JP4336442B2 - 太陽電池モジュール - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐熱性、耐衝撃性、長期信頼性に優れた太陽電池モジュールに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、環境問題に対する意識の高まりが、世界的に広がりを見せている。なかでも、CO2排出に伴う地球の温暖化現象に対する危惧感は深刻で、クリーンなエネルギーヘの希求はますます強まってきている。また、エネルギー資源の枯渇が問題とされているなか、新しいエネルギー資源の開発の必要性も望まれている。
【0003】
現在の代替エネルギー源として、太陽電池はその安全性と扱いやすさから、クリーンなエネルギー源として期待のもてるものだと言うことができる。
【0004】
太陽電池には様々な形態がある。例えば、代表的なものとしては、
(1)結晶シリコン太陽電池
(2)多結晶シリコン太陽電池
(3)アモルファスシリコン太陽電池(ここでは微結晶をも含む)
(4)銅インジウムセレナイド太陽電池
(5)化合物半導体太陽電池
などがある。このなかで、薄膜結晶シリコン太陽電池、化合物半導体太陽電池およびアモルファスシリコン太陽電池は、比較的低コストで大面積化が可能なため、各方面で活発に研究開発が進められている。
【0005】
これらの太陽電池でモジュールを形成する際には、太陽電池の光入射側を透明な被覆材で覆い、太陽電池を保護する必要がある。従来は、この表面被覆材として最表面にガラスあるいはフッ素樹脂フィルムやフッ素樹脂塗料等の透明なフッ素樹脂を用い、その内側には太陽電池封止用組成物が用いられており、一般的には、種々の熱可塑性透明樹脂組成物が用いられている。
【0006】
最表面にガラス基板が用いられる理由としては、耐候性、耐スクラッチ性に優れ、劣化による光透過率の減少に起因する太陽電池モジュールの変換効率の低下を抑えることができる点にある。特に、耐スクラッチ性においては光起電力素子に全く損傷を与えることがなく、素子を機械的に保護する観点から、最も優れた部材の一つといえる。しかし、ガラス被覆は、重く、曲げることができず、衝撃に弱く、またコストが高いといった問題点を有しており、特に、重量が大きいことは後述する耐クリープ特性に対して大きな影響を与えている。
【0007】
一方、フッ素樹脂は、耐候性・撥水性に富んでおり、劣化・汚れによる光透過率の減少に起因する太陽電池モジュールの変換効率の低下を少なくすることができ、さらにガラス基板と比較して軽量かつフレキシブル性に富んだモジュールを提供することが可能である。
【0008】
これらの表面被覆材と光起電力素子との接着には、封止材として種々の熱可塑性透明樹脂組成物が用いられている。熱可塑性透明樹脂は安価であり、内部の光起電力素子を保護するために大量に用いることが可能であり、一般にエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)やポリビニルブチラール(PVB)などの熱可塑性透明樹脂組成物が用いられている。
【0009】
しかしながら、上記熱可塑性透明樹脂組成物の耐候性が、数十年という長期的視点からすると十分とは言い切れないために、長期間の屋外暴露によって樹脂の部分的なゲル化による白濁が生じたり、化学結合中の共役二重結合の増加によって樹脂に黄変が生じ、樹脂の光透過率の減少にともなう太陽電池モジュールの変換効率の低下が避け難いものになっていた。特に、太陽電池モジュールを建材一体型とした場合においては、モジュール温度は70℃以上にまで上昇し、熱可塑性透明樹脂の黄変は深刻な問題になる。
【0010】
さらに、この有機樹脂は通常の場合、熱可塑性であるために、屋外での直射日光下で太陽電池モジュール基体の表面温度が高温になるような使用条件下では、有機樹脂の軟化によって有機樹脂のクリープが生じるとともに、その接着力が低下し、その上部被覆材や光起電力素子と剥離するいわゆるマイクロデラミ現象が観察されることもあった。また、表面被覆材がフィルムの場合においては、耐スクラッチ性の低下、すなわち、樹脂が軟化して素子を保護するため、期待通りの性能を発揮できないという問題があった。
【0011】
上記問題を解決するため、従来より、封止材である熱可塑性透明樹脂組成物中に架橋剤を含有させ、熱可塑性透明樹脂組成物を熱架橋することが行われてきた。例えば、特開昭58−60579号公報には、カップリング剤および有機過酸化物を含有するエチレン系共重合樹脂からなる太陽電池用充填接着材シートが開示されている。また、エチレン系共重合樹脂としては、酢酸ビニル含有量が約40重量%以下のEVAが好ましく、より好ましくは20〜40重量%であること等が記載されている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記公報に開示されているEVAは、ガラスやフッ素樹脂系フィルムに対する接着力が良好で、また可撓性に優れた封止材であるものの、樹脂により太陽電池を封止する際に有機過酸化物を分解させて架橋を進行させるめに100〜200℃程度の温度で数十分加熱する必要がある。このため、太陽電池モジュールを生産する際に高エネルギーを要し、生産性に制限を生じるという問題があった。
【0013】
このような熱架橋により、耐クリープ、耐スクラッチ性の向上を図ることができるが、必ずしも十分とは言えなかった。特に、耐スクラッチ性に関しては、熱架橋による補強のみでは十分とは言えず、封止材中に補強材を含ませることが行われている。この補強剤としては、ガラス繊維不織布などが用いられている。
【0014】
しかしながら、ガラス繊維不織布にはバインダー樹脂が用いられており、これも黄変の大きな原因となりやすい。封止材である熱可塑性樹脂の耐候性に比較して、ガラス繊維不織布のバインダー樹脂は樹脂自体の耐候性もそれほど高くなく、耐候性を高めるための添加剤も含まれていないので、熱可塑性樹脂よりも劣化しやすい。また、バインダー樹脂は、熱可塑性樹脂とは異なった種類であるために、バインダー樹脂と熱可塑性樹脂とが十分に相溶せず、界面に水分が侵入して劣化が一層促進されやすい。
