JP4347253B2 - 発光装置 - Google Patents

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本発明は、電子放出源から電界放出された電子によって蛍光体を励起発光させる発光装置に関する。
近年、白熱電球や蛍光灯といった従来の発光装置に対し、真空中で電子放出源から電界放出させた電子を高速で蛍光体に衝突させることにより、蛍光体を励起発光させる冷陰極電界放出型の発光装置が開発されている。この種の発光装置は、カソード電極に対して正の電位を与えたグリッド電極によって電子を引き出し、更に正の高電圧を与えた蛍光板電極に電子を衝突させて蛍光発光させるものであり、電界放出型照明ランプ(Field Emission Lamp:FEL)や電界放出型表示装置(Field Emission Display:FED)としての用途が見込まれている。
例えば、特許文献1には、FELに関連する技術として、カソード電極表面と略平行な略平板に孔を設け、この孔端をカソード電極側に突き出した構造のグリッド電極とする技術が開示されている。この特許文献1の技術によれば、略平板領域における電界よりも孔端における電界を高くすることができ、カソード電極からグリッド電極に飛び込む無効電子を抑制することができる。
また、特許文献2には、同様にFELに関連して、部分的に開口を備えた半円筒状のグリッド電極が直方体形状カソード電極に対して間隙を持って囲む技術が開示されている。特許文献2の技術では、電子が蛍光板電極に突入したことによって叩き出された正イオンがカソード電極に突入することを抑制し、放電破壊を防止することができる。
ところで、一般的な方法で成膜された冷陰極の電子放出源は、成膜された部分ごとに一定の電界放出特性を有しておらず、この電界放出特性のバラツキに起因して、蛍光体の発光輝度にムラが発生するという問題がある。この発光ムラについて、図3に示す典型的なFELのカソード極の構造を例に取って説明する。
図3の例では、ガラス基材100上に形成したカソード電極101にカーボンナノチューブ等のエミッタ材料を成膜し、冷陰極の電子放出源102を形成している。また、カソード電極101には、所定の距離をもってグリッド電極103が対向配置されている。カソード電極101とグリッド電極103との距離Aを、例えば100μmとし、電子放出源102からある一定の電子(例えば、100μA/cm2の電流密度)が放出されるための電界強度が1V/μmとすると、カソード電極101を0Vに接地し、グリッド電極103に直流100Vを印加すれば、100μA/cm2の電子が、グリッド電極103、及びカソード電極101に対向配置された蛍光板電極104(図3中においては、上方から見た平面で示す)に向かって放出される。
従って、蛍光板電極に、例えば5kVの直流電圧を印加すれば、5ekVで加速された電子が蛍光板電極104の蛍光体に衝突して蛍光体が発光するが、このとき、図3に示すように、電子放出源102のAA部の電界放出特性が0.8V/μmでBB部の電界放出特性が1.2V/μmであったとすれば、蛍光板上方から見たときの発光は、AA部が非常に明るく、またBB部は暗くなる。このため、結果として発光ムラが発生することになる。
このような電子放出源の電界放出特性のバラツキに起因する発光ムラに対処する技術は、特許文献3に開示されている。特許文献3の技術は、FEDに関する技術であり、陰極基板にカーボンナノチューブ製の平面状の冷陰極を形成し、透明な陽極基板に、ストライプ状の透明な陽極ストリップと、これに交差するストライプ状の選択グリッドストリップと、格子状の電子引き出しグリッドとを形成している。
特許文献3の技術によれば、冷陰極から放出された電子は、冷陰極と電子引き出しグリッドとの間の電子滞留領域に滞留して電子雲を形成する。そして、何れかの選択グリッドストリップと何れかの陽極ストリップとに電圧が印加されると、電子雲からの電子流が電子引き出しグリッドの開口と選択グリッドストリップの開口とを通過して陽極ストリップ上の蛍光体に衝突する。これにより、冷陰極電界放出に起因する電子の偏在を平均化し、蛍光体の発光ムラをなくすことができる。
特開2004−207066号公報 特開2004−220896号公報 特開2004−335385号公報
