JP4300460B2 - 超音波診断装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、超音波診断装置に係り、具体的には、心臓や血管などの循環器の機能計測に好適なものに関する。
【0002】
【従来の技術】
超音波診断装置は、探触子を介して被検体に繰り返し超音波を照射し、被検体から発生する反射エコー信号を受信し、受信された反射エコー信号に基づいて超音波画像(例えば、Mモード像、Bモード像)を再構成して表示するものである。
【0003】
このような超音波診断装置において、Mモードを利用して心臓や血管などの循環器の形態の時間的変化を計測するものが提案されている。例えば、心臓の形態を心電波形の時相に同期させてMモード像に表示させ、そのMモード像に基づいて心臓の形態の時間的変化を観察したり、その形態の変化に基づいて心機能を計測するものが知られている(特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平08−252253号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、時間軸を掃引することで循環器等の形態の時間的変化を表示するMモード像を利用して、例えば心室の大きさや壁厚の変化を計測する場合、検者は、ポインティングデバイス等によりMモード像上に一対の計測点(例えば、心室の内壁、外壁)を設定する必要がある。
【0006】
しかしながら、ポインティングデバイスによる設定の位置精度を上げるために、ポインティングデバイスの移動速度が比較的遅く設定されていることから、複数の計測点を設定するのに時間がかかるだけでなく、設定作業が煩わしいという問題がある。
【0007】
本発明の課題は、Mモード像上に計測点を設定する作業を自動化又は簡略化することにある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記課題を解決するため、本発明の超音波診断装置は、被検体の運動部位を含む部位に超音波を送波すると共にその被検体からの反射エコー信号を受波する探触子と、この探触子に超音波送波のための駆動パルスを供給する送波部と、探触子により受波された反射エコー信号に基づいてMモード像を構成する画像構成部と、この画像構成部により構成されたMモード像を記憶する画像記憶部と、画像構成部からのMモード像又は画像記憶部から読み出したMモード像を表示する表示部とを備え、前記Mモード像の同一時間軸における深度方向の一連の画素情報を前記画像記憶部から読み出し、読み出された一連の画素情報の輝度の変化パターンに基づいて前記被検体の運動部位の少なくとも1つの計測基準点を検出する検出手段と、前記計測基準点を前記表示部の表示アドレスに対応付けて自動設定する手段と、この自動設定手段により自動設定された計測基準点と前記Mモード像とを前記表示部に重畳して表示するように制御する手段とを備えたことを特徴とする。
【0009】
すなわち、Mモード像の同一時間軸における深度方向の一連の画素情報を画像記憶部から読み出し、読み出された一連の画素情報の輝度の変化パターンを識別すれば、そのパターンの変わり目に相当する画素位置を運動部位の組織の境界と推定することができる。したがって、その位置に計測基準点を自動設定してマーカを重畳表示することにより、手動で計測基準点を設定する場合に比べ、設定時間を短縮でき、また設定作業を簡略化することができる。
【0010】
この場合において、検出手段は、前記Mモード像の同一時間軸における深度方向の一連の画素情報を前記画像記憶部から読み出し、読み出された一連の画素情報の輝度が連続する領域を検出し、検出された領域の両端部を前記計測基準点として検出することができる。すなわち、画素情報の例えば輝度のパターンが変化せずに同一値が連続する領域を検出すれば、その検出された領域は生体組織が連続して存在している部分あるいは存在していない部分のどちらかであると推定することができる。したがって、その領域は、同一組織の部分か腔部分とみなすことができるから、その領域の表示部の深度軸方向における両端部に一対の計測基準点を設定すれば、手動で設定することに代えて、組織の境界つまり組織の変わり目に計測基準点を自動設定することが可能になる。
【0011】
例えば、循環器の1つである心臓を計測する場合、左室内には血流などが流れているのみであって組織が存在していないから、その部分に係るMモード像の画素情報の変化は殆どない、つまり輝度のパターンはほぼ同一値が連続している。それゆえ、例えば、同一の時相に属した画素列の画素情報を2値化し、その画素列において同値が連続する領域であって、表示部の時間軸に直交する方向の座標軸の中央部の領域を左室内とみなすことができる。したがって、その領域の両端に一対の計測点を設定すれば、左室の内壁に対応する一対の計測点を自動設定することができることになる。
