JP4337410B2 - コンデンサ放電式内燃機関用点火装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関により駆動される交流発電機の整流出力をコンバータにより昇圧して得た電圧で点火用コンデンサを充電するようにしたバッテリレスのコンデンサ放電式内燃機関用点火装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
バッテリを用いずに、内燃機関により駆動される交流発電機の整流出力をコンバータにより昇圧して得た電圧で点火用コンデンサを充電するようにしたコンデンサ放電式の内燃機関用点火装置は、特許文献1に示されているように、内燃機関により駆動される交流発電機の出力を整流して直流電圧を出力する整流電源回路と、この整流電源回路の直流出力端子間に接続された電源コンデンサと、該電源コンデンサの両端の電圧を昇圧するコンバータと、点火コイルの一次側に設けられてコンバータの出力により充電される点火用コンデンサと、点火信号が与えられたときに導通して点火用コンデンサに蓄積された電荷を点火コイルの一次コイルを通して放電させるように設けられた放電用スイッチと、放電用スイッチに点火信号を与える時期を制御する点火時期制御手段を有する制御ユニットとを備えている。またバッテリが用いられない場合には、整流電源回路の出力電圧を入力として一定の直流電圧を出力する制御電源回路が設けられ、該制御電源回路から、制御ユニットに電源電圧が与えられる。制御電源回路は、整流電源回路の出力電圧が設定値以上あるときには、該設定値に等しい一定の制御電源電圧を出力するが、整流電源回路の出力電圧が設定値未満になると、その出力電圧が設定値未満に低下してしまう。
【0003】
現在、内燃機関用点火装置の制御ユニットとしては、マイクロプロセッサが多く用いられているが、マイクロプロセッサは、上記制御電源回路から設定値に等しい電源電圧が与えられたときに動作し、制御電源回路から与えられる電源電圧が設定値未満になると、その動作を停止してリセットされた状態になる。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−179436号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、内燃機関により駆動される交流発電機の整流出力をコンバータにより昇圧して得た電圧で点火用コンデンサを充電するようにしたコンデンサ放電式の内燃機関用点火装置において、発電機の出力を整流する整流電源回路の出力電圧を入力として制御用の直流電圧を出力する制御電源回路からマイクロプロセッサに電源電圧を与えるようにした場合には、内燃機関の始動時に制御電源回路の出力電圧が不足して、マイクロプロセッサを正常に動作させることができなくなり、機関の始動に失敗することがあった。
【0006】
即ち、内燃機関の始動時及び始動が完了するまでの極低速回転時には、交流発電機の出力電圧が低いため、点火用コンデンサの充電を行うためにコンバータが昇圧動作を行うと、該コンバータでの電力消費により、発電機の出力電圧が低下し、それにより整流電源回路の出力電圧が設定値よりも低い値まで低下して、制御電源回路の出力電圧がマイクロプロセッサを動作させるために必要な設定値を下回ることがあった。制御電源回路の出力電圧が設定値を下回ると、マイクロプロセッサがリセットされてしまうため、点火動作を正常に行わせることができなくなり、機関の始動に失敗する。
【0007】
なお特許文献1に示された点火装置では、機関の高速時に点火用コンデンサの充電が頻繁に繰り返されることにより、発電機の出力が低下して、コンバータの出力電圧が低下し、点火用コンデンサの充電電圧が低下するのを防ぐために、コンバータの入力電圧を検出して、機関の高速回転時にコンバータの入力電圧が不足する状態が生じたときに、コンバータの昇圧動作を一時的に停止させるようにしているが、機関の始動時の制御電源回路の出力の不足を解決するための手段は講じられていない。
【0008】
