JP4276404B2 - 静電チャックの電極構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、金属基盤の上面側に静電チャックシートを積層して形成された静電チャックの電極構造に係り、特に、単に静電チャックシートに確実に給電できるだけでなく、使用済み静電チャックから金属基盤のみを分離して取り出し、容易に再利用することができるようにした静電チャックの電極構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体製造プロセスにおいては、近年、そのドライ化が急速に進み、プラズマエッチング装置、プラズマCVD装置、イオン注入装置、アッシング装置、電子ビームリソグラフィー装置、X線リソグラフィー装置等の装置が頻繁に使用されており、また、これらの装置においては、半導体ウエハ等の試料を真空中で処理することがしばしば行われている。
【0003】
また、このような装置において、試料を保持するための手段としては、機械的方法によるメカニカルチャック、大気圧との圧力差を利用する真空チャック、静電吸着力を発揮する静電チャックシートを利用した静電チャック等の方法が提案されているが、真空中で試料とホルダーとを熱的に均一に、しかも、信頼性高く保持する上で、静電チャックが有利であるとされている。
【0004】
この静電チャックは、一般に、表面をアルマイト処理したアルミニウム等の金属で形成された金属基盤とこの金属基盤の上面にポリイミド層等の第一絶縁層、銅箔層等の電極層、及びポリイミド層等の第二絶縁層を順次積層して形成された静電チャックシートとで構成されており、この静電チャックシートの電極層に直流高電圧(高電力)を印加して静電力を発現せしめるものであり、また、この静電チャックシートの電極層に電力を供給するための電極構造は、通常、金属基盤の上下面間を貫通する貫通孔と、この貫通孔内に配設され、金属基盤の下面側から供給された電力を上面側に積層された静電チャックシートに供給する給電端子と、電気絶縁性材料で形成されて上記貫通孔の内壁と給電端子との間を絶縁すると共に上記給電端子を保持する絶縁保持部材とで構成されている。
【0005】
そして、このような静電チャックの電極構造としては、例えば、接着剤を介して金属基盤の貫通孔内面に接着されると共にその内部に導電層を内在し、そして、貫通孔が基盤表面に至る個所で静電チャックシートと電気的に接合される給電シートを備えたもの(特許第2,581,627号掲載公報)や、サセプタ(金属基盤)の厚さ方向に貫通する給電孔と、この給電孔の内壁との間で絶縁部材を介して設けられた給電補助ピンとを備え、上記絶縁部材がエポキシ系接着剤、接着剤により給電孔内に接着固定されるエンジニアリングプラスチック、若しくは接着剤やロウ付けにより給電孔内に固着されるセラミックスで形成されたもの(特開平7-74,234号公報)や、サセプタ(金属基盤)の厚さ方向に貫通する給電スリットを形成し、この給電スリット内に給電シートを挿通させると共にサセプタの静電チャックシート載置面とその反対側面との間の連通を遮断する閉塞部材を充填したもの(特開平7-86,381号公報)等が提案されている。
【0006】
しかしながら、これら従来の静電チャックの電極構造は、そのいずれも、サセプタ(金属基盤)の静電チャックシート載置面とその反対側面との間を連通する貫通孔(給電孔又は給電スリット)内において、給電端子(給電シートや給電補助ピン)を接着剤等の手段で固着した構造を有するものであり、貫通孔内で給電端子がずれたり移動したりすることがなくて静電チャックシートに確実に給電できるという利点はあるものの、使用済み静電チャックの金属基盤を再利用する際に、この金属基盤から給電端子やこれら金属基盤と給電端子との間の絶縁部材を分離して除去する作業が極めて困難であり、実質的に金属基盤の再利用が不可能になる場合が多々生じるという問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明者らは、このような従来の静電チャックの電極構造における問題点を解決し、静電チャックにおける電極構造の組立・分解を容易に行うことができ、これによって使用済み静電チャックにおける金属基盤の再利用を容易に行うことができる静電チャックの電極構造について鋭意検討し、本発明を完成させた。
