JP4263723B2 - バイオセンサ及び測定対象物測定方法 - Google Patents
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Description
これらの分析の手法の1つである固相結合分析には、磁性体粒子を用いる方法がある。従来の磁性体粒子を用いた固相分析の模式図が、図15に示されている。
固相91は、試料溶液と接する固相面を有し、該固相面に分子受容体95を固定する。固相91には、ポリスチレンビーズ、反応槽壁、基板等が用いられる。
分子受容体95は、試料溶液中に存在する抗原、抗体、DNA、RNA等の測定対象物94を選択的に固相91に保持する物質である。分子受容体95としては、測定対象物94に特異的に結合する分子が用いられ、抗原、抗体、DNA、RNA等が用いられる。
図15に示される分析においては、まず、あらかじめ分子受容体95が固定された固相91に、測定対象物94を含む試料溶液を投入する。これにより、測定対象物94が、特異的に結合する。試料溶液中に含まれる他の物質は、固相91に結合することなく、試料溶液中を浮遊する。次に、2次抗体93を固定した磁性体粒子92を試料溶液中に投入する。これにより、2次抗体93が、固相91に固定された分子受容体95に特異的に結合した測定対象物94に、特異的に結合する。次に、この磁性体粒子92の磁気を検知し、固相面に結合した磁性体粒子92の量を特定する。これにより、固相面に結合した測定対象物94の濃度あるいは、位置を特定することができる。この磁気の検知を、アレイ状に配置した磁気抵抗素子により検出する方法が後述の特許文献1及び特許文献2により開示されている。
このように従来の手法では、標識からの発光等の信号を、光学的な検出装置等の該信号の検知が可能な装置により検出している。これらの方法では、固相表面に固定されている結合分子に特異的に結合している分子の標識からの信号のみを捕らえる必要がある。しかしながら、光学的な検出の場合、未結合の標識分子が存在すると、この標識からの信号も捕らえることになり、正確な解析が行えない。従って、未結合の標識分子は完全に洗い流す必要がある。また、光学的な検出装置では、微弱な光信号を検出する必要があり、検出装置の小型化や低価格化が困難である。
しかしながら、特許文献3では、磁性体粒子が結合したホール素子の出力信号に対して、磁性体粒子が結合していないホール素子の出力信号を基準値として用いなければならない。さらに、磁性体粒子の結合によるホール素子の出力信号は微小なため、磁性体粒子のサイズがホール素子のサイズよりも小さくなると検知が困難となる。
また、磁場検知素子の出力値とは、出力値、又は、出力値に得られる磁場の強さに応じた値も含む。
また、本発明のバイオセンサは、前記センサであって、前記磁性体粒子は、前記磁気センサに結合する測定対象物と、結合するものであり、前記信号処理手段は、前記測定対象物を介して前記磁気センサに結合した磁性体粒子の量を特定し、前記磁性体粒子の量に基づいて前記測定対象物の量を特定することを特徴とする。
次に前記信号処理手段は、前記出力値分布の散布度と、前記磁気センサに磁性体粒子が未結合の状態における前記複数の磁場検知素子の出力値から得られる基準分布の散布度と、の差異に基づいて、前記結合した磁性体粒子の量を特定するようになっていることを特徴とする。
次に検知した磁場の強さに応じた出力値を出力する複数の磁場検知素子がX行Y列(X及びYは自然数である)の2次元に配置されてなる磁気センサと、前記複数の磁場検知素子の出力値から出力値分布を得て、この出力値分布の散布度に基づいて、前記磁性体粒子の量を特定する信号処理手段と、を備え、前記磁性体粒子は、前記磁気センサに結合する測定対象物と、結合するものであり、前記信号処理手段は、前記測定対象物を介して前記磁気センサに結合した磁性体粒子の量を特定し、前記磁性体粒子の量に基づいて前記測定対象物の量を特定するようになっており、前記磁性体粒子が結合した前記磁気センサに、種々の強度の外部磁場を印加する外部磁場印加手段を備え、前記種々の強度の外部磁場のうち1つは、前記結合した磁性体粒子の少なくとも一部の磁化が飽和状態となるような範囲内の強度である強磁場であり、他の1つは、前記結合した磁性体粒子の透磁率が初透磁率から最大透磁率の間にあるような範囲内の強度である弱磁場であるとともに、前記信号処理手段は、前記強磁場が印加された場合における前記出力値分布の散布度と前記弱磁場が印加された場合における前記出力値分布の散布度との差異に基づいて、前記結合した磁性体粒子の量を特定するようになっていることを特徴とする。