本発明の目的は、内燃機関の始動時及び極低回転時に発電機の出力電圧の低下によりマイクロプロセッサがリセットされて機関の始動が不能になるのを防ぎ、機関の始動性を向上させたコンデンサ放電式内燃機関用点火装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、内燃機関により駆動される交流発電機の出力を整流して直流電圧を出力する整流電源回路と、該整流電源回路の直流出力端子間に接続された電源コンデンサと、電源コンデンサの両端の電圧を昇圧するコンバータと、点火コイルの一次側に設けられてコンバータの出力により充電される点火用コンデンサと、点火信号が与えられたときに導通して点火用コンデンサに蓄積された電荷を点火コイルの一次コイルを通して放電させるように設けられた放電用スイッチと、放電用スイッチに点火信号を与える時期を制御するマイクロプロセッサと、整流電源回路の出力電圧を入力として、マイクロプロセッサに電源電圧を供給する制御電源回路とを備えたコンデンサ放電式の内燃機関用点火装置を対象とする。
【0010】
上記制御電源回路は、整流電源回路の出力電圧が設定値以上あるときには、該設定値に等しい制御電源電圧を出力するが、整流電源回路の出力電圧が設定値未満に低下したときには、その出力電圧を設定値よりも低い値に低下させるように構成されている。
【0011】
本発明においては、整流電源回路の出力電圧がマイクロプロセッサの電源電圧として適した設定値よりも僅かに高く設定された基準値を超えているときにコンバータが昇圧動作を行うのを許容し、整流電源回路の出力電圧が該基準値以下になったときにコンバータの昇圧動作を停止させる昇圧動作制御部を設けた。
【0012】
上記昇圧動作制御部は、整流電源回路の出力電圧を検出する電圧検出回路と、コンバータを構成する回路に接続されて、オン状態になったときに該コンバータの昇圧動作を停止させるように設けられた昇圧動作停止スイッチと、電圧検出回路により検出された電圧が設定値よりも僅かに大きく設定された基準値を超えているときに昇圧動作停止スイッチをオフ状態に保持し、電圧検出回路により検出された電圧が前記基準値以下になっているときに昇圧動作停止スイッチをオン状態にするように、電圧検出回路の出力に応じて昇圧動作停止スイッチを制御する昇圧動作停止スイッチ制御手段とを備えた構成とすることができる。
【0013】
上記のように構成すると、機関の始動時及び極低速回転時に制御電源回路の出力電圧が設定値を下回るのを防いで、マイクロプロセッサがリセットされるのを防ぐことができるため、機関の始動時にマイクロプロセッサの動作の停止により点火動作が阻止されるのを防いで、機関の始動性を向上させることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【0015】
図1は、本発明に係わるコンデンサ放電式内燃機関用点火装置の構成例を示したもので、この例では、内燃機関が2サイクル単気筒機関であるとしている。同図において、1は内燃機関により駆動されて機関の回転に同期して交流電圧を出力する磁石式交流発電機、2は発電機1の出力を整流するレギュレータ付きの整流電源回路、3は整流回路2の出力端子間に接続された電源コンデンサである。
【0016】
また4は整流回路2の出力電圧(電源コンデンサ3の両端の電圧)を昇圧するDCコンバータ、5は点火コイル、6は点火コイル5とともに点火装置を構成する点火回路、7は内燃機関の気筒に取り付けられた点火プラグである。
【0017】
更に8は点火時期を制御する点火時期制御手段を構成するマイクロプロセッサ、9は整流電源回路の出力電圧を入力としてマイクロプロセッサ8や、DCコンバータ4の制御回路等に与える電源電圧Vccを出力する制御電源回路、10は内燃機関のクランク角位置がピストンの上死点に相応する位置(上死点位置)に対して十分進角した位置に設定された基準位置に一致した時に第1のパルス信号Vs1を発生し、クランク角位置が上死点付近に設定された設定位置に一致した時に第2のパルス信号Vs2を発生する信号発生器、11及び12はそれぞれパルス信号Vs1及びVs2をマイクロプロセッサが認識し得る波形の信号に変換する波形整形回路である。
【0018】
また13はマイクロプロセッサ8が点火指令を発生した時に点火回路6に点火信号を与える点火信号出力回路、14及び15はそれぞれ、本発明において特に設けられた電圧検出回路及び昇圧動作停止スイッチである。