【0015】
例えば、熱可塑性樹脂としてEVAを用い、ガラス繊維不織布のバインダー樹脂としてポリビニルアルコール樹脂を用いた場合、特開平10−112549号公報に示されているように、EMMAQUAテスト、サンシャインウエザーメーター、強紫外線照射試験などの促進耐候性試験や150℃耐熱劣化試験において、バインダー樹脂の劣化を主因とする黄変が発現することが明らかとなっている。同様に、耐スクラッチ性の向上のために、表面被覆材と光起電力素子の間にアクリル樹脂を主成分とする硬質樹脂薄膜層を設けた場合においても、黄変することが明らかになっている。
【0016】
本発明は、上述した問題点を解決するために提案されたもので、太陽電池封止用組成物の耐熱性、耐クリープ性、耐スクラッチ性の向上を図り、信頼性の高い太陽電池モジュールおよび建材一体型太陽電池モジュールを提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究開発を重ねた結果、次のような技術が最良であることを見出した。
【0018】
すなわち、本発明の太陽電池モジュールは、表面被覆材と裏面被覆材の間に光起電力素子が配置され、前記光起電力素子が封止材によって表面被覆材と裏面被覆材の間に封止されたことを特徴とする太陽電池モジュールにおいて、前記封止材が、エチレン−メタクリル酸共重合体と結晶性ポリエチレンからなるポリマーブレンドまたはポリマーアロイであることを特徴とするものである。
【0025】
また、前記ポリマーブレンドまたは前記ポリマーアロイのメルトフローレート(ASTM D−1238、温度190℃、荷重2.16kgで測定した値)が、0.1g/10min以上40g/10min以下であることが好ましい。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて、本発明の太陽電池封止用組成物およびそれを用いた太陽電池モジュール、建材一体型太陽電池モジュールの実施の形態について説明する。
【0029】
図1に、本発明の太陽電池モジュールの概略構成を示す。
【0030】
この太陽電池モジュールは、図1に示すように、光起電力素子101、表面封止材102、表面被覆材103、裏面封止材104、裏面被覆材105から構成される。ここで、外部からの光は、表面被覆材103から入射し、光起電力素子101に到達する。そして、光起電力素子101で生じた起電力は、出力端子(不図示)より外部に取り出される。
【0031】
上記の光起電力素子101の一例としては、導電性基体上に光変換部材としての半導体光活性層が形成されたものを挙げることができる。その概略構成を図2に示す。この光起電力素子200は、図2に示すように、導電性基体201、裏面反射層202、半導体光活性層203、透明導電層204、集電電極205から構成される。
【0032】
導電性基体201は、光起電力素子101の基体になると同時に、下部電極の役割も果たす。その材料としては、シリコン、タンタル、モリブデン、タングステン、ステンレス、アルミニウム、銅、チタン、カーボンシート、鉛メッキ鋼板、導電層が形成してある樹脂フィルムやセラミックスなどがある。また、導電性基体201上には、裏面反射層202として、金属層、あるいは金属酸化物層、あるいは金属層と金属酸化物層を形成しても良い。この金属層には、例えば、Ti、Cr、MO、W、Al、Ag、Niなどが用いられる、また、上記金属酸化物層には、例えば、ZnO、TiO2、SnO2などが用いられる。上記金属層および金属酸化物層の形成方法としては、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、スパッタリング法などがある。
【0033】
半導体光活性層203は、光電変換を行う部分である。その具体的な材料としては、pn接合型多結晶シリコン、pin接合型アモルファスシリコン、あるいはCuInSe2、CuInS2、GaAs、CdS/Cu2S、CdS/CdTe、CdS/InP、CdTe/Cu2Teをはじめとする化合物半導体などが挙げられる。また、半導体光活性層203の形成方法としては、多結晶シリコンの場合は、溶融シリコンのシート化または非晶質シリコンの熱処理などがあり、アモルファスシリコンの場合は、シランガスなどを原料とするプラズマCVD法などがあり、化合物半導体の場合は、イオンプレーティング、イオンビームデポジション、真空蒸着法、スパッタ法、あるいは電析法などがある。
【0034】
透明導電層204は、太陽電池の上部電極の役目を果たしている。これに用いる材料としては、例えばIn2O3、SnO2、In2O3−SnO2(ITO)、ZnO、TiO2、Cd2SnO4、高濃度不純物ドープした結晶性半導体層などが挙げられる。また、透明導電層204の形成方法としては、抵抗加熱蒸着、スパッタ法、スプレー法、CVD法、不純物拡散法などが挙げられる。
【0035】
透明導電層204の上には、電流を効率よく集電するために、格子状の集電電極205(グリッド)を設けてもよい。集電電極205の具体的な材料としては、例えば、Ti、Cr、MO、W、Al、Ag、Ni、Cu、Sn、あるいは銀ペーストをはじめとする導電性ペーストなどが挙げられる。また、集電電極205の形成方法としては、マスクパターンを用いたスパッタリング、抵抗加熱蒸着、CVD法や、全面に金属膜を蒸着した後で不必要な部分をエッチングで取り除きパターニングする方法、光CVDにより直接グリッド電極パターンを形成する方法、グリッド電極パターンのネガパターンのマスクを形成した後にメッキする方法、導電性ペーストを印刷する方法などが挙げられる。
【0036】
