JP4328149B2 - 撮像装置および撮像装置の動作方法 - Google Patents

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Description

本発明は撮像装置および撮像装置の動作方法に係り、特に高感度の撮像装置および撮像装置の動作方法に関する。
非晶質セレンを含む半導体層に高電界を印加すると、当該半導体層内部にアバランシェ増倍現象が起こることが知られており、この現象を利用して、非晶質セレンを含む光電変換層を用いた走査電子ビーム読み出し型のアバランシェ増倍方式高感度撮像管や、2次元固体走査IC回路読み出し型のアバランシェ増倍方式高感度固体撮像装置が開示されている。(例えば特許文献1、特許文献2参照)。
前記撮像装置においては従来から様々な改良がなされ、例えば偽信号の発生や図形歪、またはターゲット膜の熱的変化などに対する対策が提案されている。(例えば特許文献3〜特許文献5参照)。
特開昭63−174480号公報 特開平7−192663号公報 特開平7−29507号公報 特開2001−57166号公報 特開2002−319354号公報
しかし、撮像装置を高感度にするために、当該撮像装置の光電変換層である半導体層を厚くすると、撮像装置の動作中に半導体層が破損しやすくなり、例えば当該光電変換層の破損の結果、当該撮像装置によって撮像された画像に白いきず状の欠陥(以下文中白きずと表記する)が発生する場合があった。
そのため、撮像装置の光電変換層を厚くすることに限界があり、撮像装置を高感度化することが困難となっている問題があった。
そこで、本発明では上記の問題を解決した、新規で有用な撮像装置および撮像装置の動作方法を提供することを目的としている。
本発明の具体的な課題は、非晶質セレンを含む光電変換層を用いた撮像装置において、当該光電変換層を厚くして撮像装置を高感度とすることを実現することである。
本発明の別の課題は、非晶質セレンを含む光電変換層を用いた撮像装置において、当該光電変換層を厚くした高感度である当該撮像装置を、当該光電変換層を破損することなく安定に使用する動作方法を提供することである。
上記の課題は、非晶質セレンを含む光電変換層と、前記光電変換層の第1の面に形成された第1のバリア層と、前記第1のバリア層上に形成された透光性電極と、前記光電変換層の第2の面に形成された第2のバリア層と、前記光電変換層の第2の面の側に設けられた、前記光電変換層で生成される信号電荷を読み出す、電荷読み出し手段とを有する撮像装置であって、前記光電変換層の温度を、当該光電変換層のガラス転移温度以上であって当該ガラス転移温度+30℃以下に制御する温度制御手段を有し、前記光電変換層の膜厚は20μm以上であることを特徴とする撮像装置により、解決する。
当該撮像装置を用いた場合、非晶質セレンを含む光電変換層の温度制御を行うことで当該光電変換層の破損を抑制し、光電変換層を厚くすることが可能となって、高感度な撮像装置を実現することが可能となる。
また、前記透光性電極を介して前記光電変換層には電圧が印加され、当該電圧により当該光電変換層にかかる電界が、0.6×108〜1.1×108V/mであると、当該撮像装置が高感度となり、好適である。
また、前記光電変換層はAsを含むと、前記光電変換層のガラス転移温度が上昇して耐熱性が向上し、好適である。
また、前記温度制御機構はペルチェ素子を用いて温度制御することが可能である。
また、上記別の課題は、非晶質セレンを含む光電変換層と、前記光電変換層の第1の面に形成された第1のバリア層と、前記第1のバリア層上に形成された透光性電極と、前記光電変換層の第2の面に形成された第2のバリア層と、前記光電変換層の第2の面の側に設けられた、前記光電変換層で生成される信号電荷を読み出す、電荷読み出し手段とを有する撮像装置の動作方法であって、前記撮像装置の前記光電変換層の膜厚が20μm以上であり、前記光電変換層の第1の面に光線が入射し、前記透光性電極を介して電圧が印加されるとともに、その温度が当該光電変換層のガラス転移温度以上であって当該ガラス転移温度+30℃以下に制御される前記光電変換層に、信号電荷が発生する第1の工程と、当該信号電荷が読み出される第2の工程とを有することを特徴とする撮像装置の動作方法により、解決する。
当該撮像装置の動作方法により、非晶質セレンを含む光電変換層を用いた撮像装置において、当該光電変換層を厚くした高感度である当該撮像装置を、当該光電変換層を破損することなく安定に使用することが可能となる。
また、前記第1の工程では前記電圧により、当該光電変換層にかかる電界が、0.6×108〜1.1×108V/mであるようにすると、前記撮像装置が高感度となり、好適である。
