JP4333021B2 - α波増強具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、目及び目の周囲に水蒸気を供給することにより、脳波のα波の出現量を増加させるα波増強具に関する。
【0002】
【従来の技術】
脳波とは、脳の神経細胞が互いに信号を伝える時に発生する活動電位パルスであり、その周波数帯域により、α波、β波、δ波、θ波、その他いくつかの脳波に分類される。これらの脳波の中でも、α波は、リラックスした姿勢で安静閉眼時に増加し、精神的あるいは身体的ストレスにより減少すること("Psychophysiology" J.L.Andreassi, Oxford University Press Inc(1980))、即ち、副交感神経が優位な状態にあるときに増加し、交感神経が優位な状態にあるときに減少することが知られている。また、α波の発生時には、勉強や仕事に対する集中力が高まることも知られている。
【0003】
そのため、α波の発生を誘導する方法や装置の開発が進められており、例えば、利用者のα波を検出し、それを光信号に変換し、目の前の光源の点滅により視覚を刺激する装置等が市販されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、新たな手法でより簡便に効果的にα波の増強を図る器具を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、目及び目の周囲に侵害刺激にならない温度以下の水蒸気を供給することにより、α波が有意に増加することを見出した。
【0006】
即ち、本発明は、化学エネルギーを利用した水蒸気発生部を有し、目及び目の周囲に水蒸気を供給することにより脳波のα波を増強し、副交感神経活動を亢進するα波増強具であって、該α波増強具の表面から放出される水蒸気温度が50℃以下に制御されているα波増強具を提供する。
【0007】
本発明において、α波を増強するとは、被験者に脳波電極を装着し脳波計を用いて脳波を測定したときに、α波の出現量が処置前に比べ増加していることをいう。この場合、脳波の測定法としては、国際標準法の単極導出法や双極導出法など脳波測定に関する公知の方法であればよい。
【0008】
また、副交感神経活動を亢進するとは、被験者の心電図のRR間隔を検出し、周波数解析により、呼吸性洞性不整脈(respiratory sinus arrhythmia)に起因する高周波数成分(0.15〜0.40Hz)とMayer波関連成分(Mayer wave-relted sinus arrhythmia)に起因する低周波数成分(0.04〜0.15Hz)のパワー密度を算出し、高周波成分のパワー密度HFを副交感神経活動(心臓の迷走神経性の活動)の指標とし、HFが処置前に比べて増加していることをいう。この場合、周波数解析方法としては特に限定はなく、心電図RR間隔を周波数解析できる手法であればよい。例えば、FFT(Fast Fourier Transformation)、ユール−ウォーカー法(Yule-Walker method)、バーグ法(Burg method)、ハウスホルダー法(Householder method)、アカイケ法(Akaike method)、 最大エントロピー法等があげられる(Task force of the European society of cardiology and the North American society of pacing of pacing and electrophysiology. Heart rate variability: standards of measurement, physiological interpretation, and clinical use. Circulation, 9,1043-1065(1996))。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明のα波増強具は、目及び目の周囲に適用するものである。ここで、α波増強具を目及び目の周囲に適用するとは、α波増強具を目又は目の周囲の皮膚に直接的に接触させることと、接触させることなくその近傍に配することの双方を包含する。
【0010】
