JP4326811B2 - コーティング方法及びその装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラスチックフィルム等の基材の表面に、厚みがナノオーダーに制御された薄膜をコーティングするコーティング方法および装置に関するものであり、特に、各種光学素子、種々のセンサやフィルタなどの厳密な厚みを制御する必要のある製品の量産する際に利用可能なウエットコーティング技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
ナノコーティング技術として、ドライプロセスでは真空蒸着やスパッタリング、ウエットコーティングではラングミュア−ブロジェット(Langmuir-Blodgett)膜やグラビアコーティングなどが考えられる。ドライプロセスでは、真空や高温が必要なため、生産性が悪く、結果的に得られるコーティング物のコストが高くなり、環境負荷が大きいという問題点がある。
一方、ウエットコーティングでは、常温常圧で作製が可能であるため比較的生産性は良好であるが、塗膜の厚み制御や材料選択性に課題が残る。
ここで、材料が自身で吸着・配向をおこなう自己組織化手法を用いると、溶液中へ基材を浸積させるだけで溶質が基材へ吸着し、その基材の処理状況によっては配向された状態で、薄膜形成がされることが知られている。
【0003】
吸着の方法には、物理的に結合する物理吸着、化学反応で吸着する化学吸着、クーロン力で吸着する電気的吸着などが考えられる。その中でも近年注目されているのが、1992年にG.デッカーらによって発表された交互吸着法(Layer-by-Layer Electrostatic Self-Assembly)である(非特許文献1参照)。この方法では、正電荷を帯びた電解質ポリマーの水溶液と、負電荷を帯びた電解質ポリマーの水溶液とを別々の容器に用意し、これらの容器に、初期表面電荷を与えた基板(被製膜材料)を交互に浸すことにより、基板上に多層構造を有する複合有機超薄膜(交互吸着膜)を得ることができる。
【0004】
例えば、被製膜材料としてガラス基板を用いた場合、このガラス基板の表面を親水処理して表面にOH基を導入して、初期表面電荷として負の電荷を与えることができる。そして、この表面が負に帯電した基板を、正電荷を帯びた電解質ポリマー水溶液に浸せば、電解質ポリマーと基板の間に働くクーロン力により、少なくとも基板の表面の電荷が中和されるまで電解質ポリマーが表面に吸着し、1層の超薄膜が形成される。こうして形成された超薄膜の表面部分は、正に帯電していることになる。そこで、今度はこの基板を負電荷を帯びた電解質ポリマー水溶液に浸せば、クーロン力により負電荷を帯びた電解質ポリマーが基板の表面に吸着され、1層の超薄膜が形成されることになる。このようにして、基板を2種類の溶液に交互に浸すことにより、正の電解質ポリマーからなる超薄膜層と負の電解質ポリマーからなる超薄膜層とを交互に製膜することができ、多層構造をもった複合有機薄膜を形成することができる。
【0005】
最近では、M.F.ルブナーらによって、この交互吸着膜の製造を自動化する技術が発表されており、交互吸着膜の自動製造装置の構成が提案されている(非特許文献2参照)。この装置を用いれば、被製膜材料となる基板がロボットアームにより2つの水槽に交互に浸されるので、基板上に交互吸着膜が自動的に製膜される。こうして作製された交互吸着膜は、有機EL素子(EL: Electro-Luminescence)をはじめとする種々の電子デバイスへの利用が期待されており、更に、表面に交互吸着膜を形成することにより親水性を制御することが可能になるため、コンタクトレンズ表面へのコーティング技術への応用や生体関連材料への応用も注目を集めている。
また、慶應義塾大学の白鳥によって、連続的に交互吸着製膜が可能な製膜装置が提案されている(特許文献1参照)。
【0006】
【非特許文献1】
G.デッカー、J.D.ホン、J.シュミット、シン・ソリッド・フィルムズ誌(Thin Solid Films)、(オランダ)、1992年、第210/211号、p.831
【非特許文献2】
A.C.フォン、O.オニツカ、M.フェレイラ、B.R.シィエ、M.F.ルブナー、ジャーナル・オブ・アプライド・フィジックス誌(J. Appl. Phys.)、(米国)、1996年5月15日、第79号、第10巻、p.7501
【特許文献1】
特開2001−62286号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上述した交互吸着膜の製膜技術は、上記特許文献1により、連続生産のアイデアは開示されているが、浴槽中にロールがあるなど溶液の純度が重要な製膜技術にも関わらず、ロールからの塵埃の発生やロールへの異物の付着などが問題として考えられる。また、基材を溶液中で動かすことで、溶液が静置した状態になりにくく、膜厚が厳密な厚みに均一に制御することが難しく、不均一な薄膜となりやすい。さらには、コーティングは基材の両面に行われてしまい、基材の片面のみへのコーティングが困難であるという問題点がある。そして、この方法においては浴槽の深さが大変深いため、掃除に時間がかかり、また、多量の塗工溶液を必要として、経済的でないという問題がある。