【0019】
各部を更に詳細に説明すると、発電機1は、カップ状に形成された回転子ヨークと該回転子ヨークの周壁部の内周に取り付けられた永久磁石とからなっていて、機関のクランク軸に取り付けられた磁石回転子と、機関のケース等に固定された固定子とからなり、固定子に設けられた電機子コイルLeから機関の回転に同期して交流電圧を発生する。
【0020】
発電機1の回転子ヨークの外周には、周方向に延びる円弧状の突起からなるリラクタ1aが設けられている。
【0021】
整流電源回路2は、発電機1が発生する交流電圧を全波整流する整流回路と、該整流回路の出力電圧が所定の制限値を超えないように制御するレギュレータとにより構成されている。整流電源回路2は、発電機が出力する交流電圧を整流して、該交流電圧の正の半波の電圧及び負の半波の電圧に相応する電圧VH及びVLを図2(B)及び(C)に示すように出力する。これらの電圧は電源コンデンサ3の両端に印加される。電源コンデンサ3の両端には、図2(D)に示すようにリップルを含む直流電圧Veが得られる。
【0022】
DCコンバータ4は、電源コンデンサ3の両端の電圧が一次側に印加される昇圧トランスTsfと、該昇圧トランスの一次電流をオンオフするチョッパ用スイッチを構成するMOSFET F1と、トランジスタTR1ないしTR7と抵抗R1ないしR11と、コンデンサC1と、ダイオードD1ないしD3とからなる制御回路とを備えていて、昇圧トランスTsfの一次電流をオンオフさせることにより、昇圧トランスTsfの二次側に電源コンデンサ3の両端の電圧よりも高い電圧を断続的に誘起させる。
【0023】
DCコンバータの制御回路を構成するトランジスタのうち、トランジスタTR7は、コンバータの昇圧動作を許容する際にオフ状態にされ、昇圧動作を停止させる際にオン状態にされるスイッチを構成するもので、このトランジスタTR7のベースは抵抗R9を通してマイクロプロセッサ8のポートA3に接続されている。
【0024】
点火回路6は、点火コイル5の一次コイル5aの一端に一端が接続された点火用コンデンサCiと、点火用コンデンサCiの他端と一次コイル5aの他端との間に接続されて、導通した際にコンデンサCiに蓄積された電荷を点火コイルの一次コイル5aを通して放電させる放電用スイッチを構成するサイリスタThと、点火用コンデンサCiの一端と一次コイル5aの他端との間に接続されたダイオードD4と、サイリスタThのゲートにカソードが接続されたダイオードD5と、ダイオードD5のアノードに一端が接続された抵抗R11とを備え、点火用コンデンサCiと点火コイルの一次コイル5aとの直列回路の両端にDCコンバータ4の出力電圧が印加されている。
【0025】
図示の点火回路6においては、DCコンバータ4が出力する直流電圧により、点火用コンデンサCiが図示の極性に充電される。マイクロプロセッサ8から点火信号出力回路13を通してサイリスタThのゲートに点火信号が与えられると、点火用コンデンサCiに蓄積された電荷がサイリスタThと点火コイルの一次コイル5aとを通して放電するため、点火コイルの二次コイルに点火用高電圧が誘起する。この高電圧は点火プラグ7に印加されるため、該点火プラグ7で火花放電が生じ、機関が点火される。
【0026】
制御電源回路9は、レギュレータIC9aと、コンデンサCa及びCbとからなっていて、整流電源回路2の出力を入力としてマイクロプロセッサを駆動するのに適した設定値(+5V)に等しい電源電圧Vccを出力するとともに、電源の立上がり時にマイクロプロセッサ8のリセット端子RESにリセット信号を与える。
【0027】
制御電源回路9は、入力電圧(電源コンデンサ3の両端の電圧Ve)が設定値Vccs以上ある時に設定値Vccsに等しい電圧を出力することができるが、入力電圧Veが設定値Vccsよりも低くなったときにはその出力電圧を入力電圧に等しい値まで低下させる。
【0028】
図示の信号発生器10は、発電機1のロータヨークの外周に対向する磁極部を先端に有する鉄心と該鉄心に巻回された信号コイルと該鉄心に磁気結合された永久磁石とを備えた公知のもので、リラクタ1aの回転方向の前端側エッジ及び後端側エッジをそれぞれ検出した時に極性が異なる第1及び第2のパルス信号を出力する。図示の信号発生器は、リラクタ1aの前端側エッジ及び後端側エッジをそれぞれ検出した時に図2(A)に示すような正極性の第1のパルス信号Vs1及び負極性の第2のパルス信号Vs2を発生するように構成されている。