【0012】
また、設定された一対の計測点の両側に連なる領域であって2値化された画素情報において同値が連続する領域を検出することにより、例えば、先に検出設定された領域である腔部分(例えば、心室や血管腔内)の内壁から離れて存在する外壁位置を自動的に検出することができる。そして、検出した領域の端部に他の計測点を設定することにより、腔部分の外壁に計測点を設定することができる。
【0013】
このとき、操作卓から入力される指令に応じて自動設定された計測基準点の表示アドレスを修正するようにするのがよい。これにより、自動設定された計測基準点の位置が画像上で生体組織の境界からズレている場合でも、操作卓により計測基準点の表示位置を修正すれば、計測精度を向上させることができる。
【0014】
例えば、心臓の外壁付近には心膜脂肪など他の組織が存在するため、それに起因して画素情報の変化の境界(輝度値の変わり目)が不明瞭となるので、自動設定された計測点が画像上で生体組織の境界からズレて設定される場合がある。その場合でも、自動設定された計測基準点の位置を検者の視覚的な判断又は経験則などに基づいて位置を修正すれば、計測精度を向上させることができる。
【0015】
ところで、画素情報の変化量を検出するに際し、ノイズなどの影響によって心壁や血管壁の境界を見分けにくい場合がある。このような場合は、一連の画素情報について連続する予め定められた複数画素ごとの画素情報を逐次平滑化し、平滑化された値と予め設定された閾値とを比較して2値化して2値分布を求め、2値分布に基づいて同一値が連続する分布幅の領域を抽出し、最大領域の両端に一対の計測基準点を設定するように構成すればよい。同様に、一対の計測基準点の両側に連なる2値分布に基づいて、同一値が連続する分布幅を求め、求めた分布の端部に他の計測点を設定することもできる。
【0016】
また、計測基準点設定部により設定された計測基準点と他の計測点に対応するMモード像の各座標位置にマーカを超音波画像に重畳して表示することが望ましい。これにより、自動設定された計測基準点にマーカが表示されるので、その計測基準点の設定位置を画面上で視認することが可能になる。したがって、マーカが表示されない場合に比べ、計測基準点の位置が生体組織の境界を的確に指し示しているか否かを視覚的に再確認することが容易になる。
【0017】
さらに、計測基準点の自動設定の精度を上げるには、画像構成部は、探触子により受波された反射エコー信号に基づいて断層像を構成する断層像構成部を備えるのが望ましい。この場合、前記検出手段は、前記Mモード像の同一時間軸における深度方向の一連の画素情報に対応した断層像の画素情報を前記画像記憶部から読み出し、前記断層像の画素情報の輝度の変化パターンに基づき前記被検体内の少なくとも1つの計測基準点を検出する。また、前記自動設定手段は、前記計測基準点を前記表示手段の表示アドレスに対応付けて自動設定し、前記表示制御手段は、前記計測基準点を前記Mモード像に重畳して表示する。
【0018】
すなわち、Bモード像の画素情報は2次元情報であるから、1次元情報であるMモード像の画素列に比べ、画素情報の輝度の変わり目、つまり生体組織の境界を識別することが容易である。したがって、まず、Bモード像で生体組織の境界に対応する座標を検出し、次いで、検出された座標をMモード像の座標に変換すれば、Mモード像で画素情報の変わり目を識別することが困難な場合でも、Mモード像上に計測基準点を確実に設定することが可能になる。例えば、心膜脂肪などに起因してMモード像の画素情報の変わり目を識別できない場合でも、まず、Bモード像で左室の外壁に相当する座標を検出し、検出された座標をMモード像の座標に変換すれば、そのMモード像上に左室の外壁に相当する計測点を自動設定することができる。
【0019】
また、心臓や血管などの循環器を計測する場合は、予め取得した被検体の心電波形に基づいて計測時相を設定し、この設定された計測時相に対応した前記Mモード像の同一時間軸における深度方向の一連の画素情報を画像記憶部から読み出すことができる。例えば、心電波形のR波を検出した時相を第1の計測時相とし、心電波形のP波を検出した時相を第2の計測時相と設定する。そして、前記検出手段は、前記第1の計測時相に対応するMモード像の同一時間軸における深度方向の一連の画素情報を前記画像記憶部から読み出し、それら読み出された一連の画素情報の輝度が連続する第1の計測領域を検出し、前記第2の計測時相に対応するMモード像の同一時間軸における深度方向の一連の画素情報を前記画像記憶部から読み出し、それら読み出された一連の画素情報の輝度が連続する第2の計測領域を検出する。この場合、前記第1の計測領域と前記第2の計測領域に基づいて前記被検体の時間的変化を計測する手段が設けられる。
【0020】
