JP4320954B2 - エンジンの吸気構造 - Google Patents

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    • Y02T10/12Improving ICE efficiencies

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はエンジンの吸気構造に係り、特にシリンダ内スワール増強に不利な吸気干渉を防止するのに好適な構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
二つの吸気弁及び吸気ポートを備える多弁吸気式エンジンにおいて、一方の吸気ポートをシリンダ内スワールを生成するためのスワールポート、他方の吸気ポートをそのシリンダ内スワール接線方向に吸気を吹き出すためのタンジェンシャルポートとするものが知られている(特開平10−37751号公報等参照)。
【0003】
即ち、図3に示すように、スワールポート1はヘリカルポート等とされ、シリンダ2内にヘリカル状に吸気を吹き出してシリンダ内スワールSを生成する。タンジェンシャルポート3は、スワールポート1のスワールS方向下流側に隣接して設けられ、スワール接線方向に吸気を吹き出しスワールSを促進する。タンジェンシャルポート3は図示するストレートポートが代表的である。なおタンジェンシャルポート単独でスワールSを生成するエンジンもある。
【0004】
図4に示すように、タンジェンシャルポート3はシリンダヘッド4内を斜めに延出し、入口5がシリンダヘッド4の片側の側面(クランク軸方向と垂直な方向における片側の側面)に開口し、出口6がシリンダヘッド4の下面即ち燃焼室天井面に開口する。そして吸気を全体として斜め下方向に導く。図中7はカムキャリア、Cはシリンダ軸である。タンジェンシャルポート3の出口部9は主ポート部10に対し屈曲されており、出口部9は略シリンダ軸C方向に向けられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、スワールポート1とタンジェンシャルポート3とから吹き出される吸気同士で吸気干渉の問題がある。即ち、図3に示すように、スワールポート1からタンジェンシャルポート3側に向かって流れる吸気Bに対し、タンジェンシャルポート3からスワールポート1側に向かって流れる吸気Aが干渉する。こうなるとスワールポート1によって作り出されたスワール成分が減失され、シリンダ内スワールの増強に不利となる。この傾向は吸気弁の開弁リフト量が大きい程顕著である。
【0006】
図5はタンジェンシャルポート内の吸気の流れを示すシミュレーション結果である。これから分かるように、吸気(流線で示す)は吸気弁8の開弁時にシリンダ2内に流れ込むが、そのとき吸気弁8を避けるためシリンダ軸方向と直角な成分をもって横方向に広がる。そして主ポート部10から出口部9に屈曲しさらに吸気弁8に阻害されてきつく曲げられるUターン状の流れAが生じ、これがスワールポート出口直後のスワールS1 (図3参照)、特にタンジェンシャルポート3に向かってくる流れBに向かい合って衝突し、スワールS1 を減殺する。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るエンジンの吸気構造は、スワールポートに隣接してタンジェンシャルポート(ストレートポートを含む)を設けると共にこのタンジェンシャルポートから吹き出される吸気が上記スワールポートで生成されるシリンダ内スワールと順方向となるように上記タンジェンシャルポートを設け、このタンジェンシャルポートの出口部を主ポート部に対し屈曲させて屈曲部を形成すると共に、屈曲部において、少なくともスワールポートから向かってくる吸気流れに対向する向きの内壁をシャープエッジに形成し、かつ、シャープエッジの内壁の直下流側に位置する出口部の内壁、出口部の軸線に対して30°以下の角度で拡径するように傾斜させることでタンジェンシャルポートの下流側が拡径され、シャープエッジの内壁の直下流側で渦流が発生するようにしたものである。
【0008】
シャープエッジで流れが剥離し、その直下流側で渦流が発生するため、スワールポートからの流れに対向する流れが消失し、スワールの減殺を防止できる。
【0009】
ここで、上記屈曲部のコーナー内側に位置する内壁をシャープエッジとするのが好ましい。
【0010】
また、上記シャープエッジの内壁が、上記タンジェンシャルポートの出口部をポート出口側からポートカッタで切削加工することにより形成されるのが好ましい。
【0012】
上記シャープエッジの内壁の直下流側に位置する出口部の内壁の角度が、5°以上15°以下にされるのが好ましい。
【0013】
また本発明に係るエンジンの吸気構造は、シリンダ内スワールを生成可能なタンジェンシャルポートを設け、このタンジェンシャルポートの出口部を主ポート部に対し屈曲させて屈曲部を形成すると共に、屈曲部において、シリンダ内スワールに対向する向きの内壁をシャープエッジに形成し、かつ、シャープエッジの内壁の直下流側に位置する出口部の内壁、出口部の軸線に対して30°以下の角度で拡径するように傾斜させることでタンジェンシャルポートの下流側が拡径され、シャープエッジの内壁の直下流側で渦流が発生するようにしたものである。
