JP4327298B2 - リニアモーター用駆動コイル - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は組立装置や検査装置の搬送や位置決め等に用いられるリニアモーターに使用されるリニアモータ用駆動コイルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
リニアモーターには各種構造のものがあるが、リニア同期モータ、リニア直流モータと呼ばれるものは一般的にベッド(ベース)に駆動コイルを取付け、テーブル(ブロック)に永久磁石を取付け、ベッドを固定すると磁石付きのテーブルが可動するようにした永久磁石可動型リニアモーターと、ベッドに永久磁石を取付け、テーブルに駆動コイルを取付け、ベッドを固定するとコイル付きのテーブルが可動するようにしたコイル可動型リニアモーターとがある。何れの場合も駆動コイルは基板に固定され、その基板を介して駆動コイルに駆動電流が供給されるようにしてある。基板に取り付けられた駆動コイルと、それに対向して配置される永久磁石との間のクリアランスは僅か0.3mm〜1.0mm程度であるため、基板が多少でも撓むと駆動コイルと永久磁石が接触して可動不良を起こす虞れがある。そこで、現在は基板をセラミックスやガラスエポキシ樹脂といった高剛性素材で製造している。
【0003】
駆動コイルは空芯状のものであり、それを基板上の所定位置に固定するには、切削加工によって基板上に駆動コイルを嵌合可能な位置決め溝を形成し、この位置決め溝に駆動コイルを嵌合させて所定位置に位置決めしたり、基板上に位置決め突子(通称「ダボ」)を後付けし、この位置決め突子の外側にコイルの内側空間を被せて同コイルを位置決めしたりしている。
【0004】
前記何れの位置決め手段を採用した場合にも、基板上に固定した駆動コイルの巻始端部及び巻終端部は基板上の回路や端子に夫々接続する。この際、駆動コイルの内側にある巻始端部は当該コイルの上又は下を横切ってその外側に引き出し、基板上の回路等に接続する。
【0005】
近年、新素材の開発に伴ってリニアモータに使用される永久磁石は強力な磁力を有するようになり、消費電力が少なく小型でありながら推進力の大きなリニアモーターの生産が可能となった。しかし、その一方で永久磁石の磁力の増加に伴って、永久磁石に対向する駆動コイルがその磁力線に対して直交する方向に強い反力を受け、巻き崩れを生ずる虞れがある。そこで現在は、巻芯に絶縁導線を巻き取ってコイルを形成した後に、同コイルに通電加熱して絶縁導線の絶縁皮膜の外周に予め塗布しておいた接着剤を溶融させ、又は絶縁導線を巻芯に巻き取りながらアルコール等の溶剤を塗布して接着剤を溶融させ、その後に熱風を吹き付けて溶融させた接着剤を強制乾燥させて絶縁導線同士を接着したり、コイル全体をエポキシ樹脂等でモールドする等の補強処理を施している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
1.前記のように基板に位置決め溝を形成する場合、基板がセラミックスやガラスエポキシ樹脂といった高剛性素材であるため、切削しにくく、切削に手間がかかる。また、切削に高度な加工技術を要し加工コストも高くつく。
2.基板に位置決め突子を突設する場合は、位置決め突子を正確な位置に取り付けなければならないため、取付けに手間がかかり面倒である。また、コイルによって内側空間の形状やサイズが異なるため、それらの形状やサイズに合わせて位置決め突子の取付け位置や寸法を変える必要がありコスト高になる。
3.基板に取付けた駆動コイルの巻始端部を、当該コイルを横切ってその外側に引き出すと巻始端部側の絶縁導線と巻終端部側の絶縁導線とが接触するため絶縁が不十分な場合にはショートしてスパークが発生する虞れがある。特に印加電圧切断時には電磁誘導作用による逆起電力によって電圧差が大きくなるためその虞れが高まる。そこで、コイルの外側に引き出した巻始端部にガラスチューブを被せる等して絶縁性の向上を図る必要がある。
4.コイルの巻き崩れを防止するために前記のように絶縁導線同士を接着して補強処理を施しても、コイルの巻き崩れを100%防止することは困難であり、また、その分だけコストも高くなる。