また、結合した磁性体粒子51の直下(ホール素子2aの配置位置)では、磁性体粒子51の磁化により磁束密度は増加するが、磁性体粒子51の直下から少し離れた位置(ホール素子2bの配置位置)では、磁性体粒子51の磁化により磁束密度は減少する。
従って、磁性体粒子の透磁率が初透磁率から最大透磁率の間にある弱い外部磁場と、磁性体粒子の一部あるいは全ての磁化が飽和する強い外部磁場での磁束密度の変化率を比較し、例えば異なる否かを磁場検知素子の出力に基づいて判定することにより、該磁場検知素子の近傍に磁性体粒子が結合しているか否かを判定できる。本発明では、外部磁場強度の変動に対する磁束密度の変化率に対応する値として、外部磁場の強度の変動に対する磁場検知素子の出力値の変化量(出力変化率)を用いる。
図2Aには、弱磁場(交流磁場)中と強磁場(交流磁場+直流磁場)中での磁場検知素子であるホール素子の出力変化率の関係を示す。縦軸は弱磁場を印加した場合におけるホール素子の出力変化率であり、横軸は強磁場を印加した場合におけるホール素子の出力変化率である。弱磁場と強磁場の交流磁場成分は同じである。
さらに実際に作製したホール素子ではノイズを含むため、図2Aの矢印4の様に全方向にばらつく。
磁性体粒子が結合していない状態では図2Bのように、傾き1の直線の周辺に分布していることが確認される。
このような構成であれば、種々の強度の外部磁場が印加された場合における磁場検知素子の出力変化率が異なる値となるか否かによって、結合した磁性体粒子の有無を判定し、磁気センサに結合した磁性体粒子の量を特定できるため、各磁場検知素子の感度等にバラツキがあったとしても、正確な測定を行うことができる。このため、各磁場検知素子の感度のバラツキ等を補正するための測定操作や磁性体粒子が結合していないホール素子からなる基準領域の設置などが不要である。
このようにすれば、強磁場により磁気センサ表面に結合した磁性体粒子の一部が脱離し、磁性体粒子の結合していない状態により近い信号が取得でき、より精度の高い測定が可能となる。
ここで、直流磁場とは、向きや強度が一定の磁場であり、交流磁場とは、向きや強度が周期的に変化する磁場であり、例えば交流電流をコイルに流すことにより発生させる。
次に前記弱磁場は、前記結合した磁性体粒子の透磁率が初透磁率から最大透磁率の間にあるような強度の交流磁場であり、前記強磁場は、該交流磁場に直流磁場を加え、前記結合した磁性体粒子の少なくとも一部の磁化が飽和状態となるような強度の外部磁場であることを特徴とする。
このように、測定対象物を介して磁気センサに結合するとともに外部磁場によって磁化された磁性体粒子に、測定対象物を介して磁気センサに結合していないが外部磁場によって磁化された別の磁性体粒子を、それらの磁力の相互作用によってさらに結合させることにより、磁気センサに結合した磁性体粒子による磁束の収束効果が高められ、磁場検知素子の信号が増幅されるため、より高感度な測定が可能になる。
このように、出力値が検知空間の磁束密度に対して比例する磁場検知素子を用いることにより、上述のように種々の強度の外部磁場における磁束密度の測定精度を向上させることができる。
上述のように、出力値が検知空間の磁束密度に対して比例するホール素子を用いることにより、測定精度が優れたものとなる。
次に前記複数の磁場検知素子のうち任意の素子を選択し、その出力値を取り出す選択手段を、更に備えることを特徴とする。
次に前記選択手段により選択された前記磁場検知素子の出力値を増幅する信号増幅回路を、更に備え、前記磁気センサと前記選択手段と該信号増幅回路とが、1チップ上に形成されることを特徴とする。
次に前記ホール素子は、一対の電流端子と、前記一対の電流端子間に流れる電流を制御するゲート電極と、前記一対の電流端子間に流れる電流に略垂直方向に電流が流れるように配置された一対の出力端子と、を有することを特徴とする。
次に前記磁場検知素子による磁場の検知が可能な各検知空間は、その前記磁気センサ表面に形成される磁束に対して垂直な断面の面積が、前記磁性体粒子の最大断面積と略同等であることを特徴とする。