【0014】
さらに本発明に係るエンジンの吸気構造は、吸気ポートの出口部を主ポート部に対し屈曲させて屈曲部を形成すると共に、屈曲部において、シリンダ内スワールに対向する向きの内壁をシャープエッジに形成し、かつ、シャープエッジの内壁の直下流側に位置する出口部の内壁、出口部の軸線に対して30°以下の角度で拡径するように傾斜させることで吸気ポートの下流側が拡径され、シャープエッジの内壁の直下流側で渦流が発生するようにしたものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて詳述する。なお上記従来例と同様の部分については図中同一符号を付し説明を省略する。
【0016】
本実施形態におけるエンジンの吸気構造は上述した従来のものと大略同様で、異なるのはタンジェンシャルポートのみである。平面視も図3と同様である。このエンジンもスワールS方向上流側にスワールポート1、下流側にタンジェンシャルポート3を有している。なおここでは1気筒分のみ示すが、多気筒の場合各気筒に対し同じ構成が採られる。本実施形態のエンジンは4弁直噴ディーゼルエンジンである。
【0017】
図1及び図2に示すように、タンジェンシャルポート3も従来とほぼ同様である。タンジェンシャルポート3はシリンダヘッド4内を斜めに延出し、入口5がシリンダヘッド4の片側の側面に開口し、出口6がシリンダヘッド4の下面即ち燃焼室天井面に開口する。そして吸気を全体として斜め下方向に導く。タンジェンシャルポート3は、入口5から吸気流れ方向に沿ってほぼ直線的に斜め下方向に向かう主ポート部10と、主ポート部10に対し屈曲して連なり、略シリンダ軸C方向に向かう出口部9とから主に構成される。そしてここでは主ポート部10と出口部9との接続部分である屈曲部11に特徴がある。
【0018】
即ち、ここでは屈曲部11のコーナー内側に位置する内壁12をシャープエッジに形成してある。従来(破線で示す)は滑らかなアール形状であったのに対し、本実施形態では意図的に鋭利な角を作っている。そしてこれは、以下に述べるように簡単な加工のみによって実現される。
【0019】
即ち、図2に示すように、出口部9はポートカッタ13により切削加工される。ポートカッタ13を出口6側(シリンダヘッド下面側)から出口部9軸方向に挿入し、出口部9を切削加工していく。特にポートカッタ13の切削部分である先端部13aがテーパ状に形成されるため、出口部9もテーパ状に加工される。これによりシャープエッジの内壁12が簡単に出来上がるのである。この場合、シャープエッジの内壁12は、図3における角度αの周方向領域、即ち屈曲部11のコーナー内側全体にポート約半周に亘って形成される。
【0020】
出口6の周縁部にはバルブシートを嵌着させるための段差溝14が形成されるが、ポートカッタ13はこの段差溝14を拡径加工しないような形状とされる。なお出口6の上方にはバルブガイド挿入穴15が形成される。
【0021】
次に、本実施形態の作用を述べる。
【0022】
上記構成によれば、図1に示すように、吸気がシャープエッジの内壁12を通過するときに剥離し、その直下流側で渦流Rが発生する。従って、吸気全体は渦流Rを回避して流れるようになり、渦流Rの方向へは吸気が吹き出されない。従って、図3乃至図5にAで示すような流れは殆どなくなり、スワールポート1から向かってくる流れBとの干渉もなくなる。これによってスワールポート1によって生成されたスワールS1 を減失せず、シリンダ内全体のスワールSを増強できる。
【0023】
また、渦流Rが発生してもタンジェンシャルポート3からの吹出し流Cは特に影響を受けず、むしろ渦流Rによってこれを回避する流れCが後押しされる格好となり、流れCをさらに加速させてスワールSの増強に有利となる。
【0024】
こうして、二つのポート1,3から吹き出される気流が、いずれもシリンダ内スワールSに対し順方向となり、スワールSの増強が可能となる。
【0025】
また上述したようにかかるシャープエッジの内壁12は、テーパ状のポートカッタ13を用いることによって簡単に作製でき、コスト増加等をもたらすものではない。もっとも厳密にいえば、図1に破線で示すようにポート素材形状の若干の変更が必要な場合もあるが、これはシリンダヘッド鋳造時の簡単な型又は中子の変更に止まり、大きなコスト増加等をもたらすものではない。
【0026】
ポートカッタ13により機械加工するためシャープエッジを高精度に加工でき、渦流発生の精度を高くすることができる。即ち、本実施形態のように、シャープエッジの内壁12は、単なる鋳放しでなく機械加工によりできるものであるのが好ましい。
【0027】
上記趣旨からして、シャープエッジの内壁は、屈曲部11の周方向に沿った内壁のうち、少なくともスワールポート1から向かってくる吸気流れに対向する向きの部分に設ける必要がある。即ち、図3に示すように、流れBに対向する向きの内壁部分、言い換えれば流れAを生成させてしまうような内壁部分に設ける必要がある。本実施形態では屈曲部11の半周領域α全体にシャープエッジの内壁12を設け、その領域全体に渦流Rを発生させており、上記のようなスワールポート1の流れに対する対向領域を含むため、特に問題はない。また、図3にDで示すような主ポート部逆流方向に吹き出す流れ、即ち、スワールポート1からの流れに直接影響はないが、シリンダ内スワールSの増強に不向きの流れの発生も防止できる。