上記導電性ペーストは、通常微粉末状の銀、金、銅、ニッケル、カーボンなどをバインダーポリマーに分散させたものが用いられる。バインダーポリマーとしては、例えば、ポリエステル、エポキシ、アクリル、アルキド、ポリビニルアセテート、ゴム、ウレタン、フェノールなどの樹脂が挙げられる。
【0037】
最後に起電力を取り出すために、マイナス側出力端子206bを導電性基体201に取り付けるとともに、プラス側出力端子206aを集電電極205に取り付ける。マイナス側出力端子206bの導電性基体201への取り付けは、銅タブなどの金属体をスポット溶接や半田208で接合する方法が採られる。また、プラス側出力端子206aの集電電極205への取り付けは、金属体を導電性ペーストや半田によって電気的に接続する方法が採られる。なお、プラス側出力端子206aは、絶縁体209によって導電性基体201などと絶縁されている。
【0038】
上記の手法で作製した光起電力素子101は、所望する電圧あるいは電流に応じて直列ないし並列に接続される。この場合、絶縁化した基板上に光起電力素子101を集積化して所望の電圧あるいは電流を得ることもできる。
【0039】
一方、裏面被覆材105は、光起電力素子101の導電性基板と外部との電気的絶縁を保つために必要である。その材料としては、導電性基板と充分な電気絶縁性を確保でき、しかも長期耐久性に優れ熱膨張、熱収縮に耐えられるガラス、絶縁性樹脂がある。特に、柔軟性を兼ね備えた材料として裏面被覆材105に好適に用いられるフィルムには、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート(PET)などが挙げられる。また、裏面被覆材105の外側に、太陽電池モジュールの機械的強度を増すため、あるいは温度変化による歪やソリを防止するために、補強板を張り付けても良い。補強板としては、例えば、鋼板、プラスチック板、FRP(ガラス繊維強化プラスチック)板が好適に用いられる。
【0040】
表面被覆材103は、太陽電池モジュールの最表層に位置するため耐候性、撥水性、耐汚染性、機械強度をはじめとして、太陽電池モジュールの屋外暴露における長期信頼性を確保するための性能が必要である。本発明において好適に用いられる材料としては、ガラス、四フッ化エチレン−エチレン共重合体(ETFE)、ポリフッ化ビニル樹脂(PVF)、ポリフッ化ビニリデン樹脂(PVDF)、ポリ四フッ化エチレン樹脂(TFE)、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、ポリ三フッ化塩化エチレン樹脂(CTFE)等がある。表面被覆材103にガラスを用いる場合、光透過性、耐候性および機械的強度が優れている白板強化ガラスを用いることが望ましい。しかし、太陽電池モジュールに可撓性を必要とする場合、ガラスは可撓性に劣っているために樹脂フィルムが用いられる。なかでも、耐候性の観点ではポリフッ化ビニリデン樹脂が優れており、耐候性および機械的強度の両立では四フッ化エチレン−エチレン共重合体が優れている。
【0041】
表面被覆材103に樹脂を用いた場合、機械的強度を確保するために、表面フィルムの厚さをある程度厚くしなければならず、またコストの観点からはあまり厚すぎるのにも問題があり、具体的には、10〜200μmが好ましく、より好適には25〜100μmの厚さが必要である。
【0042】
また封止材との接着性の改良のために、表面フィルムに対して、コロナ処理、プラズマ処理、化学的処理等を行うことが望ましい。
【0043】
次に、本発明に用いられる封止材について詳しく説明する。
【0044】
封止材は、表面封止材102と裏面封止材104にわけられる。
【0045】
表面封止材102は、光起電力素子101の凹凸を樹脂で被覆し、光起電力素子101を温度変化、湿度、衝撃、スクラッチなどの過酷な外部環境から守り、かつ表面被覆材と光起電力素子101との接着を確保するために必要である。また、光起電力素子101に到達する光量の減少を抑制することが必要である。したがって、表面封止材102には、耐候性、接着性、充填性、耐熱性、耐衝撃性、耐スクラッチ性、透明性などが要求される。これらの要求を満たす樹脂としては、少なくとも一種のポリオレフィン系共重合体と、少なくとも一種の結晶性ポリオレフィンからなるポリマーブレンドまたはポリマーアロイが挙げられる。そのなかでも、ポリオレフィン系共重合体には、耐候性、接着性、充填性、透明性に優れたエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル多元共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸多元共重合体が好適に用いられる。
【0046】
耐熱性、耐衝撃性、耐スクラッチ性などに優れた結晶性ポリオレフィンをポリオレフィン系共重合体に相溶させてポリマーブレンドまたはポリマーアロイを形成させる。さらに、ポリオレフィン系共重合体の耐熱性、耐衝撃性、耐スクラッチ性を効果的に向上させるには、結晶性ポリオレフィンの融点(DSC法)がポリオレフィン系共重合体の融点(DSC法)以上であることが望ましい。
【0047】
より具体的には、ポリオレフィン系共重合体の融点(DSC法)は50℃以上110℃以下であり、結晶性ポリオレフィンの融点(DSC法)は110℃以上170℃以下である。ポリオレフィン系共重合体の融点(DSC法)が50℃より小さいと、ポリオレフィン系共重合体自体の耐熱性が不十分であり、結晶性ポリオレフィンとのポリマーブレンドまたはポリマーアロイによる効果を十分に得ることができない。また、110℃より大きいと、耐熱性は向上するもののポリオレフィン共重合体の透明性が低下し、かつ成形温度が高くなることから好ましくない。一方、結晶性ポリオレフィンの融点(DSC法)が110℃より小さいとポリマーブレンドまたはポリマーアロイによる耐熱性の向上を図ることができない。また、170℃より大きいとポリマーブレンドまたはポリマーアロイを形成する際にポリオレフィン共重合体との相溶性が低下し、ポリマーブレンドまたはポリマーアロイが半透明になりやすく、その透過率が低下するため、太陽電池封止用組成物としては適当ではない。
