JP4348061B2 - 画像表示状態と鏡状態とを切り替え可能な装置、および、これを備えた機器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、表示画面を鏡に切り替えることができる鏡機能付き表示装置およびこれを備えた機器、または、鏡を画像表示画面に切り替えることができる画像表示機能付き鏡およびこれを備えた機器に関する。
【0002】
【従来の技術】
外光を反射する鏡状態に切り替え可能な表示装置(或いは表示機能を備えた鏡)としては、例えば特開平11−15392号公報や特開平11−291817号公報等に記載されているように、液晶表示装置等の画像表示部材の前面にハーフミラー素材を配置した表示装置が知られている。これらの表示装置では、照明装置が消灯時、或いは画像が暗表示の場合には、ハーフミラー素材で反射される外光がハーフミラー素材を透過する画像光より多くなるため、鏡状態となる。一方、照明装置が点灯時、或いは画像が明表示の場合には、ハーフミラー素材を透過する画像光はハーフミラー素材で反射する外光より多くなるため、画像表示状態となる。即ち、これらの表示装置では、ハーフミラー素材背面の画像表示部材の明るさを切り替えることで、同一観察面を鏡状態と画像表示状態とに切り替え可能にしたものである。
【0003】
また、国際公開番号WO99/04315の再公表公報には、画像表示が観察されるシャッタ開状態と画像表示が観察されないシャッタ閉状態とに切り替え可能な液晶表示装置が開示されている。この公報によれば、シャッタ閉状態の際には、外光が反射され”メタル調”になると記載されている。
【0004】
このWO99/04315の再公表公報の液晶表示装置は、電極を備えた一対の基板の間隙に液晶層を封入した液晶表示パネルを2枚積み重ね、この積み重ねた2枚の液晶表示パネルの上面と、下面と、2枚の液晶表示パネルの間の3カ所に偏光板を配置したものである。これらの偏光板のうち、液晶表示パネルの間に配置する偏光板として、所定の直線偏光は透過し、これと偏光軸が直交する直線偏光は反射する反射型偏光板を用いている。反射型偏光板の透過偏光軸は、積み重ねた2枚の液晶表示パネルの上面の偏光板の透過偏光軸と平行にしている。また、上側(観察者側)の液晶表示パネルとしては、液晶としてツイストネマティック型液晶を用いている。このような構成では、上側の液晶表示パネルの液晶層に印加する電圧が小さい場合には、上面の偏光板を透過した光は、液晶層を透過する際に偏光方向が90度回転して反射型偏光板に至るため、反射型偏光板の反射特性により強く反射される。これにより、”メタル調”のシャッタ閉状態となる。一方、上側の液晶表示パネルの液晶層に印加する電圧が大きい場合には、上面の偏光板と上側の液晶表示パネルと反射型偏光板とが実効的に透明な状態となり、下側の液晶表示パネルの画像表示が観察されるシャッタ開状態となる。すなわち、上側の液晶表示パネルへの印過電圧により、外光が反射され”メタル調”を呈するシャッタ閉状態と、下側の液晶表示パネルの表示が観察されるシャッタ開状態とを切り替えることができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の表示装置は、外光を反射する鏡のような状態に切り替え可能であるが、この鏡のような状態は、人が自分の顔や姿を映して観察する鏡として使用するには不十分である。これを具体的に以下説明する。
【0006】
上記特開平11−15392号公報や特開平11−291817号公報の表示装置は、ハーフミラーを用いているため、外光を反射する鏡状態の明るさは、ハーフミラーの反射率に依存する。このため、人が自分の顔や姿を映し出す鏡として使用できる明るい鏡にするには、ハーフミラーの反射率を高める必要がある。しかしながら、ハーフミラーの反射率を高めると、画像表示状態の際にハーフミラー素材で反射される光の分だけ画像の光量が低下するため、表示画像が暗くなる。すなわち、画像表示状態での画像の明るさと、鏡状態での鏡の明るさはトレードオフの関係にあるため、明るい画像表示と明るい鏡の両立が困難である。このため、ハーフミラーを用いる表示装置の鏡状態の明るさを、人が自分の顔や姿を映して観察する鏡として使用できるほどまで高めることは難しい。
【0007】
また、このようなハーフミラーを用いる表示装置では、明るい環境下で用いると、画像表示状態であっても、外光の一部がハーフミラーで反射する。このため画像表示状態において外光の映り込みや、外光の反射による画像のコントラスト比の低下といった画質の劣化を生じる。
【0008】
また、上述の国際公開番号WO99/04315の再公表公報の表示装置では外光の反射機能を、人が自分の顔や姿を映して観察する鏡として機能させようとした場合に以下の問題を生じる。
【0009】
この表示装置では、2枚の液晶パネルのうち上側(観察者側)の液晶パネルの液晶層に印加する電圧が小さい場合に”メタル調”のシャッタ閉状態となる。このとき、外部から入射した光は、上面の偏光板を透過し、上側の液晶パネルの液晶層を透過し、反射型偏光板で反射されて再び外部へ戻る。これにより、鏡のような反射を呈する。一方、下側の液晶パネルから出射された画像表示光のうち、暗表示部光として偏光の状態を制御された光は、上記反射型偏光板の透過偏光軸と偏光軸が直交しているため、この反射型偏光板により反射され、外部へは出射されない。しかしながら、現実には、透過偏光軸と直交する方向の反射率が100%という完全な反射型偏光板は存在しないため、一部の暗表示部光は反射型偏光板を透過する。反射型偏光板を透過した暗表示光は、上側の液晶パネルの液晶層を通過することにより偏光軸が上面の偏光板の透過偏光軸と一致するため、これを透過して観察者に視認される。すなわち、シャッタ閉の鏡状態の際に、画像の暗表示部から外部に光漏れが生じる。
【0010】
また、下側の液晶パネルから出射される画像表示光のうち、明表示光として偏光状態を制御された光は、偏光軸が上記反射型偏光板の透過偏光軸と平行であるため、これを透過し、上側の液晶パネルの液晶層を通過する。その際に偏光軸が90度回転するため、偏光軸が上面の偏光板と直交し、上面の偏光板で吸収される。一般的に知られているように、液晶分子が層厚方向に連続的にツイストしたの液晶層に光を通過させて出射させる場合、層厚方向への液晶分子の傾斜やツイストの状態により、液晶層の斜め方向へ出射される光の偏光状態が異なるため、斜め方向へ出射される光には上面の偏光板の透過偏光軸と平行な偏光成分が含まれる。このため、表示装置の正面方向よりも斜め方向から、多くの光漏れが生じて、観察者に視認されることになる。
【0011】