本発明のα波増強具は、化学エネルギーを利用した水蒸気発生部を有し、目及び目の周囲に水蒸気を供給することを特徴としている。
【0011】
ここで、化学エネルギーとしては、酸とアルカリの中和熱、無機塩類(塩化カルシウム、塩化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、ゼオライト等)の水和熱、金属粉の酸化熱等をあげることができる。
【0012】
かかる化学エネルギーの水蒸気発生部における具体的利用態様は、利用する当該化学エネルギーの反応形態に応じて適宜定める。例えば、酸とアルカリの中和熱や、無機塩類の水和熱等を利用する場合、水蒸気発生部は、中和熱や水和熱を発生させる加熱部と、これらから発生する熱によって水蒸気を放出する蒸発部とから構成することができる。この場合、加熱部は、反応させる反応物同士を仕切壁で分離し、水蒸気を発生させるときに随時その仕切壁を破り、反応を進行させられるようにすればよい。また、蒸発部は、例えば、紙、織布、不織布等の繊維集合体や多孔質体に水を含浸させたものや、含水ゲル状高分子をフィルム状に伸ばしたものから構成し、加熱部の発熱により水蒸気が放出されるようにすればよい。
【0013】
化学エネルギーとして金属粉の酸化熱を利用する場合、水蒸気発生部は、金属粉(例えば、鉄、アルミニウム、亜鉛、銅等)、触媒となる塩類(例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム等のアルカリ金属の塩化物、塩化カルシウム、塩化マグネシウム等のアルカリ土類金属の塩化物等)、及び水を含有した水蒸気発生組成物から構成される。この組成物には、必要に応じて、保水剤(例えば、バーミュキュライト、ケイ酸カルシウム、シリカゲル、シリカ系多孔質物質、アルミナ、パルプ、木紛、吸水ポリマー等)、反応促進剤(例えば、活性炭、カーボンブラック、黒鉛等)等を含有させることができる。なかでも、水蒸気発生組成物の組成としては、鉄粉10〜80重量%、活性炭、保水剤若しくは反応促進剤、又はそれらの混合物3〜50重量%、金属塩0.3〜15重量%、水1〜70重量%、が好ましい。
【0014】
水蒸気発生組成物は、次式
【化1】
Fe+3/4O2+3/2H2O→Fe(OH)3+96kcal
のように金属粉が酸化する発熱反応をおこし、系内の水を水蒸気として放出することにより水蒸気発生部として機能する。
【0015】
なお、この水蒸気発生組成物の発熱反応は、一般に化学カイロと称されている発熱体で利用されているものである。しかしながら、従来の化学カイロにおいては、かかる組成物を、通気性及び透湿性が共に低い素材からなる袋に収容し、反応に必要な水が発熱体から逃げないようにして使用する。
【0016】
これに対し、本発明においてはかかる組成物を水蒸気発生源として使用する場合、この組成物を高い透湿性を有するシート材料で収容し、発熱時には反応系内に存在する水の一部が水蒸気となって積極的に系外に放出されるようにする。したがって、目及び目の周囲に十分な水蒸気を供給することが可能となる。
【0017】
水蒸気発生組成物の発熱反応時に放出される水蒸気温度は、その組成物への通気量を制御せず大気中に開放又はそれに近い状態にすると60℃以上となる。60℃以上の水蒸気が、目及び目の周囲に持続的に適用されると安全性上の問題がひきおこされるおそれがある。そこで、本発明においては、α波増強具の目及び目の周囲への適用面から放出される水蒸気温度を50℃以下、好ましくは38〜42℃に制御する。
【0018】
本発明においては、このような温度制御を、前述の酸とアルカリの中和熱、無機塩類の水和熱等の化学エネルギーを利用する場合にも行う。
【0019】
本発明において、α波増強具から放出される水蒸気温度を50℃以下に制御するにあたり、その温度測定は、JIS S4100使い捨てカイロの温度測定法に準じる。
【0020】
温度制御の具体的態様は、水蒸気発生部で利用する化学エネルギーの反応形態、利便性等に応じて適宜定めることができる。例えば、水蒸気発生部で反応させる反応物の量、反応物が粒体である場合にはその粒径、透湿性シートの透湿度等を適宜変えることにより反応速度を調整し、これによりα波増強具表面から放出される水蒸気温度を制御する。また、水蒸気発生部とα波増強具の目及び目の周囲への適用面との間に温度調節材を設け、水蒸気発生部から放出された水蒸気が温度調節材を透過することにより水蒸気温度が下がるようにしてもよい。このような温度調節材を用いて温度制御すると、水蒸気発生部で利用する化学エネルギーの形態によらず、確実かつ簡便にα波増強具から放出される水蒸気温度を50℃以下に制御できるので好ましい。
