JP4263723B2 - バイオセンサ及び測定対象物測定方法 - Google Patents

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Description

本発明は磁性体粒子の量を測定するセンサ及びその測定方法に関し、特に磁性体粒子を標識とするバイオセンサ及び測定対象物測定方法に関する。
近年、臨床診断・検出や遺伝子の解析においては、抗原、抗体、DNA(Deoxyribonucleic Acid)、RNA(Ribonucleic Acid)等を検出するために、抗原とそれに対する抗体との結合等の特定の分子同士の特異的な結合を利用した免疫学的手法が用いられている。
これらの分析の手法の1つである固相結合分析には、磁性体粒子を用いる方法がある。従来の磁性体粒子を用いた固相分析の模式図が、図15に示されている。
図に示されるように、この分析は、固相91と、分子受容体95と、磁性体粒子92と、2次抗体93と、を用いて行われ、測定対象物質94の分析を行う。
固相91は、試料溶液と接する固相面を有し、該固相面に分子受容体95を固定する。固相91には、ポリスチレンビーズ、反応槽壁、基板等が用いられる。
分子受容体95は、試料溶液中に存在する抗原、抗体、DNA、RNA等の測定対象物94を選択的に固相91に保持する物質である。分子受容体95としては、測定対象物94に特異的に結合する分子が用いられ、抗原、抗体、DNA、RNA等が用いられる。
磁性体粒子92は、磁性を帯びた粒子であり標識物質として用いられる。すなわち、この磁性体粒子92の形成する磁場を検知することにより磁性体粒子92の量を特定し、試料溶液中の測定対象物94の有無あるいは濃度を認識する。磁性体粒子92のほかに標識として、放射性物質、蛍光体、化学発光体、酵素など検知可能な信号を発するものが用いられている。これら標識を用いた検査法としては、抗原−抗体反応を利用した酵素免疫測定法(EIA法)や、イムノアッセイの標識化合物として化学発光性化合物で標識する狭義の化学発光法(CLIA)や化学発光性化合物を検出系に用いて酵素活性を高感度に検出する化学発光酵素法(CLEIA)等の化学発光法(CL法)等が公知である。
2次抗体93は、あらかじめ磁性体粒子92に結合された測定対象物94に特異的に結合する抗体である。
図15に示される分析においては、まず、あらかじめ分子受容体95が固定された固相91に、測定対象物94を含む試料溶液を投入する。これにより、測定対象物94が、特異的に結合する。試料溶液中に含まれる他の物質は、固相91に結合することなく、試料溶液中を浮遊する。次に、2次抗体93を固定した磁性体粒子92を試料溶液中に投入する。これにより、2次抗体93が、固相91に固定された分子受容体95に特異的に結合した測定対象物94に、特異的に結合する。次に、この磁性体粒子92の磁気を検知し、固相面に結合した磁性体粒子92の量を特定する。これにより、固相面に結合した測定対象物94の濃度あるいは、位置を特定することができる。この磁気の検知を、アレイ状に配置した磁気抵抗素子により検出する方法が後述の特許文献1及び特許文献2により開示されている。
また、これら標識を利用した分析の手法として、上述の分子受容体に特異的に結合した測定対象物に、さらに標識を付けた別の分子を特異的に結合させるサンドイッチアッセイ法以外にも、測定対象物と標識を付けた別の分子とを分子受容体に競合させて結合させる競合アッセイ法等がある。
このように従来の手法では、標識からの発光等の信号を、光学的な検出装置等の該信号の検知が可能な装置により検出している。これらの方法では、固相表面に固定されている結合分子に特異的に結合している分子の標識からの信号のみを捕らえる必要がある。しかしながら、光学的な検出の場合、未結合の標識分子が存在すると、この標識からの信号も捕らえることになり、正確な解析が行えない。従って、未結合の標識分子は完全に洗い流す必要がある。また、光学的な検出装置では、微弱な光信号を検出する必要があり、検出装置の小型化や低価格化が困難である。
一方、特許文献1で開示されているように磁性体粒子を標識に用いて磁気抵抗素子により検出する方法では、未結合の標識分子を洗い流す必要はない。しかしながら、磁気抵抗素子をアレイ状に配置した検出チップでは、個々の素子の信号を独立に取り出すためには、スイッチング回路が必要となる。アレイ状の個々の素子からスイッチング回路までは、それぞれ電気配線が必要である。このため、素子の数が増えるほど配線が複雑となりかつ配線の占める面積が増えるため、小型化が困難である等の問題がある。
同様に、磁気を検知する上述の特許文献2の検出装置では、磁気抵抗素子により構成されるブリッジ回路とスイッチ素子となるトランジスタで磁性体粒子の検出回路が構成されている。しかしながら、磁気抵抗素子は磁性材料を必要とするため、トランジスタを含む回路の一部を一般的な集積回路製造プロセスで加工した後、磁性薄膜の形成及び加工工程が必要となる。
また、ホール素子をアレイ状に配置し、特許文献1に開示されているように磁性体粒子を検知する方法が特許文献3に開示されている。
しかしながら、特許文献3では、磁性体粒子が結合したホール素子の出力信号に対して、磁性体粒子が結合していないホール素子の出力信号を基準値として用いなければならない。さらに、磁性体粒子の結合によるホール素子の出力信号は微小なため、磁性体粒子のサイズがホール素子のサイズよりも小さくなると検知が困難となる。
本発明の目的は、磁性体粒子の量を測定する、小型かつ低価格で、より検知の精度が高い磁気センサ及び磁性体粒子測定方法を提供することにある。さらに、このセンサ及びその測定方法を適応し、磁性体粒子を標識とし、抗原、抗体、DNA、RNA等の測定対象物を磁場の検知により分析することにより未結合の標識分子を洗い流すことが不要なバイオセンサにおいて、小型かつ低価格で、より検知の精度が高いバイオセンサ及び測定対象物測定方法を提供することにある。
米国特許第5,981,297号明細書 国際公開第97/45740号パンフレット 国際公開第03/67258号パンフレット
本発明のセンサは、検知した磁場の強さに応じた出力値を出力する複数の磁場検知素子がX行Y列(X及びYは自然数である)の2次元に配置されてなる磁気センサを備え、前記磁気センサ上にある磁性体粒子の量を前記出力値に基づいて測定するセンサにおいて、前記複数の磁場検知素子の出力値から出力値分布を得て、この出力値分布の標準偏差、平均偏差又は分散である散布度に基づいて、前記磁性体粒子の量を特定する信号処理手段を備えることを特徴とする。
磁気センサに磁性体粒子が未結合の状態において磁気センサに外部磁場を印加した場合は、複数の磁場検知素子の出力値にバラツキはないが(各々の磁場検知素子の感度にバラツキがない理想状態である場合)、磁気センサに磁性体粒子が結合した状態においてはこの磁気センサに結合した磁性体粒子により磁気センサに印加された磁場が局所的に乱れて複数の磁場検知素子の出力値にバラツキが生じる。このバラツキの度合いは結合する磁性体粒子の量に依存するものであるので、これに基づいて結合する磁性体粒子を定量することができる。
そして、このバラツキの度合いを評価するためには、標準偏差、平均偏差、分散等の散布度を用いる。
また、磁場検知素子の出力値とは、出力値、又は、出力値に得られる磁場の強さに応じた値も含む。
また、本発明のバイオセンサは、前記センサであって、前記磁性体粒子は、前記磁気センサに結合する測定対象物と、結合するものであり、前記信号処理手段は、前記測定対象物を介して前記磁気センサに結合した磁性体粒子の量を特定し、前記磁性体粒子の量に基づいて前記測定対象物の量を特定することを特徴とする。
次に前記磁性体粒子は、前記磁気センサに結合する測定対象物と特異的に結合するものであり、前記測定対象物を介して前記磁気センサに結合したこの磁性体粒子の量を特定することを特徴とする。
次に前記信号処理手段は、前記出力値分布の散布度と、前記磁気センサに磁性体粒子が未結合の状態における前記複数の磁場検知素子の出力値から得られる基準分布の散布度と、の差異に基づいて、前記結合した磁性体粒子の量を特定するようになっていることを特徴とする。