5.同一の治具を使用して絶縁導線を巻いても夫々のコイルの厚みにはどうしてもバラツキがでる。従って、複数の駆動コイルを使用するリニアモーターでは夫々の駆動コイルとそれに対向して配置される永久磁石との間の距離が異なり、夫々のコイルに作用する磁力に差が生じる。尚、磁力は距離の2乗に反比例して弱まる。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は前記諸問題を解決するリニアモーター用駆動コイルを提供することにある。
【0008】
【0009】
【0010】
【0011】
本件出願の第1のリニアモーター用駆動コイルは、請求項1記載のように、巻始端部5と巻終端部6と内側空間12を備えた空芯コイル1において、内側空間12内に剛性のある樹脂製の補強材2が射出成形により形成され、補強材2には、基板3の位置決め穴14に差し込んで位置決めするための位置決め突子4、巻始端部5を基板3の端子や回路へ接続する作業が可能な空間部7、補強材2に空芯コイル1の巻始端部5を前記空間部7に導出するための導出部8及び隙間18が形成され、導出部8は基板3に配置されると基板3との間に導出空間9が形成されるように補強材2の表面よりも凹陥して形成され、隙間18は補強材2の導出部8と連通して位置決め突子4に形成されたものである。
【0012】
本件出願の第2のリニアモーター用駆動コイルは、請求項2記載のように、巻始端部5と巻終端部6と内側空間12を備えた空芯コイル1において、空芯コイル1の外側に剛性のある樹脂製の補強材2が射出成形により形成され、補強材2には、基板3の位置決め穴14に差し込んで位置決めするための位置決め突子4と、前記巻終端部6を補強材2の外側に導出するための導出部8が及び隙間18が形成され、導出部8は基板3に配置されると基板3との間に導出空間9が形成されるように補強材2の表面よりも凹陥して形成され、隙間18は補強材2の導出部8と連通して位置決め突子4に形成されたものである。
【0013】
本件出願の第3のリニアモーター用駆動コイルは、請求項3記載のように、巻始端部5と巻終端部6と内側空間12を備えた空芯コイル1において、前記内側空間12内と外側との双方に剛性のある樹脂製の補強材2が射出成形により形成され、前記一方又は双方の補強材2に基板3の位置決め穴14に差し込んで位置決めするための位置決め突子4が形成され、空芯コイル1の内側の補強材2に巻始端部5を基板3の端子や回路へ接続する作業が可能な空間部7と、空芯コイル1の巻始端部5を前記空間部7に導出するための導出部8及び隙間18が形成され、その隙間18は内側の補強材2の導出部8と連通して位置決め突子4に形成され、空芯コイル1の外側の補強材2に巻終端部6を補強材2の外側に導出する導出部8及び隙間18が形成され、その隙間18は外側の補強材2の導出部8と連通して形成され、両補強材2の導出部8の夫々は基板3に配置されると基板3との間に導出空間9が形成されるように補強材2の表面よりも凹陥して形成されたものである。
【0014】
本件出願の第4のリニアモーター用駆動コイルは、請求項4記載のように、前記第1乃至第3のいずれかに記載のリニアモーター用駆動コイルにおいて、射出成形により空芯コイル1の内側に成形された補強材2の外周面が空芯コイル1の内側空間12に露出している絶縁導線10の積層間隙に食込んで密接し、空芯コイル1の外側に成形された補強材2の内周面が空芯コイル1の外側に露出している絶縁導線10の積層間隙に食込んで密接しているものである。
【0015】
【0016】
【発明の実施の形態】
(リニアモーター用駆動コイルの実施形態1)
本発明のリニアモーター用駆動コイルの第1の実施形態を図1〜図4に基づいて詳細に説明する。このリニアモーター用駆動コイルは図1に示すように、絶縁導線10を略矩形のリング状に巻き、上下に俵巻きに積層して空芯コイル1とし、その内側空間12に図2に示すような樹脂製の補強材2を固定し、その補強材2に位置決め突子4と空間部7と導出部8とを形成したものである。
【0017】
