を内部(燃焼室側)から加振(矢印F2)する方法も考えられる。なお、プラグ孔162pを利用する場合だけでなく、別途専用のボルト固定孔を形成することも可能である。
また、エンジンブロック160を加振させるためのさらに他の構成としては、図14に示すように、シリンダブロック161の加振点P1とは反対側の側部にネジ孔161hを形成し、このネジ孔161hを利用して、加振用ボルト141の先端部を加振点P1に当接させて、エンジンブロック160を加振(矢印F3方向)させることも可能である。
また、エンジンブロック160を加振させるためのさらに他の構成としては、図15に示すように、シリンダブロック161の対向する両側のそれぞれにネジ孔161hを形成し、このネジ孔161hを利用して、加振用ボルト141をそれぞれのネジ孔161hの螺号させて、加振用ボルト141を加振(矢印F4,F5)する方法も考えられる。
(作用・効果)
以上、本実施の形態におけるエンジンブロックの振動伝達特性解析装置100およびこの装置を用いた振動伝達特性解析方法によれば、シリンダブロック振動測定センサ310とシリンダヘッド振動測定センサ320との2種類の振動測センサを焼室内に配設し、加振装置130によりエンジンブロック160に所定の振動を与えた場合の応答信号を、シリンダブロック振動測定センサ310およびシリンダヘッド振動測定センサ320によりピックアップすることで、シリンダブロック161の振動特性とシリンダヘッド162の振動特性を把握することができる。その結果、エンジンブロック160の振動伝達特性として、ノッキング信号(S:シリンダヘッドの振動特性)とノイズ信号(N:エンジンブロックの振動特性)とによるSN比を得ることができる。
(実施の形態2)
以下、実施の形態2として、本発明に基づいたエンジンブロックの振動伝達特性解析装置に用いられる加振装置の構造について、図を参照しながら説明する。上記実施の形態1において述べたように、エンジンブロックの振動伝達特性解析装置100においては、S/N比を正確に測定するために、シリンダブロック161に対して、その加振方向が垂直となるように正確に加振する必要がある。そこで、一例として、既存のノックセンサ取付ボス163に加振装置130の加振軸140が連結されている。しかし、この加振軸140そのものにおいて、加振方向がずれるような問題が生じる場合には、ノックセンサ取付ボス163に取付けた場合であっても、正確な測定結果を得ることができないことになる。したがって、以下に示す加振軸140においては、そのような問題を生じさせない構造が採用されている。
以下、加振装置130に採用される加振軸140の具体的構成について、図16を参照して説明する。この加振軸140は、図16に示すように、加振ロッド145とアタッチメント146とから構成されている。アタッチメント146には、加振ロッド145を摺動可能に受入れるため、一端側が開放し、他端側に延びる有底の軸孔146hが設けられ、他端部は、加振装置130に連結されている。また、アタッチメント146の側面には、加振ロッド145を位置決め固定するため、軸孔146hに交差するネジ孔146sと、このネジ孔146sに螺合する固定ネジ146bとが設けられている。本実施の形態においては、加振ロッド145には丸棒が用いられ、軸孔146hには、この丸棒を収容可能な円筒形状の軸孔が形成されているが、特にこの形状に限定されるものではない。
加振ロッド145の一端は、被加振物であるエンジンブロック160に連結され、加振ロッド145の他端側は、アタッチメント146の軸孔146h内に収容され、その収容距離を調節することで、エンジンブロック160と加振装置130との間隔が調節可能に構成されている。両者の距離の調節が終了した段階で、固定ネジ146bが締め込まれ、アタッチメント146に対して加振ロッド145が固定されることになる。
加振ロッド145は軸孔146h内に収容された状態で固定されるが、加振ロッド145の軸心と軸孔146hの軸心とがずれて固定された場合、加振装置130からの加振力およびその加振方向が正確に加振ロッド145に伝達されないことになる。エンジンブロック160に直接連結される加振ロッド145の軸心が、加振方向に対してθずれた場合の、加振力のベクトル方向を、図17に示す。加振方向がずれていない場合には、Y方向には、加振力の分力は発生しない。しかし、θずれることにより、Y方向に加振力の分力FYが発生する。このような分力FYが発生すると、被加振物であるエンジンブロック160に不必要な加振力を加えることになる。これにより、図18に示すように、本来の伝達特性に対して「共振点ピークのズレ」や、「共振周波数のズレ」を発生させる要因となる。その結果、上記エンジンブロックの振動伝達特性解析装置100においては、S/N比を正確に測定することができず、振動伝達特性解析装置100の信頼性を低下させることになる。
