JP4342008B2 - 走行体における泥付着防止用ゴム組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は湿田、軟弱地や泥濘地等での作業時に泥土が付着しにくい柔軟性と、耐久性を兼ね備えたタイヤやクローラ等の走行体に使用されるゴム組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
ラグ付きタイヤで例示される走行体を装着したトラクタ等で湿田作業を実施するときは、ラグ間のトレッドや、ラグ表面に対する泥付着を減少させることが必要となる。その理由は、以下のような問題が生じるからである。
走行体の表面に泥が付着してその離脱がスムーズに行われないと、付着土は持回されてしまい、農道や一般路を走行するとき付着土をまき散らしてしまう。また付着土を持ったまま他の湿田等を走行した場合、病原に汚染された土壌が別の湿田等に移され、健全な土壌が汚染される恐れも生じる。
【0003】
これらの問題を解決するために、タイヤ等のラグ付き走行体において、ラグを含むトレッドの表面に特定の厚さ、発泡性、硬度及び密度を有する連続気泡の発泡ゴム層よりなる泥付着防止層によって全面的に被覆されたものが提供されており(特開平8−258511号公報)、これによって湿田、軟弱地や泥濘地等での作業時に泥土が付着しにくくしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来例で開示された走行体は、タイヤ等のラグを含むトレッド表面に発泡ゴム層よりなる泥付着防止層を全面的に設けることにより、発泡ゴム層の弾性変形により泥の付着を可及的防止しているのである。
しかし上記従来例においては、泥付着防止層を構成するゴムの組成成分の配合割合によってはその耐久性、具体的には耐カット性や耐チッピング性に劣る場合がある。
【0005】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、泥付着防止性能を十分に備え、かつ耐久性を維持した、主としてタイヤ等の走行体に適したゴム組成物を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明では上記目的を達成するため、次の技術的手段を講じた。すなわち本発明の走行体における泥付着防止用ゴム組成物は、ジエン系ゴム成分を主成分とする独立又は/及び連続した気泡を有するゴム組成物であって、前記ゴム組成物は、天然ゴム又はイソプレンゴムが単独又は混合されて50重量部以上含むゴム成分100重量部に対し、窒素吸着量50〜130m 2 /gおよびDBP吸油量90〜110ml/100gであるカーボンブラックが40〜60重量部、可塑剤が1〜20重量部、ならびに硫黄が0.5〜3重量部配合され、加硫後の前記ゴム組成物のASKAR−C硬度が20°〜60°、破断強度が3.0MPa以上、および破断伸度が250%以上であることを特徴とする。
【0007】
この手段を講じることで、柔軟性を持った発泡ゴムでありながら十分な耐久性を持った走行体における泥付着防止用ゴム組成物を得ることができ、ラグを含むトレッド表面に該ゴム組成物を使用した走行体を得ることができる。また該ゴム組成物をラグを含むトレッド表面に使用した走行体は、表面に付着した泥土等の離脱を容易に行うことができ、農地等の走行後に一般道路に農地等での付着土をばらまくことがなく、また他の農地の土壌に病原体を持った土壌を持ち込むこともなく、好適である。しかも泥付着防止機能を有するとともに、特に耐カット性や耐チッピング性が飛躍的に向上して、耐久性に優れたものである。
【0008】
また前記気泡の平均直径が300μm以下で発泡率は50〜130%であることを特徴とする。この手段を講じることで、気泡がゴム組成物の破断強度及び破断伸度の低下を招くことがなく、好適である。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明のゴム組成物に用いられる原料ゴムの主成分はジエン系ゴムである。ジエン系ゴムのうち天然ゴム又はイソプレンゴムは、本発明のゴム組成物の破断強度に関与している。従って、該ゴム成分100重量部のうち50重量部以上が天然ゴム又はイソプレンゴムが単独又は混合して配合された場合は、ゴム組成物の破断強度を良好に保ち、好ましい。