図2に示す補強材2は、その外周面が空芯コイル1の内周面に密接するブロック状に形成されており、永久磁石に対向する位置に配置されて電流が流されたときに、フレミングの左手の法則に従って磁力線の方向と直交する方向に生じる力(反力)によって同空芯コイル1の巻きが崩れたり、変形したりすることを防止する働きをするものである。この補強材2は空芯コイル1の内側空間12(図1)に熱可塑性樹脂を射出成形して形成されており、図3(b)の拡大図に示されるように当該補強材2の外周面が空芯コイル1の内側空間12に露出している絶縁導線10の積層間隙に食い込んで密接し、接着剤等を使用しなくとも確実に固定されるようにしてある。また、図3(a)に示すように補強材2の厚みは空芯コイル1の厚みと同一か、空芯コイル1の厚みより僅かに薄くして、図4(b)に示すように当該空芯コイル1を基板3に取り付ける場合に、同空芯コイル1の厚み以上の取り付けスペースを要しないようにしてある。
【0018】
前記補強材2は剛性が高いことが望ましく、素材となる熱可塑性樹脂には曲げ弾性率が1m2当たり8×102kgf/m以上(ASTMD790による)の、所謂エンジニアプラスチックを使用するのが望ましい。具体的にはポリアミド樹脂(例えばナイロン)、ポリアセタール系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、変性ポリフェニレンエーテル、ポリエステル系樹脂(例えばポリエチレンフタレートやポリブチレンフタレート)、ポリフェニレンサルファイド系樹脂、ポリスルフォン系樹脂、ポリエーテルケトン系樹脂(例えばポリエーテルエーテルケトン)、全芳香族ポリエステル系樹脂(例えばポリアリレート)、ABS系樹脂、ポリオレフィン系樹脂(例えば強化ポリプロピレン)、サーモトロピック結晶ポリマー等を使用するのが望ましい。
【0019】
図2に示す空間部7は補強材2の内側に略矩形に形成されている。この空間部7は基板3の所定位置に配置された空芯コイル1の巻始端部5を基板3上の回路、電極、ターミナル13(図4a)に半田付けしたり、基板3上に開設された引き込み孔(図示しない)に差し込んで基板3の反対側(裏面)に引き込んだりする作業を行うための空間である。図2では空間部7を補強材2の長手方向中央よりやや左寄りの位置に形成してある。尚、前記引き込み孔から基板3の反対側(裏面)に引き込まれた巻始端部5も基板3上の回路、電極、ターミナル等(図示しない)に半田付け等によって接続されることは同じである。尚、図4(a)の15は空芯コイル1の巻終端部6が接続されるターミナルである。
【0020】
前記位置決め突子4は図2に示すように補強材2の外周縁寄りと、前記空間部7の周縁とに夫々設けられている。両位置決め突子4とも前記補強材2と同一素材によって同補強材2と一体成形されており、基板3に開口されている位置決め穴14(図4a)に差込むことによって、当該空芯コイル1を基板3の所定位置に正確に位置決めするためのものである。図2のように1つの補強部2に2以上の位置決め突子4を突設すると、基板3に設置した空芯コイル1が水平方向へ回転することを規制できるので望ましいが、位置決め突子4を1つとし、その位置決め突子4を異形(円形以外)とすることによって空芯コイル1の水平方向への回転を規制してもよい。勿論、2つ以上の位置決め突子4の全部又は一部を異形としてもよい。何れの場合も位置決め突子4を基板3の位置決め穴14(図4a)に圧入することによって当該空芯コイル1を接着剤等を使用することなく基板3に固定することができる。勿論、圧入することなく接着剤等で基板3に固定することもでき、圧入すると共に接着剤を使用して固定することもできる。
【0021】
図2に示すように2つの位置決め突子4は円柱状に形成されているが、空間部7の周縁に突設された位置決め突子4にはその中央に前記空間部7に連通する隙間18を形成すると共に一部を面取りしてある。
【0022】
