JP4329059B2 - ズームレンズ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、固体撮像素子等を用いたビデオカメラや電子スチルカメラ等に好適なズームレンズに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ビデオカメラや電子スチルカメラ等の小型化に伴い、ズームレンズの小型化が要求されている。近年では、変倍機能を備えたズームレンズの要求は益々強くなり、変倍機能の重要性が増している。また、高画質への要求により撮像素子の高画素化が進み、レンズの性能への要求も厳しくなってきている。このような要求を達成するひとつの手段として、従来から、回折光学素子を用いたズームレンズが知られている。
【0003】
例えば、物体側から順に負・正の2成分タイプのズームレンズで、第1レンズ群または第2レンズ群は少なくとも1面に回折光学面を有しているもの(例えば、特許文献1を参照)や、負・正・正の3成分タイプのズームレンズで、いずれかのレンズ群に回折光学面を有しているもの(例えば、特許文献2を参照)や、負・正・正の3成分タイプのズームレンズで、第2レンズ群中に回折光学面を有しているもの(例えば、特許文献3を参照)がある。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−52235号公報
【特許文献2】
特開平11−52237号公報
【特許文献3】
特開2000−221397号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1および特許文献2に開示されているいずれのズームレンズも性能、小型化ともに不十分であった。また、特許文献3に開示されているズームレンズでは、第2レンズ群中に設けられている回折光学面がレンズ接合面に導入されているため、製造が困難であった。
【0006】
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたものであり、固体撮像素子等を用いたビデオカメラや電子スチルカメラ等に好適で、射出瞳位置が結像面から十分遠く離れ、3倍程度の変倍比を有し、特に、回折光学素子を用いて小型で高性能なズームレンズを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記問題を解決するために、請求項1に係る発明のズームレンズは、物体側から順に、負の屈折力を有する第1レンズ群と、絞りと正の屈折力を有する第2レンズ群と、正の屈折力を有する第3レンズ群とからなり、広角端から望遠端への変倍に際して、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間隔が変化し、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群との間隔が増大するように、前記第1レンズ群および前記第2レンズ群がそれぞれ移動し且つ前記第3レンズ群が固定され、前記第2レンズ群は4枚以下のレンズ成分で構成され、前記第2レンズ群中には、最も物体側の面を除くいずれかのレンズ面に、回折光学面を有し、該回折光学面の有効径(直径)をC、広角端におけるレンズ系全体の焦点距離をfwとし、前記第1レンズ群の焦点距離をf1とし、前記第2レンズ群の焦点距離をf2としたとき、次式0.2<C/fw<2.0及び0.3<|f2/f1|≦0.792173の条件を満足する。
【0008】
請求項2に係る発明のズームレンズは、請求項1に記載のズームレンズにおいて、第2レンズ群の最も像側の面から回折光学面までの光軸に沿った距離をLとし、第2レンズ群の全長をL2(但し、絞りを含まず)としたとき、次式0≦L/L2<1.0の条件を満足する。
【0009】
請求項3に係る発明のズームレンズは、請求項1又は請求項2に記載のズームレンズにおいて、回折光学面は、空気と接するレンズ面上に形成され、回折光学素子を有する面の曲率半径をraとしたとき、次式0≦|fw/ra|<0.4の条件を満足するように形成されている。
【0010】
請求項4に係る発明のズームレンズは、請求項1〜3のいずれかに記載のズームレンズにおいて、第3レンズ群の焦点距離をf3としたとき、次式0.2<f3/fw<15.0の条件を満足する。
また、請求項5に係る発明のズームレンズは、請求項1〜4のいずれかに記載のズームレンズにおいて、第1レンズ群中の最も物体側の負レンズの物体側の面の曲率半径をr1とし、第1レンズ群中の最も物体側の負レンズの像側の面の曲率半径をr2としたとき、次式−3<(r1+r2)/(r2−r1)<0の条件を満足する。