【0048】
結晶性ポリオレフィンには、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、変性ポリオレフィン、エチレンまたはプロピレンからなる共重合体等が挙げられ、なかでもポリエチレン、ポリプロピレンが好ましい。これは、ポリブテンのようにポリマー1ユニットの炭素数が増えるに従い、ポリオレフィン系共重合体との相溶性が低下するからである。ポリエチレンとしては、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン等が挙げられる。
【0049】
一方、ポリプロピレンとしては、アイソタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン等が挙げられる。また、これらの単独重合体に限らず、プロピレン−エチレンブロック共重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体、エチレンまたはプロピレンからなる共重合体等も用いることができる。前記ポリマーブレンドおよび前記ポリマーアロイの厚さ0.5mmにおける全光線透過率は、空気をリファレンスとし、光波長400nm〜1000nmの範囲において、80%以上であることが必要である。全光線透過率が80%より小さいと、光起電力素子101の表面に光が吸収される前に封止材に光が吸収されてしまうため、光起電力素子101の光電変換効率が低下してしまい、太陽電池封止用組成物としては適当ではない。
【0050】
さらに、大気からの光の入射を容易にするために、屈折率が1.1〜2.0であることが好ましく、1.1〜1.6であることがより好ましい。
【0051】
また、前記ポリマーブレンドおよび前記ポリマーアロイの流動性に関しては、流動性の目安となるメルトフローレート(ASTM D−1238、温度190℃、荷重2.16kgで測定した値)が、0.1g/10min以上40/10min以下であることが必要である。メルトフローレートが、0.1/10minより小さいと樹脂の流れ性が悪く、光起電力素子101の凹凸を充填することができず、太陽電池モジュール表面等に気泡などが生じるおそれがある。
【0052】
また、光起電力素子101を封止する被覆工程の温度を上げることによっても、流動性が得られるが、表面被覆材や封止材などが黄変し、モジュールの変換効率が低下するという問題が生じる。また、メルトフローレートが40g/10minより大きいと樹脂自体の流動性は優れるが、樹脂が流れやすくなり、光起電力素子101を封止する被覆工程において樹脂のはみ出しやそれによる樹脂の厚さが薄くなるといった問題が生じてしまう。
【0053】
ポリマーブレンドおよびポリマーアロイの耐熱性をさらに向上させる手段として、封止材樹脂を架橋してもかまわない。架橋方法としては、有機過酸化物、アルコール、電子線等による方法が挙げられる。
【0054】
封止材の樹脂に対して高温下における安定性を付与するために、熱酸化防止剤を添加することがしばしば行われる。添加量は、樹脂100重量部に対して0.1〜1重量部が適正である。酸化防止剤の化学構造としては、モノフェノール系−ビスフェノール系、高分子型フェノール系、硫黄系、燐酸系に大別される。
【0055】
モノフェノール系では、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニゾール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノールがある。
【0056】
ビスフェノール系としては、2,2′−メチレン−ビス−(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2′−メチレン−ビス−(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4′−チオビス−(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4′−ブチリデン−ビス−(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、3,9−ビス〔{1,1−ジメチル−2−{β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル}2,4,9,10−テトラオキサスピロ〕5,5−ウンデカン等がある。
【0057】
高分子フェノール系としては、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ビドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−{メチレン−3−(3′,5′−ジ−tert−ブチル−4′−ヒドロキスフェニル)プロピオネート}メタン、ビス{(3,3′−ビス−4′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチルフェニル)ブチリックアシッド}グルコールエステル、1,3,5−トリス(3′,5′−ジ−tert−ブチル−4′−ヒドロキシベンジル)−s−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)トリオン、トリフェノール(ビタミンE)等がある。
【0058】
硫黄系では、ジラウリルチオジプロピオネート、ジミリスチルチオジプロピオネート、ジステアリルチオプロピオネート等がある。
【0059】
