ところで、上記引戸装置では、係合凹部107と突起状の係合部108との係合により昇降体103が出没するものであるから、部品に寸法精度が求められると共に、係合部108が損傷すると、昇降体103が昇降せず、引戸105を開閉できなくなる問題がある。また、レール受枠101と昇降体103との隙間からレール受枠101内にごみが侵入すると、これを除去する作業が煩雑であり、さらに、レール受枠101内にごみが溜ると、昇降体103の動作不慮を起こす虞もある。また、特許文献2のものもリンク機構により長尺アングル部材が出没するから同様な問題が予想される。
そこで、サッシ下枠に、吊戸下端の挿入板を差し込む凹部を形成し、この凹部の底部に水抜孔を開穿(例えば特許文献3)したサッシ下枠構造が提案され、また、本件発明者は、レール受枠の中央には長さ方向全長に細溝部が形成され、引戸の下枠には、ステンレス製のレール板を下方に垂設しており、下枠には、前記細溝部と下部とを連通する水抜き孔を穿設すると共に、この水抜き孔に対応して底枠の下部にステンレス製の水抜きパイプを設けた引戸装置(例えば特許文献4)を提案している。
上記のようなレール板と細溝部を設けた引戸装置では、溝が細いほど靴などが嵌る虞が少なくなり、好ましいものとなる。また、引戸装置は出入り口に設けられるものであるから、細溝部にゴミや雨水が浸入する。このため、ゴミが溜まり易く、そのゴミを取り難くなる面がある。
また、細溝部の底部から水を排出するため、水抜き孔を穿設しているが、大きな水抜き孔を設けることができないと共に、細溝部自体が狭いため、排水性にお取り、一度に多量の雨水などが浸入すると、水抜き孔からの排水では間に合わず、水が溝部の上部に溢れる虞もある。
そこで、本発明は、構造簡易で、固定下枠に凹凸がなく、掃除が容易で、排水性に優れたごみ取り具を備えた引戸装置を提供することを目的とする。
請求項1のごみ取り具を備えた引戸装置は、固定下枠に沿って引戸を開閉可能に設け、前記固定下枠に案内溝を形成し、この案内溝に挿入するレール板を前記引戸に設けた引戸装置において、前記固定下枠には前記案内溝の下部に該案内溝より幅の広い幅広部を設け、この幅広部の底部に水抜き孔を設けたものである。
この請求項1の構成によれば、案内溝はごみの侵入や歩行時の邪魔にならないように細くすることが好ましく、案内溝を細くすると毛細管現象により排水がスムーズに行われず、一度に多量の水が流れ込むと水が溢れる虞があるが、案内溝の下部に幅広部を設けることにより、案内溝に流れ込んだ水は抵抗なく、幅広部の底部に流れ、水抜き孔より排水することが可能となる。
また、請求項2の引戸装置は、前記固定下枠は、前記案内溝の両側に位置する案内板部と、これら両側の案内板部の下端を連結し前記幅広部を形成する幅広形成枠板部とを備えるものである。
この請求項2の構成によれば、両側の案内板部を幅広形成枠板部により連結した枠体構造をなすため、通行などにより固定下枠の上面に荷重が加わっても、細い案内溝を有する固定下枠が変形することなく、構造上、高い強度を得ることができる。
また、請求項1の引戸装置は、前記固定下枠には、前記案内溝に該案内溝より幅広で前記幅広部に連通するごみ取り用の幅広溝を設けたものである。
この請求項1の構成によれば、幅広溝からごみ取り具を挿入して幅広部のごみを掻き出すことができる。
また、請求項1の引戸装置は、前記幅広溝に着脱可能に設ける蓋体を備えるものである。
この請求項1の構成によれば、ごみを取る際に蓋体を外し、常時は蓋体により幅広溝を塞いで使用する。
また、請求項1の引戸装置は、前記蓋体には、ごみ取り具に係合する係合部を設け、前記ごみ取り具は前記幅広部に挿入する幅広部挿入部を有するものである。
この請求項1の構成によれば、他の道具を用いずに、幅広部内のごみを取るごみ取り具により、蓋体の取り外しを行うことができる。
また、請求項3の引戸装置は、断面略L型の長尺部材を形成し、この長尺部材の一片により前記レール板を構成し、固定手段により他片を前記引戸に固定し、前記他片に前記固定手段を挿通する取付孔を設け、この取付孔は前記一片の反対側の縁に開口するものである。