さらに、請求項6に係る発明のズームレンズは、請求項1〜5のいずれかに記載のズームレンズにおいて、第2レンズ群中の最も物体側の凸レンズと最も像側の凹レンズの各々のd線における屈折率の差をΔNとしたとき、次式0.02<ΔNの条件を満足する
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るズームレンズの実施の形態について説明する。本発明のズームレンズは、物体側から順に、負の屈折力を有する第1レンズ群G1と、絞りと正の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3とから構成されている。このように物体側から順に、負・正・正の屈折力配置を採用しているので、射出瞳位置を像面から十分遠く離すことができる。また、第2レンズ群G2中に開口絞りを有することは重要な構成要件であって、諸収差の補正と射出瞳位置を像面より十分離すのに必要な要件である。第3レンズ群G3では、十分に遠くに離すことはできない。特に第3レンズ群G3は、像面に最も近く位置しているので、射出瞳の位置を像面から離すのに効果が大きい。したがって、本発明のズームレンズは、固体撮像素子を用いたカメラなどに好適である。
【0012】
また、本発明では、第2レンズ群G2に、回折作用によるレンズ面(以下、回折光学面という)を導入することにより、特に色収差に関して優れた補正が可能であり、且つ、回折光学素子に特有の問題であったフレアを低減し、その結果、優れた光学性能を達成することができることを見出した。以下、この点について詳述する。
【0013】
一般に、光線を偏向させる作用として、屈折作用、反射作用、および回折作用の3種類が知られている。本発明において、回折光学面とは、光波としての回折作用を利用することにより光を屈曲させ、種々の光学作用を得ることのできるレンズ面をいう。具体的には、回折光学面は、負分散を生じさせることができること、小型化しやすいことなど、数々の利点を有している。その中でも特に、色収差補正に極めて有効であることが知られている。なお、このような回折光学素子の性質に関しては、「『回折光学素子入門』応用物理学会日本光学会監修」に詳しい。
【0014】
さて、本発明に係るズームレンズにおいては、回折光学面を有する一般の光学系の場合と同様に、回折光学面を通過する光線角度は、できるだけ小さい方が好ましい。これは、上記光線角度が大きくなると、回折光学面によるフレアが発生しやすくなり、画質を損ねてしまうからである。そこで、回折光学面によるフレアがあまり影響を及ぼさずに、良好な画像を得るためには、本光学系の場合、その角度が10度以下とすることが望ましい。このような条件が満たされるのであれば、回折光学面は、本ズームレンズ中のどこに配置してもよいが、本ズームレンズ中においては、第2レンズ群中の最も物体側の面は、光線の角度が10度を超えるため不適である。したがって、最も物体側の面を除くいずれかのレンズ面に、回折光学面を有することが好ましいことを見出した。なお、その効果を十分に得るには、光線角度が5度以下であることがより好ましい。
【0015】
以下、条件式の説明に沿って、本発明のズームレンズを詳細に説明する。本発明のズームレンズにおいて、Cは回折光学面の有効径(直径)、fwは広角端におけるレンズ系全体の焦点距離としたとき、次式(1)を満足する。
【0016】
【数1】
0.2< C /fw <2.0 (1)
【0017】
上記条件式(1)は、回折光学面を有するレンズの適切な有効径(直径)Cを規定している。条件式(1)の上限値を上回ると、有効径が大きくなりすぎ、回折光学面の製作が困難となりコストアップにつながる。また、回折光学面に外部からの有害光が入りやすくなり、フレア等による画質低下を招きやすくなる。反対に、条件式(1)の下限値を下回ると、また、前記回折光学面を有するレンズの有効径Cが小さくなりすぎて、回折光学面の格子ピッチが小さくなる傾向が強まり、回折光学面の製作が困難となりコストアップにつながるばかりか、格子によるフレア発生が大きくなり画質低下を招きやすくなる。さらには、光量不足の傾向が強まり不都合である。なお、本発明の効果を十分に発揮するには、条件式(1)の上限値を0.9とすることが好ましい。また、下限値を0.5とすることが好ましい。
【0018】
また、本発明に係るズームレンズにおいて、L2は第2レンズ群の全長(但し、絞りを含まず)、Lは第2レンズ群の最も像側の面から回折光学面までの光軸に沿った距離としたとき、次式(2)を満足する。
【0019】
【数2】
0 ≦ L/L2 <1.0 (2)
【0020】