このように、各々の磁場検知素子の感度にバラツキがある場合には、磁気センサに磁性体粒子が未結合の状態における基準分布を得て、その散布度と出力値分布の散布度とを比較することにより、正確な測定を行うことができる。
次に検知した磁場の強さに応じた出力値を出力する複数の磁場検知素子がX行Y列(X及びYは自然数である)の2次元に配置されてなる磁気センサと、前記複数の磁場検知素子の出力値から出力値分布を得て、この出力値分布の散布度に基づいて、前記磁性体粒子の量を特定する信号処理手段と、を備え、前記磁性体粒子は、前記磁気センサに結合する測定対象物と、結合するものであり、前記信号処理手段は、前記測定対象物を介して前記磁気センサに結合した磁性体粒子の量を特定し、前記磁性体粒子の量に基づいて前記測定対象物の量を特定するようになっており、前記磁性体粒子が結合した前記磁気センサに、種々の強度の外部磁場を印加する外部磁場印加手段を備え、前記種々の強度の外部磁場のうち1つは、前記結合した磁性体粒子の少なくとも一部の磁化が飽和状態となるような範囲内の強度である強磁場であり、他の1つは、前記結合した磁性体粒子の透磁率が初透磁率から最大透磁率の間にあるような範囲内の強度である弱磁場であるとともに、前記信号処理手段は、前記強磁場が印加された場合における前記出力値分布の散布度と前記弱磁場が印加された場合における前記出力値分布の散布度との差異に基づいて、前記結合した磁性体粒子の量を特定するようになっていることを特徴とする。
ここで、磁場検知素子の出力値とは、出力値、又は、強磁場及び弱磁場が印加された場合のそれぞれにおいて得た出力値に基づいて、それぞれの場合に得られる磁場の強さに応じた値も含む。例えば、後述する出力変化率等の値も含まれる。
以下、図1を用いて説明する。図1Aに示すように、磁束密度Bの外部磁場を磁性体粒子51が存在しない状態で印加した場合には、磁場検知素子であるホール素子2で検出される磁束密度は外部磁場と同じBである。磁性体粒子51が結合した状態では、外部磁場により磁性体粒子51が磁化されるため、ホール素子2で検出される磁束密度は変化する。ここで外部磁場は、ホール素子2の感磁面に対して垂直に印加する。
外部磁場強度の変動に対する磁束密度の変化率と結合した磁性体粒子からの距離との関係を図1Bに示す。図1Bは、磁束密度Bの外部磁場に対する図1Aの点線aの位置での磁束密度の変化率を示すグラフであり、縦軸は磁束密度の変化率を表し、横軸は図1Aのホール素子の配置に対応する位置を表している。また、実線L1は磁性体粒子51の透磁率が初透磁率から最大透磁率の間にあるような弱い外部磁場(弱磁場)を印加した時の磁束密度の変化率を示し、点線L2は磁性体粒子の一部あるいは全ての磁化が飽和状態となるような強い外部磁場(強磁場)を印加した時の磁束密度の変化率を示す。
初透磁率から最大透磁率の間では磁性体粒子51の磁化は外部磁場に比例するため磁束密度の変化率は大きいが、外部磁場強度を強くしていくと磁性体粒子51の磁化が飽和してくるため磁束密度の変化率は小さくなる。
また、結合した磁性体粒子51の直下(ホール素子2aの配置位置)では、磁性体粒子51の磁化により磁束密度は増加するが、磁性体粒子51の直下から少し離れた位置(ホール素子2bの配置位置)では、磁性体粒子51の磁化により磁束密度は減少する。
さらに、弱い外部磁場を印加した時に比べ、強い外部磁場を印加した時は、ホール素子2a、2bの配置位置での磁束密度の変化率は正負の違いはあるが、絶対値は減少する。磁性体粒子51から離れた位置(ホール素子2cの配置位置)での磁束密度の変化率は外部磁場の強弱に依存しない。
従って、磁性体粒子の透磁率が初透磁率から最大透磁率の間にある弱い外部磁場と、磁性体粒子の一部あるいは全ての磁化が飽和する強い外部磁場での磁束密度の変化率を比較し、例えば異なる否かを磁場検知素子の出力に基づいて判定することにより、該磁場検知素子の近傍に磁性体粒子が結合しているか否かを判定できる。本発明では、外部磁場強度の変動に対する磁束密度の変化率に対応する値として、外部磁場の強度の変動に対する磁場検知素子の出力値の変化量(出力変化率)を用いる。
なお、外部磁場は弱磁場、強磁場ともに直流磁場であっても交流磁場であっても良い。この時、磁性体粒子の磁化が完全に飽和するように直流磁場を印加すると、変化率はゼロとなり、より正確な測定が可能となる。
図2Aには、弱磁場(交流磁場)中と強磁場(交流磁場+直流磁場)中での磁場検知素子であるホール素子の出力変化率の関係を示す。縦軸は弱磁場を印加した場合におけるホール素子の出力変化率であり、横軸は強磁場を印加した場合におけるホール素子の出力変化率である。弱磁場と強磁場の交流磁場成分は同じである。
磁性体粒子がホール素子上に無く、ノイズや感度のバラツキが無い状態では弱磁場中と強磁場中でのホール素子の出力変化率は等しくそれぞれ1である。しかしながら、一般的なCMOSプロセスで同一センサチップ上に加工される複数のホール素子の感度は、加工バラツキなどから、等しくなくバラツキを有する。従って、複数のホール素子の出力変化率をプロットすると図2Aの傾き1の直線上で矢印Y1の方向に分布する。このように、ホール素子間に感度バラツキがあっても同一のホール素子では弱磁場中の出力と強磁場中の出力とが等しいため、これを比較する限りにおいては感度の補正を考慮する必要がない。
次に、ホール素子の真上に磁性体粒子が結合した場合、図1でも説明したように、弱磁場では磁性体粒子により磁束が収束され、ホール素子の出力変化率は増加する。強磁場では磁性体粒子の磁化が飽和するため、磁束の交流成分の収束効果は低減され、ホール素子の出力変化率は弱磁場中ほど増加しない(完全に磁化が飽和する場合は出力変化率は増加しない)。従って、図2Aの矢印Y2の方向に分布する。
ホール素子の真上ではなく、少しはずれた位置に磁性体粒子が結合した場合、図1でも説明したように、磁束は磁性体粒子直下に収束される為、逆に減少する。この時は図2Aの矢印3の方向に分布する。
さらに実際に作製したホール素子ではノイズを含むため、図2Aの矢印4の様に全方向にばらつく。
次に、実際にホール素子全てに磁性体粒子が結合していない時(図2B)とセンサチップ表面上に磁性体粒子が結合している時(図2C)の各ホール素子の弱磁場(交流磁場)中と強磁場(交流磁場+直流磁場)中での出力変化率の測定例を示す。弱磁場と強磁場の交流磁場成分は同じである。
磁性体粒子が結合していない状態では図2Bのように、傾き1の直線の周辺に分布していることが確認される。
磁性体粒子が結合した状態では図2Cから明らかなように、弱磁場中での出力変化率の値の方が大きく縦軸方向にプロットの分散状態が広がっていることが確認される。
このような構成であれば、種々の強度の外部磁場が印加された場合における磁場検知素子の出力変化率が異なる値となるか否かによって、結合した磁性体粒子の有無を判定し、磁気センサに結合した磁性体粒子の量を特定できるため、各磁場検知素子の感度等にバラツキがあったとしても、正確な測定を行うことができる。このため、各磁場検知素子の感度のバラツキ等を補正するための測定操作や磁性体粒子が結合していないホール素子からなる基準領域の設置などが不要である。
次に、前記外部磁場印加手段によって前記弱磁場を先に印加して前記複数の磁場検知素子からの出力値を得、その後に前記外部磁場印加手段によって前記強磁場を印加して前記複数の磁場検知素子からの出力値を得ることを特徴とする。
このようにすれば、強磁場により磁気センサ表面に結合した磁性体粒子の一部が脱離し、磁性体粒子の結合していない状態により近い信号が取得でき、より精度の高い測定が可能となる。
次に前記外部磁場印加手段は、直流磁場を印加することができ、さらに交流磁場を印加することもできることを特徴とする。
ここで、直流磁場とは、向きや強度が一定の磁場であり、交流磁場とは、向きや強度が周期的に変化する磁場であり、例えば交流電流をコイルに流すことにより発生させる。
次に前記弱磁場は、前記結合した磁性体粒子の透磁率が初透磁率から最大透磁率の間にあるような強度の交流磁場であり、前記強磁場は、該交流磁場に直流磁場を加え、前記結合した磁性体粒子の少なくとも一部の磁化が飽和状態となるような強度の外部磁場であることを特徴とする。