この請求項3の構成によれば、引戸の吊設後でも、固定手段を引戸に仮止めし、開口した側から取付孔に固定手段を挿通し、固定手段により他片を引戸に固定することができる。
請求項1の引戸装置は、固定下枠に沿って引戸を開閉可能に設け、前記固定下枠に案内溝を形成し、この案内溝に挿入するレール板を前記引戸に設けた引戸装置において、前記固定下枠には前記案内溝の下部に該案内溝より幅の広い幅広部を設け、この幅広部の底部に水抜き孔を設けたものであり、固定下枠に凹凸がなく、掃除が容易で、排水性に優れた引戸装置を提供できる。
また、請求項2の引戸装置は、前記固定下枠は、前記案内溝の両側に位置する案内板部と、これら両側の案内板部の下端を連結し前記幅広部を形成する幅広形成枠板部とを備えるものであり、固定下枠に凹凸がなく、掃除が容易で、排水性に優れた引戸装置を提供できる。
また、請求項1の引戸装置は、前記固定下枠には、前記案内溝に該案内溝より幅広で前記幅広部に連通するごみ取り用の幅広溝を設けたものであり、固定下枠に凹凸がなく、掃除が容易で、排水性に優れた引戸装置を提供できる。
また、請求項1の引戸装置は、前記幅広溝に着脱可能に設ける蓋体を備えるものであり、固定下枠に凹凸がなく、掃除が容易で、排水性に優れた引戸装置を提供できる。
また、請求項1の引戸装置は、前記蓋体には、ごみ取り具に係合する係合部を設け、前記ごみ取り具は前記幅広部に挿入する幅広部挿入部を有するものであり、固定下枠に凹凸がなく、掃除が容易で、排水性に優れた引戸装置を提供できる。
また、請求項3の引戸装置は、断面略L型の長尺部材を形成し、この長尺部材の一片により前記レール板を構成し、固定手段により他片を前記引戸に固定し、前記他片に前記固定手段を挿通する取付孔を設け、この取付孔は前記一片の反対側の縁に開口するものであり、固定下枠に凹凸がなく、掃除が容易で、排水性に優れた引戸装置を提供できる。
以下、本発明の実施形態を、添付図面を参照して説明する。図1〜図14発明の第1実施形態を示し、本発明を両開き式の自動ドアに適用した例であり、固定枠体1は、図示しない構造物に建込み装着され、上枠1Uと固定下枠1Dとを有する。また、図13及び図14に示すように、引戸2は、上枠2Uと下枠2Dとこれらの長さ方向両側の竪枠2L,2Rとからなり、図示しないセンサーにより人を検知すると、図示しない電動開閉駆動装置により左右の引戸2,2が中央から外側に開く両開き式のものである。そして、前記各枠1U,1D,2U,2D,2L,2Rはアルミの押し出し成型品や鋼製品等により形成される。前記上枠1U内には、幅方向左右にレール4,4が該上枠1Uの長さ方向全長に設けられ、それらレール4,4に吊車5,5が移動可能に乗架され、この吊車5が連結部材6を介して前記上枠2Uに連結されている。また、前記引戸2の下枠2Dは錠7を内蔵し、この錠7は露出した操作部8を操作することにより、下面からストッパ9が出没するものである。
図1及び図2等に示すように、前記下枠2Dの下面には長尺部材11が設けられ、この長尺部材11はステンレス製の山型鋼等からなる。前記長尺部材11は断面略L型で一片11Aがレール板12を構成し、他片11Bをビス等の固定手段13により前記下枠2Dに取付固定し、他片11Bを横向き、一片11Aを縦向きとする。そして、一片11Aと他片11Bがほぼ直交方向をなす。また、他片11Bの幅は下枠2Dの下面の幅より狭く形成されている。また、他片11Bには前記ストッパ9に対応してストッパ挿通部14を開設している。さらに、前記レール板12の長さ方向端部には、掻上げ部15が設けられ、この掻上げ部15は前記レール板12の長さ方向端部に彎曲状の凹部15Aを形成し、その下端に突出した先端部15Bを設けてなる。尚、図2に示すように、レール板12の両端に掻上げ部15を設けており、レール板12は引戸2の長さとほぼ同じ長さを有する。また、図2中、16は固定手段13を挿通する透孔であり、前記固定手段13はビスなどの固定解除可能なものであるから、掃除や交換などの際には、固定手段であるビスを緩めて引戸2から長尺部材11を取り外すこともできる。尚、前記レール板12の両面には、該レール板12より摩擦係数の小さい低摩擦材12Aが設けられ、低摩擦材12Aとしては樹脂シートなどが例示され、シート状の低摩擦材12Aを貼設する。
