JP4337316B2 - 電力変換装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は電力変換装置に関し、さらに詳細にいえば、交流電源の交流電圧を直流電圧に変換する整流回路と、交流電源と整流回路との間に接続されたリアクトルと、整流回路の出力端子間に互いに直列接続された1対のコンデンサと、前記リアクトルと1対のコンデンサの中点との間を短絡すべく設けられた第1スイッチング手段とを含む電力変換装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、電源高調波規制に対応すべくPWMコンバータ回路が提案されている。
【0003】
このPWMコンバータ回路は、例えば図25中(a)に示すように6個のスイッチング素子を用いたものであり、入力電流を高周波スイッチングで制御するため、入力電流に高調波成分を含まないように、しかも入力力率を1に制御することが可能である。具体的には、このPWMコンバータの各相の等価回路は図25中(c)に示すようになるので、コンバータ入力電圧vuを正弦波状にすれば、入力電流iuに高調波成分が含まれなくなる。すなわち、電圧ベクトル図は図25中(d)に示すようになる。したがって、例えば、「三相PWMコンバータのパラメータ変動を考慮した電流制御法」、竹下隆晴、岩崎誠、松井信行、電学論D,107巻11号,昭62に示されているような方式で、コンバータ入力電圧のPWMパターンを作成し、コンバータ入力電圧を正弦波状の波形として入力電流の高調波成分の低減を達成することができる。
【0004】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
25中(a)に示す構成のPWMインバータ回路を採用した場合には、図25中(b)に入力電流波形および入力電圧波形を示すように、高周波スイッチングに伴う効率の低下、ノイズの増加を招くとともに、制御の複雑化、コストの増加を招くという不都合がある。
【0005】
また、3相交流電源電圧が200V系の場合、整流回路の出力電圧は280V程度となり、400V系の場合、整流回路の出力電圧は560V程度となるので、インバータおよびモータを交流電源電圧に合わせて設計し、開発する必要がある。さらに、400V系の交流電源に接続されたインバータからは、スイッチング動作によって生じるサージ電圧が大きくなるとともに、発生ノイズも大きくなるため、ノイズフィルタが大型化し、高価になってしまう。
【0006】
【発明の目的】
この発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、大形のリアクトルを不要とし、しかも入力力率の改善および高調波電流の抑制を達成することができる電力変換装置を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1の電力変換装置は、交流電源の交流電圧を直流電圧に変換する整流回路と、交流電源と整流回路との間に接続された第1リアクトルと、整流回路の出力端子間に互いに直列接続された1対のコンデンサと、前記第1リアクトルと1対のコンデンサの中点との間を短絡すべく設けられた第1スイッチング手段とを含むものであって、
電源の半周期に前記第1スイッチング手段を複数回、かつ奇数回スイッチング動作させるとともに、電源の半周期におけるスイッチング波形を、最初のスイッチング動作と最後のスイッチング動作との中間点を基準として対称となるようにスイッチング動作させる第1スイッチング制御手段を含むものである。
【0009】
請求項2の電力変換装置は、前記第1スイッチング制御手段として、高調波電流成分を所望の値にすべく、スイッチングパターンを決定して第1スイッチング手段を動作させるものを採用するものである。
【0010】
請求項3の電力変換装置は、前記第1スイッチング制御手段として、相電圧の電源ゼロクロス点を含む60°期間内で第1スイッチング手段を動作させるものを採用するものである。
【0011】
請求項4の電力変換装置は、前記第1スイッチング制御手段として、負荷情報に応じて第1スイッチング手段を動作させるタイミングを変化させるものを採用するものである。
【0012】
請求項5の電力変換装置は、前記第1スイッチング制御手段として、電源電圧に応じて第1スイッチング手段を動作させるタイミングを変化させるものを採用するものである。
【0013】