これにより、隣接する磁場検知素子同士が同一の磁性体粒子を検知するなどの干渉を抑えることができる。
次に前記磁気センサ表面には、前記磁性体粒子と結合する分子受容体を固定させるための表面処理が施されていることを特徴とする。
これにより、検知空間内における磁性体粒子の結合量の調節等を行うことができる。
次に磁場の検知が可能な検知空間内の前記磁気センサ表面には、磁性体粒子の大きさに対応する大きさの凹部が形成され、磁性体粒子と結合する分子受容体が、該凹部のみに備えられていることを特徴とする。
次に前記磁気センサ表面に結合していない磁性体粒子を該磁気センサ表面から遠ざけるような磁場を発生する第1の磁場発生手段を、前記磁気センサ表面の対向位置に設けたことを特徴とする。
次に前記磁性体粒子を前記磁気センサ表面に近づけるような磁場を発生する第2の磁場発生手段を、更に備えることを特徴とする。
次に前記磁性体粒子を前記磁気センサ表面に近づけるような磁場を発生する第2の磁場発生手段と、前記磁気センサ表面に結合していない磁性体粒子を撹拌するような磁場を発生させるように、前記第1の磁場発生手段と第2の磁場発生手段とを交互に作動させる磁場装置制御手段と、を更に備えることを特徴とする。
なお、実施の形態では、磁性体粒子を標識としたバイオセンサについて説明するが、バイオセンサに限定するものでなく、磁性体粒子の量を測定する磁気センサに適応できるものである。
[第1実施形態]
(バイオセンサの全体構成について)
図3には、本実施形態に係るバイオセンサ全体の構成が示されている。バイオセンサは、試料溶液を投入し、測定を行うためのセンサチップ1と、センサチップ1へ磁場を印加する磁場発生装置を備えたセンサチップ1と信号を交換する測定装置本体と、を備える。
(センサチップの構成について)
図4はセンサチップの一部の概略図である。
ホール素子の表面積は、磁性体粒子51の最大断面積と同等な大きさとされている。これにより、ホール素子2によって検知される磁場中に存在する磁性体粒子51の個数を1個程度に制限することができる。このため、1のホール素子2で1の磁性体粒子51の存在の有無を検知することにより測定を行うような場合に、2個以上の磁性体粒子51が1のホール素子に検知されることを防ぐことができ、正確な測定を行うことができる。ただし、本発明は、測定方法を、1のホール素子により1の磁性体粒子の存在の有無を検知することにより行うように限定するものではない。すなわち、ホール素子2の表面積を、磁性体粒子の複数個分の最大断面積と同等な大きさとし、1のホール素子により複数の磁性体粒子の存在を検知しても良い。
(ホール素子の構造について)
次に、ホール素子の構造について説明する。
(ホール素子のアレイ状の配置、及び、各ホール素子の選択方法について)
次に、センサチップ上でのホール素子の配置及び各ホール素子を選択して出力を取り出す方法について説明する。図6はホール素子の配置を示す。
(電磁石の構成について)
図7は電磁石の配置を示す。本実施形態では電磁石85として、センサチップ1表面の対向位置に設置される上部コイル24と、センサチップ1の裏側に設置される下部コイル25と、を備える。
下部コイル25は、磁性体粒子をセンサチップ1表面に近づける磁場発生手段である第2の磁場発生手段としての機能を有するものであり、磁性体粒子を検知するための磁場ではなく、センサチップ1への磁性体粒子の導入時にセンサチップ1の表面に近づくほど磁束密度が増加するような磁場を形成する。この下部コイル25の作用により、磁性体粒子がセンサチップ1表面に引き寄せられて、磁性体粒子がセンサチップ1に導入されてからその表面に結合するまでの時間が短縮される。特に粒子径が1μm以下の磁性体粒子は、重力では下方に沈みにくいため有効である。
さらに、磁場装置制御手段によって上部コイル24と下部コイル25とを交互に作動させることで、磁性体粒子を上下に動かし、測定対象物と磁性体粒子の結合を促進することができる。