燐酸系では、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、4,4′−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェニル−ジ−トリデシル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(オクタデシルホスファイト)、トリス(モノおよび/またはジ)フェニルホスファイト、ジイソデシルペンタエリスリトールジホスファイト、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナスレン−10−オキサイド、10−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド、10−デシロキシ−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,6−ジ−tert−メチルフェニル)ホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト等がある。
【0060】
本発明に用いられる封止材の材料は耐候性に優れたものであるが、更なる耐候性の改良、あるいは、封止材下層の保護のために、紫外線吸収剤を併用することもできる。添加量は、樹脂100重量部に対して0.1〜0.5重量部程度である。紫外線吸収剤としては、公知の化合物が用いられる。化学構造としては、サリチル酸系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系に大別される。
【0061】
サリチル酸系としては、フェニルサリシレート、p−tert−ブチルフェニルサリシレート、p−オクチルフェニルサリシレート等がある。
【0062】
ベンゾフェノン系としては、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4,4′−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾフェノン)メタン等がある。
【0063】
ベンゾトリアゾール系としては、2−(2′−ビドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ビドロキシ−5′−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2′−ビドロキシ−3′,5′−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−{2′−ヒドロキシ−3′−(3″,4″,5″,6″−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5′−メチルフェニル}ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス{4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール}等がある。
【0064】
シアノアクリレート系としては、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3′−ジフェニルアクリレート、エチル−2−シアノ−3,3′−ジフェニルアクリレート等がある。なお、上記紫外線吸収剤を少なくとも1種以上添加することが好ましい。
【0065】
上記紫外線吸収剤以外に耐候性を付与する方法としては、ヒンダードアミン系光安定化剤を使用できることが知られている。ヒンダードアミン系光安定化剤は、紫外線吸収剤のようには紫外線を吸収しないが、紫外線吸収剤を併用することによって著しい相乗効果を示す。添加量は、樹脂100重量部に対して0.1〜0.3重量部程度が一般的である。もちろん、ヒンダードアミン系以外にも光安定化剤として機能するものはあるが、着色している場合が多く本発明の封止材には望ましくない。
【0066】
ヒンダードアミン系光安定化剤としては、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{{2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル}イミノ}]、N,N′−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン−2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セパレート、2−(3,5−ジ−tert−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)等が知られている。
【0067】
なお、太陽電池モジュールの使用環境を考慮して、低揮発性の紫外線吸収剤、光安定化剤および熱酸化防止剤を用いることが好ましい
より厳しい環境下における太陽電池モジュールの使用が想定される場合には、封止材と光起電力素子101あるいは表面被覆材103との密着力を向上することが好ましい。シランカップリング剤や有機チタネート化合物などのカップリング剤を封止材に添加することで、密着力を改善することが可能である。カップリング剤の添加量は、封止材樹脂100重量部に対して0.1〜3重量部が好ましく、0.25〜1重量部がより好ましい。また、シランカップリング剤の具体例としては、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリス(βメトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシランなどがある。
【0068】