【0021】
温度調節材の構成素材としては、(1)織布、不織布、(2)紙、合成紙等の紙類の他に(3)プラスチック、天然ゴム、再生ゴム又は合成ゴムから形成した多孔性フィルム又は多孔性シート、(4)穿孔を有するウレタンフォーム等の発泡プラスチック、及び(5)穿孔を有するアルミ箔等の金属箔、の少なくとも一種を使用することができる。
【0022】
なお、これらの構成素材からなる温度調節材を用いて温度制御する場合に、温度調節材は水蒸気の通過抵抗にもなることから、温度調節材の厚み等は、所定量の水蒸気が目及び目の周囲に到達するように、当該温度調節材の材質、温度調節材として複数の構成素材を積層する場合のそれらの組み合わせ態様等に応じて適宜定める。例えば、温度調節材を単層の不織布から形成する場合、その厚さは、0.1mm以上とすることが好ましく、1mm以上とすることがより好ましい。
【0023】
また、前述のような構成素材から温度調節材を形成する場合、厚みをコンパクトにし、かつそれを通過する水蒸気の温度調節能を高めるため、温度調節材は、複数種の構成素材からなる積層物とすることが好ましい。
【0024】
本発明のα波増強具には、水蒸気発生部を着脱自在に装着する目枕を設けてもよい。これにより、目及び目の周囲が適度に押圧し、リラックス感、リフレッシュ感を誘発させることができる。この場合、水蒸気発生部と目枕を含むα波増強具の全重量は、重量調整材等の使用により50g以上とすることが好ましく、80g以上とすることがより好ましい。また、目枕の重量を重くし、結果的にα波増強具の全重量が過度に重くなると、使用感が低下するので、α波増強具の全重量は400g以下、特に250g以下とすることが好ましい。
【0025】
目枕本体の構成素材としては、(1)綿、絹、麻、合成繊維等からなる不織布、織布、キルティング、(2)紙、合成紙等の紙類、(3)獣毛等を使用することができる。また、目枕の全重量を50g以上にするための重量調節材として、(1)ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル等の有機高分子化合物、(2)シリカ、アルミナ等のセラミックス、(3)亜麻の種等の種子、そば殻等の種皮、(4)織布、不織布、(5)紙、木材等を使用することができる。
【0026】
本発明において、α波増強具の目及び目の周囲への適用面における単位表面積あたりの水蒸気発生量は、目及び目の周囲への水蒸気供給効果の点から、0.01mg/cm2・min以上となるように調整することが好ましく、0.5mg/cm2・min以上とすることがより好ましい。なお、この水蒸気発生量は、室温環境(25℃、65%RH)下でα波増強具を外気遮断容器から取り出し、直ちに小数点以下3桁まで測定可能な上皿天秤に載せ、その後15分間重量測定を行った場合において、測定開始時の重量をWt0(g)とし、15分後の重量をWt15(g)とし、α波増強具の目及び目の周囲への適用面の表面積をS(cm2)としたときに、以下の式により算出されるものである。
【0027】
【数1】
水蒸気発生量(mg/cm2・min)=(Wt0−Wt15)・1000/15S
【0028】
α波増強具の目及び目の周囲への適用面からの水蒸気放出量を0.01mg/cm2・min以上に調整するための具体的方法としては、例えば、水蒸気発生部を化学カイロと同様の水蒸気発生組成物から構成する場合、水蒸気発生組成物を収容する袋材、温度調節材、あるいはα波増強具の外形等を構成するα波増強具本体の材料として十分な透湿性を有するものを使用すればよい。より具体的には、JIS(Z0208、40℃、90%RH)で1000g/m2・24h以上の透湿性を有する材料を使用することが好ましく、より好ましくは2000g/m2・24h以上、さらに好ましくは2000〜15000g/m2・24h、特に好ましくは3000〜11000g/m2・24hの透湿性を有する材料を使用する。