請求項6の電力変換装置は、前記第1スイッチング制御手段として、直流電圧を直流電圧指令値と一致させるべく、第1スイッチング手段を動作させるタイミングを変化させるものを採用するものである。
【0014】
請求項7の電力変換装置は、前記第1スイッチング制御手段として、電源電圧変動、もしくは負荷変動に応じてスイッチングパターンを変化させるものを採用するものである。
【0015】
請求項8の電力変換装置は、前記第1スイッチング制御手段として、直流電圧を直流電圧指令値と一致させるべく、スイッチングパターンを変化させるものを採用するものである。
【0016】
請求項9の電力変換装置は、前記第1スイッチング制御手段として、前記1対のコンデンサのそれぞれの電圧が平衡となるように、相電圧の立ち上がりと立ち下がりとで第1スイッチング手段を動作させるタイミングを変化させるものを採用するものである。
【0017】
請求項10の電力変換装置は、前記1対のコンデンサのそれぞれに、第2スイッチング手段、ダイオードおよび第2リアクトルからなる降圧チョッパ回路を接続し、2つの第2スイッチング手段を交互に動作させる第2スイッチング制御手段をさらに含むものである。
【0018】
請求項11の電力変換装置は、前記第2スイッチング制御手段として、降圧チョッパ回路の出力電圧を直流電圧指令値と一致させるべく、2つの第2スイッチング手段のオン時間を変化させるものを採用するものである。
【0019】
請求項12の電力変換装置は、前記第2スイッチング制御手段として、前記1対のコンデンサのそれぞれの電圧が平衡となるように、2つの第2スイッチング手段のオン時間を変化させるものを採用するものである。
【0020】
請求項13の電力変換装置は、前記第1スイッチング手段として、1対づつのダイオードの直列回路を互いに並列接続してなるとともに、両直列回路と並列にスイッチング素子を接続してなるものを採用するものである。
【0021】
請求項14の電力変換装置は、前記第1スイッチング手段として、1対のダイオードの直列回路と1対のスイッチング素子の直列回路とを互いに並列接続してなるものを採用するものである。
【0029】
【作用】
請求項1の電力変換装置であれば、交流電源の交流電圧を直流電圧に変換する整流回路と、交流電源と整流回路との間に接続された第1リアクトルと、整流回路の出力端子間に互いに直列接続された1対のコンデンサと、前記第1リアクトルと1対のコンデンサの中点との間を短絡すべく設けられた第1スイッチング手段とを含む装置を用いて電力変換を行うに当たって、
第1スイッチング制御手段によって、電源の半周期に前記第1スイッチング手段を複数回、かつ奇数回スイッチング動作させるとともに、電源の半周期におけるスイッチング波形を、最初のスイッチング動作と最後のスイッチング動作との中間点を基準として対称となるようにスイッチング動作させることができる。
【0030】
したがって、高周波スイッチングに伴う、回路効率の低下や発生ノイズの増加を引き起こすことなく、また、大形のリアクトルを用いることなく、安価な構成で、高入力力率化、および低高調波電流化を達成することができる。
【0031】
請求項2の電力変換装置であれば、前記第1スイッチング制御手段として、高調波電流成分を所望の値にすべく、スイッチングパターンを決定して第1スイッチング手段を動作させるものを採用するのであるから、高調波規格に適合させることができるほか、請求項1と同様の作用を達成することができる。
【0032】
請求項3の電力変換装置であれば、前記第1スイッチング制御手段として、相電圧の電源ゼロクロス点を含む60°期間内で第1スイッチング手段を動作させるものを採用するのであるから、複数個の第1スイッチング手段を同時動作させる必要がなくなり、第1スイッチング手段の制御を簡単化することができるほか、請求項1または請求項2と同様の作用を達成することができる。
【0033】
請求項4の電力変換装置であれば、前記第1スイッチング制御手段として、負荷情報に応じて第1スイッチング手段を動作させるタイミングを変化させるものを採用するのであるから、負荷変動による入力力率の低下を防止し、高調波成分を一定に保つことができるほか、請求項1から請求項3の何れかと同様の作用を達成することができる。
【0034】
請求項5の電力変換装置であれば、前記第1スイッチング制御手段として、電源電圧に応じて第1スイッチング手段を動作させるタイミングを変化させるものを採用するのであるから、負荷変動による入力力率の低下を防止することができるほか、請求項1から請求項3の何れかと同様の作用を達成することができる。