裏面封止材104は、光起電力素子101と裏面被覆材105との接着を図るためのものである。その材料としては、導電性基板と充分な接着性を確保でき、しかも長期耐久性に優れ熱膨張、熱収縮に耐えられるとともに、柔軟性を兼ね備えた材料が好ましい。裏面封止材104に好適に用いられる材料としては、表面封止材102と同様に、少なくとも一種のポリオレフィン系共重合体と少なくとも一種の結晶性ポリオレフィンからなるポリマーブレンドまたはポリマーアロイが挙げられる。そのなかでも、ポリオレフィン系共重合体には、耐候性、接着性、充填性、透明性に優れたエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル多元共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸多元共重合体が好適に用いられる。また、裏面封止材104の場合においては、表面封止材102と異なり、透明性、耐衝撃性、耐スクラッチ性等が必ずしも必要ではない。したがって、本発明の封止材のみならず、他の封止材を用いても良い。その他の封止材として好適に用いられるものには、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル多元共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸多元共重合体、ポリビニルブチラールなどのホットメルト材、両面テープ、柔軟性を有するエポキシ接着剤などが挙げられる。しかしながら、太陽電池モジュールを建材と一体化した場合においては、モジュールの温度が80℃という高温に達するため、裏面封止材にも耐熱性が求められる。したがって、本発明のポリマーブレンドまたはポリマーアロイを用いることが望ましい。
【0069】
【実施例】
以下、本発明の太陽電池封止用組成物およびそれを用いた太陽電池モジュール、建材一体型太陽電池モジュールを具体的な実施例に基づき詳細に説明するが、本発明の太陽電池封止用組成物およびそれを用いた太陽電池モジュール、建材一体型太陽電池モジュールは以下の実施例に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変更することができる。
【0070】
<実施例1(比較例)>
融点(DSC法)が74℃であるエチレン−酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニル含有量28wt%)と、融点(DSC法)が148℃である結晶性ポリプロピレンとを、それぞれ重量比100/10で混練し、射出成形することで、融点(DSC法)が80℃のポリマーブレンドを得た。得られたポリマーブレンドの貯蔵弾性率(E’)、損失弾性率(E”)曲線をセイコーインスツルメント社製粘弾性測定装置DMS6100を用いて、周波数1Hz、温度域30℃〜90℃で測定した(図3参照)。
【0071】
また、JIS K 7105に基づき、得られたポリマーブレンドの厚さ0.5mmにおける全光線透過率(波長域400〜1000nm)を測定した(図4参照)。
【0072】
<実施例2>
融点(DSC法)が93℃であるエチレン−メタクリル酸共重合体(メタクリル酸含有量15wt%)と、融点(DSC法)が118℃の結晶性ポリエチレンとを、それぞれ重量比100/10で、実施例1と同様に混練し、融点(DSC法)が100℃のポリマーブレンドを得た。得られたポリマーブレンドの貯蔵弾性率(E’)、損失弾性率(E”)曲線(図5参照)および全光線透過率(図6参照)を実施例1と同様に測定した。
【0073】
<実施例3(比較例)>
融点(DSC法)が77℃であるエチレン−アクリル酸メチル共重合体(アクリル酸メチル含有量20wt%)と、融点(DSC法)が159℃の結晶性ポリプロピレンとを、それぞれ重量比100/10で、実施例1と同様に混練し、融点(DSC法)が85℃のポリマーブレンドを得た。得られたポリマーブレンドの貯蔵弾性率(E’)、損失弾性率(E”)曲線(図7参照)および全光線透過率(図8参照)を実施例1と同様に測定した。
【0074】
<実施例4(比較例)>
実施例1で作製したポリマーブレンドを用いて、太陽電池モジュールを作製した。
【0075】
まず初めに、光起電力素子101を作製した。光起電力素子101は、図2に示す構成のアモルファスシリコン(a−Si)光起電力素子を、以下の手順で作製した。
【0076】
洗浄したステンレスの導電性基体201上に、スパッタ法で裏面反射層202としてAl層(膜厚5000Å)とZnO層(膜厚5000Å)を順次形成する。
【0077】
次いで、プラズマCVD法により、SiH4とPH3とH2の混合ガスからn型a−Si層を形成し、SiH4とH2の混合ガスからi型a−Si層を形成し、SiH4とBF3とH2の混合ガスからp型微結晶μc−Si層を形成し、n層膜厚150Å/i層膜厚4000Å/p層膜厚100Å/n層膜厚100Å/i層膜厚800Å/p層膜厚100Åの層構成のタンデム型a−Si半導体光活性層203を形成した。
【0078】
次に、透明導電層204として、In2O3薄膜(膜厚700Å)を、O2雰囲気下でInを抵抗加熱法で蒸着することによって形成した。
【0079】
さらに、集電電極205としてのグリッド電極を、銀ペーストのスクリーン印刷により形成し、最後にマイナス側の出力端子206bとして、銅タブを導電性基体201にステンレス半田208を用いて取り付け、プラス側の出力端子206aとして、錫箔のテープを導電性接着剤207により集電電極205に取り付け、光起電力素子101を得た。なお、プラス側の出力端子206aは、絶縁体を介して裏面にまわし、後述する裏面被覆材105の穴から出力を取り出せるようにした。
【0080】
このようにして作製した光起電力素子101を、実施例1で作製したポリマーブレンドで封止することにより太陽電池モジュールを得た。具体的には、裏面被覆材105としてポリエステル塗膜を表面に形成させた鋼板を使用し、裏面封止材104として実施例1で作製したポリマーブレンドを使用し、表面封止材102として実施例1で作製したポリマーブレンドを使用し、表面被覆材103として四フッ化エチレン−エチレン共重合体を使用し、これらの材料を、裏面被覆材105、裏面封止材104、光起電力素子101、表面封止材102、表面被覆材103の順で積層し、積層体を真空ラミネート装置を用いて加圧脱気しながら、150℃で30分加熱圧着することにより太陽電池モジュールを得た。