【0008】
従って、本発明の目的は、金属基盤の上面側に静電チャックシートを積層して形成された静電チャックにおいて、静電チャックシートに給電するための電極構造を容易に組立てることができ、また、分解して金属基盤から電極構造を取り外すことができる静電チャックの電極構造を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、金属基盤の上面側に静電チャックシートを積層して形成された静電チャックにおいて、上記金属基盤の上下面間を貫通する貫通孔と、この貫通孔内に配設され、金属基盤の下面側から供給された電力を上面側に積層された静電チャックシートに供給する給電端子と、電気絶縁性材料で形成されて上記貫通孔の内壁と給電端子との間を絶縁すると共に上記給電端子を保持する絶縁保持部材とで構成された静電チャックの電極構造であり、上記絶縁保持部材を貫通孔の内壁に着脱可能に取り付けた、静電チャックの電極構造である。
【0010】
本発明において、金属基盤の上下面間を貫通する貫通孔の内壁に絶縁保持部材を着脱可能に取り付けるための具体的な手段については、特に制限されるものではないが、好ましくは、下記の構成例を例示することができる。
【0011】
すなわち、第一の構成例としては、上記金属基盤を貫通する貫通孔には、その内壁略中間位置に、内方に向けて突出してこの貫通孔内を金属基盤の下面側に位置する受電側収容部と金属基盤の上面側に位置する給電側収容部とに区画するフランジ部が設けられており、また、給電端子は、上記受電側収容部内に配設されて外部電源に接続される受電部と、上記給電側収容部内に配設されて静電チャックシートに電力を供給する給電部と、これら受電部と給電部との間を電気的に接続する連結部とで構成されており、更に、絶縁保持部材は、上記給電端子の受電部を収容する下向開口凹部を有すると共にこの下向開口凹部に連通する連通孔を有し、上記貫通孔の受電側収容部内に収容される受電部保持体と、上記給電部を収容する上向開口凹部を有すると共にこの上向開口凹部に連通する連通孔を有し、上記貫通孔の給電側収容部内に収容される給電部保持体と、これら受電部保持体と給電部保持体との間を気密にシールするシール部材とで構成されており、上記受電部保持体及び給電部保持体の各連通孔内を貫通して上記給電端子を構成する受電部と給電部との間を連結する連結部により上記貫通孔内に給電端子と絶縁保持部材とを固定するようにした電極構造を挙げることができる。
【0012】
ここで、金属基盤の上下面間を貫通する貫通孔の横断面形状については、例えば円形、三角形、四角形、五角形以上の多角形等どのような形状であってもよいが、加工性の観点から好ましくは円形又は正四角形(正方形)であるのがよい。また、この貫通孔の内壁略中間位置に形成されてこの貫通孔内を受電側収容部と給電側収容部とに区画するフランジ部については、その全周に亘って突出寸法及び厚さ寸法を同じ大きさに形成するのがよい。
【0013】
また、上記受電部、給電部及び連結部で構成される給電端子は、その受電部又は給電部若しくはこれら受電部及び給電部には雌ねじ部が形成され、また、これら受電部と給電部との間を接続する連結部には上記受電部及び/又は給電部の雌ねじ部に螺合する雄ねじ部が形成され、組立時にはこの連結部の雄ねじ部を上記受電部及び/又は給電部の雌ねじ部に螺合して締結せしめ、また、分解時にはこの連結部の雄ねじ部と上記受電部及び/又は給電部の雌ねじ部との間の螺子結合を解いて分離できるようになっている。
【0014】
ここで、上記受電部、給電部及び連結部については、上記受電部保持体及び給電部保持体の各連通孔内に連結部を貫通せしめ、この連結部の雄ねじ部を上記受電部及び/又は給電部の雌ねじ部に螺合させることができればよく、例えば、受電部と連結部の基部とを一体に連結すると共に連結部の先端部には雄ねじ部を設けて頭付きボルト状に形成し、給電部には雌ねじ部を設けて袋ナット状に形成し、受電部及び連結部側か若しくは給電部側の何れかを回転させて連結部の雄ねじ部を給電部の雌ねじ部に螺合させるようにしてもよく、反対に、給電部と連結部の基部とを一体に連結すると共に連結部の先端部には雄ねじ部を設けて頭付きボルト状に形成し、受電部には雌ねじ部を設けて袋ナット状に形成し、給電部及び連結部側か若しくは受電部側の何れかを回転させて連結部の雄ねじ部を受電部の雌ねじ部に螺合させるようにしてもよく、また、受電部と給電部には互いに逆方向に切られた雌ねじ部を設けて袋ナット状に形成し、また、連結部の両端部には互いに逆方向に切られた雄ねじ部を設け、受電部及び/又は給電部を回転させてこれら受電部及び給電部と連結部との間を螺合させるようにしてもよい。