また、前記第1の工程の前に、前記光電変換層の温度を、当該光電変換層のガラス転移温度以上であって当該ガラス転移温度+30℃以下に制御して保持する前工程をさらに含むと、前記撮像装置の破損を防止するためにさらに効果がある。
前記前工程では、前記透光性電極を介して前記光電変換層に電圧が印加され、当該光電変換層に0.1×108〜0.6×108V/mの電界がかけられると、前記撮像装置の破損を防止するのに効果がある。
また、前記光電変換層の温度は、ペルチェ素子を用いて当該光電変換層のガラス転移温度以上であって、当該ガラス転移温度+30℃以下に制御する動作方法が好適である。
本発明によれば、非晶質セレンを含む光電変換層を用いた撮像装置において、当該光電変換層を厚くして撮像装置を高感度とすることが可能となる。
また、非晶質セレンを含む光電変換層を用いた撮像装置において、当該光電変換層を厚くした高感度である当該撮像装置を、当該光電変換層を破損することなく安定に使用することが可能となる。
次に、本発明の実施の形態に関して図面に基づき、以下に説明する。
[原理]
図1は、本発明の撮像装置の動作原理を概略的に示した断面図である。図1を参照するに、撮像装置の光電変換層103は、例えば非晶質セレンを主成分とする半導体層からなる。前記光電変換層103の第1の面には、正孔が前記光電変換層103に注入されることを防止するバリア層102が、また前記光電変換層103の、前記第1の面に対向する第2の面には、電子が前記光電変換層103に注入されることを防止するバリア層104が形成されている。
前記バリア層102上には、電圧印加手段105に接続された透光性電極101が形成され、前記バリア層102を介して前記光電変換層103に電圧を印加することが可能となっている。
例えば可視光などの入射光107が、前記透光性電極101の側から前記光電変換層103に入射すると、当該光電変換層103内で、正孔と電子が発生する。前記光電変換層103には電圧が印加されているため、発生した電子は前記透光性電極101の方向へ、正孔は前記バリア層104方向へ移動する。
この場合、前記バリア層104では、発生した正孔が、前記バリア層104上を走査される、図示しない電子ビーム部より発する電子ビーム106によって供給される電子と再結合する。このようにして、入射光107から変換された信号電荷の読み取りが行われ、入射光107が画像信号に変換される。
この場合、前記光電変換層103に印加される電圧を、例えば前記光電変換層103のブレークダウン電圧付近まで上昇させると、入射光によって発生した電子と正孔のうち、特に正孔が、高い電圧で加速されることにより、前記光電変換層103内の半導体層の原子に衝突して、衝突電離を生じ、電子と正孔の対を発生させる現象がおきる。
このような衝突電離により発生した電子と正孔のうち、特に正孔が高い速度で移動することにより、さらに新たな衝突電離が生じて電子と正孔を次々に発生させるというイオン化連鎖反応が生じる。この現象はアバランシュ増倍と呼ばれ、このアバランシュ増倍現象を利用することにより、高い電荷増倍率が得られ、撮像装置の感度を増大させることが可能となっている。
撮像装置の感度をさらに上げるためには、前記したアバランシュ増倍現象が生じる領域を大きくする、すなわち前記光電変換層103の厚さL0を大きくする必要がある。しかし、前記L0を大きくした撮像装置を用いると、例えば撮像装置により撮像された画像に、白きずが発生してしまう場合があった。このようなきずが発生する原因としては、以下の現象が起こっている可能性が考えられる。
前記光電変換層103を形成する主成分である非晶質セレンには、電子を捕獲する局在準位が存在し、当該局在準位は当該光電変換層103内の電子の移動を阻害し、その一部を捕獲すると考えられる。そこで、当該光電変換層103の厚さを増大させた場合、電子を捕獲する局在準位の数が多くなり、局在準位に捕獲される電子の数も増大してしまう。
局在準位に捕獲された電子は空間電荷として作用するため、電子捕獲が特に多い部分では電界集中が生じて、当該光電変換層103の膜破壊を引き起こし、前記したような画像への白きずの発生となって現れると考えられている。
本発明ではこのような膜破壊の問題を解決するため、撮像装置に前記光電変換層103の温度制御機構を設置し、当該光電変換層103の温度制御をするようにした。
例えば、当該光電変換層103の温度を、当該光電変換層103のガラス転移温度以上とすることで、前記したような膜破壊の問題の発生を防止することが可能となる。これは、当該光電変換層103の主成分である、非晶質セレンが、当該非晶質セレンのガラス転移温度以上になると、ガラス転移温度未満の温度では凍結していた原子の状態が変化し、当該光電変換層103内部の電子の走行性が向上して捕獲される電子の数が減少するためと考えられる。本発明では、非晶質セレンの粘性(鈴木傑、小林種雄、大野広夫、神谷真治:「As-SeおよびAs-Se-X(X=I,S)系ガラスの転移領域での粘性」、材料、第22巻、第233号、p32-37(1973)参照、M.CUKIERMAN and