【0008】
そこで本発明は、均一で高品質の膜を基材の表面に連続的に作製できるコーティング方法および装置の清掃が容易で効率的で経済的な運転が可能な装置を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、本発明は、浴槽内に貯えられた塗工溶液の液面に対して、液面の上方から基材を下降させて前記塗工溶液を前記基材の片面とのみ接触させ、さらに前記基材を上昇させて、前記塗工溶液の前記基材と接触している界面が、前記基材と接触していない他の部分の液面よりも盛り上がった状態とし、前記基材の前記上昇を停止し、前記接触状態を保って前記基材を前記塗工溶液の液面に沿って移動させながら、前記塗工溶液の前記基材と接触している界面で、前記塗工溶液の溶質を前記基材の表面に吸着させることにより、前記基材の表面に前記溶質からなる塗工膜を連続的に形成することを特徴とするコーティング方法を提供する
【0010】
このようなコーティング方法においては前記塗工溶液の溶質と、前記基材の表面とが、反対符号の電荷を帯びており、前記溶質が前記基材表面に電気的に吸着されるようにすることもできる。
また、本発明は、上述のコーティング方法により、基材の片面のみに複数の前記溶質からなる塗工膜を形成するコーティング方法であって、第1の浴槽内に貯えられた電荷を持つ可能性のある第1の溶質を含む第1の塗工溶液の液面を前記基材の片面に接触させる第1の吸着工程と、該第1の吸着工程の後に第2の浴槽内に貯えられた前記第1の溶質とは反対の電荷を持つ可能性のある第2の溶質を含む第2の塗工溶液の液面を前記基材の片面に接触させる第2の吸着工程とを有することを特徴とするコーティング方法を提供する。
このコーティング方法においては、基材の片面のみに2種類の前記溶質からなる複数層の塗工膜を形成するコーティング方法であって、前記第1の吸着工程および前記第2の吸着工程を複数回繰り返すようにすることもできる。
前記コーティング方法は、高屈折率層の上に積層されて反射防止膜となる低屈折率膜のコーティング方法とすることができる。
【0011】
さらに本発明は、塗工溶液を貯える浴槽と、基材を保持して前記塗工溶液の液面に沿って連続的に移動させる基材移送手段と、前記基材を上下させることにより前記塗工溶液の液面と前記基材との間隔を調整する位置調整手段とを備え、前記基材移送手段で前記基材を前記塗工溶液の液面に沿って移動させながら、前記塗工溶液の前記基材と接触している界面で、前記塗工溶液の溶質を前記基材の表面に吸着させることにより、前記基材の表面に前記溶質からなる塗工膜を連続的に形成するコーティング装置であって、前記位置調整手段は、前記浴槽内に貯えられた塗工溶液の液面に対して、液面の上方から前記基材を下降させて前記塗工溶液を前記基材の片面とのみ接触させ、さらに前記基材を上昇させて、前記塗工溶液の前記基材と接触している界面が、前記基材と接触していない他の部分の液面よりも盛り上がった状態とし、前記基材の前記上昇を停止し、前記接触状態を保って前記塗工溶液が盛り上がった状態で、前記塗工溶液の溶質を前記基材の表面に吸着させることができるようになっていることを特徴とするコーティング装置を提供する
【0012】
このようなコーティング装置においては、複数の塗工溶液に対応して前記浴槽を複数備え、前記基材移送手段は、基材の塗工溶液の液面に対する移送方向を正逆両方向に変更でき、さらに、浴槽と基材移送手段との一方または両方を移動させて、前記複数の浴槽の選択されたいずれか一つと、基材移送手段に保持された基材とを接触可能な位置関係に配置させる浴槽選択手段とを備えることもできる。
前記コーティング装置は、前記複数の浴槽として、電荷を持つ可能性のある第1の溶質を含む第1の塗工溶液を貯える第1の浴槽と、前記第1の溶質とは反対の電荷を持つ可能性のある第2の溶質を含む第2の塗工溶液を貯える第2の浴槽とを備えるものとすることができる。
前記コーティング装置は、高屈折率層の上に積層されて反射防止膜となる低屈折率膜のコーティング装置とすることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1(a)は、本発明のコーティング装置の一例を模式的に示す概略図である。このコーティング装置は、塗工溶液2を貯える浴槽30と、基材1を保持して前記塗工溶液2の液面2aに沿って連続的に移動させる基材移送手段10としての供給ロール11および巻取ロール12と、前記塗工溶液2の液面2aと前記基材との間隔Dを調整する位置調整手段20としてのガイドロール21〜24を備えている。なお、ここでは、図の簡単のため、供給ロール11、巻取ロール12、および、各ガイドロール21〜24を支持する構成要素は図示を省略してある。