図8は、磁性体粒子を導入した状態で上部コイル24により磁場を形成したときのセンサチップ1表面の様子を示す。上部コイル24の磁場により、センサチップ1の表面に結合せずに浮遊している磁性体粒子は上方に引き寄せられるが、センサチップ1の表面近傍に存在する一部の浮遊している磁性体粒子及びセンサチップ1表面に結合している磁性体粒子は、コイルによる磁場により磁化され互いに引き寄せられる。図8Aに示すように磁場を印加していない状態では磁性体粒子51は磁化していないため、一部は測定対象物22を介してセンサチップ1表面に結合し、一部はセンサチップ1表面に結合しない状態で表面に存在し、一部は浮遊している。これに外部磁場を印加すると磁性体粒子51が磁化され、この磁化により図8Bに示すように互いに引き寄せられる。そして、センサチップ1表面に結合した磁性体粒子51に、別の磁性体粒子51が、外部磁場の磁束の形成方向に沿って一列に連結した状態となる。この状態は磁性体粒子51が単独で存在するよりも、ホール素子2aでの磁束密度の変化が大きくなる。これとともに、磁性体粒子51の磁化が飽和しやすくなり、より高感度な測定が可能となる。
(バイオセンサの動作について)
次に、図9のフローチャートに示す本発明のバイオセンサ全体の回路動作について説明する。
ステップS103においては、上部コイル24に電流を流し磁場を発生させ、センサチップ1表面から磁性体粒子51を遠ざける。この時、上部コイル24に流す電流は直流でも交流でも良い。また、モニタ用磁気センサ87で上部コイル24により生じる磁場強度を測定し、予め設定した磁場強度になるように上部コイル24に流す電流を制御する。
ステップS105においては、予め設定した磁性体粒子51のセンサチップ1表面への結合が完了する時間、あるいは、回数に至るまで、再びステップS101あるいはステップS105に移行し、ステップS101〜S104までのステップを繰り返し磁性体粒子51を試料溶液中で撹拌する。
ステップS107においては、予め設定した、結合していない磁性体粒子51のセンサチップ1表面からの除去が完了する時間まで待機する。
ステップS111においては、上部コイル24の磁場をOFFする。
ステップS112においては、ステップS108及びステップS109において取得した強磁場及び弱磁場における各々のホール素子の出力値をメモリ83から取り出す。そして、信号処理回路82において、ホール素子の出力値を比較し、結合した磁性体粒子数を特定する。
(磁性体粒子数の特定について)
次に、上述のようにホール素子の出力値を取得した後の信号処理回路82による出力値の比較及び磁性体粒子数の特定動作について説明する。
(バイオセンサを用いた測定対象物の測定方法)
上述したようなバイオセンサを用い、センサチップに結合した磁性体粒子数を測定することで、試料溶液中の測定対象物の濃度等を測定することができる。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
本実施形態では、まず弱磁場を印加したときの全てのホール素子の出力値から、弱磁場における出力値分布の散布度を算出する。次に、強磁場を印加したときの全てのホール素子の出力値から、強磁場における出力値分布の散布度を算出する。そして、これら弱磁場における出力値分布の散布度と強磁場における出力値分布の散布度の差分を求め、これに基づきセンサチップに結合した磁性体粒子の量を特定する。
また、上述のように、図1Bにおいて、コイルによる磁場に対するホール素子での磁束密度の変化率が磁性体粒子51の直下では正であり、直下から少し外れた位置では負である。磁性体粒子51が近辺に無いホール素子では磁束密度の変化率はゼロである。変化率が正、負に関わらず、磁性体粒子51の透磁率が初透磁率から最大透磁率の間にある時の変化量が、磁性体粒子51の磁化の一部あるいは全てが飽和している時の変化量に対して大きい。従って、磁性体粒子51が初透磁率から最大透磁率の間にあるような弱磁場の時と磁性体粒子の磁化の一部あるいは全てが飽和する強磁場の時、それぞれの磁場での全てのホール素子の出力値の散布度の差分がセンサチップに結合した磁性体粒子の量に比例する。
磁性体粒子が結合した状態では図2Cから明らかなように、弱磁場中での出力変化率の値の方が大きく縦軸方向にプロットの分散状態が広がっている。すなわち弱磁場中での散布度が強磁場中での散布度より大きくなり、この差分を求めることにより磁性体粒子が結合していることを検出することができることが確認される。
