JP4280296B2 - インクジェット記録用紙 - Google Patents
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一方、現在では、従来の主流であった着色剤を使用した染料インクのみではなく、耐水性や耐光性に優れた着色顔料を分散した顔料インクも使用されるため、着色剤の浸透性が高い染料インクと着色顔料が表面に留まりやすい顔料インクとの双方に対応したインクジェット記録用紙が要求されている。
これらの要求に対応すべく、特許文献1では、ゲル化キャスト法を用いて、インクジェット記録で染料インク及び顔料インクのいずれを使用した場合においても印字濃度が高く、かつ印字ムラがなく、更に、塗工層に柔軟性があり、加工適性にも優れた高白色度を持つインクジェット記録用紙の製造方法が開示されている。
他方で、銀塩写真と同様にインクジェット記録用紙においても、長期保存による退色(色あせ)が問題となっており、退色を防止したインクジェット記録用紙の需要がある。しかしながら、特許文献1では、この退色に対する耐性が十分でなかった。
〔請求項1記載の発明〕
基材の一方又は双方の表面上に、インク受容層と、このインク受容層上に形成された光沢層とを有するインクジェット記録用紙であって、
前記光沢層が顔料、カチオン性化合物、アクリル系共重合ポリマー、バインダー及び保水剤を含有する塗工液による塗工により形成され、
前記塗工液が、前記顔料100質量部に対し、前記カチオン性化合物が5〜15質量部、アクリル系共重合ポリマーが3〜15質量部、並びにバインダーが5〜50質量部含有するように調製され、
前記保水剤がアルデヒド変性ヒドロキシエチルセルロースである、
ことを特徴とするインクジェット記録用紙。
前記カチオン性化合物がDADMAC系の化合物である、請求項1記載のインクジェット記録用紙。
前記アクリル系共重合ポリマーがスチレン−アクリル共重合ポリマーである、請求項1又は請求項2記載のインクジェット記録用紙。
前記光沢層上に最表層が設けられ、この最表層がジアミン系化合物とヒドラジド誘導体とを含有し、このヒドラジド誘導体がヒドラジド誘導体とアクリルアミドとの共重合体である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙。
前記バインダーがアセトアセチル化ポリビニルアルコールである、請求項1〜4のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙。
本実施の形態のインクジェット記録用紙は、基材の一方又は双方の表面上に、1層又は2層、3層、4層若しくはそれ以上の複数層のインク受容層と、このインク受容層上に形成された光沢層とを有する。
基材は、その原料が特に限定されず、例えば、パルプを用いることができる。このパルプの種類も特に限定されず、例えば、針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP)や針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹未晒クラフトパルプ(LUKP)や広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)等の化学パルプ;サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、リファイナーメカニカルパルプ(RMP)、リファイナーグランドパルプ(RGP)、ケミグランドパルプ(CGP)、サーモグランドパルプ(TGP)、砕木パルプ(GP)、ストーングランドパルプ(SGP)、加圧ストーングランドパルプ(PGW)等の機械パルプ;デインキングパルプ(DIP)、ウェストパルプ(WP)等の化学パルプや機械パルプ由来の古紙パルプ等が挙げられ、これらの中から1種又は2種以上を選択して用いることができる。これらのうち、白色度、平滑性向上の点から、LBKPを原料パルプ全量の80〜100質量%用いることが好ましい。
基材の一方又は双方の表面上には、インクを吸収して乾燥させるため、顔料及びバインダーを含むインク受容層を設ける。このインク受容層は、1層に限定されず、例えば、2層、3層、4層又はそれ以上の複数層とすることができる。
インク受容層の上には、顔料及びバインダーを含む光沢層を設け、この光沢層がカチオン性化合物とアクリル系共重合ポリマーとを含有することが必須である。