しかしながら、特許文献3に開示されている技術は、陽極(蛍光体電極)をマトリクス状に区分する等して画素毎に蛍光体を発光させる表示装置を前提としている。このため、表示装置よりも遥かに高い輝度が要求され、平面状の蛍光体電極全面を発光させる照明用としての用途を考慮したとき、特許文献3の技術を適用することは困難であるばかりでなく、構造が複雑となってコスト上昇を招いてしまう。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、複雑な構造を要することなく、電子放出源の電界放出特性のバラツキに起因する発光ムラを低減することのできる発光装置を提供することを目的としている。
上記目的を達成するため、本発明による発光装置は、少なくとも、電子放出源を有するカソード電極と蛍光体を有する蛍光板電極とが真空中で対向配置された発光装置において、上記電子放出源における電界放出の電流密度が上記蛍光体での発光が飽和状態に達する電流密度以上となる制御電圧を、上記カソード電極に周期的に印加する電圧制御手段を備えたことを特徴とする。
また、カソード電極と蛍光板電極との間にグリッド電極を配置する3極構造の発光装置においては、グリッド電極とカソード電極との間に制御電圧を周期的に印加すると共に、この制御電圧の印加に同期して、蛍光板電極とカソード電極との間に制御電圧よりも高い電圧を印加することが望ましい。
3極構造の発光装置の電圧制御手段は、カソード電極とグリッド電極と蛍光板電極とを二次側に接続した変圧回路を用いて構成することができ、変圧回路の一次側に周期的な電圧信号を印加することにより、グリッド電極とカソード電極との間の制御電圧と、蛍光板電極とカソード電極との間の電圧とを同期させて周期的に印加することができる。
カソード電極への制御電圧の印加は、60Hz以上の繰返し周期で行うことが望ましく、また、カソード電極へ制御電圧を印加する周期は、カソード電極へ制御電圧を印加する期間の少なくとも10倍以上とすることが望ましい。
本発明による発光装置は、複雑な構造を要することなく、電子放出源の電界放出特性のバラツキに起因する発光ムラを低減することができる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1及び図2は本発明の実施の一形態に係り、図1は発光装置の基本構成図、図2は駆動回路の説明図である。
図1に示すように、本実施の形態における発光装置1は、例えば、平面状の電界放出型照明ランプとして用いられる発光装置であり、所定間隔で対向配置されたガラス基材2,3の内部を真空状態に維持し、この真空状態下で、カソード電極5、グリッド電極10、蛍光板電極15を順に配置した基本構成を有している。尚、図1においては、カソード電極5とグリッド電極10と蛍光板電極15との3極構造を例示しているが、グリッド電極10を用いない2極構造であっても良い。
カソード電極5は、ベースとなるガラス基材2上に形成された導電材からなり、例えば、アルミニウムやニッケル等の金属を蒸着やスパッタ法等によって堆積したり、銀ペースト材を塗布して乾燥・焼成する等して形成される。このカソード電極5の表面には、カーボンナノチューブ、カーボンナノウォール、スピント型マイクロコーン、金属酸化物ウィスカー等のエミッタ材料が膜状に塗布されて電子放出源6が形成されている。
グリッド電極10は、カソード電極5に対向して配置され、カソード電極5との電位差(ゲート電圧)に応じて電子放出源6に電界を印加し、電子を放出させる。このグリッド電極10には、電子放出源6から放出された電子を通過させる微細な開口が多数形成されており、ステンレス材、ニッケル材、アンバー材等の導電性の薄板に、エッチング或はパンチング法等を用いて円形や矩形等の多数の開口が形成される。
蛍光板電極15は、投光面となるガラス基材3の裏面側に配置された透明導電膜(例えば、ITO膜)からなり、グリッド電極10(カソード電極5)に対向する面に、電子放出源6から放出された電子によって励起発光される蛍光体16が塗布されている。蛍光体16は、例えば、酸化亜鉛系等の材料を用い、インクジェット法、フォトグラフィ法、沈殿法、電着法等によって蛍光板電極15上に成膜される。
以上の発光装置1においては、ガラス基材2上のカソード電極5及び電子放出源6からなるカソード極7に対して、ガラス基材3上の蛍光板電極15及び蛍光体16からなるアノード極17を所定の正の高電位に維持し、カソード極7とグリッド電極10との間に所定のゲート電圧を印加して電子放出源6から真空中に電子を電界放出させる。この電界放出された電子はアノード極17に向って加速され、グリッド電極10の開口部を通過した電子が蛍光体16に衝突して光を放つ。