このようにすれば、R波が検出された時相は心臓のほぼ拡張末期に対応し、またP波が検出された時相は心臓のほぼ収縮末期に対応するから、その双方の時相において心室の内壁に相当する一対の計測点を設定し、その計測点間の距離を算出すれば、その左室径の時間的変化から駆出率や径短縮率などといった心機能を計測することができる。
【0021】
さらに、他の望ましい一態様によれば、前記検出手段は、前記第1の計測時相において前記画像記憶部から読み出された同一時間軸における深度方向の一連の画素情報の前記第1の計測領域に隣接し前記第1の計測領域とは異なる輝度が連続する第3の計測領域を検出し、前記第2の計測時相において前記画像記憶部から読み出された同一時間軸における深度方向の一連の画素情報の前記第2の計測領域に隣接し前記第2の計測領域とは異なる輝度が連続する第4の計測領域を検出する。この場合、前記第3の計測領域と前記第4の計測領域に基づいて前記被検体の時間的変化を計測する手段が設けられる。
【0022】
これにより、第3及び第4の領域の端部にそれぞれ一対の計測点を自動設定すれば、その計測点間の距離の時間的変化を計測することができる。例えば、第1の計測時相で設定された左室の内壁に対応する計測基準点と左室の外壁に対応する計測点との距離、及び、第2の計測時相で設定された左室の内壁に対応する計測基準点と左室の外壁に対応する計測点との距離(寸法)を算出し、その距離の時間的変化を計測すれば、左室を形成する壁の厚みつまり心筋厚の時間的変化を計測できる。
【0023】
一方、心室の内壁及び外壁に対応する計測点を全て自動で設定するとき、心室の外壁付近には心膜脂肪や他の生体組織などが存在するため、その外壁に対応した計測基準点を画素情報から自動検出することが困難な場合がある。
【0024】
このような場合は、操作卓から被検体内の少なくとも1つの計測基準点を設定入力し、前記計測基準点に対応する時相を計測時相とし、該計測時相の前記Mモード像の同一時間軸における深度方向の一連の画素情報を前記画像記憶部から読み出し、前記画素情報の輝度の変化パターンに基づき前記被検体内の他の計測点を検出する手段と、前記他の計測点を前記表示手段の表示アドレスに対応付けて自動設定する手段と、この自動設定手段により自動設定された他の計測点と前記Mモード像とを前記表示部に重畳して表示するように制御する手段とを備えるのが望ましい。
【0025】
これにより、心膜脂肪や他の生体組織に起因して画素情報の変化の変わり目を識別することが困難な場合でも、検者は、操作卓から確実に計測基準点(例えば心室の外壁に対応する計測基準点)を設定することができる。また、その設定された計測基準点と同一時相における他の計測点例えば心室の内壁に対応する座標が自動設定されるので、全ての計測点を手動設定する場合に比べ、検者の操作負担を軽減することができ、診断効率を向上させることができる。
【0026】
また、第1の計測基準点を検者の自由意思に基づいて手動により設定すれば、心電波形などを利用して計測時相を自動設定する場合に比べ、個別具体的な事情を考慮して計測点及び計測時相を設定することが可能になる。例えば、不整脈などで心臓の心拍周期が一定でない場合でも、Mモード像を視認しながら第1の計測基準点を検者の意志に基づいて自由に入力設定することができるから、心電波形を利用して計測時相を自動設定する場合に比べ、心臓の拡張末期又は収縮末期に対応する時相を的確に指示することが可能になる。その結果、心臓の拡張末期又は収縮末期の左室径を的確に算出することができるので、不整脈などが生じている心臓においても、心機能計測を精度よく実施することができる。
【0027】
【発明の実施の形態】
(実施形態1)
本発明を適用してなる超音波診断装置の第1の実施形態について説明する。すなわち、心臓を表示するMモード像において左室の内壁と外壁に計測点を自動設定して心機能を計測する実施形態について図1乃至3を参照して説明する。図1は、本発明を適用した超音波診断装置の構成例を示すブロック図である。図2は、心機能を計測する第1の計測処理の一例である。図3は、心臓の形態の時間的変化を表示するMモード像に計測点を設定した画像例である。
【0028】
図1に示すように、超音波診断装置1は、探触子10、送波部と受波部を含んでなる超音波送受信部12、画像構成部であるMモード像構成部14、デジタルスキャンコンバーター(以下、DSC)16、画像記憶部である画像メモリ18、計測処理部20、操作卓22、表示部であるモニタ24、制御部25を有して構成されている。計測処理部20は、計測基準点を検出する検出部と、この検出部により検出された計測基準点をモニタ24の表示アドレスに合わせて自動設定する自動設定部と、この自動設定された計測基準点とMモード像とをモニタ24に重畳して表示する制御部とを含んで構成されている。また、超音波診断装置1には、電極26を備えた生体信号検出部28が接続されている。なお、制御部25と各部を接続する配線図は省略してある。
【0029】
