JP4262847B2 - セラミックヒータ及びそれを備えるグロープラグ - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はセラミックヒータ及びそれを備えるグロープラグに関する。更に詳しくは、本発明は、発熱抵抗体の形成に用いられるWC等の導電成分に含まれるFe分による窒化珪素原料等、セラミック原料の焼結性の低下が抑えられ、優れた抗折強度と耐久性とを併せ有するセラミックヒータ及びそれを備えるグロープラグに関する。本発明のセラミックヒータは、ディーゼルエンジンのグロープラグの加熱源の他、各種の用途において使用することができる。
【0002】
【従来の技術】
グロープラグ等に使用されるセラミックヒータとして、窒化珪素質焼結体に、WC等の導電成分を含む発熱抵抗体を埋設したものが知られている。このWC等は、超硬合金等の分野においては、一般に、Co、Fe、Ni、Mo、Cr等を用いて焼成される。この焼成は1350〜1550℃程度の比較的低温で行うことができる。しかし、得られる焼結体の使用最高温度も1000℃以下に限定され、1200℃前後、或いはそれ以上の温度域において用いられるグロープラグ等のヒータとして使用することはできない。
【0003】
そこで、発熱抵抗体に含まれる絶縁成分を形成するためのセラミック原料の焼成を、発熱抵抗体の耐熱性の低下が少ない焼結助剤を使用し、且つ緻密化が損なわれない範囲で可能な限り少量用いて行うことにより、使用最高温度の高いヒータとする方法が一般に実用化されている。しかし、WC等に含まれる不純物がセラミック原料の焼結性を低下させるため、焼結助剤を十分に減量することができず、これまでヒータの使用最高温度は1300℃が限界であった。また、この不純物による部分的な焼結不良により抗折強度及び耐久性のばらつきを生じ、品質が安定しないこともあった。
【0004】
この種のセラミックヒータはグロープラグの加熱源として有用である。通常、ディーゼルエンジンに使用されるグロープラグには、乗用車等であれば12V、大型トラック等であれば24Vの定格バッテリー電圧が直接印加されるが、近年、ワイヤーハーネスの軽量化のため、電流を抑える必要が生じ、バッテリー電圧を24Vを越えて高くしなければならなくなっている。しかし、このような高い電圧をグロープラグに印加した場合、セラミックヒータの基体を構成するセラミックのマイグレーションを起因とし、発熱抵抗体の粒界におけるイオン移動を生じ易くなる。そのため、発熱抵抗体の粒界成分が基体へと移動し、発熱抵抗体の組織が粗くなり、これが原因で、特に、24Vを越える高電圧を印加した場合は、断線し易くなる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の従来の問題点を解決するものであり、WC等の導電成分の原料に含まれるFe分による窒化珪素原料等、セラミック原料の焼結性の低下が抑えられ、品質が安定しており、優れた抗折強度と耐久性とを併せ有するセラミックヒータ及びそれを備えるグロープラグを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
発明のセラミックヒータは、窒化珪素質焼結体からなる基体と、該基体に埋設される発熱抵抗体とを備えるセラミックヒータにおいて、該発熱抵抗体に含有されるFe量が0.0435重量%以下であり、上記発熱抵抗体は導電成分であるWC窒化珪素質焼結体からなる絶縁成分とからなり、該導電成分に含有されるFe量が0.075重量%以下であることを特徴とする。
【0007】
また、この発熱抵抗体は導電成分と絶縁成分とからなり、導電成分に含有されるFe量が0.075重量%以下である。発熱抵抗体に含有されるFe量は、Fe分を積極的に含有させなければ、焼成後、導電成分となる原料に不純物として含まれているFe量と実質的に同量である。そして、発熱抵抗体における導電成分の量比が高い場合であっても、発熱抵抗体に含有されるFe量が0.0435重量%以下であれば、絶縁成分を形成する窒化珪素原料等のセラミック原料の焼結性の低下が十分に抑えられる。
【0008】
更に、不純物として含まれているFe量が少ないWCを導電成分原料として用いた場合は、導電成分に含有されるFe量を0.046重量%以下とすることができる。このように導電成分に含有されるFe量が少なければ、焼成後、絶縁成分となる窒化珪素原料等のセラミック原料の焼結性の低下を特に十分に抑えることができるため好ましい。尚、発明において、Fe量はX線マイクロアナライザーにより定量することができる。
