JP4333896B2 - 伸縮継手部の離脱防止装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水道管、ガス管、プラント用配管などの流体輸送管の途中に接続される受け口筒状体と挿入筒状体からなる伸縮継手部の離脱防止装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の流体輸送管における伸縮継手部の離脱防止装置としては、例えば特開2001−263565号公報に記載されているようなストッパー型のものが知られている。
【0003】
図6は上記ストッパー型の離脱防止装置の断面図であって、この離脱防止装置01は受け口筒状体02と挿入筒状体03とを有し、この受け口筒状体02は挿入筒状体03の筒部03aを密封装置04にて摺動且つ密封可能に支持している。そして挿入筒状体03のストッパー部03bは受け口筒状体02の内面に形成した環状溝05の範囲内で移動可能であり、両筒状体02,03に相対的な引き抜き力或いは押し込み力が作用すると、ストッパー部03bが受け口筒状体02の側壁部02Aあるいは02Bと当接して両者の離脱が防止される。
【0004】
また、この離脱防止装置01の運搬時や配管作業時においては、伸縮継手部が相対移動しないように、両筒状体02,03はそれぞれのフランジ02C、03c間に配した仮止めの連結ボルト06により結合されている。
【0005】
しかしながら上述の離脱防止装置01は連結ボルト06を付けて施工し、流体輸送管に接続後は、地震や地盤沈下による伸縮継手機能を奏するために、連結ボルトを外して使用しなければならず、特に水圧性能試験を地中に埋設した状態で行う場合にはその取り外しが特に面倒であった。
【0006】
そこで、埋設後面倒な連結ボルトの取り外し作業をしなくてもすむような伸縮継手部の離脱防止装置として図7に示すようなタイロッド方式も知られていた。図7は従来のタイロッド方式の離脱防止装置の断面図であって、離脱防止装置08は一端に球面部09aを有する受け口筒状体09と、この受け口筒状体09に密封装置010を介して摺動且つ密封可能に支持されている一端に球面部011aを有する挿入筒状体011から成っている。
【0007】
そして、離脱防止装置08は球面部09aに外嵌する球面部012aを有する揺動管継手012のフランジ012bと球面部011aに外嵌する球面部013aを有する揺動管継手013のフランジ013bとを連結するタイロッド015にて移動不能に連結されている。このタイロッド015には地震や地盤沈下等の異常な荷重が作用したときに破断できる縮径部015aが形成されている。
【0008】
したがって、離脱防止装置08の運搬時や施工時あるいは埋設後の水圧性能試験時にはタイロッド015により受け口筒状体09と挿入筒状体011は不動状態に維持される。しかし地震や地盤沈下等の異常な荷重が作用したときには縮径部015aが破断して、伸縮自在継手としての機能を発揮することができる。この時の伸縮範囲は、挿入筒状体011の外周面に形成した突起011bが、受け口筒状体09の先端に形成したリング体09bあるいは密封装置010近傍に設けた環状突起09cに当接する範囲に制限されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上述した従来のタイロッド式の離脱防止装置08は、受け口筒状体09と挿入筒状体011の相対移動はタイロッド015で拘束し、タイロッド015が破断すると、タイロッド015とは別の部品である挿入筒状体011に形成した突起が受け口筒状体09のリング体09bと環状突起09cとに係合することによって離脱が防止されるように構成されているため、構造が複雑であるばかりでなく、破断力を設定する縮径部は一度設定するとその変更は困難であった。
【0010】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、受け口筒状体と挿入筒状体の相対移動の拘束を行う押圧部材が離脱防止用の部品としても機能することで構成の簡素化を図り、且つ、破断力の設定が容易な伸縮継手部の離脱防止装置を提供することを目的をしている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、流体輸送管の途中に接続される受け口筒状体と挿入筒状体からなり、前記受け口筒状体の筒部が前記挿入筒状体の筒部を摺動且つ密封可能に支持する伸縮継手部の離脱防止装置であって、
