JP4290367B2 - 生体情報検出用接触子、およびそれを用いた生体情報測定装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、生体のグルコース、血糖値、水分、コレステロール等の生体情報を、生体からの拡散反射光、もしくは表層組織を経由した光を測定することにより非侵襲的に測定する生体情報検出用接触子、およびそれを用いた生体情報測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、被験者の血糖値を非侵襲的に測定する装置が提案されている。
【0003】
たとえば、特開平5−508336号には、近赤外線を用いて被験者の血糖値を測定する方法が提案されている。かかる方法によると、600nmから1100nmの近赤外線を被験者に投射し、被験者内を経由した光の特定波長成分を分析することで、血糖値が求められるものである。
【0004】
しかしながら、近赤外光は赤外光に比べ、水に対する吸収強度が小さいため水溶液や生体を透過しやすいので分析に適しているという長所がある反面、各種成分の吸収ピークが赤外光に比べて複雑に重なり合っており、単独の成分の情報を取り出すことが困難であるとともに、吸収ピークの波長は温度によって大きく変わりやすい等の点から、実用に至っていないのが現状である。
【0005】
そこで、特開平11−178799号公報には、近赤外線を用いて生体の表層組織におけるグルコース、水分等を測定する方法が提案されている。この第1の従来の方法によると、平面部材上に設けられた1本の溝部に生体の表層組織の一部を隆起させて、隆起部分を介して対向した位置に設けられている一方の光ファイババンドルから他方の光ファイババンドルへ、近赤外線の受発光操作を行う。表層組織を拡散反射した光の一部を検出して分光分析を行うことにより、特に真皮組織のグルコース、水分等の生体情報を求めるものである。
【0006】
また、中赤外線を用いた従来例としては、例えば、特開平9−113439号公報に示すような、減衰全反射(以降ATRと記述する)測定装置を用いて被験者、とりわけ生体の特定成分を測定する方法が提案されている。
【0007】
その概略図を図11に示す。図11に示すように、平行に向かい合った一対の反射面を備えた透明なATRプリズム20に口唇粘膜21を密着させて血糖値を測定するものである。この方法によると、ATRプリズムを口にくわえて上下から押さえつけた後、ATRプリズム20の反射面と口唇粘膜21との境界で減衰全反射を繰り返してプリズム20の外部に出射された光を分析する。
【0008】
また、BME、vol.5、No8(日本ME学会、1991)にはZnSe光学結晶等からなるATRプリズムを口唇粘膜に密着させたのち、このプリズムに波長9〜11ミクロンのレーザ光を進入させてプリズムの内部で多重的に反射させ、その吸収光を分析することにより血糖値や血中エタノール濃度を測定する方法が提案されている。この方法によると、リアルタイムにかつ非侵襲的に血糖値や血中エタノール濃度を測定することができる。
【0009】
これらの方法は、エバネッセント波(いわゆる浸みだし光)を定量分析に応用したものである。図11に示すように、ATRプリズム20を進行する光は、わずかに口唇粘膜21に侵入したのち、反射する。したがって、光は口唇に侵入し、そこに存在する体液中の各成分の影響を受ける。そこで、反射光の光量を測定することにより、体液の反射率、吸収率等の変化を検出することができ、体液中の各成分の情報を得ることが可能になる。
【0010】
また、光源として発振波長が500nmのアルゴンレーザ、波長1060nmのYAGレーザ、波長が880nmの半導体レーザ等を用い、光源からのレーザ光を生体組織内に向けて照射し、生体組織内で散乱された光(ラマン散乱光)を検出し、検出されたラマン散乱光を分光することにより生体情報を得る、フーリエ変換ラマン分光測定法が提案されている。この方法によると、ラマン散乱光は生体組織内の各種物質に特有の波長を有するので、ラマン散乱光を分光することにより生体組織内の物質の種類や濃度を算出することができる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような従来の非侵襲血糖値測定装置は、以下のような問題点を有していた。
【0012】
まず、上記第1の従来の方法では、入射用の光ファイバと受光用の光ファイバが正対していない場合、生体内部での光の損失が大きく受光される拡散反射光の強度が弱く、また生体の深部に向けて光が照射されるので表皮や真皮だけでなく皮下組織等の生体深部の情報も含んだ、光路長の異なるさまざまな拡散反射光を検出してしまうという問題点があった。
【0013】
従って、測定対象が皮膚組織の場合には、組織の厚さが100ミクロン〜200ミクロン程度の表皮や、その下に存在する500ミクロン〜1000ミクロンの厚みの真皮層等の生体の表層組織における生体情報のみを抽出して測定することは困難であった。また粘膜組織の場合も同様に、上皮や粘膜固有層等の表層組織における生体情報のみを測定することは困難であった。
【0014】
また、光ファイバを正対させて生体内を直進する光の成分を測定する場合は、生体の表面を垂直に隆起させるための、機械的な隆起手段が必要であり、隆起時に生体組織に与える負担が大きく痛みを発生することがあるとともに、光ファイバ端面を一定の圧力で生体の表層組織に安定に密着させるのが困難であった。
【0015】
また、光ファイババンドルを精密に生体に密着させるために、非常に細い光ファイバを生体表層近くまでもってくる必要があり、構造が複雑で、装置の組立が面倒であるとともに、溝部を多数本設けることが困難であった。
【0016】
また、生体を隆起させるために、平面部材上に設けられた1本の溝部を生体に密着させているが、十分に生体を隆起させることが困難であった。
【0017】
また、光ファイバ端面の総面積を大きくすることが困難であるために、測定される拡散反射光の強度を大きくすることが困難であった。
【0018】
また、上記第2及び第3の従来の方法では、以下のような問題点を有していた。
【0019】
エバネッセント波の侵入する深さdはおよそ(1)式で求まることが知られている。
【0020】
【数1】