発明者らが、国際公開番号WO99/04315の再公表公報の表示装置とほぼ同様の表示装置を実際に作成して、シャッタ閉状態における光の漏れを測定した結果を、図44に示す。図44のグラフは、表示装置をシャッタ開状態で画像表示した場合に明表示部で輝度450cd/m2が得られるように下側の液晶パネルで画像表示をさせ、その状態で、上側の液晶パネルをシャッタ閉状態として、表示装置の前面からの光漏れを測定したデータである。図44の横軸は、表示装置の表示部上の位置を示し、縦軸が、正面方向での輝度値を示す。
【0012】
図44のように、暗表示部の正面方向の光漏れは、輝度値24〜28cd/m2であり、明表示部の正面方向の光漏れは、輝度値4〜5cd/m2であった。よって、正面方向の光漏れは、暗表示部の方が明表示部よりも約7倍大きかった。また、暗表示部での光の漏れは位置に対して不均一であり、色むらも認められた。なお、輝度値4〜5cd/m2という値は、薄暗い環境下であれば十分に視認できる値である。また、斜め方向から観察した場合は、方向によっては明表示部から4〜5cd/m2以上の光の漏れが観察された。このように、従来の表示装置のシャッタ閉状態を鏡として機能させようとすると、光の漏れのために反射像のコントラスト比が著しく低減する。このため、人の顔や姿を映し出す鏡としては、十分ではない。
【0013】
なお、反射型偏光板として、例えば国際出願の国際公開番号:WO95/27919号に開示されている異なる複屈折性高分子フィルムを交互に複数層積層した複屈折反射型偏光フィルムを用いることができる。このような反射型偏光板は、通常、液晶素子の裏面側に配置する偏光板と照明装置(バックライト)との間に配置して、照明光の利用効率を向上する目的に使用する場合に極めて高い効果が得られるものである。しかしながら、本発明が目的とするような鏡性能を実現する場合には所定の偏光に対する光の漏れが大きな問題となるためこのような反射型偏光板だけでは十分な鏡性能を得ることができない。
【0014】
本発明は、高画質な画像を表示する状態と、人が自分の顔や姿を映して観察するのに適した見やすい反射像が得られる鏡状態とに切り替え可能な装置を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明によれば、以下のような構成の、画像表示状態と鏡状態とを切り替え可能な装置が提供される。
【0016】
すなわち、所望の画像を表示するための画像光を出射する画像表示部と、前記画像表示部に重畳して配置された、前記画像光を透過する画像透過状態と外光を反射する鏡状態とに切り替え可能な鏡機能部とを有し、
該鏡機能部は、前記画像表示部側から順に配置された、反射型偏光選択手段と、透過偏光軸可変手段と、吸収型偏光選択手段とを含み、前記反射型偏光選択手段は、予め定めた偏光軸の第1の偏光を透過し、前記第1の偏光と偏光軸が交差する第2の偏光を反射し、前記透過偏光軸可変手段は、入射した前記第1の偏光を前記第2の偏光へ変化させて透過する状態と、入射した光の偏光軸を変化させないで透過する状態とに切り替え可能であり、前記吸収型偏光選択手段は、前記第1の偏光および第2の偏光のうち一方を透過し、他方を吸収し、
前記画像表示部は、前記第1の偏光を透過し、前記第2の偏光を吸収する画像光用偏光選択手段を備え、前記画像光用偏光選択手段を透過した前記第1の偏光を前記画像光として出射することを特徴とする画像表示状態と鏡状態とを切り替え可能な装置である。
【0017】
【発明の実施の形態】
本実施の形態では、画像表示状態と鏡状態とが切り替え可能な装置(すなわち鏡機能付き表示装置、或いは表示機能付き鏡)を提供する。この装置は、鏡状態では、画像表示光の光漏れを防止して、明るく、コントラスト比の高い反射像を得ることができる。よって、本実施の形態の装置は、鏡状態の場合には、人が自分の顔や姿を映し出し、観察するのに適している。一般的に、人の顔の見え方は、部位の大きさ、輝度値、コントラスト比(輝度対比)等の物理量に依存すると考えられており、コントラスト比(輝度対比)が大きいほど見え易さの評価が高いことが評価実験により確認されている(奥田紫乃、佐藤隆二:人の顔の見え方に対する評価法の構築に関する基礎検討、照明学会誌、第84巻、第11号、pp809-814)。また、本実施の形態の装置は、画像表示状態では、明るい環境下であっても外光の映り込みやコントラスト比の低下といった画質の劣化が少なく、明るい画像が得られる。
【0018】
以下、本発明の実施の形態の鏡状態への切り替え機能付き表示装置を図1〜図6を参照して説明する。
【0019】
まず、第1の実施の形態の鏡状態への切り替え機能付き表示装置の基本構成と動作を図1及び図2を用いて説明する。
【0020】
第1の実施の態様の表示装置は、図1のように、順に配置された、画像表示部1000と、反射型偏光選択部材300と、透過偏光軸可変部400と、吸収型偏光選択部材500とを有している。画像表示部1000は、予め定めた方向の直線偏光成分を透過し、それと直交する方向の直線偏光成分を吸収する吸収型偏光選択部材208を含み、この吸収型偏光選択部材208は、反射型偏光選択部材300側に配置されている。本実施の形態では、画像表示部1000は、照明装置と、液晶層と、液晶層を挟む2枚の吸収型偏光選択部材とを含む。2枚の吸収型偏光選択部材のうち出射側ものが、吸収型偏光選択部材208である。液晶層に印加する電圧を明表示領域と暗表示領域とで変化させて、明表示領域からは吸収型偏光選択部材208を透過する直線偏光を出射させ、暗表示領域では吸収型偏光選択部材208で光を吸収させて、光を出射させない。これにより、画像を表示する構成である。よって、画像表示部1000から出射される画像光(明表示光)は、吸収型偏光選択部材208の透過偏光軸と一致した偏光軸を有する直線偏光である。以下、画像光の偏光軸と同じ方向の偏光軸を有する直線偏光を「第1の直線偏光」と称する。また、第1の直線偏光と偏光軸が直交する方向の直線偏光を「第2の直線偏光」と称する。
【0021】
反射型偏光選択部材300は、予め定めた方向の直線偏光成分を透過し、それと直交する直線偏光成分を反射する部材である。ここでは、反射型偏光選択部材300は、第1の直線偏光成分は透過し、第2の直線偏光成分は反射する向きに配置している。
【0022】
透過偏光軸可変部400は、入射した直線偏光光が透過する際にその偏光軸を変化させる状態と、偏光軸を変化させない状態とを、電気的な切り替えにより選択できる構造を有する素子である。本実施の形態では、透過偏光軸可変部400として、液晶層407と、液晶層407に電圧を印加するための透明電極403、406とを含む液晶素子を用いている。透明電極403には、電圧のオンオフを切り替える切り替えスイッチ813が接続されている。切り替えスイッチ813により、液晶層407に印加する電圧をオフにしているときには、液晶層407は、入射した直線偏光の偏光軸を変化させる状態であり、電圧をオンにすると偏光軸を変化させない状態となる。本実施の形態では、液晶層407は、液晶分子407aの長軸が、電圧オフのときに、透明電極403と透明電極406との間で連続的に90°捩じれるように構成した、いわゆるツイストネマティック(TN)型液晶である。液晶層407の配向方向は、反射型偏光選択部材300側から入射した第1の直線偏光を第2の直線偏光へ変化させる方向に定めている。一方、電圧オンの場合、液晶層407の液晶分子407aは、図2のように透明電極403、406に対して垂直に立った状態となり、入射した光の偏光軸を変化させない状態となる。