【0014】
ここで、基材1は、プラスチックフィルムなど、可撓性のあるシート状、フィルム状、布状等の基材である。基材1の素材としては、例えば、ポリエステル、ナイロン、アクリル、絹、毛、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリスチレンなどが挙げられる。また、表面の帯電性を向上し、塗工溶液2の溶質を吸着しやすくするため、プラスチックフィルム等に金属酸化物等をコーティングしたものを基材1とすることも好ましい。
【0015】
基材1は、供給ロール11に巻き付けられた状態でコーティング装置にセットされ、その一端を供給ロール11からガイドロール21〜24に沿って引き出し、巻取ロール12に固定される。これにより、供給ロール11と巻取ロール12の間に、ガイドロール21〜24に当接するように、張り渡される。そして、巻取ロール12が、固定された基材1を巻き取ることにより、供給ロール11から巻取ロール12に向かって移送されるようになっている。
【0016】
基材1を溶液表面に接触させるためのガイドロール21〜24は、液面から所望の高さに位置するように上下させられるようになっている。これらのガイドロール21〜24は、溶液に接触することなく基材1を押さえつけることができるようになることが望ましい。ここでは、基材1との摩擦を低減するため、円筒状で、かつ、中心軸の回りに回転可能なロールとしたが、特にこれに限定されるものではなく、三角や四角の柱状あるいは板状などでもよく、また、固定されたものでも構わない。ガイドロール21〜24は、少なくとも、基材1の表面1aと塗工溶液2の液面2aとの間に気泡が入らないように基材1の位置をガイドするものであればよい。例えば、フィルムの幅より若干狭い長さをもったものであっても良いし、幅方向の中心から端へ向かって若干の登り勾配を持たせても良いが、これらに限定されるものではない。
【0017】
さらに、浴槽30に溶質と同じ電荷を与え、ガイドロール21〜24に溶質の電荷と反対の電荷を与えることにより、吸着の速度を早めることも可能である。例えば、プラスに帯電する高分子電解質溶液であれば、浴槽30をプラスに帯電させ、ガイドロール21〜24をマイナスに帯電させることにより、プラスの高分子電解質をより早くフィルム基材1の表面1aに移動させることが可能となる。しかし、界面での溶質の濃度が高くなりすぎると問題があるので、表面電荷面密度などの条件には適度な状態が必要である。
ガイドロール21〜24の個数は、図では模式的に4個として図示しているが、特に限定されるものではなく、1個以上でありうる。
【0018】
塗工溶液2は、例えば、電荷を持つ可能性のある溶質を水などの適宜の溶剤に溶解もしくは分散させたもの(コロイド溶液や分散液でありうる)である。溶質には高分子電解質(アニオンまたはカチオン)、低分子、金属酸化微粒子など、電荷を帯びれば特に材料は問うことなく、使用することができる。
また、電荷を帯びない場合であっても、基材に対して親和性を有し、吸着されうるものを使用することができる。
【0019】
次に、本発明のコーティング方法の概略を説明する。まず、図1(a)のように、基材1を基材移送手段10にセットし、浴槽30に塗工溶液2を入れた後、図1(b)に示すように、位置調整手段20により基材1を液面2aに近づけ、気泡が基材1と液面2aとの間に入らないように、液面2aに基材1表面が接触する位置まで、ガイドロール21〜24を下降させる。
この状態で維持することにより、塗工溶液2の溶質を基材1に吸着させ、基材1の片面のみに塗工膜を形成することができる。ガイドロール21〜24が液面2aより上に位置するようにすれば、ガイドロール21〜24により塗工溶液2の流れが乱されにくくなり、好ましい。
【0020】
より好適なコーティング方法としては、図1(b)の状態で基材1と塗工溶液2とを接触させてから、さらに、図1(c)に示すように、ガイドロール21〜24を若干上昇させ、基材1を液面2aに接触した状態より若干引き上げるのがよい。これにより、表面張力や溶液2の基材1表面への吸着力により、基材1と塗工溶液2との界面が、基材1に接触していない液面2aより若干盛り上がった部分2bを作り出すことができる。この、塗工溶液2が基材1との接触により盛り上がった部分2bは、基材1との相互作用によって、該基材1に対して強く吸着している。このため、基材1との界面が基材1の動きで乱されにくくなり、よりきれいな膜を製造することができる。
【0021】