このように構成される超音波診断装置の動作について説明する。まず、被検体の体表に探触子10を当接させる。次いで、制御部25からの指令に基づいて超音波送受信部12から超音波送波のための駆動パルスが探触子10に印加され、探触子10に備えた振動子群から超音波が計測部位である心臓に照射される。その計測部位である心臓から発生した反射エコー信号は、探触子10により受信される。受信された反射エコー信号に基づいてMモード像構成部14によりMモード像が再構成される。一方、被検体の手や足に電極26を接触させ、その電極26により心拍信号が取得される。取得された心拍信号は、生体信号検出部28により増幅などが施されて心電波形とされる。そして、Mモード像構成部14からのMモード像と生体信号検出部28からの心電波形とがDSC16によりそれぞれ表示用の画像に変換され、変換された画像が画像メモリ18に格納される。格納されたMモード像は、制御部25の指令に応じて心電波形の時相に同期してモニタ24に表示される。
【0030】
このような超音波診断装置において、心機能を計測する第1の計測処理を計測処理部20の動作に沿って図2及び図3を参照して説明する。なお、図3に示されるMモード像の横軸は時間軸を示し、その時間軸に直交する縦軸は計測部位の深度を示している。
ステップ100:心電波形30のR波を検出した時相が計測時相(T1)として設定される。
ステップ101:左室の腔内部分32を検出する。例えば、画像メモリ18からMモード像の計測時相(T1)に対応する座標の一連の画素情報が読み出され、その一連の画素情報の変化がない領域つまり同一の輝度値が連続する領域であって、モニタ24の時間軸に直交する方向(深度方向)の座標軸の中央部付近に存する領域32が左室の腔内部分として検出される。
ステップ102:左室の内壁に対応する計測点34a、34bを設定する。例えば、ステップ101の処理により検出された領域32の深度方向の両端部が左室の内壁に相当する位置として推定され、その両端に一対の計測点34a、34bが設定される。そして、計測点34a、34bの座標位置にマーカがMモード像に重畳して表示される。
ステップ103:心筋の領域を検出する。例えば、ステップ102の処理により設定された計測点34a、34bの両側、すなわちモニタ24において計測点34aより縦軸上方側及び計測点34bより縦軸下方側に連なる領域であって、輝度の値が連続する領域36を検出し、検出された領域36が心筋の領域とみなされる。
ステップ104:左室の外壁に対応する第2の計測点を設定する。例えば、ステップ103の処理により検出された心筋の深度方向の端部が左室の外壁として推定され、その端部に計測点34c、34dが設定される。すなわち、計測点34aの縦軸上方側に計測点34cが設定されると共に、計測点34bの縦軸下方側に計測点34dが設定される。そして、計測点34c、34dの座標位置にマーカがMモード像に重畳して表示される。
ステップ105:自動設定された計測点34a〜34cの設定位置を確認する。つまり、検者は、計測点34a〜34cの設定位置が左室の内壁あるいは外壁を的確に指し示しているか否かをMモード像を視認することにより確認する。そして、その計測点34a〜34cが的確に所定の位置に設定されているとき、ステップ107の処理が行われる一方、その設定位置が所定の位置からズレていたとき、ステップ106の処理が行われる。
ステップ106:計測点34a〜34cの設定位置を修正する。検者は、Mモード像を確認しながらポインティングデバイスにより、視覚的な判断又は経験則などに基づいて計測点34a〜34cの設定位置を修正する。
ステップ107:心機能評価値を計測する。例えば、計測時相(T1)は心臓のほぼ拡張末期に対応するから、計測点34aと計測点34bとの間の寸法(距離)を算出することにより左室拡張末期径が計測される。また、計測点34aと計測点34cとの間の寸法(距離)を算出することにより心室中隔厚が計測され、さらに計測点34bと計測点34dとの間の寸法を算出することにより左室後壁厚が計測される。
【0031】
このようなステップ100乃至107からなる第1の計測処理が、心電波形30のP波を検出した時相(T2)においても繰り返し行われる。したがって、時相(T2)における左室の内壁に対応する計測点38a、38bと、外壁に対応する計測点38c、38dが自動設定され、心臓の収縮末期における心機能評価値(左室収縮末期径、心室中隔厚、左室後壁厚など)が計測される。
【0032】
そして、計測時相(T1)の左室径と計測時相(T2)の左室径とから左室径の時間的な変化を計測することにより、心室の駆出率や径短縮率などの心機能が算出される。また、計測時相(T1)の心室中隔厚や左室後壁厚と計測時間(T2)の心室中隔厚や左室後壁厚とから、心筋厚の時間的な変化が計測される。
【0033】