【0029】
信号発生器10が発生する第1のパルス信号Vs1及び第2のパルス信号Vs2はそれぞれダイオードDa及びDbを通して波形整形回路11に入力されてマイクロプロセッサが認識し得る波形の信号に変換された後、マイクロプロセッサ8のポートA1及びA2に入力される。
【0030】
マイクロプロセッサ8は、ROMに記憶されたプログラムを実行することにより、パルス信号Vs1またはVs2が発生する間隔(クランク軸が1回転するのに要する時間)から機関の回転速度を演算する回転速度演算手段と、この演算手段が演算した回転速度に対して機関の点火時期を演算する点火時期演算手段と、信号発生器10が基準となるクランク角位置でパルス信号Vs1を発生した時に演算した点火時期を計測するための計測値をタイマにセットして、該点火時期の計測を開始させ、その点火時期の計測を完了した時にポートA6の電位を高レベルの状態から低レベルの状態に変化させて点火指令信号を出力する点火指令信号出力手段とを有する点火時期制御手段を構成する。
【0031】
点火信号出力回路13は、トランジスタTR8と、抵抗R13ないしR15とからなっていて、マイクロプロセッサ8がそのポートA6の電位を高レベルから低レベルに変化させて点火指令信号を出力したときにトランジスタTR8がオン状態になって、点火回路6のサイリスタThに点火信号を与える。
【0032】
本発明において特に設けられた電圧検出回路14は、整流電源回路2の出力端子間に接続された抵抗R21及びR22の直列回路からなる抵抗分圧回路からなっていて、整流電源回路2の出力電圧を分圧して、該出力電圧に比例した電圧検出信号を出力する。この電圧検出信号は、マイクロプロセッサ8のポートA4に与えられている。
【0033】
また昇圧動作停止スイッチ15は、コレクタが接地され、エミッタがDCコンバータのトランジスタTR4のコレクタに接続されたPNPトランジスタTR9と、トランジスタTR9のベースをマイクロプロセッサのポートA5に接続する抵抗R23と、ポートA5を制御電源回路9の出力端子に接続する抵抗R24とからなっていて、マイクロプロセッサ8がそのポートA5の電位を高レベル(Hレベルという。)から低レベル(Lレベルという。)にして停止指令信号を出力したときにトランジスタTR9をオン状態にしてコンバータ4の昇圧動作を停止させる。
【0034】
次に図1に示した点火装置の動作を説明する。
【0035】
図1に示した点火装置において、機関のクランク軸が回転しておらず、発電機1が電圧を発生していないときには、整流電源回路2から昇圧トランスTsfの一次側に電圧が印加されないため、トランジスタTR1ないしTR6がオフ状態にあり、FET F1がオフ状態にある。このとき昇圧トランスTsfは、電圧の出力を停止している。
【0036】
機関のクランク軸が回転し、発電機1が電圧を発生すると、整流電源回路2から昇圧トランスTsfの一次側に電圧が印加されるとともに、制御電源回路9が電圧を出力するため、トランジスタTR3にベース電流が流れて該トランジスタTR3がオン状態になる。このときトランジスタTR4はオフ状態にあり、トランジスタTR7もオフ状態にあるため、制御電源回路9から抵抗R7とコンデンサC1とトランジスタTR5のベースエミッタ間とを通して電流が流れ、コンデンサC1の充電が完了するまでの間トランジスタTR5がオン状態になる。トランジスタTR5がオン状態にある間トランジスタTR6がオフ状態になり、トランジスタTR2がオフ状態になるため、トランジスタTR1がオン状態になり、整流電源回路2からトランジスタTR1のコレクタエミッタ間と抵抗R1とを通してFET F1にゲート電圧が与えられる。これによりFET F1がオン状態になるため、整流電源回路21から昇圧トランスTsfの一次コイルW1とFET F1とを通して一次電流が流れる。このとき昇圧トランスTsfの鉄心を通して流れる磁束が飽和値に近い値になるように(飽和はしないように)、昇圧トランスの一次電流の通電時間が設定されている。昇圧トランスの一次電流の通電時間は、コンデンサC1の充電時定数を調整してトランジスタTR5がオン状態になる時間を調整することにより、適宜に設定することができる。