図2に示すように前記導出部8は補強材2の表面外周縁寄りを前記隙間18に連通するように凹陥させて形成してあり、当該空芯コイル1を基板3の所定位置に配置すると、図3(a)に示すように当該導出部8と基板3との間に、同導出部8の底面20と両内側面22と基板3の上面24とによって囲まれた導出空間9が形成されるようにしてある。この導出空間9を形成することによって、空芯コイル1の巻始端部5を導出空間9及び隙間18を通して空間部7内に引き込むことができ、巻始端部5が他の絶縁導線10(特に巻終端部6寄りの絶縁導線)に接触することなく、さらには補強材2と基板3とに挟まれることもなく空間部7内に引き込むことができる。
【0023】
図2に示すように導出部8は前記隙間18より幅広として、空芯コイル1の巻始端部5を空間部7に向けて折り返す点(図2のP点)が同図の矢印方向に多少づれても巻始端部5をその内側に収容することができるようにしてある。
【0024】
(実施形態2)
本発明のリニアモーター用駆動コイルの第2の実施形態を図5に基づいて詳細に説明する。図5に示すリニアモーター用駆動コイルの基本構成は前記図2に示すものと同一である。異なるのは補強材2を空芯コイル1の外側に設けたことである。この補強材2も金型を使用して空芯コイル1の外側に熱可塑性樹脂を射出成形することによって、当該補強材2の内周面が空芯コイル1の外周面に露出している絶縁導線10の積層間隙に食い込んで同外周面に密接し、接着剤等を使用しなくとも確実に固定されるようにしてある。また、補強材2の厚みは空芯コイル1の厚みと同一か、空芯コイル1の厚みより僅かに薄くしてある。
【0025】
また、図5に示す補強材2にも導出部8が形成され、当該空芯コイル1を基板3の所定位置に配置すると導出空間9が形成されるようにしてあるが、この導出空間9は空芯コイル1の巻終端部6を空芯コイル1の外側に引き出すために使用される。一方、空芯コイル1の巻始端部5は同図の矢印方向に折り返して、空芯コイル1の内側空間12内において基板3上の回路や端子やターミナル等に接続する。
【0026】
(リニアモーター用駆動コイルの他の実施形態)
前記実施形態1又は2では補強材2が空芯コイル1の内側又は外側の一方に設けられたものを示したが、補強材2は空芯コイル1の内側及び外側の双方に設けることもできる。また、空芯コイル1の内側又は外側の一部にのみ設けることもできる。これらの場合、位置決め突子4及び導出部8は空芯コイル1の内側及び外側の補強材2のうち一方にだけ突設してもよく、双方に突設してもよい。また、補強材2を空芯コイル1の内側に設ける場合には同補強材2の形状は空芯コイル1の内側空間12の形状によってその形状がある程度規制されるが、補強材2を空芯コイル1の外側に設ける場合にはそのような規制が無いため、任意の形状とすることができる。何れの場合にも補強材2は前記樹脂以外のFRP、セラミックス等で製作することもできる。
【0027】
位置決め突子4の位置は図示したものに限られず、基板3上の位置決め穴14の位置や空芯コイル1の設置位置等に応じて適宜変更することができる。また、位置決め突子4の数も1つ以上の任意の数とすることができる。
【0028】
空間部7の形状も図示したものに限られず、空芯コイル1の巻始端部5を基板3上の回路等に接続可能であれば所望の形状とすることができる。また、導出部8も補強材2と基板3との間に、空芯コイル1の巻始端部5を空間部7に引き込むことができる導出空間9を形成可能な形状であれば所望の形状とすることができる。
【0029】
(リニアモーター用駆動コイル製造方法の実施形態1)
図2に示すリニアモーター用駆動コイルの製造方法を次に説明する。
(1)回転軸に取付けた巻芯に絶縁導線10を巻き取って図1に示すような空芯コイル1を製造する。
(2)図6に示すように空芯コイル1を下型26の上にセットする。このとき、同図に示すように空芯コイル1の巻始端部5を同コイル1の肉厚方向に引き出して下型26に開設されている逃げ孔28に挿入しておく。この逃げ孔28の内径は巻始端部5の外径とほぼ同一として、巻始端部5を挿入すると同巻始端部5との間に樹脂が侵入できないようにしてある。
(3)空芯コイル1がセットされた下型26の上に上型30を合わせる。このとき上型30を下型26側に押圧して、内部の空芯コイル1を圧迫する。このようにすると、空芯コイル1の厚みが下型26と上型30との間に形成される空間32の高さに圧縮され、幅(平面方向の大きさ)も空間32の幅に圧縮され、個々の空芯コイル1の厚みや幅のバラツキが矯正される。