D.R.UHLMANN, “VISCOUS FLOW BEHABIOR OF SELENIUM”, Journal of Non-Crystalline
Solids 12, p.199-206(1973)参照)、弾性率(A.Eisenberg and A.V.Tobolsky, Journal
of Polymer Science, Vol.61, p.483-(1962),参照)ならびに電子の移動度(H.P.GRUNWALD and R. M.Blakney, “Electron and Hole Drift Mobilities in
Vitreous Selenium”, PHYSYCAL REVIEW, Vol.165, No.3, p.1006-1009(1968)参照)の温度依存性に基づいて、非晶質セレンのガラス転移温度を31℃とする。この温度は、非晶質セレンの粘性が略1013poiseに相当する。また、先に述べたように、非晶質セレンにAsを添加すると、ガラス転移温度がAs添加濃度1原子%当り5℃上昇することが知られている(鈴木傑、小林種雄、大野広夫、神谷真治:「As-SeおよびAs-Se-X(X=I,S)系ガラスの転移領域での粘性」、材料、第22巻、第233号、p32-37(1973)参照)。
また、前記光電変換層103の温度をさらに上昇させていくと、当該光電変換層103のガラス転移温度+30℃程度の温度以上で、当該光電変換層103が波状に変形する、いわゆる膜しわが発生し、正常な画像信号が得られなくなってしまう場合がある。
そのため、前記光電変換層103の温度は、当該光電変換層のガラス転移温度以上であって、当該ガラス転移温度+30℃以下に制御されることが好ましく、本発明では光電変換層をこの温度領域に制御し、光電変換層の保護をはかっている。
また、非晶質セレンに、微量のAsを添加することで、前記した膜しわが発生しない温度の上限値を上げることが可能となるが、詳細については後述する。
次に、図1に示した構造を用いた撮像装置の例の詳細について、図2〜図4を用いて説明する。
図2は、実施例1による撮像装置10を模式的に示した断面図である。前記撮像装置10は、例えば可視光などからなる入射光16がレンズ15を介して、さらに透光性板11を通過して光電変換層23を含む受光部20に入射する構造になっている。
前記受光部20は、透光性電極21、バリア層22、光電変換層23、増し付け層24およびバリア層25からなるが、この構造については、図3以降で後述する。
前記受光部20のバリア層25は、電荷読み取り手段である電子ビーム発生部30から発する電子ビームによって走査され、入射光から変換された信号電荷の読み取りが行われる構造になっている。
前記電子ビーム発生部30は、メッシュ電極33、カソード電極36、集束偏向電極34、電子銃筐体37、インジウムリング32、金属リング31より構成されている。集束偏向電極34は、カソード電極36より射出される電子ビーム35を集束偏向するために設けられたものである。
前記透光性電極21には、負荷抵抗13を介して電源14が接続され、前記光電変換層23に電圧が印加される構造になっている。前記撮像装置10によって撮像が行われる場合には、電圧が印加された前記光電変換膜23に発生した信号電荷を、前記電子ビーム発生部30によって走査された電子ビーム35によって読み取り、信号電荷は信号ピン12を介して転送される構造になっている。
本実施例の場合、信号電荷が発生する前記光電変換層23の温度制御を行う温度制御手段40が設けられて、当該光電変換層23の温度制御を可能とする構成になっている。前記温度制御手段40は、例えばペルチェ素子からなる温度制御素子44と、前記透光性板11に取り付けられた温度測定手段41および制御装置43を含む。
前記温度測定手段41によって測定された温度データは、フィードバック回路42を介して制御装置43に送られ、当該制御装置43は、当該温度データに応じて前記温度制御素子44を制御する。前記温度制御素子44は、例えば前記電子銃筐体37の外壁に、前記金属リング31を覆うように設置される。
前記温度制御素子44に、例えばペルチェ素子を用いた場合には、前記光電変換層23を冷却することと加熱することの双方が可能になる。なお、ペルチェ素子の構造については後述する。また、前記温度制御素子44は、ペルチェ素子に限定されるものではなく、通常のヒータを用いることも可能であり、また送風機とヒータを組み合わせたものを用いることも可能である。