次に前記信号処理手段は、前記磁場検知素子の出力値に含まれる前記交流磁場に対応する周波数以外の周波数成分からノイズ成分を予測するノイズ予測手段と、前記ノイズ予測手段によって予測されたノイズ成分に基づいて、前記磁場検知素子の出力値に含まれる前記交流磁場に対応する周波数成分からノイズ成分を除去するノイズ除去手段と、をさらに備えることを特徴とする。
次に前記磁気センサに結合した磁性体粒子に、別の磁性体粒子が、前記外部磁場の磁束の形成方向に沿って連結していることを特徴とする。
このように、測定対象物を介して磁気センサに結合するとともに外部磁場によって磁化された磁性体粒子に、測定対象物を介して磁気センサに結合していないが外部磁場によって磁化された別の磁性体粒子を、それらの磁力の相互作用によってさらに結合させることにより、磁気センサに結合した磁性体粒子による磁束の収束効果が高められ、磁場検知素子の信号が増幅されるため、より高感度な測定が可能になる。
次に前記磁場検知素子は、磁場の検知が可能な検知空間に形成される磁束の磁束密度に比例する出力値を出力するものであることを特徴とする。
このように、出力値が検知空間の磁束密度に対して比例する磁場検知素子を用いることにより、上述のように種々の強度の外部磁場における磁束密度の測定精度を向上させることができる。
次に前記磁場検知素子は、ホール素子を含むことを特徴とする。
上述のように、出力値が検知空間の磁束密度に対して比例するホール素子を用いることにより、測定精度が優れたものとなる。
次に前記複数の磁場検知素子のうち任意の素子を選択し、その出力値を取り出す選択手段を、更に備えることを特徴とする。
これにより、磁気センサ表面上に存在する磁性体粒子の2次元の存在位置情報を得ることができる。
次に前記選択手段により選択された前記磁場検知素子の出力値を増幅する信号増幅回路を、更に備え、前記磁気センサと前記選択手段と該信号増幅回路とが、1チップ上に形成されることを特徴とする。
これにより、交流磁場による誘導起電力の影響を低減することができる。すなわち外部磁場として交流磁場を用いた場合、センサから信号を取り出す配線に誘導起電力が生じ、信号にノイズとして加わる。信号増幅回路を備えることにより、信号を増幅した状態で取り出すため、外部磁場による誘導起電力が加わったとしても、その影響を低減することができる。
さらに、磁気センサを小型化すると共に、試料溶液に応じて磁気センサを取り替えて使用することができる。
次に前記ホール素子は、一対の電流端子と、前記一対の電流端子間に流れる電流を制御するゲート電極と、前記一対の電流端子間に流れる電流に略垂直方向に電流が流れるように配置された一対の出力端子と、を有することを特徴とする。
次に前記ゲート電極は、同一の列に配置された前記ホール素子に共通のゲート電極線に接続され、前記一対の電流端子は、同一の行に配置された前記ホール素子に共通の一対の電流端子線に接続され、前記一対の出力端子は、同一の行に配置された前記ホール素子に共通の一対の出力端子線に接続され、前記選択手段は、Y個のゲート電極線のうち1つ、X対の電流端子線のうち一対、X対の出力端子線のうち一対をそれぞれ選択することにより、複数のホール素子のうちの任意の素子を選択し、その出力値を取り出すようになっていることを特徴とする。
このように、各列毎、各行毎に配線を共通にすることにより、任意の位置にあるホール素子の選択を簡便に行うことができると共に、配線数を少なくすることができる。これにより、測定対象物に応じた磁気センサの作成を容易にし、また、磁気センサを小型化することができる。
次に前記磁場検知素子による磁場の検知が可能な各検知空間は、その前記磁気センサ表面に形成される磁束に対して垂直な断面の面積が、前記磁性体粒子の最大断面積と略同等であることを特徴とする。
これにより、磁気センサに結合しかつ磁場検知素子によって検知される磁性体粒子の個数を1個程度に制限し、複数の磁性体粒子が検知されることによる測定値のバラツキを抑え、分析の精度を向上させることができる。なお、検知空間に存在可能な磁気センサに結合する磁性体粒子の数を制限するものであるので、例えば、検知空間が磁束の形成方向に沿って長くなっており、磁気センサに結合した磁性体粒子に引き付けられて磁束の形成方向に沿って一列に連結した別の磁性体粒子を磁場検知素子が検知可能であってもよい。この場合には、別の磁性体粒子によって磁気センサに結合した磁性体粒子の検知の感度が高められるので好ましい。
次に前記各磁場検知素子が、互いに異なる磁性体粒子を検知するような間隔をおいて配置されていることを特徴とする。
これにより、隣接する磁場検知素子同士が同一の磁性体粒子を検知するなどの干渉を抑えることができる。
次に前記磁気センサ表面には、前記磁性体粒子と結合する分子受容体を固定させるための表面処理が施されていることを特徴とする。
次に前記磁気センサ表面には、前記磁性体粒子と結合する分子受容体を特定領域に選択的に固定させるための表面処理がなされていることを特徴とする。
これにより、検知空間内における磁性体粒子の結合量の調節等を行うことができる。
次に磁場の検知が可能な検知空間内の前記磁気センサ表面には、磁性体粒子の大きさに対応する大きさの凹部が形成され、磁性体粒子と結合する分子受容体が、該凹部のみに備えられていることを特徴とする。
検知空間内の磁気センサ表面に凹部を設けることにより、磁気センサ表面の特定部分のみに分子受容体を結合させることができる。これにより、検知空間内における磁性体粒子の結合量等を調節することができる。
次に前記磁気センサ表面に結合していない磁性体粒子を該磁気センサ表面から遠ざけるような磁場を発生する第1の磁場発生手段を、前記磁気センサ表面の対向位置に設けたことを特徴とする。
磁気センサ表面から磁性体粒子を遠ざけることにより、未結合の磁性体粒子による検知結果の干渉を防ぐことができる。また、未結合の磁性体粒子を磁気センサ表面から遠ざけることにより、浮遊する磁性体粒子を測定時に洗い流す等の操作が不要となる。
次に前記磁性体粒子を前記磁気センサ表面に近づけるような磁場を発生する第2の磁場発生手段を、更に備えることを特徴とする。
これにより、磁性体粒子の磁気センサ表面への結合を早めて、測定時間を短縮することができる。
次に前記磁性体粒子を前記磁気センサ表面に近づけるような磁場を発生する第2の磁場発生手段と、前記磁気センサ表面に結合していない磁性体粒子を撹拌するような磁場を発生させるように、前記第1の磁場発生手段と第2の磁場発生手段とを交互に作動させる磁場装置制御手段と、を更に備えることを特徴とする。
これにより、磁性体粒子が撹拌されるため、磁性体粒子の磁気センサ表面への結合を早めて、測定時間を短縮することができる。
発明の測定対象物測定方法は、本発明のバイオセンサを用いた測定対象物の測定方法であって、前記磁性体粒子は、前記磁気センサに結合する測定対象物と特異的に結合するものとし、前記測定対象物を介して前記磁気センサに結合した前記磁性体粒子の量を前記バイオセンサを用いて特定するステップと、前記磁性体粒子の量に基づいて前記測定対象物の量を特定するステップと、を含むことを特徴とする。
本発明の他の測定対象物測定方法は、本発明のバイオセンサを用いた測定対象物の測定方法であって、前記磁性体粒子は、前記磁気センサに結合する測定対象物と可逆的に置換可能なものとし、前記測定対象物と置換されて前記磁気センサに結合した前記磁性体粒子の量を前記バイオセンサを用いて特定するステップと、前記磁性体粒子の量に基づいて前記測定対象物の量を特定するステップと、を含むことを特徴とする。