上記条件式(2)は、回折光学面を有するレンズの適切な位置を規定している。条件式(2)の上限値を上回ると、回折光学面が絞り位置に近くなりすぎ、鏡筒実装上の不都合が生じるばかりか、回折光学面に入射する光線角度が大きくなりすぎ、フレア発生が大きくなって不都合である。なお、本発明の効果を十分に発揮するには、上限値を0.9とすることが望ましい。
【0021】
また、本発明に係るズームレンズにおいて、raは回折光学面を有する面の曲率半径としたとき、次式(3)を満足する。
【0022】
【数3】
0 ≦|fw/ra|<0.4 (3)
【0023】
上記条件式(3)は、回折光学面を有するレンズ面の曲率半径raの適切な範囲を規定している。条件式(3)の上限値を上回ると、回折光学面の曲率半径raが小さくなりすぎてしまい、回折光学面自身を製造しづらくなる不都合が生じるばかりか、コマ収差や像面湾曲収差の発生が甚大となってしまう。なお、回折光学面が平面上に形成されているときは、raは無限大なので、条件式(3)は、|fw/ra|=0である。
【0024】
さらに、本発明に係るズームレンズにおいて、f3は第3レンズ群の焦点距離としたとき、次式(4)を満足する。
【0025】
【数4】
0.2 < f3/fw < 15.0 (4)
【0026】
上記条件式(4)は、f3の適切な範囲を規定している。条件式(4)の上限値を超えると、射出瞳を像面から十分に離すことが困難となってしまう。条件式(4)の下限値を下回ると、ズームレンズ全体の小型化が困難となってしまう。本発明の効果を十分に発揮するには、条件式(4)の上限値を10.0とすることが望ましい。また、条件式(4)の下限値を1.5とすることが望ましい。なお、この第3レンズ群を物体側に繰り出してフォーカシングが可能である。
【0027】
また、本発明に係るズームレンズにおいて、r1は第1レンズ群中の最も物体側の負レンズの物体側の面の曲率半径、r2は第1レンズ群中の最も物体側の負レンズの像側の面の曲率半径としたとき、次式(5)を満足することが望ましい。
【0028】
【数5】
−3 <(r1+r2)/(r2−r1)<0 (5)
【0029】
上記条件式(5)は、第1レンズ群中の最も物体側の負レンズの適切な範囲を規定している。条件式(5)の下限を下回ると、非点収差や倍率色収差などの軸外収差の劣化が大きくなり、好ましくない。反対に、条件式(5)の上限値を上回ると、レンズの研摩や心取りが困難となりコストアップにつながる。なお、本発明の効果を十分に発揮するには、条件式(5)の上限値を−0.8とすることが望ましい。また、条件式(5)の下限値を−2とすることが望ましい。
【0030】
また、本発明に係るズームレンズにおいて、ΔNは第2レンズ群中の最も物体側の凸レンズと最も像側の凹レンズの各々のd線における屈折率の差としたとき、次式(6)を満足することが望ましい。
【0031】
【数6】
0.02<ΔN (6)
【0032】
本発明のように、最大像高に比してバックフォーカスの長いズームレンズにおいては、像側のレンズ群を通る軸上光線の位置が光軸から大きく離れがちであり、この軸上光線の収差補正が難しい。本発明では、上記条件式(6)に示すように、第2レンズ群中のレンズの屈折率差であるΔNの値を適切な範囲に設定することにより、上述の軸上光線の収差補正を良好に行うことが可能であることを見出した。このとき、第2レンズ群中において、正レンズの屈折率が負レンズの屈折率よりも高いことが望ましい。また、条件式(6)の下限値を下回ると、球面収差の補正が困難となって、良好な結像性能を得ることができなくなってしまい、さらに、ペッツバール和が負側に変移しやすくなるので好ましくない。
【0033】
ところで、回折光学面は、レンズ接合面に形成すると、回折格子の高さが大きくなってフレアが発生しやすくなるので、空気と接するレンズ面上に形成することが好ましい。また、諸収差をさらに良好に補正するには、第2レンズ群中に、両凸レンズと両凹レンズとの貼り合わせからなる接合レンズを有することがより好ましい。
【0034】
第2レンズ群中の最も物体側のレンズは、両凸レンズであることが好ましい。さらに、この両凸レンズを構成している像側のレンズ面、または、第2レンズ群中の最も像側レンズを構成している像側のレンズ面に、回折光学面を配することが望ましい。なお、回折光学面を、後者である最も像側のレンズ面に配置するときは、物体側に凸である面とすることが好ましい。また、第2レンズ群G2の最も像側の面は、回折光学面を配置している、いないにかかわらず、像側に凹な面とすることが諸収差の補正上望ましい。
【0035】
第1レンズ群は、物体側の面が物体側に凸面を向けた負レンズ、凸レンズの構成とすることが好ましい。また、第2レンズ群は、小型化のため4枚以下のレンズで構成され、第3レンズ群も2枚以下のレンズで構成されることが望ましい。
