JP4300337B2 - 復水処理剤の注入量の制御方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、復水処理剤の注入量を最適値に制御する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、原水を給水として原水配管を通じて給水タンクへ補給し、給水タンク内の給水を給水配管を通じてボイラへ供給して加熱することにより発生する蒸気を蒸気配管を通じて蒸気使用機器へ供給して利用するとともに、蒸気使用機器で利用された蒸気が凝縮して得られるドレン水をドレン配管を通じて給水タンクへ回収し、ドレン水を給水として再利用するボイラシステムが知られている。このようなボイラシステムでは、給水中に含まれるMアルカリ度(重炭酸イオン)が、ボイラ缶内で熱分解することにより二酸化炭素が発生し、この発生した二酸化炭素がドレン水に再溶存することにより炭酸水を生成する。そして、発生した炭酸水でドレン配管の構成要素である鉄が溶解され、ドレン配管を腐食させている。
【0003】
そこで、鉄の溶解を防止する方法として、ドレン水に復水処理剤を注入している。この復水処理剤としては、モルホリン,シクロヘキシルアミンといった気化性アミンが用いられている。前記気化性アミンは、炭酸水を中和する作用があるため、ドレン水に発生する炭酸水と反応させることによりドレン配管の構成要素である鉄の溶解を防止し、ドレン配管の腐食を防止している。しかし、給水中に含まれているMアルカリ度は、原水(ドレン水と混合する前の給水)に含まれるMアルカリ度とドレン水に含まれるMアルカリ度の和であるため、このドレン配管の防食に効果的な復水処理剤の薬注量は常に一定にならない。そのため、復水処理剤は、ある程度のMアルカリ度に対応するため、過剰に注入されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、前記課題に鑑み、ドレン配管の防食に効果的な復水処理剤の注入量に制御できる方法を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この発明は、前記課題を解決するためになされたものであって、請求項1に記載の発明は、原水を給水として原水配管を通じて給水タンクへ補給し、前記給水タンク内の給水を給水配管を通じてボイラへ供給して加熱することにより発生する蒸気を蒸気配管を通じて蒸気使用機器へ供給して利用するとともに、前記蒸気使用機器で利用された蒸気が凝縮して得られるドレン水をドレン配管を通じて前記給水タンクへ回収し、ドレン水を給水として再利用するボイラシステムにおいて、前記ドレン配管の腐食を防止するための復水処理剤の注入量を制御する方法であって、原水温度,ドレン水温度および給水温度を測定し、これらの温度測定値から式1を用いてドレン回収率を求める工程Aと、原水Mアルカリ度およびドレン水Mアルカリ度を測定し、これらのMアルカリ度および前記工程Aで求めたドレン回収率から式2を用いて給水Mアルカリ度を求める工程Bと、前記工程Bで求めた給水Mアルカリ度の当量以上の中和型気化性アミンを前記給水配管または前記蒸気配管に注入する工程Cとを含んでいる。
【式1】
【式2】
【0006】
【発明の実施の形態】
つぎに、この発明の実施の形態について説明する。この発明は、原水を給水として原水配管を通じて給水タンクへ補給し、給水タンク内の給水を給水配管を通じてボイラへ供給して加熱することにより発生する蒸気を蒸気配管を通じて蒸気使用機器へ供給して利用するとともに、蒸気使用機器で利用された蒸気が凝縮して得られるドレン水をドレン配管を通じて給水タンクへ回収し、ドレン水を給水として再利用するボイラシステムにおいて、ドレン配管の腐食を防止するための復水処理剤の注入量の制御に適用される。そして、ドレン回収率と原水のMアルカリ度を測定することにより、復水処理剤の注入量を決定することができる。
【0007】
まず、前記ドレン回収率について説明する。前記ドレン回収率は、給水がドレン水として、どれくらい返ってきたかを表す値であって、原水温度,ドレン水温度および給水温度を測定し、これらの温度測定値から式1を用いて求めることができる(工程A)。
【0008】
【式1】
【0009】
つぎに、前記Mアルカリ度について説明する。前記Mアルカリ度は、ボイラ給水等に含まれる重炭酸イオン濃度を表している。この重炭酸イオン濃度により、重炭酸イオンの熱分解で生じる二酸化炭素(炭酸ガス)の発生量が決まる。また、この熱分解で発生した二酸化炭素は、蒸気とともにドレン配管等に供給される。そして、蒸気が凝縮して水に変わるときに二酸化炭素が水に溶けて炭酸水が生成される。この炭酸水により、ドレン配管等のpHが低くなり、ドレン配管の腐食を引き起こす。つまり、給水のMアルカリ度によって、発生する二酸化炭素の量,すなわち炭酸水の量が変化する。逆に、給水のMアルカリ度が分かれば、発生する炭酸水の量が分かり、この炭酸水を中和する復水処理剤の注入量も決定することができる。
【0010】
また、前記給水のMアルカリ度は、式2で表されるように、前記工程Aで求めたドレン回収率と原水のMアルカリ度から求めることができる(工程B)。ここで、ドレン水は、蒸気が凝縮した水であり、Mアルカリ度成分がほとんど存在していないため、ドレン水のMアルカリ度はゼロとして計算することができる。
【0011】
【式2】
【0012】