ここで、λは光の波長で、θは入射角度、n1は結晶の屈折率、n2は結晶に接触する媒体の屈折率である。
【0021】
今、一例として、光の波長が10ミクロン、ATRプリズムとしてZnSe結晶(屈折約2.41)を用い、入射角度が45度、まわりの媒体を水(屈折率:約1.0)とした場合について侵入深さdを計算すると、(1)式よりd=2.8ミクロンとなることがわかる。周りの屈折率が変われば浸みだし深さも変わることは(1)式よりわかるが、いずれにしてもせいぜい数ミクロンであり、よって上記従来のATR測定装置では、生体表面とその近傍の状態に関する情報が得られることがわかる。
【0022】
しかしながらこの場合、生体の数ミクロン以上の深部情報が得られにくいとともに、特に、被検体との間に不純物や唾液等の外乱層が存在すると、信号の生体に侵入する深さが変化し、信号が変化してしまう。
【0023】
したがって、上記従来例のようにATRプリズムを口唇に押し当てる場合、プリズムの表面と口唇との密着は安定せず、精度の高い測定を行うことが困難である。また、プリズムと口唇の間に、唾液が混入したような場合、測定値はその影響を大きく受ける。
【0024】
さらに、上記のようなATRプリズムには、ZnSe、ZnS、KrS等の光学結晶が用いられる。これらは非常に柔らかく、取り扱いや洗浄に多大の注意を要するため、多くの被検体を連続して測定することは困難である。
【0025】
また、上記第4の従来の方法では、レーザ光が生体組織内に向けて照射されるので、生体組織に入射したレーザ光はほとんど生体組織内で吸収される。生体情報を検出するのに必要な強度のラマン散乱光を得るには、大きい強度のレーザ光を生体組織に照射する必要があるが、レーザ光が生体組織内で吸収されることによりヤケドが生じるという問題があった。
本発明は、以上の問題点を解決するためになされたもので、取り扱いやすく、生体組織へのダメージが少なく、容易に高精度の測定が可能な生体情報検出用接触子、およびそれを用いた生体情報測定装置を提供することを目的とする。
【0026】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成する生体情報検出用接触子は、表面が生体組織に当接される生体情報検出用接触子であって、前記生体情報検出用接触子は、前記表面に設けられた凹部と、裏面に設けられ、前記表面に対して斜めに形成され、前記凹部に到達する検出光が入射される入射部と、前記裏面に設けられ、前記表面に対して斜めに形成され、前記生体組織を通過した前記検出光が出射される出射部と、を備え、前記生体情報検出用接触子は、前記生体組織の屈折率よりも高い屈折率を有する材料から構成され、前記凹部に前記生体組織がはまりこみ、前記検出光は、前記凹部にはまりこんだ前記生体組織を通過した後に前記出射部に到達する。
前記凹部が前記表面と平行な面からなる底部を有し、前記底部に遮光膜が設けられていることが好ましい。
複数の前記凹部が設けられ、隣接する2つの前記凹部の間に凸部が形成されており、前記凸部が前記表面と平行な面からなる上面部を有し、前記上面部に遮光膜が設けられていることが好ましい。
上記生体情報検出用接触子は、シリコン単結晶からなることが好ましい。
複数の前記凹部が周期的に設けられており、隣接する2つの前記凹部の間には凸部が形成されていることが好ましい。
前記裏面側にも凹部および凸部が周期的に設けられており、前記凹部および前記凸部の側面が前記入射部および前記出射部となっていることが好ましい。
前記凹部の断面がV溝になっていることが好ましい。
前記凹部が前記表面と平行な面からなる底部を有することが好ましい。
前記裏面側に周期的に設けられた凹部が、前記裏面と平行な面からなる底部を有し、前記裏面側に周期的に設けられた凹部が、前記裏面と平行な面からなる上面部を有し、前記底部および前記上面部のいずれにも遮光膜が設けられていることが好ましい。
複数の前記凸部が設けられており、前記複数の凸部の高さが異なることが好ましい。
前記複数の凹部の深さが異なることが好ましい。
上記の目的を達成する生体情報測定装置は、上記の生体情報検出用接触子と、前記検出光の光源と、前記生体組織を通過した後に前記生体情報検出用接触子に入射した前記検出光を分析する分析手段とを備え、前記分析手段において得られた分析結果に基づき生体情報を取得する。
上記の目的を達成する他の生体情報測定装置は、上記の生体情報検出用接触子と、前記検出光の光源と、前記検出光が前記生体組織に入射することにより発生した散乱光を分析する分析手段とを備え、前記分析手段において得られた分析結果に基づき生体情報を取得する。
【0057】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0058】
本発明の実施の形態による生体情報測定装置は、光源と、生体の表面を凹ませるための凸部を有した基板と、前記基板上に設けられた前記光源から出射した光を生体表面に出射する光出射手段と前記光出射手段から出射した光を受光する光受光手段と、前記光受光手段で受光した光を検出する検出部と、前記検出部で得られた信号を用いて生体情報を算出する信号処理部を有し、前記光出射手段もしくは光受光手段のいずれかが、基板上に設けられた凸部に設置されている。
【0059】
本発明の実施の形態による生体情報測定装置の好ましい態様においては、光出射手段および光入射手段はゲルマニウムからなる。
【0060】
(参考形態1)
以下、本発明の参考形態1による生体情報測定装置について、図1を用いて説明する。図において、1は光源、2および12は光ファイバ、3は光センサ部、4は基板、5は凸部、6および16は穴部、7は反射面、8は光出射手段、9は出射端面、10はクラッド層、11は受光手段、13は光検出器、14は信号処理部、15は表示装置である。
【0061】
光源1には、例えば波長1.3〜10ミクロンの光を発する高輝度セラミック光源を用いる。CO2レーザーを用いても構わない。光ファイバー2は、光源1の発した光を伝送し、光センサ部3に導く。光ファイバーとしては、例えば、臭化銀、塩化銀系材料の赤外光ファイバーやカルコゲナイト光ファイバーもしくは中空構造の光ファイバーを用いる。
【0062】