【0015】
更に、上記絶縁保持部材を構成する受電部保持体及び給電部保持体は、電気絶縁性を有する合成樹脂、セラミックス等の材質で形成され、また、好ましくは、その何れか一方又は双方に貫通孔のフランジ部が形成する空間部内に嵌合して互いに接近した位置で相対向する対向面を有する突出部を形成し、この突出部の対向面を利用してこれら受電部保持体と給電部保持体との間を気密にシールするシール部材を設けるのがよい。
【0016】
また、上記絶縁保持部材を構成するシール部材については、電気絶縁性を有すると共に所定の弾性を有する合成樹脂、ゴム等の材質で形成され、給電端子を構成する受電部と給電部との間を連結部で連結した際に上記受電部保持体と給電部保持体との間に加圧下に挟み込まれてこれら受電部保持体と給電部保持体との間を気密にシールするものであればよく、例えばO-リング、平パッキン等を例示することができる。
【0017】
この第一の構成例において、金属基盤の上下面間に差圧が生じるのを防止する必要がある場合には、好ましくは、外部電源と接続した給電ピン等を有し、この金属基盤を載置する支持台側と上記絶縁保持部材の受電部保持体との間及び上記絶縁保持部材の受電部保持体又は給電部保持体と上記給電端子を構成する受電部又は給電部との間にそれぞれ電気絶縁性及び弾性を有するO-リング等のシール部材を介装するのがよい。
また、絶縁保持部材を構成する受電部保持体及び給電部保持体と給電端子を構成する受電部及び給電部とは、これら受電部保持体と受電部及び/又は給電部保持体と給電部がそれぞれ別体に形成されていてもよいが、受電部保持体及び/又は給電部保持体を貫通孔の受電側収容部内及び/又は給電側収容部内に回転可能に配設することにより、受電部保持体と受電部及び/又は給電部保持体と給電部は受電部保持体及び/又は給電部保持体の成形時にインサート成形等の手段で受電部及び/又は給電部と一体に形成してもよい。
【0018】
このような第一の構成例に係る静電チャックの電極構造によれば、その組立時には、貫通孔内に絶縁保持部材を構成する受電部保持体、給電部保持体及びシール部材、及び給電端子を構成する受電部、給電部及び連結部をそれぞれ組み込み、上記連結部の雄ねじ部を受電部及び/又は給電部の雌ねじ部に螺合して締結せしめればよく、また、その分解時には上記連結部の雄ねじ部と受電部及び/又は給電部の雌ねじ部との間の螺子結合を解除し、貫通孔内から受電部、給電部及び連結部と、受電部保持体、給電部保持体及びシール部材とを取り外せばよい。
【0019】
また、第二の構成例としては、金属基盤を貫通する貫通孔は、横断面円形状に形成され、その内壁には金属基盤下面側及び金属基盤上面側の何れか一方側に雌ねじ部が形成されていると共に他方側に位置決め段差を有する係止部が形成されており、また、給電端子は上記金属基盤の上下面間を貫通する柱状体で形成されており、更に、絶縁保持部材は、その横断面外周形状が円形状であると共にその中空部内に上記給電端子が嵌着された筒状体で形成され、その外周壁の金属基盤下面側及び金属基盤上面側の何れか一方側に上記貫通孔の雌ねじ部に螺合する雄ねじ部が形成されていると共に他方側に上記貫通孔に形成した係止部の位置決め段差に係止する位置決め段差を有する頚部が形成されており、上記絶縁保持部材の雄ねじ部を貫通孔の雌ねじ部に螺合させて貫通孔内に給電端子と絶縁保持部材とを固定するようにした電極構造を挙げることができる。
【0020】
この第二の構成例において、柱状体で形成された給電端子と筒状体で形成された絶縁保持部材とは、絶縁保持部材の中空部内に給電端子が嵌合され固着されていればよく、給電端子の横断面形状については、例えば円形、三角形、四角形、五角形以上の多角形等どのような形状であってもよく、また、これら給電端子と絶縁保持部材とを嵌着する方法についても、これら給電端子と絶縁保持部材とをそれぞれ別個に形成し、絶縁保持部材の中空部内に給電端子を嵌合して接着剤等の手段で固着してもよいほか、給電端子を中子とするインサート成形により絶縁保持部材を成形することにより嵌着してもよい。