【0035】
請求項6の電力変換装置であれば、前記第1スイッチング制御手段として、直流電圧を直流電圧指令値と一致させるべく、第1スイッチング手段を動作させるタイミングを変化させるものを採用するのであるから、電源電圧や負荷が変動しても、高入力力率、低高調波電流を保つことができるほか、請求項1から請求項3の何れかと同様の作用を達成することができる。
【0036】
また、インバータが所望する直流電圧に制御することによって、モータの効率改善や、空気調和機においては運転範囲の拡大を達成することができる。
【0037】
請求項7の電力変換装置であれば、前記第1スイッチング制御手段として、電源電圧変動、もしくは負荷変動に応じてスイッチングパターンを変化させるものを採用するのであるから、電源電圧や負荷変動が発生した場合であっても入力力率の低下を防止することができるほか、請求項1または請求項2と同様の作用を達成することができる。
【0038】
請求項8の電力変換装置であれば、前記第1スイッチング制御手段として、直流電圧を直流電圧指令値と一致させるべく、スイッチングパターンを変化させるものを採用するのであるから、負荷が変動した場合であっても、直流電圧を一定に制御することができるほか、請求項1または請求項2と同様の作用を達成することができる。
【0039】
また、インバータが所望する直流電圧に制御することによって、モータの効率改善や、空気調和期においては運転範囲の拡大を達成することができる。
【0040】
請求項9の電力変換装置であれば、前記第1スイッチング制御手段として、前記1対のコンデンサのそれぞれの電圧が平衡となるように、相電圧の立ち上がりと立ち下がりとで第1スイッチング手段を動作させるタイミングを変化させるものを採用するのであるから、電源電圧が不平衡な場合であっても、1対のコンデンサの電圧が不平衡になることを防止することができるほか、請求項1から請求項8の何れかと同様の作用を達成することができる。
【0041】
請求項10の電力変換装置であれば、前記1対のコンデンサのそれぞれに、第2スイッチング手段、ダイオードおよび第2リアクトルからなる降圧チョッパ回路を接続し、2つの第2スイッチング手段を交互に動作させる第2スイッチング制御手段をさらに含むのであるから、簡単に直流電圧を1/2にすることができるほか、請求項1から請求項9の何れかと同様の作用を達成することができる。
【0042】
請求項11の電力変換装置であれば、前記第2スイッチング制御手段として、降圧チョッパ回路の出力電圧を直流電圧指令値と一致させるべく、2つの第2スイッチング手段のオン時間を変化させるものを採用するのであるから、電源電圧が変動した場合であっても、安定した直流電圧を出力することができるほか、請求項10と同様の作用を達成することができる。
【0043】
請求項12の電力変換装置であれば、前記第2スイッチング制御手段として、前記1対のコンデンサのそれぞれの電圧が平衡となるように、2つの第2スイッチング手段のオン時間を変化させるものを採用するのであるから、電源電圧が不平衡な場合であっても、1対のコンデンサの電圧が不平衡になることを防止することができるほか、請求項10または請求項11と同様の作用を達成することができる。
【0044】
請求項13の電力変換装置であれば、前記第1スイッチング手段として、1対づつのダイオードの直列回路を互いに並列接続してなるとともに、両直列回路と並列にスイッチング素子を接続してなるものを採用するのであるから、請求項1から請求項12の何れかと同様の作用を達成することができる。
【0045】
請求項14の電力変換装置であれば、前記第1スイッチング手段として、1対のダイオードの直列回路と1対のスイッチング素子の直列回路とを互いに並列接続してなるものを採用するのであるから、請求項1から請求項12の何れかと同様の作用を達成することができる。
【0054】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して、この発明の電力変換装置の実施の態様を詳細に説明する。
【0055】
図1はこの発明の電力変換装置の一実施態様を示す電気回路図である。
【0056】
この電力変換装置は、3相交流電源1の各相に第1リアクトル2u、2v、2wを介して3相整流回路3の各相入力端子を接続し、3相整流回路3の出力端子間に、互いに等しい容量の1対のコンデンサ4a、4bを直列接続しているとともに、1対のコンデンサ4a、4bの直列回路と並列に負荷を接続している。