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態について説明する。第3実施形態のバイオセンサは、第1実施形態のバイオセンサとほぼ同様の構成であるが、信号処理回路82の構成が若干異なっている。以下説明する。
ノイズ成分予測部は、AD変換器及び高速フーリエ変換器を備えて構成され、ホール素子の出力値をフーリエ変換し、ホール素子の出力値から交流磁場に対応する周波数以外の周波数スペクトルの出力レベルの傾向から、交流磁場に対応する周波数成分において予測されるノイズレベルを算出する。
これにより、図2Aに示した全方向にばらつくノイズも低減することができ、測定の精度が優れたものとなる。
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態について説明する。
本実施形態でのバイオセンサの動作を図11のフローチャートに示す。第1実施形態と同じ点については説明を省略する。
ステップS201においては、磁性体粒子51をセンサチップ1上に導入した状態で、予め設定した磁性体粒子51のセンサチップ1表面への結合が完了するまで待機する。ここで、第1実施形態のステップS101〜S105までの動作と同様に、上部コイル24及び下部コイル25を交互に作動させることで、試料溶液を撹拌し、磁性体粒子51のセンサチップ1表面への結合を促進してもよい。
ステップS205においては、上部コイル24に予め設定した磁場を発生させ、予め設定した、結合していない磁性体粒子51のセンサチップ1表面からの除去が完了する時間まで待機する。
ステップS211及びS212における磁性体粒子数の特定方法は、第1実施形態及び第2実施形態で示した磁性体粒子の特定方法のいずれを用いてもよい。
上述した本発明を実施例に基づいて説明する。
センサチップ上には直径が4.5μmのダイナル社製磁性体粒子(商品名:DYNABEADS)を結合させた。その測定結果が図12であり、コイルにより印加した交流磁場成分の微小変化に対する各ホール素子の出力の交流成分の変化量の比を示したものである。測定はセンサチップ上の128個のホール素子について行ったが、図はその一部のホール素子について示している。磁性体粒子が結合していないホール素子のコイルによる磁場に対する出力は強磁場の時も弱磁場の時も殆ど変化しないが、磁性体粒子が結合している13番目と15番目のホール素子の出力は弱磁場の時の方が強磁場の時に比べて大きくなる。
128個全てのホール素子の出力の平均偏差の強磁場と弱磁場の差分は、磁性体粒子が無い方が0.02%、磁性体粒子が結合している方が0.12%であった。この結果から、磁性体粒子の磁化が小さいために各々のホール素子の出力では磁性体粒子の結合の有無が判別できない場合でも、複数のホール素子の出力の平均偏差の差分を求めることにより、結合した磁性体粒子の有無を判断することができる(第2実施形態で示した磁性体粒子数の特定方法)。
本発明のバイオセンサによれば、複数の磁場検知素子の出力値分布の散布度に基づいて、あるいは、外部磁場強度の変化に対する磁場検知素子の出力値変化に基づいて、磁気センサに結合した磁性体粒子を定量するので、正確な測定が可能になる。また、磁性体粒子が結合した状態において種々の強度の外部磁場を印加し、それぞれの場合における磁場検知素子からの出力値に基づいて定量するので、各磁場検知素子の感度等の特性がばらついていたとしても、各磁場検知素子自体で基準となる磁場の値が取得でき、しかも、磁気センサに磁性体粒子や測定対象物を導入した状態のまま取得することができるので、測定を迅速に精度良く行うことができる。また、このための磁場検知素子として、ホール素子を用いることにより、測定精度に優れたものとなる。また、ホール素子を磁場検知素子として用いることにより、バイオセンサは安価で、小型となる。
Claims (28)
- 検知した磁場の強さに応じた出力値を出力する複数の磁場検知素子がX行Y列(X及びYは自然数である)の2次元に配置されてなる磁気センサを備え、前記磁気センサ上にある磁性体粒子の量を前記出力値に基づいて測定するセンサにおいて、
前記複数の磁場検知素子の出力値から出力値分布を得て、この出力値分布の標準偏差、平均偏差又は分散である散布度に基づいて、前記磁性体粒子の量を特定する信号処理手段を備えることを特徴とするセンサ。 - 請求の範囲第1項に記載のセンサであって、