【0081】
この太陽電池モジュールに用いられた表面封止材102のポリマーブレンドは、100重量部に対して架橋剤として有機過酸化物を1.5重量部、紫外線吸収剤を0.3重量部、光安定化剤を0.1重量部、熱酸化防止剤を0.2重量部、シランカップリング剤を0.125重量部配合したものである。
【0082】
ここで作製した太陽電池モジュールの長期信頼性を確認するために、以下の手法で評価を行った。評価結果を下記表1に示す。
【0083】
(1)耐スクラッチ性
外部からの引っかきに対する表面被覆材の保護能力が充分であるか否かを試験するための「引っかき試験」(UL1703規格に準拠)を行った。この試験は、鋼鉄性の刃を持った試験機を速度152.4mm/秒で、2ポンド、5ポンドの過重を加えながら、太陽電池の表面を動かすものである。この試験の合格判定としては、その後に高圧絶縁破壊試験を行い、その太陽電池モジュールにリーク電流がなければ合格とされる。
【0084】
以下、高圧絶縁破壊試験について説明する。
【0085】
まず、引っかき試験を行った太陽電池モジュールの陽極と陰極を短絡する。そのサンプルを電気伝導度を3500ohm・cm以下の溶液に浸す。その際、サンプルの出力端子を溶波に浸さないようにする。
【0086】
そして、「引っかき試験」で引っかいた箇所を10秒程こすり、溶液側に電源の陰極を接続し、サンプルの出力端子に電源の陽極を接続する。電源より2000Vの電圧を印加し、50μA未満の電流しか流れなかった場合を合格とする。
【0087】
下記表1に、5ポンド合格を○、2ポンド合格を△、2ポンド不合格を×として示す。
【0088】
(2)耐クリープ性
対クリープ性を試験するため、太陽電池モジュールを100℃のオーブン中に垂直に立て1週間保存した。封止材がクリープしているか否か、あるいは剥離しているか否かを観察した。
【0089】
下記表1に、クリープや剥離が生じないものを○、生じたものを×として示す。
【0090】
(3)耐候性
耐候性を試験するため、サンシャインウエザオメーター(スガ試験機社製)に太陽電池モジュールを投入し、メタルハライドランプによる光照射(照射強度:300nm−400nmにおいて1000W/m2、雰囲気:ブラックパネル温度63℃/湿度70%RH)を行いながら、2時間おきに18分間の降雨を繰り返す促進耐候性試験を行い、1400時間後の外観上の変化を観察した。
【0091】
下記表1に、観察結果として、変化の無いものは○として示す。
【0092】
(4)耐湿性
耐湿性を試験するために、環境試験機に太陽電池モジュールを投入し、温度85℃/湿度85%RHの環境下に1000時間放置し、外観上の変化を観察した。
【0093】
下記表1に、観察結果として、変化の無いものは○として示す。
【0094】
<実施例5>
実施例5の太陽電池モジュールは、実施例4に対して、表面封止材102、裏面封止材104として実施例2で作製したポリマーブレンドを使用した以外は、実施例4と同様にして太陽電池モジュールを作製した。
【0095】
評価結果を、下記表1に示す。
【0096】
<実施例6(比較例)>
実施例6の太陽電池モジュールは、実施例4に対して、表面被覆材103として太陽電池用の白板強化ガラスを使用し、表面封止材102、裏面封止材104として実施例3で作製したポリマーブレンドを使用し、裏面被覆材105としてアルミラミネートテドラーフィルムを使用した以外は、実施例4と同様にして太陽電池モジュールを作製した。
【0097】
ただし、耐スクラッチ性試験に関しては、表面被覆材が白板強化ガラスであるため、有意差が生じないので評価を行わなかった。
【0098】
評価結果を、下記表1に示す。
【0099】
<実施例7(比較例)>
実施例7の建材一体型太陽電池モジュールは、実施例4に対して、表面封止材102、裏面封止材104として実施例3で作製したポリマーブレンドを使用し、裏面被覆材105として屋根材用金属鋼板を使用して建材一体型太陽電池モジュールを作製した。さらに、建材一体型太陽電池モジュールを作製後、裏面被覆材105の裏面に断熱材を張り付け、通常の金属屋根設置と同様に野地板上に設置し、屋根表面温度と樹脂表面の状態を観察した。
【0100】
<比較例1>
融点(DSC法)が74℃であるエチレン−酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニル含有量28wt%)の貯蔵弾性率(E’)、損失弾性率(E”)曲線を、セイコーインスツルメント社製粘弾性測定装置DMS6100を用いて、周波数1Hz、温度域30℃〜90℃で測定した(図3参照)。また、JIS K 7105に基づき、厚さ0.5mmにおける全光線透過率(波長域400〜1000nm)を測定した(図4参照)。
【0101】
<比較例2>
融点(DSC法)が93℃であるエチレン−メタクリル酸共重合体(メタクリル酸含有量15wt%)の貯蔵弾性率(E’)、損失弾性率(E”)曲線(図5参照)および全光線透過率(図6参照)を、比較例1と同様に測定した。
【0102】
<比較例3>
融点(DSC法)が77℃であるエチレン−アクリル酸メチル共重合体(アクリル酸メチル含有量20wt%)の貯蔵弾性率(E’)、損失弾性率(E”)曲線(図7参照)および全光線透過率(図8参照)を、比較例1と同様に測定した。
【0103】
<比較例4>
比較例4の太陽電池モジュールは、実施例4に対して、表面封止材102、裏面封止材104として比較例1の樹脂を使用した以外は、実施例4と同様にして太陽電池モジュールを作製した。
【0104】
評価結果を、下記表1に示す。
【0105】
<比較例5>
比較例5の太陽電池モジュールは、実施例4に対して、表面封止材102、裏面封止材104として比較例2の樹脂を使用した以外は、実施例4と同様にして太陽電池モジュールを作製した。