【0057】
そして、1対のコンデンサ4a、4bの中点と3相整流回路3の各相入力端子との間にそれぞれスイッチ5u、5v、5wを接続している。
【0058】
また、3相交流電源1の少なくとも1相の出力電圧を入力として電源ゼロクロスを検出する電源ゼロクロス検出部6と、検出された電源ゼロクロスを入力として所定の演算処理を行って各相のスイッチ5u、5v、5wに対するスイッチングパターンを決定し、スイッチング指令を出力する制御部7と、スイッチング指令を入力としてスイッチ駆動信号を出力する駆動回路8とを有している。
【0059】
ただし、図2に示すように、1対のコンデンサ4a、4bの直列回路と並列にコンデンサ4cを接続する構成を採用してもよく、また、図3に示すように、1対のコンデンサ4a、4bの中点とスイッチ5u、5v、5wとの間にコンデンサ4dを接続する構成を採用してもよい。
【0060】
上記の構成の電力変換回路において、各相のスイッチ5u、5v、5wを、それぞれ電源半周期の間にM回(M=3、5、7、・・・)動作させ、かつ、3相整流回路3の各相の入力端子(U、V、W)と直流電圧の中点(O)との電位差が90°を境にして対称波形となり、180°を境にして正負対称波形となるように動作させる(U相のみを示す図4参照)ことによって(換言すれば、スイッチングパターンを、電源半周期における最初のスイッチングから最後のスイッチングまでの中間点を基準として対称に設定することによって)、高周波スイッチングに伴う、回路効率の低下や発生ノイズの増加を引き起こすことなく、また大形のリアクトルを用いることなく、安価に高入力力率、低高調波電流を実現することができる(図5参照)。
【0061】
この波形をフーリエ級数展開すると、数1、数2で表される。
【0062】
【数1】
【0063】
【数2】
【0064】
ここで、kはM(cos項の項数)まで変化する。an(n=1、3、5、7、・・・)は、n=1のとき基本波成分を、n≧3のとき各高調波成分を、それおzれ表し、基本波成分と制御したい高調波成分に適切な値を代入すれば、所望の値に制御することが可能になる。例えば、M=3のとき、基本波成分とn1、n2次高調波成分は、数3で表される。
【0065】
【数3】
【0066】
そこで、例えば、図9に示すフローチャートにより連立方程式の解以外のパラメータ(図中のf1、f5、f7)を導出し、数3に示すような連立方程式の近似解を「Mathematica」などの演算用ソフトウエアなどを用いて導出する。
【0067】
そして、この近似解を用い、その解から描ける波形をフーリエ級数展開し、高調波成分が高調波規格を満足するか否かの確認を行う。
【0068】
このようにして求めたスイッチングパターンを用いれば、高調波規格に適合させることができる。
【0069】
次いで、スイッチング回数を5回に設定し、スイッチング回数を1回に設定した場合とを対比する。
【0070】
図6に示すように、スイッチング回数を1回に設定した場合には、第1リアクトル2u、2v、2wを10mHに設定すればIEC規格を満足することができないが、18mHに設定することによりIEC規格を満足することができる。これに対して、スイッチング回数を5回に設定した場合には、図7に示すように、第1リアクトル2u、2v、2wを10mHに設定しても、18mHに設定してもIEC規格を満足することができる。
【0071】
また、図8に示すとおり、スイッチング回数の増加に伴って第1リアクトル2u、2v、2wを小型化できることが分かる。
【0072】
次いで、図9のフローチャートを説明する。
【0073】
ステップSP1において、製品仕様から定格電源電圧Vsおよび定格電流(基本波成分)Is1を決定し、ステップSP2において、第1リアクトル2u、2v、2wのリアクトル定数Lsおよび直流電圧値VDCを仮設定する。そして、ステップSP3において、定格電源電圧Vs、定格電流Is1、およびリアクトル定数Lsから電源電圧に対する、コンバータ入力電圧(基本波成分)Vs1の位相差δを算出する。ここで、コンバータ入力電圧Vs1およびコンバータ入力電圧Vs1の位相差δは、図10中(a)に示す等価回路、および図10中(b)に示すベクトル図に示すように与えられるのであるから、これらを算出することは可能である。
【0074】
次いで、ステップSP4において、制御可能なコンバータ入力電圧{例えば、スイッチング回数が3の場合には、2成分(例えば、5、7次)}の高調波成分を設定する。具体的には、例えば、高調波電流I*の目標値にマージンεを乗算して設定する。