基材1の溶液2に接触している部分1bと、基材1に接触していない液面2aとの間隔Dが大きい場合には、盛り上がり部分2bが安定せず、溶液2が基材1から離れてしまうおそれがある。溶液2が基材1から離れる限界は、塗工溶液2に使用する溶剤や溶質、溶液の粘度等により異なり、場合によっては、液面2aと基材1との間隔Dがおおよそ5mm程度でも溶液2と基材1とが離れないことがある。しかし、盛り上がり部分2bが安定的に存在するためには、ガイドロール21〜24の位置を調整して、間隔Dをできるだけ小さくした方が好ましい。具体的には、間隔Dは、好ましくは3mm以下であり、より好ましくは1mm以下である。
【0022】
盛り上がり部分2bでは、溶液2は重力に逆らって基材1に吸着されることになる。このようにして形成した基材1と塗工溶液2との界面では、通常の溶液と同様に溶質が含まれており、その溶質が基材1の表面1aに帯電した電荷と逆の電荷を持つ場合、溶質が基材1の表面1aに電気的に吸着することとなる。吸着により盛り上がり部分2bにおける溶質の濃度が低下すれば、拡散により、溶質が自然と拡散してくる。そのため、盛り上がり部分2bから溶質がなくなることはない。
【0023】
さらに、このように溶液2が基材1の表面1aに表面張力で接触している状態であれば、盛り上がり部分2bが基材1方向への力で強力に吸着しているために、盛り上がり部分2bを維持したまま基材移送手段10により基材1を液面2aに沿って平行に動かすことができる。この場合、基材1を溶液2に浸して動かす場合と異なり、溶液2の対流などの抵抗力が発生することはほとんど無くなり、その影響が無視できる。そのため、溶質は基材方向へ電気的及び物理的な力により吸着を行うことが可能となり、きれいなコーティング膜の作製が可能となる。コーティング膜の厚みは、その界面で接触している時間に関係し、表面張力によって転写する溶液の転写量と直接に関係しない。この点は、従来の浸漬法(ディッピング)により作製される薄膜と交互吸着法により作製される薄膜との違いと同様である。
要するに、基材1を連続的に動かすことにより、コーティング膜を連続的に製造することができ、しかも、表面張力や電気的吸着現象を使用することにより、均一でなおかつ連続的に超精密なコーティングが可能となる。
【0024】
このようなコーティング方法によれば、ガイドロール21〜24などの位置調整手段20が、塗工溶液2と接触しない位置に配置されているので、塗工溶液が汚染されにくく、均一で高品質の膜を製造することができる。また、ロールへの異物の付着も抑制され、清掃も容易になる。
さらには、基材1の表面1aに形成されるコーティング膜は、基材1の下面に形成されるので、次行程へ移動する際に、落下物などの付着を防ぐことができる。
【0025】
なお、浴槽30には、新しい溶液を注入できる注入口を持たせることも可能である。新しい溶液を適宜導入することにより、塗料の濃度が変化することなく、常に最適な条件でコーティングが可能となる。溶液2に流れを作っておくこともよく、この場合、溶液2の速度は限定されないが、基材1と同じ速度(同じ向きおよび速さ)で動かした場合、基材1と溶液2との相対速度を小さくし、基材1を溶液2上に静置した状態に近くなるのでさらに好ましい。加工終了後は洗浄液を流すことにより、簡単に浴槽30を洗浄できる。
【0026】
上記構成だけでは、交互吸着法の原理より、電気的吸着だけではなく物理的に吸着した過剰の溶質が付着することが考えられるので、溶液との接触が終わった後にジェットノズルや、清浄なリンス液が貯えられたリンス槽に通すことにより、過剰に吸着した溶質を洗浄して除去することが望ましい。
リンス槽にいれるリンス液としては、基材1の表面に余分に付着した塗工溶液とよく混和してそれを洗い落とせるものが用いられ、例えば、塗工溶液に用いられるのと同じ溶剤を用いるとよい。塗工溶液が水溶液である場合には、水を用いることができる。特に清浄度が要求される場合、超純水が好ましい。
【0027】
以下、本発明を実施の形態に基づいてより具体的に説明する。
図2は、本発明のコーティング装置の一実施形態を示す図である。本実施の形態のコーティング装置は、基材移送手段として、駆動モータ14A、14Bに連結され、正逆両方向に回転駆動可能な2つのロール13A、13Bと、これらのロール13A、13Bの間に設定される基材1の移送経路Pの適宜位置に配置された案内ロール15と、後述する基材経路近接位置(C)に配置された浴槽内の溶液に対する基材1を調整する位置調整手段20としてのガイドロール21〜24とを備えている。
なお、2つのロール13A、13Bや、それに連結される駆動モータ14A、14Bは、それぞれ、説明の便宜上、区別するものであり、互いに異なるものである必要はない。また、ここでは、図の簡単のため、駆動モータ14A、14Bおよび各ガイドロール21〜24を支持する構成要素は図示を省略してある。
【0028】