前記磁性体粒子は、前記磁気センサに結合する測定対象物と、結合するものであり、
前記信号処理手段は、前記測定対象物を介して前記磁気センサに結合した磁性体粒子の量を特定し、
前記磁性体粒子の量に基づいて前記測定対象物の量を特定することを特徴とするバイオセンサ。 - 前記信号処理手段は、前記出力値分布の散布度と、前記磁気センサに磁性体粒子が未結合の状態における前記複数の磁場検知素子の出力値から得られる基準分布の散布度と、の差異に基づいて、前記結合した磁性体粒子の量を特定するようになっていることを特徴とする請求の範囲第2項に記載のバイオセンサ。
- 検知した磁場の強さに応じた出力値を出力する複数の磁場検知素子がX行Y列(X及びYは自然数である)の2次元に配置されてなる磁気センサと、
前記複数の磁場検知素子の出力値から出力値分布を得て、この出力値分布の散布度に基づいて、前記磁性体粒子の量を特定する信号処理手段と、を備え、
前記磁性体粒子は、前記磁気センサに結合する測定対象物と、結合するものであり、
前記信号処理手段は、前記測定対象物を介して前記磁気センサに結合した磁性体粒子の量を特定し、
前記磁性体粒子の量に基づいて前記測定対象物の量を特定するようになっており、
前記磁性体粒子が結合した前記磁気センサに、種々の強度の外部磁場を印加する外部磁場印加手段を備え、前記種々の強度の外部磁場のうち1つは、前記結合した磁性体粒子の少なくとも一部の磁化が飽和状態となるような範囲内の強度である強磁場であり、他の1つは、前記結合した磁性体粒子の透磁率が初透磁率から最大透磁率の間にあるような範囲内の強度である弱磁場であるとともに、
前記信号処理手段は、前記強磁場が印加された場合における前記出力値分布の散布度と前記弱磁場が印加された場合における前記出力値分布の散布度との差異に基づいて、前記結合した磁性体粒子の量を特定するようになっていることを特徴とするバイオセンサ。 - 前記外部磁場印加手段によって前記弱磁場を先に印加して前記複数の磁場検知素子からの出力値を得、その後に前記外部磁場印加手段によって前記強磁場を印加して前記複数の磁場検知素子からの出力値を得ることを特徴とする請求の範囲第4項に記載のバイオセンサ。
- 前記外部磁場印加手段は、前記磁気センサに対し垂直に磁場を印加することを特徴とする請求の範囲第4項又は第5項に記載のバイオセンサ。
- 前記外部磁場印加手段は、直流磁場を印加することを特徴とする請求の範囲第4項又は第5項に記載のバイオセンサ。
- 前記外部磁場印加手段は、交流磁場を印加することを特徴とする請求の範囲第4項又は第5項に記載のバイオセンサ。
- 前記弱磁場は、前記結合した磁性体粒子の透磁率が初透磁率から最大透磁率の間にあるような強度の交流磁場であり、
前記強磁場は、該交流磁場に直流磁場を加え、前記結合した磁性体粒子の少なくとも一部の磁化が飽和状態となるような強度の外部磁場であることを特徴とする請求の範囲第4項又は第5項に記載のバイオセンサ。 - 前記信号処理手段は、前記磁場検知素子の出力値に含まれる前記交流磁場に対応する周波数以外の周波数成分からノイズ成分を予測するノイズ予測手段と、前記 ノイズ予測手段によって予測されたノイズ成分に基づいて、前記磁場検知素子の出力値に含まれる前記交流磁場に対応する周波数成分からノイズ成分を除去するノイズ除去手段と、をさらに備えることを特徴とする請求の範囲第8項又は第9項に記載のバイオセンサ。
- 前記磁気センサに結合した磁性体粒子に、別の磁性体粒子が、前記外部磁場の磁束の形成方向に沿って連結していることを特徴とする請求の範囲第4項〜第10項のいずれか一項に記載のバイオセンサ。
- 前記磁場検知素子は、磁場の検知が可能な検知空間に形成される磁束の磁束密度に比例する出力値を出力するものであることを特徴とする請求の範囲第2項〜第11項のいずれか一項に記載のバイオセンサ。
- 前記磁場検知素子は、ホール素子を含むことを特徴とする請求の範囲第2項〜第12項のいずれか一項に記載のバイオセンサ。
- 前記複数の磁場検知素子のうち任意の素子を選択し、その出力値を取り出す選択手段を、更に備えることを特徴とする請求の範囲第13項に記載のバイオセンサ。
- 前記選択手段により選択された前記磁場検知素子の出力値を増幅する信号増幅回路を、更に備え、