【0075】
そして、ステップSP5において、ステップSP3で求めたコンバータ入力電圧の基本波成分Vs1と、ステップSP4で設定した5、7次高調波成分f5、f7を数3に代入して連立方程式数4を立てる。ただし、数5。
【0076】
【数4】
【0077】
【数5】
【0078】
ステップSP6において、数4の連立方程式の近似解α1、α5、α7を「Mathematica」などの演算用ソフトウエアなどを用いて導出する。
【0079】
算出された近似解α1、α5、α7を数2に代入し、コンバータ入力電圧の高調波成分(11次から39次の成分)を求める。
【0080】
そして、ステップSP8において、求められた全ての高調波成分の絶対値が対応する目標値未満であるか否かを判定する。
【0081】
ステップSP8において何れかの高調波成分の絶対値が対応する目標値以上であると判定された場合には、ステップSP9において、7次高調波成分の符号を判定する。そして、符号が正であれば、ステップSP9aにおいて、符号を変更し、再びステップSP6の処理を行う(すなわち、符号を変更して再度計算する)。逆に、符号が負であれば、再びステップSP4の処理を行う(すなわち、高調波成分の設定を変更して再度計算する)。
【0082】
ステップSP8において求められた全ての高調波成分の絶対値が対応する目標値未満であると判定された場合には、ステップSP10において、シミュレーションを行い、ステップSP11において、シミュレーション結果から高調波電流および直流電圧値を算出し、ステップSP12において、高調波電流が目標値を、直流電圧値が設定値を満足するか否かを判定し(図11参照)、満足していると判定された場合には、そのまま一連の処理を終了する。
【0083】
逆に、ステップSP12において、高調波電流が目標値を満足していないか、および/または直流電圧値が設定値を満足していないと判定された場合には、再びステップSP2の処理を行う(すなわち、直流電圧値VDC、リアクトル定数Lsの設定を変更して再度計算する)。
【0084】
また、上記の実施態様において、図12に示すように、各相のスイッチングを行う期間を電源ゼロクロス点を含む60°(α1≦30°)以内に設定することが好ましく、複数個のスイッチを同時に動作させることがなくなり、制御を簡単化することができる。
【0085】
図13はこの発明の電力変換装置の他の実施態様を示す電気回路図である。
【0086】
この電力変換装置が図1の電力変換装置と異なる点は、負荷に流れる電流を入力として負荷情報を検出する負荷情報検出部7a、および波形記憶部7bをさらに含む点、および制御部7として、電源ゼロクロス検出信号、負荷情報検出信号、および記憶された波形信号を入力として所定の演算を行い、スイッチングタイミングを負荷に応じて変化させるべくスイッチング指令を出力するものを採用する点のみである。
【0087】
この実施態様を採用した場合には、負荷情報を検出し、電源電圧のゼロクロス点を基準として、図14に示すように、負荷に応じてスイッチングタイミングを変化させることができ、ひいては、負荷変動による入力力率(PF)の低下を防止して高調波成分を一定に保つことができる(図15参照)。
【0088】
さらに説明する。
【0089】
軽負荷時のベクトル図は図16中(a)に示すとおりであり、重負荷時のベクトル図は図16中(b)に示すとおりである。すなわち、負荷の変動に応じて位相差δが変化するのであるから、入力電流の基本波成分Is1が基本波電圧Vsと同相となるように、電源電圧に対するコンバータ入力電圧Vs1の位相差δ(オンタイミング)を制御すればよい(図17参照)。
【0090】
図18はこの発明の電力変換装置のさらに他の実施態様を示す電気回路図である。
【0091】
この電力変換装置が図13の電力変換装置と異なる点は、電源電圧を検出する電源電圧検出部7cをさらに含む点、および制御部7として、電源電圧検出信号、電源ゼロクロス検出信号、負荷情報検出信号、および記憶された波形信号を入力として所定の演算を行い、スイッチングタイミングを電源電圧にも応じて変化させるべくスイッチング指令を出力するものを採用する点のみである。
【0092】
この実施態様を採用した場合には、電源電圧に応じてスイッチングタイミングを変化させることができ、ひいては、図19に示すように、負荷変動による入力力率の低下を防止することができる。
【0093】