【0036】
上記の第1レンズ群の焦点距離f1とし、第2レンズ群の焦点距離をf2としたとき、次式(7)を満足することが好ましい。
【0037】
【数7】
0.3<|f2/f1|<1.0 (7)
【0038】
上記条件式(7)は、第1レンズ群と第2レンズ群のパワー配分の適切な範囲を規定する。条件式(7)を外れると、収差バランスを失いやすくなるばかりか、小型化の達成が困難となる。
【0039】
なお、回折光学面はアッベ数νdが65以下の光学ガラスのレンズ面上に形成することが望ましい。これは、回折格子が製造しやすく、良好な光学性能が得られるからである。
【0040】
また、回折光学面をレンズ上に形成する場合、製造を容易にする観点から、フレネルゾーンプレートのように、回折光学面を光軸に対して回転対称な格子構造にすることが好ましい。この場合、通常の非球面レンズと同様に、精研削でも、ガラスモールドでも製作可能である。さらには、レンズ表面に薄い樹脂層を形成し、この樹脂層に格子構造を設けるようにしてもよい。また、回折格子は単純な単層構造に限らず、複数の格子構造を重ねて複層構造にしてもよい。このように、複層構造の回折格子によれば、回折効率の波長特性や画角特性をより一層向上させることができる。
【0041】
さらに、本発明においては、もともと屈折面として非球面状に形成されたレンズのレンズ面に回折作用を有するキノフォームまたはマルチレベルのバイナリ層を付加してもよい。以下、この点についてさらに説明する。
【0042】
一般に、ガラスモールド法で非球面レンズを形成する場合、いわゆる「型」を作り、その「型」の形状を転写した多数のレプリカをガラスで安価に且つ精度良く作っている。したがって、もともと屈折面として非球面状に形成されたレンズ面の上に回折光学面を形成するには、その「型」にキノフォームまたはバイナリ層を付加するだけで良い。このような方法は、コストアップおよび工程時間の増加をそれほど招かずに済むため、実用的価値が高い。特に、レンズ面にバイナリ層を付加する方法は、半導体チップの製造方法と似通っているため、より実用的価値が高い。なお、レンズ面を平面状または球面状に形成し、その表面に薄い透明な樹脂層を付加して、キノフォームまたはバイナリ形状を作成しても良い。
【0043】
さらに、本発明に係るズームレンズは、撮影レンズのブレを検出するブレ検出手段と、ブレ検出手段からの信号とカメラの作動シークエンスの制御を行う制御手段からの信号とに基づいて適正なブレ補正量を定めるブレ制御装置と、ブレ補正量に基づき防振レンズ群を移動させる駆動機構とを組みあわせ、防振レンズシステムを構成することもできる。この場合、本発明においては、小型のレンズ群またはその一部を光軸と直交する方向にシフトするように構成することが好ましい。また、本発明に係るズームレンズを構成する各レンズに加えて、屈折率分布型レンズ等を用いることにより、さらに良好な光学性能が得られることは言うまでもない。
【0044】
【実施例】
図1、図4、図7は各実施例のズームレンズにおける、構成および広角端(W)から望遠端(T)までのズーム軌跡を示す図である。以下、本発明の各実施例を、添付図面に基づいて説明する。各実施例において、本発明のズームレンズは、物体側から順に、負の屈折力を有する第1レンズ群G1と、開口絞りと正の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3とから構成されている。そして、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間隔が減少し、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間隔が増大するように、第1レンズ群G1および第2レンズ群G2をそれぞれ移動させ且つ第3レンズ群G3を固定させて、広角端(W)から望遠端(T)への変倍を行っている。また、第2レンズ群G2は4枚以下のレンズ成分で構成されている。
【0045】
各実施例において、回折光学面の位相差は、通常の屈折率と後述する非球面式(8),(9)とを用いて行う超高屈折法により計算した。超高屈折法とは、非球面形状と回折光学面の格子ピッチとの間の一定の等価関係を利用するものであり、本実施例においては回折光学面は超高屈折法のデータとして、すなわち、後述する非球面式(8),(9)およびその係数により示している。なお、本実施例では収差特性の算出対象として、d線、g線、C線、F線を選んでいる。本実施例において用いたこれらd線、g線、C線、F線の波長と、各スペクトル線に対して設定した具体的な屈折率の値を下の表1に示す。
【0046】
【表1】