図1Aは、ホール素子近辺の断面を示す図、図1Bは、磁束密度の変化率を示すグラフである。図2Aは、弱磁場中と強磁場中でのホール素子の出力変化率の関係を示すグラフ、図2Bは、ホール素子全てに磁性体粒子が結合していない時の出力変化率を示すグラフ、図2Cはセンサチップ表面上に磁性体粒子が結合している時の出力変化率を示すグラフである。図3は、本実施形態のバイオセンサの回路を説明するブロック図である。図4は、本実施形態のバイオセンサの一部の概略を示す図である。図5Aは、ホール素子2の上面図、図5Bは一点鎖線aでの断面図、図5Cは、一点鎖線bでの断面図である。図6は、本実施形態のアレイ状ホール素子の選択方法を説明する図である。図7は、第1実施形態のバイオセンサ全体の概略を示す図である。図8Aは、センサチップ表面での磁性体粒子の様子を説明する図、図8Bは、上部コイルにより磁場を発生させた時のセンサチップ表面での磁性体粒子の様子を説明する図である。図9は、第1実施形態にかかるバイオセンサ全体の回路動作を説明するフローチャートである。図10は、ホール素子の出力値をフーリエ変換して得られる周波数スペクトルを示すグラフである。図11は、第2実施形態にかかるバイオセンサ全体の回路動作を説明するフローチャートである。図12は、実施例1の測定結果を説明する図である。図13Aは、実施例2において磁性体粒子が未結合状態での測定結果を示すグラフ、図13Bは、実施例2において磁性体粒子結合状態での測定結果を示すグラフである。図14は、実施例3の試験結果を示す図である。図15は、従来の磁性体粒子を用いた固相分析を説明する模式図である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態であるバイオセンサについて説明する。
なお、実施の形態では、磁性体粒子を標識としたバイオセンサについて説明するが、バイオセンサに限定するものでなく、磁性体粒子の量を測定する磁気センサに適応できるものである。
[第1実施形態]
(バイオセンサの全体構成について)
図3には、本実施形態に係るバイオセンサ全体の構成が示されている。バイオセンサは、試料溶液を投入し、測定を行うためのセンサチップ1と、センサチップ1へ磁場を印加する磁場発生装置を備えたセンサチップ1と信号を交換する測定装置本体と、を備える。
センサチップ1には、ホール素子アレイ9、アレイ選択回路71、増幅回路81を搭載する。測定装置本体には、電磁石85と電磁石電源86と電磁石85による磁場をモニターするモニタ用磁気センサ87とを備えた磁場発生装置、センサチップ1の制御を行うセンサチップ制御回路、ホール素子からの出力信号を処理する信号処理回路(信号処理手段)、及び、その他の制御回路82(例えば、磁場発生装置を制御するための電磁石制御回路(磁場装置制御手段))を搭載する。センサチップ1は、1回の測定毎に新たなものと取り替える。
(センサチップの構成について)
図4はセンサチップの一部の概略図である。
センサチップ1は、周知の技術であるCMOS(complementary mental−oxide semiconductor device)製造プロセスによりシリコン基板11上に形成される。センサチップ1には、一定間隔で凹部13が形成されている。この凹部13の下には、ホール素子(磁場検知素子)が形成されており、個々のホール素子の入力及び出力はゲート電極30及び金属配線4を介して行われる。最表面はプラズマCVD(chemical vapor deposition)によるチッ化シリコン膜或いは酸化シリコン膜で覆われる。
CMOS製造プロセスでシリコン基板11上にホール素子、アレイ選択回路71及び増幅回路81を形成した後、センサチップ1には、表面をシランカップリング剤等で処理することで、磁性体粒子をセンサチップ1表面に結合させるための分子受容体(抗原、抗体、DNA、RNA等)を固定することができる。
ホール素子の表面積は、磁性体粒子51の最大断面積と同等な大きさとされている。これにより、ホール素子2によって検知される磁場中に存在する磁性体粒子51の個数を1個程度に制限することができる。このため、1のホール素子2で1の磁性体粒子51の存在の有無を検知することにより測定を行うような場合に、2個以上の磁性体粒子51が1のホール素子に検知されることを防ぐことができ、正確な測定を行うことができる。ただし、本発明は、測定方法を、1のホール素子により1の磁性体粒子の存在の有無を検知することにより行うように限定するものではない。すなわち、ホール素子2の表面積を、磁性体粒子の複数個分の最大断面積と同等な大きさとし、1のホール素子により複数の磁性体粒子の存在を検知しても良い。
また、ホール素子の配置、凹部13の配置間隔等は特に限定されるものではない。図1に検出原理を示したように、ホール素子2aのように磁性体粒子が真上にあるときだけではなく、ホール素子2bのように磁性体粒子の近傍の磁束密度が減少する領域でも磁束密度の変化率が変わるため、センサチップ1表面全面に分子受容体61を固定して、磁性体粒子近傍における磁束密度の変化を検知するようにしてもよい。また、図1Bにおいて、磁性体粒子51真下の磁束密度増加領域の変化率の方が周辺の磁束密度減少領域の変化率より大きいため、ホール素子の真上だけに磁性体粒子が結合するように分子受容体をホール素子の真上だけに選択的に固定してもよい。さらに、隣接のホール素子上に結合した磁性体粒子の影響を受けないように、例えば図1Aのホール素子2aと2c程度に離して、ホール素子を配置しても良い。
(ホール素子の構造について)
次に、ホール素子の構造について説明する。
このホール素子2の上面図が図5Aに、一点鎖線aでの断面が図5Bに、一点鎖線bでの断面が図5Cに、示されている。このホール素子2はゲート電極30、ソース電極31、ドレイン電極32、出力電極33、34、及び、絶縁層35を含んで構成され、Pウエル領域36に形成される。出力電極を除くとn型MOSFETと同じ構成であり、図中では各々の電極への金属配線は省略してある。出力電極33、34は、センサチップ表面に略垂直に形成される磁束と、ソース−ドレイン極間を流れる電流と、に垂直に電流が流れるように構成する。
このホール素子2の動作について説明する。ゲート電極30、ソース電極31、ドレイン電極32にバイアスを印加し、MOSFETと同様な動作状態に設定する。この時の動作状態は線形領域にあることが望ましい。この状態で外部から加わる磁束が存在しない場合、2つの出力電極33、34は同電位である。外部からホール素子面に対して垂直な磁束が加わると、磁束密度に比例した電圧が出力電極33と34との間に差動電圧として現れる。
(ホール素子のアレイ状の配置、及び、各ホール素子の選択方法について)
次に、センサチップ上でのホール素子の配置及び各ホール素子を選択して出力を取り出す方法について説明する。図6はホール素子の配置を示す。
各々のホール素子(E(0,0),E(0,1),・・・)のソース電極、ドレイン電極、及び一対の出力電極はスイッチ(R0,R1,・・・)を介してV、V、OUT1、OUT2へ接続されており、同一の行に共通に接続されている。また、ゲート電極も同一の列に共通のゲート電極線C0、C1、・・・へと接続されている。図6には列方向をX、行方向をYで示す。V、Vはホール素子側へバイアスを供給する配線であり、OUT1、OUT2はホール素子からの出力を増幅回路へ送る配線である。
ホール素子E(0,0)を選択する場合について説明する。スイッチR0のみをオンし、スイッチR1、R2、・・・はオフする。またゲート電極線C0のみホール素子が動作状態になる電圧に設定し、ゲート電極線C1、C2、・・・はホール素子が動作しない電圧、すなわちソース電極、ドレイン電極にバイアスを印加してもソース−ドレイン間に電流が流れない状態に設定する。
この時、ホール素子E(0,0)及び同一の行にあるホール素子のソース電極、ドレイン電極にVL、VHが印加されるが、電流はホール素子E(0,0)しか流れない。ホール素子E(0,0)の出力電極には磁束密度に応じた電圧が現れる。同一のに並んだ他のホール素子の出力電極は、動作状態になっていないため、OUT1,OUT2にはホール素子E(0,0)の出力電圧がそのまま出力される。この構成ではアレイの数が増えたとしても、アレイ内の配線数は同じで端部にスイッチが付け足されるだけなので、センサチップの面積はほぼアレイの数に比例し、容易にホール素子数の多いセンサチップを構成することができる。
(電磁石の構成について)
図7は電磁石の配置を示す。本実施形態では電磁石85として、センサチップ1表面の対向位置に設置される上部コイル24と、センサチップ1の裏側に設置される下部コイル25と、を備える。
上部コイル24は、外部磁場印加手段であり、センサチップ1に対して磁束が垂直な磁場を形成する。この磁場は、ホール素子により検知され、本実施形態では、磁性体粒子の透磁率が初透磁率から最大透磁率の間にあるような磁場強度の範囲の弱磁場と、結合した磁性体粒子の少なくとも一部の磁化が飽和状態となるような磁場強度の範囲の強磁場と、をセンサチップ表面上で形成する。また、本実施形態では、この弱磁場は交流磁場とし、この交流磁場に強い直流磁場を付加することで強磁場を形成する。