(4)前記空間32に、上型30に設けられた充填口34から溶融状態の樹脂を所定圧力で充填する。このとき逃げ孔28に挿入されている空芯コイル1の巻始端部5には樹脂が付着することがない。
(5)樹脂が冷えて固まったら下型26と上型30を上下に分離してコイルを取り出す。
【0030】
図5に示すリニアモーター用駆動コイルの製造方法も前記と基本的に同一であるが、図5に示すリニアモーター用駆動コイルを製造する場合には空芯コイル1の外側に空間32が形成される金型を使用して、当該空芯コイル1の外側に補強材2を形成する。
【0031】
前記絶縁導線10は導線をウレタン樹脂で被覆してなるものであるが、これ以外の絶縁材で被覆された絶縁導線を使用することもできる。また、空芯コイル1の絶縁導線10同士を接着剤で接着したり、空芯コイル1の全体を樹脂でモールドする等の補強処理を施すこともできる。絶縁導線10同士の接着や、モールドは前記従来の方法と同一の方法で行うことができる。また、空芯コイル1は絶縁導線10を俵巻きではなく通常の積層巻きしたものであってもよい。
【0032】
本発明のリニアモーター用駆動コイルを使用したリニアモータとして例えば図7に示すものが考えられる。このリニアモーターは同図に示すように略矩形板状に形成されたベッド40と、同ベッド40の長手方向に沿って往復移動するテーブル42と、ベッド40上に設置された本発明の駆動コイル44と、テーブル42に設置された永久磁石46とを備え、駆動コイル44に駆動電流を流してその周囲に磁界を発生させると、フレミングの左手の法則によって永久磁石46が取付けられたテーブル42が図7の矢印方向に推力を受けて同方向に移動するようにしたものである。
【0033】
図7に示すように前記ベッド40の上面には略矩形板状に形成され当該ベッド40とほぼ同じ長さを有するコイルヨーク47が配置されており、複数本の六角穴付きボルト(図示しない)によってベッド40に固定されている。当該コイルヨーク47の幅方向両側部には2本のトラックレール50が同コイルヨーク47の長手方向に沿って平行に配置されており、複数本の平小ねじ51によってコイルヨーク47に固定されている。
【0034】
図8に示すように、夫々のトラックレール50の外側面には断面形状が略半円状の軌道溝52が1条形成されている。当該トラックレール50には同トラックレール50に沿って往復スライド自在なスライドメンバー54が配置されている。このスライドメンバー54には転動体循環路(図示しない)が形成されており、当該転動体循環路内には転動体としての多数のボール56が配列収容されている。これらボール56は前記トラックレール50に対するスライドメンバー54の移動に伴ってトラックレール50の軌道溝52上を転動しつつ循環してトラックレール50及びスライドメンバー54の間で荷重を負担する働きをする。
【0035】
前記スライドメンバー54はケーシング58と、当該ケーシング58の両端部にさら小ねじ60によって結合された一対のエンドキャップ62と、夫々のエンドキャップ62の外面に共締めされたシール64とを有している。前記転動体循環路はケーシング58を直線的に貫くように且つ互い平行に形成された負荷軌道溝及びリターン溝と、両エンドキャップ62に形成されて前記負荷軌道溝及びリターン溝の両端部同士を連通させる一対の略円弧状の方向転換部とから成る。尚、転動体循環路のうち負荷軌道溝がトラックレール50の軌道溝52と対向している。
【0036】
本発明の駆動コイル44は図7に示すように前記2本のトラックレール50の間にベッド40の長手方向に沿って複数配置されている。具体的には図3(a)に示すように複数の駆動コイル44が配置された基板3を駆動コイル44がコイルヨーク47と対向する向きで2本のトラックレール50の間に並べ、夫々の基板3をコイルヨーク47にねじ止めしてある。尚、基板3をコイルヨーク47にねじ止めする際には基板3とコイルヨーク47との間にアセンブリ等を介装させてねじの締付けによって基板3が反り等の変形を生じないようにすることが望ましい。また、基板3には夫々の駆動コイル44に対応してホール効果素子(図示しない)が設けられている。
