JP4333017B2 - 内燃機関の制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、車載エンジン等の内燃機関においては、燃費改善等を意図して機関運転状態に応じて燃焼方式を成層燃焼と均質燃焼との間で切り換えるタイプのものが実用化されている。また、こうしたタイプの内燃機関では、例えば1999年9月24日発行の「クラウン、クラウンマジェスタ新型車解説書」に記載されるように、混合気の良好な燃焼が得られるよう燃焼室内のガスの流動状態を変更する気流制御弁を同機関の吸気通路に設けることも知られている。
【0003】
上記文献に示される内燃機関においては、機関運転状態が低回転低負荷領域にあるときには、気流制御弁を開弁状態として燃焼室内でのガス流の助けをかりることなく成層燃焼が実行される。ただし、内燃機関が冷えた状態にあるときや内燃機関がアイドル状態にあってブレーキブースタ負圧が不足しているときなどには、気流制御弁を閉弁した状態での均質燃焼を行い、混合気の燃焼を良好に維持するようにしている。なお、このように良好な燃焼を得ることができるのは、気流制御弁の閉弁で燃焼室内のガス流が強められ、空気と燃料との混合が促進されるとともに混合気の火炎伝播が速められるためである。
【0004】
従って、内燃機関のアイドル状態(低回転低負荷状態)において、例えばブレーキブースタ負圧が不足しているときに気流制御弁が閉弁した状態での均質燃焼運転が行われ、ブレーキブースタ負圧が確保されたときに均質燃焼から成層燃焼への切り換えが許可される。こうして燃焼形態の切り換えが許可された場合、加速時など内燃機関がアイドル状態からオフアイドル状態へと移行する際に均質燃焼から成層燃焼に切り換えられる。このように燃焼形態を切り換えるのは、加速時などアイドル状態からオフアイドル状態へと移行する過程では、仮に燃焼形態の切り換えに伴うトルクショックが生じたとしても、それによる悪影響を受けにくいためである。また、このときには、気流制御弁も閉弁状態から開弁状態へと切り換えられる。
【0005】
ところで、自動車等に搭載される内燃機関においては、その出力軸が自動変速機等に連結されており、例えば特開平8−246913号公報に示されるごとく、内燃機関のアイドル状態からオフアイドル状態への移行に伴い機関トルクが立ち上がるとき、自動変速機の作動状態によってはトルクショックが発生する。こうしたトルクショックが発生しないよう上記機関トルクの立ち上がりを抑制するためのトルク制御が行われるが、この抑制が過剰になると加速性能が悪化することから、上記トルク制御の制御量は加速性能の維持とトルクショックの抑制とが両立するよう適合される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、内燃機関のアイドル状態からオフアイドル状態への移行時に上記トルク制御が実行されるときには、上述したように気流制御弁が閉弁状態から開弁状態に切り換えられることがある。内燃機関のアイドル状態からオフアイドル状態への移行に伴う機関トルクの立ち上がりは、気流制御弁が開弁しているときと閉弁しているときとでは異なる傾向をとる。そのため、上記機関トルクの立ち上がりを抑制するトルク制御が実行されるとき、気流制御弁がその開閉制御を通じて開弁状態と閉弁状態との間で切り換えられると、この気流制御弁の開閉制御が上記トルク制御に干渉することになり、当該トルク制御が適切に行えなくなってドライバビリティが悪化する。
【0007】
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、内燃機関のアイドル状態からオフアイドル状態に移行する際、機関トルクの立ち上がりを調整するトルク制御が適切に行われなくなってドライバビリティが悪化するのを抑制することのできる内燃機関の制御装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明では、内燃機関の吸気系に設けられた気流制御弁の開閉制御を通じて燃焼室内でのガスの流動状態を変更するとともに、所定条件下での内燃機関のアイドル状態からオフアイドル状態への移行時に機関トルクの立ち上がりを調整するトルク制御を行う内燃機関の制御装置において、内燃機関のアイドル状態からオフアイドル状態への移行に伴い前記気流制御弁の開閉状態を切り換えるに際し、前記トルク制御が実行されているときには同トルク制御が終了してから前記気流制御弁の開閉状態を切り換える開閉制御手段を備えた。
【0009】