【0021】
なお、この第二の構成例においても、金属基盤の上下面間に差圧が生じるのを防止する必要がある場合には、好ましくは、外部電源と接続した給電ピン等を有し、この金属基盤を載置する支持台側と上記絶縁保持部材との間に電気絶縁性及び弾性を有するO-リング等のシール部材を介装するのがよい。
【0022】
この第二の構成例に係る静電チャックの電極構造によれば、その組立時には、中空部内に給電端子が嵌着された絶縁保持部材を、その雄ねじ部を貫通孔の雌ねじ部に螺合させてこの貫通孔内に嵌合し、貫通孔内の係止部に形成された位置決め段差と絶縁保持部材の頚部に形成された位置決め段差とを係止させて貫通孔内で絶縁保持部材を位置決めすればよく、また、その分解時には絶縁保持部材の雄ねじ部と貫通孔の雌ねじ部との間の螺子結合を解除し、貫通孔内から給電端子と共に絶縁保持部材を取り外せばよい。
【0023】
上記2つの構成例で説明した本発明における金属基盤は、その材質がアルミニウム又はアルミニウム合金からなり、その表面をアルマイト処理することでアルマイト膜を生成したアルミニウム製金属基盤を例示することができる。また、本発明における静電チャックシートは、上記金属基盤の上面に載置され、金属基盤と共に静電チャックを構成するものである。このような静電チャックシートとしては、ポリイミドフィルム等からなる第一絶縁層、銅箔等からなる電極層、及びポリイミドフィルム等からなる第二絶縁層が順次積層して形成されたような一般的な静電チャックシートを例示することができる。また、本発明に係る静電チャックシートは、本発明における給電端子から電力供給を受けることができるために、上記電極層の一部が露出するように、給電用抜き孔等を設ける必要がある。
【0024】
上記のような技術的手段によれば、金属基盤の上面側に静電チャックシートを積層して静電チャックを形成するにあたり、上記金属基盤の上下面間を貫通する貫通孔を設け、当該貫通孔内には、金属基盤の下面側から供給された電力を上面側に積層された静電チャックシートに供給する給電端子と、電気絶縁性材料で形成されて上記貫通孔の内壁と給電端子との間を絶縁すると共に上記給電端子を保持する絶縁保持部材を配設し、上記絶縁保持部材が貫通孔の内壁に着脱可能となるように取り付けられた静電チャックの電極構造を構成することにより、当該電極構造の組立・分解を容易に行うことができるため、使用済み静電チャックにおける金属基盤の再利用がコストを掛けずに容易に行うことができる。また、このような構成により組立てた静電チャックの電極構造によれば、金属基盤の上面側と下面側との連通を遮断することができるため、静電チャックに半導体ウエハ等の試料を保持させて真空中で処理する場合でも、金属基盤の貫通孔を介して大気が浸入し、金属基盤上面の静電チャックシートが気圧の差により上方に膨れ上がるような問題を生ずることもない。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に示す実施例に基づいて、本発明の好適な実施の形態を具体的に説明する。
実施例1
この実施例に係る静電チャックの電極構造は、図1に示したように、表面をアルマイト処理したアルミニウム製の金属基盤1の上面側に静電チャックシート2を積層して形成した静電チャック3におけるものであり、この電極構造は、上記金属基盤1の上下面間を貫通する貫通孔4と、この貫通孔4内に配設され、金属基盤1の下面側から供給された電力を上面側に積層された静電チャックシート2に供給する真ちゅう製の給電端子5と、ポリイミド樹脂であるべスペル(デュポン社製商品名)等の電気絶縁性材料で形成されて上記貫通孔4の内壁と給電端子5との間を絶縁すると共に上記給電端子5を保持する絶縁保持部材6とから構成されている。また、このような静電チャック3の電極構造において、上記絶縁保持部材6は貫通孔4の内壁に着脱可能に取り付けられている。
【0026】