【0009】
上記「基体」は、通常、窒化珪素質焼結体からなる。この焼結体は、窒化珪素のみからなるものであってもよいし、窒化珪素を主成分とし、これに少量の窒化アルミニウム、アルミナ等が含有されるものであってもよい。また、サイアロンであってもよい。
【0010】
上記「発熱抵抗体」は導電成分と絶縁成分により構成される。
導電成分は、W、Ta、Nb、Ti、Mo、Zr、Hf、V、及びCrから選ばれる1種以上の金属元素の珪化物、炭化物又は窒化物等のうちの少なくとも1種が焼成され、形成される。また、絶縁成分は、通常、窒化珪素質焼結体からなる。導電成分は、特に、その熱膨張率が基体を構成する窒化珪素質焼結体、若しくは絶縁成分である窒化珪素質焼結体と大きな差がないものが好ましい。熱膨張率の差が小さい導電成分であれば、ヒータ使用時の基体及び発熱抵抗体における亀裂の発生が抑えられる。そのような導電成分としては、WC、MoSi2、TiN又はWSi2等が挙げられる。更に、この導電成分としては、その融点がセラミックヒータの使用温度を越え、耐熱性の高いものが好ましい。導電成分の融点が高ければ使用温度域におけるヒータの耐熱性も向上する。
【0011】
導電成分と絶縁成分との量比は特に限定されないが、発熱抵抗体を100体積部とした場合に、導電成分を15〜40体積部とすることができ、特に20〜30体積部とすることができる。
【0012】
発明のセラミックヒータは、以下のようにして製造することができる。
導電成分の原料粉末として、W、Ti及びMo等の金属元素の珪化物、炭化物又は窒化物等からなる粉末を使用する。また、絶縁成分の原料粉末として窒化珪素原料粉末等のセラミック原料粉末及び焼結助剤粉末を用いる。この焼結助剤粉末としては、希土類酸化物粉末が多用されるが、MgO及びAl−Y等、一般に窒化珪素質焼結体の焼成において用いられる酸化物等の粉末を使用することもできる。これらの焼結助剤粉末は1種のみを使用してもよいが、2種以上を併用することが多い。尚、Er等、焼結した場合の粒界が結晶相となる焼結助剤粉末を用いると耐熱性がより高くなるため好ましい。
【0013】
これら導電成分用原料粉末、セラミック原料粉末、及び焼結助剤粉末を所定の量比で混合し、混合粉末を調製する。この混合は、湿式等、通常の方法によって行うことができる。
導電成分用原料粉末、セラミック原料粉末及び焼結助剤粉末は、これらの合計量を100体積部とした場合に、導電成分用原料粉末を15〜40体積部、特に20〜30体積部、残部をセラミック原料粉末と焼結助剤粉末とで85〜60体積部、特に80〜70体積部とすることができる。
【0014】
このようにして調製した混合粉末に、適量のバインダー等を配合して混練した後、造粒し、これを用いて、射出成形等の方法により、焼成後、発熱抵抗体となる成形体とすることができる。また、この成形体の所定の位置にタングステン等の金属からなるリード線が取り付けられる。
【0015】
その後、この成形体を、基体用原料粉末に埋入する。その方法としては、基体用原料粉末を圧粉した半割型を2個用意し、これらの半割型の間の所定位置に成形体を載置した後、プレス成形する方法等が挙げられる。次いで、これらを一体に50〜120気圧程度に加圧することにより、基体の形状を有する粉末成形体に発熱抵抗体となる成形体が埋設されたセラミックヒータ成形体が得られる。このセラミックヒータ成形体を、黒鉛製等の加圧用ダイスに収納し、これを焼成炉に収容し、所定の温度で所要時間、ホットプレス焼成することにより、セラミックヒータを製造することができる。焼成温度及び焼成時間は特に限定されないが、焼成温度は1700〜1850℃、焼成時間は30〜180分、特に60〜120分とすることができる。
【0016】
発明のセラミックヒータは品質が安定しており、優れた抗折強度と耐久性とを併せ有する。即ち、発明のセラミックヒータでは、JIS R 1601に準じて測定した抗折強度が1000MPa以上であり、且つ1300℃における通電と通電の停止とを5000サイクル繰り返した場合に、断線を生ずることのないセラミックヒータとすることができる。更に、抗折強度が1250MPa以上であり、且つ1400℃における通電と通電の停止とを10000サイクル繰り返した場合に、断線を生ずることのないセラミックヒータとすることができる。