また、2種類の複数の塗工溶液2に対応する2つの浴槽30A、30Bと、これらの浴槽30A、30Bを移動させる浴槽移送手段41(浴槽選択手段)を備えている。浴槽30A、30Bは、使用時には浴槽移送手段41に支持されるが、浴槽30A、30Bの位置が外乱によって揺れたりズレたりしないのであれば、必ずしも固定する必要はない。浴槽30A、30Bは、洗浄などを容易に行えるように、浴槽移送手段41に対して取り外し可能にしてもよい。
浴槽移送手段41により、第1の浴槽30Aは、基材1の移送経路Pに近接した位置(C;以下「基材経路近接位置」ということがある)と、第1の退避位置(A)との間を移動するようになっている。また、第2の浴槽30Bは、上記基材経路近接位置(C)と、第2の退避位置(B)との間を移動するようになっている。
【0029】
さらに、基材1の移送経路Pにおける、基材経路近接位置(C)の両側の位置には、塗工溶液と接触した基材1を乾燥するための乾燥部31が設けられている。乾燥部31は、加熱や送風などによって、コーティング膜に悪影響を与えることなく塗工溶液を乾燥させるものが用いられ、公知の適当な乾燥装置を用いることができる。乾燥部31は、特に必須というものではないが、塗工溶液が水溶液など乾燥しにくいものである場合に設けると、生産性が向上して好ましい。
なお、特に図示はしないが、移送経路Pにおいて、適宜、基材1をリンスするためのリンス槽を設け、基材1をリンス液に接触させてリンスするようにすることもできる。
【0030】
次に、本実施の形態のコーティング装置の使用方法の一例を説明する。
ロール13Aに巻き取られた長尺の基材1をガイドロール21〜24および案内ロール15に掛け、端部を他方のロール13Bに固定して、基材1を移送経路Pに沿ってセットする。また、第1の浴槽30Aにカチオン性溶質を含む塗工溶液2を入れ、第2の浴槽30Bにアニオン性溶質を含む塗工溶液2を入れる。
【0031】
浴槽移送手段41により、第1の浴槽30Aを基材経路近接位置(C)に、第2の浴槽30Bを第2の退避位置(B)に移送してから、図1に示すようにして塗工溶液に接触させる。さらに、駆動モータ14Bを駆動して、第1のロール13Aから第2のロール13Bに向けて少しずつ基材1を巻き取りながら、順次、基材1の表面にカチオン性溶質を吸着させる。これにより、基材1の表面に、連続的に、カチオン性溶質によるコーティング膜が形成される。
【0032】
次いで、位置調整手段20により、基材1を第1の浴槽30A内の塗工溶液から引き離し、浴槽移送手段41により、第1の浴槽30Aを第1の退避位置(A)に、第2の浴槽30Bを基材経路近接位置(C)に移送してから、基材1を図1に示すようにして塗工溶液に接触させる。さらに、駆動モータ14Aを駆動して、第2のロール13Bから第1のロール13Aに向けて少しずつ基材1を巻き取りながら、順次、基材1の表面にアニオン性溶質を吸着させる。これにより、基材1の表面に、連続的に、アニオン性溶質によるコーティング膜が形成される。
【0033】
このように、基材1を接触させる溶液を交換しながら、上記手順を適宜の回数繰り返すことにより、カチオン性溶質によるコーティング膜と、アニオン性溶質によるコーティング膜とが交互に積層されてなる交互吸着膜を、基材1の表面に形成することができる。このようにして製造される交互吸着膜は、反射防止膜などに利用することができる。
【0034】
本発明のコーティング装置では、ガイドロール21〜24などの位置調整手段20が、塗工溶液2と接触しない位置に配置されているので、塗工溶液が汚染されにくく、均一で高品質の膜を製造することができる。また、ロールや浴槽の清掃も容易になる。
【0035】
本実施の形態のコーティング装置の他の使用方法としては、複数の浴槽30A、30Bに同種の塗工溶液を入れておき、例えば、塗工溶液の減りや経時的劣化等の状況の変化に応じて、浴槽30A、30Bの交替を行うことが例示できる。この場合、各浴槽30A、30Bの容量は少なめにし、深さを浅めにすることができる。これにより、塗工溶液を比較的少量ずつ浴槽30A、30Bに入れることができるので、塗工溶液を効率よく使用することができる。また、塗工溶液が劣化、変質しやすいものの場合でも、新しい塗工溶液を基材1に接触させることができ、より高品質のコーティング膜を製造することができる。また、装置の掃除が簡便になる。
【0036】
図3は、上記コーティング装置の改変例である他の実施形態を示す図である。本実施形態のコーティング装置は、ロール13A、13B;駆動モータ14A、14B;案内ロール15;ガイドロール21〜24;乾燥部31が、一つの基台50上に、支持されている。この基台50は、図示しない移送機構により、上記装置群を一括して(二点鎖線で示すように)移送させるようになっている(基材経路移送手段)。第1および第2の浴槽30A、30Bは、上記基台50の動きからは独立して、前記基台50の移動方向に並んでおり、それぞれ、浴槽支持部51により固定され、支持されている。