光センサ部3は、例えば図に示したように口唇粘膜21のような生体表面に密着されており、光センサ部3の基板4には、凸部5が設けられ生体表面を凹ませる働きをする。凹ませる量は、生体組織と光センサが密着すれば特に限定はしないが、5mm以下が望ましい。
【0063】
基板4としては、例えばフッ素樹脂、強化プラスティック、シリコン基板、ガラス基板等を用いる。
【0064】
また、凸部5の形状を図に示したように曲面にすることは、生体への痛みを和らげるとともに、密着性を高くできるため大変好ましいと言える。
【0065】
光ファイバ2は、基板4に設けられた穴部6に挿入されており、光ファイバ2を導光してきた光は、凸部5に照射される。
【0066】
凸部5の反射面7は、特に形状を限定するものでないが、到達した光が全反射をする角度であることが好ましい。
【0067】
また、図には示していないが、グレーティングを設けて光源からの光を、光出射手段8に入力することも好ましいと言える。
【0068】
また、光出射手段8のまわりには、光出射手段8を保護したり、光出射手段8からの浸みだし光が吸収性の高い物質に接触して減衰しないような光学的バッファ層の働きをするクラッド層10を設けることは好ましいと言える。
【0069】
光出射手段8の材料としては、使用波長域で透明であればよく、例えばゲルマニウム、シリコン、ダイヤモンド、臭化銀塩化銀系材料が好ましいと言える。シリコンはリンやボロン等の不純物がドープされていないものを使用すれば赤外域での透過率が高くなるため更に好ましいと言える。また光出射手段8の形状としては、図では板状であるとしたが、Y分岐形状であるとしてもよい。
【0070】
クラッド層10としては、比較的赤外域の光の波長で透明で、光出射手段8の屈折率よりも小さいものを用いる。例えば、フッ素樹脂が好ましく、また、光出射手段8にゲルマニウムを用いた場合には、シリコンも好ましいといえる。
【0071】
例えば、基板4としてシリコン基板もしくはガラス基板もしくは耐熱性樹脂を用い、その上にクラッド層としてシリコン、光出射手段にゲルマニウムを、例えばスパッタ法や電子ビーム蒸着のような成膜プロセスで形成することは好ましいと言える。
【0072】
光出射手段8の出射端面9は、生体組織との密着性が悪くなるために垂直にしない方が好ましく、本参考形態のように若干傾斜させるのが望ましいと言える。
【0073】
以上のような構成を有する本参考形態による生体情報測定装置の動作は次のようなものである。
【0074】
光源1から出力され、光ファイバ2を介し、クラッド層10を経て凸部5へ照射された光は、凸部5の側面形状を利用した反射面7により反射され、光出射手段8へ入力される。
【0075】
光出射手段8に入力された光は導光し、出射端面9より生体組織17に向けて投射される。
【0076】
次に、出射端面9から出射した光の進行経路について、その概略を説明する。
【0077】
例えば、出射端面9の角度を、基板4の法線に対して15度傾かせた場合、光が光出射手段8の中央部を直進する光がどのように進行するかについて、図2を用いて説明する。
【0078】
光出射手段8としてゲルマニウムを用い、ゲルマニウムの屈折率n1をn1=4.0とし、生体組織17の屈折率n2をn2=1.5とした場合を例にとり説明する。
【0079】
光出射手段8の中央部を直進する光は出射端面9に入射角度θinで入射すると、入射した光は下記のスネルの式に従い、出射角度θoutで生体組織17に出射される。
【0080】
【数2】
上記値を用いて計算すると、出射角度θoutは43.6度となり、光出射手段8から出射した光は、図中下側に向かって屈折して進み、生体組織17内に入射する。生体組織17に入射した光は散乱されながらも進行し、光受光手段11に到達する。
【0081】
ここで光出射手段8の長手方向と光受光手段11の長手方向のなす角度を90度とした場合、生体組織17内を経由した光は、入射角度(90度−(θout−θin))で光受光手段11に入射する。上記数値で計算すると具体的な入射角度は61.4度となる。この光は光受光手段11の中に屈折されて入射する。光受光手段11もゲルマニウムを用いた場合、上記スネルの式で計算すると、19.2度で入射し、以降伝搬して進行していくことがわかる。
【0082】
このように、本参考形態においては、光出射手段8に比較的屈折率の高いゲルマニウムを用いているために、生体組織17に出射する時の屈折角が非常に大きくなるため、図1に示したように、光出射手段8の正面に対向させて光受光手段11を設置する必要がなく、接地位置として90度軸が違った場所にある光受光手段11で受光することができる。このことは、生体表面を非常に緩やかな曲面形状にするだけで、密着性よくしかも、生体を傷つけずに測定できるため極めて有用と言える。
【0083】
以上、光が光出射手段8中を直進して進行する光について説明したが、光出射手段8内をジグザグを繰り返しながら進む光も存在する。このような光に対しても上記原理が成り立ち、出射端面9を出射した光の一部が光受光手段11に到達させることができる。
【0084】
続いて本参考形態の動作を説明する。光受光手段11に到達した光は、光ファイバ12に伝送され光検出器13に到達し、各波長成分での電気信号に変換される等、各種、分光分析が行われる。
【0085】
生体組織17内の吸収物質の濃度が変化すれば、特定波長での信号強度が変化するため、これを計測することにより、信号処理部14でグルコース濃度等の生体情報を算出することができる。算出された生体情報は表示装置15に表示される。
【0086】
16は基板4に設けられた穴部で、生体組織と光センサ部3の表面との間に介在している唾液等の不純物を除去するのに用いる。これにより生体組織と光センサの密着性をより高くでき、不純物を透過することによる、光の減衰や特性の変化を防いで、更に高精度な生体情報の測定が可能となる。
【0087】
このように、本参考形態による生体情報測定装置によれば、本発明を用いれば、生体表面と光センサとの密着性を良好にでき生体情報が測定できるとともに、光出射端面9と光受光手段11の入射面との間の距離を、設計事項として任意に設定できるという大きなメリットを有している。
【0088】
