JP4331853B2 - エアベルト装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の衝突時に乗員をシートに拘束するベルトを、インフレータから供給される高圧ガスで膨張させるエアベルト装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
シートベルトのウエビングのショルダーベルト部の内部にバッグを収納し、車両の衝突時に前記バッグを膨張させて乗員を柔らかく拘束するエアベルト装置は、特開平6−262994号公報により既に知られている。
【0003】
上記従来のエアベルト装置は、そのウエビングが、バッグを備えて乗員の胸部を拘束するショルダーベルト部と、バッグを備えずに乗員の腹部を拘束するラップベルト部とに2分割されており、ショルダーベルト部の端部およびラップベルト部の端部は共にタング装置に固定されている。それに対して、通常のシートベルト装置のウエビングは2分割されておらず、タング装置に設けたスリットを摺動自在に貫通している。従来のエアベルト装置のウエビングが2分割されている理由は、バッグを内蔵したショルダーベルト部が厚くなってタング装置に設けたスリットを通過することができないからである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、タング装置に設けたスリットをウエビングが摺動自在に貫通している通常のシートベルト装置では、ウエビングのショルダーベルト部側の端部にリトラクタを設けるだけで、シートベルト装置の不使用時にウエビングの全体がセンターピラーに沿うように巻き取るとことができる。なぜならば、ウエビングがタング装置のスリット内を自由に摺動するため、タング装置がウエビングの巻き取りの障害にならないからである。
【0005】
それに対して、上記従来のエアベルト装置は、ウエビングのショルダーベルト部の端部およびラップベルト部の端部が摺動不能にタング装置に固定されているため、ショルダーベルト部を巻き取るリトラクタとラップベルト部を巻き取るリトラクタとが必要となり、部品点数が増加してコストアップの要因となるばかりか、2個のリトラクタを取り付けるために大きなスペースが必要となる問題がある。
【0006】
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、エアベルト装置の乗員拘束性能を阻害することなく、ウエビングを単一のリトラクタで確実に巻き取れるようにすることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、請求項1に記載された発明は、一端がリトラクタに巻き取り可能に支持され、中間部がタング装置を摺動可能に経由して他端が車体側に固定されたウエビングと、ウエビングに摺動可能に支持されて一端がタング装置に結合されたバッグアセンブリと、車体側に固定されて前記タング装置が着脱自在に結合されるバックル装置と、タング装置またはバックル装置に設けられたインフレータと、バッグアセンブリの他端に設けられて該バッグアセンブリの他端とウエビングとの相対摺動を作動時には拘束し、非作動時には許容するウエビング拘束部材とを備え、車両の衝突時にインフレータが発生する高圧ガスで、バッグアセンブリに収納したバッグ内のガス室を膨張させて乗員を拘束するようにしたエアベルト装置であって、
前記バッグ内には、該バッグの長手方向に沿って延び且つ車両の衝突時にインフレータからの前記高圧ガスが前記ガス室よりも先に導入されるガス通路と、前記バッグアセンブリの他端において前記バッグ内に設けられて前記ガス通路と前記ガス室との間を連通する拘束部とが設けられ、前記ウエビング拘束部材は、前記拘束部が前記高圧ガスで膨脹するのに応じて作動状態となるよう該拘束部に対応した位置に設けられ、車両の衝突時にインフレータが発生する高圧ガスで、前記ガス室よりも先に前記拘束部が膨脹して前記ウエビング拘束部材を作動させてから、前記ガス室が膨脹するようにしたことを特徴とするエアベルト装置が提案される。
【0008】
上記構成によれば、エアベルト装置の非装着時にリトラクタがウエビングを巻き取ると、ウエビングに対してバッグアセンブリが相対的に摺動するため、リトラクタはバッグアセンブリに邪魔されることなくウエビングを充分に巻き取ることができる。その結果、ウエビングの両端にそれぞれリトラクタを設ける必要がなくなり、部品点数の削減、設置スペースの削減およびコストの削減が可能になる。またエアベルト装置の装着時にリトラクタからウエビングを引き出す際にも、バッグアセンブリがウエビングに対して摺動するのでウエビングの引き出しに支障を来すこともない。そして車両の衝突時にインフレータが高圧ガスを発生すると、バッグアセンブリに収納されたバッグが膨張し、乗員を柔らかく拘束することができる。