つぎに、復水処理剤について説明する。この復水処理剤は、ドレン配管の酸腐食を防止するために添加されるものであり、前記工程Bで求めた給水Mアルカリ度の当量以上が注入される(工程C)。この復水処理剤としては、発生した酸を中和できるものであればとくに制限がないが、給水配管に注入されたのち、ボイラ缶内で気化して蒸気とともに搬送され、ドレン発生箇所で再凝縮するもの、あるいは蒸気配管に注入されたのち、蒸気配管内で気化して蒸気とともに搬送され、ドレン発生箇所で再凝縮するものが好ましく、周知のモルホリン,シクロヘキシルアミン等の中和型気化性アミンを用いることができる。
【0013】
以上のように、この発明によれば、前記ドレン回収率と前記原水のMアルカリ度により、前記給水のMアルカリ度が分かり、前記給水のMアルカリ度から復水処理剤の注入量を決定することができる。
【0014】
【実施例】
つぎに、この発明の具体的実施例について詳細に説明する。これらは例示であって、この発明の範囲を何ら限定するものではない。
【0015】
まず、Mアルカリ度40mg/リットルの原水を用いてボイラ運転を行う。このときの運転条件として、原水温度15℃,給水温度60℃,ドレン水温度100℃である。この各温度により、ドレン回収率を求めると52.9%である。ここで、ドレン水は、蒸気が凝縮した水であるため、Mアルカリ度成分は、ほとんど存在しておらず、Mアルカリ度はゼロになる。以上の条件で、給水のMアルカリ度を求めると、18.8mg/リットルであった。また、給水のMアルカリ度を測定すると19.0mg/リットルとなり、ほぼ計算値と等しい値となった。
【0016】
以上のように、原水のMアルカリ度とドレン回収率から給水のMアルカリ度を算出することができる。つまり、原水のMアルカリ度,原水温度,給水温度およびドレン水温度を測定することにより給水のMアルカリ度を算出することができる。ここにおいて、原水のMアルカリ度は、ほとんど不変の値であるため、最初の水分析時にMアルカリ度を測定すれば、その値を使用することができる。そのため、ボイラ運転中は、原水温度,給水温度およびドレン水温度を測定するだけで、給水のMアルカリ度を求めることができる。
【0017】
つぎに、給水のMアルカリ度と復水処理剤の関係について実験を行った。給水のMアルカリ度を19mg/リットルと固定し、復水処理剤の添加量を変化させてドレン水のpHを測定した。
【0018】
まず、復水処理剤の添加量が9.5mg/リットルの場合は、ドレン水のpHは5.9となり、弱酸性を示した。このことから、復水処理剤添加後のドレン水には、まだ炭酸水が残存しており、復水処理剤が不足していることが分かる。この場合は、ドレン水に炭酸水が存在しているため、ドレン配管の腐食は起こる。
【0019】
つぎに、復水処理剤の添加量が19mg/リットルの場合は、ドレン水のpHは8.6となり、ほぼ中性を示した。このことから、復水処理剤添加後のドレン水には、炭酸水が存在しておらず、復水処理剤のアルカリ性が微量存在していることが分かる。これは、Mアルカリ度成分の重炭酸イオンが加熱によってすべて二酸化炭素に変化するわけではないため、復水処理剤を当量投入すると、少しアルカリ性側にpHは表れる。しかし、このときのアルカリ性は、ごく中性に近いものであるため、原水と混合されることにより、希釈されほぼ中性することができる。この場合は、炭酸水がドレン水に存在していないため、ドレン配管の腐食は起こらない。
【0020】
つぎに、復水処理剤の添加量が38mg/リットルの場合は、ドレン水のpHは11.0となり、弱アルカリ性を示した。このことから、復水処理剤添加後のドレン水には、炭酸水が残存しておらず、復水処理剤が多量に残存していることが分かる。この場合は、炭酸水がドレン水に存在していないため、ドレン配管の腐食は起こらない。ただし、弁類のような銅合金部材は、未反応の気化性アミンにより腐食する場合があるので、復水処理剤の大過剰量の添加は好ましくない。
【0021】
すなわち、復水処理剤の添加量が給水のMアルカリ度の当量以上であれば、ドレン配管の腐食を防止することができる。また、復水処理剤は、給水のMアルカリ度と当量で腐食を防止することができるので、復水処理剤の無駄を無くすためには、給水のMアルカリ度と当量加えることが好ましい。
【0022】
以上のように、原水のMアルカリ度,原水温度,給水温度およびドレン水温度により給水のMアルカリ度,すなわち復水処理剤の添加量を求めることができる。つまり、原水のMアルカリ度とドレン回収率により復水処理剤の添加量を求めることができる。
【0023】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、ドレン配管の防食に効果的な復水処理剤の薬注量を制御することができる。
Claims (1)
- 原水を給水として原水配管を通じて給水タンクへ補給し、前記給水タンク内の給水を給水配管を通じてボイラへ供給して加熱することにより発生する蒸気を蒸気配管を通じて蒸気使用機器へ供給して利用するとともに、前記蒸気使用機器で利用された蒸気が凝縮して得られるドレン水をドレン配管を通じて前記給水タンクへ回収し、ドレン水を給水として再利用するボイラシステムにおいて、前記ドレン配管の腐食を防止するための復水処理剤の注入量を制御する方法であって、
原水温度,ドレン水温度および給水温度を測定し、これらの温度測定値から式1を用いてドレン回収率を求める工程Aと、
原水Mアルカリ度およびドレン水Mアルカリ度を測定し、これらのMアルカリ度および前記工程Aで求めたドレン回収率から式2を用いて給水Mアルカリ度を求める工程Bと、
前記工程Bで求めた給水Mアルカリ度の当量以上の中和型気化性アミンを前記給水配管または前記蒸気配管に注入する工程Cとを含む、
復水処理剤の注入量の制御方法。
【式1】
【式2】
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