さらに説明する。
【0094】
低電圧時のベクトル図は図20中(a)に示すとおりであり、高電圧時のベクトル図は図20中(b)に示すとおりである。すなわち、電源電圧の変動に応じて位相差δが変化するのであるから、入力電流の基本波成分Is1が電源電圧Vsと同相となるように、電源電圧に対するコンバータ入力電圧Vs1の位相差δ(オンタイミング)を制御すればよい。
図21はこの発明の電力変換装置のさらに他の実施態様を示す電気回路図である。
【0095】
この電力変換装置が図1の電力変換装置と異なる点は、負荷として、モータ9aを駆動するインバータ9を採用した点、直流電圧を検出する直流電圧検出部7dをさらに含む点、波形記憶部7bをさらに含む点、駆動回路9bを介してインバータ9を制御するインバータ制御回路9cに直流電圧指令値を供給する直流電圧指令値供給部9dからの直流電圧指令値を制御部7に供給する点、および、電源ゼロクロス検出信号、直流電圧検出信号、直流電圧指令値、および記憶された波形信号を入力として所定の演算を行い、スイッチングタイミングを直流電圧検出値が直流電圧指令値に一致するように変化させるべくスイッチング指令を出力するものを採用する点のみである。
【0096】
この実施態様を採用した場合には、直流電圧を検出し、検出した直流電圧値が、電源電圧や負荷の状態に応じて、予め設定された直流電圧指令値に一致するようにスイッチングタイミングを変化させることができ、ひいては、電源電圧や負荷が変動した場合であっても、高入力力率、低高調波電流を保つことができる。
【0097】
そして、インバータ9の所望する直流電圧に制御することができ、ひいては、モータの効率改善、空気調和機においては運転エリアの拡大を達成することができる。
【0098】
図22はこの発明の電力変換装置のさらに他の実施態様を示す電気回路図である。
【0099】
この電力変換装置が図18の電力変換装置と異なる点は、負荷情報検出部7aに代えて、1対のコンデンサ4a、4bのそれぞれの端子間電圧を検出するコンデンサ電圧検出部7eを採用した点、および、制御部7として、電源電圧検出信号、電源ゼロクロス検出信号、各コンデンサの端子間電圧、および記憶された波形信号を入力として所定の演算を行い、相電圧の立ち上がりと立ち下がりとでスイッチングタイミングを変化させるべくスイッチング指令を出力するものを採用する点のみである。
【0100】
この実施態様を採用した場合には、1対のコンデンサ4a、4bそれぞれの端子間電圧を検出し、相電圧の立ち上がりと立ち下がりとでスイッチング素子を動作させるタイミングを変化させることができ(図23参照)、ひいては、電源電圧が不平衡な場合であっても、1対のコンデンサ4a、4bの端子間電圧を平衡にすることができる。
【0101】
また、数2におけるanをan/sとおき、この変数sを変化させて、基本波成分に対して制御する高調波成分が一定となる連立方程式の多数の解(スイッチングパターン)を求め、これらの解を用いることが可能であり、図24に示すように、負荷情報に基づくスイッチングパターンの変更をも行うことにより、負荷が変動した場合であっても、直流電圧を一定に制御することができる。
【0154】
【発明の効果】
請求項1の発明は、高周波スイッチングに伴う、回路効率の低下や発生ノイズの増加を引き起こすことなく、また、大形のリアクトルを用いることなく、安価な構成で、高入力力率化、および低高調波電流化を達成することができるという特有の効果を奏する。
【0155】
請求項2の発明は、高調波規格に適合させることができるほか、請求項1と同様の効果を奏する。
【0156】
請求項3の発明は、複数個の第1スイッチング手段を同時動作させる必要がなくなり、第1スイッチング手段の制御を簡単化することができるほか、請求項1または請求項2と同様の効果を奏する。
【0157】
請求項4の発明は、負荷変動による入力力率の低下を防止し、高調波成分を一定に保つことができるほか、請求項1から請求項3の何れかと同様の効果を奏する。
【0158】
請求項5の発明は、電源電圧による入力力率の低下を防止することができるほか、請求項1から請求項3の何れかと同様の効果を奏する。
【0159】
請求項6の発明は、電源電圧や負荷が変動しても、高入力力率、低高調波電流を保つことができるほか、請求項1から請求項3の何れかと同様の効果を奏する。
【0160】
請求項7の発明は、電源電圧や負荷変動が発生した場合であっても入力力率の低下を防止することができるほか、請求項1または請求項2と同様の効果を奏する。