本形態では、光沢層上に、この光沢層をゲル化させることを目的として最表層を塗工形成するのが好ましい。最表層の塗工液(凝固液)は、光沢層中のバインダーを架橋反応させるため、架橋剤を含有させる。この架橋剤は特に限定されず、例えば、ホウ素化合物、エポキシ化合物、グリシジル化合物、ジルコニウム化合物、アルミニウム化合物、クロム化合物等が挙げられ、なかでも、ゲル化反応が早いホウ素化合物が好ましい。
インク受容層、光沢層、及び、最表層の塗工液の塗布方法は特に限定されず、例えば、エアーナイフコーター、ロールコーター、バーコーター、コンマコーター、ブレードコーター等の公知の塗工機を用いて塗工することができる。
1.基材
〔実施例1〜45、比較例1〜3〕
原料として広葉樹晒クラフトパルプ100%のパルプを使用し、フリーネスを370mlとした。紙力剤、サイズ剤を絶乾パルプ1tに対してそれぞれ有効成分基準で5kgずつ内添し、填料としてタルクを灰分3.0質量%となるよう内添した。長網抄紙機で抄造・乾燥後、サイズプレスを用いて酸化澱粉を乾燥質量3.0g/m2となるよう塗工し、米坪157g/m2の基材を得た。
〔実施例1〜45、比較例1〜3〕
非晶質シリカ(グレース社製、品番:ED5)100質量部に対して、バインダーとしてスチレン−アクリル酸共重合樹脂(日本NSC社製、品番:KE35)30質量部を含む塗工液を調製し、これを、前記基材の表面に、乾燥質量10g/m2となるよう塗工した。なお、各部数は有効成分基準の数字である(以下も同様。)。
〔実施例1〜31〕
気相法シリカ(日本アエロジル社製、品番:アエロジル300)100質量部に対して、カチオン性化合物としてDADMAC系化合物(センカ株式会社製、品番:CP102)、アクリル系共重合ポリマーとしてスチレン−アクリル共重合ポリマー(星光PMC株式会社製、品番:CT−100)、バインダーとしてアセトアセチル化ポリビニルアルコール(日本合成化学社製、品番:ゴーセファイマーZ410、ケン化度99%、重合度2100)、及び、保水剤としてアルデヒド変性ヒドロキシエチルセルロース(三昌社製、品番:SANHEC−HH)を添加した塗工液を調製し、これを、前記インク受容層の塗工・乾燥後の表面に、光沢層として、乾燥質量10g/m2となるよう塗工した。
さらに、ホウ砂(SVM社製)、ジアミン系化合物(三菱ガス化学社製、品番:1,3BAC、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン)、及び、ヒドラジド誘導体(大塚化学社製、品番:APAP250、ヒドラジド誘導体とアミノポリアクリルアミド、ヒドラジン当量164)を含有し、ホウ砂に対する架橋剤(ジアミン系化合物及びヒドラジド誘導体)の比率は1:3(質量比)の割合とし、ジアミン系化合物:ヒドラジド誘導体の比率は表1記載のとおりとした塗工液を調製し、これを光沢層上に乾燥質量1g/m2となるよう塗工し、ゲル化キャスト法により鏡面仕上げを行った。
カチオン性化合物として、ポリアリルアミン系化合物(日東紡績株式会社製、品番:PAA−HCI3L)、又は、ポリウレタン系化合物(日華化学株式会社製、品番:ネオフィックスIJ−150)を使用した以外は、実施例1と同様に調製した。
アクリル系ポリマーとして、ウレタン系ポリマー(第一工業製薬株式会社製、品番:スーパーフレックス300)、又は、エチレン−酢酸ビニル共重合ポリマー(株式会社クラレ製、品番:OM−5010)を使用した以外は、実施例1と同様に調製した。
バインダーとして、ポリビニルアルコール(株式会社クラレ製、品番:ポバールPVA110)を使用した以外は、実施例1と同様に調製した。
保水剤として、カルボキシルメチルセルロース(ダイセル化学社製、品番:CMC)、ポリアクリル酸系(サンノプコ社製、品番:SNシックナー926)、ポリウレタン系(サンノプコ社製、品番:SNシックナー625N)、又は、ポリアクリルアミド系(サンノプコ社製、品番:SN−4X4027)を使用した以外は、実施例1と同様に調製した。
バインダー及び保水剤を無配合とした以外は、実施例1と同様に調製した。
ジアミン系化合物として、ガスカミン328(三菱ガス化学社製、品番:ガスカミン328、メタキシレンジアミンとエピクロルヒドリンの重縮合物)、又は、スミマールM−30W(住友化学社製、メチロール化メラミン)を使用し、ヒドラジド誘導体(アジピン酸ジヒドラジド、大塚化学(株)製、品番:ADH)を使用した以外は、実施例1と同様に調製した。
ジアミン系化合物、ヒドラジド誘導体を使用せず、ホウ砂のみを使用した以外は、実施例1と同様に調製した。
アクリル系ポリマーを無配合とした以外は、実施例1と同様に調整した。
カチオン性化合物を無配合とした以外は、実施例1と同様に調整した。