そこで、このような問題の発生を未然に解消すべく、本実施の形態における加振軸140においては、より好ましい形態として、図19に示すように、加振ロッド145のアタッチメント146の軸孔146h内への収容に際して、軸孔146hへの加振ロッド145の挿入時に生じる加振ロッド145に生じる角度(θ)を保証角度と定め、この角度が一定の角度以下となうように、加振ロッド145とアタッチメント146の軸孔146hとの関係を定めている。
一例としては、図19に示すように、加振ロッド145を軸孔146h内に最大限収容し、かつ、加振ロッド145を軸孔146hに対して最大限傾斜させた状態での、軸孔146hの内壁面S1と、この内壁面S1に接する加振ロッド145の外壁面の母線S2とによって形成される角度を保証角度(θ)とし、この保証角度が、約0.382°以下となるように設定している。この角度以下となるように、加振ロッド145とアタッチメント146の軸孔146hとの関係を定めることで、加振ロッド145をエンジンブロック160に対して垂直方向に加振させることを可能としている。
保証角度を約0.382°以下とするための具体的な寸法としては、軸孔146hの開口部から、加振ロッド145の母線S2と軸孔146hの内壁面S1との交点までの距離L1が30mm、軸孔146hの開口部における加振ロッド145の母線S2から内壁面S1までの距離L2が200μmの場合には、tan−1(0.2/30)=0.382°となる。なお、この保証角度は、この数値に限定されるものではなく、測定すべき振動周波数(たとえば、20kHz等)によって、適宜定められるものである。
(作用・効果)
以上、本実施の形態における加振装置130の加振軸140によれば、加振ロッド145とアタッチメント146との連結機構を採用していることにより、エンジンブロック160への連結作業の容易性、エンジンブロック160への連結位置決めの正確性を保つことが可能となる。また、加振軸140に採用される、軸孔146hへの加振ロッド145の挿入時に生じる保証角度(θ)を一定角度以下となるように、軸孔146hと加振ロッド145との間を規定することにより、加振ロッド145をエンジンブロック160に対して垂直方向に正確に加振させることが可能となる。
なお、上記実施の形態においては、上記実施の形態1に示すエンジンブロックの振動伝達特性解析装置に用いられる加振機構について説明したが、これに限定されるものではなく、加振を必要とする装置全般に対して広く適用できるものである。
したがって、今回開示した上記実施の形態はすべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施の形態のみによって解釈されるのではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
この発明に基づいた実施の形態1における、エンジンブロックの振動伝達特性解析装置の構成およびコンピュータを示す全体斜視図である。 この発明に基づいた実施の形態1における、エンジンブロックの振動伝達特性解析装置の構成を示す側面図である。 この発明に基づいた実施の形態1における、高精度高さ調節機構の構造を示す模式図である。 この発明に基づいた実施の形態1における、エンジンブロックの内部構成を示す模式断面図である。 この発明に基づいた実施の形態1における、シリンダヘッドの拡大断面図である。 図5中VI線矢視図である。 シリンダブロックに生じる振動およびシリンダヘッドに生じる振動を図示した模式図である。 ノッキング発生点火時期における信号強度とノッキング発生頻度との関係を示す図である。 この発明に基づいた実施の形態1における、振動伝達特性解析装置によって得られた各種エンジンと擬似SN比との関係を示す図である。 この発明に基づいた実施の形態1における、実際にエンジンを駆動させた状態での、各種エンジンにおける実機SN比合否を示す図である。 (A)〜(D)は、この発明に基づいた実施の形態1における、シリンダヘッド振動検出センサの具体的構成を示す図である。 この発明に基づいた実施の形態1の他の形態における、エンジンブロックを加振させるための構成を示す図である。 この発明に基づいた実施の形態1のさらに他の形態における、エンジンブロックを加振させるための構成を示す図である。 この発明に基づいた実施の形態1のさらに他の形態における、エンジンブロックを加振させるための構成を示す図である。 