上記構成によれば、トルク制御の実行中に気流制御弁の開閉状態が切り換えられ、気流制御弁の開閉制御がトルク制御に干渉することが抑制されるため、この干渉によりトルク制御が適切に行えなくなってドライバビリティが悪化するのを抑制することができる。
【0010】
なお、上記トルク制御の一例としては、内燃機関の出力軸が自動変速機に連結される場合に、同機関のアイドル状態からオフアイドル状態への移行に伴い、自動変速機の一方向クラッチが非係合状態から係合状態に変化するときの機関トルクの立ち上がりを抑制するトルク制御があげられる。
【0011】
請求項2記載の発明では、請求項1記載の発明において、前記開閉制御手段は、前記トルク制御が実行されていないときには、内燃機関のアイドル状態からオフアイドル状態への移行に同期して前記気流制御弁の開閉状態を切り換えるものとした。
【0012】
上記構成によれば、内燃機関のアイドル状態からオフアイドル状態への移行に伴い気流制御弁の開閉状態を切り換えるに際し、トルク制御が実行されていないときに気流制御弁の開閉状態の切り換えが遅れるのを抑制することができる。
【0013】
請求項3記載の発明では、請求項1又は2記載の発明において、前記開閉制御手段は、前記トルク制御終了後に前記気流制御弁の開閉状態を切り換えるに当たり、機関運転状態がその切り換えによる機関トルク差の悪影響が生じない運転領域に達したこと条件に、前記気流制御弁の開閉状態を切り換えるものとした。
【0014】
上記構成によれば、トルク制御終了後に気流制御弁の開閉状態の切り換えが行われるとき、それに伴う機関トルク差によってドライバビリティが悪化するのを抑制することができる。
【0015】
請求項4記載の発明では、請求項3記載の発明において、前記開閉制御手段は、前記トルク制御終了後における前記気流制御弁の開閉状態の切り換えを、機関運転状態が前記気流制御弁の開弁時と閉弁時とで得られる機関トルクが等しくなる運転領域に達したことを条件に実行するものとした。
【0016】
上記構成によれば、トルク制御終了後に気流制御弁の開閉状態の切り換えが行われるとき、それに伴う機関トルク差をほぼ「0」とすることができ、同機関トルク差によりドライバビリティが悪化するのを的確に抑制することができる。
【0017】
請求項5記載の発明では、請求項1〜4のいずれかに記載の発明において、前記内燃機関は、アイドル状態からオフアイドル状態への移行に当たり、混合気の燃焼形態が均質燃焼から成層燃焼に切り換えられるものであって、前記アイドル状態からオフアイドル状態への移行に際し、前記気流制御弁の開閉状態が切り換えられたことを条件に、内燃機関の燃焼形態を均質燃焼から成層燃焼に切り換える燃焼制御手段を備えた。
【0018】
上記構成によれば、燃焼室内でのガスの流動状態が成層燃焼に適していないときに成層燃焼への切り換えが行われることがないため、この燃焼形態の切り換えによる燃焼悪化を抑制しながら、オフアイドル状態への移行後に可能な限り早期に成層燃焼を実行して均質燃焼の継続に伴う燃費悪化を抑制することができる。従って、アイドル状態からオフアイドル状態への移行に際し、燃焼形態の切り換えによる燃焼悪化を抑制しながら、燃費悪化の抑制との両立を図ることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を自動車に搭載される筒内噴射火花点火式エンジンに適用した一実施形態を図1〜図5に従って説明する。
【0020】
図1に示されるエンジン11は、吸気通路32及び排気通路33が接続された燃焼室16内に直接燃料を噴射供給する燃料噴射弁40と、燃焼室16内の混合気に対し点火を行って混合気を燃焼させる点火プラグ41とを備えている。そして、燃焼室16内での混合気の燃焼に基づきエンジン11のピストン12が往復移動し、この往復移動がコネクティングロッド13によって出力軸であるクランクシャフト14の回転へと変換される。
【0021】
エンジン11の吸気通路32には、燃焼室16に吸入される空気の量を調節するスロットルバルブ23と、吸気通路32におけるスロットルバルブ23の下流側の圧力(吸気圧PM)を検出するバキュームセンサ36とが設けられている。スロットルバルブ23の開度は、自動車のアクセルペダル25の踏込量(アクセル踏込量ACCP)を検出するアクセルポジションセンサ26からの検出信号に基づいて、スロットル用モータ24を駆動制御することによってによって変更される。
【0022】
また、エンジン11の吸気通路32において、その下流端に近い部分は二つに分岐した状態で燃焼室16に接続され、分岐した一方の吸気通路32には燃焼室16内におけるガスの流動状態を変更するための気流制御弁48が設けられている。そして、気流制御弁48が開かれると吸気通路32の空気流通面積が大きくなってエンジン11の吸気抵抗が低減され、気流制御弁48が閉じられると吸気通路32の空気流通面積が小さくなって燃焼室16に吸入される空気の流速が早くなる。