【0161】
請求項8の発明は、負荷が変動した場合であっても、直流電圧を一定に制御することができるほか、請求項1または請求項2と同様の効果を奏する。
【0162】
請求項9の発明は、電源電圧が不平衡な場合であっても、1対のコンデンサの電圧が不平衡になることを防止することができるほか、請求項1から請求項8の何れかと同様の効果を奏する。
【0163】
請求項10の発明は、簡単に直流電圧を1/2にすることができるほか、請求項1から請求項9の何れかと同様の効果を奏する。
【0164】
請求項11の発明は、電源電圧が変動した場合であっても、安定した直流電圧を出力することができるほか、請求項10と同様の効果を奏する。
【0165】
請求項12の発明は、電源電圧が不平衡な場合であっても、1対のコンデンサの電圧が不平衡になることを防止することができるほか、請求項10または請求項11と同様の効果を奏する。
【0166】
請求項13の発明は、請求項1から請求項12の何れかと同様の効果を奏する。
【0167】
請求項14の発明は、請求項1から請求項12の何れかと同様の効果を奏する。
【0174】
請求項21の発明は、圧縮機駆動用のインバータ、モータのみならず、ファンモータ駆動用のインバータ、モータを特別に設計、開発する必要をなくするとともに、サージ電圧、発生ノイズを低減できるほか、請求項19と同様の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の電力変換装置の一実施態様を示す電気回路図である。
【図2】この発明の電力変換装置の一変更例を示す電気回路図である。
【図3】この発明の電力変換装置の他の変更例を示す電気回路図である。
【図4】各部の波形を示す図である。
【図5】相電圧波形、入力電流波形、およびスイッチ5u用の駆動信号を示す図である。
【図6】スイッチング回数を1回に設定した場合において、第1リアクトル2u、2v、2wを10mH、18mHに設定した時の高調波電流およびIEC規格を示す図である。
【図7】スイッチング回数を5回に設定した場合において、第1リアクトル2u、2v、2wを10mH、18mHに設定した時の高調波電流およびIEC規格を示す図である。
【図8】第1リアクトル2u、2v、2wを18mHに設定し、かつスイッチング回数を1回に設定した場合、第1リアクトル2u、2v、2wを13mHに設定し、かつスイッチング回数を3回に設定した場合、および第1リアクトル2u、2v、2wを10mHに設定し、かつスイッチング回数を5回に設定した場合の高調波電流およびIEC規格を示す図である。
【図9】図1の電力変換装置の処理を説明するフローチャートである。
【図10】等価回路およびベクトル図を示す図である。
【図11】高調波電流とIEC規格とを示す図である。
【図12】各相のスイッチングを行う期間を電源ゼロクロス点を含む60°(α≦30°)以内に設定した場合における駆動信号を示す図である。
【図13】この発明の電力変換装置の他の実施態様を示す電気回路図である。
【図14】相電圧、及び軽負荷時、重負荷時のスイッチ駆動信号を示す図である。
【図15】負荷変動時の入力力率特性を示す図である。
【図16】軽負荷時、重負荷時のベクトル図である。
【図17】相電圧波形、およびスイッチ駆動信号を示す図である。
【図18】この発明の電力変換装置のさらに他の実施態様を示す電気回路図である。
【図19】電源電圧変動時の入力力率特性を示す図である。
【図20】低電圧時、高電圧時のベクトル図である。
【図21】この発明の電力変換装置のさらに他の実施態様を示す電気回路図である。
【図22】この発明の電力変換装置のさらに他の実施態様を示す電気回路図である。
【図23】相電圧波形およびスイッチ駆動信号波形を示す図である。
【図24】相電圧波形および軽負荷時、重負荷時のスイッチ駆動信号波形を示す図である。
【図25】従来のPWMコンバータを示す図である。
【符号の説明】
1 交流電源 2u、2v、2w 第1リアクトル
3 3相整流回路 4a、4b コンデンサ
5u、5v、5w スイッチ 7 制御部
10a、10b スイッチング素子
10c、10d ダイオード 10e 第2リアクトル
10h 降圧制御部 14 降圧回路
14a スイッチング素子 14b 第2のリアクトル
14d ダイオード 15 3相インバータ
16 モータ 17 制御部
19 直流電圧検出部 20 直流電圧設定値保持部
21 インバータ制御部 23 圧縮機