アクリル系ポリマー及びカチオン性化合物を無配合とした以外は、実施例1と同様に調整した。
上記によって製造したインクジェット記録用紙について、以下のとおり測定・評価を行った。結果は表1に示した。染料インク適性を測定、評価するにあたっては、エプソン社製のインクジェットプリンタ(品番:PM−G730)および純正インキ(品番:IC6CL32)を使用した。また、顔料インク適性を測定、評価するにあたっては、エプソン社製のインクジェットプリンタ(品番:PX−G930)および純正インキ(IC8CL33)を使用した。
ベタ印字部分について、インク濃度ムラの有無を下記基準で目視評価した。
◎:インク濃度のムラは見られず、鮮明な印面であった。
〇:インク濃度ムラがほとんどなく、均一な印面であった。
△:インク濃度ムラが若干見られ、不均一な印面であった。
×:インク濃度ムラが見られ、不鮮明な印面であった。
ベタ印字部分について、印字濃度を下記基準で目視評価した。
◎:インクの沈みがなく、高い印字濃度が得られた。
〇:インク沈みはないが、印字濃度がやや劣った。
△:インク沈みが見られ、印字濃度が低かった。
×:インクの沈みにより、印字濃度が大幅に低かった。
印刷後サンプルについて、退色性を測定した。
JIS X 9201(S6)に準拠した画像を印刷した印刷試験体を、スガ試験機社製、FAL−3を用いて、波長340nmのキセノン光を35℃で、照射強度450W/m2で24時間照射した。照射前後のL値、a値、b値を、カラーアナライザー(型番:MS−2020PLUS、マクベスグレタグ社製、測定条件はUVIN(紫外線を含む)、SCI(反射光を含む)、C光源、視野角2°)にて測定し、照射前後のL値、a値、b値の差、ΔL、Δa、Δbを算出し、次の式に従ってΔE値を算出した。
ΔE=(ΔL2+Δa2+Δb2)1/2
墨色(K)、藍色(C)、紅色(M)、黄色(Y)印刷部のΔE値を合計したΔE合計値を耐退色性の指標とした。ΔE合計値が小さくなるほど耐退色性に優れていることを示す。
エプソン社製のインクジェットプリンタ、品番:PM−G730を使用して印刷した印刷試験体において、用紙表面の傷の発生程度を下記基準で目視評価した。
◎:傷入りがなく、高い表面強度が得られた。
〇:傷入りが若干認められたが、十分な表面強度が得られた。
△:傷入りがあり、表面強度が劣った。
×:傷入りが多くあり、表面強度が最低レベルであった。
JIS P 8148「紙,板紙及びパルプ−ISO白色度(拡散青色光反射率)の測定方法」に基づいて、印刷前の塗工面について測定した。
JIS P−8142「紙及び板紙−75度鏡面光沢度の測定方法」に基づいて、印刷前の塗工面について測定した。
表1の結果から、実施例1〜45では、染料インク・顔料インクのいずれを用いた場合でも印字濃度が高く、印字ムラや退色性が低く、表面強度が強いインクジェット記録用紙が得られたことが分かる。また、ISO白色度、光沢度も良好であった。
光沢層にカチオン性化合物及び/又はアクリル系共重合ポリマーを含有しなかった比較例1〜3では、上記のような良好な結果を得ることはできなかった。
Claims (5)
- 基材の一方又は双方の表面上に、インク受容層と、このインク受容層上に形成された光沢層とを有するインクジェット記録用紙であって、
前記光沢層が顔料、カチオン性化合物、アクリル系共重合ポリマー、バインダー及び保水剤を含有する塗工液による塗工により形成され、
前記塗工液が、前記顔料100質量部に対し、前記カチオン性化合物が5〜15質量部、アクリル系共重合ポリマーが3〜15質量部、並びにバインダーが5〜50質量部含有するように調製され、
前記保水剤がアルデヒド変性ヒドロキシエチルセルロースである、
ことを特徴とするインクジェット記録用紙。 - 前記カチオン性化合物がDADMAC系の化合物である、請求項1記載のインクジェット記録用紙。
- 前記アクリル系共重合ポリマーがスチレン−アクリル共重合ポリマーである、請求項1又は請求項2記載のインクジェット記録用紙。
- 前記光沢層上に最表層が設けられ、この最表層がジアミン系化合物とヒドラジド誘導体とを含有し、このヒドラジド誘導体がヒドラジド誘導体とアクリルアミドとの共重合体である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙。
- 前記バインダーがアセトアセチル化ポリビニルアルコールである、請求項1〜4のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙。
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