【0037】
コンデンサC1の充電が完了し、トランジスタTR5がオフ状態になると、トランジスタTR6がオン状態になるため、トランジスタTR2がオン状態になり、トランジスタTR1がオフ状態になる。このときFET F1にゲート電圧が与えられなくなり、FET F1がオフ状態になるため、昇圧トランスTsfを流れていた一次電流が遮断され、昇圧トランスの二次コイルW2に高い電圧が誘起する。昇圧トランスの二次コイルに誘起する電圧はダイオードD3を通して点火回路6に与えられる。このとき昇圧トランスTsfの二次コイルW2から点火回路6の点火用コンデンサCiに充電電流が流れ、ダイオードD1の両端に順方向電圧降下が生じる。この電圧降下によりトランジスタTR3がオフ状態にされるため、トランジスタTR4がオン状態になる。トランジスタTR4がオン状態になると、コンデンサC1−トランジスタTR4のコレクタエミッタ間−ダイオードD2−コンデンサC1の経路でコンデンサC1の電荷が放電する。
【0038】
昇圧トランスの二次コイルW2から点火回路6に流れていた充電電流が零になると、ダイオードD1の両端に生じていた電圧降下が消滅するため、トランジスタTR3がオン状態になり、トランジスタTR4がオフ状態になる。トランジスタTR4がオフ状態になった瞬間に制御電源回路9から抵抗R7を通してコンデンサC1に充電電流が流れるため、トランジスタTR5がオン状態になり、再びFETF1に駆動信号が与えられる。これによりFETがオン状態になり、昇圧トランスTsfに一次電流が流れる。コンデンサC1の充電が完了すると、トランジスタTR5がオフ状態になり、FETへの駆動信号の供給が停止して該FETがオフ状態になるため、昇圧トランスTsfの一次電流が遮断され、該昇圧トランスの二次コイルに高い電圧が誘起する。
【0039】
以下前記と同様の動作が繰り返され、昇圧トランスTsfの二次コイルに繰り返し高い電圧が誘起する。昇圧トランスの二次コイルに電圧が誘起する毎に点火用コンデンサCiが充電されるため、点火用コンデンサの両端の電圧Vcは、図2(F)に示すように上昇していく。
【0040】
マイクロプロセッサ8が点火時期tiを検出すると、該マイクロプロセッサのポートA6の電位がHレベルからLレベルに変化させられて点火指令信号が出力され、点火信号出力回路13から点火回路6のサイリスタThに点火信号が与えられる。これによりサイリスタThが導通し、点火用コンデンサCiに蓄積された電荷がサイリスタThと点火コイル5の一次コイル5aとを通して放電するため、点火コイル5の二次コイル5bに点火用高電圧が誘起し、内燃機関が点火される。
【0041】
マイクロプロセッサ8は、ポートA6から点火指令信号を出力する際に、同時に、サイリスタThの転流を行わせるのに必要な時間だけポートA3の電位をHレベルにしてトランジスタTR7をオン状態にし、コンバータ4の昇圧動作を停止させる。これにより、サイリスタThの転流を可能にし、点火用コンデンサCiの充電が支障なく再開されるようにする。
【0042】
内燃機関の始動時及び始動が完了するまでの極低速回転時には、交流発電機1の出力電圧が低いため、点火用コンデンサCiの充電を行うためにコンバータ4が昇圧動作を行うと、該コンバータでの電力消費により、発電機の出力電圧が低下するため、点火用コンデンサの充電を継続すると、発電機の出力電圧の低下により整流電源回路2の出力電圧Veが設定値Vccsよりも低い値まで低下し、制御電源回路9の出力電圧がマイクロプロセッサを動作させるために必要な設定値Vccsを下回ることがある。
【0043】
図3は、図1の点火装置から、電圧検出回路14と、昇圧動作停止スイッチ15と、該昇圧動作停止スイッチを制御する制御手段とを取り除いた従来の内燃機関用点火装置における各部の電圧波形を示したもので、図示の例では、機関の始動操作を開始した後、時刻t1で制御電源回路9の出力電圧が設定値Vccsを下回っている。
【0044】
