JP4332976B2 - 斜張橋ケーブルの制振装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、斜張橋のケーブルに発生する風振動を抑制するのに用いられる斜張橋ケーブルの制振装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
斜張橋は、主構造である連続桁を主塔から斜めに張ったケーブルで弾性的に支持する構造であり、吊り橋と同様、主要部材にケーブルを用いている関係上、耐風安定性については十分な確認が必要となる。
【0003】
すなわち、斜張橋ケーブルは、減衰が小さいために風による振動が発生しやすく、特に、並列ケーブルには、ウェイクギャロッピングと呼ばれる振幅の大きな振動が発生しやすいことはよく知られているところである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、ウェイクギャロッピングをはじめとした斜張橋ケーブルの振動を抑制すべく、さまざまな制振対策が研究開発されており、その代表的なものとして、粘性体や高減衰ゴムを利用したダンパーがあるが、かかるダンパーでは、振幅が小さい間はともかく、大振幅になればなるほど、またケーブル長が長くなればなるほど減衰力が急激に小さくなるという欠点があり、温度依存性の問題とともに斜張橋ケーブルの制振装置として適用するにはどうしても限界があった。
【0005】
一方、最近では、永久磁石を利用して振動モードを変化させ、そのときに発生する減衰力を利用して斜張橋ケーブルの振動を抑制しようとする研究も行われている。
【0006】
しかしながら、かかる方法では、振幅が小さい間は、制振作用が全く期待できないとともに、永久磁石を用いる関係上、過酷な環境下での耐久性や作動の信頼性についても検討の余地があった。
【0007】
本発明は、上述した事情を考慮してなされたもので、振幅の大小に関わらず十分な制振作用を得ることが可能な斜張橋ケーブルの制振装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は請求項1に記載したように、伸張方向の強制変形に対し設定最大長さを限度として全長が可変に構成された伸張制限機構を斜張橋ケーブルと該斜張橋ケーブルで引張支持されている桁との間に介在させてなり、前記設定最大長さを、前記斜張橋ケーブルの自励振動の成長が抑制されるように設定した斜張橋ケーブルの制振装置において、前記伸張制限機構を、複数の連結要素がそれらの端部にて回動自在となるように順次連結されてなり、前記複数の連結要素が一直線上に並んだときの長さが前記設定最大長さとなる伸縮機構で構成したものである。
【0010】
また、本発明に係る斜張橋ケーブルの制振装置は、前記連結要素のうち、互いに隣接する連結要素の各連結部位に摩擦面をそれぞれ設けるとともに、該摩擦面を回動方向に摺動自在となるように互いに当接させたものである。
【0011】
本発明に係る斜張橋ケーブルの制振装置においては、斜張橋ケーブルと該斜張橋ケーブルで引張支持されている桁との間に伸張制限機構を介在させる。
【0012】
ここで、伸張制限機構は、伸張方向の強制変形に対し設定最大長さを限度として全長が可変に構成してあるが、かかる設定最大長さについては、斜張橋ケーブルの自励振動の成長が抑制されるように設定する。
【0013】
構造物等の振動においては、強制的な外力が作用しない限り、減衰力によって時間経過とともに振幅が小さくなるのが一般的であるが、構造物がそれに接している流体の流れによって振動する場合には、流体力に加えて振動応答に支配された自励力が付加され、負の流体減衰力による自励振動が発生する。すなわち、振動に伴う自励力がその振動をさらに増長するように作用する循環現象が発生し、曲げ振動においてはギャロッピング、ねじり振動においてはねじれフラッターという形で顕れる。
【0014】
そして、斜張橋ケーブルが風による流体力を受けたとき、該斜張橋ケーブルには、両端を固定端とした振動が発生するとともに自励振動によってその振幅が増大するが、本発明においては、斜張橋ケーブルと桁との間に伸張制限機構を介在させてあって、斜張橋ケーブルの振動が該伸張制限機構の設定最大長さに相当する振幅に達したとき、伸張制限機構の全長が固定され、斜張橋ケーブルは、端部の固定点が該伸張制限機構の取付け箇所にシフトされた状態の振動モードに移行する。そして、かかる振動モードの移行に伴って、斜張橋ケーブルには高次モードの振動が発生し、斜張橋ケーブルの振動エネルギーは、高次振動モードの減衰という形で消費され、かくして、斜張橋ケーブルの振動は、自励振動として成長することなくすみやかに収斂する。なお、振幅が減少した結果、斜張橋ケーブルの振幅が伸張制限機構の設定最大長さに相当する振幅を下回ると、斜張橋ケーブルは、伸張制限機構から拘束されなくなって端部の固定点が再び元の場所にシフトし、以下、上述した作用を繰り返すこととなる。