Figure 0004329059
【0047】
各実施例において非球面は、光軸に垂直な方向の高さ(入射高)をyとし、非球面の頂点における接平面から高さyにおける非球面上の位置までの光軸に沿った距離(サグ量)をxとし、基準球面の曲率半径をrとし、近軸曲率半径をRとし、円錐定数をκとし、n次の非球面係数をCnとしたとき、次式(8),(9)で表される。
【0048】
【数8】
Figure 0004329059
【0049】
なお、本実施例において用いた超高屈折率法については、前述の「『回折光学素子入門』応用物理学会日本光学会監修」に詳しい。
【0050】
(第1実施例)
以下、本発明の第1実施例について図1〜図3を用いて説明する。図1は、本発明の第1実施例に係るズームレンズのレンズ構成、および広角端(W)から望遠端(T)への変倍における各レンズ群の移動軌跡を示す図である。
【0051】
図1のズームレンズにおいて、第1レンズ群G1は、物体側から順に、物体側の面が非球面状に形成された負メニスカスレンズL1、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL2から構成されている。また、第2レンズ群G2は、物体側から順に、開口絞りSと、物体側の面が非球面状に形成され且つ像側の面に回折光学面Gfが形成された両凸レンズL3、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL4から構成されている。さらに、第3レンズ群G3は、物体側の面が非球面状に形成された両凸レンズL5から構成されている。
【0052】
なお、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間において、第2レンズ群G2の近傍に絞りSが配置され、この絞りSは変倍時に第2レンズ群G2とともに移動する。また、第3レンズ群G3の像側に、光学フィルターF1が配置されており、第3レンズ群G3とともに固定されている。
【0053】
広角端(W)から望遠端(T)へのズーム作動は、第1レンズ群G1および第2レンズ群G2を群単位で移動させて行われ、本第1実施例では、図1に示すように、第1および第2レンズ群G1,G2を実線の矢印A1,A2で示すように移動させる。第3レンズ群G3は固定されている。
【0054】
このように図1に示した本発明の第1実施例における各レンズの諸元を表2に示す。表2において面番号1〜14は、図1における符号1〜14に対応している。また、表2におけるrはレンズ面の曲率半径(非球面の場合には基準球面の曲率半径)を、dはレンズ面の間隔を、ndはd線、ngはg線、nCはC線、nFはF線に対する屈折率をそれぞれ示している。
【0055】
この表2において、面番号5が開口絞りSを示す。また、面番号4に示す面間隔(すなわち面番号4と面番号5との面間隔)d4と面番号10に示す面間隔(すなわち面番号10と面番号11との面間隔)d10は、ズーム作動に応じて変化する。同様に、ズームレンズの全体の焦点距離f、口径比FNOもズーム作動に応じて変化する。このようにズーム作動に応じて変化する値は、広角端(W)および望遠端(T)において、以下に示している。また、前述の条件式(1)〜(7)に対応する値、すなわち条件対応値も以下に示している。
【0056】
なお、表2において、非球面形状に形成されたレンズ面には、面番号の右に*印を付している。本実施例では、面番号7および8に相当する面が回折光学面Gfに相当し、したがって、図1中のレンズL3が、回折光学面Gfを有するレンズ素子(回折光学素子)に相当する。また、面番号7および8には、この回折光学面Gfの諸元を超高屈折法を用いて示している。C=0の場合は記載を省略している。以上の表の説明は、他の実施例においても同様である。
【0057】
【表2】
Figure 0004329059
Figure 0004329059
【0058】
このように第1実施例では、上記条件式(1)〜(7)は全て満たされることがわかる。
【0059】
図2、3は、第1実施例の諸収差図である。すなわち、図2は広角端(W)における諸収差図であり、図3は望遠端(T)における諸収差図である。各収差図において、FNOはFナンバーを、Yは像高を、dはd線を、gはg線を、CはC線を、FはF線をそれぞれ示している。なお、球面収差図において最大口径に対応するFナンバーの値、非点収差図と歪曲収差図では、像高の最大値をそれぞれ示し、コマ収差図では各像高の値を示す。また、非点収差図では実線はサジタル像面を示し、破線はメリディオナル像面を示している。以上の収差図の説明は、他の実施例においても同様である。各収差図から明らかなように、第1実施例では、各焦点距離状態において諸収差が良好に補正され、優れた結像性能が確保されていることがわかる。