この実施例に係る貫通孔4は、横断面形状が円形で形成されたものであり、その内壁略中間位置において内方に向けて突出し、貫通孔4の全周に亘って突出寸法及び厚さ寸法が同じ大きさに形成されたフランジ部4aが設けられ、このフランジ部4aが上記貫通孔4内を金属基盤1の下面側に位置する受電側収容部4bと、金属基盤1の上面側に位置する給電側収容部4cとに区画している。
【0027】
また、上記給電端子5は、金属基盤1の下面側に位置する高電圧直流源7から供給される電力を受け取る受電ボルト8と、上記給電側収容部4c内に配設されて静電チャックシート2に電力を供給する給電ナット9とから構成されている。上記受電ボルト8については、受電側収容部4b内に配設される受電部10と、雄ねじが設けられ、上記受電部10と給電ナット9とを電気的に接続する連結部11とから形成されており、この受電部10には、引っかけスパナ等の工具を使ってこの受電ボルト8の着脱を行うことができるように工具取り付け穴12が設けられている。また、上記給電ナット9については、静電チャックシート2に電力を供給するための突部13と、上記受電ボルト8と螺合する雌ねじ部14とを設けた袋ナット状に形成されている。尚、静電チャックシート2に電力を供給するための供給ポイントとなる上記突部13は、第一絶縁層2aとしてポリイミドフィルム、電極層2bとして電解銅箔、第二絶縁層2cとしてポリイミドフィルムとが貼り合わされて構成された静電チャックシート2における電極層2bと接合している。
【0028】
また、上記絶縁保持部材6は、貫通孔4内の受電側収容部4b内に収容される受電部保持体15と、給電側収容部4c内に収容される給電部保持体16、及びこれら受電部保持体14と給電部保持体15との間に介装されるO−リング17から構成されている。上記受電部保持体15については、受電ボルト8における受電部10を収容する下向開口凹部18と、この下向開口凹部18と連通し、上記受電ボルト8における連結部11が挿通される連通孔19と、貫通孔4のフランジ部4aが形成する空間部内に嵌合する突出部20が形成されている。上記給電部保持体16については、給電ナット9が収容される上向開口凹部21と、この上向開口凹部21と連通し、上記受電ボルト8における連結部11が挿通される連通孔22が形成されている。
【0029】
また、O−リング17については、上記受電部保持体15の突出部20と給電保持部材16との対向面を利用して、上記受電部保持体15と給電部保持体16との間を気密にシールするために介装される。尚、このO−リング17を介装するため、上記受電部保持体15の突出部20外周部には切込み溝23が設けられている。また、上記受電ボルト8における受電部10を下向開口凹部18に嵌合する際に、これら受電ボルト8と受電部保持体15との間を気密にシールするために、受電ボルト8の受電部10と受電部保持体15とが対向する面にリング溝25を形成して、このリング溝25にO−リング24が介装されている。
【0030】
この実施例においては、上記のように受電ボルト8における連結部11が、上記受電部保持体15及び給電部保持体16に形成された連通孔19及び連通孔22内を貫通し、上記給電端子5を構成する受電ボルト8と給電ナット9との間を連結して締結すれば、受電ボルト8と給電ナット9の間に位置する絶縁保持部材6の接触面が押圧され、金属基盤1の貫通孔4内に給電端子5と絶縁保持部材6とを確実に固定することができる。また、上記給電端子5の螺子結合を解除することにより、貫通孔4内から給電端子5と絶縁保持部材6とを取り外すことも可能である。すなわち、金属基盤1の貫通孔4内に配設した給電端子5と絶縁保持部材6の着脱を容易に行うことができる静電チャック3の電極構造とすることができる。
【0031】
上記のような電極構造を有した金属基盤1の上面には、熱可塑性ポリイミド系接着フィルム26としてボンディングシート(新日鐵化学社製商品名:エスパネックス)を介して静電チャックシート2が貼り付けられ、この静電チャックシート2の上面には被処理体である半導体ウエハ27が吸着保持される。また、金属基盤1は、高電圧直流源7からの電力を供給する給電ピン29が設けられた金属基盤支持台28と図示外のボルト等の締結部材により固定される。尚、上記給電ピン29付近が直流高電圧印加中に真空状態になると放電を起こす恐れがあるため、上記金属基盤支持台28と金属基盤1とを固定する際には、これらの間に隙間30を形成し、この隙間30には経路31を介して空気、ヘリウム、窒素等のガスを導入して大気圧状態にされる。また、この隙間30に導入したガスが外部に漏れないようにするために、絶縁保持部材6と金属基盤支持台28との間にはO−リング32が介装されて気密状態を保っている。