すなわち、循環器の1つである心臓を計測する場合、左室内には血流などが流れているのみであって生体組織が存在していないから、その部分に係るMモード像の画素情報の変化は比較的小さい。言い換えれば、その部分に係るMモード像の輝度のパターンは殆ど変化せずにその輝度値が連続する。したがって、ステップ101、102の処理により、計測時相(T1)と同一時相における輝度値が連続する領域であって、モニタ24の縦軸の中央部に検出された領域32を左室内と推定することができる。したがって、その領域32のモニタ24の深度方向の両端部に一対の計測点34a、34bを設定するようにすれば、手動で計測点を設定することに代えて、組織の境界である左室の内壁に計測点34a、34bを自動的に設定することができる。その結果、手動で設定する場合に比べ、設定時間を短縮でき、また設定作業を簡略化することができる。
【0034】
また、ステップ103、104の処理によれば、一対の計測点34a、34bが設定された領域32に隣接する心室の外壁や血管の外壁などの領域36を検出することができる。したがって、領域36の表示縦軸方向の端部に計測点34c、34dを自動設定すれば、先に検出設定された領域32である心室の内壁から離れて存在する外壁位置に計測点34c、34dを自動的に設定することが可能になる。
【0035】
また、ステップ102、104の処理によれば、自動設定された計測点34a〜34d、38a〜38dにマーカが重畳して表示されるので、その計測点の設定位置をモニタ24上で視認することが可能になる。したがって、マーカが表示されない場合に比べ、計測点の位置が生体組織の境界を的確に指し示しているか否かを視覚的に再確認することが容易になる。
【0036】
さらに、ステップ106の処理によれば、心臓の外壁付近は心膜脂肪などに起因して画素情報の変化の境界が不明瞭であるため、自動設定された計測点38c、38dが生体組織の境界からズレて設定された場合でも、自動設定された計測点38c、38dの位置を検者の視覚的な判断又は経験則などに基づいて位置を修正すれば、計測精度を向上させることができる。
【0037】
また、本実施形態では、心電波形30からP波を検出した時相を計測時相(T2)として設定するようにしているが、P波の検出が困難な場合には、予め取得した心電波形30のR波を検出したときから次にR波を検出したときまでの時相を半分にした時相を計測時相(T2)として設定することができる。また、計測点34aと計測点34b間の寸法の時間的推移を計測し、その寸法が最も小さくなったときの時相を計測時相(T2)として設定してもよい。
【0038】
また、ステップ101の処理において、画素情報の変化が小さい領域、つまり輝度情報の同一パターンが連続する領域32を検出するのに際し、ノイズなどの影響によって左室の内壁を見分けにくい場合には、画像メモリ18から読み出された一連の画素情報について連続する予め定められた複数画素ごとの画素情報を逐次平滑化し、その平滑化された値と予め設定された閾値とを比較して2値化して2値分布を求め、その2値分布に基づいて同一値が連続する分布幅が最大の領域32を左室内32として検出するのがよい。
【0039】
この平滑化及び2値化処理について概念図を用いて説明する。例えば、図3Aは、特定時相におけるMモード像の画素情報の輝度変化を現した線図であり、横軸は輝度の強度を示し、縦軸はMモード像の走査線に対応した深度を示している。また、図3Bは、平滑化フィルターにより輝度の変化を平滑化した線図であり、横軸と縦軸はそれぞれ図3Aの横軸と縦軸に対応している。図3Cは、設定閾値に基づいて2値化された輝度情報を示しており、縦軸は図3A及び図3Bの縦軸と対応している。
【0040】
すなわち、図3Aに示すように、Mモード像の輝度はノイズなどの影響により輝度が細かく変動するため、表示されたMモード像の輝度の変化からでは左室の内壁を見分けにくい場合がある。その場合、図3Bに示すように、輝度情報は、例えば平滑化フィルターにより平滑化されて比較的検出し易い情報にされる。次いで、平滑化された輝度情報は、予め設定された閾値に基づいて0と1の2つの値に変換されて2値分布にされる。そして、図3Cに示すように、その2値分布に基づいて同一値の連続分布幅の最大部分39が左室内の領域32として検出される。なお、図3A乃至Cは、輝度情報の平滑化及び2値化を容易に説明するための概念図であって実際の値を示すものではない。
(実施形態2)
本発明を適用してなる超音波診断装置の第2の実施形態について図3乃至図6を用いて説明する。図4は、本発明を適用した超音波診断装置の第2の構成例を示すブロック図である。図5は、心臓を表示するBモード像の画像例である。図6は、心機能を計測する第2の計測処理の一例である。
【0041】
本実施形態が第1の実施形態と異なる点は、最初にBモード像上で心臓の左室の外壁に対応する座標を検出し、その検出座標をMモード像の座標軸に変換して計測点を設定するようにしたことである。したがって、第1実施形態と同様の機能及び構成を有するものには同一符号を付して説明を省略する。