【0060】
(第2実施例)
次に、本発明の第2実施例について図4〜図6を用いて説明する。図4は、本発明の第2実施例に係るズームレンズのレンズ構成、および広角端(W)から望遠端(T)への変倍における各レンズ群の移動軌跡を示す図である。
【0061】
図4のズームレンズにおいて、第1レンズ群G1は、物体側から順に、物体側の面が非球面状に形成された負メニスカスレンズL1、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL2から構成されている。また、第2レンズ群G2は、物体側から順に、開口絞りSと、物体側の面が非球面状に形成され且つ像側の面に回折光学面Gfが形成された両凸レンズL3、両凸レンズL4および両凹レンズL5との貼り合わせレンズから構成されている。さらに、第3レンズ群G3は、物体側の面が非球面状に形成された両凸レンズL6から構成されている。
【0062】
なお、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間において、第2レンズ群G2の近傍に絞りSが配置され、この絞りSは変倍時に第2レンズ群G2とともに移動する。また、第3レンズ群G3の像側に、物体側から順に、光学フィルターF1、光学フィルターF2が配置され、第3レンズ群G3と同様に固定されている。
【0063】
広角端(W)から望遠端(T)へのズーム作動は、第1レンズ群G1および第2レンズ群G2を群単位で移動させて行われ、本第2実施例では、図4に示すように、第1および第2レンズ群G1,G2を矢印A3,A4で示すように移動させて行われる。なお、第3レンズ群G3は固定されている。
【0064】
このように図4に示した本発明の第2実施例における各レンズの諸元を表3に示す。表3において、面番号1〜17は、図4における符号1〜17に対応している。
【0065】
この表3において、面番号5が開口絞りSを示す。また、面番号4に示す面間隔(すなわち面番号4と面番号5との面間隔)d4と、面番号11に示す面間隔(すなわち面番号11と面番号12との面間隔)d11とは、ズーム作動に応じて変化する。同様に、ズームレンズの全体の焦点距離f、口径比FNOも、ズーム作動に応じて変化する。このようにズーム作動に応じて変化する値は、広角端(W)および望遠端(T)において以下に示している。また、前述の条件式(1)〜(7)に対応する値、すなわち条件対応値も以下に示している。
【0066】
なお、表3において、非球面形状に形成されたレンズ面には、面番号の右に*印を付している。本実施例では、面番号7および8に相当する面が回折光学面Gfに相当し、したがって図4中のレンズL3が回折光学面Gfを有するレンズ素子(回折光学素子)に相当する。また、面番号7および8には、この回折光学面Gfの諸元を超高屈折法を用いて示している。
【0067】
【表3】
Figure 0004329059
Figure 0004329059
【0068】
このように第2実施例では、上記条件式(1)〜(7)は全て満たされることがわかる。
【0069】
図5、6は、第2実施例の諸収差図である。すなわち、図5は広角端(W)における諸収差図であり、図6は望遠端(T)における諸収差図である。各収差図から明らかなように、第2実施例では、各焦点距離状態において諸収差が良好に補正され、優れた結像性能が確保されていることがわかる。
【0070】
(第3実施例)
続いて、本発明の第3実施例について図7〜図9を用いて説明する。図7は、本発明の第3実施例に係るズームレンズのレンズ構成、および広角端(W)から望遠端(T)への変倍における各レンズ群の移動軌跡を示す図である。
【0071】
図7のズームレンズにおいて、第1レンズ群G1は、物体側から順に、物体側の面が非球面状に形成された負メニスカスレンズL1、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL2から構成されている。また、第2レンズ群G2は、物体側から順に、開口絞りSと、物体側の面が非球面状に形成された両凸レンズL3および両凹レンズL4との貼り合わせレンズ、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL5および像側の面に回折光学面Gfを備えた正メニスカスレンズL6との貼り合わせレンズから構成されている。さらに、第3レンズ群G3は、物体側から順に、物体側の面が非球面状に形成された両凸レンズL7、像側に凸面を向けた平凸レンズL8から構成されている。なお、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間に絞りSが配置され、第3レンズ群G3と同様に固定されている。