この場合、電子放出源6の電界放出特性は必ずしも一定ではないことから、通常のゲート電圧で発生する電界強度では、電子放出源6の領域によって電子放出の電流密度が異なり、蛍光体16全体として見ると発光輝度のムラが生じることがある。従って、本発光装置1には、電子放出源6における電界放出の電流密度が設定値以上となる制御電圧Vgをゲート電圧としてカソード電極5に周期的に印加する後述の電圧制御手段が備えられ、この制御電圧Vgにより、蛍光体16全体を高輝度で発光させる電流密度となるような電界強度をカソード極7全体に与える。
すなわち、一般に、電界放出の電流密度は、印加する電界強度が比較的小さい場合には、電界強度の増加に応じて電流密度も緩やかに増加するが、或る電界強度を越えると、電流密度が急激に増加する。一方、蛍光体は、電流密度の増加に応じて発光輝度が高くなるが、所定の電流密度以上では発光が飽和状態となり、それ以上電流密度を増加させても、発光輝度は高くならない。従って、カソード極7に与える電界強度を通常よりも大幅に大きくして蛍光体16を飽和状態或は飽和状態に近い高輝度で発光させることにより、電子放出源6の電界放出特性のバラツキによる領域毎の発光輝度の差を小さくすることができ、発光ムラを低減することができる。
本実施の形態においては、カソード極7に印加する制御電圧Vgに対応する電流密度の設定値を、蛍光体16での発光が飽和状態に達する電流密度として、電子放出源6における電界放出の電流密度が設定値(蛍光体16での発光が飽和状態に達する電流密度)以上となる電界強度を発生させる制御電圧Vgをカソード極7に印加する。例えば、グリッド電極10とカソード電極15との距離Aを100μmとして、カソード極7において、100μA/cm2の電子放出を得るために必要な電界強度がAA部で0.8V/μm、BB部で1.2V/μmである場合、カソード極7全体に2V/μmの電界を発生させる制御電圧Vgを印加することにより、蛍光体16全体を飽和状態で高輝度発光させる。
蛍光体16を高輝度発光させる制御電圧Vgは、蛍光体16の焼損や無駄な電力消費を防止するため短時間だけ印加し、この短時間の高輝度発光を周期的に繰返すことにより、人間の視覚の残像現象を利用した連続発光として認識させる。制御電圧Vgをゲート電圧として印加する高輝度発光の期間以外は、本実施の形態においては、ゲート電圧を零としてカソード電流を流さない休止期間とする。
制御電圧Vgをカソード電極5に印加する電圧制御手段としての機能は、具体的には、図2に示すトランスからなる変圧回路20によって実現することができる。変圧回路20は、一次側に図示しないパルス発生源が接続され、二次側の高圧用の第1タップTP1に蛍光板電極15(アノード極17)、二次側の低圧用の第2タップTP2にカソード電極5(カソード極7)、二次側の高圧と低圧との間の第3タップTP3にグリッド電極10がそれぞれ接続されている。第1タップTP1と第2タップTP2とは、蛍光板電極15からカソード電極5に印加する正の高電圧(アノード電圧)Vaを発生する二次巻線に設けられ、第3タップTP3と第2タップTP2とは、グリッド電極10からカソード電極5に印加する制御電圧Vgを発生する二次巻線に設けられている。
パルス発生源からは、ON(ハイレベル)期間がT2で、ON(ハイレベル),OFF(ローレベル)の周期がT1のパルス信号が出力され、このパルス信号を変圧回路20の一次側に印加することにより、T2期間で二次側の第3タップTP3と第2タップTP2との間に発生する制御電圧Vgがグリッド電極10からカソード電極5に周期的に印加され、蛍光体16が飽和状態で周期的に高輝度発光する。前述したように、蛍光体16が飽和状態に達した電流を流し続けると、蛍光体16の焼損や電力の無駄な消費につながる。従って、制御電圧Vgを印加するT2期間に対し、(T1−T2)期間はゲート電圧が零とされてカソード電流を流さない十分な休止期間として設けられる。この十分な休止期間を確保するためには、例えば、繰返し周期T1を、蛍光体16を飽和状態で高輝度発光させるT2期間の少なくとも10倍以上とすることが望ましい。
尚、休止期間である(T1−T2)期間には、ゲート電圧を完全に零にすることなく、弱い発光が可能となる電圧としても良い。当然ながら、この状態では、蛍光体16のAA部に対向する位置では若干発光してもBB部に対向する位置は殆ど発光しなくなり、発光輝度のムラが発生するが、人間の視覚にはT2期間における高輝度発光が残像として残り、周期T1の周波数が略60Hz以上であれば、連続発光として認識される。