この発明に基づいた実施の形態1のさらに他の形態における、エンジンブロックを加振させるための構成を示す図である。 この発明に基づいた実施の形態2における、加振装置の加振軸の具体的構成を示す図である。 エンジンブロックに直接連結される加振ロッドの軸心が、加振方向に対してθずれた場合を示す図である。 「共振点ピークのズレ」、「共振周波数のズレ」が発生した場合の、周波数と伝達特性との関係を示す図である。 この発明に基づいた実施の形態2における、加振装置の加振軸の保証角度(θ)を説明するための図である。 背景の技術における周波数と伝達特性との関係を示す図である。
符号の説明
100 振動伝達特性解析装置、110 定盤、120 高精度高さ調節機構、121 ベース、121a ケース、121b,121c 楔部材、121d ハンドル、122 保持治具、123 U字溝、130 加振装置、131 支持ボルト、140 加振軸、141 加振用ボルト、145 加振ロッド、146 アタッチメント、146h 軸孔、146s ネジ孔、146b 固定ネジ、150 防振ゴム、161 シリンダブロック、161A シリンダボア、161h ネジ孔、160 エンジンブロック、162 シリンダヘッド、162e 排気バルブ孔、162i 吸気バルブ孔、162p プラグ孔、163 ノックセンサ取付ボス、164 ピストン、200 コンピュータ、301 特殊ボルト、302 金属キューブ、303 センサ、305A 雄ネジ、305B 雌ネジ、310 シリンダブロック振動検出センサ、320 シリンダヘッド振動検出センサ、A 燃焼室、P1 加振点、S1 内壁面、S2 母線。

Claims (5)

  1. シリンダヘッド(162)とシリンダボア(161A)を有するシリンダブロック(161)とを備えるエンジンブロック(160)を加振して、前記エンジンブロック(160)の振動伝達特性を解析するために用いられる、エンジンブロックの振動伝達特性解析装置であって、
    前記シリンダボア(161A)内面の燃焼室(A)に相当する領域に配置されるシリンダブロック振動測定器(310)と、
    前記燃焼室(A)に面し前記シリンダヘッド(162)の内面に配置されるシリンダヘッド振動測定器(320)と
    前記エンジンブロック(160)の所定位置に連結し前記エンジンブロック(160)に所定の振動を与えるための加振装置(130)と、を備えたことを特徴とするエンジンブロックの振動伝達特性解析装置。
  2. 前記シリンダブロック(161)はノッキングの発生を検出するノックセンサ取付ボス(163)を有し、
    前記加振装置(130)は、前記ノックセンサ取付ボス(163)を利用して連結されたことを特徴とする、請求項1に記載のエンジンブロックの振動伝達特性解析装置。
  3. 前記シリンダヘッド(162)は、プラグ固定用のプラグ孔(162p)を有し、前記シリンダヘッド振動測定器(320)は前記プラグ孔(162p)を利用して配置されたことを特徴とする、請求項1または2に記載のエンジンブロックの振動伝達特性解析装置。
  4. 前記加振装置(130)は、
    被加振物と前記加振装置(130)とを連結するように設けられる加振軸(140)を有し、前記被加振物を前記加振装置を用いて加振するための加振装置であって、
    前記加振軸(140)は、
    前記被加振物に連結される加振ロッド(145)と
    前記加振ロッド(145)を摺動可能に受入れるため、一端側が開放し他端側に延びる有底の軸孔(146h)が設けられ、他端側に前記加振装置(130)が連結されるアタッチメント(146)と、
    前記アタッチメント(146)に前記加振ロッド(145)を固定するための固定手段(146b)と、
    を備える、請求項1から3のいずれかに記載のエンジンブロックの振動伝達特性解析装置。
  5. 前記加振軸(140)は、前記加振ロッド(145)を前記軸孔(146h)内に最大限収容し、前記加振ロッド(145)を前記軸孔(146h)に対して最大限傾斜させた状態での、前記軸孔(146h)の内壁面と、この内壁面に接する前記加振ロッド(145)の外周面の母線とによって形成される角度を保証角度とし、
    この保証角度が、所定角度以下となるように、前記加振ロッ(145)ドと前記アタッチメント(146)の軸孔(146h)との関係を定めたことを特徴とする、請求項4に記載のエンジンブロックの振動伝達特性解析装置。
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