【0010】
またバッグアセンブリの他端にはウエビング拘束部材が設けられ、バッグ内には、そのバッグ長手方向に沿って延び且つ車両の衝突時にインフレータからの高圧ガスがバッグ内のガス室よりも先に導入されるガス通路と、バッグアセンブリの他端においてバッグ内に設けられてガス通路とガス室との間を連通する拘束部とが設けられ、ウエビング拘束部材は、拘束部が高圧ガスで膨脹するのに応じて作動状態となるよう該拘束部に対応した位置に設けられ、車両の衝突時にインフレータが発生する高圧ガスで、ガス室よりも先に拘束部が膨脹してウエビング拘束部材を作動させてから、ガス室が膨脹するようにしたので、車両の衝突時にバッグ(特に拘束部)が膨張すると、その圧力でバッグアセンブリの他端に設けたウエビング拘束部材がウエビングを拘束し、これにより、タング装置およびウエビング拘束部材間の距離がバッグ(特にガス室)の膨張に伴って収縮し、ウエビングにテンションを与えてプリテンショナーの効果を発揮させ、乗員の拘束性能を高めることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。
【0012】
図1〜図9は本発明の第1実施例を示すもので、図1は車両のフロントシート部の側面図、図2は図1の2方向矢視図、図3はエアベルト装置の斜視図、図4は図3の4−4線拡大断面図、図5はウエビング拘束部材の作用説明図、図6は図4の6−6線断面図、図7は図4の7−7線断面図、図8はバッグ膨張時の作用説明図、図9は折り畳んだバッグを広げた状態を示す図である。
【0013】
図1〜図3に示すように、乗員(実施例ではドライバー)を前部右側のシート1に拘束するエアベルト装置は、センターピラー2の下部に設けられた緊急ロック式のリトラクタ3と、ショルダーベルト部4aおよびラップベルト部4bが一体に連続するウエビング4と、ウエビング4が摺動自在に貫通するタング装置5と、タング装置5が着脱自在に結合されるバックル装置6と、一端がタング装置5に結合されてショルダーベルト部4aの外周を摺動自在に覆う偏平な筒状のバッグアセンブリ7とを備える。ウエビング4の一端部はセンターピラー2の上部に設けたスリップガイド8を経由してリトラクタ3に接続され、他端部は右側のシートベース9に固定される。内部にバックル本体10(図6参照)を収納するバックル装置6から下方に延びるアンカー部材11が、左側のシートベース12にピン13を介して前後揺動自在に支持される。タング装置5には高圧ガスを発生するインフレータ14が収納され、バックル装置6には前記バックル本体10に結合されるタング本体15(図6参照)が設けられる。
【0014】
公知の緊急ロック式のリトラクタ3は、ウエビング4のショルダーベルト部4aを引き出し可能に巻き取るもので、図示せぬ加速度センサが所定値以上の加速度を検出していない通常時には、前記ウエビング4を引き出し可能にして乗員の身体の移動を許容し、車両の衝突時に前記加速度センサが所定値以上の加速度を検出すると、ウエビング4を引き出し不能にロックして乗員を拘束するようになっている。公知のインフレータ14は、加速度センサが所定値以上の加速度を検出したときに点火し、推薬の燃焼による高圧ガスを発生する。
【0015】
次に、図4〜図9に基づいてバッグアセンブリ7の構造を説明する。
【0016】
偏平な筒状に形成されたバッグアセンブリ7の外表面は経編みニットから構成されたカバー21で覆われる。カバー21は後述するバッグ22の膨張に伴って半径方向に広がると、その分だけ長手方向に収縮してショルダーベルト部4aに初期張力を発生させる。カバー21の下端はタング装置5のタングハウジング23に固定され、上端に長方形のウエビング拘束部材24が固定される。ウエビング拘束部材24の前側(乗員と接触しない側)の内面、つまりウエビング4に接触する面に多数のロック爪24a…が形成される。
【0017】
カバー21の前側(乗員と接触しない側)の内面にはウエビング4のショルダーベルト部4aが摺動可能に接触しており、このウエビング4の後面とカバー21の後側(乗員と接触する側)の内面との間に、蛇腹状に折り畳まれたナイロン製のバッグ22が配置される。折り畳まれたバッグ22の前面には摩擦係数の小さい柔軟なベース板25が固定されており、このベース板25の前面はウエビング4の後面に摺動可能に接触する。バッグ22の上端はカバー21の上端と共にウエビング拘束部材24にリベット等で固定される。