【0037】
図7に示すようにベッド40の長手方向両端はエンドプレート66によって閉塞されており、夫々のエンドプレート66の内側には緩衝材68を取付けて当該ベッド40上で往復スライドするテーブル42がエンドプレート66に衝突してもベッド40やテーブル42が破損しないようにしてある。ベッド40の長さはテーブル42を移動させたい距離に応じて任意に選択することができるが、図7に示すものは一例として約600mmとしてあり、幅は約80mmとしてある。
【0038】
図7に示すテーブル42は箱形に形成されており、その底面を前記トラックレール50に取付けられたスライドメンバー54に固定することによって、ベッド40の上をトラックレール50に沿って図中の矢印方向に往復移動自在としてある。このテーブル42は、その下面にマグネットヨークを設け、そのマグネットヨークにベッド40上に配置された前記駆動コイルと対向するように永久磁石46を設けて、駆動コイル44に駆動電流が流されるとフレミングの左手の法則によって図7の矢印方向に推力を受けて同方向に移動するようにしてある。前記永久磁石46は略矩形板状に形成され、テーブル42の移動方向(ベッド40の長手方向)に沿ってN・Sの磁極が交互に並ぶように配置されている。
【0039】
以上の構造を有するリニアモーターは例えば図9に示すようにティーチングボックス70とコントローラ72(プログラマブルコントローラ)とドライバ74とから構成される制御システムによってパルス制御することができる。具体的には、ティーチングボックス70を使用してコントローラ72にプログラムを入力し、コントローラ72が制御プログラムに従って出力するパルスと当該リニアモータに設けられたエンコーダ(図示しない)による現在位置のフィードバック信号とをドライバ74で比較演算し、その結果に応じた制御信号に基づいて複数の駆動コイル44のうちテーブル42直下のコイルに電圧を印加し、プログラムされた距離だけ移動させることができる。移動速度はパルスの出力周波数によってコントロールされる。また、パルス制御以外にも直流電圧の入力指令によって速度制御や推力制御が行える。尚、前記制御システムにシーケンサやRS232Cによる外部入出力装置を加えて操作することもできる。
【0040】
図7に示したリニアモーターはテーブル42が1つのものであるが、本発明の駆動コイルを用いたリニアモーターにはテーブル42を2以上設けたものも含まれる。その場合、複数のテーブル42を個別に移動させることも、同時に移動させることもできる。図10に示すようにベッド40の上部をカバー80で覆い、テーブル42が同カバー80とベッド40の間でその長手方向に往復移動するようにしたものも含まれる。この場合はテーブル42の上面を断面コ字状に凹陥させて、その内側にカバー80が嵌るようにする。
【0041】
【発明の効果】
本件出願のリニアモーター用駆動コイルは、空芯コイルの内側及び外側の双方又は一方の全体又は一部に、剛性のある補強材を固定し、補強材に空芯コイルを基板上の所定位置に位置決めするための位置決め突子を突設したので次のような効果を有する。
1.永久磁石の保持力の向上に伴って、駆動コイルがその磁力線に対して直交する方向に強い反力を受けても巻き崩れや変形を生ずる虞がない。
2.ドリル等によって基板上に位置決め穴に開設し、同位置決め穴に位置決め突子を嵌合するだけで、当該コイルを所定位置に位置決めすることができる。従って、従来のように駆動コイルを基板上に位置決めするために加工難度の高い位置決め溝を形成する必要がない。
3.駆動コイルの位置決めのために、基板上に同コイルの種類ごとに異なる空芯の形状に応じた位置決め突子を後付けする必要もない。
4.駆動コイルはその外形が異なっても内側空間の形状は共通であるため、補強材を同コイルの内側空間内に設ける場合には、当該コイルの外形に影響されることなく補強材の形状を共通とすることができる。