図1等に示すように、前記固定下枠1Dは、ステンレス製で上部が開口したコ字形の底枠20と、ステンレス製からなる固定枠体21とからなる。前記固定枠体21は、ステンレス板を曲げ加工して形成され、前記レール板12を挿入する案内溝22と、この案内溝22の下部に連通して設けられ該案内溝22より幅の広い幅広部23と、ほぼ平坦な上面部24と、前記幅広部23の底部に設けられた水抜き孔25とを備える。この水抜き孔25は幅広部23の幅より大きく、この例では水抜き孔25の直径あるいは幅方向寸法は前記幅広部23の底部とほぼ等しく、少なくとも前記案内溝22の幅より直径あるいは幅方向寸法が大きい。前記幅広部23の案内溝22に連通する部分の高さは、案内溝22の幅より広い。尚、幅広部23の案内溝22に連通する部分の高さとは、左右の案内板部32,33の高さの差である。また、その水抜き孔25の下部に水抜きパイプ26を接続している。前記底枠20は固定枠体21より短く、複数設けられている。また、前記上板部31には前記ストッパ9に対応してストッパ挿通部27を開設している。
前記固定枠体21は、前記上面部24を形成する左右の上面板部30,31と、前記案内溝22を形成する左右の案内板部32,33とを備え、図中右側の案内板部32は前記幅広部23の底部まで延び、図中左側の案内板部32は幅広部23の上部まで延び、それら案内板部32の下端を幅広形成枠板部34により連結している。この幅広枠形成枠板部34は、前記案内板部32の下端に連結された底板部35と、前記案内板部33の下端に連結された上板部36とを縦方向の連結板部37により連結し、ほぼコ字状をなす。また、前記上面板部30,31の端部にはそれぞれ垂設板部38を備え、これら垂設板部38,38が前記底枠20の上端に外嵌する。そして、前記上面部24が床面Yとほぼ面一になるように前記底枠20が設けられる。
図9に示すように、前記固定枠体21は二つに分割された左右の分割体41,42からなり、それぞれステンレス板などの金属板を折り曲げ形成してなり、左の分割体41は、右側の前記垂設板部28と上面板部30との間をほぼ垂直に折り曲げた折り曲げ部Mを設け、その上面板部30と案内板部32との間をほぼ垂直に折り曲げた折り曲げ部Mを設け、その案内板部32と底板部形成部35Aとの間をほぼ垂直に折り曲げた折り曲げ部Mを設け、底板部形成部35Aと立上り板部35Tの間をほぼ垂直に折り曲げた折り曲げ部Mを設け、一方、右の分割体42は、左側の前記垂設板部28と上面板部31との間をほぼ垂直に折り曲げた折り曲げ部Mを設け、その上面板部31と案内板部33との間をほぼ垂直に折り曲げた折り曲げ部Mを設け、その案内板部33と連結板部37との間をほぼ垂直に折り曲げた折り曲げ部Mを設け、その連結板部37と底板部形成部35Bとの間をほぼ垂直に折り曲げた折り曲げ部Mを設け、前記底板部形成部35A,35Bを重ね合わせると共に、両者を溶着などすることにより一体化して前記底板部35を形成し、さらに、連結板部37の外面に立上り板部35Tを重ね合わせて、必要に応じて両者を溶着などにより一体化している。
したがって、固定枠体21を構成する左の分割体41は、案内板部32と底板部形成部35Aと立上り板部35Tが上向きに開口したコ字枠状をなすため、強度の向上が図れると共に、それらに囲まれた幅広部23の止水性の向上を図ることができる。
前記固定枠体21の長さ方向端部には挿入溝51が設けられ、この挿入溝51は、前記案内溝22と幅広溝52とにより構成され、案内溝22と幅広溝52とを合わせた幅が前記幅広部23とほぼ同一幅に形成され、前記幅広溝52の長さ方向端部には閉塞板部53を設けて幅広溝52の上下で水密性を確保している。