なお、ここでは、図の簡単のため、駆動モータ14A、14Bおよび各ガイドロール21〜24を支持する構成要素は図示を省略してある。また、図3では浴槽30A、30Bは2つとしたが、3つ以上とすることもできる。
【0037】
このようなコーティング装置によれば、ロール13A、13B等を基台50ごと移動させることにより、基材1が接触可能となる塗工溶液の浴槽を選択して(浴槽選択手段)、第1の浴槽30Aと第2の浴槽30Bとで交替させることができる。これによっても、2種類(もしくはそれ以上)の塗工溶液を交互に基材1に吸着させるなど、前記図2の装置と同様の効果が得られる。
【0038】
以上、本発明を実施の形態によって説明したが、本発明のコーティング方法および装置を適用する分野としては、基材と溶液との界面で何らかの相互作用が生じうる材料を用いるのであれば、交互吸着法に限られるものではない。例えば、基材として表面に配位子を配位させたフィルムを使用し、該基材表面に蛋白質を吸着させる工程も可能である。この場合、ガイドロールと浴槽に電荷を与えることで、蛋白質の電気泳導が起こり、さらに基材を動かすことにより蛋白質を分離させてさらに基材への吸着を行うことができる。蛋白質分析用装置やフィルムへのDNA固定装置、ゾルゲル法を用いたフィルムの表面修飾や改質、表面張力のみでフィルムへ転写される溶液コーティングなどを行う機械などとして使用することも可能である。
また、上記の実施態様では、浴槽を並列に配設する構成としたが、二本のロール13Aと13Bとの間に複数の浴槽やリンス槽を直列に設けても良い。
【0039】
【実施例】
以下、具体的な実施例を示して本発明の効果を明らかにする。
正の電解質高分子としてポリアリルアミン塩酸塩(PAH、分子量=55000)を用意し、負の電解質高分子としてポリアクリル酸(PAA、分子量=90000)を用意した。いずれも10-2mol/リットルの濃度の水溶液を作製してそれぞれ水浴槽に収容した。
これとは別に、リンス浴に利用する純水として、比抵抗が18MΩ・cm以上の超純水を用意した。
【0040】
図4に示すように、厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム3(帝人・デュポン社製、商品名:メリネックス)上に、高屈折率材料として、酸化チタン(シーアイ化成社製、商品名:チタニアA−11)を用いて、nd=λ/4(nは中心波長の屈折率、dは膜厚、λは中心波長)となるように、λ=550nm、d=75nmとして、高屈折率層4を作製した。高屈折率層4の屈折率は約1.8である。これを基材1として下記実験により比較を行った。
【0041】
(実施例1)
高屈折率層4が形成された基材1を、図2に示す装置を用いて、まずPAH溶液(pH=7.5)の表面に接するように15分間接触させてPAHからなる膜を製膜した後、リンスを行い、それをPAA溶液(pH=3.5)の表面に接するように15分間接触させてPAAからなる膜を製膜した後、リンスを行い、これを1層とした。このようにしてPAHからなる膜とPAAからなる膜を交互に製膜して、合計で8層からなる厚さ約90nmの積層膜(薄膜)5を形成した。これにより、基材1の高屈折率層4上に、(PAH/PAA)薄膜が順に積層された構成の薄膜5を得た。
【0042】
得られた(PAH/PAA)薄膜5の厚みと屈折率、および、反射防止膜としての反射防止効果を、次のようにして評価した。薄膜5の基材1側と反対側の表面を、スチールウールなどを用いて荒らした後、黒インキを塗布して、当該面における光の反射を無くした状態で、反射防止膜の最高反射率と最低反射率を測定した。測定は、紫外可視分光器(日本分光株式会社製「V-570」)を用いて、入射光の波長を350nm〜800nmの範囲を2nm単位で変化させつつ、入射角5°で正反射率を測定し、得られた測定チャートより最高反射率と最低反射率を読み取った。また反射防止膜を構成している低屈折率薄膜の部分の屈折率を上記測定方法によって得られた反射率波形から、既知の光干渉法により屈折率を算出した。
得られた測定チャートを図5に実線で示す。この結果、該波長範囲における最高反射率は8.9%であり、最低反射率は1.1%であった。(PAH/PAA)薄膜部分の屈折率は1.43であった。
【0043】
(実施例2)
実施例1と同様の高屈折率薄膜4が形成された基材1を用いた。この基材1を図2に示す装置を用いて、まずPAH溶液(pH=7.5)の表面に接するように15分間接触させてPAHからなる膜を製膜した後リンスを行い、それをPAA溶液(pH=3.5)の表面に接するように15分間接触させてPAAからなる膜を製膜した後リンスを行い、これを1層とした。このとき、PAH及びPAA浴槽における液面、リンス槽における液面で、50cm/minの速度で基材1を動かし、溶液が基材1の表面を流動する状態を作った。