【0018】
図9には折り畳む前のバッグ22を広げた状態が示される。上下方向に長いバッグ22の幅方向中央部を下端から上端に向けてガス通路22aが形成されており、このガス通路22aの左右両側に各2個のガス室22b…が形成される。4個のガス室22b…の下端は閉塞され、上端はガス通路22aの上端に形成した拘束部22cに連通する。インフレータ14のガス噴出部は、タングハウジング23に設けたガス供給通路26を介してバッグ22のガス通路22aの下端に接続される(図6参照)。
【0019】
次に、前述の構成を備えた本発明の実施例の作用を説明する。
【0020】
エアベルト装置の非装着時、つまりタング装置5をバックル装置6から外した状態では、リトラクタ3によってウエビング4のショルダーベルト部4a側の端部が巻き取られる。このとき、タング装置5と該タング装置5に固定されたバッグアセンブリ7に対してウエビング4が摺動することにより、1個のリトラクタ3だけで充分にウエビング4を巻き取ってセンターピラー2に沿わせることができる。エアベルト装置を装着すべくタング装置5をバックル装置6に向けて引くとウエビング4がリトラクタ3から引き出され、タング装置5およびバッグアセンブリ7がウエビング4に対して摺動することにより、バッグアセンブリ7はウエビング4のショルダーベルト部4a上の所定位置、つまり乗員の胸部に当接する位置に移動する。バッグアセンブリ7がウエビング4に沿って移動するとき、バッグ22とウエビング4との間に介在するベース板25が摩擦力を低減して折り畳んだバッグ22の損傷を防止する。
【0021】
車両の衝突により所定値以上の加速度が検出されると、タング装置5に設けたインフレータ14が高圧ガスを発生する。高圧ガスはガス供給通路26を経て折り畳まれたバッグ22のガス通路22aの下端に供給され、このガス通路22aの上端が開口するバッグ22の拘束部22cが最初に膨張する。その結果、図5に示すように、膨張したバッグ22の拘束部22cに圧迫されたウエビング4がウエビング拘束部材24のロック爪24aに食い込み、ウエビング拘束部材24をウエビング4に一体化する。続いて、高圧ガスはガス通路22aの拘束部22cから4個のガス室22b…に供給され、図8に示すように、これら4個のガス室22b…をそれぞれ円筒状に膨張させる。このとき、バッグ22の膨張に伴ってカバー21も膨張する。
【0022】
このように、ウエビング4と乗員の胸部との間にバッグ22が膨張することにより、バッグ22の弾性で乗員を柔らかく拘束することができる。しかもバッグ22は半径方向に膨張するに伴って長手方向に収縮するため、バッグ22の両端間の距離、つまりタング装置5とウエビング拘束部材24との距離が短縮する。その結果、ウエビング4の張力が増加してプリテンショナーの効果を発揮させることができる。
【0023】
次に、図10に基づいて本発明の第2実施例を説明する。
【0024】
第1実施例のバッグ22はウエビング4の形状に沿うように乗員の身体側に向けて膨張するが、第2実施例のバッグ22はウエビング4から車体前方に向かってボール状に膨張してステアリングホイール27との間に展開し、ステアリングホイール27に装着されたエアバッグ装置と同様の乗員拘束効果を発揮する。
【0025】
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
【0026】
例えば、実施例では運転席側のエアベルト装置を例示したが、本発明は助手席側のエアベルト装置や後席側のエアベルト装置に対しても適用することができる。
【0027】
また実施例ではウエビング4のショルダーベルト部4a側の端部にリトラクタ3を設けているが、ラップベルト部4b側にリトラクタ3を設けても良い。
【0028】
また実施例ではウエビング4のショルダーベルト部4a側にバッグアセンブリ7を設けているが、ラップベルト部4b側にバッグアセンブリ7を設けても良い。
【0029】
また実施例ではタング装置5側にインフレータ14を設けているが、バックル装置6側にインフレータ14を設け、タング装置5をバックル装置6に結合してインフレータ14からバッグ22に高圧ガスを供給することも可能である。
【0030】
【発明の効果】