尚、前記レール板12の厚さは1.5ミリ程度で、前記案内溝220の幅は5ミリ程度であり、その案内溝22の幅を10ミリ以下とし、レール板12の厚さの2倍程度、好ましくは3〜6ミリ程度とする。また、前記幅広部23の幅は15程度であり、案内溝22の幅の2〜3倍程度、好ましくは10〜20ミリとする。
図2,図6及び図8などに示すように、55は、前記ストッパ挿通部14,27に連通して設けられる鍵受けであって、底板部56の長さ方向両側に側板部57,57を備え、これら側板部57,57の上部が前記他片11Bの下面に固着され、前記底板部56が前記上板部36の上に載置され、さらに、鍵受け55の幅方向左側は前記案内板部33により塞がれ、該鍵受け55の幅方向右側は閉塞板部58により閉塞されている。そして、前記側板部57,57が前記ストッパ挿通部27の長さ方向両側に設けられる。また、固定枠体21の長さ方向端部は、閉塞板部39により塞がれており、この閉塞板部39により前記案内溝22及び幅広部23の長さ方向端部における水密性を確保している。
前記挿入溝51には、蓋体61が上下方向着脱可能に設けられ、この蓋体61の下部62は前記幅広部23に対応した幅を有し、上部63は前記幅広溝52に対応した幅を有し、取付状態で、上部63の側面63Aは前記案内板部33に連続し、蓋体61の上面64は前記上面部24と面一となる。また、この蓋体61の上部には、ごみ取り具が係合する係合部たる係合溝65が形成されている。この係合溝65は水平に対して斜めに形成されたものであるから、ごみ取り具が平坦なものでも、挿入して上方に持ち上げれば、取り外し自在となる。蓋体61は合成樹脂などからなり、好ましくはゴムなどの弾性を有するものを用いる。
図2,図10〜図12に示すように、ごみ取り具71は、硬質合成樹脂などからなり、使用者が把持する操作部72と、前記案内溝22に挿入する案内溝挿入部73と、前記幅広部23に挿入する幅広部挿入部74とを一体に備え、この幅広部挿入部74の下縁は90度以下の掻き取り縁75に形成されている。また、その幅広部挿入部74の上下寸法は前記幅広部23の高さより狭い。
次に前記構成につき、その作用を説明すると、まず、引戸2が開くと、固定下枠1Dには、案内溝22があるだけで、床面Yと固定下枠1Dとが平坦に形成されているから、車椅子等の通行をスムーズに行うことができ、かつ歩行においても邪魔になる部分がない。また、引戸2が開閉すると、レール板12が案内溝22内に沿って移動するため、安定して引戸2が開閉する。この場合、レール板12の下端の両側は、低摩擦材12Aが位置しているから、レール板12が案内板部32,33に当たってもスムーズに摺動することができる。そして、引戸2を閉めた状態では、引戸2と固定下枠1Dとの間がレール板12により塞がれるため、外部からの風,雨,埃等の侵入を防止でき、さらに、防火機能も向上する。
また、外部から案内溝22内にごみが侵入しても、引戸2を開閉すると、レール板12の端部に掻上げ部15が設けられているため、この掻上げ部15により、案内溝22のごみを上方に掻上げ、これにより、ごみが案内溝22に溜まることを防止できる。したがって、引戸2を開閉する毎に、案内溝22におけるごみの堆積を防止できる。
本発明の特徴として、外部から案内溝22内に水が侵入しても、この水は幅の狭い案内溝22からその下部に位置する幅の広い幅広部23に落下し、幅広部23の底板部35に穿設した水抜き孔25からスムーズに排水される。特に、比較的細くすることが好ましい案内溝22においては、両側の案内板部32,33間における毛細管現象により、底部に小さな穴を開設しても、排水がスムーズに行われず、一度に多量の水が流れ込むと水が溢れてしまうが、案内溝22の下部に幅広部23を設けることにより、案内溝22に流れ込んだ水は抵抗なく、幅広部23の底部に流れ、水抜き孔25より自然流下により排水される。