これは、従来のATR法では、プリズム材料の屈折率と生体表面の屈折率で決まってしまう、エバネッセント波という数ミクロン程度の浸みだし光の浸みだし深さを大幅に向上できるもので、数ミクロン以上の生体深部情報を容易に計測できるとともに、生体内で伝搬する光の行路長も容易に長くできるため、生体内の微弱な特定成分の光学特性を容易に測定することができる。
【0089】
また、光センサ3が、光源1や光検出器13、もしくは光ファイバ2、光ファイバ12と容易に着脱可能にすることは、生体情報の測定後に光センサ表面が汚れたり、傷ついた場合に容易に交換が可能なため、好ましいといえる。
【0091】
また、上記の参考形態においては、生体組織17と、クラッド層10および基板4とが完全に密着しているものとして説明を行ったが、本発明の当接手段は、これに限定するものではなく、凹部に生体組織がはまりこんで、検出光が出射される前記凹部の一部と、前記検出光が入射される他の一部との間に、その生体組織が当接していればよい。例えば本参考形態においては、生体組織17と、少なくとも出射端面9および光受光手段11とが当接していれば、生体組織17の他の部分が穴部16の近傍で基板4や凸部5に接触していなくても、上記の説明と同様の効果が得られる。
【0092】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1について、図3を用いて説明する。図3は本発明の実施の形態1における生体情報測定装置を示す概略図である。
【0093】
生体情報検出用接触子31には、例えば、波長1.1〜10ミクロンで透明なシリコン単結晶基板を用いる。特にホウ素やリン等の不純物含有量が小さく、抵抗率も100Ωcm以上のものが好ましい。さらには、抵抗率が1500Ωcm以上が好ましい。これら高抵抗率のシリコンは、約9〜10ミクロンの赤外波長で透過率が高く、これらの波長帯に吸収領域を有するグルコース等の物質を測定するのに好ましい。
【0094】
生体情報検出用接触子31表面には、等しい深さhを有する台形形状である、複数の凹部32と凸部33とが、周期的に設けられている。これらの凹部32及び凸部33は、生体情報検出用接触子31を生体組織38に押し込み、生体組織38を屈曲させる機能を有する。
【0095】
凹部32の深さhは、特に限定はされないが、例えば100ミクロン程度に設定すると、生体組織38の表皮部分にのみ凸部33が押し込まれるため、表皮部分の生体情報を主に計測することができる。また、hを200ミクロン程度にすれば、表皮部分に加えて真皮層の生体情報を検出することができる。このように凹部32の深さhを調節することにより、測定対象となる生体組織38の深さを容易に制御することができる。本実施の形態では、h=100ミクロンとした。
【0096】
凸部33の頂上部の幅W1は、特に限定されないが、広すぎると生体組織38に押し込まれにくくなるため、1mm以下であることが好ましい。本実施の形態では、W1=100ミクロンとした。
【0097】
凹部32の底部の幅W2は、特に限定されないが、W1に比べてあまり狭くなると生体組織38内部へ凸部33が押し込まれにくくなるため、W1と同等以上であることが好ましい。W2は、生体組織38内を伝搬する光の行路長を設定するパラメータであって、特に水分の吸収が大きい赤外波長領域で測定する場合、W2が大きすぎると光が吸収されて透過しにくくなる。例えば、W 2は300ミクロン以下であることが好ましい。さらに好ましくは200ミクロン以下である。本実施の形態では、W2=100ミクロンとした。
【0098】
また、凹部32の側面の角度θ1は、特に限定されないが、90度に近くなると生体組織38が接触しにくくなるので、小さい方が好ましい。本実施の形態では、θ1を54.7度とした。
【0099】
検出光が生体情報検出用接触子31に入射する部分310及び生体情報検出用接触子31から出射する部分311の形状は、図3に示すように、生体情報検出用接触子31の表面に対して斜めにする。本実施の形態では、検出光の入射部310・出射部311の斜面の角度θ2は、いずれも111.6度とした。
【0100】
本実施の形態における生体情報検出用接触子31の製造方法を、図4を用いて説明する。
【0101】
シリコン単結晶製の生体情報検出用接触子31の作製には、異方性ウェットエッチングを用いた。この方法は、KOH水溶液やエチレンジアミン水溶液を用いた化学エッチングであり、単結晶シリコンの(111)方向のエッチングレートが他のそれよりも極めて小さいことを利用したものである。
【0102】
まず、図4(a)に示すように、単結晶シリコン基板320の上下の面に保護層として酸化膜321および322をそれぞれ形成する。次いで、図4(b)に示すように、酸化膜321を所望のパターンに加工する。
【0103】
その後、このシリコン基板320を例えば濃度40%KOH水溶液につけてエッチングする。(100)結晶面が表面の法線方向に配向したシリコンウエハをエッチングすると、図4(c)に示すように側面が54.7度で傾斜した凹部32が形成される。凹部32の形成後、図4(d)に示すように酸化膜321を除去すると、凹部32の間に凸部33が形成されていることになる。ここで、保護層にはシリコンの窒化物からなる膜を用いてもよい。
【0104】
以上、シリコン単結晶基板の異方性ウェットエッチングにより、凹部32を作成する方法について説明したが、これに代えて超音波加工法を用いても良い。
【0105】
超音波加工法は、砥粒で材料を砕く加工法であるが、加工形状を有した工具に20キロヘルツ、振動幅30ミクロン以上の振動を与えて、ボロンカーバイト等の砥粒を懸濁液状で注ぎながら工具を加工物に押し当てることで、加工するものである。
【0106】
本発明の生体情報検出用接触子の裏面部分である入射部310・出射部311についても、上記と同様の方法で加工することができる。
【0107】
次に、本発明の生体情報測定装置の動作原理を図3を用いて説明する。
【0108】
光源34から出射され、入射部310から生体情報検出用接触子31内に入射した検出光の一部は、凹部32の側面に到達する。検出光の凹部32の斜面への入射角度は、生体組織38の屈折率、生体情報検出用接触子31の屈折率、凹部32側面の角度を考慮し、生体組織38内に入射した光の内、直進成分が再び凹部32に到達するように設定される。ここで、生体組織38を凹部32に接触させた際に、生体組織38内で光が図中水平に進行するように設定されることが好ましい。