【0023】
吸収型偏光選択部材500は、予め定めた方向の直線偏光成分を透過し、それと直交する方向の直線偏光成分を吸収する部材である。ここでは、吸収型偏光選択部材500は、入射した光のうち第1の直線偏光成分は吸収して、第2の直線偏光成分は透過するように配置されている。
【0024】
尚、観察者は、吸収型偏光選択部材500側(図1中の紙面左側)から本表示装置を観察することになる。
【0025】
つぎに、第1の実施の形態の表示装置の動作を図1および図2を用いて説明する。
【0026】
本実施の形態の表示装置を画像表示状態で使用する場合には、図1のように、切り替えスイッチ813をオフにして、透過偏光軸可変部400の液晶層407の液晶分子407aが90゜捻れた状態に設定する。この状態で、画像表示部1000から所望の表示の画像光(明表示光)3001を出射させる。画像光3001は、画像表示部1000の吸収型偏光選択部材208を通過している光であるため、第1の直線偏光である。よって、画像光3001の偏光軸は、反射型偏光選択部材300の透過偏光軸と一致しており、反射型偏光選択部材300を透過して、透過偏光軸可変部400に入射する。上述のように、透過偏光軸可変部400の液晶層407はオフ状態に設定されているため、入射した第1の直線偏光の画像光3001は、液晶分子407aの捻れに沿ってその偏光軸が回転して第2の直線偏光となって出射される。第2の直線偏光となった画像光3001は、偏光軸が吸収型偏光選択部材500の透過偏光軸と一致しているため、これを透過して、観察者に観察される。
【0027】
一方、画像表示状態のときに観察者側から表示装置へ入射する外光3002は非偏光であるが、吸収型偏光選択部材500を透過する際、第1の直線偏光成分は吸収され、第2の直線偏光成分のみが透過する。吸収型偏光選択部材500を透過した第2の直線偏光の外光3002は、透過偏光軸可変部400を透過する際に、第2の直線偏光から第1の直線偏光に変化する。これにより、偏光軸が反射型偏光選択部材300の透過偏光軸と一致するため、反射型偏光選択部材で反射されることなく透過して画像表示部1000に入射する。入射した第1の直線偏光の外光3002は、偏光軸が吸収型偏光選択部材208の透過偏光軸と一致しているため、吸収型偏光選択部材208を透過し、画像表示部1000の液晶層に入射する。このとき、暗表示領域に入射した光は、液晶層よりも照明装置側に配置されている吸収型偏光選択部材によって吸収される。よって、観察者側には戻ってこない。また、明表示領域に入射した光は、光源側の吸収型偏光選択部材も透過して照明装置に至る。照明装置に至った光の一部は、これにより反射されるが、反射された光は照明光と実質的に変わりなく、照明光の一部となるため、画質を劣化させる外光の反射とはならない。すなわち、本実施の形態の表示装置では、画像表示状態のときに、外光が入射しても、画質を劣化させる外光の反射はほとんどない。
【0028】
このように、本実施の形態の表示装置は、画像表示状態では、画像光3001がほとんど損失することなく観察者へ向かうため明るい画像が得られる。一方、外光3002は表示装置ではほとんど反射されないので、映り込みやコントラスト比の低下等の外光の反射による画質の劣化がほとんどない。
【0029】
つぎに、本実施の形態の表示装置を鏡状態に切り替えて使用する場合について説明する。この場合、図2のように、切り替えスイッチ813をオンにして、透過偏光軸可変部400の液晶層407の液晶分子407aを立たせた状態に設定する。
【0030】
このとき、観察者側から本表示装置へ向かう外光3002は非偏光であるが、吸収型偏光選択部材500を透過する際、第1の直線偏光成分は吸収され、第2の直線偏光成分のみが透過し、透過偏光軸可変部400に入射する。透過偏光軸可変部400は、液晶層407の液晶分子407aが立った状態であるため、入射した外光3002は偏光状態が変化することなく第2の直線偏光のまま透過偏光軸可変部400を透過し、反射型偏光選択部材300に至る。反射型偏光選択部材300の反射偏光軸は、第2の直線偏光の偏光軸と一致しているため、外光3002は反射型偏光選択部材300によって反射される。反射型偏光選択部材300で反射した外光3002は、再び透過偏光軸可変部400に入射し、第2の直線偏光のままこれを透過して出射され、さらに吸収型偏光選択部材400も透過して観察者へ向かう。これにより、外光3002の反射像が得られ鏡状態が実現する。
【0031】
この鏡状態のときに、画像表示部1000から出射される画像光(明表示光)3001は、吸収型偏光選択部材208を透過した第1の直線偏光であるため、反射型偏光選択部材300を透過して透過偏光軸可変部400に入射する。透過偏光軸可変部400はオン状態であるため、画像光3001の偏光状態は変化することなく第1の直線偏光のままこれを透過し、吸収型偏光選択部材500に入射する。第1の直線偏光は、吸収型偏光選択部材500の吸収偏光軸に一致しているため、吸収型偏光選択部材500で吸収されて観察者には観察されない。
【0032】
つまり、鏡状態の場合には画像表示部材からの光は観察者に至ることがなく、一方、周囲から表示装置に入射する外光3002は理想的には非偏光の半分の光が反射型偏光選択部材300で反射して、観察者側に向かうため明るい鏡として機能する。
【0033】
なお、鏡状態の場合、本実施の形態の表示装置は、国際公開番号WO99/04315の再公表公報の表示装置と比較して、光漏れを大幅に減少させることができる。国際公開番号WO99/04315では、鏡状態において反射型偏光板の反射性能に起因する暗表示部からの光漏れが問題であったが、本実施の形態の表示装置では、画像表示部1000が吸収型偏光選択部材208を備え、暗表示領域の照明光を吸収しているため、暗表示領域では反射型偏光選択部材300に光が到達しない。このため、反射型偏光選択部材300の性能の如何に関わらず、暗表示領域からの光漏れはほとんど観察されない。
【0034】