このようにしてPAHからなる膜とPAAからなる膜を交互に製膜して、合計で8層からなる積層膜5を形成した。厚みは90nm程度となった。
実施例1と同様にして積層膜5の反射率を測定した。この結果を図5に鎖線で示す。該波長範囲における最高反射率は8.6%であり、最低反射率は0.8%であった。(PAH/PAA)薄膜部分の屈折率は1.44であり、実施例1と同程度の薄膜が形成されていることが分かった。
【0044】
(比較例1)
実施例で準備した高屈折率薄膜4が形成された基材1を、手作業で、まずPAH溶液(pH=7.5)中に15分間浸漬させてPAHからなる膜を製膜した後リンスを行い、それをPAA溶液(pH=3.5)中に15分間浸漬させてPAAからなる膜を製膜した後リンスを行い、これを1層とした。このようにしてPAHからなる膜とPAAからなる膜を交互に製膜して、合計で8層からなる厚さ約90nmの積層膜を形成した。最高反射率は8.58%であり、最低反射率は0.60%であった。(PAH/PAA)薄膜部分の屈折率は1.45であった。
【0045】
(比較例2)
実施例で準備した高屈折率薄膜4が形成された基材1を、ロールごとディッピングして、まずPAH溶液(pH=7.5)中に15分間浸漬させてPAHからなる膜を製膜した後リンスを行い、それをPAA溶液(pH=3.5)中に15分間浸漬させてPAAからなる膜を製膜した後リンスを行い、これを1層とした。
このとき、PAH及びPAA浴槽中、リンス槽中で50cm/minの速度で基材を動かし、溶液が基材表面を流動する状態を作った。
このようにしてPAHからなる膜とPAAからなる膜を交互に製膜して、合計で8層からなる積層膜を形成した。厚みは70nm程度となり薄くなった。(PAH/PAA)薄膜部分の屈折率は1.45であったが、実施例1および比較例1と比較すると面状態が汚く、きれいな薄膜が作製されない事が分かった。
【0046】
(比較例3)
実施例で準備した高屈折率薄膜4が形成された基材1を、ロールごとディッピングして、まずPAH溶液(pH=7.5)中に15分間浸漬させてPAHからなる膜を製膜した後リンスを行い、それをPAA溶液(pH=3.5)中に15分間浸漬させてPAAからなる膜を製膜した後リンスを行い、これを1層とした。
このとき、PAH及びPAA浴槽中では基材1を動かさず、リンス槽中のみで50cm/minの速度で基材1を動かし、リンス液が基材1の表面を流動する状態を作った。
このようにしてPAHからなる膜とPAAからなる膜を交互に製膜して、合計で8層からなる積層膜を形成した。厚みは70nm程度となり薄くなった。(PAH/PAA)薄膜部分の屈折率は1.45であったが、実施例1及び比較例1と同様なきれいな薄膜が作製された。
【0047】
以上、実施例と比較例との比較により、溶液に表面張力による盛り上がり部分を形成させ、基材と溶液を表層で接触させるとき、水溶液中へ浸積した場合と同様な薄膜が作製されることと、液面で基材を動かしても、きれいな吸着膜を効率よく製造できること、リンス槽では溶剤は勢いよく流すことが可能であることが分かった。
これに対して、基材を溶液中に浸漬(ディッピング)させ、基材を動かしながら製膜を行った場合、吸着膜が薄くなったり、面状態が汚くなったりするなどの不都合があるとわかった。
また、反射防止膜の性能を評価することにより、ナノオーダーでの厚みの制御がディッピングと同様にできるだけでなく、屈折率もディッピングで作製した薄膜と同等となることが分かり、薄膜の基本物性(密度や透明性など)も同等の物であることが分かった。
すなわち、本発明の連続コーティング装置が、コーティングにおいてディッピング装置と同等の性能を持ち、作製される薄膜がディッピングで作製される薄膜の性能と同じ状態で連続生産が可能となることが分かった。
【0048】
【発明の効果】
以上のとおり本発明に係るコーティング方法および装置によれば、均一で高品質の塗工膜を基材の表面に連続的に作製できる。特に、光学素子等に適したナノコーティング膜を量産することが可能になる。従って、高い品質を維持しながら生産性を向上させ、従来量産できなかった高性能の塗工膜を有するコーティング物を、高効率で経済的に提供できると期待される。
【0049】
本発明のコーティング方法では、接触している基材と塗工溶液との界面で、塗工溶液の溶質を基材の表面に吸着させることにより、前記溶質からなる塗工膜を連続的に形成することができる。
このとき、塗工溶液の溶質と基材の表面とが反対符号の電荷を帯びるようにした場合、溶質が基材表面に電気的に吸着されるので、基材表面に帯電した電荷量(面密度)に応じて均一に溶質を吸着させることができる。