【0029】
α波増強具には香気成分を付与し、α波増強具の使用時に香気が香るようにすることが好ましい。香気成分としては、リラックス感、リフレッシュ感、入眠感を誘発するもの、例えば、ラベンダー、ミント、ローズ等のハーブ類が好ましい。香気成分の付与方法としては、例えば、香気成分となる芳香族系化合物を含浸させたシリカ、セルロース等の粒子や真性ラベンダー等のポプリ等の香気成分担持体をα波増強具の重量調節材に混合する方法、α波増強具の使用時に香りオイルをα波増強具の表面材につける方法、香りシートをα波増強具に貼付する方法などをあげることができる。
【0030】
本発明のα波増強具あるいはα波増強具に用いる目枕の形状としては、例えば、α波増強具あるいは目枕を目及び目の周囲に適用した場合のずり落ちを防止するため、鼻に当たる部分にV字カットを施した形状あるいはアイマスク様形状とすることが好ましい。また、α波増強具又はそれに用いる目枕がその適用時に目及び目の周囲にフィットし、α波増強具の適用面全体から温熱水蒸気を実感できるように、α波増強具あるいはそれに用いる目枕には目及び目の周囲の顔面立体形状に適合するように表面凹凸を付けることが好ましい。このためには、α波増強具あるいは目枕表面の構成素材として織布等を使用する場合に、その織布にキルティング加工を施して所定の凹凸をつけてもよい。
【0031】
また、α波増強具あるいはそれに用いる目枕には、小袋状等に形成した水蒸気発生部を着脱自在に装着するポケットを設けてもよく、また水蒸気発生部を着脱自在に貼付して安定に固定するための固定手段、あるいはポケットに収容した水蒸気発生部の抜け落ちを防止するための固定手段として、例えば、マジックテープ、ボタン、フック等を設けてもよい。
【0032】
以下、本発明の好ましい態様を、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、各図中、同一符号は同一又は同等の構成要素を表している。
【0033】
図4は、本発明の一態様のα波増強具100Aの平面図(同図(a))及び部分断面図(同図(b))である。なお、図中点線は、α波増強具を目及び目の周囲に適用した場合の目の位置を示している。
【0034】
このα波増強具100Aは、水蒸気発生組成物2を透湿性内袋3に収容した水蒸気発生部1と、水蒸気発生部1上に積層された温度調節材4と、これら全体を収容する透湿性外袋5と、さらに外側でこれらを密封する、非通気性非透湿性シートからなる密封袋6からなっている。
【0035】
このα波増強具100Aは、未使用の保存時には密封袋6に密封されているが、この密封袋6は使用時には破られ、α波増強具100Aが取り出される。そして、透湿性外袋5の水蒸気発生面5aを目及び目の周囲に適用することにより使用される。なお、α波増強具100Aを目及び目の周囲に適用する場合に、α波増強具100Aの目及び目の周囲へのフィット感を高め、はずれやずり落ちを防止するために、透湿性外袋5には、両端にマジックテープ等が付けられている頭部固定用バンド設けてもよい。
【0036】
水蒸気発生部1は、α波増強具100Aを目及び目の周囲に適用した場合に、両眼とその周囲を覆うように、α波増強具100A内で2カ所に区分されて配設されている。
【0037】
水蒸気発生組成物2としては、前述の金属粉の酸化熱を利用したものが使用される。
【0038】
透湿性内袋3は、目に適用する側の面(水蒸気発生面3a)が透湿性素材から構成され、その反対側の面3bが非透湿性素材から構成されている。このように水蒸気発生組成物2を収容する透湿性内袋3の一方の面3bを非透湿性とすることにより、水蒸気発生組成物2から放出された水蒸気を効率よく目及び目の周囲に導くことができる。
【0039】
水蒸気発生面3aを構成する透湿性素材としては、十分な水蒸気透過量が得られ、水蒸気発生組成物2が漏れ出ないものであれば特に限定されるものではない。具体的には、ナイロン、ビニロン、ポリエステル、レーヨン、アセテート、アクリル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等の人工繊維、パルプ、綿、麻、絹、獣毛等の天然繊維から選ばれた1種又は2種以上を混合した織布、不織布、紙、合成紙及びポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリウレタン、ポリスチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、エチレン−酢酸ビニル共重合体、天然ゴム、再生ゴム、合成ゴム等の非通気性フィルム、シートに穿孔を設けたもの等が挙げられる。