次に、前記受光部20の構造について、図3(A)、(B)を用いて説明する。図3(A)(B)は、実施例1における撮像装置10の受光部20の概略構成を示した図である。図3(A)は、前記受光部20を電子ビーム走査側から見た平面図であり、図3(B)は、前記受光部20の概略断面図である。
図3(A)、(B)を参照するに、前記受光部20は、前記透光性板11の、前記入射光16が入射する面と対向する面に形成されている。前記透光性板11上には前記透光性電極21が形成され、前記透光性電極21上には、前記バリア層22が、さらに前記バリア層22上には、非晶質セレンを主成分とする光電変換膜23が形成されている。
前記光電変換膜23上には、前記電子ビーム35によって走査される、走査領域20aと、前記電子ビーム35が照射されることがない非走査領域が存在する。当該非走査領域上には、当該非走査領域の表面電位を安定させるための増し付け層24が形成され、当該増し付け層24および前記光電変換層23を覆うように、バリア層25が形成されて、受光部20を構成している。また、前記増し付け層24は、省略した構造とすることも可能である。
前記第1のバリア層は、正孔が前記光電変換層23に注入されることを防止する正孔注入防止層であり、光電変換によって発生する以外の正孔が光電変換層に注入されることを防止している。
前記第2のバリア層は、電子ビームのランディング層であると共に、電子が前記光電変換層23に注入されることを防止する電子注入防止層であり、光電変換によって発生する以外の電子が光電変換層に注入されることを防止している。
前記光電変換層23中では、前記透光性板11側から入射する入射光16によって電子と正孔が発生する。当該光電変換層23には、前記透光性電極21を介して電圧が印加されているため、図1の説明で前記したように、アバランシュ増倍現象が起こって、このアバランシュ増倍現象を利用することにより、高い電荷増倍率が得られ、撮像装置10の感度を増大させることが可能となっている。
また、当該電圧を大きくすると、電荷増倍率は大きくなるが、過大な電圧を印加すると光電変換層がブレークダウンしてしまうため、アバランシュ増倍を生じさせて、かつ光電変換層がブレークダウンしない適正な電圧値とすることが必要であり、当該電圧によって光電変換層にかかる電界を0.6×108〜1.1×108V/mとすることが好ましい。
本実施例においては、前記温度制御手段40によって、前記光電変換層23の温度を、当該光電変換層23のガラス転移温度以上であって、当該ガラス転移温度+30℃以下の範囲に制御することで、当該光電変換層23の破損および破損による白きずの発生を防止している。
そのため、前記光電変換層23すなわちアバランシュ増倍が生じる層を厚くして電荷増倍率を高くし、撮像装置の高感度化を可能としている。
前記受光部20は、たとえば以下に示す製造方法によって製造される。以下の製造方法は、前記増し付け層24を省略した構造の場合の製造方法について示している。まず、透光性ガラスからなる透光性面板11の片面に高周波スパッタリング蒸着法を使用して、直径14mm、厚さ30nm、の酸化インジウムを主体とする透光性電極21を形成する。
次に、前記透光性電極21上に真空蒸着法によって、直径14mm、厚さ20nmの酸化セリウムからなる、正孔注入阻止層となるバリア層22を形成する。そして、形成したバリア層22上に、一例として非晶質セレンを主成分とする厚さ35μmの光電変換層23を形成する。当該光電変換層23には、必要に応じてAsを添加してもよい。
次に、蒸着法によって、電子ビーム走査側表面の全域に、圧力0.3Torr(0.3×1.33322×10Pa)の不活性ガス雰囲気中で、三硫化アンチモンからなる直径14mm、厚さ0.2μmのバリア層25を形成し、受光部20を得る。
このようにして得られた受光部20は、前記インジウムリング32、金属リング31を使用して電子銃筐体37に装着し、内部を真空封止して撮像装置10を得る。
また、温度制御に用いる前記温度制御素子44には、例えばペルチェ素子など加熱と冷却の双方の機能を有する素子を用いることにより、例えば寒冷地での使用や、高温化での過酷な条件での使用など加熱と冷却が必要な双方の場合において、光電変換層の温度を保持することが可能となる効果を奏する。
図4は、ペルチェ素子の構造を模式的に示した図である。P型半導体52aと、N型半導体52bを図のように電極51、53aおよび53bで接続し、電源54を用いて前記電極53a側から電流を流すと、前記電極51側では発熱作用が、前記電極53aおよび53b側では吸熱作用が起こる。また、電流の正負を逆にすると、発熱作用と吸熱作用が生じる部分が入れ替わる。