前記磁気センサと前記選択手段と該信号増幅回路とが、1チップ上に形成されることを特徴とする請求の範囲第14項に記載のバイオセンサ。 - 前記ホール素子は、一対の電流端子と、前記一対の電流端子間に流れる電流を制御するゲート電極と、前記一対の電流端子間に流れる電流に略垂直方向に電流が流れるように配置された一対の出力端子と、を有することを特徴とする請求の範囲第13項〜第15項のいずれか一項に記載のバイオセンサ。
- 前記ゲート電極は、同一の列に配置された前記ホール素子に共通のゲート電極線に接続され、
前記一対の電流端子は、同一の行に配置された前記ホール素子に共通の一対の電流端子線に接続され、
前記一対の出力端子は、同一の行に配置された前記ホール素子に共通の一対の出力端子線に接続され、
前記選択手段は、Y個のゲート電極線のうち1つ、X対の電流端子線のうち一対、X対の出力端子線のうち一対をそれぞれ選択することにより、複数のホール素子のうちの任意の素子を選択し、その出力値を取り出すようになっていることを特徴とする請求の範囲第16項に記載のバイオセンサ。 - 前記磁場検知素子による磁場の検知が可能な各検知空間は、その前記磁気センサ表面に形成される磁束に対して垂直な断面の面積が、前記磁性体粒子の最大断面積と略同等であることを特徴とする請求の範囲第2項〜第17項のいずれか一項に記載のバイオセンサ。
- 前記各磁場検知素子が、互いに異なる磁性体粒子を検知するような間隔をおいて配置されていることを特徴とする請求の範囲第2項〜第18項のいずれか一項に記載のバイオセンサ。
- 前記磁気センサ表面には、前記磁性体粒子と結合する分子受容体を固定させるための表面処理が施されていることを特徴とする請求の範囲第2項〜第19項のいずれか一項に記載のバイオセンサ。
- 前記磁気センサ表面には、前記磁性体粒子と結合する分子受容体を特定領域に選択的に固定させるための表面処理がなされていることを特徴とする請求の範囲第20項に記載のバイオセンサ。
- 磁場の検知が可能な検知空間内の前記磁気センサ表面には、磁性体粒子の大きさに対応する大きさの凹部が形成され、
磁性体粒子と結合する分子受容体が、該凹部のみに備えられていることを特徴とする請求の範囲第2項〜第21項のいずれか一項に記載のバイオセンサ。 - 前記磁気センサ表面に結合していない磁性体粒子を該磁気センサ表面か ら遠ざけるような磁場を発生する第1の磁場発生手段を、前記磁気センサ表面の対向位置に設けたことを特徴とする請求の範囲第2項〜第18項のいずれか一項に記載のバイオセンサ。
- 前記磁性体粒子を前記磁気センサ表面に近づけるような磁場を発生する第2の磁場発生手段を、更に備えることを特徴とする請求の範囲第2項〜第23項のいずれか一項に記載のバイオセンサ。
- 前記磁性体粒子を前記磁気センサ表面に近づけるような磁場を発生する第2の磁場発生手段と、
前記磁気センサ表面に結合していない磁性体粒子を撹拌するような磁場を発生させるように、前記第1の磁場発生手段と第2の磁場発生手段とを交互に作動させる磁場装置制御手段と、
を更に備えることを特徴とする請求の範囲第23項に記載のバイオセンサ。 - 請求の範囲第2項〜第25項のいずれか一項に記載のバイオセンサを用いた測定対象物の測定方法であって、
前記磁性体粒子は、前記磁気センサに結合する測定対象物と特異的に結合するものとし、
前記測定対象物を介して前記磁気センサに結合した前記磁性体粒子の量を前記バイオセンサを用いて特定するステップと、前記磁性体粒子の量に基づいて前記測定対象物の量を特定するステップと、を含むことを特徴とする測定対象物測定方法。 - 前記磁気センサと前記測定対象物の結合反応及び前記測定対象物と前記磁性体粒子の結合反応を、前記磁気センサを含む反応槽中で同時に行わせることを特徴とする請求の範囲第26項に記載の測定対象物測定方法。
- 請求の範囲第2項〜第25項のいずれか一項に記載のバイオセンサを用いた測定対象物の測定方法であって、
前記磁性体粒子は、前記磁気センサに結合する測定対象物と可逆的に置換可能なものとし、
前記測定対象物と置換されて前記磁気センサに結合した前記磁性体粒子の量を前記バイオセンサを用いて特定するステップと、前記磁性体粒子の量に基づいて前記測定対象物の量を特定するステップと、を含むことを特徴とする測定対象物測定方法。
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