【0017】
発明のセラミックヒータでは、その抗折強度は、1000〜1400MPaとすることができ、特に1100〜1400MPa、更には1200〜1400MPaとすることができる。また、抗折強度の最少値と平均値との差は、100MPa以下とすることができ、特に80MPa以下、更には50MPa以下とすることができる。更に、抗折強度の平均値と最小値との差の平均値に対する割合は、9%以下とすることができ、特に7%以下、更には5%以下とすることができる。
【0018】
また、発明のセラミックヒータでは、1300℃における通電と通電の停止とを、5000サイクル以上、特に8000サイクル以上、更には10000サイクル繰り返しても、断線等を生ずることのない優れたセラミックヒータとすることができる。更に、特に、発明のセラミックヒータでは、1400℃における通電と通電の停止とを5000サイクル以上、特に8000サイクル以上、更には10000サイクル繰り返しても、断線等を生ずることのないより優れた耐久性を有するセラミックヒータとすることができる。
【0019】
発明では、前記のように、優れた抗折強度と耐久性とを併せ有するセラミックヒータとすることができ、抗折強度が1000〜1400MPaであり、且つ1300℃、特に1400℃における通電と通電の停止とを、5000サイクル以上繰り返しても、断線等を生ずることのない優れたセラミックヒータとすることができる。また、抗折強度が1100〜1400MPaであり、且つ1300℃、特に1400℃における通電と通電の停止とを、8000サイクル以上繰り返しても、断線等を生ずることのない優れたセラミックヒータとすることもできる。更に、抗折強度が1200〜1400MPaであり、1300℃、特に1400℃における通電と通電の停止とを、10000サイクル繰り返しても、断線等を生ずることのない優れたセラミックヒータとすることもできる。
【0020】
発明のグロープラグは、発明のセラミックヒータを備え、24V以上の電圧が印加されることを特徴とする。発明のセラミックヒータでは、熱抵抗体の形成に用いる焼結助剤を減量することができ、粒界成分の移動を抑えることができる。そのため、このセラミックヒータを加熱源として備えるグロープラグでは、使用時、ヒータが断線等の問題を生ずることがなく、耐久性に優れる。尚、このグロープラグにおいて、印加される電圧は、人体の感電防止等の観点から50V以下、特に42V以下であることが好ましい。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のセラミックヒータを実施例により更に詳しく説明する。
(1)セラミックヒータの作製
85重量%の窒化珪素原料粉末に、焼結助剤として、10重量%のEr23粉末及び5重量%のSiO2粉末を配合して絶縁成分用原料とした。この絶縁成分用原料42重量%と導電成分用原料であるWC粉末(表1に記載のFe分を含有する。)58重量%とを、72時間湿式混合した後、乾燥し、混合粉末を得た。その後、この混合粉末とバインダーとを混練機に投入し、4時間混練した。次いで、得られた混練物を裁断してペレット状とし、これを射出成型機に投入してタングステン製のリード線が両端に嵌合されたU字状の発熱抵抗体となる成形体を得た。
【0022】
一方、83重量%の窒化珪素原料粉末に、焼結助剤として10重量%のEr23粉末、5重量%のSiO2粉末及び2重量%のMoSi2粉末を配合し、40時間湿式混合したものをスプレードライヤー法によって造粒し、この造粒物を圧粉した2個の半割型を用意した。その後、発熱抵抗体となる成形体を2個の半割型の間の所定位置に載置し、プレス成形して埋入した後、これらを70気圧の圧力で一体に加圧し、未焼成のセラミックヒータを得た。次いで、この未焼成のセラミックヒータを600℃で仮焼してバインダーを除去し、仮焼体を得た。その後、この仮焼体を黒鉛製の加圧用ダイスにセットし、窒素雰囲気下、1800℃で1.5時間、ホットプレス焼成し、セラミックヒータを作製した。
【0023】
(2)セラミックヒータ及びこのヒータを組み込んだグロープラグの構成