【0023】
一方、エンジン11のクランクシャフト14は、自動車に搭載される自動変速機2に連結されている。この自動変速機2は、例えば前進5段・後進1段の変速段を有しており、自動変速機2に設けられた各種クラッチ及びブレーキといった摩擦係合装置や一方向クラッチ3を作動させることで、上記変速段のうちのいずれかが選択されるものである。
【0024】
エンジン11及び自動変速機2の駆動制御は、電子制御装置(以下、ECUという)92によって行われる。即ち、ECU92は、エンジン11について燃料噴射制御、点火時期制御、気流制御弁48の開閉制御、スロットルバルブ23の開閉制御、及び燃焼形態の切換制御などの各種制御を行うとともに、自動変速機2について変速段の切換制御といった各種制御を行う。
【0025】
ECU92には、上記自動変速機2、スロットル用モータ24、アクセルポジションセンサ26、バキュームセンサ36、及び燃料噴射弁40が接続されるとともに、クランクシャフト14の回転に対応したパルス状の信号を出力するクランクポジションセンサ14c、点火プラグ41の点火時期を制御するイグナイタ41a、及び気流制御弁48を開閉するアクチュエータ49等が接続されている。
【0026】
ECU92は、エンジン回転数NE及び負荷率KLといったエンジン運転状態に応じて混合気の燃焼形態を成層燃焼と均質燃焼との間で切り換える。ここで、エンジン回転数NEは、クランクポジションセンサ14cからの検出信号に基づき求められる。また、負荷率KLは、最大機関負荷に対する現在の負荷割合を示す値であって、エンジン11の吸入空気量に対応するパラメータとエンジン回転数NEとに基づき算出される。なお、吸入空気量に対応するパラメータとしては、バキュームセンサ36の検出信号から求められる吸気圧PMや、アクセルポジションセンサ26の検出信号から求められるアクセル踏込量ACCPなどがあげられる。
【0027】
エンジン11の成層燃焼運転中には、圧縮行程での燃料噴射により点火プラグ41周りのみに可燃混合気が存在した状態で混合気の燃焼が行われるため、混合気の空燃比を理論空燃比よりもリーンとして燃費を改善することが可能になる。また、エンジン11の均質燃焼運転中には、吸気行程での燃料噴射により燃料が空気に対して均等に混合された状態で混合気の燃焼が行われるため、混合気全体の燃料濃度を高めて高出力を得ることが可能になる。
【0028】
従って、例えば、エンジン11の運転状態が低回転低負荷域の成層燃焼運転領域にあるときには成層燃焼を実行して燃費改善を図り、同運転状態が上記低回転低負荷域よりも高回転高負荷側の均質燃焼運転領域にあるときには均質燃焼を実行して必要なエンジン出力が得られるようにする。このように燃焼形態を切り換えることで、燃費を改善することと必要なエンジン出力を得ることとの両立を図ることができる。
【0029】
そして、成層燃焼と均質燃焼との間の燃焼形態の切り換えは、ECU92を通じて設定される運転モードMODEの値、例えば「0(成層燃焼)」、「1(均質燃焼)」のように設定される値に応じて行われる。即ち、ECU92は、例えばエンジン11の運転状態が成層燃焼運転領域にあるときに運転モードMODEを「0」に設定し、「MODE=0」であることに基づき成層燃焼を実行する。また、ECU92は、例えばエンジン11の運転状態が均質燃焼運転領域にあるときに運転モードMODEを「1」に設定し、「MODE=1」であることに基づき均質燃焼を実行する。
【0030】
こうした成層燃焼と均質燃焼とでは燃焼室16内での混合気の形態が互いに異なるため、エンジン運転状態が同一である条件のもとでも、それぞれの燃焼形態に適した燃料噴射量、燃料噴射時期、点火時期、及びスロットル開度等は互いに異なるものとなる。従って、ECU92は、実行される燃焼形態に適した燃料噴射量、燃料噴射時期、点火時期、及びスロットル開度等が得られるよう、燃料噴射弁40、イグナイタ41a、及びスロットル用モータ24等を制御する。
【0031】
また、ECU92は、エンジン回転数NE及び負荷率KL等のエンジン運転状態に基づきアクチュエータ49を制御して気流制御弁48の開閉状態を変更する。このような気流制御弁48の開閉制御に基づき、成層燃焼運転時には気流制御弁48が閉弁されるようになる。また、均質燃焼運転時には高回転高負荷域で気流制御弁48が開弁され、それ以外の領域では気流制御弁48が閉弁されるようになる。
【0032】