また、本実施の形態の表示装置は、鏡状態のときに、透過偏光軸可変部400をオンにして、液晶分子407aを立たせる構成である。一般にネマティック型液晶は、電圧オンの液晶分子を立たせた状態の方が、電圧オフの液晶分子が捻れた状態のときよりも、斜め方向に出射させる光の偏光軸のずれは小さい。このため、本実施の形態の表示装置は、従来の技術で述べた鏡状態で電圧オフにする構成のものと比較して、鏡状態のときに画像光(明表示光)3001の斜め方向への光漏れが少ないという効果も得られる。
【0035】
鏡状態における画像表示部1000からの光の漏れを図3及び図4のグラフを用いて具体的に説明する。図3が明表示領域、図4が暗表示領域での光の漏れの大小を輝度値で表している。これらのグラフは、表示装置が画像表示状態の場合に輝度450cd/m2の明表示を行う場合のデータであり、横軸が表示装置の表示部上の位置を示し、縦軸が正面方向、すなわち画面に対して垂直方向での輝度値を示す。また、図3,図4には、画像表示部1000の吸収型偏光選択部材208としてAタイプ偏光板、Bタイプ偏光板、Cタイプ偏光板を用いた構成のそれぞれの光漏れと、画像表示部1000から吸収型偏光選択部材208を取り去って、他の構成は本実施の形態の表示装置と同様にした装置の光漏れとを示した。なお、吸収型偏光選択部材208を取り去った構成であっても、画像表示状態では通常レベルの画像が表示できた。また、A,B,Cタイプ偏光板の詳細は後述する。
【0036】
図3に示すとおり、鏡状態における明表示領域では、吸収型偏光選択部材208を用いる本実施の形態の表示装置の方が、吸収型偏光選択部材208がない装置よりも、光の漏れが半分程度に抑えられる。このため、本実施の形態の表示装置は、コントラスト比が高い反射像を映し出す鏡が実現できる。また、鏡状態における暗表示領域部では、図4に示すとおり、吸収型偏光選択部材208を用いる本実施の形態の表示装置は、光の漏れがほんとんどないため、コントラスト比がより高く見やすい反射像を映し出す鏡を実現ができる。一方、吸収型偏光選択部材208を用いない表示装置では、図4のように暗表示領域で多くの光漏れが生じている。
【0037】
これらのことから、本実施の形態の表示装置は、鏡状態のとき、画像表示部1000の表示を暗表示とすることでより、視認性の良い鏡が実現できることを示す。このことは、図3,図4で光漏れを示した吸収型偏光選択部材(偏光板)208を備えない構成の表示装置および図44で光漏れを示した従来の表示装置が、暗表示部の方が明表示部よりも光の漏れが多いことと対照的である。
【0038】
よって、本実施の形態では、画面全面を鏡状態とする場合には、画像表示部1000全体を暗表示もしくは画像表示部1000の照明装置自体を非発光状態とする。また、透過偏光軸可変部400の一部領域のみを電圧オン状態として、画面の一部のみを鏡状態とする場合には、鏡状態とする領域と重なる領域の画像表示部1000を暗表示もしくは非発光状態とする。これにより、鏡状態の部分からの光漏れを減少させ、高いコントラスト比の反射像を映し出すことができる。
【0039】
具体的には、鏡状態に切り替えるために、切り替えスイッチ813がオンに切り替えられたならば、切り替えスイッチ813と連動させて画像表示部1000の液晶素子を暗表示にする回路を設けるか、もしくは画像表示部1000の液晶素子の背面の照明装置を消灯させる回路を設ける構成にすることができる。鏡状態の場合に照明装置を消灯させるようにした場合には、表示装置の消費電力の低減が可能となる。なお、画面の一部だけを鏡状態とし、残りの部分に画像を表示する場合には、液晶素子の背面の照明装置を消灯すると画像表示領域の表示が暗くなるため、鏡状態とする領域と重なる領域の画像表示部1000を暗表示とすることが望ましい。これにより、高コントラスト比な反射像を実現する鏡状態の実現と、明るい画像表示を同一画面上に同時に実現することが可能となる。
【0040】
また、画像表示部1000としては、液晶素子を用いるものの他、有機エレクトロルミネッセンス(EL:electroluminescence)素子のような自発光型の表示部を用いることもできる。EL素子の反射型偏光選択部材300と対向する位置に吸収型偏光選択部材208を備える構成とする。EL素子を用いる場合には、鏡状態への切り替えと連動させて、EL素子の発光自体を止めて暗表示状態にすることにより、原理的に光の漏れをなくすことができる。これにより、高コントラスト比の反射像が得られる高品位な鏡状態を実現できるとともに、表示装置の消費電力の低減が可能となる。
【0041】
また、画像表示部1000の照明装置の光源としてメタルハライドランプなどの放電ランプを用い、これを液晶素子とを組み合わせることにより、本実施の形態の表示装置を投射型表示装置にすることができる。この場合、放電ランプは点灯と消灯を素早く行うことができないため、鏡状態への切り替えに連動させて、画像表示部1000の表示を暗表示とすることで光漏れを低減させる構成にすることが望ましい。
【0042】
なお、第1の実施の形態では、図1,図2のように吸収型偏光選択部材500として、透過偏光軸が第1の直線偏光の偏光軸と平行であり、吸収偏光軸が第2の直線偏光の偏光軸と平行なものを用いたが、本発明はこれに限定されるものではなく、透過偏光軸が第2の直線偏光の偏光軸と平行であり、吸収偏光軸が第1の直線偏光の偏光軸と平行なものを用いることができる。この場合、透過偏光軸可変部400を入射した偏光軸を変化させないで透過する状態(電圧オンの状態)に切り替えることにより、表示装置を画像透過状態に切り替え、透過偏光軸可変部400を第1の偏光を第2の偏光へ変化させる状態(電圧オフの状態)に切り替えることにより、表示装置を鏡状態に切り替える構成となる。
【0043】
次に、本発明の第2の実施の形態の鏡状態への切り替え機能付き表示装置について、基本構成と動作を図5,図6を用いて説明する。
【0044】
第2の実施の形態の表示装置は、第1の実施の形態の図1及び図2の表示装置の吸収型偏光選択部材500を、反射型偏光選択部材301と可変偏光選択部材600との組み合わせに置き換えたものである。他の構成は、第1の実施の形態の表示装置と同様であるので、同一部には同じ符号を付け詳細な説明は省略する。
【0045】
反射型偏光選択部材301は、透過偏光軸可変部400に対向する位置に配置され、反射型偏光選択部材301よりも観察者側に可変偏光選択部材600が配置されている。反射型偏光選択部材301は、第1の直線偏光成分は反射して第2の直線偏光成分は透過する構成である。可変偏光選択部材600は、入射した光のうち第1の直線偏光成分は吸収して第2の直線偏光成分は透過する状態と、全偏光成分を透過する状態とのいずれかを選択可能な構成である。
【0046】
第2の実施の形態の表示装置は、透過偏光軸可変部400による偏光状態の制御と、可変偏光選択部材600による偏光の吸収または透過の制御とにより画像表示状態と鏡状態とを切り替えられる構成としたものである。尚、観察者は可変偏光選択部材600側から表示装置を観察する。