【0072】
広角端(W)から望遠端(T)へのズーム作動は、第1レンズ群G1および第2レンズ群G2を群単位で移動させて行われ、本第3実施例は、図7に示すように、第1および第2レンズ群G1,G2を矢印A5,A6で示すように移動させて行われる。なお、第3レンズ群G3は固定されている。
【0073】
このように図7に示した本発明の第3実施例における各レンズの諸元を表4に示す。表4において面番号1〜16は、図7における符号1〜16に対応している。
【0074】
この表4において、面番号5が開口絞りSを示す。また、面番号4に示す面間隔(すなわち面番号4と面番号5との面間隔)d4と、面番号5に示す面間隔(すなわち面番号5と面番号6との面間隔)d5と、面番号12に示す面間隔(すなわち面番号12と面番号13との面間隔)d12とは、ズーム作動に応じて変化する。同様に、ズームレンズの全体の焦点距離f、口径比FNOも、ズーム作動に応じて変化する。このようにズーム作動に応じて変化する値は、広角端(W)および望遠端(T)において、以下に示している。また、前述の条件式(1)〜(7)に対応する値、すなわち条件対応値も以下に示している。
【0075】
なお、表4において、非球面形状に形成されたレンズ面には、面番号の右に*印を付している。本実施例では、面番号11および12に相当する面が回折光学面Gfに相当し、したがって図7中のレンズL6が回折光学面Gfを有するレンズ素子(回折光学素子)に相当する。また、面番号11および12には、この回折光学面Gfの諸元を超高屈折法を用いて示している。
【0076】
【表4】
面番号 r d nd ng nC nF
1 63.27518 1.00000 1.804000 1.825700 1.798820 1.816080
2* 5.86614 1.37500 1.000000
3 8.27052 1.80000 1.805180 1.847290 1.796110 1.827770
4 18.50044 d4(可変) 1.000000
5 開口絞りS d5(可変)
6* 4.39627 2.20000 1.804000 1.825700 1.798820 1.816080
7 -6.54377 0.75000 1.688930 1.717970 1.682500 1.704670
8 3.15882 0.60000 1.000000
9 6.25657 0.50000 1.743200 1.762050 1.738650 1.753720
10 5.72154 0.90000 1.772500 1.791970 1.767800 1.783370
11 30.18608 0.00000 10001 7418.6853 11170.4255 8274.7311
12* 30.18608 d12(可変) 1.000000
13* 76.30423 1.30000 1.804000 1.825700 1.798820 1.816080
14 -402.31705 0.60000 1.000000
15 ∞ 3.00000 1.516330 1.526210 1.513860 1.521910
16 -66.41146 2.54229 1.000000
(非球面データ)
面番号 κ C10
2 1.0000 -1.08470×10-4 -2.63700×10-5 1.18050×10-6 -3.62870×10-8
6 1.0000 -5.89130×10-4 -6.53380×10-5 6.47880×10-6 -6.62230×10-7
12 1.0000 1.65160×10-4 1.80860×10-6 3.34900×10-10 -2.32220×10-10
13 1.0000 -6.45180×10-4 7.34220×10-6 9.53910×10-6 -5.65190×10-7
(変倍における可変間隔)
広角端(W) 望遠端(T)
f 5.56 10.48
FNO 2.919 3.962
d4 9.86552 1.75642
d5 4.31641 1.40331
d12 1.89346 4.80653
(条件式対応値)
C = 4.40
fw= 5.56205
L = 0
L2= 4.95
ra= 30.18608
f1=-16.32883
f2= 8.80221
f3= 50.03825
r1= 63.27518
r2= 5.86614
(1)C/fw =0.791075
(2)L/L2 =0
(3)|fw/ra|=0.184259
(4)f3/fw =8.996368