なお、こうした気流制御弁48の開閉制御は、
・成層燃焼運転時には燃焼室16内でのガス流の助けをかりることなく点火プラグ41周りに可燃混合気が形成される。
【0033】
・均質燃焼運転時であって運転状態が高回転高負荷域にあるときには、気流制御弁48を開弁することにより、可能な限り同弁48の閉弁に伴う吸気抵抗の増大を抑制することが好ましい。
【0034】
・均質燃焼運転時であって運転状態が高回転高負荷以外の領域にあるときには、気流制御弁48を閉弁することにより、燃焼室16内に乱流を生じさせて空気と燃料との混合を促進させること、及び燃焼室16内に吸入されるガスの流速を速めて吸気充填効率を向上させることが好ましい。
等の理由に基づいてのものである。
【0035】
一方、ECU92は、自動変速機2の変速段がいずれであるか、及び一方向クラッチ3が係合状態と非係合状態とのいずれにあるかを判断する。更に、ECU92は、自動変速機2の出力軸2aの回転速度に基づき自動車の車速SPDを求め、車速SPD及びアクセル踏込量ACCP等に基づき自動変速機2の変速段を最適な段に設定する。
【0036】
また、自動変速機2の変速段が1速に設定された状態で、アクセル踏込量ACCPが「0」(アイドル状態)とされて自動車が減速するときには、上記1速を達成するための一方向クラッチ3が非係合状態になる。この状態にあって、自動車の再加速のためにアクセルペダル25が踏み込まれ、アクセル踏込量ACCPが「0」よりも大(オフアイドル状態)になると、惰性回転した状態のエンジン11が積極回転するようになり、これに伴い非係合状態にある一方向クラッチ3が係合状態へと切り換わる。
【0037】
ところで、上記のようなエンジン11のアイドル状態からオフアイドル状態への移行に伴い機関トルクが立ち上がるとき、特に、上記自動変速機2の変速段が1速に設定された状態で一方向クラッチ3が非係合状態から係合状態に切り換わる場合には、この切り換わりによって機関トルクの立ち上がりの際にトルクショックが発生する。ECU92は、こうしたトルクショックの発生を抑制すべく、機関トルクの立ち上がりを抑制するトルク制御を実行する。
【0038】
ECU92を通じて行われる上記トルク制御は、機関トルクに影響を及ぼすエンジン制御系、例えば吸気系、点火系、及び燃料噴射系のうちの少なくとも一つを所定の制御量を用いて調整することにより行われる。なお、このトルク制御によって機関トルクの立ち上がりを過剰に抑制すると加速性能が悪化することから、上記制御量は加速性能の維持とトルクショックの抑制とが両立するよう適合される。
【0039】
エンジン11がアイドル状態からオフアイドル状態に変化するときには、運転状態が低回転低負荷域にあることから、通常は成層燃焼運転中に上記トルク制御が行われる。こうした成層燃焼運転中でのトルク制御は、例えばエンジン11の燃料噴射量を減量するなど、燃料噴射系を所定の制御量で調整することによって実現される。
【0040】
ただし、アイドル状態(低回転低負荷状態)であっても気流制御弁48を閉弁した状態での均質燃焼が実行されることがある。この場合、アイドル状態での均質燃焼から成層燃焼への切り換えが、エンジン11のアイドル状態からオフアイドル状態への移行に基づき行われる。こうした燃焼形態の切り換えをアイドル状態からオフアイドル状態への移行の際に限るのは、そのときには燃焼形態の切り換えに伴い仮にトルクショックが発生したとしても同ショックを感じにくいためである。
【0041】
このように、エンジン運転状態がアイドル状態など低回転低負荷域にあっても均質燃焼が行われる場合、アイドル状態からオフアイドル運転状態への移行に伴いトルク制御が開始されると均質燃焼運転中にトルク制御が行われる。こうした均質燃焼運転中でのトルク制御は、例えばエンジン11の吸入空気量を減量したり点火時期を遅角させたりするなど、吸気系や点火系を所定の制御量で調整することによって実現される。
【0042】
次に、上記トルク制御の実行手順について、再加速時トルク制御ルーチンを示す図2のフローチャートを参照して詳しく説明する。この再加速時トルク制御ルーチンは、ECU92を通じて例えば所定時間毎の時間割り込みにて周期的に実行される。
【0043】
再加速時トルク制御ルーチンの処理として、まずトルク制御実行フラグFが「0(停止)」であるか否かを判断する。このトルク制御実行フラグFは、トルク制御の実行中であるか否かを判断するためのものであり、後述する処理によって「0(停止)」又は「1(実行)」に設定される。
【0044】
ステップS101の処理で肯定判定がなされると、トルク制御が停止されている旨判断され、所定の開始条件が成立したときにトルク制御を開始するためのステップS102〜S107の処理が実行される。