【0047】
ここでは、可変偏光選択部材600として、ゲストホスト型の液晶層607と、液層層607に電圧を印加する透明電極603、606と、切り替えスイッチ600aとを含むものを用いる。切り替えスイッチ600aがオフのときには、図5のように液晶層607の液晶分子607aの長軸が第1の直線偏光と平行になるように、液晶層607を配向させている。これにより、可変偏光選択部材600は、オフ状態では、第1の直線偏光成分は吸収し、これと偏光軸が直交する第2の直線偏光成分は透過する。また、切り替えスイッチ600aがオンのときには、図6のように液晶分子607aが透明電極603,606に垂直となるため、可変偏光選択部材600は、全偏光成分を透過する。
【0048】
第2の実施の形態の表示装置が画像表示状態の場合の動作を図5を用いて説明する。画像表示状態にする場合、切り替えスイッチ813をオフにして透過偏光軸可変部400をオフ状態とするとともに、これと連動させて切り替えスイッチ600aもオフにして可変偏光選択部材600をオフ状態とする。
【0049】
画像表示部1000から出射した画像光3001は、反射型偏光選択部材300を透過して、透過偏光軸可変部400に入射する。このとき透過偏光軸可変部400はオフ状態であるため、通過する画像光3001は第1の直線偏光から第2の直線偏光に変化する。透過偏光軸可変部400を透過した画像光3001は第2の直線偏光となっているため、偏光軸が反射型偏光選択部材301の透過偏光軸と一致しており、これを透過する。さらに、オフ状態の可変偏光選択部材600の透過偏光軸とも一致しているため、これも透過し、観察者に観察される。
【0050】
一方、観察者側から画像表示状態の表示装置へ入射する外光3002は、非偏光であるが、可変偏光選択部材600はオフ状態であるため、可変偏光選択部材の吸収偏光軸と一致する第1の直線偏光成分は吸収され、透過偏光軸と一致する第2の直線偏光成分のみが透過する。可変偏光選択部材600を透過した第2の直線偏光の外光3002は、反射型偏光選択部材301を透過し、透過偏光軸可変部400を透過する際、第2の直線偏光光から第1の直線偏光光に変化し、第1の反射型偏光選択部材300を透過して画像表示部1000の液晶層に入射する。このとき、第1の実施の形態で説明したように、暗表示領域に入射した光は、液晶層よりも照明装置側に配置されている吸収型偏光選択部材によって吸収される。よって、観察者側には戻ってこない。また、明表示領域に入射した光は、光源側の吸収型偏光選択部材も透過して照明装置に至り、一部は反射されるが、反射された光は照明光と実質的に変わりなく、照明光の一部となる。すなわち、本実施の形態の表示装置では、画像表示状態のときに、外光が入射しても、画質を劣化させる外光の反射はほとんどない。
【0051】
従って、画像表示状態では画像光3001はほとんど損失することなく観察者へ向かうため明るい画像が得られる。また、外光3002は表示装置でほとんど反射されないので外光の映り込みやコントラスト比の低下といった画質劣化は生じない。
【0052】
つぎに、第2の実施の形態の表示装置が鏡状態の場合について、その動作を図6を用いて説明する。鏡状態の場合、切り替えスイッチ813および切り替えスイッチ600aを連動させてオンにし、透過偏光軸可変部400および可変偏光選択部材600はオン状態とする。
【0053】
鏡状態の場合、観察者側から表示装置へ入射した外光3002は、図6のように、全ての偏光成分が可変偏光選択部材600を透過する。可変偏光選択部材600を透過した外光3002は、反射型偏光選択部材301に入射する。反射型偏光選択部材301に入射した外光3002のうち、第2の直線偏光成分は反射型偏光選択部材301を透過し、第1の直線偏光成分は反射型偏光選択部材301で反射され、再び可変偏光選択部材600を透過して観察者側へ向かう。一方、反射型偏光選択部材301を透過した第2の直線偏光成分は、偏光軸が変化することなく透過偏光軸可変部400を透過し、反射型偏光選択部材300で反射され、再び透過偏光軸可変部400と、反射型偏光選択部材301と可変偏光選択部材600を透過して観察者側へ向う。
【0054】
このように、第2の実施の形態の表示装置では、入射した外光3002は、反射型偏光選択部材300及び反射型偏光選択部材301により、そのほとんどの偏光成分が反射される。したがって、極めて明るい反射像が得られる鏡状態が得られる。
【0055】
一方、鏡状態の場合に、画像表示部1000から出射した画像光(明表示光)3001は、第1の実施の形態で説明したように、吸収型偏光選択部材208を通過しているため、第1の直線偏光である。よって、画像光3001は、反射型偏光選択部材300を透過した後、透過偏光軸可変部400を偏光軸が変化することなく第1の直線偏光のまま透過し、反射型偏光選択部材301で反射され、画像表示部1000へ戻るため、ほとんど観察者には観察されない。
【0056】
なお、鏡状態における画像表示部1000側からの光の漏れをより低減するためには、第1の実施の形態で述べたように、鏡状態となっている領域に相当する画像表示部1000の表示領域を暗表示とすることが望ましい。表示領域全体を鏡領域とする場合には、画像表示部の照明装置を非発光状態にすることにより、光の漏れをなくすようにすることもできる。
【0057】
このように、第2の実施の形態の表示装置では、鏡状態のときに外光3002のほとんど偏光成分が反射されるため、極めて明るい反射像が得られるとともに、画像光3001の光漏れが少なく、見やすい鏡が得られる。また、画像表示状態の場合には、第1の実施の形態と同様に、外光の映り込みこみが少なく、しかも、明るい画像を表示できる。
【0058】
なお、第2の実施の形態では、第2の反射型偏光選択部材301として、図5,図6のように反射偏光軸が第1の直線偏光の偏光軸と平行であり、透過偏光軸が第2の直線偏光の偏光軸と平行なものを用いたが、本発明はこの構成に限られるものではなく、反射偏光軸が第2の直線偏光の偏光軸と平行であり、透過偏光軸が第1の直線偏光の偏光軸と平行なものを用いることができる。この場合、透過偏光軸可変部400を、入射した偏光軸を変化させないで透過する状態(電圧オン状態)に切り替えるとともに、可変偏光選択部600を、第2の直線偏光を吸収し第1の直線偏光を透過する状態(電圧オフ状態)に切り替えることにより、表示装置を画像透過状態に切り替え、透過偏光軸可変部400を、第1の直線偏光を第2の直線偏光へ変化させる状態(電圧オフ状態)に切り替えるとともに、可変偏光選択部600を、全偏光成分を透過する状態(電圧オン状態)に切り替えることにより、表示装置を鏡状態に切り替える構成にすることができる。
【0059】