前記受け口筒状体の筒部の挿入筒状体側外周には均等に複数のボス部が突設され、該ボス部に押圧部材を受け入れる所定深さのネジ穴および該ネジ穴の底部に貫通角穴が筒中心に向けて形成され、
前記挿入筒状体の筒部の外周には複数のリング溝が刻設され、前記受け口筒状体側に環状シール溝が設けられた膨出部が形成され、
前記膨出部の環状シール溝には前記受け口筒状体の筒部の内周に摺接する環状シール部材が装着され、
前記押圧部材は下端面を当接面とする四角形断面の軸部と、上端に前記ネジ穴内に挿嵌可能な円形頭部とからなるピン体と、前記ネジ穴に螺合され、前記ピン体の円形頭部を押圧する押しネジとから構成されており、前記軸部の先端当接面には挿入筒状体の筒部外周のリング溝と同一形状のV溝が同一ピッチで刻設され、
前記押しネジのねじ込みにより軸部の先端当接面のV溝が前記挿入筒状体のリング溝に押圧係合され、
異状荷重が流体輸送管に作用した場合にのみ、前記押圧部材の押し込み力に抗して前記両筒状体が相対的に摺動すると共に、該摺動範囲が該押圧部材のピン体と挿入筒状体の膨出部とで規制されて離脱防止することを特徴としている。
この特徴によれば、ピン体をボス部のネジ穴に挿入し、ピン体の軸部をネジ穴の底部の貫通角穴に挿入し、押しネジをネジ穴に螺合しねじ込みにより軸部の先端当接面のV溝が挿入筒状体のリング溝に押圧係合されるので、受け口筒状体と挿入筒状体の相対摺動を確実に阻止すると共に、異状荷重が流体輸送管に作用した場合に離脱防止作用の機能も奏することで構成の簡素化が図れ、しかも押圧部材に対する押し込み力の調整により、異状荷重が作用したときに相対移動が開始する設定荷重を調節できる。
【0013】
また、ピン体には回転力が作用しないのでリング溝を潰すことなく相対移動が開始する設定荷重を正確に調節できる。
【0014】
上記伸縮継手部の離脱防止装置において、前記異状荷重は水圧性能試験で適用する水圧による荷重よりも大きいものであることが好ましい。
このようにすると、水圧性能試験時において、伸縮継手部を不動状態に維持することで、試験治具の取付取り外し作業が楽であり、正確な性能試験データを得ることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の伸縮継手部の離脱防止装置の一実施形態について、図1、図2及び図4、図5を参照して説明する。図1は給水本管の途中に設けられた仕切弁と給水本管が伸縮継手部を介して接続された状態を示す断面図、図2(a)は伸縮継手部の断面図、(b)は(a)のB―B断面図ならびにC矢視図、図4は図1のA部拡大図であり、図5は伸縮継手部の挿入筒状体の筒部外周面に向けて押圧する押圧部材の斜視図である。
【0016】
図1において、Pは流体輸送管等の給水本管であって、この給水本管Pに仕切弁Vを取付ける際に、本発明の伸縮継手部の離脱防止装置1が不断水状態で同時に接続される。
【0017】
この離脱防止装置1は、例えば仕切弁VのフランジF1にフランジFを介して接続された受け口筒状体2と、給水本管P他端のフランジF2にフランジFを介して接続された挿入筒状体4とから成る継手部を有している。
【0018】
図2(a)、(b)に示すように、受け口筒状体2には、筒部5の一端にフランジFが形成されてその他端側外周の4箇所にボス部10が均等に突設され、挿入筒状体4には、筒部5に挿入可能な内径を有する筒部6の一端にフランジFが形成されると共に、その外周には凹凸状のV溝となる複数のリング溝6aが微少ピッチで刻設され、他端側外周の膨出部7に形成される環状シール溝7aには上記筒部5の内周に摺接する環状シール部材8が装着されている。
【0019】
詳しくは、図4及び図5に示すように、受け口筒状体2のボス部10には、後述する押圧部材を受け入れるために中心に向く所定深さのネジ穴14が形成されると共に、ネジ穴14の底部には該ネジ穴14より小径の貫通角穴15が形成されている。
【0020】