また、本発明の特徴として、幅広部23内にごみが溜まったら、固定枠体21の長さ方向端部に位置する挿入溝51から、蓋体61を取り外し、この場合、蓋体61の係合溝65に、ごみ取り具71の幅広部挿入部74側を挿入して引き上げることにより、ごみ取り具71を用いて蓋体61を取り外すことができる。蓋体61を挿入溝51から取り外したら、ごみ取り具71の幅広部挿入部74を幅広部23に挿入し、案内溝挿入部73を前記案内溝22に合わせ、固定枠体21の長さ方向にごみ取り具71を移動して、ごみを長さ方向両側の挿入溝51側に集め、外部に排出する。この場合、掻き取り縁75を幅広部23の底面に沿わせるようにすることにより、ごみを効果的に集めることができる。
さらに、本発明の特徴として、固定枠体21は、案内溝22と幅広部23とを形成する部分が、板材に自由端のない連続した枠体構造をなし、すなわち案内板部32,案内板部33,底板部35,上板部36及び連結板部37が連続した枠体構造をなすから、上面板部30,31に荷重を受けても、細い案内溝22を有する固定枠体21が変形することなく、構造上、高い強度を得ることができる。
また、図1などにおいて、一側方から風が吹いてきて、上から案内溝22内に吹き込んでも、該案内溝22より広い幅広部23において流れが止まるため、風が案内溝22を上昇して他側に流れることがなく、水抜き孔25から外部に抜ける。また、風が強い場合は、引戸2が傾動し、レール板12が案内板部33に接するから、風の進入を防止できる。したがって、引戸2の下部から内部に雨風が吹き込むことがない。ところで、仮に引戸2の幅が180cmで、固定下枠1Dの上面部24と引戸2の下部の間隔が1cmとすれば、このように間隔が僅かでも、引戸2と固定下枠1Dとの間には、180cm2もの隙間が存在することになる。これに対して、本願発明では、案内溝22とレール12により前記隙間を塞ぐから、引戸2内外における熱の移動を防止し、暖房及び冷房損失を大幅に削減することができる。
このように本実施例では、請求項1に対応して、固定下枠1Dに沿って引戸2を開閉可能に設け、固定下枠1Dに案内溝22を形成し、この案内溝22に挿入するレール板12を引戸2に設けた引戸装置において、固定下枠1Dには案内溝22の下部に該案内溝22より幅の広い幅広部23を設け、この幅広部23の底部に水抜き孔25を設けたから、案内溝22はごみの侵入や歩行時の邪魔にならないように細くすることが好ましく、案内溝22を細くすると毛細管現象により排水がスムーズに行われず、一度に多量の水が流れ込むと水が溢れる虞があるが、案内溝22の下部に幅広部23を設けることにより、案内溝22に流れ込んだ水は抵抗なく、幅広部23の底部へと流れ、水抜き孔25よりスムーズに排水される。
また、このように本実施例では、請求項2に対応して、固定下枠1Dは、案内溝22の両側に位置する案内板部32,33と、これら両側の案内板部32,33の下端を連結し幅広部23を形成する幅広形成枠板部34とを備えるから、両側の案内板部32,33を幅広形成枠板部34により連結した枠体構造をなすため、通行などにより固定下枠1Dの上面に荷重が加わっても、細い案内溝を有する固定下枠が変形することなく、構造上、高い強度を得ることができる。
また、このように本実施例では、請求項1に対応して、固定下枠1Dには、案内溝22に該案内溝22より幅広で幅広部23に連通するごみ取り用の幅広溝52を設けたから、幅広溝52からごみ取り具を挿入して幅広部23のごみを掻き出すことができる。
また、このように本実施例では、請求項1に対応して、幅広部23に着脱可能に設ける蓋体61を備えるから、ごみを取る際に蓋体61を外し、常時は蓋体61により幅広部23を塞いで使用する。
また、このように本実施例では、請求項1に対応して、蓋体61には、ごみ取り具71に係合する係合部たる係合溝65を設け、ごみ取り具71は幅広部23に挿入する幅広部挿入部74を有するから、他の道具を用いずに、幅広部内のごみを取るごみ取り具により、蓋体の取り外しを行うことができる。