(5)(r1+r2)/(r2−r1)=-1.20436
(6)ΔN =0.0608
(7)|f2/f1|=0.539059
【0077】
このように第3実施例では、上記条件式(1)〜(7)は全て満たされることがわかる。
【0078】
図8、9は、第3実施例の諸収差図である。すなわち、図8は広角端(W)における諸収差図であり、図9は望遠端(T)における諸収差図である。各収差図から明らかなように、第3実施例では、各焦点距離状態において諸収差が良好に補正され、優れた結像性能が確保されていることがわかる。
【0079】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、固体撮像素子等を用いたビデオカメラや電子スチルカメラ等に好適で、回折光学素子を用いて、3倍程度の変倍比を有し、小型で高性能なズームレンズを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係るズームレンズのレンズ構成を示す図である。
【図2】第1実施例の広角端(W)における諸収差図である。
【図3】第1実施例の望遠端(T)における諸収差図である。
【図4】本発明の第2実施例に係るズームレンズのレンズ構成を示す図である。
【図5】第2実施例の広角端(W)における諸収差図である。
【図6】第2実例の望遠端(T)における諸収差図である。
【図7】本発明の第3実施例に係るズームレンズのレンズ構成を示す図である。
【図8】第3実施例の広角端(W)における諸収差図である。
【図9】第3実施例の望遠端(T)における諸収差図である。
【符号の説明】
G1 第1レンズ群
G2 第2レンズ群
G3 第3レンズ群
S 開口絞り
Li 各レンズ成分
Gf 回折光学面
I 像面

Claims (6)

  1. 物体側から順に、負の屈折力を有する第1レンズ群と、絞りと正の屈折力を有する第2レンズ群と、正の屈折力を有する第3レンズ群とからなり、広角端から望遠端への変倍に際して、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間隔が変化し、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群との間隔が増大するように、前記第1レンズ群および前記第2レンズ群がそれぞれ移動し且つ前記第3レンズ群が固定され、前記第2レンズ群は4枚以下のレンズ成分で構成され、前記第2レンズ群中には、最も物体側の面を除くいずれかのレンズ面に、回折光学面を有し、該回折光学面の有効径(直径)をC、広角端におけるレンズ系全体の焦点距離をfwとし、前記第1レンズ群の焦点距離をf1とし、前記第2レンズ群の焦点距離をf2としたとき、次式
    0.2<C/fw<2.0
    0.3<|f2/f1|≦0.792173
    の条件を満足することを特徴とするズームレンズ。
  2. 前記第2レンズ群の最も像側の面から前記回折光学面までの光軸に沿った距離をLとし、前記第2レンズ群の全長をL2(但し、絞りを含まず)としたとき、次式
    0≦L/L2<1.0
    の条件を満足することを特徴とする請求項1記載のズームレンズ。
  3. 前記回折光学面は、空気と接するレンズ面上に形成され、前記回折光学素子を有する面の曲率半径をraとしたとき、次式
    0≦|fw/ra|<0.4
    の条件を満足するように形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のズームレンズ。
  4. 前記第3レンズ群の焦点距離をf3としたとき、次式
    0.2<f3/fw<15.0
    の条件を満足することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のズームレンズ。
  5. 前記第1レンズ群中の最も物体側の負レンズの物体側の面の曲率半径をr1とし、前記第1レンズ群中の最も物体側の負レンズの像側の面の曲率半径をr2としたとき、次式
    −3<(r1+r2)/(r2−r1)<0
    の条件を満足することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のズームレンズ。
  6. 前記第2レンズ群中の最も物体側の凸レンズと最も像側の凹レンズの各々のd線における屈折率の差をΔNとしたとき、次式
    0.02<ΔN
    の条件を満足することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のズームレンズ。
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