制御電源回路9の出力電圧が設定値Vccsを下回ると、該出力電圧が設定値Vccsまで上昇する際にマイクロプロセッサのリセット端子RESにリセット信号が与えられてマイクロプロセッサがリセットされてしまうため、点火動作を正常に行わせることができなくなり、機関の始動に失敗する。
【0045】
そこで、本発明においては、整流電源回路2の出力電圧が設定値よりも僅かに高く設定された基準値を超えているときにコンバータ4が昇圧動作を行うのを許容し、整流電源回路2の出力電圧が基準値以下になったときにコンバータ4の昇圧動作を停止させる昇圧動作制御部を設ける。
【0046】
本実施形態では、この昇圧動作制御部が、整流電源回路2の出力電圧を検出する電圧検出回路14と、コンバータ4を構成する回路に接続されて、オン状態になったときに該コンバータ4の昇圧動作を停止させるように設けられた昇圧動作停止スイッチ15と、電圧検出回路14により検出された電圧が設定値よりも僅かに大きく設定された基準値Vrを超えているときに昇圧動作停止スイッチ15をオフ状態に保持し、電圧検出回路14により検出された電圧が基準値Vr以下になっているときに昇圧動作停止スイッチ15をオン状態にするように、電圧検出回路14の出力に応じて昇圧動作停止スイッチ15を制御する昇圧動作停止スイッチ制御手段とにより構成される。昇圧動作停止スイッチ制御手段は、マイクロプロセッサ8に所定のプログラムを実行させることにより実現する。
【0047】
図4は、昇圧動作停止スイッチ制御手段を実現するために機関の始動時及び極低速回転時にマイクロプロセッサ8に所定の時間間隔で実行させるプログラムのアルゴリズムを示したもので、このアルゴリズムによる場合には、先ずステップ1において、整流電源回路2の出力電圧(電源コンデンサ3の両端の電圧)Veのデジタル変換値を読み込み、ステップ2で電圧Veが設定値Vrを超えているか否かを判定する。その結果、整流電源回路の出力電圧Veが設定値Vrを超えていると判定されたときには、ステップ3に進んでポートA5の電位PをHレベル(ハイレベル)にし、これにより昇圧動作停止スイッチ15をオフ状態にする。昇圧動作停止スイッチ15がオフ状態にあるときには、該昇圧動作停止スイッチが昇圧動作に影響を与えないため、DCコンバータ4の昇圧動作は支障なく行われる。
【0048】
ステップ2で整流電源回路2の出力電圧Veが基準値Vrを超えていないと判定されたときには、ステップ5に進んでポートA5の電位PをLレベルにし、これにより、昇圧動作停止スイッチ15をオン状態にしてコンバータ4のトランジスタTR4のコレクタを接地した状態に保持する。この状態では、コンバータ4のコンデンサC1に充電電流が供給されないため、FET F1への駆動信号の供給が停止し、昇圧動作が停止する。
【0049】
このようにして、整流電源回路2の出力電圧Veが基準値Vrを超えていないと判定された時には、コンバータ4の昇圧動作を停止させるため、図2(F)に示すように、時刻t1で整流電源回路2の出力電圧Veが基準値Vrを超えていないと判定されると、時刻t2で該出力電圧Veが基準電圧Vrを超えるまでの間点火用コンデンサCiの充電が停止する。この間に発電機の出力が回復し、時刻t2で整流電源回路の出力電圧Veが基準電圧Vrを超えると、コンバータ4の昇圧動作が再開されて、点火用コンデンサの充電が再開される。
【0050】
上記のように構成すると、整流電源回路の出力電圧が設定値Vccsよりも高く設定された基準値Vrを下回らないように制御されるため、整流電源回路の出力電圧が低下して昇圧動作が停止している間も、制御電源回路9は設定値Vccsに等しい電圧Vccを出力し、マイクロプロセッサ8はリセットされることなく、正常な動作を継続する。従って機関の始動時や、極低速回転時の点火動作を支障なく行わせて、機関の始動性を向上させることができる。
【0051】
上記の実施形態では、昇圧動作停止スイッチを構成するために、トランジスタTR9と抵抗R23及びR24とからなる回路を特に設けたが、トランジスタTR7を昇圧動作停止スイッチとして兼用するようにしてもよい。
【0052】
上記の実施形態では、単気筒内燃機関を点火する点火装置に本発明を適用したが、多気筒内燃機関を点火する点火装置にも本発明を適用することができる。
【0053】