【0042】
図4に示すように、画像構成部40にMモード像構成部14と並列にBモード像構成部42が設けられている。そのBモード像構成部42は、超音波受信信号12からの反射エコー信号に基づいて、Bモード像(断層像)を再構成する。再構成されたBモード像は、DSC16により表示用の画像に変換された後、画像メモリ18に格納される。格納されたBモード像は、図5に示すように、制御部25の指令に応じてモニタ24に表示される。なお、図5のBモード像に示されたMモードビームライン50は、図3に示したMモード像の走査線に対応している。
【0043】
このような超音波診断装置において、第2の計測処理について図5及び図6を参照して説明する。図6に示すように、第2の計測処理は、第1の計測処理のステップ103に代えて、ステップ110の処理を施すものである。ステップ110の処理では、メモリ18から読み出されたMモード像と同一時相つまり心臓の拡張末期の時相に属し、かつMモードビームライン50に対応するBモード像の一連の画素情報がメモリ18から取り出される。取り出された一連の画素情報について連続する複数画素の画素情報の変化がない領域、つまり輝度値が連続する領域55〜58が検出される。検出された複数の領域55〜58が順番に心臓の形態に対応付けられる。例えば、領域55が左室後壁厚、領域56が左室、領域57が心室中隔厚、領域58が右室内にそれぞれ対応付けられる。したがって、左室の外壁に対応する計測点52a、52bの座標が算出される。
【0044】
そして、ステップ110の処理において算出された計測点52a、52bの座標位置は、ステップ104の処理によりMモード像の座標軸上に変換され、変換された座標位置がMモード像の第2の計測点34c、34dとして設定される。さらに、心臓の収縮末期に対応する時相においても、第2の計測処理を繰り返し行うことにより、収縮末期における左室の外壁に対応する計測点38c、38dが設定される。
【0045】
すなわち、Bモード像の画素情報は2次元情報であるから、1次元情報であるMモード像の画素情報に比べ、画素情報(輝度)の変わり目つまり生体組織の境界を識別することが容易である。したがって、ステップ110の処理によりBモード像で心室の外壁に対応する座標を検出し、次いで、ステップ104の処理によりその検出された座標をMモード像の座標に変換すれば、心室の外壁が心膜脂肪などにより心室の外壁を識別することがMモード像上では困難な場合でも、Mモード像上に左室の外壁に相当する計測点34c、34dを確実に自動設定することが可能になる。
(実施形態3)
本発明を適用してなる超音波診断装置の第3の実施形態について図3及び図7を用いて説明する。図7は心機能を計測する第3の計測処理の一例である。本実施形態が第1の実施形態と異なる点は、Mモード像上で左室の外壁に対応する座標を手動により入力設定し、その入力設定された計測点を基点として左室の内壁あるいは他の外壁に対応する計測点を自動設定するようにしたことである。したがって、第1実施形態と同様の機能及び構成を有するものには同一符号を付して説明を省略する。
【0046】
図7に示すように、第3の計測処理は、第1の計測処理のステップ100に代えて、ステップ120及びステップ121の処理を施すものである。まず、ステップ120の処理では、検者が、モニタ18に表示されたMモード像を視認しながら、心臓の拡張末期における左室の外壁に対応した計測点34cを操作卓22から入力設定する。次いで、ステップ121の処理では、入力設定された計測点34cの時相が計測時相(T1)として設定される。そして、ステップ101乃至104の処理により、計測時相(T1)における左室の内壁あるいは外壁に対応する他の計測点34a、34b、34dが自動設定されて心臓の左室拡張末期径、心室中隔厚、左室後壁厚などが算出される。同様な処理が、心臓の収縮末期においても繰り返される。
【0047】
すなわち、第1の計測処理では、心室の内壁及び外壁に対応する全ての計測点34a〜34cを自動で設定するが、心室の外壁付近には心膜脂肪や他の生体組織などが存在するため、その外壁に対応した計測点34cを画素情報から自動検出することが困難な場合がある。
【0048】
これに対して、第3の計測処理によれば、心膜脂肪や他の生体組織に起因して画素情報の変化の変わり目を識別することが困難な場合でも、検者は、操作卓22から確実に心室の外壁に対応する計測点34cを設定することができる。また、その設定された計測点34cの座標を起点として他の計測点34a、34b、34dの座標が自動設定されるので、全ての計測点を手動設定する場合に比べ、検者の操作負担を低減することができ、診断効率を向上させることができる。
【0049】