押圧部材は、下端面を当接面とする四角形断面の軸部16aと、上端に上記ネジ穴14内に挿嵌可能な円形頭部16bとから成るピン体16と、このピン体16の円形頭部16bを押圧する押しネジ12とから構成されており、軸部16aの先端当接面には挿入筒状体4の筒部6外周に刻設されたリング溝6aと同一形状のV溝16cが同一ピッチで刻設されている。
【0021】
次に、離脱防止装置の組み込み手順に付き図1,図2及び図5を参照して説明する。
【0022】
先ず、不断水状態で所定長さの範囲で切断された給水本管P間に、仕切弁Vを接続するに際し、図5に示すように、受け口筒状体2の筒部5他端のボス部10に形成されたネジ穴14にピン体16を挿入し、次いでネジ穴14に押しネジ12を螺合しねじ込む。
【0023】
この時のピン体16は仮固定であるので、押しネジ12は少しだけねじ込み、ピン体16先端は少なくとも筒部5の内周面と面一になるまで後退移動可能な状態としておく。
【0024】
次に、ピン体16先端を筒部5の内周面と面一になるまで後退移動させた状態で、挿入筒状体4の筒部6先端の環状シール部材8を受け口筒状体2の筒部5内部に挿入して図2(b)の状態にする。
【0025】
このようにして、離脱防止装置1が組み立てられると、図1に示すように、仕切弁Vの一端側フランジF1に伸縮継手部を縮小した状態で保持された受け口筒状体2のフランジFを接続する。次いで、挿入筒状体4筒部6のフランジFを軸方向に移動させて切断された給水本管P他端のフランジF2に結合する。
【0026】
仕切弁Vの一端に設けられたフランジF1と給水本管Pの他端に設けられたフランジF2間に離脱防止装置1が接続されると、押しネジ12を螺進させてピン体16先端のV溝16cを筒部6外周のリング溝6aに押圧係合させる。
【0027】
次に上記の給水本管Pに異常荷重が作用した場合における伸縮継手部の作用に付き、図3の(a)、(b)を参照して説明する。図3の(a)は離脱防止装置が異常荷重により圧縮方向に移動した場合の作用説明図であり、(b)は離脱防止装置が異常荷重により引張り方向に移動した場合の作用説明図である。
【0028】
先ず、通常は、仕切弁Vと給水本管との間に接続された離脱防止装置1は、筒部6外周のリング溝6aにピン体16先端のV溝16cを押圧係合させることで、受け口筒状体2の筒部5と挿入筒状体4の筒部6とが所定の抗力を持った状態で摺動不可能に支持されている。その抗力は、例えば水圧性能試験で適用する水圧による荷重以上に設定されている。
【0029】
次に、給水本管Pに水圧性能試験で適用する水圧による荷重よりも大きい地震等の過大荷重が作用した場合において、図3の(a)に示すように、給水本管Pの軸方向に抗力を越える圧縮荷重が作用すると、受け口筒状体2の筒部5先端が挿入筒状体4のフランジFに当接するまで移動する。
【0030】
また、図3の(b)に示すように、給水本管Pの軸方向に抗力を越える引張り荷重が作用すると、筒部5の内部に突出したピン体16先端が挿入筒状体4の筒部6他端側外周の膨出部7に当接するまで移動する。
【0031】
従って、上記のように構成された離脱防止装置1によれば、受け口筒状体2の筒部5が、挿入筒状体4の筒部6を摺動且つ密封可能に支持した状態で、受け口筒状体2の筒部5外周のネジ穴14に螺合した押しネジ12により、ピン体16を挿入筒状体4の筒部6外周面に向けて押し込むことにより、異状荷重が給水本管Pに作用した場合にのみ、押しネジ12の押し込み力に抗して両筒部5及び6が相対的に摺動すると共に、この摺動範囲はピン体16と挿入筒状体4の筒部6他端側外周の膨出部7とで規制されるので相互の離脱を防止することができる。
【0032】
また、挿入筒状体4の筒部6外周面には凹凸状の複数のリング溝6aが形成されると共に、押圧部材のピン体16先端の当接面にはリング溝6aと同一形状のV溝16cが同一ピッチで刻設されているので、リング溝6aにピン体16当接面のV溝16cが押圧係合することで、受け口筒状体2と挿入筒状体4の相対摺動を確実に阻止することができる。V溝16cはリング溝6aと同一形状である必要はなく、リング溝6aと係合できるのであれば凹凸状部であってもよい。
【0033】
そして、押圧部材のピン体16は、ネジ穴14底部に形成された貫通角穴15からその先端を筒部5の内部に挿通突出させて挿入筒状体4の筒部6外周面のリング溝6aに向けて移動可能に支持されているので、ピン体16の回転が規制され、凹凸状のリング溝6aを潰すことなく、相対移動が開始する設定荷重を正確に調節することができる。