尚、上述の第1および第2の実施の形態では、画像表示部1000として液晶素子を用いる場合に、照明装置を含む透過型の液晶素子について説明したが、反射型の液晶素子を用いることも可能である。
【0060】
また、画像表示部材を構成する吸収型偏光選択部材208の偏光度をP1、吸収型偏光選択部材500の偏光度をP2とした場合、0.966≦P1≦0.995≦P2の関係を満たすか、もしくは0.966≦P2≦0.995≦P1の関係を満たすことが望ましい。この理由については、後述の実施例2で説明する。
【0061】
また、第1および第2の実施の形態の表示装置において、吸収型偏光選択部材500、208の表面および可変偏光選択部材600の最表面に反射防止膜を形成することが好ましい。
【0062】
また、本発明では反射型偏光選択部材300と反射型偏光選択部材301との間隔を0.11mm以下とすることが好ましい。この理由については、後述の実施例2で説明する。
【0063】
また、本発明では表示装置を鏡状態にした場合、少なくとも58.6mm×39.1mmの領域全域が実質的に鏡となるように構成することが好ましい。これは、成人男性の顔の4分の1を映すことを考慮して定めた大きさである。これについても、後述の実施例で説明する。
【0064】
また、第1および第2の実施の形態において、反射型偏光選択部材300,301としてフィルム状の部材を使用することができる。この場合、フィルム状の部材を透明な粘着剤を介して、剛性が高く、平坦、かつ透明で光学的に等方な透明基板に直接粘着するか、或いは平坦なフィルム等を介して間接的に粘着固定して、反射面に歪みがないように構成することが望ましい。
【0065】
また、第1および第2の実施の形態の表示装置を、投射装置から出射した投射光がミラー部材を介して透過型スクリーンに照射される投射方式の表示装置にすることができる。この場合、透過型スクリーンに、鏡機能部を備える構成としても良い。この場合、投射装置は投射光として各色光の偏光状態が一致した直線偏光を出射するものとし、さらに、該直線偏光光がミラー部材の反射面に対してs偏光光、或いはp偏光光となるよう構成する。
【0066】
さらにまた、前記透過型スクリーンを構成する鏡機能部および光学系のうち、鏡機能部を着脱可能な構造として、鏡機能が不要なときには鏡機能部を取り外す構成とすることができる。あるいは、画像表示部を含まず鏡機能部を独立して備えたスクリーンを構成し、この鏡機能スクリーンを任意の表示装置に必要に応じて装着する構成としても良い。
【0067】
第1および第2の実施の形態において、反射型偏光選択部材300,301として、千数百オングストローム(10-10m)のピッチで導電性の金属線状パターンを配置した構成のもの用いることができる。このとき、金属線状パターンの長手方向が反射偏光軸となる。また、透明基板上に千数百オングストローム(10-10m)のピッチで導電性の金属線状パターンを形成し、さらに隣り合う線状パターンの一部を電気的に接続したもので、透明電極と反射型偏光選択部材とを兼用させることができる。これにより、透明電極606と反射型偏光選択部材301、または、反射型偏光選択部材301と透明電極403、または、透明電極406と反射型偏光選択部材300を構成することができる。
【0068】
上記第1および第2の実施の形態において、画像表示部材1000は、以下のような構造にすることができる。すなわち、一定の間隙をもって接合された一対の透明基板と、これら透明基板間に挟持された液晶層と、前記一対の透明基板の少なくとも一方に透明電極により形成されるマトリクス状に配置された画素電極群と、観察者側に配置される吸収型偏光選択部材208と、観察者側とは反対側の透明基板に配置される吸収型偏光選択部材とを含む液晶素子、前記画素電極群に画像信号に対応した電圧を印加する表示用液晶素子駆動部、前記表示用液晶素子の背面に配置した照明装置を備えた構成とすることができる。このとき、照明装置の点灯、消灯を切り替えスイッチ813に連動させて切り替える切替え部を備える構成にすることができる。照明装置は、複数の色光を順次発光する光源を有し、液晶素子は照明装置からの色光に対応して、フィールド順次カラー表示を行う構成とすることができる。
【0069】
また、画像表示部1000として、反射型液晶素子を用いる構成とすることもできる。この場合、反射型液晶素子としては、透明基板と、反射部を備える反射基板とを、ビーズ等のスペーサを介して張り合わせ、枠状のシール材により周囲をシールし、前記2枚の基板の間隙に液晶を封入して封止したものを用いることができる。このとき、透明基板には、位相差板を積層して配置する。なお、透明基板または反射基板にカラーフィルタを備えることができる。このカラーフィルタは暗表示での暗さを高める機能を備えていることが好ましく、具体的にはデルタ配列のカラーフィルタを用いることがより望ましい。
【0070】
また、第1および第2の実施の形態の表示装置において、鏡状態となる領域と画像表示状態での画像表示領域の大きさが異なるように構成することができる。また、画像表示部1000として、一部の表示領域で透過型として機能し、それ以外の領域では反射型として機能する表示用液晶素子と、前記透過型として機能する領域を照明するための照明装置とを備える構成のものを用いることができる。
【0071】
また、第1および第2の実施の形態の表示装置において、画像表示部の表示領域を複数に領域に分割し、各分割領域毎に鏡状態と画像表示状態との切替制御を行う構成としても良い。これを実現するために、透過偏光軸可変部400や可変偏光選択部材600の光透過面を、複数の領域に分割し、個別領域ごとに透過する光の偏光軸を変化させる状態と変化しない状態との選択制御や、吸収すべき偏光光の選択制御を行う構成にすることができる。
【0072】
【実施例】
以下、本発明の実施例を説明する。
【0073】
(実施例1)
本発明の実施例1の、鏡状態への切り替え機能付き表示装置を図7,図8を用いて説明する。本実施例1の表示装置は、基本構成が第1の実施の形態の図1、図2に示した表示装置と同様である。
【0074】
第1の実施の形態と同様に、実施例1の図7の表示装置は、順に重ねられた、画像表示部1000と、反射型偏光選択部材300と、透過偏光軸可変部400と、吸収型偏光選択部材500とを有している。これらは、開口1071を有する筐体1070内に収容されている。開口1071が、鏡状態に切り替え可能な画像表示部となる。各部の作用は、第1の実施の形態で説明した通りである。
【0075】