例えば、変圧回路20の一次側に入力するパルス信号を、周期T1=10ms(周波数100Hz)、制御電圧Vgを印加する期間T2=1msの信号として、1msの期間に、AA部から300μA/cm2の電子放出が得られ、また、BB部から200μA/cm2の電子放出が得られものとし、更に、蛍光体16の発光が200μA/cm2の電流密度で飽和状態に達するものとすると、制御電圧Vgを印加する1msでAA部もBB部もほぼ同じ発光輝度が得られ、休止期間(T1−T2)の9msでの残像により、連続した輝度ムラのない均一な発光として認識される。
また、本実施の形態では、制御電圧Vgの印加に同期して、蛍光板電極15からカソード電極5へ高圧のアノード電圧Vaを印加する。すなわち、パルス信号のT2期間で、グリッド電極10からカソード電極5に蛍光体16の飽和状態での高輝度発光を可能とする制御電圧Vgが印加されると共に、この制御電圧Vgが印加されるT2期間のみ、蛍光板電極15からカソード電極5に高電圧のアノード電圧Vaが印加される。
これにより、蛍光体16を飽和状態で高輝度発光させるT2期間以外では、蛍光板電極15及びグリッド電極10からの電圧を零として、不要な電力消費を防止することができる。また、変圧回路20にパルス信号を入力するのみで、発光に必要な期間のみアノード電圧及びゲート電圧を同時に印加することができ、従来のように、アノード電圧やゲート電圧を印加するために整流回路等を用いて直流高電圧を生成する必要がなく、簡素な構成としてコスト低減を図ることができる。
実際の装置設計では、目的とする発光輝度と発光の均一性を得るように、蛍光板電極15に塗布する蛍光体16の種類や厚み、蛍光板電極15及びグリッド電極10に印加する電圧、パルス信号の周期T1、制御電圧Vgを印加する期間T2の時間等を最適に調節する。
また、本発明の発光方式では、パルス信号の周波数を、例えば60Hzから200Hz程度に可変することにより、発光輝度を自由に調節することができる。更に、カソード極に流れる平均電流または実効電流を検出し、常時一定のカソード電流が流れ続けるように、パルス信号の周期を自動調節すれば、カソードの経年的な変化に伴う発光輝度の低下を自動的に補正することも可能である。
発光装置の基本構成図 変圧回路の構成図 従来の発光装置における発光ムラを示す説明図
符号の説明
1 発光装置
5 カソード電極
6 電子放出源
10 グリッド電極
15 蛍光板電極
16 蛍光体
20 変圧回路(電圧制御手段)
Vg 制御電圧

Claims (5)

  1. 少なくとも、電子放出源を有するカソード電極と蛍光体を有する蛍光板電極とが真空中で対向配置された発光装置において、
    上記電子放出源における電界放出の電流密度が上記蛍光体での発光が飽和状態に達する電流密度以上となる制御電圧を、上記カソード電極に周期的に印加する電圧制御手段を備えたことを特徴とする発光装置。
  2. 上記発光装置は、
    上記カソード電極と上記蛍光板電極との間にグリッド電極を配置し、
    上記電圧制御手段は、
    上記グリッド電極と上記カソード電極との間に上記制御電圧を周期的に印加すると共に、上記蛍光板電極と上記カソード電極との間に上記制御電圧よりも高い電圧を同期して印加することを特徴とする請求項記載の発光装置。
  3. 上記電圧制御手段を、上記カソード電極と上記グリッド電極と上記蛍光板電極とを二次側に接続した変圧回路を用いて構成し、
    上記変圧回路の一次側に周期的な電圧信号を印加することにより、上記グリッド電極と上記カソード電極との間に上記制御電圧を印加すると共に、上記蛍光板電極と上記カソード電極との間に上記制御電圧よりも高い電圧を同期して印加することを特徴とする請求項記載の発光装置。
  4. 上記カソード電極へ60Hz以上の繰返し周期で上記制御電圧を印加することを特徴とする請求項1〜3の何れか一に記載の発光装置。
  5. 上記カソード電極へ上記制御電圧を印加する周期を、上記カソード電極へ上記制御電圧を印加する期間の少なくとも10倍以上とすることを特徴とする請求項1〜4の何れか一に記載の発光装置。
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