この実施例においては、静電チャックシート2上に吸着保持した半導体ウエハ27を処理するために静電チャックシート2側を真空状態にして、上記隙間30に空気、ヘリウム、窒素等のガスを導入した場合でも、隙間30に導入されたガスは、O−リング32により外部に漏れ出すことはなく、また、O−リング24によりガスが貫通孔4を抜けて金属基盤1上面側に抜けることはないため、静電チャックシート2が気圧の差により上方に膨れ上がるような問題を生ずることはない。
【0032】
次に、上記のように構成された実施例1に係る静電チャックの電極構造についての組立・分解手順を説明する。
先ず、フランジ部4aが形成する空間部内に上記受電部保持体15に形成した突出部20を嵌め込み、貫通孔4内の受電側収容部4bに受電部保持体15を嵌合する。次に、貫通孔4内の給電側収容部4cにおいて、先に位置決めした受電部保持体15に設けられた切込み溝23にO−リング17を配置し、給電部保持体16を嵌合する。次いで、この給電部保持体16の上向開口凹部21に、雌ねじ部14が給電部保持体16の連通孔22に向くようにして給電ナット9を嵌合する。次に、貫通孔4内の受電側収容部4bに収容した受電部保持体15の下向開口凹部18から受電ボルト8を差し込み、この受電ボルト8の連結部11を連通孔19及び連通孔22に挿通させ、この連結部11に設けた雄ねじを先に給電部保持体21に収容された給電ナット9の雌ねじ部14と螺合させる。この際、この受電ボルト8と受電部保持体15との間に形成されるリング溝25にO−リング24を配置する。そして、引っかけスパナを用いて受電ボルト8を締め込み、上記給電ナット9と受電ボルト8とを締結して給電端子5を一体に組み付ける。
【0033】
上記のようにすれば、金属基盤1の貫通孔4内に、給電端子5及び絶縁保持部材6が固定された静電チャック3の電極構造を容易に組立てることができる。また、このようにして組立てた電極構造を有した金属基盤1の上面側に静電チャックシート2を積層し、この金属基盤1を金属基盤支持台28に固定すれば、静電チャックシート2上に半導体ウエハ27を吸着保持させてプラズマエッチング等の処理を行うことができる。
【0034】
次に、半導体ウエハ27の処理後、金属基盤1の上面に貼り付けられた静電チャックシート2を剥がし取り、金属基盤支持台28から取り外した金属基盤1の電極構造の分解手順について説明する。
先ず、引っかけスパナを使用して貫通孔4内の受電側収容部4bに収容されている受電ボルト8を緩め、一体に組み付けられた給電ナット9から抜き取り、受電ボルト8を受電部保持体15から取り外す。次に、貫通孔4内の受電側収容部4bに嵌め込まれていた受電部保持体15をO−リング24と共に取り外し、更にO−リング17も取り外す。最後に、貫通孔4内の給電側収容部4cから給電ナット9と給電部保持体16を取り外せば、金属基盤1の貫通孔4から、給電端子5及び絶縁保持部材6を容易に分解して取り外すことができる。
【0035】
実施例2
この実施例に係る静電チャックの電極構造は、図3に示したように実施例1と同様に、金属基盤1の上面側に静電チャックシート2を積層して形成した静電チャック3におけるものであり、この電極構造は、上記金属基盤1の上下面間を貫通する貫通孔54と、この貫通孔54内に配設され、金属基盤1の下面側から供給された電力を上面側に積層された静電チャックシート2に供給する真ちゅう製の給電端子55と、ポリイミド樹脂であるベスペル(デュポン社製商品名)等の電気絶縁性材料で形成されて上記貫通孔54の内壁と給電端子55との間を絶縁すると共に上記給電端子55を保持する絶縁保持部材56とから構成されている。また、このような静電チャック3の電極構造において、上記絶縁保持部材56は貫通孔54の内壁に着脱可能に取り付けられている。
【0036】
上記貫通孔54は、横断面円形状に形成されており、その内壁については、金属基盤1の下面側に雌ねじ部57が形成されていると共に金属基盤1の上面側に位置決め段差を有する係止部58が形成されている。