画像表示部1000は、図7,図8に示したように、表示用液晶素子を含み、光の透過光量を調節することで画像を表示する液晶表示パネル200と、その背面に配置した照明装置100とを有する。液晶表示パネル200としてはTN(Twisted Nematic)モード、STN(Super Twisted Nematic)モード、ECB(Electrically Controlled Birefringence)モード等の表示モードを用いた液晶表示パネルを用いることが望ましい。このような、液晶表示パネルは偏光板を用いて液晶層に入射する光の偏光状態を変調することで表示を行うため、比較的低い駆動電圧で高いコントラスト比が得られる。また、液晶表示パネル200の反射型偏光選択部材300側に配置される吸収型偏光選択部材208として機能する偏光板により、画像光として直線偏光光が出射する。
【0076】
尚、液晶表示パネル200は、一般的に知られているように、TFT(Thin Film Transistor)等のスイッチング素子を用いたアクティブマトリクス駆動による液晶表示パネルと、マルチプレックス駆動の液晶表示パネルとの2方式があり、いずれかを選択して用いることができる。具体的にはTN(Twisted Nematic)液晶表示パネルや、IPS(In Plane Switching)液晶表示パネル、MVA(Multi-domain Vertical Aligned)液晶表示パネル等のアクティブマトリクス駆動による液晶表示パネル、或いはSTN(Super Twisted Nematic)液晶表示パネル等のマルチプレックス駆動の液晶表示パネルを用いることができる。実施例1では、液晶表示パネル200としてTN液晶表示パネルを用いる場合について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0077】
図8を用いて、実施例1の表示装置の各部の詳しい構成について説明する。
【0078】
照明装置100は、液晶表示パネル200の画像表示部を均一に照明できるものを用いる。照明装置としては、エッジライト方式(導光体方式)、直下方式(反射板方式)、面状光源方式等(液晶ディスプレイ技術、p252−256、産業図書株式会社、発行日1996年11月8日:フルカラー液晶表示技術、p201−202、株式会社トリケップス、発行日1990年2月26日)が一般的には知られている。照明装置100としては、これらの方式やその他の方式の中から用途や目的、画面サイズに合わせて最適な方式を選べば良い。ここでは、照明装置100としてエッジライト方式のものを用いた場合について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0079】
照明装置100は、裏面に白色顔料によるドット印刷105等の処理を施した透明なアクリル樹脂からなる導光体103と、導光体103の端面に配置した例えば冷陰極管からなる線状光源101と、ランプカバー102と、導光体103の裏面に配置した反射シート104と、導光体103の前面に配置した拡散シート110,112と、プリズムシート111とを有している。
【0080】
この構成において、光源101から出射した光は直接、或いはランプカバー102で反射した後、導光体103に入射する。導光体103に入射した光1101は全反射しながら導光体103内を伝播するが、導光体103の裏面に施された白色顔料によるドット印刷105に至った光は、その進行方向が変わり、導光体103表面側から出射する。導光体103から出射した光は、拡散シート110、112、及びプリズムシート111等により出射角度分布や、面内での輝度分布が均一化された後、液晶表示パネル200に照射される。
【0081】
液晶表示パネル200は、図8のように、平坦かつ透明で光学的に等方なガラス或いはプラスチックからなる第1の透明基板201および第2の透明基板202とを含んでいる。透明基板201には、カラーフィルタ(不図示)、ITO(Indium Tin Oxide)からなる透明電極203、及び、ポリイミド系高分子からなる配向膜204が積層されている。第2の透明基板202には、配向膜206、画素を形成する透明電極205、および、これと接続される電極や薄膜トランジスタ等のスイッチング素子(不図示)が形成されている。2枚の透明基板201、202を配向膜204,206が形成されている面を向かい合わせ、2枚の透明基板201、202の間に図示しないスぺ−サーを介して一定の間隙を設け、さらに枠状のシール材210で周囲を封止して内部に空間を形成している。この空間に誘電異方性が正のネマチック液晶を封入することにより、液晶層207が設けられている。
【0082】
液晶層207の液晶分子の長軸の配向方向は、2枚の透明基板201、202上に形成された配向膜204,206にラビング等の配向処理を行なうことで規定されている。ここでは、透明基板201,202間で連続的に90°ねじれた状態となっている。透明基板202の背面と、透明基板201の前面にはそれぞれ偏光板209及び吸収型偏光選択部材(偏光板)208が、互いに偏光軸が直交する直線偏光を透過するように配置されている。透明基板202側及び透明基板201側の液晶分子の長軸の配向方向は、偏光板209及び吸収型偏光選択部材(偏光板)208の透過偏光軸に対して、共に平行、もしくは共に直交するように構成している。
【0083】
吸収型偏光選択部材(偏光板)208および偏光板209としては、例えば延伸したポリビニルアルコールにヨウ素を吸収させることにより偏光機能を付与した膜の両面に、トリアセチルセルロースの保護層を施したものを用いることができる。なお、吸収型偏光選択部材(偏光板)208および偏光板209は、それぞれ透明基板202及び透明基板201に、アクリル系の接着剤により光学的に結合するよう接着する。
【0084】
このような構成により、液晶表示パネル200の背面(照明装置100側)から入射する照明光のうち、偏光板209を透過した直線偏光は、液晶層207を通過して吸収型偏光選択部材(偏光板)208に入射する。この際、液晶層207を透過する光の偏光状態は、液晶層207に印加する電圧によって変化させることができる。よって、画像情報発生部(不図示)から伝えられる画像情報に対応した電圧を透明電極203、205に印加して、液晶層207に電界を印加することで、液晶層207を通過する光の偏光状態を変え、吸収型偏光選択部材(偏光板)208を透過する光量を制御することができる。これにより、直線偏光光からなる所望の画像光を形成することができる。
【0085】
つぎに、反射型偏光選択部材300について説明する。
【0086】