また、上部コイル24は、磁性体粒子をセンサチップ1表面から遠ざける磁場発生手段である第1の磁場発生手段としての機能も果たし、センサチップ1に磁性体粒子が導入された状態で通電され、センサチップ1の表面から遠ざかるほど磁束密度が増加するような磁場を発生する。この上部コイル24の作用により、センサチップ1表面に結合せずに浮遊している磁性体粒子がセンサチップ1表面から遠ざけられるので、未結合の磁性体粒子がホール素子に検知される磁束に影響を与えない。
なお、コイルの代わりに、例えば永久磁石を用いてもよい。
下部コイル25は、磁性体粒子をセンサチップ1表面に近づける磁場発生手段である第2の磁場発生手段としての機能を有するものであり、磁性体粒子を検知するための磁場ではなく、センサチップ1への磁性体粒子の導入時にセンサチップ1の表面に近づくほど磁束密度が増加するような磁場を形成する。この下部コイル25の作用により、磁性体粒子がセンサチップ1表面に引き寄せられて、磁性体粒子がセンサチップ1に導入されてからその表面に結合するまでの時間が短縮される。特に粒子径が1μm以下の磁性体粒子は、重力では下方に沈みにくいため有効である。
なお、コイルの代わりに永久磁石などを用いてもよい。
さらに、磁場装置制御手段によって上部コイル24と下部コイル25とを交互に作動させることで、磁性体粒子を上下に動かし、測定対象物と磁性体粒子の結合を促進することができる。
図8は、磁性体粒子を導入した状態で上部コイル24により磁場を形成したときのセンサチップ1表面の様子を示す。上部コイル24の磁場により、センサチップ1の表面に結合せずに浮遊している磁性体粒子は上方に引き寄せられるが、センサチップ1の表面近傍に存在する一部の浮遊している磁性体粒子及びセンサチップ1表面に結合している磁性体粒子は、コイルによる磁場により磁化され互いに引き寄せられる。図8Aに示すように磁場を印加していない状態では磁性体粒子51は磁化していないため、一部は測定対象物22を介してセンサチップ1表面に結合し、一部はセンサチップ1表面に結合しない状態で表面に存在し、一部は浮遊している。これに外部磁場を印加すると磁性体粒子51が磁化され、この磁化により図8Bに示すように互いに引き寄せられる。そして、センサチップ1表面に結合した磁性体粒子51に、別の磁性体粒子51が、外部磁場の磁束の形成方向に沿って一列に連結した状態となる。この状態は磁性体粒子51が単独で存在するよりも、ホール素子2aでの磁束密度の変化が大きくなる。これとともに、磁性体粒子51の磁化が飽和しやすくなり、より高感度な測定が可能となる。
(バイオセンサの動作について)
次に、図9のフローチャートに示す本発明のバイオセンサ全体の回路動作について説明する。
ステップS101においては、磁性体粒子51をセンサチップ1上に導入した状態で、下部コイル25に電流を流し磁場を発生させ、センサチップ表面に磁性体粒子51を引き付ける。この時、下部コイル25に流す電流は直流でも交流でも良い。また、下部コイル25に流す電流はモニタ用磁気センサ87で下部コイル25により生じる磁場強度を測定し、予め設定した磁場強度になるようにコイルに流す電流を制御する。
ステップS102においては、下部コイル25による磁場をOFFする。
ステップS103においては、上部コイル24に電流を流し磁場を発生させ、センサチップ1表面から磁性体粒子51を遠ざける。この時、上部コイル24に流す電流は直流でも交流でも良い。また、モニタ用磁気センサ87で上部コイル24により生じる磁場強度を測定し、予め設定した磁場強度になるように上部コイル24に流す電流を制御する。
ステップS104においては、上部コイル24による磁場をOFFする。
ステップS105においては、予め設定した磁性体粒子51のセンサチップ1表面への結合が完了する時間、あるいは、回数に至るまで、再びステップS101あるいはステップS105に移行し、ステップS101〜S104までのステップを繰り返し磁性体粒子51を試料溶液中で撹拌する。
ステップS106においては、上部コイル24に電流を流し磁場を発生させ、センサチップ1表面へ結合していない磁性体粒子51をセンサチップ1表面から遠ざけ、センサチップ1が結合している磁性体粒子51のみを検出できるようにする。
ステップS107においては、予め設定した、結合していない磁性体粒子51のセンサチップ1表面からの除去が完了する時間まで待機する。
未結合の磁性体粒子の除去完了後、ステップS108においては、強磁場を上部コイル24により発生させホール素子の出力信号を取得する。次にステップS109においては、弱磁場を上部コイル24により発生させ、ホール素子の出力信号を取得する。具体的には、測定装置本体にあるセンサチップ制御回路82より特定のホール素子を選択するためのアドレス信号を、センサチップ1にあるアレイ選択回路71に送る。アレイ選択回路71は、このアドレス信号に基づいて、上述のように、指定されたホール素子を選択する。そのホール素子からの出力信号は、センサチップ上の増幅回路81によって増幅される。増幅された出力信号はメモリ83に保存される。
ステップS110においては、上述のように、出力信号を取得すべき全てのホール素子から信号を取得したか否か判断し、取得していない場合には、再びステップS108に移行する。これにより、全てのホール素子における出力信号を取得する。
ステップS111においては、上部コイル24の磁場をOFFする。
ステップS112においては、ステップS108及びステップS109において取得した強磁場及び弱磁場における各々のホール素子の出力値をメモリ83から取り出す。そして、信号処理回路82において、ホール素子の出力値を比較し、結合した磁性体粒子数を特定する。
(磁性体粒子数の特定について)
次に、上述のようにホール素子の出力値を取得した後の信号処理回路82による出力値の比較及び磁性体粒子数の特定動作について説明する。
任意の1のホール素子の出力値について、上部コイル24の交流磁場成分の微小変化に対する当該ホール素子の出力変化率を強磁場の場合と弱磁場の場合でそれぞれ算出し、それぞれの出力変化率が異なるか否か判定する。すなわち、上述のように、ホール素子の真上あるいは近辺に磁性体粒子51が結合していない場合、当該ホール素子の出力変化率は強磁場の場合と弱磁場の場合で同じであるが、ホール素子の真上あるいは近辺に磁性体粒子が結合している場合、上部コイルの磁場強度に対する当該ホール素子の出力値の比は強磁場の場合と弱磁場の場合で異なる。従って、出力変化率が同じと判定したときには、磁性体粒子51が真上あるいは近辺に結合していないと判定し、出力変化率が異なる場合には、真上あるいは近辺に磁性体粒子51が結合していると判定する。なお、出力変化率の差分の大きさや出力変化率の符号に応じて真上でなく、近辺に結合していること等を判定したりしてもよい。
この判定動作を、全てのホール素子について繰り返し、これに基づいて結合した磁性体粒子の数を特定する。
(バイオセンサを用いた測定対象物の測定方法)
上述したようなバイオセンサを用い、センサチップに結合した磁性体粒子数を測定することで、試料溶液中の測定対象物の濃度等を測定することができる。
図1の例では、センサチップ1表面に測定対象物22と特異的に結合する分子受容体61としての抗体を固定している。また、磁性体粒子51はその表面に2次抗体63を備えており、この2次抗体63は測定対象物22と特異的に結合する。従って、センサチップ1表面に分子受容体61を介して結合した測定対象物22に、磁性体粒子51が特異的に結合する。このため、測定対象物22や分子受容体61等を介してセンサチップ1に結合した磁性体粒子の量を測定することで、これに基づいて測定対象物22の量を特定することができる。
バイオセンサを用いた測定対象物の測定方法はこのような方法に限定されず、例えば、測定対象物と競合してセンサチップ1表面に結合する分子を磁性体粒子として用いてもよい。この場合においては、測定対象物と代わって結合する磁性体粒子の量をバイオセンサを用いて特定し、その磁性体粒子の量に基づいて競合する測定対象物の量を特定することができる。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