【0037】
上記給電端子55は、金属基盤1の上下面間を貫通してその横断面が円形である円柱状で形成されている。また、この給電端子55については、静電チャックシート2に電力を供給するための突部59と、引っかけスパナ等の工具が使用できるように工具取り付け穴60が形成されている。尚、静電チャックシート2に電力を供給するための供給ポイントとなる上記突部59は、実施例1の場合と同様に静電チャックシート2を構成する電極層2bと接合している。
【0038】
また、上記絶縁保持部材56は、その横断面外周形状が円形状であって、中空部61を有した筒状体に形成されており、この中空部61内には上記給電端子55が嵌着されている。この絶縁保持部材56の外周壁については、金属基盤下面側には上記貫通孔54に形成された雌ねじ部57と螺合する雄ねじ部62が形成されており、上面側には上記貫通孔54に形成された係止部58の位置決め段差に係止する位置決め段差を有する頚部63が形成されている。すなわち、位置決め段差を介してこれら雄ねじ部62と頚部63とが隣接している。
【0039】
上記のように、絶縁保持部材56における中空部61に上記給電端子55を嵌合してエポキシ等の接着剤64により固着し、このような絶縁保持部材56の雄ねじ部62を貫通孔54の雌ねじ部57に螺合させることで、金属基盤1の貫通孔54内に給電端子55と絶縁保持部材56とを確実に固定することができる。また、上記貫通孔54の雌ねじ部57に螺合した絶縁保持部材56を緩めることで、貫通孔54内から給電端子55を含んだ絶縁保持部材56を取り外すことも可能である。すなわち、金属基盤1の貫通孔54内に配設した絶縁保持部材56の着脱を容易に行うことができる静電チャック3の電極構造とすることができる。
【0040】
上記のような電極構造を有した金属基盤1は、実施例1と同様にしてその上面に静電チャックシート2が積層され、図示外のボルト等の締結部材により金属基盤支持台28と固定され、また、上記静電チャックシート2の上面には被処理体である半導体ウエハ27が吸着保持される。
この実施例においては、静電チャックシート2上に吸着保持した半導体ウエハ27を処理するために静電チャックシート2側を真空状態にして、隙間30に窒素ガスを導入した場合でも、隙間30に導入されたガスは、O−リング32により外部に漏れ出すことはなく、また、絶縁保持部材56の中空部61には給電端子55が接着剤64により嵌着されているためガスが貫通孔4を抜けて金属基盤1上面側に抜けることはなく、静電チャックシート2が気圧の差により上方に膨れ上がるような問題を生ずることはない。
【0041】
次に、上記のように構成された実施例2に係る静電チャックの電極構造の組立・分解手順を説明する。
先ず、絶縁保持部材56の中空部61には、接着剤64としてスリーボンド社製2210を使用し、給電端子55を嵌合して固着させた。接着剤64が十分に固化した後、給電端子55に設けられた工具取り付け穴60を利用し、引っかけスパナを用いて給電端子55を嵌着した絶縁保持部材56の雄ねじ部62を貫通孔54の雌ねじ部57に螺合させる。この際、上記絶縁保持部材56は、貫通孔54内の係止部58に対し、頚部63に形成された位置決め段差を係止させ、貫通孔54内に絶縁保持部材56を固定した。このようにすれば、金属基盤1の貫通孔54内に給電端子55及び絶縁保持部材56が固定された静電チャック3の電極構造を容易に組立てることができる。また、このようにして組立てた電極構造を有した金属基盤1の上面側に静電チャックシート2を積層し、この金属基盤1を金属基盤支持台28に固定すれば、静電チャックシート2上に半導体ウエハ27を吸着保持させてプラズマCVD等の処理を行うことができる。
【0042】
次に、半導体ウエハ27の処理後、金属基盤1の上面に貼り付けられた静電チャックシート2を剥がし取り、金属基盤支持台28より取り外した金属基盤1の電極構造の分解手順について説明する。
給電端子55の工具取り付け穴60を利用して引っかけスパナにより、給電端子55が嵌着された絶縁保持部材56を緩めて、この絶縁保持部材56の雄ねじ部62と貫通孔54の雌ねじ部57との間の螺子結合を解除することにより、容易に貫通孔54内から給電端子55と共に絶縁保持部材56を取り外すことができる。