5.補強材を駆動コイルの外側に設ける場合には補強材の形状がコイルの内側空間の形状によって決定されることがないため、基板の形状その他の応じて所望の形状とすることができる。
【0042】
本件出願のリニアモーター用駆動コイルは、駆動コイルの巻始端部をその内側から引き出して基板上の端子や回路に接続可能としたので次のような効果を有する。
1.駆動コイルの巻始端部を基板上の端子や回路等に接続するために、基板を特別の形状にしたり、基板に特別な加工を施す必要がない。
2.基板上において駆動コイルが占める容積を最小限に抑えることができる。
【0043】
本件出願のリニアモーター用駆動コイルは、駆動コイルの巻終端部を空芯コイルの外側に引き出して基板上の端子や回路に接続可能としたので次のような効果を有する。
1.駆動コイルの巻終端部を基板上の端子や回路等に接続するために、基板を特別の形状にしたり、基板に特別な加工を施す必要がない。
2.基板上において駆動コイルが占める容積を最小限に抑えることができる。
【0044】
本件出願のリニアモーター用駆動コイルは、補強材に空芯コイルの巻始端部を基板の端子や回路へ接続する作業が可能な空間部を形成したので次のような効果がある。
1.基板上に配置した駆動コイルの巻始端部を基板上の端子や回路等に接続するための作業が非常に行い易く、製造時間を短縮することができる。
【0045】
本件出願のリニアモーター用駆動コイルは、補強材にその表面よりも凹陥した導出部を設けて、空芯コイルを基板に取付けると導出部と基板との間に、空芯コイルより導出した巻始端部を空間部内に導出可能な導出空間が形成される様にしたので次のような効果がある。
1.巻始端部が駆動コイル自体に接触しないので、絶縁不良の可能性がなく、巻始端部にガラスチューブを被せたりする必要がない。
2.基板上の回路や端子に接続するために空間部内に引き込まれる巻始端部が補強材と基板との間に挟まれることがない。従って、補強材と基板との間に挟まれた巻始端部の存在によって当該コイルががたついたり、このがたつきを防止するために基板上面に逃げを形成するための加工を施したりする必要がない。
【0046】
本件出願のリニアモーター用駆動コイルは、補強材にその表面よりも凹陥した導出部を設けて、空芯コイルを基板に取付けると導出部と基板との間に、空芯コイルより導出した巻終端部を空芯コイルの外側に導出可能な導出空間が形成される様にしたので次のような効果がある。
1.基板上の回路や端子に接続するために引き出された巻終端部が補強材と基板との間に挟まれることがない。従って、補強材と基板との間に挟まれた巻終端部の存在によって当該コイルががたついたり、このがたつきを防止するために基板上面に逃げを形成するための加工を施したりする必要がない。
【0047】
本件出願のリニアモーター用駆動コイルは、補強材が剛性のある樹脂製であり、基板の位置決め穴に対応した位置決め突子が突設されているので次のような効果がある。
1.補強材に剛性があるため空芯コイルの巻き崩れや変形を確実に防止することができる。
2.補強材が樹脂製であるため軽量である。また、加工が容易で補強部を容易に所望の形状とすることができる。さらに原材料費が安いのでコストを低く抑えることができる。
【0048】
前記リニアモーター用駆動コイルの製造方法には次のような効果がある。
1.金型にセットした空芯コイルの巻始端部又は巻終端部を金型の一部に収容して、金型に充填される樹脂が同巻始端部又は巻終端部に付着しないようにしたので、巻始端部又は巻終端部を基板上の回路等に接続する際に付着した樹脂を除去する必要がなく、巻始端部の処理が非常に簡単となる。また、付着した樹脂の除去が不十分で接触不良を起こすこともない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 空芯コイルの一例を示す斜視図。
【図2】 本発明のリニアモーター用駆動コイルの第1の実施形態を示す斜視図。
【図3】 (a)は図2のX−X断面図、(b)は(a)の部分拡大図。
【図4】 (a)は本発明のリニアモーター用駆動コイルが設置される基板の一例を示す平面図、(b)は(a)の基板に本発明のリニアモーター用駆動コイルを設置した状態を示す平面図。