第2実施形態のバイオセンサは、第1実施形態のバイオセンサとほぼ同様の構成であるが、ホール素子からの出力値を取得した後の信号処理回路82による出力値の比較及び磁性体粒子数の特定動作が異なっている。以下、説明する。
本実施形態では、まず弱磁場を印加したときの全てのホール素子の出力値から、弱磁場における出力値分布の散布度を算出する。次に、強磁場を印加したときの全てのホール素子の出力値から、強磁場における出力値分布の散布度を算出する。そして、これら弱磁場における出力値分布の散布度と強磁場における出力値分布の散布度の差分を求め、これに基づきセンサチップに結合した磁性体粒子の量を特定する。
すなわち、磁気センサに結合した磁性体粒子によって、複数の磁場検知素子の出力値に生じたばらつきを散布度に換算し、このばらつきの度合いに基づいて結合する磁性体粒子を定量する。
また、上述のように、図1Bにおいて、コイルによる磁場に対するホール素子での磁束密度の変化率が磁性体粒子51の直下では正であり、直下から少し外れた位置では負である。磁性体粒子51が近辺に無いホール素子では磁束密度の変化率はゼロである。変化率が正、負に関わらず、磁性体粒子51の透磁率が初透磁率から最大透磁率の間にある時の変化量が、磁性体粒子51の磁化の一部あるいは全てが飽和している時の変化量に対して大きい。従って、磁性体粒子51が初透磁率から最大透磁率の間にあるような弱磁場の時と磁性体粒子の磁化の一部あるいは全てが飽和する強磁場の時、それぞれの磁場での全てのホール素子の出力値の散布度の差分がセンサチップに結合した磁性体粒子の量に比例する。
また、全てのホール素子の感度が等しい理想的な状態においては、弱磁場領域において磁性体粒子が結合していない状態では全てのホール素子の出力値の偏差はゼロであり、一部のホール素子上に磁性体粒子51が結合した状態では、磁性体粒子51が結合したホール素子の出力値が変化するため結合量に依存した散布度になる。よって、これにより磁性体粒子51の結合量を求めることができる。しかしながら、実際にはセンサチップ1の製造ばらつき等により、センサチップ1上のホール素子の感度はばらついているため、磁性体粒子51が結合していない場合も偏差はゼロではない。しかし、強磁場における出力値分布及び弱磁場における出力値分布それぞれの散布度は等しくその差分はゼロとなる。一部のホール素子上に磁性体粒子が結合している場合、ホール素子上の結合している場所により変化率が正負どちらになったとしても、磁性体粒子51が結合していない場合に比べて大きくなる。さらに変化率の変化量は弱磁場の時の方が強磁場の時よりも大きいため、磁性体粒子51が結合している場合、散布度も弱磁場の時の方が強磁場の時よりも大きくなる。従って磁性体粒子51が結合した状態では、磁性体粒子51の透磁率が初透磁率から最大透磁率の間にあるような弱磁場のときと磁性体粒子51の磁化の一部あるいは全てが飽和する強磁場のとき、それぞれの磁場での全てのホール素子の出力値の散布度に差分が生じる。
実際の測定例を見ると、磁性体粒子が結合していない状態では図2Bのように、傾き1の直線の周辺に分布しており、弱磁場中での散布度と強磁場中での散布度はほぼ等しいことが確認される。
磁性体粒子が結合した状態では図2Cから明らかなように弱磁場中での出力変化率の値の方が大きく縦軸方向にプロットの分散状態が広がっている。すなわち弱磁場中での散布度が強磁場中での散布度より大きくなり、この差分を求めることにより磁性体粒子が結合していることを検出することができることが確認される。
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態について説明する。第3実施形態のバイオセンサは、第1実施形態のバイオセンサとほぼ同様の構成であるが、信号処理回路82の構成が若干異なっている。以下説明する。
本実施形態では、信号処理回路82が、ホール素子の出力値から交流磁場に対応する周波数以外の周波数成分からノイズ成分を予測するノイズ成分予測部と、予測されたノイズ成分に基づいて、ホール素子の出力値に含まれる交流磁場に対応する周波数成分からノイズ成分を除去するノイズ成分除去部と、をさらに備える。
ノイズ成分予測部は、AD変換器及び高速フーリエ変換器を備えて構成され、ホール素子の出力値をフーリエ変換し、ホール素子の出力値から交流磁場に対応する周波数以外の周波数スペクトルの出力レベルの傾向から、交流磁場に対応する周波数成分において予測されるノイズレベルを算出する。
ホール素子の出力値をフーリエ変換して得られる周波数スペクトルを図10に示す。センサチップ1に印加する外部磁場及び磁性粒子51によるセンサチップ1表面での磁束密度の交流成分は外部磁場の交流成分の周波数及びその高調波に対応した周波数成分からなる。センサ出力信号にはノイズも含まれる為、フーリエ変換すると同図の様に全周波数帯域に渡るスペクトルとなる。信号成分は図の様に特定の周波数に現れる。ノイズ成分は主に周波数に依存しない熱ノイズと周波数の逆数に比例するフリッカノイズである。これらのノイズ成分は周波数に対してほぼ連続的に変化するため、信号成分の現れる周波数の近傍の周波数スペクトルから信号成分の現れる周波数でのノイズレベルを見積もることができる。従って、信号成分の現れる周波数でのセンサ出力レベルからこのノイズレベルを差し引くことにより、真の信号成分を得ることができる。
ノイズ成分除去部は、ノイズ成分予測部によって算出されたノイズレベルに基づいて、ノイズレベルを除去した真の信号成分の交流磁場に対応する周波数成分全体に対する割合を算出し、ホール素子の出力値から交流磁場に対応する周波数成分を抽出する際に、その割合に応じた出力を取り出すことで、真の信号成分を得る。
これにより、図2Aに示した全方向にばらつくノイズも低減することができ、測定の精度が優れたものとなる。
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態について説明する。
第4実施形態のバイオセンサは、第1実施形態のバイオセンサとほぼ同様の構成であるが、測定時の動作が異なっている。以下、説明する。
本実施形態でのバイオセンサの動作を図11のフローチャートに示す。第1実施形態と同じ点については説明を省略する。
ステップS201においては、磁性体粒子51をセンサチップ1上に導入した状態で、予め設定した磁性体粒子51のセンサチップ1表面への結合が完了するまで待機する。ここで、第1実施形態のステップS101〜S105までの動作と同様に、上部コイル24及び下部コイル25を交互に作動させることで、試料溶液を撹拌し、磁性体粒子51のセンサチップ1表面への結合を促進してもよい。
ステップS202においては、上部コイル24により弱磁場を発生させ、ステップS203においてホール素子の出力信号を取得し、メモリ83に保存する。これをあらかじめ設定した数のホール素子から出力信号を取得するまで繰り返す(ステップS204)。
ステップS205においては、上部コイル24に予め設定した磁場を発生させ、予め設定した、結合していない磁性体粒子51のセンサチップ1表面からの除去が完了する時間まで待機する。
ステップS206においては、弱磁場を上部コイル24により発生させ、ホール素子の出力信号を取得し、メモリ83に保存する。ステップS207においては、出力信号を取得すべき全てのホール素子から信号を取得したか否か判断し、取得していない場合(No)には、再びステップS206に移行する。これにより、全てのホール素子における出力信号を取得する。
ステップS208においては、強磁場を上部コイル24により発生させ、ホール素子の出力信号を取得し、メモリ83に保存する。ステップS209においては、出力信号を取得すべき全てのホール素子から信号を取得したか否か判断し、取得していない場合(No)には、再びステップS208に移行する。これにより、全てのホール素子における出力信号を取得する。取得した場合は上部コイル24の磁場をOFFする(ステップS210)。
ステップS211においては、ステップS203及びステップS208において取得した各々のホール素子の出力値をメモリ83から取り出す。そして、信号処理回路82において、ホール素子の出力値を比較する。そして、未結合の磁性体粒子をセンサチップ1から除去する前に結合、未結合にかかわらずセンサチップ1表面に存在していた磁性体粒子数を特定する。これにより、磁性体粒子が均等に拡散された状態で測定を行うことができたかを確認することができる。