【0045】
上記開始条件が成立したか否かの判断は、自動変速機2の変速段が1速であるか否か(S102)、車速SPDが例えば8〜15kmなど所定低速域にあるか否か(S103)、一方向クラッチ3が非係合状態であるか否か(S104)、及び、アクセルペダル25の踏み込み直後であるか否か(S105)といった判断に基づいて行われる。そして、上記S102〜S105の処理の全てで肯定判定がなされた場合には、トルク制御を開始するための開始条件が成立した旨判断され、トルク制御実行フラグFが「1(実行)」に設定されるとともに、トルク制御が開始される(S106,S107)。
【0046】
このトルク制御によって、アイドル状態からオフアイドル状態への移行に際して一方向クラッチ3が非係合状態から係合状態に切り換わるとき、機関トルクの立ち上がりが抑制されてトルクショックの発生が抑制される。ここで、このトルク制御について、均質燃焼運転でのアイドル状態からオフアイドル状態へと移行する場合のトルク制御を例に詳しく説明する。
【0047】
自動車の再加速に基づき、均質燃焼運転中でのトルク制御が開始されると、エンジン回転数NEを速やかに上昇させるべくスロットルバルブ23が一旦開き側に制御され、その後に閉じ側に制御される。そして、スロットルバルブ23が閉じ側に制御された後、点火時期が遅角側に制御される。
【0048】
こうしたスロットルバルブ23の閉じ側への制御、及び点火時期の遅角側への制御により、一方向クラッチ3が非係合状態から係合状態へと変化したときにトルクショックが発生しないよう、アイドル状態からオフアイドル状態への移行に伴う機関トルクの立ち上がりが抑制される。なお、スロットルバルブ23を閉じ側に制御するための制御量、及び点火時期を遅角側に制御するための制御量は、自動車の加速性能を維持しつつ、上記のトルクショックを抑制できるよう適合される。
【0049】
上記トルク制御の開始後においては、トルク制御実行フラグFが「1(実行)」となるため、ステップS101の処理で否定判定がなされ、所定のタイミングでトルク制御を終了するためのステップS108〜S110の処理が実行されるようになる。
【0050】
即ち、トルク制御が開始されてから所定時間t1が開始されたか否かが判断され(S108)、肯定判定であればトルク制御実行フラグFが「0(停止)」に設定されるとともに、トルク制御が停止される(S109,S110)。このようにトルク制御が停止した後においては、スロットル開度及び点火時期は通常どおり制御されることとなる。
【0051】
次に、均質燃焼でのアイドル運転が行われている状態からオフアイドル状態へ移行する際、アクセル踏込量ACCP、トルク制御実行フラグF、気流制御弁48、及び運転モードMODEがどのように変化するかを図3のタイムチャートを参照して説明する。
【0052】
均質燃焼運転中でのアイドル状態では、運転モードMODEが「1(均質燃焼)」に設定されるとともに、アクセル踏込量ACCPが「0」(アイドル状態)となる。また、アイドル状態のときに均質燃焼運転が行われる場合には、エンジン運転状態が高回転高負荷域にはないことから、混合気における空気と燃料との混合が促進されて良好な燃焼が行われるよう、気流制御弁48が図3(c)に示されるように閉弁される。
【0053】
その後、アクセル踏込量ACCPが「0」よりも大(オフアイドル状態)にされると、自動変速機2の変速段が1速であることや一方向クラッチ3が非係合状態であることを条件に、図3(b)に破線で示されるようにトルク制御実行フラグFが「1(実行)」に設定される。そして、上記のように一方向クラッチ3が切り換わる際のトルクショックを抑制すべく、アイドル状態からオフアイドル状態への移行に伴う機関トルクの立ち上がりを抑制するためのトルク制御が実行される。
【0054】
エンジン11が上記のようにアイドル状態からオフアイドル状態に移行した際に、運転状態が成層燃焼運転領域にある場合には、燃焼形態が均質燃焼から成層燃焼に切り換えられる。また、成層燃焼は燃焼室16内でのガス流の助けをかりることなく実行されることから、上記成層燃焼運転領域では気流制御弁48が開弁されるようになる。しかし、こうした気流制御弁48の開閉状態の切り換えが上記トルク制御の実行中に行われると、同トルク制御が適切に行えなくなるという悪影響が生じる。
【0055】