また、計測点34cを検者の自由意思に基づいて手動により設定すれば、心電波形30などを用いて計測時相を自動設定する場合に比べ、個別具体的な事情を考慮して計測時相(T1)を設定することが可能になる。例えば、不整脈などで心臓の心拍周期が一定でない場合でも、Mモード像を視認しながら計測点34cを検者の意志に基づいて操作卓22から自由に入力設定することができるから、心電波形30を利用して計測時相(T1)を自動設定する場合に比べ、心臓の拡張末期又は収縮末期に的確に対応した時相を設定することができる。その結果、心臓の拡張末期又は収縮末期の左室径を的確に算出することができるから、不整脈などが生じている心臓においても、心機能計測を精度よく行うことができる。
【0050】
また、本実施形態では、自動設定される計測点34a、34b、34dのうち、計測点34dは、左室の外壁に対応する点であるため、心膜脂肪や他の生体組織などによりMモード像の画素情報からでは識別することが困難な場合がある。その場合、検者は、操作卓22から計測点34dを入力設定してもよい。また、第2の計測処理におけるステップ110の処理を適宜組み合わせて計測点を自動設定するようにしてもよい。
【0051】
以上、実施形態1乃至実施形態3に基づいて本発明を説明したが、これに限られるものではない。例えば、心臓の心機能を計測する例を説明したが、血管を計測する場合にも適用することができる。その場合、計測時相を設定するとき、心電波形に変えて脈波信号などを用いることができる。要するに、本発明の超音波診断装置は、律動的な動きを伴う循環器などに適用することができる。
【0052】
また、心臓の左室径、心室中隔厚、左室後壁厚などの左室に係る心機能評価値を計測する例を説明したが、これに限られるものではなく、右室などの機能計測にも適用することができる。
【0053】
また、図2の第1計測処理、図6の第2計測処理、或いは図7の第3計測処理を適宜切り換えるモード切換手段を設けてもよい。これにより、例えば、全ての計測点を自動設定する第1計測処理を初期設定していたとしても、計測点の自動設定が困難と判断したとき、一部の計測点を手動設定する第3計測処理に切り換えることができる。
【0054】
さらに、Mモード像上に自動設定される計測点34a〜34d、38a〜38dをMモード像の画像情報の変化から自動検出できないとき、モニタ24に警告文を表示したり、あるいは警告音を鳴らすようにしてもよい。これにより、検者は、警告により迅速に自動設定モードから手動設定モードに切り換えることができ、計測効率を向上させることが可能になる。
【0055】
また、画像メモリ18から同一時相に係るMモード像の画素情報を読み出すようにしているが、それに代えて、その時相の前後の時相に係るMモード像の画素情報であって表示アドレスが連続する一連の画素情報を読み出し、その画素情報の変化量つまり輝度値の変化パターンに基づいて計測基準点を自動設定するようにしてもよい。このように、複数時相の画素情報を用いれば、単一時相の画像情報のみから計測基準点を設定する場合に比べ、計測基準点の設定精度を向上させることができる。
【0056】
また、Mモード像、Bモード像、心電波形、及び心機能評価値などの診断に係る情報を被検体の識別番号(例えば、ID)などに関連付けて記憶する手段を備えてもよい。これにより、被検体を再診断する際、その被検体の識別番号から診断に係る情報を読み出すことができるので、診断効率を向上させることができる。
【0057】
【発明の効果】
本発明によれば、Mモード像上に計測点を設定する作業を自動化又は簡略化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した超音波診断装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】心機能を計測する第1の計測処理の一例である。
【図3】Mモード像に計測点を設定した画像例である。
【図4】本発明を適用した超音波診断装置の第2の構成例を示すブロック図である。
【図5】心臓の断層像を表示するBモード像の画像例である。
【図6】心機能を計測する第2の計測処理の一例である。
【図7】心機能を計測する第3の計測処理の一例である。
【符号の説明】
1 超音波診断装置
10 探触子
12 超音波送受信部
14 Mモード像構成部
18 画像メモリ
20 計測処理部
22 操作卓
24 モニタ
25 制御部
42 Bモード像構成部

Claims (9)

  1. 被検体の運動部位を含む部位に超音波を送波すると共にその被検体からの反射エコー信号を受波する探触子と、この探触子に超音波送波のための駆動パルスを供給する送波部と、前記探触子により受波された反射エコー信号に基づいてMモード像を構成する画像構成部と、この画像構成部により構成されたMモード像を記憶する画像記憶部と、前記画像構成部からのMモード像又は前記画像記憶部から読み出したMモード像を表示する表示部とを備えた超音波診断装置において、