また、実施例上の効果として、上面が平坦な固定下枠1Dに沿って引戸2を開閉可能に設け、固定下枠1Dに案内溝22を形成し、この案内溝22に挿入する1つのレール板12を引戸2に設けた引戸装置において、断面略L型の長尺部材11を形成し、この長尺部材11の一片11Aによりレール板12を構成し、他片11Bを引戸2に固定したから、固定下枠1Dの上面は平坦に形成され、この平坦な上面に一の案内溝22が形成されているだけであるから、車椅子等の通行をスムーズに行うことができる。また、引戸2を閉めた状態では、引戸2下部と固定下枠1Dと隙間をレール板12が塞ぎ、外部からの風,雨,埃等の侵入を防止できる。特に、長尺部材11の他片11Bを引戸2に取り付けることにより、レール板12を簡便に形成することができ、比較的構造簡易であって、耐久性にも優れたものとなる。
また、実施例上の効果として、レール板12の端部には、下側が突出した掻上げ部15を設けたものであるから、引戸2を開閉するごとに、案内溝22に侵入したごみを掻上げ部15が掻き上げるため、ごみが案内溝22に溜まることを防止でき、長期に渡って引戸2をスムーズに開閉することができる。
また、実施例上の効果として、固定枠体21を構成する左の分割体41は、底板部35の両側に上下方向の案内板部32と立上り板部35Tをそれぞれ一体に設けたから、そのコ字形構造に強度の向上が図れると共に、両側の上下方向の案内板部32と立上り板部35Tとにより幅広部23の止水性の向上を図ることができる。
さらに、実施例上の効果として、上記構成を既設の引戸の改修に用いることができ、上記のような引戸装置では、既設の引戸において、既設の固定下枠を固定下枠1Dに交換し、既設の引戸2の下部に長尺部材11を固定手段13により固定して改修工事を行い、固定枠体1と、この固定枠体1内に設けられた引戸2と、この引戸2の上枠2Uに設けられ固定枠体1に乗架する吊車5とを備えた引戸装置の改修方法において、固定枠体1の下枠1Dを、平坦な上面に案内溝22を形成した固定下枠1Dに交換し、前記案内溝22に挿入する1つのレール板12を引戸2の下部に取り付ければ、固定下枠に突出部分がある引戸装置を改修することにより、固定下枠1Dが平坦でこの固定下枠1Dと引戸2の下部との間をレール板12より塞いだ引戸装置とすることができ、特に、長尺部材11を引戸2の下部に取り付けることにより、極めて簡便にレール板12を設けることができる。
また、実施例上の効果として、引戸2の幅方向一側を構造物の外側、他側を構造物の内側とすれば、レール12が外側となるから、外部からの風,雨,埃,虫等の侵入を効果的に防止でき、また、レール板12によりストッパ9が隠されるから防犯性にも優れたものとなる。
図15〜図17は本発明の第2実施例を示し、上記第1実施例と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述すると、この例では、引戸2,2を両開き式とし、これら二つの引戸2,2に対応して、固定下枠1Dに二つの案内溝22,22を設け、案内溝22,22の下部にはそれぞれ幅広部23,23が設けられている。固定枠体21は、三つに分割され、前記左右の分割体41,42の間に中間の分割体43を設け、この中間の分割体43は、前記底板部形成部35Bと前記連結板部37との間をほぼ垂直に折り曲げた折り曲げ部Mを設け、前記連結板部37と前記案内板部33との間をほぼ垂直に折り曲げた折り曲げ部Mを設け、前記案内板部33と中間の上板部81との間をほぼ垂直に折り曲げた折り曲げ部Mを設け、前記上板部81と前記案内板部32との間をほぼ垂直に折り曲げた折り曲げ部Mを設け、前記案内板部32と前記底板部形成部35Aとの間をほぼ垂直に折り曲げた折り曲げ部Mを設けてなる。尚、前記上板部81は、前記上面板部30,31と面一(同一面)である。
また、前記底枠20の幅方向中央には、支持部82が設けられ、この支持部82は下方が開口したコ字型をなし、下部を底枠20に固定し、上部たる上面が前記上板部81の下面に接し、該上板部81に加わる荷重を支持する。
このように本実施例においても、請求項1〜2に対応して、上記実施例と同様な作用・効果を奏し、また、この例では、底枠20が中間の上面部82を支持するから、安定した強度を得ることができる。