複数の浴槽と、これらの浴槽のうち1つを選択して基材を接触可能な位置関係に配置させる浴槽選択手段とを備えたコーティング装置の場合、複数種類の塗工溶液を所定の順序(例えば交互)で基材上にコーティングすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のコーティング方法を説明する概略図。
【図2】 本発明のコーティング装置の一実施形態例を示す概略構成図。
【図3】 本発明のコーティング装置の他の実施形態例を示す概略構成図。
【図4】 実施例により得られたコーティング膜の一例を示す断面図。
【図5】 実施例により得られたコーティング膜の反射率の測定結果。
【符号の説明】
1…基材、1a…基材表面、2…塗工溶液、2a…塗工溶液の液面、5…塗工膜、10…基材移送手段、20…位置調整手段、30(30A、30B)…浴槽、41…浴槽選択手段(浴槽移送手段)。

Claims (9)

  1. 浴槽内に貯えられた塗工溶液の液面に対して、液面の上方から基材を下降させて前記塗工溶液を前記基材の片面とのみ接触させ、さらに前記基材を上昇させて、前記塗工溶液の前記基材と接触している界面が、前記基材と接触していない他の部分の液面よりも盛り上がった状態とし、前記基材の前記上昇を停止し、前記接触状態を保って前記基材を前記塗工溶液の液面に沿って移動させながら、前記塗工溶液が盛り上がった状態で、前記塗工溶液の溶質を前記基材の表面に吸着させることにより、前記基材の表面に前記溶質からなる塗工膜を連続的に形成することを特徴とするコーティング方法。
  2. 前記塗工溶液の溶質と、前記基材の表面とが、反対符号の電荷を帯びており、前記溶質が前記基材表面に電気的に吸着されることを特徴とする請求項に記載のコーティング方法。
  3. 請求項1または2に記載のコーティング方法により、基材の片面のみに複数の前記溶質からなる塗工膜を形成するコーティング方法であって、
    第1の浴槽内に貯えられた電荷を持つ可能性のある第1の溶質を含む第1の塗工溶液の液面を前記基材の片面に接触させる第1の吸着工程と、該第1の吸着工程の後に第2の浴槽内に貯えられた前記第1の溶質とは反対の電荷を持つ可能性のある第2の溶質を含む第2の塗工溶液の液面を前記基材の片面に接触させる第2の吸着工程とを有することを特徴とするコーティング方法。
  4. 基材の片面のみに2種類の前記溶質からなる複数層の塗工膜を形成するコーティング方法であって、
    前記第1の吸着工程および前記第2の吸着工程を複数回繰り返すことを特徴とする請求項3に記載のコーティング方法。
  5. 前記コーティング方法は、高屈折率層の上に積層されて反射防止膜となる低屈折率膜のコーティング方法であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のコーティング方法。
  6. 塗工溶液を貯える浴槽と、基材を保持して前記塗工溶液の液面に沿って連続的に移動させる基材移送手段と、前記基材を上下させることにより前記塗工溶液の液面と前記基材との間隔を調整する位置調整手段とを備え、
    前記基材移送手段で前記基材を前記塗工溶液の液面に沿って移動させながら、前記塗工溶液の前記基材と接触している界面で、前記塗工溶液の溶質を前記基材の表面に吸着させることにより、前記基材の表面に前記溶質からなる塗工膜を連続的に形成するコーティング装置であって、
    前記位置調整手段は、前記浴槽内に貯えられた塗工溶液の液面に対して、液面の上方から前記基材を下降させて前記塗工溶液を前記基材の片面とのみ接触させ、さらに前記基材を上昇させて、前記塗工溶液の前記基材と接触している界面が、前記基材と接触していない他の部分の液面よりも盛り上がった状態とし、前記基材の前記上昇を停止し、前記接触状態を保って前記塗工溶液が盛り上がった状態で、前記塗工溶液の溶質を前記基材の表面に吸着させることができるようになっていることを特徴とするコーティング装置。
  7. 複数の塗工溶液に対応して前記浴槽を複数備え、
    前記基材移送手段は、基材の塗工溶液の液面に対する移送方向を正逆両方向に変更でき、
    さらに、浴槽と基材移送手段との一方または両方を移動させて、前記複数の浴槽の選択されたいずれか一つと、基材移送手段に保持された基材とを接触可能な位置関係に配置させる浴槽選択手段とを備えたことを特徴とする請求項に記載のコーティング装置。
  8. 前記コーティング装置は、前記複数の浴槽として、電荷を持つ可能性のある第1の溶質を含む第1の塗工溶液を貯える第1の浴槽と、前記第1の溶質とは反対の電荷を持つ可能性のある第2の溶質を含む第2の塗工溶液を貯える第2の浴槽とを備えることを特徴とする請求項7に記載のコーティング装置。
  9. 前記コーティング装置は、高屈折率層の上に積層されて反射防止膜となる低屈折率膜のコーティング装置であることを特徴とする請求項6ないし8のいずれかに記載のコーティング装置。
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