【0109】
例えば、凹部32の斜面を54.7度で形成し、生体組織38の屈折率がn2=1.4、生体情報検出用接触子31を構成するシリコンの屈折率がn1=3.418の場合は、凹部32の斜面に対してθ3=13.7度で入射させる。
【0110】
本実施の形態の生体情報検出用接触子31は、シリコンという高屈折率物質を用いているために、生体組織38の屈折率との屈折率差が大きく、入射光線と凹部32斜面との角度θ3を少し設けるだけで検出光を大きく屈折させることができ、生体組織38に入射したときの屈折角θ4を大きくすることができる。
【0111】
屈折角θ4は以下のスネルの式(数3)で計算できる。
【0112】
【数3】
(数3)より、θ4=35.3度となる。ここで、凹部32斜面に対してθ4=35.3度傾くということは、図3ではほぼ水平方向に相当する。
【0113】
一般に、生体中を伝搬する光は、散乱され拡散していくことが知られているが、本発明の方法を用いると、最も強い直進成分の光を対向する別の突起部の側面を利用することで受光することができる。
【0114】
検出光は、生体組織38を通過した後、生体組織38への入射の時に屈折したと同じように、生体組織38からの出射面で屈折して生体情報検出用接触子31に入射する。その後、検出光は生体情報検出用接触子31外部へ出射し、光検出器35で検出される。光検出器35での検出結果に基づき、信号処理部36で生体情報が算出され、その結果が表示装置37で表示される。
【0115】
光検出器35で検出された光は、生体組織38内部、特に表層組織を主に経由してきた光を多く含み、皮下脂肪組織等の生体深部からの生体情報が少ないため、この光の分光分析を行うことで、容易かつ高感度に、生体組織の特定の層における生体情報を測定することができる。
【0116】
生体情報検出用接触子31の凹部32と生体組織38との密着性は、凹部32側面の下部側で悪くなることがある。
【0117】
しかし、この場合は、生体組織38と凹部32側面とが離れていて、その部分に空気が介在する場合が多い。空気の屈折率はn=1.0であるので、生体情報検出用接触子31との屈折率差は、生体組織とのそれよりも大きくなるために、この空気中では、密着した生体組織38を経由する場合よりも急角度で光が屈折し、正規の光路を経由しなくなる。
【0118】
これにより、生体情報を含まない余分な光は別の角度で生体情報検出用接触子31から出射され、光検出器35で検出されないので、不要な光が除去されるため、正確に生体情報を算出することができる。
【0119】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2について図5を用いて説明する。図5は本発明の実施の形態2における生体情報検出用接触子を示す概略図である。
【0120】
生体情報検出用接触子31には、実施の形態1と同じシリコン単結晶基板を用いた。生体情報検出用接触子31表面には、等しい深さhを有する三角形形状である、複数の凹部32と凸部33とが、周期的に設けられている。これらの凹部32及び凸部33は、生体情報検出用接触子31を生体組織38に押し込み、生体組織38を屈曲させる機能を有する。本実施例では、h=100ミクロンとした。また、凹部32の側面の角度θ1は、θ1=31.5度とした。
【0121】
生体情報検出用接触子31の裏面側には、Geからなる入出力部39が設けられている。検出光が入出力部39に入射する部分及び入出力部39から出射する部分の形状は、図5に示すように、生体情報検出用接触子31と入出力部39の界面に対して斜めにする。本実施の形態では、検出光の入射部310・出射部311の斜面の角度θ2は、138.6度とした。
【0122】
本実施の形態における生体情報検出用接触子31の製造方法を、図6(a)〜(d)を用いて説明する。実施の形態1と同様に、シリコン単結晶基板340の上下の面に酸化膜341及び342を形成した後、図6(a)に示すように所望のパターンを形成する。
【0123】
次いで、このシリコン基板340を例えば濃度40%KOH水溶液につけてエッチングする。(100)結晶面が表面の法線方向に配向したシリコンウエハをエッチングすると、図6(b)に示すように側面が54.7度で傾斜した凸部344及び凹部343(V溝)が形成される。V溝が形成された後も、さらに、エッチングを続けると、図6(c)に示すように(111)結晶面が徐々にエッチングされて、V溝幅が成長し広がって行く。
【0124】
その後、さらにエッチングを継続すると、凸部344の頂点付近にあった、酸化膜341が除去され、この頂点の(100)結晶面がエッチングされる。(100)結晶面は、(111)結晶面と比べて、エッチング速度が早いために時間と共に、頂点がエッチングされて、徐々に低くなり、例えば特定の時間でエッチングを終了すると、図6(d)に示したような(311)結晶面によるV溝が形成される。
【0125】
また、本発明の生体情報検出用接触子の裏面部分についても、実施の形態1または2と同様の方法で加工することができる。
【0126】
生体情報検出用接触子31と入出力部39の接合は、例えば接触面を研磨して滑らかにし、両者間に作用する原子間力を用いて容易に接合することができる。
【0127】
また、両者間に圧力を加えて接触させても構わない。界面で光が全反射を起こさず、入出力部39と生体情報検出用接触子31間を伝達できる方法であればよい。
【0128】
本実施例の生体情報検出用接触子31を、実施の形態1と同様の生体情報測定装置に用いることにより、実施の形態1と同様に、容易かつ高感度に、生体組織の特定の層における生体情報を測定することができる。
【0129】
また、本実施の形態の生体情報検出用接触子31は、生体組織38との接触角度が117度と広くなり大変滑らかになる。従って、生体組織38に生体情報検出用接触子31を押し当てた際に、生体組織38の内部へ生体情報検出用接触子31の凸部33を押し込み易いとともに、凹部32の側面に生体組織38が密着しやすくなる。また、生体組織38との接触面が広くなった結果、検出光の多くを生体組織38に入射させることができ、高価なレンズを用いて集光する必要がなくなる。
【0130】