そのため、本実施例ではこのようなペルチェ素子を用いることで、光電変換層の冷却と加熱の双方を可能としており、広範囲な外気条件のもとで撮像素子を使用することが可能となる。
次に、前記撮像装置10を用いて撮像を行う際の動作方法を、図5〜図6に基づき、手順を追って説明する。但し、文中、先に説明した場合には同一の参照符号を用いて説明を省略する。
図5を参照するに、まずステップ1で(図中S1と表記する、以下同様)撮像の動作を開始すると、ステップ2において、前記透光性電極21を介して前記光電変換層23に電圧を印加し、当該光電変換層にかかる電界を0.6×108〜1.1×108V/mとして、例えば図2で図示を省略したシャッタを開放して入射光16が当該光電変換層23に入射するようにする。
次に、ステップ2において、前記電子ビーム発生部30によって、電子ビーム35を走査して、前記光電変換層23で発生した信号電荷を読み取る。
所定の期間の撮像を行った後、ステップ4で前記シャッタを閉じて、撮像の操作を完了する。
この場合、ステップ1〜ステップ3において、前記光電変換層23は、前記温度制御機構によって、当該光電変換層23のガラス転移温度以上であって、当該ガラス転移温度+30℃の範囲に制御されている。そのため、光電変換層が破損することがない。
また、実施例2は、次に示す実施例3のように変更することが可能である。
図6は、実施例2を変更した実施例3の動作方法を示したものである。ただし図中、先に説明した部分には同一の参照符号を付し、説明を省略する。
図6を参照するに、図6に示す本実施例では、ステップ1とステップ2の間に、実質的な撮像を行わない、前工程であるステップ1aを追加している。ステップ1aにおいては、前記光電変換層23にアバランシュ増倍現象を起こさせること無く、かつ当該光電変換層の温度を当該光電変換層のガラス転移温度以上であって、当該ガラス転移温度+30℃以下の範囲に保持している。
このような、前工程を設けた理由は、光電変換層の保護をより効果的に行うためである。例えば、光電変換層が厚い場合は、当該光電変換層の温度をガラス転移温度まで上昇させても、光電変換層の破損を防止する効果(白きず発生を防止する効果)は、直ちには発生しない場合がある。
そこで、光電変換層内で、アバランシュ増倍現象を発生させる前に、当該光電変換層23の温度を当該光電変換層23のガラス転移温度以上であって、当該ガラス転移温度+30℃以下の範囲で一定期間保持し、光電変換層の破損防止効果が十分に向上してから、光電変換層にアバランシュ増倍現象を発生させて、撮像を行うと、効果的に光電変換層の破損防止を行う事が可能となり、好適である。
また、この場合、光電変換層23には、アバランシュ増倍現象が発生しない程度の電圧を印加させておくと、光電変換層23の破損防止効果がさらに向上して、好ましい。その場合、当該光電変換層23の電界は、0.1×108〜0.6×108V/mとするのがよい。
このような前工程は、5分間で効果が顕著となり始め、60分間程度でその効果が収束するため、ステップ2aは5分間〜60分間実行することが好ましい。
次に、前記撮像装置10を用いて、前記光電変換層23の破損防止効果を調べた結果を図7に示す。
図7は、前記撮像装置10の光電変換層の温度を変化させた場合の、光電変換層の破損状態の違いを、画像に表れる白きずの発生率によって示した図である。横軸には、光電変換層の厚さをとり、光電変換層の厚さの依存性についても示してある。なお、白きずの発生は撮像装置を3時間動作させた後に調べたものである。
図7を参照するに、まず光電変換層の温度を25℃とした場合には、光電変換層を厚くするに従い、白きずの発生率が増加していることが明らかであり、光電変換層の温度制御を行わない場合には、光電変換層の厚さを15μm以上とすることは困難であった。
このような光電変換層の破損による白きずの発生率は、当該光電変換層の温度を上昇させるに従い減少し、例えば当該光電変換層の温度を30.0℃とした場合では、白きずの発生が減少している。
さらに前記光電変換層の温度を、当該光電変換層のガラス転移温度である31℃以上とすると、当該厚さが20μm〜100μmの範囲において、白きずの発生率を減少させることが可能となり、すなわち光電変換層の破損の防止効果が高くなった。
このため、従来困難であった20μm以上の厚さの光電変換層を有する撮像装置を用いて、電荷増倍率を大きくし、撮像装置の高感度化を行う事が可能となった。
また、光電変換層を厚くするほど高感度化を行う事が可能であるが、アバランシュ増倍現象を発生させるためには光電変換層の電界を0.6×108〜1.1×108V/mとする必要があり、光電変換層の厚さを増大させると、光電変換層に印加する電圧が高電圧となる。