これは、エンジン11のアイドル状態からオフアイドル状態への移行に伴う機関トルクの立ち上がりは、気流制御弁48が閉弁しているときと開弁しているときとで異なる傾向をとることが原因である。即ち、上記トルク制御中に気流制御弁48の開閉状態が切り換えられると、機関トルクの立ち上がりの傾向に影響を及ぼす気流制御弁48の開閉がトルク制御に干渉することになり、当該トルク制御が適切に行えなくなってドライバビリティが悪化する。
【0056】
そこで本実施形態では、アイドル状態からオフアイドル状態への移行に伴い上記のように気流制御弁48を切り換えるに際し、トルク制御が実行中(「F=1」)であれば、図3(c)に破線で示すように気流制御弁48を一旦閉弁状態で固定する。このように気流制御弁48が閉弁状態で固定されているときには、均質燃焼から成層燃焼への切り換えを禁止すべく、運転モードMODEが「1(均質燃焼)」に固定される。
【0057】
上記トルク制御は開始から所定時間t1が経過した後に終了するが、このトルク制御が終了してから気流制御弁48の閉弁状態での固定が解除され、同弁48の閉弁状態から開弁状態への切り換えが許可される。そして、当該気流制御弁48の切り換え許可に基づき、閉弁状態にあった気流制御弁48が図3(c)に破線で示すように開弁される。
【0058】
以上により、トルク制御中に気流制御弁48の開閉状態が切り換えられ、トルク制御が気流制御弁48の開閉に干渉されて適切に行えなくなり、ドライバビリティが悪化するのを抑制することができるようになる。
【0059】
また、気流制御弁48の閉弁状態での固定が解除されてから所定時間t2が経過すると、運転モードMODEの「1(均質燃焼)」での固定が解除され、運転モードMODEの切り換えが許可されるようになる。従って、上記切り換え許可に基づき運転モードMODEが図3(d)に破線で示すように「0(成層燃焼)」に切り換えられ、エンジン11の燃焼形態が均質燃焼から成層燃焼に切り換えられる。
【0060】
次に、均質燃焼運転でのアイドル状態からオフアイドル状態に移行するときの気流制御弁48及び燃焼形態の制御手順について図4及び図5を併せ参照して説明する。図4及び図5は、気流制御弁48及び運転モードMODEの固定及び固定解除を行うための加速時制御ルーチンを示すフローチャートである。この加速時制御ルーチンは、ECU92を通じて例えば所定時間毎の時間割り込みにて周期的に実行される。
【0061】
加速時制御ルーチンの処理として、まず均質燃焼運転でのアイドル状態からオフアイドル状態への移行に伴いトルク制御が実行されているか否かが判断される。この判断は、均質燃焼運転でのアイドル状態か否か(S201(図4))、アクセル踏込直後か否か(S202)、及び、トルク制御実行フラグFが「1(実行)」であるか否か(S203)の判断に基づいて行われる。
【0062】
そして、上記ステップS201〜S203の処理の全てで肯定判定がなされると、均質燃焼運転でのアイドル状態からオフアイドル状態への移行に伴いトルク制御が実行されている旨判断され、気流制御弁48が図3(c)に破線で示すように閉弁状態で固定されるとともに、運転モードMODEが図3(d)に破線で示すように「1(均質燃焼)」に固定される(S204,S205)。
【0063】
また、上記ステップS201〜S203の処理のいずれかで否定判定がなされ、均質燃焼運転でのアイドル状態からオフアイドル状態への移行に伴いトルク制御が実行されていない旨判断された場合には、気流制御弁48及び運転モードMODEの固定が行われることはない。そのため、上記アイドル状態からオフアイドル状態への移行に基づき、通常どおり気流制御弁48の開閉状態の切り換え、及び運転モードMODEの切り換えが行われることとなる。
【0064】
即ち、上記アイドル状態からオフアイドル状態への移行に同期して気流制御弁48が図3(c)に実線で示すように閉弁状態から開弁状態に切り換えられる。その後、所定時間が経過してから運転モードMODEが図3(d)に実線で示すように「0(成層燃焼)」に切り換えられ、これに基づきエンジン11の燃焼形態が均質燃焼から成層燃焼に切り換えられる。なお、気流制御弁48の開弁要求がない場合には、気流制御弁48の閉弁及びエンジン11の均質燃焼運転が続行される。また、運転状態が成層燃焼運転領域にない場合には、エンジン11の均質燃焼運転が続行される。
【0065】
一方、図5に示すステップS206の処理では、気流制御弁48が閉弁状態で固定されているか否かの判断が行われ、肯定判定であれば所定の固定解除条件の成立に基づき気流制御弁48の閉弁状態での固定を解除するためのステップS207〜S211の処理が実行される。ステップS207〜S210の処理では、トルク制御が終了し、且つエンジン運転状態が気流制御弁48の開閉状態の切り換えによる機関トルク差の悪影響が生じない運転領域に達したか否かが判断される。