【0015】
伸張制限機構は、複数の連結要素がそれらの端部にて回動自在となるように順次連結されてなる伸縮機構で構成し、設定最大長さを、各連結要素相互の取合い角度が180度、すなわち各連結要素が一直線上に並んだ状態の長さとする。
【0016】
ここで、伸縮機構の設定最大長さの限度内で斜張橋ケーブルが振動する際、伸縮機構は、その連結要素が相互に回動することによって該ケーブルの振動に追従することとなるが、かかる連結要素のうち、互いに隣接する連結要素の各連結部位に摩擦面をそれぞれ設けるとともに、該摩擦面を回動方向に摺動自在となるように互いに当接させたならば、連結要素の回動動作に伴って摩擦減衰が発生するため、伸張制限機構が作動しない小さな振幅での斜張橋ケーブルの振動に対しても、摩擦減衰の形で振動エネルギーを減衰させることが可能となる。
【0017】
なお、本発明で言うところの斜張橋ケーブルが並列ケーブルに限定されるものではないことは言うまでもない。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る斜張橋ケーブルの制振装置の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。なお、従来技術と実質的に同一の部品等については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0019】
図1は、本実施形態に係る斜張橋ケーブルの制振装置を示した全体図である。同図でわかるように、本実施形態に係る斜張橋ケーブルの制振装置1は、伸張制限機構である伸縮機構2を斜張橋ケーブル3と該斜張橋ケーブルで引張支持されている桁7との間に介在させてある。
【0020】
ここで、伸縮機構2は、複数の連結要素4a、4bがそれらの端部にて回動自在となるように順次連結して構成するとともに、その下端では桁7の取付部5に、上端では斜張橋ケーブル3の取付部6にそれぞれヒンジ接合してあり、かかる構成においては、連結要素4a、4bが相互に回動することによって全長が可変となるとともに、各連結要素4a、4b相互の取合い角度が180度、すなわち各連結要素4が一直線上に並んだときの長さが設定最大長さとなり、該設定最大長さを超えるような伸張方向の強制変形は拘束されることとなる。
【0021】
かかる設定最大長さは、斜張橋ケーブル3の自励振動の成長が抑制されるように設定しておく。
【0022】
図2は、連結要素4a、4b相互の連結部位を詳細に示したものである。同図でわかるように、連結要素4bの端部には内周面11に摩擦面が形成された中空円筒部12を固着してあるとともに、連結要素4aの端部に設けられたブラケット部13、13間には外周面14に摩擦面が形成された円筒部15を固着してあり、該円筒部の摩擦面と中空円筒部12の摩擦面とが回動方向(図2(a)の矢印方向)に摺動自在となるように円筒部15を中空円筒部12の内部に嵌め込んで互いに当接させてある。
【0023】
中空円筒部12の摩擦面や円筒部15の摩擦面は、所定の摩擦材を貼り付けるようにしてもよいし、中空円筒部12の内周面や円筒部15の外周面に凹凸を形成して構成してもよい。
【0024】
本実施形態に係る斜張橋ケーブルの制振装置1においては、斜張橋ケーブル3が風による流体力を受けたとき、該斜張橋ケーブルには、両端を固定端とした振動が発生するとともに自励振動によってその振幅が増大しようとするが、本実施形態においては、斜張橋ケーブル3と該斜張橋ケーブルで引張支持されている桁7との間に伸張制限機構である伸縮機構2を介在させてある。
【0025】
そのため、斜張橋ケーブル3の振幅が小さい間は、伸縮機構2が斜張橋ケーブル3の動きに追従するように伸縮するが、斜張橋ケーブル3の振動が図3(a)に示すように伸縮機構2の設定最大長さLに相当する振幅に達したとき、伸縮機構2の全長がLに固定され、斜張橋ケーブル3の振動モードは、伸縮機構2が未だ設定最大長さLに達していないときの両端を固定点とした振動モード(図3(b))から、一方の端部の固定点が伸縮機構2の取付け箇所にシフトされた状態の振動モード(図3(c))に移行する。
【0026】
そして、かかる振動モードの移行に伴って、斜張橋ケーブル3には高次モードの振動が発生し、斜張橋ケーブル3の振動エネルギーは、高次振動モードの減衰という形で消費され、かくして、斜張橋ケーブル3の振動は、自励振動として成長することなくすみやかに収斂する。
【0027】
なお、振幅が減少した結果、斜張橋ケーブル3の振幅が伸縮機構2の設定最大長さLに相当する振幅を下回ると、斜張橋ケーブル3は、伸縮機構2から拘束されなくなって端部の固定点が図3(b)に示すように再び元の場所にシフトし、以下、上述した作用を繰り返すこととなる。
【0028】