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3について図7を用いて説明する。図7は本発明の実施の形態3における生体情報検出用接触子を示す概略図である。
【0131】
実施の形態1と同様に、シリコンの単結晶基板を、異方性エッチングにより、凹部32の側面の角度を54.7度に加工したものであるが、実施の形態1と違い、更に、シリコン単結晶基板の裏側にも周期的な凹部310及び凸部311を形成し、これら凹部310及び凸部311の側面が検出光の入射部310・出射部311となるようにしている。
【0132】
凹部310側面の角度は、検出光が全反射をしなければ良いが、約80度が好ましく、超音波加工法を用いれば容易に加工できる。
【0133】
生体情報検出用接触子31の裏面に設けられた凹部310の側面に到達した光は、生体情報検出用接触子31の内部を直進し、生体接触子の生体と接触する側に設けられた凹部32の側面に到達する。その後、生体組織と生体情報検出用接触子との屈折率差によって、光は大きく屈折し、生体の表層組織を経由した後、再び、凹部32の側面に到達し、屈折され裏面に設けられた凸部311に到達する。光が到達した位置には、凸部311の側面が設定されているため、光が全反射することなく通過し、外部に出射される。これにより、後述する図8(b)の構成例と比較した場合、複数の光源を設けた場合に、生体情報検出用接触子31の厚みを薄くし、小型化、軽量化することができる。
【0134】
本実施の形態の生体情報検出用接触子31を、実施の形態1と同様の生体情報測定装置に用いることにより、実施の形態1と同様に、容易かつ高感度に、生体組織の特定の層における生体情報を測定することができる。
【0135】
上記実施の形態では、生体組織を通過した後に生体情報検出用接触子に入射した検出光を分析する場合について示したが、検出光としてアルゴンレーザ、YAGレーザ、半導体レーザ等のレーザ光を用い、検出光が生体組織に入射することにより発生した散乱光を分析することにより生体情報を取得してもよい。本発明の生体情報検出用接触子を用いると、生体組織内に入射した検出光の内、多くの量を生体情報検出用接触子に帰還させることができるので、大きい強度のレーザ光を用いた場合でも生体組織へのダメージを低減し、検出光照射時の火傷の問題をなくすことができる。
【0136】
次に、図8(a)〜(c)に、実施の形態1〜3による生体情報検出用接触子の他の構成例を示す。図8(a)は、凹部32の、検出光の光路に平行な断面がV溝となるように構成したものである。図に示すように、凹部32の断面は、側面部32aおよび32bのみから構成され、底部32cが点となっており、上記実施の形態の幅W2に相当する大きさを持たないようになっている。
【0137】
このとき、光源からの検出光は、入力するとその全てがもれなく凹部32の側面部32aに入射し、生体組織18を通過すると側面部32bから出射される。
【0138】
したがって、この構成例によれば、光源4から出力される光から不要光となる成分がなくなることになるため、上記実施の形態の光源の光より幅の広い幅広光源34aを検出光として、さらに効率よく用いることができる。
【0139】
なお、検出光が全て側面部32aに入射するための条件としては、入射光の角度は、底部32cと、その底部32cを有する凹部32の隣にある凹部32の端部32dとを結ぶ直線と、複数の端部32dを結ぶ直線とがなす角より小さければよい。これによって、光源から出力された検出光が、凹部32を通過せずに凸部33から生体組織38へ出射されるのを防ぐことができる。
【0140】
図8(b)は、光源34を複数備えた構成例である。これにより、個々の光源から出射された検出光をそれぞれ独立に検出するようにして、個々の検出光の分析結果に基づき、より正確な値を得ることができる。
【0141】
図8(c)は、凹部32の底部32eに遮光膜312を、凸部33の上面部に遮光膜313を設けて構成したものである。遮光膜313により、検出光が通過せずに凸部33の上面から生体組織38へ出射されたり、遮光膜313で反射した光が、射出面311から射出されるのを防ぐことができる。また、遮光膜312により検出光が底部32eに入射したり、また底部32eにて反射して、射出面311から射出されるのを防ぐことができる。
【0142】
図8(d)は、実施の形態3の他の構成例であって、シリコン単結晶基板の裏側に周期的に形成された凹部310及び凸部311の底部にも遮光膜314を設けるようにしている。これによって、図8(a)の構成例同様、幅の広いレーザ光のような、幅広光源34aのような光源を検出光として用いることができる。
【0143】
なお、上記の説明に置いて、遮光膜312〜314は、いずれも光吸収または反射防止の機能を有するのが望ましい。
【0144】
また、本実施の形態の生体情報検出用接触子は、生体の指、唇、腕、耳たぶ等に接触させて使用することができるが、唇に生体情報検出用接触子を接触させて生体情報を計測する場合に、唾液が介在する場合がある。その場合、図示はしていないが、生体情報検出用接触子の凹部の底面部分に、生体と生体情報検出用接触子の間に介在する唾液を取り除くための穴や、深溝等を設けることが好ましい。
【0145】
また、生体情報検出用接触子の凹部の側面以外、すなわち凸部の頂上部分や凹部の底面部分に光が入射した場合、多くの光は全反射し、生体情報検出用接触子から出射して検出器に到達する場合がある。このような光は生体情報を含まないために、生体情報を含んだ光と同時に検出することは好ましくない。従って、凸部の頂上部分または凹部の底面部分に、上述した遮光膜312〜314のような、光を吸収する吸収手段を設けることが好ましい。
【0146】
吸収手段としては、使用する波長の光を吸収するものであれば良く、例えば、検出光が波長9〜10ミクロンの場合、二酸化ケイ素膜、二酸化チタン膜等の酸化物や、窒化シリコン膜等の窒化物を用いることができる。またこれらの材料と銀、タングステンシリサイドの多層膜を形成し、光の干渉効果を利用して、さらに吸収効果を増大させることが好ましい。さらにまた、ホウ素やリンをイオン注入することにより形成してもよい。
【0147】