【0028】
ところで、図2に示すように、出口部9の軸線に対するポートカッタ13のテーパ角θは、少なくとも0°以上30°以下、好ましくは5°以上15°以下とするのが良い。これによりシャープエッジの内壁12の直下流側に位置する出口部9の内壁16、言い換えれば出口部9の周方向に沿った内壁のうち、シャープエッジの内壁12と同じ周方向領域に位置する内壁16が、出口部9の軸線に対しテーパ角θと同角度で傾斜することになり、シャープエッジの形成ひいては渦流Rの発生に好適となる。
【0029】
本発明の実施の形態は上述のものに限られない。例えば、本実施形態ではスワールポートとタンジェンシャルポートとの二つの吸気ポートを備えたものであったが、一つの吸気ポート即ちタンジェンシャルポートのみ備え、これのみでシリンダ内スワールを生成するものも可能である。この場合、シリンダ内スワールに対向する向きの内壁をシャープエッジに形成する。こうすれば、渦流発生により、スワールを減失させるような流れの発生を阻止できるからである。
【0030】
さらには、吸気ポートを通常の吸気ポートとすることもできる。要はシリンダ内スワールが発生するものにあって、そのスワールに対向する向きの内壁をシャープエッジに形成すれば、同様の作用効果が得られる。従って、吸気ポートの形式やエンジンの種類(ディーゼル・ガソリンの別)等に特に限定はなく、本発明は極めて幅広く利用できる。
【0031】
【発明の効果】
本発明は次の如き優れた効果を発揮する。
【0032】
(1) ポート間の吸気干渉を防止し、シリンダ内スワールを増強できる。
【0033】
(2) 低コストで容易に実現可能であり、しかも高精度なスワール増強効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態のタンジェンシャルポートを示す縦断面図である。
【図2】図1の要部拡大図である。
【図3】従来及び本実施形態の吸気構造を示す平面図である。
【図4】従来のタンジェンシャルポートを示す縦断面図である。
【図5】従来のタンジェンシャルポート内流れのシミュレーション結果を示す図である。
【符号の説明】
1 スワールポート
3 タンジェンシャルポート
6 出口
9 出口部
10 主ポート部
11 屈曲部
12 内壁
13 ポートカッタ
R 渦流
S シリンダ内スワール
θ テーパ角

Claims (6)

  1. スワールポートに隣接してタンジェンシャルポートを設けると共に該タンジェンシャルポートから吹き出される吸気が上記スワールポートで生成されるシリンダ内スワールと順方向となるように上記タンジェンシャルポートを設け、該タンジェンシャルポートの出口部を主ポート部に対し屈曲させて屈曲部を形成すると共に、該屈曲部において、少なくとも上記スワールポートから向かってくる吸気流れに対向する向きの内壁をシャープエッジに形成し、かつ、シャープエッジの内壁の直下流側に位置する出口部の内壁上記出口部の軸線に対して30°以下の角度で拡径するように傾斜させることで上記タンジェンシャルポートの下流側が拡径され上記シャープエッジの内壁の直下流側で渦流が発生するようにしたことを特徴とするエンジンの吸気構造。
  2. 上記屈曲部のコーナー内側に位置する内壁をシャープエッジとした請求項1記載のエンジンの吸気構造。
  3. 上記シャープエッジの内壁が、上記タンジェンシャルポートの出口部をポート出口側からポートカッタで切削加工することにより形成される請求項1又は2記載のエンジンの吸気構造。
  4. 上記シャープエッジの内壁の直下流側に位置する出口部の内壁の角度が、5°以上15°以下にされた請求項1乃至3のいずれかに記載のエンジンの吸気構造。
  5. シリンダ内スワールを生成可能なタンジェンシャルポートを設け、該タンジェンシャルポートの出口部を主ポート部に対し屈曲させて屈曲部を形成すると共に、該屈曲部において、シリンダ内スワールに対向する向きの内壁をシャープエッジに形成し、かつ、シャープエッジの内壁の直下流側に位置する出口部の内壁上記出口部の軸線に対して30°以下の角度で拡径するように傾斜させることで上記タンジェンシャルポートの下流側が拡径され上記シャープエッジの内壁の直下流側で渦流が発生するようにしたことを特徴とするエンジンの吸気構造。
  6. 吸気ポートの出口部を主ポート部に対し屈曲させて屈曲部を形成すると共に、該屈曲部において、シリンダ内スワールに対向する向きの内壁をシャープエッジに形成し、かつ、シャープエッジの内壁の直下流側に位置する出口部の内壁上記出口部の軸線に対して30°以下の角度で拡径するように傾斜させることで上記吸気ポートの下流側が拡径され上記シャープエッジの内壁の直下流側で渦流が発生するようにしたことを特徴とするエンジンの吸気構造。
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