【0040】
透湿性内袋3の非透湿性の面3bは、固定台としての不織布4aに貼着され、固定されている。
【0041】
透湿性内袋3の水蒸気発生面3a上に積層された温度調節材4は、図4(b)に示されているように、4枚の不織布4aと2枚の紙4bとの積層物からなっている。なお、本発明において、温度調節材4としては、この図4のα波増強具100Aの態様に限られず、前述した種々の構成素材を単独であるいは組み合わせて使用することができる。また、図4のα波増強具100Aのように温度調節材4を透湿性内袋3と別個に設けることなく、透湿性内袋3に温度調節材4の機能をもたせてもよい。ただし、経済性、技術性、製造上の容易性、安全性等の点からは、温度調節材4は、透湿性内袋3と別個に形成することが好ましい。
【0042】
透湿性外袋5は、水蒸気発生組成物2を収容した透湿性内袋3と、温度調節材4の全体を収容しており、その外形が、アイマスク様形状となっている。このように目枕100Aの適用時の外形をなす透湿性外袋5をアイマスク様形状とすることにより、α波増強具100Aのフィット感を向上させることができる。なお、アイマスク様形状としては、或る程度の厚みを有するものの他、薄いシート状のものも含まれる。
【0043】
透湿性外袋5の目及び目の周囲に適用する面(水蒸気発生面5a)の周辺部には粘着材7が貼着されている。これにより、α波増強具100Aを目及び目の周囲へ容易に固定することが可能となる。なお、α波増強具100Aは、それを手で支持することによっても適用部位に固定できるので、本発明において粘着材7は省略してもよい。
【0044】
図1は、図4と異なる本発明のα波増強具100Bの平面図(同図(a))及び断面図(同図(b))である。このα波増強具100Bは目枕本体8と、目枕本体8の片面にマジックテープ9で着脱自在に貼付される水蒸気発生部1’からなっている。
【0045】
水蒸気発生部1’としては、図4と同様に形成した水蒸気発生部1、あるいは水蒸気発生部1に図4と同様の温度調節材4を設けたものが使用され、その目あるいは目の周囲への適用面と反対側の面にマジックテープ片が付けられる。
【0046】
目枕本体8は、表面が綿、絹、麻、合成繊維等からなる織布又は不織布で、内部に重量調節材として直径2〜7mm程度の粒状のポリエチレン80〜150gが添加されているキルティング材料から形成されている。また、目枕本体8のキルティング材料の内部には、真性ラベンダー、乾燥ハーブ、エッセンシャルオイル含浸物等の香気成分担持体が、0.1〜10g添加されている。
【0047】
目枕本体8の外形は、略矩形で20cm×8cm程度の両眼及びその周囲を覆う大きさを有し、中央部片側にはV字カットが施されている。また、目枕本体8の水蒸気発生部1’の貼付面には、貼付した水蒸気発生部1’の縁辺の位置に合わせてキルティングの縫い目10が形成されている。
【0048】
図2のα波増強具100Cは、図1の目枕本体8と同様のキルティング材料からなり、さらにその外側に綿、絹、麻、合成繊維等の織布、不織布からなる生地11を重ね、水蒸気発生部1’を収容するポケット12を形成したものである。この目枕本体8のポケット12の開口部には、ボタン、テープ、フック、ジッパー等を設け、ポケット12内に収容した水蒸気発生部1’が不要に抜け出ないようにすることが好ましい。
【0049】
図3のα波増強具100Dは、図1のα波増強具100Bを不織布、織布等のカバー13で覆ったものである。
【0050】
この他、本発明のα波増強具は種々の態様をとることができる。例えば、図4に示した水蒸気発生部1では、そこから放出された水蒸気を効率よく目及び目の周囲に導くために、透湿性内袋3の目と反対側の面3bを非透湿性としているが、透湿性内袋3全面を透湿性材料で形成し、その透湿性内袋3の目及び目の周囲への適用面と反対側の面3b上に非透湿性シートを配設してもよい。また、水蒸気発生部1としては、α波増強具の適用時に、両眼及びその周囲を覆うのに十分な大きさの1つの水蒸気発生部を設けてもよい。