図2は、(1)において得られたセラミックヒータの縦断面図である。また、図1は、このセラミックヒータを組み込んだグロープラグの縦断面図である。このグロープラグ1は、図1のように発熱する部位である先端側にセラミックヒータ2を備える。また、このセラミックヒータ2は図2のように、基体21、発熱抵抗体22及び給電部23a、23bにより構成されている。
【0024】
基体21は窒化珪素焼結体からなり、埋設される発熱抵抗体22、及び給電部23a、23bは、この基体21によって保護されている。発熱抵抗体22はU字形の棒状体からなり、基体21に埋設される形態で配設されている。更に、この発熱抵抗体22には、導電成分及び絶縁成分が含有されている。また、タングステンからなる給電部23a、23bは図1のように、外部からセラミックヒータ2に供給される電力を基体21に埋設される発熱抵抗体22へ給電できるように、それぞれその一端は基体21の表面に位置し、他端は発熱抵抗体22の両端に接続されている。
【0025】
(3)抗折強度及び耐久性の評価
▲1▼抗折強度;JIS R 1601に準じて3点曲げ強度を測定した。スパンは20mmとし、クロスヘッド速度は0.5mm/分とした。
▲2▼耐久性;発熱抵抗体に通電し、セラミックヒータの表面において最高温となる部位の温度を1300℃又は1400℃とし、通電を1分間継続した後、通電を1分間停止し、この通電と通電の停止とを繰り返した。
結果を表1に併記する。
【0026】
【表1】
Figure 0004262847
【0027】
表1の結果によれば、発明の範囲内である実験例1〜5のセラミックヒータでは、抗折強度の最少値は1205〜1290MPa、平均値は1285〜1350MPa、最大値は1360〜1420MPaであり、強度のばらつきが比較的小さく、特に、最少値が1100MPa、更には1200MPaを下回る強度の小さいものはないことが分かる。また、耐久性も、1300℃ばかりでなく1400℃においても10000サイクル繰り返し試験した場合に、断線等の問題はまったくなく、非常に優れていることが分かる。更に、発明の範囲内である実験例6〜では、抗折強度の平均値は1190〜1285MPaであり、耐久性も、1300℃では8500サイクルまでは断線せず、実用上、問題のないセラミックヒータが得られていることが分かる。
【0028】
尚、本発明においては、上記の実施例に限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した実施例とすることができる。即ち、MoSi2、TiN等、WC以外の導電成分であっても、Fe量が少量、例えば、0.05重量%以下である場合は、より優れた抗折強度を有し、且つ1400℃における10000サイクルの耐久試験によっても何ら問題を生ずることのないセラミックヒータとすることができる。また、本発明のセラミックヒータはグロープラグばかりでなく、暖房用等の各種ヒータにも使用することができる。
【0029】
【発明の効果】
発明によれば、抗折強度が大きく、特定の温度における耐久性に優れたセラミックヒータとすることができる。また、発明では、より優れた抗折強度を有し、且つ1400℃という高温における耐久性に優れたセラミッヒータとすることができる。また、発明のグロープラグは、発明のセラミックヒータを加熱源として備え、使用時、ヒータの断線等を生ずることがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】セラミックヒータを用いたグロープラグを説明するための縦断面図である。
【図2】セラミックヒータを説明するための縦断面図である。
【符号の説明】
1;グロープラグ、2;セラミックヒータ、21;基体、22;発熱抵抗体、23a、23b;給電部。

Claims (3)

  1. 窒化珪素質焼結体からなる基体と、該基体に埋設される発熱抵抗体とを備えるセラミックヒータにおいて、該発熱抵抗体に含有されるFe量が0.0435重量%以下であり、上記発熱抵抗体は導電成分であるWC窒化珪素質焼結体からなる絶縁成分とからなり、該導電成分に含有されるFe量が0.075重量%以下であることを特徴とするセラミックヒータ。
  2. 該導電成分に含有されるFe量が0.046重量%以下である請求項1記載のセラミックヒータ。
  3. 請求項1又は2記載のセラミックヒータを備え、24V以上の電圧が印加されることを特徴とするグロープラグ。
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