【図5】 本発明のリニアモーター用駆動コイルの第2の実施形態を示す斜視図。
【図6】 本発明のリニアモーター用駆動コイルの製造方法を示す説明図。
【図7】 本発明のリニアモーター用駆動コイルを使用したリニアモーターの一例を示す一部断面を含む斜視図。
【図8】 図7に示すリニアモーターに使用されるトラックレール及びスライドメンバーを示す一部断面を含む説明図。
【図9】 図7に示すリニアモーターの制御システムの一例を示す説明図。
【図10】 本発明のリニアモーター用駆動コイルを使用したリニアモーターの他例を示す斜視図。
【符号の説明】
1 空芯コイル
2 補強材
3 基板
4 位置決め突子
5 巻始端部
6 巻終端部
7 空間部
8 導出部
9 導出空間
10 絶縁導線
Claims (4)
- 巻始端部(5)と巻終端部(6)と内側空間(12)を備えた空芯コイル(1)において、
内側空間(12)内に剛性のある樹脂製の補強材(2)が射出成形により形成され、
補強材(2)には、基板(3)の位置決め穴(14)に差し込んで位置決めするための位置決め突子(4)、巻始端部(5)を基板(3)の端子や回路へ接続する作業が可能な空間部(7)、巻始端部(5)を前記空間部(7)に導出するための導出部(8)及び隙間(18)が形成され、
導出部(8)は基板(3)に配置されると基板(3)との間に導出空間(9)が形成されるように補強材(2)の表面よりも凹陥して形成され、
隙間(18)は補強材(2)の導出部(8)と連通して位置決め突子(4)に形成されたことを特徴とするリニアモーター用駆動コイル。 - 巻始端部(5)と巻終端部(6)と内側空間(12)を備えた空芯コイル(1)において、
空芯コイル(1)の外側に剛性のある樹脂製の補強材(2)が射出成形により形成され、
補強材(2)には、基板(3)の位置決め穴(14)に差し込んで位置決めするための位置決め突子(4)と、前記巻終端部(6)を補強材(2)の外側に導出するための導出部(8)及び隙間(18)が形成され、
導出部(8)は基板(3)に配置されると基板(3)との間に導出空間(9)が形成されるように補強材(2)の表面よりも凹陥して形成され、
隙間(18)は補強材(2)の導出部(8)と連通して位置決め突子(4)に形成されたことを特徴とするリニアモーター用駆動コイル。 - 巻始端部(5)と巻終端部(6)と内側空間(12)を備えた空芯コイル(1)において、
前記内側空間(12)内と外側との双方に剛性のある樹脂製の補強材(2)が射出成形により形成され、
前記一方又は双方の補強材(2)に基板(3)の位置決め穴(14)に差し込んで位置決めするための位置決め突子(4)が形成され、
空芯コイル(1)の内側の補強材(2)に巻始端部(5)を基板(3)の端子や回路へ接続する作業が可能な空間部(7)と、巻始端部(5)を前記空間部(7)に導出するための導出部(8)及び隙間(18)が形成され、その隙間(18)は内側の補強材(2)の導出部(8)と連通して位置決め突子(4)に形成され、
空芯コイル(1)の外側の補強材(2)に巻終端部(6)を補強材(2)の外側に導出するための導出部(8)及び隙間(18)が形成され、その隙間(18)は外側の補強材(2)の導出部(8)と連通して形成され、
両補強材(2)の導出部(8)の夫々は基板(3)に配置されると基板(3)との間に導出空間(9)が形成されるように補強材(2)の表面よりも凹陥して形成されたことを特徴とするリニアモーター用駆動コイル。 - 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のリニアモーター用駆動コイルにおいて、射出成形により空芯コイル(1)の内側に成形された補強材(2)の外周面が空芯コイル(1)の内側空間(12)に露出している絶縁導線(10)の積層間隙に食込んで密接し、空芯コイル(1)の外側に成形された補強材(2)の内周面が空芯コイル(1)の外側に露出している絶縁導線(10)の積層間隙に食込んで密接していることを特徴とするリニアモーター用駆動コイル。
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