【0051】
【実施例】
実施例1
図4の態様のα波増強具100Aを次のように作製した。
【0052】
まず、吸水性ポリマー(三菱化学社製、商品名:アクアパール)10重量部に、2wt%の食塩水40重量部を加え、含水保水剤を調製した。
【0053】
一方、粒径32μm以下の鉄粉(同和鉄粉工業社製、商品名:RKH)30重量部、活性炭(武田薬品社製)10重量部、ひる石(シンセイミクロン社製、バーミキュライト)10重量部との混合物に先の含水保水剤50重量部を加え、混合し、水蒸気発生組成物2を得た。この水蒸気発生組成物2を、片面がビニールコーティングされたシート(日東電工社製、商品名:ニトタック)からなり、他面が透湿性不織布(東海パルプ社製、商品名:イレブンMOA、坪量40g/m2)からなる1辺3cmの正方形の小袋に3g充填し、水蒸気発生部1を得た。
【0054】
この水蒸気発生部1の透湿性不織布からなる面(水蒸気発生面3a)を上に向け、下面を支持体としての不織布(チッソ社製、商品名:エアレード、坪量24g/m2)に接着固定し、この水蒸気発生部1の上面に、図4に示した温度調節材4と同様の温度調節材(1層の紙4b(クレシア社製、商品名:キムタオル)、2層の不織布4a(チッソ社製、商品名:エアレード、坪量24g/m2)、1層の紙4b、2層の不織布4aを順次積層したもの)を設け、全体を透湿性不織布(三井化学社製、商品名:シンテックスMB、坪量15g/m2)からなる外袋5に収容することにより、温度調節材を備えたα波増強具100Aを作製した。このα波増強具100Aには、頭部固定用布製バンドをマジックテープにて取り付け、密封袋に保存した。
【0055】
こうして得られたα波増強具100Aを密封袋から取り出し、温度調節材4側を皮膚に向けて目及び目の周囲に適用し、頭部固定用布製ベルトで頭部に固定した。
【0056】
α波増強具100Aは、密封袋から取り出した後約30〜40秒で水蒸気の発生を開始した。α波増強具100Aの目及び目の周囲への適用面から放出される水蒸気の最高温度は40〜41℃であった。また、このα波増強具100Aは、38℃以上の水蒸気の発生を15分間維持した。
【0057】
α波増強具100Aの適用の脳波に及ぼす効果を調べるために、健常な男性及び女性(25〜35歳)12名を被験者とし、安静閉眼状態での脳波を記録した。脳波の測定方法は、導出部位を耳朶とし、基準電極とする単極導出法で行い、後頭部正中位Ozより導出した。得られた脳波形を8〜13Hzのバンドフィルターで処理しα波のみを記録した。そして、α波増強具を適用する前5分間と適用中5分間のα波の積分値の変化からα波の増減を評価した。結果を表1、図5に示す。その結果、α波増強具の適用中には、有意(p<0.05)にα波が増加することが認められた。
【0058】
【表1】
【0059】
比較例1
実施例1のα波増強具の水蒸気を発生しない面を皮膚に向けて目及び目の周囲に適用した。この場合、α波増強具と目との間にはガーゼを挟み、目及び目の周囲への適用面となるガーゼの表面温度が38〜41℃となるように調整した。
【0060】
実施例1と同様に安静閉眼状態での脳波を記録した。結果を表2、図5に示す。その結果、温熱体の適用前に対して適用中のα波の出現量に有意な変化は認められなかった。
【0061】
【表2】
【0062】
実施例2
図1の態様のα波増強具100Bを次のように作製した。
【0063】
実施例1と同様にして水蒸気発生部1を作製し、その透湿性不織布からなる面(水蒸気発生面3a)上に実施例1と同様の積層構造の温度調節材4を重ね、水蒸気発生部1の他面に、マジックテープを取り付け、温度調節材付きの水蒸気発生部1’を得、密封袋に保存した。
【0064】
次に、目枕本体8として、表面が綿生地で、内部に重量調節材として直径5mmのポリエチレン粒が100gを充填したキルティング材料からなる、大きさ20cm×8cmで、中央部片側にV字カットを有するものを作製した。この目枕本体8の片面には、中央部及び中央部から左右両側へそれぞれ6cm離れた部位に直線状にキルティングの縫い目10を形成し、また中央部から左右両側へそれぞれ3cm離れた部位に一辺2cmのマジックテープ9を取り付けた。また、目枕本体8には、頭部固定用布製バンドをマジックテープにて取り付けた。