このため、現状の撮像装置の電源および電圧印加配線の耐圧や、取り扱いの困難性を考慮して、光電変換層の厚さは、100μm程度とするのが現実的である。但し、電源や電圧印加配線の耐圧を改善し、また高電圧の取り扱いの対策を考案すれば、さらに厚い光電変換層を使用することが可能となる。
また、光電変換層の温度を増大させていくと、光電変換層が波状に変形する、いわゆる膜しわが発生して正常な画像信号が得られなくなる。この膜しわが発生することを防止するために、好ましい当該光電変換層の温度の上限値が決定される。
また、このような膜しわが発生する温度は、非晶質セレンにAs(ヒ素)を添加することで上昇させることができる。
図8は、前記撮像装置10を3時間動作させた後において、前記光電変換層23の膜しわの発生率を調べた結果である。また、実験結果は、非晶質セレンにAsを添加しないもの、1原子%のAsを添加したもの、および2原子%のAsを添加したものについて、横軸に光電変換層の温度を用いて示してある。また、図の左側には、動作時間とAs含有率をパラメータとした白きず発生率の実験結果も併記してある。
図8を参照するに、例えば非晶質セレンにAsを含有しない場合を例にとると、61℃、すなわちガラス転移温度+30℃で膜しわが発生しはじめており、温度を増大させるに従い、膜しわの発生率が増大していることがわかる。このため、例えば非晶質セレンにAsを添加しない場合には、光電変換層の温度を当該光電変換層、すなわち非晶質セレンのガラス転移温度+30℃以下とすることが必要である。
また、Asを添加した場合には、例えばAsを1原子%添加した場合には略5℃、2原子%添加した場合には略9℃、Asを添加しない場合にくらべて膜しわが発生しはじめる温度が高くなっている。このため、非晶質セレンにAsを添加することで、非晶質セレンを主成分とする光電変換層の、使用可能な温度の上限値を高くする効果を奏することがわかる。
また、図の左側に示したように、Asを添加した場合には、ガラス転移温度が上昇するため、白きずの発生を抑制する、すなわち光電変換層の破損を防止するための下限の温度もそれに伴い、上昇する。そのため、光電変換層を温度制御する場合の温度の下限値を、Asの添加量に応じて調整する必要が有る。
次に、図9には、前記撮像装置10を3時間動作させた場合に、図6に記載した前工程を行った場合と、行わなかった場合について、光電変換層の破損状態の違いを、画像に表れる白きずの発生率によって比較した図である。横軸には、光電変換層の厚さをとり、光電変換層の厚さの依存性についても示してある。なお、実験は光電変換層の温度を、前工程を行った場合と、行わなかった場合について、それぞれ25℃、30℃、32.5℃および35.0℃として行っている。また、前工程は、10分間実施した。
図9を参照するに、光電変換層の温度が30℃、32.5℃、および35.0℃のいずれの場合においても、前工程を行った場合に白きずの発生率が減少している。また、図9には記載していないが、前工程を行わなかった場合には、白きずの発生はおもに撮像動作開始直後から30分程度に集中しており、撮像動作開始直後の光電変換層の破損を防ぐことが、光電変換層の保護には重要である。
このためには、図6の動作方法の説明で記述したように、光電変換層内で、アバランシュ増倍現象を発生させる前に、当該光電変換層の温度を当該光電変換層のガラス転移温度以上であって、当該ガラス転移温度+30℃以下の範囲で一定期間保持し、光電変換層の破損防止効果が十分に向上してから、光電変換層にアバランシュ増倍現象を発生させて、撮像を行うと、光電変換層の破損防止に好適である。この場合、光電変換層の破損防止のための温度制御領域の下限値を下げて、使用可能な温度領域を広げて、温度マージンを広げる効果を奏する。
また、この場合光電変換層23には、アバランシュ増倍現象が発生しない程度の電界である0.1×108〜0.6×108V/mとしておくと効果的であり、本実験の場合は、光電変換層の電界を0.5×108V/mとしている。
また、このような前工程は、5分間で効果が顕著となり始め、60分間程度でその効果が収束するため、前工程は、5分間〜60分間実行することが好ましい。
また、実施例2〜実施例4では、光電変換層で発生した信号電荷の読み取り手段として電子ビーム発生部を用いた場合を例にとって説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、固体基板を用いた平板型の撮像装置を形成することが可能である。
図10(A)は、電荷読み取り手段に固体素子を用いた平板型の撮像装置50の構成を概略的に示した斜視図であり、図10(B)はその1画素の等価回路を示した図である。
図10(A)および図10(B)を参照するに、撮像装置50は、受光部60と、受光部の信号電荷の読み取り手段である、基板に素子が形成された固体素子部70、および受光部の光電変換層の温度制御を行う、温度制御手段80からなる。