【0043】
【発明の効果】
本発明における静電チャックの電極構造によれば、金属基盤の貫通孔内に給電端子や絶縁保持部材を容易に組立てることができ、また、これら給電端子や絶縁保持部材について、金属基盤の貫通孔内より取り外す作業が極めて容易に行えるため、使用済み静電チャックにおける金属基盤の再利用を実質的にも可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明に係る静電チャックの電極構造を使用した静電チャックと金属基盤支持台を示す断面図である。
【図2】 図2は、図1に係る静電チャックの底面図である。
【図3】 図3は、本発明に係る静電チャックの電極構造を使用した静電チャックと金属基盤支持台を示す断面図である。
【符号の説明】
1…金属基盤、2…静電チャックシート、2a…第一絶縁層(ポリイミドフィルム)、2b…電極層(電解銅箔)、2c…第二絶縁層(ポリイミドフィルム)、3…静電チャック、4…貫通孔、4a…フランジ部、4b…受電側収容部、4c…給電側収容部、5…給電端子、6…絶縁保持部材、7…高電圧直流源、8…受電ボルト、9…給電ナット、10…受電部、11…連結部、12…工具取り付け穴、13…突部、14…雌ねじ部、15…受電部保持体、16…給電部保持体、17…O−リング、18…下向開口凹部、19…連通孔、20…突出部、21…上向開口凹部、22…連通孔、23…切込み溝、24…O−リング、25…リング溝、26…熱可塑性ポリイミド系接着フィルム(ボンディングシート)、27…半導体ウエハ、28…金属基盤支持台、29…給電ピン、30…隙間、31…経路、32…O−リング、54…貫通孔、55…給電端子、56…絶縁保持部材、57…雌ねじ部、58…係止部、59…突部、60…工具取り付け穴、61…中空部、62…雄ねじ部、63…頚部、64…接着剤。
Claims (1)
- 金属基盤の上面側に静電チャックシートを積層して形成された静電チャックにおいて、上記金属基盤の上下面間を貫通する貫通孔と、この貫通孔内に配設され、金属基盤の下面側から供給された電力を上面側に積層された静電チャックシートに供給する給電端子と、電気絶縁性材料で形成されて上記貫通孔の内壁と給電端子との間を絶縁すると共に上記給電端子を保持する絶縁保持部材とで構成された静電チャックの電極構造であり、
金属基盤を貫通する貫通孔には、その内壁略中間位置に、内方に向けて突出してこの貫通孔内を金属基盤の下面側に位置する受電側収容部と金属基盤の上面側に位置する給電側収容部とに区画するフランジ部が設けられており、
また、給電端子は、上記受電側収容部内に配設されて外部電源に接続される受電部と、上記給電側収容部内に配設されて静電チャックシートに電力を供給する給電部と、これら受電部と給電部との間を電気的に接続する連結部とで構成され、尚且つ、受電部と連結部とが一体に形成されると共に連結部の先端には雄ねじ部が設けられて、給電部には上記雄ねじ部に螺合する雌ねじ部が設けられており、又は給電部と連結部とが一体に形成されると共に連結部の先端には雄ねじ部が設けられて、受電部には上記雄ねじ部に螺合する雌ねじ部が設けられており、もしくは受電部と給電部には互いに逆方向に切られた雌ねじ部が設けられて、連結部の両端には互いに逆方向に切られた雄ねじ部が設けられており、
更に、絶縁保持部材は、上記給電端子の受電部を収容する下向開口凹部を有すると共にこの下向開口凹部に連通する連通孔を有し、上記貫通孔の受電側収容部内に収容される受電部保持体と、上記給電部を収容する上向開口凹部を有すると共にこの上向開口凹部に連通する連通孔を有し、上記貫通孔の給電側収容部内に収容される給電部保持体と、これら受電部保持体と給電部保持体との間を気密にシールするシール部材とで構成されており、
上記雌ねじ部と雄ねじ部とを締結することで、上記受電部保持体及び給電部保持体の各連通孔内を貫通して上記給電端子を構成する受電部と給電部との間を連結する連結部により上記貫通孔内に給電端子と絶縁保持部材とを固定し、上記絶縁保持部材を貫通孔の内壁に着脱可能に取り付けたことを特徴とする静電チャックの電極構造。
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