【0066】
この判断は、トルク制御実行フラグFが「0(停止)」であるか否か(S206)、負荷率KLが所定値αよりも大であるか否か(S208)、エンジン回転数NEが所定値βよりも大であるか否か(S209)、及び、車速SPDが所定値γよりも大であるか否か(S210)の判断に基づいて行われる。
【0067】
そして、上記ステップS207の処理で肯定判定がなされるとともに上記ステップS208〜S210の処理のいずれかで肯定判定がなされ、トルク制御が終了し、且つエンジン運転状態が気流制御弁48の開閉状態の切り換えによる機関トルク差の悪影響が生じない運転領域に達した旨判断されると、気流制御弁48の閉弁状態での固定が解除される(S211)。
【0068】
このとき、気流制御弁48の開弁要求があれば、気流制御弁48は図3(c)に破線で示すように閉弁状態から開弁状態に切り換えられる。このように気流制御弁48の開閉状態が切り換えられたとき、その切り換えに伴う機関トルク差が悪影響を及ぼさないよう、上記ステップS208〜S210で用いられる所定値α,β,γが予め設定される。
【0069】
なお、「KL>α(S208)」、「NE>β(S209)」、又は「SPD>γ(S209)」という条件の成立で、気流制御弁48の開閉状態の切り換えに伴う機関トルクの差が悪影響を及ぼさなくなるのは、これらの条件成立時にはエンジン11や自動車の振動等によって上記機関トルク差をほとんど感じなくなるためである。
【0070】
気流制御弁48の閉弁状態での固定が解除された後、この固定解除から所定時間t2が経過したか否かの判断(S212)で肯定判定がなされると、「1(均質燃焼)」で固定されていた運転モードMODEの切り換えが許可され、図3(d)に破線で示すように「0(成層燃焼)」に切り換えられる。このときには、運転モードMODEが「0」に切り換えられることに基づき、エンジン11の燃焼形態が均質燃焼から成層燃焼に切り換えられる。
【0071】
以上詳述した本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)均質燃焼運転でのアイドル状態からオフアイドル状態への移行に伴い気流制御弁48を閉弁状態から開弁状態へと切り換えるに際し、一方向クラッチ3の非係合状態から係合状態への切り換わりに伴うトルクショックを抑制するためのトルク制御が実行中であるときには、同トルク制御が終了してから気流制御弁48の開閉状態の切り換えが行われる。そのため、トルク制御中に気流制御弁48の開閉状態が切り換えられ、気流制御弁48の開閉がトルク制御に干渉してドライバビリティが悪化するのを抑制することができる。
【0072】
(2)均質燃焼運転でのアイドル状態からオフアイドル状態への移行に伴い気流制御弁48を閉弁状態から開弁状態へと切り換えるに際し、トルク制御が実行中でないときには、アイドル状態からオフアイドル状態への移行に同期して気流制御弁48の開閉状態の切り換えが行われる。そのため、上記のようにトルク制御が実行されていない場合に、気流制御弁48の閉弁状態から開弁状態への切り換えが不必要に遅れるのを抑制することができる。
【0073】
(3)トルク制御終了後における気流制御弁48の閉弁状態から開弁状態への切り換えは、エンジン運転状態が同切り換えによる機関トルク差の悪影響が生じない運転領域に達したことを条件に行われる。そのため、上記のように気流制御弁48の開閉状態が切り換えられるとき、それに伴う機関トルク差によってドライバビリティが悪化するのを抑制することができる。
【0074】
(4)均質燃焼運転でのアイドル状態からオフアイドル状態への移行に伴う燃焼形態の均質燃焼から成層燃焼に切り換えは、トルク制御終了後に気流制御弁48の閉弁状態での固定が解除されてから所定時間t2が経過し、運転モードMODEの「0(成層燃焼)」への切り換えが許可されることに基づいて行われる。そのため、上記燃焼形態の切り換えは、気流制御弁48の閉弁状態での固定が解除され、同弁48が閉弁状態から開弁状態に切り換えられたことを条件に行われることとなる。これにより、燃焼室16内でのガスの流動状態が成層燃焼に適していないときに燃焼形態が均質燃焼から成層燃焼に切り換えられることはなくなり、燃焼形態の切り換えによる燃焼悪化を抑制しながら、オフアイドル状態への移行後に可能な限り早期に成層燃焼を実行して均質燃焼の継続に伴う燃費悪化を抑制することができる。従って、燃焼形態の切り換えによる燃焼悪化を抑制しながら、燃費悪化の抑制との両立を図ることができる。
【0075】
なお、本実施形態は、例えば以下のように変更することもできる。