25 ファンモータ

Claims (14)

  1. 交流電源(1)の交流電圧を直流電圧に変換する整流回路(3)と、交流電源(1)と整流回路(3)との間に接続された第1リアクトル(2u)(2v)(2w)と、整流回路(3)の出力端子間に互いに直列接続された1対のコンデンサ(4a)(4b)と、前記第1リアクトル(2u)(2v)(2w)と1対のコンデンサ(4a)(4b)の中点との間を短絡すべく設けられた第1スイッチング手段(5u)(5v)(5w)とを含む電力変換装置であって、
    電源の半周期に前記第1スイッチング手段(5u)(5v)(5w)を複数回、かつ奇数回スイッチング動作させるとともに、電源の半周期におけるスイッチング波形を、最初のスイッチング動作と最後のスイッチング動作との中間点を基準として対称となるようにスイッチング動作させる第1スイッチング制御手段(7)を含むことを特徴とする電力変換装置。
  2. 前記第1スイッチング制御手段(7)は、高調波電流成分を所望の値にすべく、スイッチングパターンを決定して第1スイッチング手段(5u)(5v)(5w)を動作させるものである請求項1に記載の電力変換装置。
  3. 前記第1スイッチング制御手段(7)は、相電圧の電源ゼロクロス点を含む60°期間内で第1スイッチング手段(5u)(5v)(5w)を動作させるものである請求項1または請求項2に記載の電力変換装置。
  4. 前記第1スイッチング制御手段(7)は、負荷情報に応じて第1スイッチング手段(5u)(5v)(5w)を動作させるタイミングを変化させるものである請求項1から請求項3の何れかに記載の電力変換装置。
  5. 前記第1スイッチング制御手段(7)は、電源電圧に応じて第1スイッチング手段(5u)(5v)(5w)を動作させるタイミングを変化させるものである請求項1から請求項3の何れかに記載の電力変換装置。
  6. 前記第1スイッチング制御手段(7)は、直流電圧を直流電圧指令値と一致させるべく、第1スイッチング手段(5u)(5v)(5w)を動作させるタイミングを変化させるものである請求項1から請求項3の何れかに記載の電力変換装置。
  7. 前記第1スイッチング制御手段(7)は、電源電圧変動、もしくは負荷変動に応じてスイッチングパターンを変化させるものである請求項1または請求項2に記載の電力変換装置。
  8. 前記第1スイッチング制御手段(7)は、直流電圧を直流電圧指令値と一致させるべく、スイッチングパターンを変化させるものである請求項1または請求項2に記載の電力変換装置。
  9. 前記第1スイッチング制御手段(7)は、前記1対のコンデンサ(4a)(4b)のそれぞれの電圧が平衡となるように、相電圧の立ち上がりと立ち下がりとで第1スイッチング手段(5u)(5v)(5w)を動作させるタイミングを変化させるものである請求項1から請求項8の何れかに記載の電力変換装置。
  10. 前記1対のコンデンサ(4a)(4b)のそれぞれに、第2スイッチング手段(10a)(10b)、ダイオード(10c)(10d)および第2リアクトル(10e)からなる降圧チョッパ回路を接続し、2つの第2スイッチング手段(10a)(10b)を交互に動作させる第2スイッチング制御手段(10h)をさらに含む請求項1から請求項9の何れかに記載の電力変換装置。
  11. 前記第2スイッチング制御手段(10h)は、降圧チョッパ回路の出力電圧を直流電圧指令値と一致させるべく、2つの第2スイッチング手段(10a)(10b)のオン時間を変化させるものである請求項10に記載の電力変換装置。
  12. 前記第2スイッチング制御手段(10h)は、前記1対のコンデンサ(4a)(4b)のそれぞれの電圧が平衡となるように、2つの第2スイッチング手段(10a)(10b)のオン時間を変化させるものである請求項10または請求項11に記載の電力変換装置。
  13. 前記第1スイッチング手段(5u)(5v)(5w)は、1対づつのダイオードの直列回路を互いに並列接続してなるとともに、両直列回路と並列にスイッチング素子を接続してなるものである請求項1から請求項12の何れかに記載の電力変換装置。
  14. 前記第1スイッチング手段(5u)(5v)(5w)は、1対のダイオードの直列回路と1対のスイッチング素子の直列回路とを互いに並列接続してなるものである請求項1から請求項12の何れかに記載の電力変換装置。
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