また上記の実施形態では、2サイクル内燃機関を点火する点火装置を例にとったが、4サイクル内燃機関を点火する点火装置にも本発明を適用することができる。
【0054】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、機関の始動時及び極低速回転時に制御電源回路の出力電圧が設定値を下回るのを防いで、マイクロプロセッサがリセットされるのを防ぐことができるため、機関の始動時にマイクロプロセッサの動作の停止により点火動作が正常に行われなくなるのを防いで、機関の始動性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の構成を示した回路図である。
【図2】図1の実施形態の各部の電圧波形を示した波形図である。
【図3】従来の点火装置の各部の電圧波形を示した波形図である。
【図4】本発明の実施形態において、昇圧動作停止スイッチ制御手段を構成するためにマイクロプロセッサに実行させるプログラムのアルゴリズムを示したフローチャートである。
【符号の説明】
1 発電機
2 整流電源回路
3 電源コンデンサ
4 DCコンバータ
5 点火コイル
6 点火回路
8 マイクロプロセッサ
9 制御電源回路
10 信号発生器
14 電圧検出回路
15 昇圧動作停止スイッチ
Claims (2)
- 内燃機関により駆動される交流発電機の出力を整流して直流電圧を出力する整流電源回路と、前記整流電源回路の直流出力端子間に接続された電源コンデンサと、前記電源コンデンサの両端の電圧を昇圧するコンバータと、点火コイルの一次側に設けられて前記コンバータの出力により充電される点火用コンデンサと、点火信号が与えられたときに導通して前記点火用コンデンサに蓄積された電荷を前記点火コイルの一次コイルを通して放電させるように設けられた放電用スイッチと、前記放電用スイッチに点火信号を与える時期を制御するマイクロプロセッサと、前記整流電源回路の出力電圧を入力として、前記マイクロプロセッサに電源電圧を供給する制御電源回路とを備え、前記制御電源回路は、前記整流電源回路の出力電圧が設定値以上あるときに、該設定値に等しい制御電源電圧を出力するように構成されているコンデンサ放電式内燃機関用点火装置において、
前記整流電源回路の出力電圧が前記設定値よりも僅かに高く設定された基準値を超えているときに前記コンバータが昇圧動作を行うのを許容し、前記整流電源回路の出力電圧が前記基準値以下になったときに前記コンバータの昇圧動作を停止させる昇圧動作制御部を具備してなるコンデンサ放電式内燃機関用点火装置。 - 内燃機関により駆動される交流発電機の出力を整流して直流電圧を出力する整流電源回路と、前記整流電源回路の直流出力端子間に接続された電源コンデンサと、前記電源コンデンサの両端の電圧を昇圧するコンバータと、点火コイルの一次側に設けられて前記コンバータの出力により充電される点火用コンデンサと、点火信号が与えられたときに導通して前記点火用コンデンサに蓄積された電荷を前記点火コイルの一次コイルを通して放電させるように設けられた放電用スイッチと、前記放電用スイッチに点火信号を与える時期を制御するマイクロプロセッサと、前記整流電源回路の出力電圧を入力として、前記マイクロプロセッサに電源電圧を供給する制御電源回路とを備え、前記制御電源回路は、前記整流電源回路の出力電圧が設定値以上あるときに、該設定値に等しい制御電源電圧を出力するように構成されているコンデンサ放電式内燃機関用点火装置において、
前記整流電源回路の出力電圧を検出する電圧検出回路と、
前記コンバータを構成する回路に接続されて、オン状態になったときに該コンバータの昇圧動作を停止させるように設けられた昇圧動作停止スイッチと、
前記電圧検出回路により検出された電圧が前記設定値よりも僅かに大きく設定された基準値を超えているときに前記昇圧動作停止スイッチをオフ状態に保持し、前記電圧検出回路により検出された電圧が前記基準値以下になっているときに前記昇圧動作停止スイッチをオン状態にするように、前記電圧検出回路の出力に応じて前記昇圧動作停止スイッチを制御する昇圧動作停止スイッチ制御手段と、
を具備してなるコンデンサ放電式内燃機関用点火装置。
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