以上のように請求項1に記載された発明によれば、エアベルト装置の非装着時にリトラクタがウエビングを巻き取ると、ウエビングに対してバッグアセンブリが相対的に摺動するため、リトラクタはバッグアセンブリに邪魔されることなくウエビングを充分に巻き取ることができる。その結果、ウエビングの両端にそれぞれリトラクタを設ける必要がなくなり、部品点数の削減、設置スペースの削減およびコストの削減が可能になる。またエアベルト装置の装着時にリトラクタからウエビングを引き出す際にも、バッグアセンブリがウエビングに対して摺動するのでウエビングの引き出しに支障を来すこともない。そして車両の衝突時にインフレータが高圧ガスを発生すると、バッグアセンブリに収納されたバッグが膨張し、乗員を柔らかく拘束することができる。
【0031】
またバッグアセンブリの他端には、該他端とウエビングとの相対摺動を作動時には拘束し、非作動時には許容するウエビング拘束部材が設けられ、バッグ内には、そのバッグ長手方向に沿って延び且つ車両の衝突時にインフレータからの高圧ガスがバッグ内のガス室よりも先に導入されるガス通路と、バッグアセンブリの他端においてバッグ内に設けられてガス通路とガス室との間を連通する拘束部とが設けられ、ウエビング拘束部材は、拘束部が高圧ガスで膨脹するのに応じて作動状態となるよう該拘束部に対応した位置に設けられ、車両の衝突時にインフレータが発生する高圧ガスで、ガス室よりも先に拘束部が膨脹してウエビング拘束部材を作動させてから、ガス室が膨脹するようにしたので、車両の衝突時にバッグ(特に拘束部)が膨張すると、その圧力でバッグアセンブリの他端に設けたウエビング拘束部材がウエビングを拘束し、これにより、タング装置およびウエビング拘束部材間の距離がバッグ(特にガス室)の膨張に伴って収縮し、ウエビングにテンションを与えてプリテンショナーの効果を発揮させ、乗員の拘束性能を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】自動車のフロントシート部の側面図
【図2】図1の2方向矢視図
【図3】エアベルト装置の斜視図
【図4】図3の4−4線拡大断面図
【図5】ウエビング拘束部材の作用説明図
【図6】図4の6−6線断面図
【図7】図4の7−7線断面図
【図8】バッグ膨張時の作用説明図
【図9】折り畳んだバッグを広げた状態を示す図
【図10】本発明の第2実施例のエアベルト装置の作用説明図
【符号の説明】
3 リトラクタ
4 ウエビング
5 タング装置
6 バックル装置
7 バッグアセンブリ
14 インフレータ
22 バッグ
22a ガス通路
22b ガス室
22c 拘束部
24 ウエビング拘束部材
Claims (1)
- 一端がリトラクタ(3)に巻き取り可能に支持され、中間部がタング装置(5)を摺動可能に経由して他端が車体側に固定されたウエビング(4)と、
ウエビング(4)に摺動可能に支持されて一端がタング装置(5)に結合されたバッグアセンブリ(7)と、
車体側に固定されて前記タング装置(5)が着脱自在に結合されるバックル装置(6)と、
タング装置(5)またはバックル装置(6)に設けられたインフレータ(14)と、
バッグアセンブリ(7)の他端に設けられて該バッグアセンブリ(7)の他端とウエビング(4)との相対摺動を作動時には拘束し、非作動時には許容するウエビング拘束部材(24)とを備え、
車両の衝突時にインフレータ(14)が発生する高圧ガスで、バッグアセンブリ(7)に収納したバッグ(22)内のガス室(22b)を膨張させて乗員を拘束するようにしたエアベルト装置であって、
前記バッグ(22)内には、該バッグ(22)の長手方向に沿って延び且つ車両の衝突時にインフレータ(14)からの前記高圧ガスが前記ガス室(22b)よりも先に導入されるガス通路(22a)と、前記バッグアセンブリ(7)の他端において前記バッグ(22)内に設けられて前記ガス通路(22a)と前記ガス室(22b)との間を連通する拘束部(22c)とが設けられ、
前記ウエビング拘束部材(24)は、前記拘束部(22c)が前記高圧ガスで膨脹するのに応じて作動状態となるよう該拘束部(22c)に対応した位置に設けられ、車両の衝突時にインフレータ(14)が発生する高圧ガスで、前記ガス室(22b)よりも先に前記拘束部(22c)が膨脹して前記ウエビング拘束部材(24)を作動させてから、前記ガス室(22b)が膨脹するようにしたことを特徴とする、エアベルト装置。
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