また、上記の実施の形態では凹部及び凸部の高さがすべて等しい場合について記載したが、高さの異なる凹部及び凸部を設けてもよい。このようにすると、生体表層組織に押し込まれる深さを変化させることにより、浅い凹部を用いて表皮の情報を、深い凹部を用いて真皮の生体情報を同時に検出することが可能となり、一度に深さ方向の情報が得られる。
【0148】
生体情報検出用接触子の奥行き方向の形状は、特に限定されないが、図9に示すように、凸部33の一方向を長く形成してもよい。このようにすると、各縦長の凸部33を生体組織に押し込み、各凹部間に光を通過させて生体情報を検出することができる。縦長にすることで、生体との接触面積を大きくすることができる結果、表層組織を通過する光束の面積を大きくでき、検出光のS/Nを向上できるという効果が得られる。
【0149】
また、図10に示すように、凸部33を2次元配列的に設けてもよい。このようにすると、生体組織への押し込みがより容易となり、生体への密着性が向上し、計測が安定するという効果が得られる。
【0150】
以上のように、本発明の生体情報検出用接触子は、その一例として、生体組織に密着される凹部を備え、前記凹部が、前記凹部の一つの面から出射した検出光が前記生体組織を通過した後に前記凹部の他の面から入射するように形成され、かつ前記生体組織の屈折率よりも高い屈折率を有する材料からなることを特徴とする。
【0151】
ここで、凹部が複数設けられていることが好ましい。
【0152】
また、異なる深さを有する、少なくとも2つの凹部が設けられていることが好ましい。
【0153】
さらに、Si、Ge、SiCまたはダイヤモンドにより構成されていることが好ましい。
【0154】
本発明の生体情報測定装置は、その一例として、上記の生体情報検出用接触子と、検出光の光源と、生体組織を通過した後に前記生体情報検出用接触子に入射した前記検出光を分析する分析手段とを備え、前記分析手段において得られた分析結果に基づき生体情報を取得することを特徴とする。
【0155】
また、本発明の生体情報測定装置は、上記の生体情報検出用接触子と、検出光の光源と、前記検出光が生体組織に入射することにより発生した散乱光を分析する分析手段とを備え、前記分析手段において得られた分析結果に基づき生体情報を取得してもよい。
【0156】
また、本発明の生体情報測定方法は、その一例として、上記の生体情報検出用接触子を用い、生体組織の一部の形状を変化させる形状変化工程と、前記形状変化工程に変化した生体組織に検出光の入射及び出射を行う検出光入出射工程と、前記形状変化した生体組織を経由した前記検出光の分析を行うことにより生体情報を取得する生体情報分析工程とを含むことを特徴とする。
【0157】
また、本発明の生体情報測定方法は、その一例として、上記の生体情報検出用接触子を用い、生体組織の一部の形状を変化させる形状変化工程と、前記形状変化工程により形状変化した生体組織に検出光の入射及び出射を行う検出光入出射工程と、前記検出光が前記形状変化した生体組織に入射することにより発生した散乱光の分析を行うことにより生体情報を取得する生体情報分析工程とを含んでいてもよい。
【0158】
また、本発明の生体情報検出用接触子は、その一例として、生体組織に密着される凹部を備え、前記凹部が、前記凹部の一つの面から出射した検出光が前記生体組織を通過した後に前記凹部の他の面から入射するように形成され、かつ前記生体組織の屈折率よりも高い屈折率を有する材料からなることを特徴とする。このようにすると、凹部の深さを調節することにより、生体組織内の検出光が通過する深さを制御することができるので、このような生体情報検出用接触子を用いることにより、容易かつ高感度に、生体組織の特定の層における生体情報を測定することができる。また、生体組織内に入射した検出光の内、多くの量を生体情報検出用接触子に帰還させることができるので、生体組織へのダメージを低減し、検出光照射時のヤケドの問題をなくすことができる。
【0159】
ここで、凹部が複数設けられていることが好ましい。このようにすると、生体組織に密着させた際に生体組織を隆起させることが容易になる。
【0160】
また、異なる深さを有する、少なくとも2つの凹部が設けられていることが好ましい。このような生体情報検出用接触子を用いることにより、生体組織の異なる深さにおける生体情報を同時に得ることができる。
【0161】
生体情報検出用接触子を構成する材料としては、測定対象である生体組織の屈折率よりも高い屈折率を有するものであれば用いることができるが、例えば、Si、Ge、SiC、ダイヤモンド、SiO2、ZnSe、ZnS及びKrSが挙げられる。この中では、屈折率が高く、赤外波長領域での透過性能が高くかつ機械的強度に優れる点で、Si、Ge、SiCまたはダイヤモンドが好ましい。
【0162】
また、生体情報検出用接触子にアモルファスダイヤモンド等の薄膜をプラズマCVD法等でコーティングすると、生体情報検出用接触子界面での反射ロスが低減されるので好ましい。
【0163】
また、生体情報測定装置は、その一例として、上記の生体情報検出用接触子と、検出光の光源と、生体組織を通過した後に前記生体情報検出用接触子に入射した前記検出光を分析する分析手段とを備え、前記分析手段において得られた分析結果に基づき生体情報を取得することを特徴とする。
【0164】
ここで、光源としては、測定したい物質の吸収波長の光を発光するものであれば用いることができ、例えば、炭化珪素SiCを棒状に焼結したグローバ光源、CO2レーザ光源、タングステン灯等が挙げられる。グルコースを計測する場合には、比較的広い波長範囲をカバーすることができ、10ミクロン程度の長波長領域でも良好に発光するという点から、グローバ光源が好ましい。
【0165】
また、分析手段としては、測定対象である物質が光を吸収することによって生じた、分子振動に起因する各種状態変化を測定できるものであれば用いることができ、例えば、フーリエ変換赤外分光法や光音響測定法が挙げられる。
【0166】
また、本発明の生体情報測定装置は、その一例として、上記の生体情報検出用接触子と、検出光の光源と、前記検出光が生体組織に入射することにより発生した散乱光を分析する分析手段とを備え、前記分析手段において得られた分析結果に基づき生体情報を取得することを特徴とする。
【0167】
ここで、光源としては、生体組織に入射することにより散乱光を発生させる光を発光するものであれば用いることができ、例えば、アルゴンレーザ、YAGレーザ、半導体レーザ等が挙げられる。