ステップS212においては、ステップS206及びステップS208において取得した各々のホール素子の出力値をメモリ83から取り出す。そして、信号処理回路82において、ホール素子の出力値を比較し、結合した磁性体粒子数を特定する。
ステップS211及びS212における磁性体粒子数の特定方法は、第1実施形態及び第2実施形態で示した磁性体粒子の特定方法のいずれを用いてもよい。
このように、弱磁場での測定を行った後に、強磁場での測定を行うことで、強磁場により磁気センサ表面に結合した磁性体粒子の一部が脱離し、磁性体粒子の結合していない状態により近い信号が取得でき、より精度の高い測定が可能となる。
上述した本発明を実施例に基づいて説明する。
図5に示されるような形状のホール素子をアレイ状に配置し、さらにアレイ選択回路、増幅回路を同一シリコン基板上に作製した。このホール素子のソース電極31−ドレイン電極32間の距離は約6.4μm、感受面、すなわちゲート電極30下に形成されるチャネルから絶縁層12の表面までの距離が約2.8μmである。アレイ状に配置されているホール素子の配置ピッチは12.8μmである。アレイ選択回路により選択されたホール素子のソース電極−ドレイン電極間の電圧は約4V、ソース電極−ゲート電極間の電圧は約5Vとした。
測定時には、弱磁場の場合は実効値50ガウスの交流磁場を、強磁場の場合は実効値50ガウスの交流磁場に加えて200ガウスの直流磁場をコイルにより印加した。
センサチップ上には直径が4.5μmのダイナル社製磁性体粒子(商品名:DYNABEADS)を結合させた。その測定結果が図12であり、コイルにより印加した交流磁場成分の微小変化に対する各ホール素子の出力の交流成分の変化量の比を示したものである。測定はセンサチップ上の128個のホール素子について行ったが、図はその一部のホール素子について示している。磁性体粒子が結合していないホール素子のコイルによる磁場に対する出力は強磁場の時も弱磁場の時も殆ど変化しないが、磁性体粒子が結合している13番目と15番目のホール素子の出力は弱磁場の時の方が強磁場の時に比べて大きくなる。
強磁場の時に磁性体粒子の磁化が完全に飽和していれば、磁性体粒子が結合していないセンサ出力と同レベルになるはずであるが、完全に飽和していないために、強磁場においても変化が見られる。しかしながら、磁性体粒子が結合していないところでは、強磁場と弱磁場での差が見られず、磁性体粒子が結合しているところでは、強磁場と弱磁場との差が明確に見られ、表面に結合した磁性体粒子を検出することができる(第1実施形態で示した磁性体粒子数の特定方法)。
図12ではホール素子と同程度の大きさの磁性体粒子を用いているため、結合した磁性体粒子を明確に検出することができる。また、128個全てのホール素子の強磁場と弱磁場それぞれの平均偏差は0.56%と1.48%となり、この差分から磁性体微粒子の有無を判別することもできる(第2実施形態で示した磁性体粒子数の特定方法)。
実施例1と同様のセンサチップに磁性体粒子が未結合の状態で測定した結果が図13Aに、直径が1μmのダイナル社製磁性体粒子をセンサチップに結合させた状態で測定した結果が図13Bに示されている。縦軸は、コイルにより印加した交流磁場成分の微小変化に対する各ホール素子の出力の交流成分の変化量の比を示す。測定はセンサチップ上の128個のホール素子のそれぞれについて行ったが、図はその一部のホール素子について示している。この場合、ホール素子の大きさに対して磁性体粒子が小さいため、1つのホール素子上に複数の磁性体粒子が結合可能である。ただし、体積が小さい分、コイルにより磁場を印加した時の磁化も小さいため、ホール素子上での磁束密度の変化も小さい。
図13Aは、磁性体粒子は結合していないが各々のホール素子の出力値はばらついている。これに対して図13Bは、磁性体粒子は結合しているが磁性体粒子の磁化が小さいため、各々のホール素子の出力値のばらつきに埋もれて、磁性体粒子が結合しているかどうか判断できない。
128個全てのホール素子の出力の平均偏差の強磁場と弱磁場の差分は、磁性体粒子が無い方が0.02%、磁性体粒子が結合している方が0.12%であった。この結果から、磁性体粒子の磁化が小さいために各々のホール素子の出力では磁性体粒子の結合の有無が判別できない場合でも、複数のホール素子の出力の平均偏差の差分を求めることにより、結合した磁性体粒子の有無を判断することができる(第2実施形態で示した磁性体粒子数の特定方法)。
ホール素子を256個配置したセンサチップを用い、直径が1μmのダイナル社製磁性体粒子をセンサチップ上に結合させた。このとき、測定対象物にインフルエンザ菌由来抗原を用いた。抗原濃度に対する弱磁場及び強磁場でのホール素子出力の平均偏差とこれらの差分を図14に示す。同図に示すように、抗原濃度の増加に応じて平均偏差の差分が増加しているのが分かる。
この結果から、磁性体粒子の磁化が小さいために各ホール素子の出力から磁性体粒子の結合の有無を判別することができない場合にも、弱磁場と強磁場でのホール素子出力の平均偏差の差分を求めることにより、結合した磁性体粒子の量を判断することができることが確認された。さらに、抗原濃度が1ng/ml以下の少量であっても、結合した磁性体粒子数に基づいて、抗原濃度の測定が可能であることが確認された。
磁性体粒子の量の測定に用いることができ、さらに磁性体粒子を標識とする抗原とそれに対する抗体との結合等の、特定の分子同士の特異的な結合を利用して抗原、抗体、DNA(Deoxyribonucleic Acid)、RNA(Ribonucleic Acid)等を検出する、免疫学的手法による臨床診断・検出や遺伝子の解析等に用いられる。
本発明のバイオセンサによれば、複数の磁場検知素子の出力値分布の散布度に基づいて、あるいは、外部磁場強度の変化に対する磁場検知素子の出力値変化に基づいて、磁気センサに結合した磁性体粒子を定量するので、正確な測定が可能になる。また、磁性体粒子が結合した状態において種々の強度の外部磁場を印加し、それぞれの場合における磁場検知素子からの出力値に基づいて定量するので、各磁場検知素子の感度等の特性がばらついていたとしても、各磁場検知素子自体で基準となる磁場の値が取得でき、しかも、磁気センサに磁性体粒子や測定対象物を導入した状態のまま取得することができるので、測定を迅速に精度良く行うことができる。また、このための磁場検知素子として、ホール素子を用いることにより、測定精度に優れたものとなる。また、ホール素子を磁場検知素子として用いることにより、バイオセンサは安価で、小型となる。
また、本発明の測定対象物測定方法によれば、上記バイオセンサを用いるので、未結合の標識物質を洗い流すことなく迅速、簡便に、かつ、正確な測定を行うことができる。

Claims (28)

  1. 検知した磁場の強さに応じた出力値を出力する複数の磁場検知素子がX行Y列(X及びYは自然数である)の2次元に配置されてなる磁気センサを備え、前記磁気センサ上にある磁性体粒子の量を前記出力値に基づいて測定するセンサにおいて、
    前記複数の磁場検知素子の出力値から出力値分布を得て、この出力値分布の標準偏差、平均偏差又は分散である散布度に基づいて、前記磁性体粒子の量を特定する信号処理手段を備えることを特徴とするセンサ。
  2. 請求の範囲第1項に記載のセンサであって、
    前記磁性体粒子は、前記磁気センサに結合する測定対象物と、結合するものであり、
    前記信号処理手段は、前記測定対象物を介して前記磁気センサに結合した磁性体粒子の量を特定し、
    前記磁性体粒子の量に基づいて前記測定対象物の量を特定することを特徴とするバイオセンサ。
  3. 前記信号処理手段は、前記出力値分布の散布度と、前記磁気センサに磁性体粒子が未結合の状態における前記複数の磁場検知素子の出力値から得られる基準分布の散布度と、の差異に基づいて、前記結合した磁性体粒子の量を特定するようになっていることを特徴とする請求の範囲第2項に記載のバイオセンサ。
  4. 検知した磁場の強さに応じた出力値を出力する複数の磁場検知素子がX行Y列(X及びYは自然数である)の2次元に配置されてなる磁気センサと、