【0065】
温度調節材を備えた水蒸気発生部1'を密封袋から取り出し、直ちにそれを目枕本体8のマジックテープ9上に貼付してα波増強具100Bを得た。
【0066】
こうして得られたα波増強具100Bを、水蒸気発生部1’を皮膚側に向けて目及び目の周囲に適用した。その結果、α波増強具100Bは、水蒸気発生部1'を密封袋から取り出した後約30〜40秒で水蒸気の発生を開始した。また、目及び目の周囲への適用面から放出される水蒸気の最高温度は39〜40℃であり、38℃以上の水蒸気の発生を15分間維持した。
【0067】
α波増強具100Bの適用の副交感神経活動に及ぼす効果を調べるために、、健常な男性及び女性(25〜35歳)12名を被験者とし、安静閉眼状態の心電図を記録した。心電図は胸部双極誘導により測定し、周波数解析(最大エントロピー法;Memcalc)により副交感神経活動の指標となるHF(単位PSD(パワースペクトル密度):ms2/Hz)を算出し、α波増強具の適用中5分間と適用前5分間とのHFの差あるいは相対変化率(%)からHFの増減を評価した。結果を表3、図6に示す。その結果、α波増強具の適用中には有意(p<0.01)にHFが増加することが認められた。
【0068】
【表3】
【0069】
比較例2
市販の化学カイロを図1の目枕に装着し、化学カイロと目との間にはガーゼを挟み、目及び目の周囲への適用面となるガーゼの表面温度が38〜41℃となるように調整した。
【0070】
実施例2と同様に安静閉眼状態での心電図を記録し、HFを算出し、さらにα波増強具の適用中5分間と適用前5分間とのHFの差あるいは相対変化率(%)を求めた。結果を表4、図6に示す。その結果、温熱体の適用前に対して適用中のHFに有意な変化は認められなかった。
【0071】
【表4】
【0072】
【発明の効果】
本発明によれば、簡便に効果的にα波を増強することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 α波増強具の平面図(同図(a))及び断面図(同図(b))である。
【図2】 α波増強具の平面図(同図(a))及び断面図(同図(b))である。
【図3】 α波増強具の平面図(同図(a))及び断面図(同図(b))である。
【図4】 α波増強具の平面図(同図(a))及び部分断面図(同図(b))である。
【図5】 実施例1と比較例1のα波の出現量の相対変化率を示すグラフである。
【図6】 実施例2と比較例2のHFの相対変化率を示すグラフである。
【符号の説明】
1 水蒸気発生部
2 水蒸気発生組成物
3 透湿性内袋
4 温度調節材
5 透湿性外袋
6 密封袋
7 粘着材
8 目枕本体
9 マジックテープ
10 キルティングの縫い目
12 ポケット
13 カバー
100A、100B、100C、100D α波増強具
Claims (6)
- 化学エネルギーを利用した水蒸気発生部を有し、目及び目の周囲に水蒸気を供給することにより脳波のα波を増強し、副交感神経活動を亢進するα波増強具であって、該α波増強具が目及び目の周囲を覆う形状を有し、水蒸気発生部が袋材に収容された水蒸気発生組成物からなり、袋材の水蒸気発生面の透湿性がJIS(Z0208、40℃、90%RH)で1000〜11000g/m 2 ・24hであり、該α波増強具の表面から放出される水蒸気温度が38〜42℃に制御されているα波増強具。
- 水蒸気発生部が、鉄粉10〜80重量%、活性炭、保水剤若しくは反応促進剤、又はそれらの混合物3〜50重量%、金属塩0.3〜15重量%、及び水1〜70重量%を含有する水蒸気発生組成物からなる請求項1記載のα波増強具。
- 水蒸気発生部を着脱自在に装着する目枕を有する請求項1又は2記載のα波増強具。
- 全重量が50〜400gである請求項1〜3のいずれかに記載のα波増強具。
- 香気成分が付与されている請求項1〜4のいずれかに記載のα波増強具。
- α波増強具の目及び目の周囲への適用面における単位表面積あたりの水蒸気発生量が、0.5mg/cm 2 ・min以上である請求項1〜5のいずれかに記載のα波増強具。
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