前記受光部60は、図2〜図3に示した受光部20と略同一の構造をしており、信号電荷の読み取りを固体素子で行うために、前記受光部20の前記増し付け層24を省略した構造になっている。前記受光部60は、バリア層62および64に挟まれるように形成される光電変換層63と、当該バリア層62上に形成される透光性電極61からなる。
前記撮像装置50では、前記撮像装置10の場合と同様にして、温度制御機構80により、受光部の光電変換層の温度制御を行う事が可能な構造となっており、実施例1〜4に記載した場合と同様の効果を得ることが可能となっている。
前記受光部で発生した信号電荷を読み取るための固体素子部70は、基板上に形成された素子形成部71と、当該素子形成部71に形成された素子を走査するための回路である垂直画素選択回路72と水平画素選択回路73、および画像信号を増幅する出力アンプ74を有する。
前記素子形成部71には複数の、信号読み取りのための素子が配列されているが、図中
X部の1画素の等価回路を例にとって、図10(B)に示す。前記光電変換層63で発生した信号電荷は、前記垂直画素選択回路72と水平画素選択回路73によって走査され、例えばMOSトランジスタ71Aによって信号電荷が読み出される構造になっている。図中、接続aは前記画素電極61に、接続bは前記垂直画素選択回路72に、接続cは前記水平画素選択回路73に接続される構造になっている。
また、前記受光部60と、前記MOSトランジスタ71Aが接続された状態を模式的に示した断面図を、図11に示す。ただし図中、先に説明した部分には同一の参照符号を付し、説明を省略する。
前記MOSトランジスタ71Aは、P型基板91に形成され、N型不純物拡散層であるドレイン拡散層94aとソース拡散層94bを有する。前記ドレイン拡散層94aおよびソース拡散層94bに挟まれるように形成されるチャネル領域上にはゲート絶縁膜92が形成され、当該ゲート絶縁膜92上にはゲート電極93が形成されて、信号電荷の読み出しゲート部が形成されている。
前記ドレイン拡散層94aおよびソース拡散層94bには、例えばW(タングステン)などからなるコンタクトプラグ95aおよび95bが接続され、コンタクトプラグ95aは、画素電極96を介して前記受光部60の前記バリア膜64に接続される構造になっている。また、前記MOSトランジスタ71Aと前記受光部60の間は、シリコン酸化膜(SiO2膜)などからなる絶縁膜97で絶縁されている。
本実施例の場合、信号電荷の読み出し回路に、例えばMOSトランジスタなどの固体素子を用いている。そのため、SN比が大きくなり、高画質でかつ高感度な撮像装置を実現することが可能となる。本実施例の動作の概要は概ね以下のようになる。
まず、入射光16が光電変換層63に入射し、当該光電変換層63には、電源75より電圧が印加され、アバランシュ増倍現象を発生させる動作は、前記撮像装置10の場合と同一である。
増幅された正孔は、OFF状態のMOSトランジスタの前記ドレイン拡散層94aに移動し、電子と結合して当該ドレイン拡散層94aの電位が上昇する。本図に示した画素が、前記水平画像選択回路73および垂直画像選択回路72によって選択され、画素スイッチ76が閉じられると、前記ドレイン拡散層94aで結合して失われた電子を補うための電流が負荷抵抗77に流れ、信号を取り出すことができる構造になっている。
また、本実施例の場合と同様にして、信号電荷読み出し手段として電界放出素子を2次元に配列した平面電子源を用いた平板型撮像装置や、X線検出用の撮像装置、さらには非晶質セレンを用いたその他のデバイスを形成して、本発明を広く適用することが可能となることは明らかである。
以上、本発明を好ましい実施例について説明したが、本発明は上記の特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した要旨内において様々な変形・変更が可能である。
本発明によれば、非晶質セレンを含む光電変換層を用いた撮像装置において、当該光電変換層を厚くして撮像装置を高感度とすることが可能となる。
また、非晶質セレンを含む光電変換層を用いた撮像装置において、当該光電変換層を厚くした高感度である当該撮像装置を、当該光電変換層を破損することなく安定に使用することが可能となる。