【0106】
評価結果を、下記表1に示す。
【0107】
<比較例6>
比較例6の太陽電池モジュールは、実施例4に対して、表面被覆材103として太陽電池用の白板強化ガラスを使用し、表面封止材102、裏面封止材104として比較例3の樹脂を使用し、裏面被覆材105としてアルミラミネートテドラーフィルムを使用した以外は、実施例4と同様にして太陽電池モジュールを作製した。
【0108】
ただし、耐スクラッチ性試験に関しては、表面被覆材が白板強化ガラスであるため、有意差が生じないので評価を行わなかった。
【0109】
評価結果を、下記表1に示す。
【0110】
<比較例7>
比較例7の建材一体型太陽電池モジュールは、実施例7に対して、表面封止材102、裏面封止材104として比較例3で作製したポリマーブレンドを使用した以外は、実施例7と同様にして建材一体型太陽電池モジュール作製した。さらに、建材一体型太陽電池モジュールを作製後、裏面被覆材105の裏面に断熱材を張り付け、通常の金属屋根設置と同様に野地板上に設置し、屋根表面温度と樹脂表面の状態を観察し、実施例7と比較した。
【0111】
【表1】
【0112】
図3、5、7から明らかなように、本発明の太陽電池封止用組成物であるポリマーブレンドは、ポリオレフィン系共重合体に結晶性ポリオレフィンが混練されることにより、貯蔵弾性率(E’)、損失弾性率(E”)が向上し、ポリオレフィン系共重合体単独の場合と比較して機械的特性が改良されている。
【0113】
また、図4、6、8から明らかなように、結晶性ポリオレフィンが混練されることにより、ポリマーブレンドの透明性が大きく損なわれることがなく、太陽電池用封止組成物として優れた透明性を有している。
【0114】
上記表1は、本発明の太陽電池封止用組成物であるポリマーブレンドを用いて作製した太陽電池モジュールと、ポリオレフィン系共重合体を用いて作製した太陽電池モジュールの評価結果を示すものである。
【0115】
表1から明らかなように、ポリマーブレンドおよびポリオレフィン系共重合体を用いて作製した太陽電池モジュールの耐候性、耐湿性はともに優れるものの、耐スクラッチ性、耐クリープ性に大きな違いが観察された。
【0116】
すなわち、ポリマーブレンドを用いた太陽電池モジュールの耐スクラッチ性、耐クリープ性は、ポリオレフィン系共重合体を用いた太陽電池モジュールと比較して優れている。これは、ポリオレフィン系共重合体に耐熱性の優れた結晶性ポリオレフィンの特性が反映されたためであり、また結晶性ポリオレフィンをブレンドすることにより、表面封止材102の耐候性、耐湿性を損なわないことが示された。
【0117】
実施例7、比較例7において、屋根表面温度は最高で84℃に達した。その後、屋根表面を観察すると、実施例7においては変化は見られなかったが、比較例7においては屋根表面に施されている樹脂が歪み、波打っていることがわかった。
【0118】
これは、実施例7の樹脂が、耐熱性、耐クリープ性を向上させたものであるのに対し、比較例7においては樹脂の耐熱性、耐クリープ性が向上していないため、屋根材一体型の厳しい温度条件に耐えることができないためである。
【0119】
【発明の効果】
本発明の太陽電池封止用組成物は、耐候性、透明性に優れたポリオレフィン共重合体と、耐熱性、機械的強度を有した結晶性ポリオレフィンとからなるポリマーブレンドまたはポリマーアロイからなり、これにより耐候性、透明性および耐熱性、機械的強度に優れた封止材を提供することが可能となる。
【0120】
また、本発明の太陽電池封止用組成物であるポリマーブレンドまたはポリマーアロイを封止材に使用した太陽電池モジュールは、耐候性、透明性を有しつつ、耐熱性、機械的強度を向上させた封止材を使用しており、長期間の屋外暴露や促進耐候性試験において、従来よりも耐熱性、耐クリープ性、耐スクラッチ性が向上した信頼性の高い太陽電池モジュールを提供することが可能となる。
【0121】
また、耐熱性を向上させたことから、建材のように高温下での厳しい使用条件においても使用することができ、優れた建材一体型太陽電池モジュールを提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の太陽電池モジュールの概略構成を示す断面図である。
【図2】 図1に示す太陽電池モジュールで使用する光起電力素子の基本構成を示すもので、(a)は断面図、(b)は受光面側から見た上面図である。
【図3】 実施例1(比較例)、比較例1における貯蔵弾性率(E’)、損失弾性率(E”)曲線である。
【図4】 実施例1(比較例)、比較例1における透過率曲線である。
【図5】 実施例2、比較例2における貯蔵弾性率(E’)、損失弾性率(E”)曲線である。
【図6】 実施例2、比較例2における透過率曲線である。
【図7】 実施例3(比較例)、比較例3における貯蔵弾性率(E’)、損失弾性率(E”)曲線である。
【図8】 実施例3(比較例)、比較例3における透過率曲線である。
Claims (2)
- 表面被覆材と裏面被覆材の間に光起電力素子が配置され、前記光起電力素子が封止材によって表面被覆材と裏面被覆材の間に封止されたことを特徴とする太陽電池モジュールにおいて、
前記封止材が、エチレン−メタクリル酸共重合体と結晶性ポリエチレンからなるポリマーブレンドまたはポリマーアロイであることを特徴とする太陽電池モジュール。 - 前記ポリマーブレンドまたは前記ポリマーアロイのメルトフローレート(ASTM D−1238、温度190℃、荷重2.16kgで測定した値)が、0.1g/10min以上40g/10min以下であることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池モジュール。
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