天然ゴム又はイソプレンゴム50重量部以上含むジエン系ゴム100重量部に対し、カーボンブラックを30〜60重量部,可塑剤を1〜20重量部、硫黄を0.5〜3重量部配合したゴムに、独立又は/及び連続した気泡を形成して本発明のゴム組成物を作成する。作成された前記ゴム組成物のASKAR−C硬度は20°〜60°、破断強度は3.0MPa以上、破断伸度は250%以上である。また前記気泡の平均直径は300μm以下であり、前記気泡の発泡率は50〜130%である。
【0010】
先述したように本発明のゴム組成物は、付着した土を該ゴム組成物自身の弾性変形により離脱するための柔軟性と共に、湿田等の土壌における走行に十分な耐久性を備えていることが必要である。本発明においては、前記柔軟性の指標としてゴム組成物のASKAR−C硬度を、前記耐久性の指標としてゴム組成物の破断強度(MPa)及び破断伸度(%)を用いた。これらの詳細については後述する。
天然ゴムまたはイソプレンゴム以外に使用するジエン系ゴムとしては、例えばスチレンブタジエン共重合体ゴム、ポリブタジエンゴム等が挙げられ、これらを単独又は混合して使用するが、これらに限定されるものではない。また、十分な破断強度を特に必要とするならば、ゴム成分の全量を天然ゴム又はイソプレンゴムを単独又は混合したものとしても、何ら差し支えない。
【0011】
また本発明のゴム組成物には、ゴム成分100重量部に対し表1及び表2に示す組成成分と、表3に示す配合剤が含まれる。
組成成分としては、先述したように、カーボンブラックが30〜60重量部、可塑剤が1〜20重量部、硫黄が0.5〜3重量部配合されている。前記カーボンブラックの配合量は40〜60重量部が更に好ましく、前記硫黄の配合量は1.0〜2.0重量部が更に好ましい。
前記カーボンブラックは窒素吸着量50〜130m2/g、DBP吸油量70〜120ml/100gのハード系カーボンブラックである。これら所定の数値より小さいソフト系カーボンブラックではゴムの破断強度、及び破断伸度が低下してゴムの耐久性に問題が出るし、上記の所定範囲より大きい数値を持つハード系カーボンブラックではゴムが硬くなり過ぎて、付着土をスムーズに離脱することが困難となる。
【0012】
なお上記窒素吸着量は70〜120m2/gが更に好ましく、上記DBP吸油量は90〜110ml/100gがさらに好ましい。
また可塑剤としてアロマオイルを1〜20重量部配合する。可塑剤としてはアロマオイルのみに限られることなく、他にも例えばシリコーンオイル、ナフテンオイル、パラフィンオイル等を使用することができる。可塑剤を20重量部を越えて配合するとゴム弾性を低下させ、ゴム組成物の耐久性が低下する結果を招くため好ましくない。また硫黄を0.5〜3重量部配合するが、硫黄の配合量が0.5重量部未満では、上記可塑剤を所定量を越えて配合した場合と同様の結果を招くため好ましくない。また硫黄の配合量が3重量部を越えると、ゴムが硬過ぎて、付着土をスムーズに離脱することが困難である。
【0013】
上述の組成成分を上述の所定量で配合し、尿素、発泡剤AZC、更に表3に示すその他の配合剤を使用する。前記尿素の配合量と、前記発泡剤AZCの配合量は、表1及び表2で例示されている数値が好ましいが、適宜調節することができる。
表3で示される老化防止剤として商品名サントフレックス13(N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン)、加硫促進剤としてNS(N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)を使用するがこれらに限定されるものではない。またこれらの配合剤の配合量は適宜調整することができるが、本発明においては表3に示す配合量が好ましい。
【0014】
また本発明のゴム組成物は、柔軟性を備えるために独立又は/及び連続した気泡を持つことが必要である。該ゴム組成物に独立又は/及び連続した気泡を持たせるためには、発泡剤の使用による手段を採用するのが好ましい。前記発泡剤としては、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DPT)等のニトロソ化合物、アゾジカルボニルアミド(AZC)等のアゾ化合物、ベンゼンスルホニルヒドラジド(BSH)等のスルホニルヒドラジド化合物、また重炭酸ナトリウム等の無機発泡剤等を例示できる。