    前記Mモード像の同一時間軸における深度方向の一連の画素情報を前記画像記憶部から読み出し、読み出された一連の画素情報の輝度の変化パターンに基づいて前記被検体の運動部位の少なくとも1つの計測基準点を検出する検出手段と、前記計測基準点を前記表示部の表示アドレスに対応付けて自動設定する手段と、この自動設定手段により自動設定された計測基準点と前記Mモード像とを前記表示部に重畳して表示するように制御する手段とを備えたことを特徴とする超音波診断装置。
  2. 前記検出手段は、前記Mモード像の同一時間軸における深度方向の一連の画素情報を前記画像記憶部から読み出し、読み出された一連の画素情報の輝度が連続する領域を検出し、検出された領域の両端部を前記計測基準点として検出することを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
  3. 前記自動設定手段は、操作卓から入力される指令に応じて前記計測基準点の表示アドレスを修正する機能を有してなることを特徴とする請求項1又は2に記載の超音波診断装置。
  4. 前記画像構成部は、前記探触子により受波された反射エコー信号に基づいて断層像を構成する断層像構成部を備え、
    前記検出手段は、前記Mモード像の同一時間軸における深度方向の一連の画素情報に対応した断層像の画素情報を前記画像記憶部から読み出し、前記断層像の画素情報の輝度の変化パターンに基づき前記被検体内の少なくとも1つの計測基準点を検出し
    前記自動設定手段は、前記計測基準点を前記表示手段の表示アドレスに対応付けて自動設定し、前記表示制御手段は、前記計測基準点を前記Mモード像に重畳して表示することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の超音波診断装置。
  5. 前記検出手段は、予め取得した前記被検体の心電波形に基づいて計測時相を設定し、前記計測時相に対応した前記Mモード像の同一時間軸における深度方向の一連の画素情報を前記画像記憶部から読み出すことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の超音波診断装置。
  6. 前記検出手段は、前記心電波形のR波を検出した時相を第1の計測時相と設定し、前記心電波形のP波を検出した時相を第2の計測時相と設定することを特徴とする請求項5に記載の超音波診断装置。
  7. 前記検出手段は、前記第1の計測時相に対応するMモード像の同一時間軸における深度方向の一連の画素情報を前記画像記憶部から読み出し、それら読み出された一連の画素情報の輝度が連続する第1の計測領域を検出し、前記第2の計測時相に対応するMモード像の同一時間軸における深度方向の一連の画素情報を前記画像記憶部から読み出し、それら読み出された一連の画素情報の輝度が連続する第2の計測領域を検出するものとし、
    前記第1の計測領域と前記第2の計測領域に基づいて前記被検体の時間的変化を計測する手段を有してなることを特徴とする請求項6に記載の超音波診断装置。
  8. 前記検出手段は、前記第1の計測時相において前記画像記憶部から読み出された同一時間軸における深度方向の一連の画素情報の前記第1の計測領域に隣接し前記第1の計測領域とは異なる輝度が連続する第3の計測領域を検出し、前記第2の計測時相において前記画像記憶部から読み出された同一時間軸における深度方向の一連の画素情報の前記第2の計測領域に隣接し前記第2の計測領域とは異なる輝度が連続する第4の計測領域を検出するものとし、
    前記第3の計測領域と前記第4の計測領域に基づいて前記被検体の時間的変化を計測する手段を有してなることを特徴とする請求項7に記載の超音波診断装置。
  9. 被検体の運動部位を含む部位に超音波を送波すると共にその被検体からの反射エコー信号を受波する探触子と、この探触子に超音波送波のための駆動パルスを供給する送波部と、前記探触子により受波された反射エコー信号に基づいてMモード像を構成する画像構成部と、この画像構成部により構成されたMモード像を記憶する画像記憶部と、前記画像構成部からのMモード像又は前記画像記憶部から読み出したMモード像を表示する表示部と、操作卓とを備えた超音波診断装置において、
    前記操作卓から前記被検体内の少なくとも1つの計測基準点を設定入力し、前記計測基準点に対応する時相を計測時相として、該計測時相の前記Mモード像の同一時間軸における深度方向の一連の画素情報を前記画像記憶部から読み出し、前記画素情報の輝度の変化パターンに基づき前記被検体内の他の計測点を検出する手段と、前記他の計測点を前記表示手段の表示アドレスに対応付けて自動設定する手段と、この自動設定手段により自動設定された他の計測点と前記Mモード像とを前記表示部に重畳して表示するように制御する手段とを備えたことを特徴とする超音波診断装置。
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