【0034】
そしてまた、上記のように、ピン体16先端のV溝16cと筒部6外周のリング溝6aとの押圧係合によって得られる抗力は、この限界となる異状荷重を水圧性能試験で適用する水圧による荷重よりも大きい地震等の過大荷重として設定されるものであって、水圧性能試験時においては、伸縮継手部が不動状態が維持されるので、試験治具の取付取り外し作業が楽であり、正確な性能試験データを得ることができるだけでなく、この離脱防止装置の運搬時や配管作業時においての取り扱いが楽である。
【0035】
【発明の効果】
本発明は以下の効果を奏する。
【0036】
(a)請求項1項の発明によれば、押圧部材が受け口筒状体と挿入筒状体の相対摺動を確実に阻止すると共に、異状荷重が流体輸送管に作用した場合に離脱防止作用の機能も奏することで構成の簡素化が図れ、しかも押圧部材に対する押し込み力の調整により、異状荷重が作用したときに相対移動が開始する設定荷重を調節できる。
【0038】
また、ピン体には回転力が作用しないのでリング溝を潰すことなく相対移動が開始する設定荷重を正確に調節できる。
【0039】
(b)請求項2の発明によれば、水圧性能試験時において、伸縮継手部が不動状態を維持することで、試験治具の取付取り外し作業が楽であり、正確な性能試験データを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る伸縮継手部の離脱防止装置であって、給水本管の途中に設けられた仕切弁と給水本管が伸縮継手部を介して接続された状態を示す断面図である。
【図2】(a)は伸縮継手部の断面図、(b)は(a)のB―B断面図ならびにC矢視図である。
【図3】(a)は離脱防止装置が異常荷重により圧縮方向に移動した場合の作用説明図であり、(b)は離脱防止装置が異常荷重により引張り方向に移動した場合の作用説明図である。
【図4】図1のA部拡大図である。
【図5】伸縮継手の挿入筒状体の筒部外周面に向けて押圧する押圧部材の斜視図である。
【図6】従来のストッパー型の離脱防止装置の断面図である。
【図7】従来のタイロッド方式の離脱防止装置の断面図である。
【符号の説明】
1 離脱防止装置
2 受け口筒状体
4 挿入筒状体
5、6 筒部
6a リング溝
7 膨出部
7a 環状シール溝
8 環状シール部材
10 ボス部
12 押しネジ
14 ネジ穴
15 貫通角穴
16 ピン体
16a 軸部
16b 円形頭部
16c V溝
F、F1、F2 フランジ
P 給水本管
V 仕切弁

Claims (2)

  1. 流体輸送管の途中に接続される受け口筒状体と挿入筒状体からなり、前記受け口筒状体の筒部が前記挿入筒状体の筒部を摺動且つ密封可能に支持する伸縮継手部の離脱防止装置であって、
    前記受け口筒状体の筒部の挿入筒状体側外周には均等に複数のボス部が突設され、該ボス部に押圧部材を受け入れる所定深さのネジ穴および該ネジ穴の底部に貫通角穴が筒中心に向けて形成され、
    前記挿入筒状体の筒部の外周には複数のリング溝が刻設され、前記受け口筒状体側に環状シール溝が設けられた膨出部が形成され、
    前記膨出部の環状シール溝には前記受け口筒状体の筒部の内周に摺接する環状シール部材が装着され、
    前記押圧部材は下端面を当接面とする四角形断面の軸部と、上端に前記ネジ穴内に挿嵌可能な円形頭部とからなるピン体と、前記ネジ穴に螺合され、前記ピン体の円形頭部を押圧する押しネジとから構成されており、前記軸部の先端当接面には挿入筒状体の筒部外周のリング溝と同一形状のV溝が同一ピッチで刻設され、
    前記押しネジのねじ込みにより軸部の先端当接面のV溝が前記挿入筒状体のリング溝に押圧係合され、
    異状荷重が流体輸送管に作用した場合にのみ、前記押圧部材の押し込み力に抗して前記両筒状体が相対的に摺動すると共に、該摺動範囲が該押圧部材のピン体と挿入筒状体の膨出部とで規制されて離脱防止することを特徴とする伸縮継手部の離脱防止装置。
  2. 前記異状荷重は水圧性能試験で適用する水圧による荷重よりも大きいものである請求項1に記載の伸縮継手部の離脱防止装置。
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