【0015】
しかし上記発泡剤の使用によるのみでなく、例えばゴムを大気中(1気圧)でオープン加硫して気泡を持たせる等の他の手段も採用することができる。
上述の手段により得られたゴム組成物のASKAR−C硬度は、20°〜60°である。ASKAR−C硬度が20°未満であるとカットに対して弱く、逆に60°を越えると柔軟性に欠け、付着土の離脱機能に問題が出る。また、上述の手段により得られた独立又は/及び連続した気泡が、ゴム組成物の破断強度及び破断伸度の低下を招かないように、前記気泡の平均直径は300μm以下であることが必要である。
【0016】
また、本発明における前記気泡の発泡率は50〜130%が望ましい。この発泡率(Y)は前記ASKAR−C硬度(X)と次式の関係を有する。
(式)Y=153.391−1.669X
上記式に、ASKAR−C硬度の所定範囲の20°〜60°をあてはめると、望ましい発泡率の範囲は50〜130%である。また本発明の走行体における泥付着防止用ゴム組成物は発泡ゴムであるが、本発明においては、得られたゴム組成物の断面を拡大(100倍)して見たときに、1mm2 あたり直径300μm以下の気泡が1個以上あるものを発泡ゴムとしている。
【0017】
得られたゴム組成物をラグを含むトレッドに使用した走行体は、付着土を容易に離脱でき、かつ優れた耐久性を有する。前記走行体を得る方法としては、例えば加硫前の該ゴム組成物をシート状に形成して、加硫前のタイヤトレッド表面に貼り付け、その後全体を加硫する方法や、加硫した該ゴム組成物のシートを接着剤を用いて加硫後のタイヤのラグを含むトレッド表面に貼り付け、その後全体を再加硫する方法等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また該ゴム組成物をゴムタイヤに用いた場合には、タイヤのサイドウォール部に該ゴム組成物を用いて被覆することも可能である。
【0018】
なお、前記実施例は主としてゴムタイヤについてのものであるが、本発明のゴム組成物をゴムクローラに用いることもできる。この場合は、ゴムクローラの少なくとも接地面に当該ゴム組成物を使用することができる。
またゴム組成物の厚さは0.5〜10mmであることが好ましい。0.5mm未満であると、該ゴム組成物自身の弾性変形が少なくなり、付着土を離脱する機能を十分に発揮することが困難である。また10mmを越える厚みがあると、該ゴム組成物をラグを含むトレッドに使用した場合に、走行に伴う該ゴム組成物の磨耗によってラグ等の形状が損なわれるため、好ましくない。
〔具体的実施例〕次に具体的実施例を挙げて説明する。表1は本発明の比較例、表2は本発明の実施例の組成成分の配合割合を示す。それぞれの配合例に、表3で示す配合剤を混合してゴム組成物を作成した。
【0019】
表4は、上記比較例、実施例のゴム組成物に使用するカーボンブラックの窒素吸着量とDBP吸油量を示したもので、表4に例示されたものの中ではカーボンHAFが好ましい。しかしカーボンHAFに限定されることはなく、窒素吸着量とDBP吸油量が所定範囲内のものであれば差し支えない。
【0020】
【表1】
【0021】
【表2】
【0022】
【表3】
【0023】
【表4】
【0024】
得られた比較例1〜10、及び実施例1〜7のゴム組成物について、ASKAR−C硬度、破断強度、破断伸度の各物性値と気泡の平均直径を測定した。また得られたゴム組成物をシート状に加硫したものを、実際にタイヤのラグを含むトレッド表面に貼り付けて走行させ、付着土の離脱性及び耐久性を評価した。耐久性については、気泡を有するゴム組成物に関しては特に耐チッピング性が重要であるため、これを耐久性評価の指標とした。
〔測定方法〕以下に測定方法を示す。試験片は、上記各ゴム組成物を厚さ2〜2.5mmのゴムシートにしたもの(以下、サンプル)を使用した。
〇ASKAR−C硬度;サンプルを三枚重ねたものに、ASKAR−Cタイプの手動式硬度計を押し当てて測定した。
〇破断強度;JISK6301による引張強さを測定した。使用した試験片は.サンプルを3号ダンベルで打抜いたものを使用した。
〇破断伸度;JISK6301による伸びを測定した。使用した試験片は上記破断強度のものと同様である。