    前記複数の磁場検知素子の出力値から出力値分布を得て、この出力値分布の散布度に基づいて、前記磁性体粒子の量を特定する信号処理手段と、を備え、
    前記磁性体粒子は、前記磁気センサに結合する測定対象物と、結合するものであり、
    前記信号処理手段は、前記測定対象物を介して前記磁気センサに結合した磁性体粒子の量を特定し、
    前記磁性体粒子の量に基づいて前記測定対象物の量を特定するようになっており、
    前記磁性体粒子が結合した前記磁気センサに、種々の強度の外部磁場を印加する外部磁場印加手段を備え、前記種々の強度の外部磁場のうち1つは、前記結合した磁性体粒子の少なくとも一部の磁化が飽和状態となるような範囲内の強度である強磁場であり、他の1つは、前記結合した磁性体粒子の透磁率が初透磁率から最大透磁率の間にあるような範囲内の強度である弱磁場であるとともに、
    前記信号処理手段は、前記強磁場が印加された場合における前記出力値分布の散布度と前記弱磁場が印加された場合における前記出力値分布の散布度との差異に基づいて、前記結合した磁性体粒子の量を特定するようになっていることを特徴とするバイオセンサ。
  5. 前記外部磁場印加手段によって前記弱磁場を先に印加して前記複数の磁場検知素子からの出力値を得、その後に前記外部磁場印加手段によって前記強磁場を印加して前記複数の磁場検知素子からの出力値を得ることを特徴とする請求の範囲第4項に記載のバイオセンサ。
  6. 前記外部磁場印加手段は、前記磁気センサに対し垂直に磁場を印加することを特徴とする請求の範囲第4項又は第5項に記載のバイオセンサ。
  7. 前記外部磁場印加手段は、直流磁場を印加することを特徴とする請求の範囲第4項又は第5項に記載のバイオセンサ。
  8. 前記外部磁場印加手段は、交流磁場を印加することを特徴とする請求の範囲第4項又は第5項に記載のバイオセンサ。
  9. 前記弱磁場は、前記結合した磁性体粒子の透磁率が初透磁率から最大透磁率の間にあるような強度の交流磁場であり、
    前記強磁場は、該交流磁場に直流磁場を加え、前記結合した磁性体粒子の少なくとも一部の磁化が飽和状態となるような強度の外部磁場であることを特徴とする請求の範囲第4項又は第5項に記載のバイオセンサ。
  10. 前記信号処理手段は、前記磁場検知素子の出力値に含まれる前記交流磁場に対応する周波数以外の周波数成分からノイズ成分を予測するノイズ予測手段と、前記 ノイズ予測手段によって予測されたノイズ成分に基づいて、前記磁場検知素子の出力値に含まれる前記交流磁場に対応する周波数成分からノイズ成分を除去するノイズ除去手段と、をさらに備えることを特徴とする請求の範囲第8項又は第9項に記載のバイオセンサ。
  11. 前記磁気センサに結合した磁性体粒子に、別の磁性体粒子が、前記外部磁場の磁束の形成方向に沿って連結していることを特徴とする請求の範囲第4項〜第10項のいずれか一項に記載のバイオセンサ。
  12. 前記磁場検知素子は、磁場の検知が可能な検知空間に形成される磁束の磁束密度に比例する出力値を出力するものであることを特徴とする請求の範囲第2項〜第11項のいずれか一項に記載のバイオセンサ。
  13. 前記磁場検知素子は、ホール素子を含むことを特徴とする請求の範囲第2項〜第12項のいずれか一項に記載のバイオセンサ。
  14. 前記複数の磁場検知素子のうち任意の素子を選択し、その出力値を取り出す選択手段を、更に備えることを特徴とする請求の範囲第13項に記載のバイオセンサ。
  15. 前記選択手段により選択された前記磁場検知素子の出力値を増幅する信号増幅回路を、更に備え、
    前記磁気センサと前記選択手段と該信号増幅回路とが、1チップ上に形成されることを特徴とする請求の範囲第14項に記載のバイオセンサ。
  16. 前記ホール素子は、一対の電流端子と、前記一対の電流端子間に流れる電流を制御するゲート電極と、前記一対の電流端子間に流れる電流に略垂直方向に電流が流れるように配置された一対の出力端子と、を有することを特徴とする請求の範囲第13項〜第15項のいずれか一項に記載のバイオセンサ。
  17. 前記ゲート電極は、同一の列に配置された前記ホール素子に共通のゲート電極線に接続され、
    前記一対の電流端子は、同一の行に配置された前記ホール素子に共通の一対の電流端子線に接続され、
    前記一対の出力端子は、同一の行に配置された前記ホール素子に共通の一対の出力端子線に接続され、
    前記選択手段は、Y個のゲート電極線のうち1つ、X対の電流端子線のうち一対、X対の出力端子線のうち一対をそれぞれ選択することにより、複数のホール素子のうちの任意の素子を選択し、その出力値を取り出すようになっていることを特徴とする請求の範囲第16項に記載のバイオセンサ。
  18. 前記磁場検知素子による磁場の検知が可能な各検知空間は、その前記磁気センサ表面に形成される磁束に対して垂直な断面の面積が、前記磁性体粒子の最大断面積と略同等であることを特徴とする請求の範囲第2項〜第17項のいずれか一項に記載のバイオセンサ。
  19. 前記各磁場検知素子が、互いに異なる磁性体粒子を検知するような間隔をおいて配置されていることを特徴とする請求の範囲第2項〜第18項のいずれか一項に記載のバイオセンサ。
  20. 前記磁気センサ表面には、前記磁性体粒子と結合する分子受容体を固定させるための表面処理が施されていることを特徴とする請求の範囲第2項〜第19項のいずれか一項に記載のバイオセンサ。
  21. 前記磁気センサ表面には、前記磁性体粒子と結合する分子受容体を特定領域に選択的に固定させるための表面処理がなされていることを特徴とする請求の範囲第20項に記載のバイオセンサ。
  22. 磁場の検知が可能な検知空間内の前記磁気センサ表面には、磁性体粒子の大きさに対応する大きさの凹部が形成され、
    磁性体粒子と結合する分子受容体が、該凹部のみに備えられていることを特徴とする請求の範囲第2項〜第21項のいずれか一項に記載のバイオセンサ。
  23. 前記磁気センサ表面に結合していない磁性体粒子を該磁気センサ表面か ら遠ざけるような磁場を発生する第1の磁場発生手段を、前記磁気センサ表面の対向位置に設けたことを特徴とする請求の範囲第2項〜第18項のいずれか一項に記載のバイオセンサ。
  24. 前記磁性体粒子を前記磁気センサ表面に近づけるような磁場を発生する第2の磁場発生手段を、更に備えることを特徴とする請求の範囲第2項〜第23項のいずれか一項に記載のバイオセンサ。
  25. 前記磁性体粒子を前記磁気センサ表面に近づけるような磁場を発生する第2の磁場発生手段と、
    前記磁気センサ表面に結合していない磁性体粒子を撹拌するような磁場を発生させるように、前記第1の磁場発生手段と第2の磁場発生手段とを交互に作動させる磁場装置制御手段と、
    を更に備えることを特徴とする請求の範囲第23項に記載のバイオセンサ。
  26. 請求の範囲第2項〜第25項のいずれか一項に記載のバイオセンサを用いた測定対象物の測定方法であって、
    前記磁性体粒子は、前記磁気センサに結合する測定対象物と特異的に結合するものとし、
    前記測定対象物を介して前記磁気センサに結合した前記磁性体粒子の量を前記バイオセンサを用いて特定するステップと、前記磁性体粒子の量に基づいて前記測定対象物の量を特定するステップと、を含むことを特徴とする測定対象物測定方法。
  27. 前記磁気センサと前記測定対象物の結合反応及び前記測定対象物と前記磁性体粒子の結合反応を、前記磁気センサを含む反応槽中で同時に行わせることを特徴とする請求の範囲第26項に記載の測定対象物測定方法。
  28. 請求の範囲第2項〜第25項のいずれか一項に記載のバイオセンサを用いた測定対象物の測定方法であって、
    前記磁性体粒子は、前記磁気センサに結合する測定対象物と可逆的に置換可能なものとし、
    前記測定対象物と置換されて前記磁気センサに結合した前記磁性体粒子の量を前記バイオセンサを用いて特定するステップと、前記磁性体粒子の量に基づいて前記測定対象物の量を特定するステップと、を含むことを特徴とする測定対象物測定方法。
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