【0168】
また、分析手段としては、測定対象である物質が光を吸収することによって生じた、分子振動に起因する各種状態変化を測定できるものであれば用いることができ、例えば、フーリエ変換ラマン分光測定法が挙げられる。
【0169】
また、本発明の生体情報測定方法は、その一例として、上記の生体情報検出用接触子を用い、生体組織の一部の形状を変化させる形状変化工程と、前記形状変化工程により形状変化した生体組織に検出光の入射及び出射を行う検出光入出射工程と、前記形状変化した生体組織を経由した前記検出光の分析を行うことにより生体情報を取得する生体情報分析工程とを含むことを特徴とする。
【0170】
また、本発明の生体情報測定方法は、その一例として、上記の生体情報検出用接触子を用い、生体組織の一部の形状を変化させる形状変化工程と、前記形状変化工程により形状変化した生体組織に検出光の入射及び出射を行う検出光入出射工程と、前記検出光が前記形状変化した生体組織に入射することにより発生した散乱光の分析を行うことにより生体情報を取得する生体情報分析工程とを含むことを特徴とする。
【0171】
【発明の効果】
以上説明したことから明らかなように、本発明は、光センサを生体表面へ極めて密着性よく接触できるとともに、生体深部の情報も容易に計測でき有効である生体情報検出用接触子、及び生体情報測定装置を提供することができる。
【0172】
また、本発明によれば、取り扱いやすく、生体組織へのダメージが少なく、容易に高精度の測定が可能な生体情報検出用接触子、及び生体情報測定装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の参考形態1における生体情報測定装置の概略を示す概略図
【図2】 本発明の実施の形態1における生体情報測定装置の光の伝搬経路を説明する説明図
【図3】 本発明の一実施の形態における生体情報測定装置の構成を示す概略図
【図4】 本発明の一実施の形態における生体情報検出用接触子の製造方法を示す工程図
【図5】 本発明の他の実施の形態における生体情報検出用接触子及び入出力部を示す概略図
【図6】 本発明の他の実施の形態における生体情報検出用接触子の製造方法を示す工程図
【図7】 本発明のさらに他の実施の形態における生体情報検出用接触子を示す概略図
【図8】 本発明のさらに他の実施の形態における生体情報検出用接触子の構成例を示す概略図
【図9】 本発明の一実施の形態における生体情報検出用接触子の凸部の形状を示す斜視図
【図10】 本発明の他の実施の形態における生体情報検出用接触子の凸部の形状を示す斜視図
【図11】 従来例の生体情報測定装置の一例を示す概略図
(符号の説明)
1 光源
2、12 光ファイバ
3 光センサ部
4 基板
5 凸部
6、16 穴部
7 反射面
8 光出射手段
9 出射端面
10 クラッド層
11 受光手段
13 光検出器
14 信号処理部
15 表示装置
20 ATRプリズム
21 口唇粘膜
31 生体情報検出用接触子
32,310,343 凹部
33,311,344 凸部
34 光源
35 光検出器
36 信号処理部
37 表示装置
38 生体組織
39 入出力部
320,340 シリコン基板
321,322,341,342 酸化膜
Claims (13)
- 表面が生体組織に当接される生体情報検出用接触子であって、
前記生体情報検出用接触子は、
前記表面に設けられた凹部と、
裏面に設けられ、前記表面に対して斜めに形成され、前記凹部に到達する検出光が入射される入射部と、
前記裏面に設けられ、前記表面に対して斜めに形成され、前記生体組織を通過した前記検出光が出射される出射部と、
を備え、
前記生体情報検出用接触子は、前記生体組織の屈折率よりも高い屈折率を有する材料から構成され、
前記凹部に前記生体組織がはまりこみ、前記検出光は、前記凹部にはまりこんだ前記生体組織を通過した後に前記出射部に到達する、
生体情報検出用接触子。 - 前記凹部が前記表面と平行な面からなる底部を有し、
前記底部に遮光膜が設けられている、請求項1に記載の生体情報検出用接触子。 - 複数の前記凹部が設けられ、
隣接する2つの前記凹部の間に凸部が形成されており、
前記凸部が前記表面と平行な面からなる上面部を有し、
前記上面部に遮光膜が設けられている、請求項1に記載の生体情報検出用接触子。 - シリコン単結晶からなる、請求項1に記載の生体情報検出用接触子。
- 複数の前記凹部が周期的に設けられており、隣接する2つの前記凹部の間には凸部が形成されている、請求項1に記載の生体情報検出用接触子。
- 前記裏面側にも凹部および凸部が周期的に設けられており、前記凹部および前記凸部の側面が前記入射部および前記出射部となっている、請求項5に記載の生体情報検出用接触子。
- 前記凹部の断面がV溝になっている、請求項1に記載の生体情報検出用接触子。
- 前記凹部が前記表面と平行な面からなる底部を有する、請求項1に記載の生体情報検出用接触子。
- 前記裏面側に周期的に設けられた凹部が、前記裏面と平行な面からなる底部を有し、
前記裏面側に周期的に設けられた凹部が、前記裏面と平行な面からなる上面部を有し、
前記底部および前記上面部のいずれにも遮光膜が設けられている、請求項6に記載の生体情報検出用接触子。 - 複数の前記凸部が設けられており、
前記複数の凸部の高さが異なる、請求項5に記載の生体情報検出用接触子。 - 前記複数の凹部の深さが異なる、請求項5に記載の生体情報検出用接触子。
- 請求項1〜11のいずれかに記載の生体情報検出用接触子と、
前記検出光の光源と、
前記生体組織を通過した後に前記生体情報検出用接触子に入射した前記検出光を分析する分析手段とを備え、
前記分析手段において得られた分析結果に基づき生体情報を取得することを特徴とする生体情報測定装置。 - 請求項1〜11のいずれかに記載の生体情報検出用接触子と、
前記検出光の光源と、
前記検出光が前記生体組織に入射することにより発生した散乱光を分析する分析手段とを備え、
前記分析手段において得られた分析結果に基づき生体情報を取得することを特徴とする生体情報測定装置。
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