〇気泡の平均直径;ゴム断面を拡大して気泡20個をランダムに選びだし、その直径を測定したものの平均値。気泡が楕円形の時は長径と短径の平均を直径とした。
〇発泡率;ASKAR−C硬度(X)と、発泡率(Y)の関係は、
Y=153.391−1.669Xであり、ASKAR−C硬度の所定範囲から、発泡率の範囲を導いた。
〇離脱性及び耐久性;農耕用ラグ付きタイヤ(9.5−22 4PR)に、得られたゴム組成物を4mm厚さの加硫ゴムシートにしたものをラグを有するトレッド表面に貼り付け、畑作地にて走行(時速5kmで10時間)させた。走行後、タイヤの表面に付着している土の面積を、タイヤ表面接地面の全面積に占める割合(%)で示した。
〔評価〕上記測定により、以下のように評価した。
〇ASKAR−C硬度;硬度20〜60°を可とした。
〇破断強度;3.0MPa以上を可とした。
〇破断伸度;250%以上を可とした。
尚、ゴム組成物の耐久性に寄与するためには、上記破断強度と破断伸度の双方の数値が、上記所定数値を満たす必要がある。
〇気泡の平均直径;300μm以下を可とした。
〇発泡率;上記ASKAR−C硬度の所定範囲と、上記ASKAR−C硬度と発泡率の関係式より、50〜130%が望ましい範囲であるとした。
〇離脱性;タイヤ表面の接地面全面積に対して、タイヤ表面の付着土が占める面積の割合(%)を以下の5段階のレベルで評価し、レベル3以上を可(剥離効果あり)とした。
【0025】
【表5】
【0026】
〇耐久性;走行後のタイヤ表面のゴムシートの損傷を以下の3段階で評価し、レベルA、Bを、耐久性ありとした。
レベルA;損傷なし、もしくは損傷したゴムの亀裂長さ5mm以下がタイヤ1本で5箇所以下。
レベルB;損傷したゴムの亀裂長さが5mm以下。
レベルC;損傷したゴムの亀裂長さが5mm以上。
比較例1〜10はいずれも、離脱性と耐久性の双方を兼ね備えていない。比較例2、3、9、及び10は、使用されたカーボンブラックが、所定の窒素吸着量とDBP吸油量をもたない配合例である。比較例4〜8は、使用するカーボンブラックはカーボンHAFで、窒素吸着量とDBP吸油量は所定範囲内である。しかし比較例8及び比較例7は、その配合量が所定範囲外であり好ましくない。
【0027】
また比較例4は可塑剤の配合量が所定量以上である場合、比較例5は硫黄の配合量が所定量以上の場合、比較例6は硫黄の配合量が所定量以下の場合であり、それぞれ好ましくない結果となっている。またゴム成分中天然ゴムの配合量が50重量部以下である比較例1も、好ましい結果ではない。
一方実施例1〜7のゴム組成物は、すべて組成成分の配合量は所定範囲内であり、使用したカーボンブラックの窒素吸着量及びDBP吸油量は所定範囲内のものである。平均気泡直径も300μm以下であり、離脱性と耐久性の双方を兼ね備えたゴム組成物であることがわかる。
【0028】
【発明の効果】
本発明のゴム組成物によれば、所定の組成成分が所定量配合されているので、付着土を容易に離脱するための柔軟性を持ちながら、なおかつ農地等を走行するための十分な耐久性を具備することができる。
Claims (2)
- ジエン系ゴム成分を主成分とする独立又は/及び連続した気泡を有するゴム組成物であって、
前記ゴム組成物は、
天然ゴム又はイソプレンゴムが単独又は混合されて50重量部以上含むゴム成分100重量部に対し、窒素吸着量50〜130m 2 /gおよびDBP吸油量90〜110ml/100gであるカーボンブラックが40〜60重量部、可塑剤が1〜20重量部、ならびに硫黄が0.5〜3重量部配合され、
加硫後の前記ゴム組成物のASKAR−C硬度が20°〜60°、破断強度が3.0MPa以上、および破断伸度が250%以上である
ことを特徴とする走行体における泥付着防止用ゴム組成物。 - 前記気泡の平均直径が300μm以下で発泡率は50〜130%である
ことを特徴とする請求項1に記載の走行体における泥付着防止用ゴム組成物。
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Applications Claiming Priority (1)
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