・本実施形態では、トルク制御終了後に気流制御弁48の閉弁状態での固定を解除して同弁48を開弁させるに際し、その固定解除をトルク制御が終了し且つエンジン運転状態が気流制御弁48の開閉状態の切り換えによる機関トルク差の悪影響が生じない運転領域に達したことを条件に行うようにしたが、本発明はこれに限定されない。例えば、気流制御弁48の閉弁状態での固定の解除を、トルク制御が終了し且つエンジン運転状態が気流制御弁48の閉弁時と開弁時とで得られる機関トルクが等しくなる運転領域に達したことを条件に行い、同条件の成立時に気流制御弁48が閉弁状態から開弁状態に切り換えられるようにしてもよい。この場合、上記気流制御弁48の開閉状態の切り換えが行われるとき、それに伴う機関トルク差をほぼ「0」とすることができ、同機関トルク差によりドライバビリティが悪化するのを的確に抑制することができる。
【0076】
・本実施形態では、均質燃焼運転でのアイドル状態からオフアイドル状態へと移行時にトルク制御が実行されていなければ、アイドル状態からオフアイドル状態への移行と同時に気流制御弁48の閉弁状態での固定を解除したが、本発明はこれに限定されない。即ち、アイドル状態からオフアイドル状態への移行と同時ではなく、この移行から所定時間が経過した後に上記気流制御弁48の閉弁状態での固定を解除するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態のエンジン制御装置が適用されるエンジン全体を示す略図。
【図2】自動車の再加速時に行われるトルク制御の実行手順を示すフローチャート。
【図3】均質燃焼運転でのアイドル状態からオフアイドル状態へ移行するに際し、アクセル踏込量ACCP、トルク制御実行フラグF、気流制御弁、及び運転モードMODEがどのように変化するかを示すタイムチャート。
【図4】均質燃焼運転でのアイドル状態からオフアイドル状態に移行するときの気流制御弁48及び燃焼形態の制御手順を示すフローチャート。
【図5】均質燃焼運転でのアイドル状態からオフアイドル状態に移行するときの気流制御弁48及び燃焼形態の制御手順を示すフローチャート。
【符号の説明】
2…自動変速機、3…一方向クラッチ、11…エンジン、14c…クランクポジションセンサ、23…スロットルバルブ、24…スロットル用モータ、25…アクセルペダル、26…アクセルポジションセンサ、32…吸気通路、33…排気通路、36…バキュームセンサ、40…燃料噴射弁、41…点火プラグ、41a…イグナイタ、48…気流制御弁、92…電子制御装置(ECU)。
Claims (5)
- 内燃機関の吸気系に設けられた気流制御弁の開閉制御を通じて燃焼室内でのガスの流動状態を変更するとともに、所定条件下での内燃機関のアイドル状態からオフアイドル状態への移行時に機関トルクの立ち上がりを調整するトルク制御を行う内燃機関の制御装置において、
内燃機関のアイドル状態からオフアイドル状態への移行に伴い前記気流制御弁の開閉状態を切り換えるに際し、前記トルク制御が実行されているときには同トルク制御が終了してから前記気流制御弁の開閉状態を切り換える開閉制御手段を備える
ことを特徴とする内燃機関の制御装置。 - 前記開閉制御手段は、前記トルク制御が実行されていないときには、内燃機関のアイドル状態からオフアイドル状態への移行に同期して前記気流制御弁の開閉状態を切り換える
請求項1記載の内燃機関の制御装置。 - 前記開閉制御手段は、前記トルク制御終了後に前記気流制御弁の開閉状態を切り換えるに当たり、機関運転状態がその切り換えによる機関トルク差の悪影響が生じない運転領域に達したこと条件に、前記気流制御弁の開閉状態を切り換えるものである
請求項1又は2記載の内燃機関の制御装置。 - 前記開閉制御手段は、前記トルク制御終了後における前記気流制御弁の開閉状態の切り換えを、機関運転状態が前記気流制御弁の開弁時と閉弁時とで得られる機関トルクが等しくなる運転領域に達したことを条件に実行するものである
請求項3記載の内燃機関の制御装置。 - 請求項1〜4のいずれかに記載の内燃機関の制御装置において、
前記内燃機関は、アイドル状態からオフアイドル状態への移行に当たり、混合気の燃焼形態が均質燃焼から成層燃焼に切り換えられるものであって、
前記アイドル状態からオフアイドル状態への移行に際し、前記気流制御弁の開閉状態が切り換えられたことを条件に、内燃機関の燃焼形態を均質燃焼から成層燃焼に切り換える燃焼制御手段を備える
ことを特徴とする内燃機関の制御装置。
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