図18〜図20は本発明の第3実施例を示し、上記各実施例と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述すると、この例では、長尺部材11の他片11Bに、切欠き状の取付孔16Aを形成し、この取付孔16Aは一片11Aと反対側の縁に開口している。
そして、建物の工事の手順により、引戸2を吊設した後、最後にレール板12を引戸2に設ける場合、引戸2の下部に、取付孔16Aに対応して固定手段13を仮止めし、この固定手段13の軸に取付孔16Aを合わせ、長尺部材11又は引戸2の下部を幅方向に移動して取付孔16Aに固定手段13を挿入し、この後、固定手段13を締めて引戸2の下部にレール板12を取付けることができ、新設或いは既設の建物において引戸装置を簡便に組付けることができる。
そして、上面が平坦な固定下枠1Dに沿って引戸2を開閉可能に設け、固定下枠1Dに案内溝22を形成し、この案内溝22に挿入する1つのレール板12を引戸2に設け、断面略L型の長尺部材11を形成し、長尺部材11の一片11Aによりレール板12を構成し、他片11Bを引戸2に固定している。
このように本実施例では、請求項3に対応して、断面略L型の長尺部材11を形成し、この長尺部材11の一片11Aによりレール板12を構成し、ビスやボルトなどの固定手段13により他片11Bを引戸2に固定し、他片11Bに固定手段13を挿通する取付孔16Aを設け、この取付孔16Aは一片11Aの反対側の縁に開口するから、引戸2の吊設後でも、固定手段13を引戸2に仮止めし、開口した側から取付孔16Aに固定手段を挿通し、固定手段13により他片11Bを引戸2に固定することができ、工事の手順に対応して引戸装置を取付けることができる。
図21は本発明の第4実施形態を示し、上記各実施例と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述すると、この例では、前記底板部形成部35Bの上に底板部形成部35Aを重ね合わせると共に、両者を溶着などすることにより一体化して前記底板部35を形成した例であり、この例に置いても、上記各実施例と同様な作用効果を奏する。また、この例では、底板部形成部35Aの先端に立上り部35Tを設けていないが、底板部形成部35Aの先端に立上り部35Tを設け、この立上り部35Tを連結板部37の内面に沿わせるようにしてもよい。
図22は本発明の第5実施形態を示し、上記各実施例と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述すると、この例では、幅広部23Aは案内溝22の幅方向両側に張り出したものであり、案内溝22と幅広部23Aとが略逆T字型をなし、この場合も少なくとも幅広部23Aの底部である底板部35の幅が案内溝22の幅より広く形成されている。また、ごみ取り具71は、案内溝挿入部73と幅広部挿入部74とが略T字型をなす。
このように本実施例においても、固定下枠1Dに沿って引戸2を開閉可能に設け、固定下枠1Dに案内溝22を形成し、この案内溝22に挿入するレール板12を引戸2に設けた引戸装置において、固定下枠1Dには案内溝22の下部に該案内溝22より幅の広い幅広部23を設け、この幅広部23の底部に水抜き孔25を設けたから、上記各実施例と同様な作用・効果を奏する。
尚、本発明は上記実施例に限定されるものではなく本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能である。例えば、掻上げ部の形状は適宜選定可能であるが、上部が内上斜め向きであることが好ましい。また、上面部30,31の一方又は両方が傾斜していても、上面が凹凸のない平坦であることにかわりはない。また、第1実施例では、分割したものを一体化して固定枠体を構成した例を示したが、三つ以上に分割して一体化してもよく、あるいは1枚の板材を折り曲げ形成して固定枠体を形成してもよい。