一方、伸縮機構2の設定最大長さLの限度内で斜張橋ケーブル3が振動する際、伸縮機構2は、その連結要素4a、4bが相互に回動することによって該ケーブルの振動に追従することとなるが、円筒部15の外周面に形成された摩擦面と中空円筒部12の内周面に形成された摩擦面が連結要素4a、4bの回動動作に伴って互いに摺動して摩擦減衰が発生する。
【0029】
したがって、伸縮機構2が作動しない小さな振幅での斜張橋ケーブル3の振動に対しても、摩擦減衰の形で振動エネルギーが減衰する。
【0030】
以上説明したように、本実施形態に係る斜張橋ケーブルの制振装置1によれば、斜張橋ケーブル3と桁7との間に伸張制限機構である伸縮機構2を介在させたので、斜張橋ケーブル3の振動が所定の振幅に達したとき、その振動モードを変化させ、その際に発生する高次モードの振動によって、斜張橋ケーブル3の振動エネルギーを速やかに消費させることが可能となる。
【0031】
そのため、斜張橋ケーブル3を自励振動として成長させることなくすみやかに収斂させることができる。そして、永久磁石を用いた従来の制振装置とは異なり、過酷な環境下でも長期間にわたって確実な作動性と耐久性が期待できる。
【0032】
また、本実施形態に係る斜張橋ケーブルの制振装置1によれば、伸縮機構2の設定最大長さLの限度内で斜張橋ケーブル3が振動する際、連結要素4a、4bの回動動作に伴って円筒部15の外周面に形成された摩擦面と中空円筒部12の内周面に形成された摩擦面が互いに摺動し摩擦減衰が発生する。
【0033】
したがって、伸縮機構2が作動しない小さな振幅での斜張橋ケーブル3の振動に対しても、摩擦減衰の形で振動エネルギーを減衰させることが可能となる。
【0034】
このように、本実施形態に係る斜張橋ケーブルの制振装置1によれば、斜張橋ケーブル3の振幅が小さいときには摩擦減衰により、振幅が大きいときにはかかる摩擦減衰に加えて振動モード変化に伴う減衰により、斜張橋ケーブル3の振動を減衰させることができるため、さまざまな種類や大きさの振動に適応することが可能となる。
【0035】
本実施形態では、伸縮機構2を、複数の連結要素4a、4bがそれらの端部にて回動自在となるように順次連結して構成するとともに、その下端では桁7の取付部5に、上端では斜張橋ケーブル3の取付部6にそれぞれヒンジ接合して構成したが、参考例として、パンタグラフ状に構成したものを図4に示す
【0036】
すなわち、同図に示す伸縮機構21は、互いの中心にてヒンジ接合された複数の連結要素22a、22bがそれらの端部にて回動自在となるように順次連結して構成するとともに、その下端では連結要素23を介して桁7の取付部5に、上端では連結要素23を介して斜張橋ケーブル3の取付部6にそれぞれヒンジ接合してある。
【0037】
なお、かかる構成においてもその作用効果については伸縮機構2と実質的に同一であり、その説明についてはここでは省略する。
【0038】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明に係る斜張橋ケーブルの制振装置によれば、斜張橋ケーブルと桁との間に伸張制限機構を介在させたので、斜張橋ケーブルの振動が所定の振幅に達したとき、その振動モードを変化させ、その際に発生する高次モードの振動によって、斜張橋ケーブルの振動エネルギーを速やかに消費させることが可能となる。そのため、斜張橋ケーブルを自励振動として成長させることなくすみやかに収斂させることができる。
【0039】
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係る斜張橋ケーブルの制振装置の全体図。
【図2】本実施形態に係る斜張橋ケーブルの制振装置を構成する伸縮機構の詳細図であり、(a)は該伸縮機構の連結部位の詳細図、(b)はA―A線に沿う断面図。
【図3】本実施形態に係る斜張橋ケーブルの制振装置の作用を示した図。
【図4】参考例に係る斜張橋ケーブルの制振装置の全体図。
【符号の説明】
1 斜張橋ケーブルの制振装置
2 伸縮機構(伸張制限機構)
3 斜張橋ケーブル
4a、4b 連結要素
7 桁

Claims (2)

  1. 伸張方向の強制変形に対し設定最大長さを限度として全長が可変に構成された伸張制限機構を斜張橋ケーブルと該斜張橋ケーブルで引張支持されている桁との間に介在させてなり、前記設定最大長さを、前記斜張橋ケーブルの自励振動の成長が抑制されるように設定した斜張橋ケーブルの制振装置において、
    前記伸張制限機構を、複数の連結要素がそれらの端部にて回動自在となるように順次連結されてなり、前記複数の連結要素が一直線上に並んだときの長さが前記設定最大長さとなる伸縮機構で構成したことを特徴とする斜張橋ケーブルの制振装置。
  2. 前記連結要素のうち、互いに隣接する連結要素の各連結部位に摩擦面をそれぞれ設けるとともに、該摩擦面を回動方向に摺動自在となるように互いに当接させた請求項記載の斜張橋ケーブルの制振装置。
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