本発明の撮像装置の動作原理を概略的に示した断面図である。 実施例1による撮像装置を模式的に示した断面図である。 (A)、(B)は、実施例1における撮像装置の受光部の概略構成を示した図である。 ペルチェ素子の構造を模式的に示した図である。 図2の撮像装置の動作方法を示すフローチャート(その1)である。 図2の撮像装置の動作方法を示すフローチャート(その2)である。 図2の撮像装置の光電変換層の破損防止効果を調べた結果を示した図である。 図2の撮像装置の光電変換層の白きずならびに膜しわの発生率を調べた結果を示した図である。 図2の撮像装置の光電変換層の破損状態の違いを、前工程を行った場合と、行わなかった場合について比較した図である。 (A)は、電荷読み取り手段に固体素子を用いた平板型の撮像装置の構成を概略的に示した斜視図あり、(B)はその1画素の等価回路図である。 図10の撮像装置の構成を模式的に示した断面図である。
符号の説明
10,50,100 撮像装置
11 透光性板
12 信号ピン
13 負荷抵抗
14 電源
15 レンズ
16,107 入射光
20,60 受光部
20a 走査部
21,61,101 透光性電極
22,62,102 バリア層
23,63,103 光電変換層
24 増し付け層
25,64,104 バリア層
30 電子ビーム発生部
31 金属リング
32 イリジウムリング
33 メッシュ電極
34 集束偏向電極
35,106 電子ビーム
36 カソード電極
37 電子銃筐体
40 温度制御手段
41 温度測定手段
42 フィードバック回路
43 制御装置
44 温度制御素子
51,53a,53b 電極
52a,52b 半導体
54 電源
70 固体素子
71 素子形成部
71A MOSトランジスタ
72 水平画素選択回路
73 垂直画素選択回路
74 アンプ
75 電源
76 画素選択スイッチ
77 負荷抵抗
a,b,c 接続
91 基板
92 ゲート絶縁膜
93 ゲート電極
94a,94b 不純物拡散層
95a,95b コンタクトプラグ
96 画素電極
97 絶縁膜
L0 厚さ

Claims (9)

  1. 非晶質セレンを含む光電変換層と、
    前記光電変換層の第1の面に形成された第1のバリア層と、
    前記第1のバリア層上に形成された透光性電極と、
    前記光電変換層の第2の面に形成された第2のバリア層と、
    前記光電変換層の第2の面の側に設けられた、前記光電変換層で生成される信号電荷を読み出す、電荷読み出し手段とを有する撮像装置であって、
    前記光電変換層の温度を、当該光電変換層のガラス転移温度以上であって当該ガラス転移温度+30℃以下に制御する温度制御手段を有し、
    前記光電変換層の膜厚は20μm以上であることを特徴とする撮像装置。
  2. 前記光電変換層は、前記透光性電極を介して電圧が印加され、当該電圧により0.6×108〜1.1×108V/mの電界がかけられることを特徴とする請求項記載の撮像装置。
  3. 前記光電変換層はAsを含むことを特徴とする請求項1又は2記載の撮像装置。
  4. 前記温度制御手段はペルチェ素子を用いて温度を制御することを特徴とする請求項1〜のうち、いずれか1項記載の撮像装置。
  5. 非晶質セレンを含む光電変換層と、
    前記光電変換層の第1の面に形成された第1のバリア層と、
    前記第1のバリア層上に形成された透光性電極と、
    前記光電変換層の第2の面に形成された第2のバリア層と、
    前記光電変換層の第2の面の側に設けられた、前記光電変換層で生成される信号電荷を読み出す、電荷読み出し手段とを有する撮像装置の動作方法であって、
    前記撮像装置の前記光電変換層の膜厚が20μm以上であり、
    前記光電変換層の第1の面に光線が入射し、前記透光性電極を介して電圧が印加されるとともに、その温度が当該光電変換層のガラス転移温度以上であって当該ガラス転移温度+30℃以下に制御される前記光電変換層に、信号電荷が発生する第1の工程と、
    当該信号電荷が読み出される第2の工程とを有することを特徴とする撮像装置の動作方法。
  6. 前記第1の工程は、前記透光性電極を介して前記光電変換層に電圧が印加され、当該光電変換層に0.6×108〜1.1×108V/mの電界がかけられることを特徴とする請求項記載の撮像装置の動作方法。
  7. 前記第1の工程の前に、前記光電変換層の温度を、当該光電変換層のガラス転移温度以上であって当該ガラス転移温度+30℃以下に制御を保持する前工程をさらに含むことを特徴とする請求項5又は6記載の撮像装置の動作方法。
  8. 前記前工程では、前記透光性電極を介して前記光電変換層に電圧が印加され、当該光電変換層に0.1×108〜0.6×108V/mの電界がかけられることを特徴とする請求項記載の撮像装置の動作方法。
  9. 前記光電変換層の温度を、当該光電変換層のガラス転移温度以上であって、当該ガラス転移温度+30℃以下に、ペルチェ素子を用いて制御することを特徴とする請求項のうち、いずれか1項記載の撮像装置の動作方法。
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