反射型偏光選択部材300は、画像表示部1000から出射する第1の直線偏光成分は透過し、これと直交する偏光軸を有する第2の直線偏光成分は鏡面反射する機能を有するものを使用する。そのような部材としては、例えば国際出願の国際公開番号:WO95/27919号に開示されている異なる複屈折性高分子フィルムを交互に複数層積層した複屈折反射型偏光フィルム、或いは、コレステリック液晶層の表と裏に1/4波長板を配置したものを用いることができる。複屈折反射型偏光フィルムの場合、所定の直線偏光成分は透過し、これと偏光軸が直交する直線偏光成分は鏡面反射するフィルムが3M社(米国)からDBEFという商品名で市販されており、これを反射型偏光選択部材300として使用することができる。尚、反射型偏光選択部材300は、本表示装置を鏡状態にする場合に鏡面として機能する重要な部材であるため、マット処理等のように反射像をぼかすような処理がなされていないものを使用する。
【0087】
一方、反射型偏光選択部材300として、コレステリック液晶層の表と裏に1/4波長板を配置したもので構成する場合、配向処理された2枚の透明基板間に低分子コレステリック液晶を収めた液晶セルや、高分子コレステリック液晶層をガラス或いは透明樹脂等の平坦かつ光学的に等方で透明な基板上に形成したものを、コレステリック液晶層として使用することができる。コレステリック液晶層は、ヘリカルな分子配列に基づく特異な光学特性を示すもので、ヘリカル軸に平行に入射した光が、コレステリック螺旋の回転方向に応じて、一方の回転方向の円偏光は反射し、他方は透過するという選択反射を示すものである。選択反射の波長域は、分子配列のピッチによって決まるので、可視波長域全域で選択反射が起こるようにするためには、ピッチの異なる複数のコレステリック液晶層を積層して用いることが必要である。この場合、可視波長域全域で選択反射を得るために、ピッチの異なるコレステリック液晶層を複数層重ねる代わりにAsia Display 95 Digest, p735, The Institute of Television Engineers of Japan (ITE) & The Society for Information Display (SID) に記載されているようなピッチを連続的に変化させたコレステリック液晶層を用いてもよい。
【0088】
反射型偏光選択部材300として、コレステリック液晶層の表と裏に1/4波長板を配置したものを用いる場合、コレステリック液晶層の裏側、すなわち画像表示部1000側に配置される1/4波長板は、その遅相軸をつぎのような方向に設定する。すなわち、画像表示部1000から出射して、反射型偏光選択部材300に入射する第1の直線偏光を、コレステリック液晶層を透過する円偏光に変換するように、その遅相軸を配置する。一方、同じくコレステリック液晶層の表側、すなわち透過偏光軸可変部400側に配置される1/4波長板は、コレステリック液晶層を透過する円偏光が第1の直線偏光へ変換されるように、その遅相軸を配置する。
【0089】
このようにコレステリック液晶層の表と裏に1/4波長板を配置した構成の反射型偏光選択部材に第2の直線偏光が入射した場合、第2の直線偏光は、1/4波長板の作用で、コレステリック液晶層を透過する円偏光とは逆周りの円偏光に変換されるため、コレステリック液晶層で選択反射される。コレステリック液晶層で反射した円偏光は、再び1/4波長板を透過する際、その作用で第2の直線偏光に変換される。
【0090】
尚、この構成の反射型偏光選択部材300に使用する1/4波長板は、可視波長の全域に於いて1/4波長板として機能するものを用いることが望ましい。1/4波長板としては、可視波長域において高い透過率を有する、延伸した高分子フィルム、例えばポリビニルアルコール、ポリカーボネート、ポリサルフォン、ポリスチレン、ポリアリレート等を用いることができる。この他にも雲母や水晶または分子軸を一方向に揃えて配向した液晶層等を用いることができる。
【0091】
また、一般に1/4波長板を構成する材質の屈折率の波長依存性(以下、波長分散)により、一種類の位相差板で可視波長の全域に対し1/4波長板として機能する位相差板を構成することは困難であるが、波長分散の異なる少なくとも2種類の位相差板をその光学軸を直交するように貼り合わせることで広い波長域で1/4波長板として機能するよう構成したものを使用するようにすればよい。
【0092】
尚、反射型偏光選択部材300として、複屈折反射型偏光フィルム、もしくはフィルム状のコレステリック液晶層と1/4波長板の積層部材のように、フィルム状の部材を用いる場合は以下の点に注意する。
【0093】
すなわちフィルム状の反射型偏光選択部材は、そのままでは平坦性が低いため単に画像表示部1000の前面に配置しただけでは、ゆがみが多く、実用上満足な鏡を実現するのは困難である。そこで、反射型偏光選択部材300としてフィルム状の部材を使用する場合は、透明な粘着剤を介して、ガラス板あるいはプラスチック板等のように剛性が高く、平坦、かつ透明で光学的に等方な透明基材に粘着固定し、歪みがないようにすることが望ましい。
【0094】
あるいは反射型偏光選択部材300を平坦な状態で固定するために、新たな透明基材に粘着固定する代わりに、液晶表示パネル200或いは後述の透過偏光軸可変部400の透明基板に固定する構成にすることができる。いずれにしても、反射型偏光選択部材300としてフィルム状の部材を用いる場合は、歪みの無い鏡を実現するために、別の平坦な部材に粘着固定することが望ましい。
【0095】
つぎに、透過偏光軸可変部400について説明する。
【0096】
透過偏光軸可変部400は、入射した直線偏光光が透過する際に、その偏光状態を変化させて、入射した直線偏光とは偏光軸が直交する直線偏光光へ変化させる状態と、偏光状態を変化させない状態のいずれかを選択可能な構成であり、例えば図8に図示するような液晶素子を用いることができる。
【0097】
この透過偏光軸可変部400は、ITOからなる透明電極403、及びポリイミド系高分子からなる配向膜404が全面的に積層形成された第1の透明基板401と、同じく透明電極406、及び配向膜405が全面的に積層形成された第2の透明基板402と、液晶層407とを含む。尚、2枚の透明基板401,402にそれぞれ形成された透明電極403、406は、図示しない配線、及び切り替えスイッチ813(図1参照、図8では不図示)を介して電源に接続されている。よって、透明電極403、406に電圧を印加しない状態と、電圧を印加する状態のいずれかの状態を選択可能に構成されている。つまり、透明電極403,406に電位差がなく、液晶層407に電界が印加されない状態と、透明電極403,406に電圧を印加し、液晶層407に電界が印加される状態のいずれかの状態を選択可能に構成されている。
【0098】
透過偏光軸可変部400の液晶層407は、2枚の透明基板401,402を配向膜の形成面が向かい合うように配置し、図示しないスペーサーを挟むことで2枚の透明基板401、402の間に一定の間隙を設け、この間隙の周囲をシール材410で枠状にシールして空間を形成し、この空間に誘電異方性が正のネマチック液晶を封入することで構成する。
【0099】
尚、ここでは透過偏光軸可変部400として、2枚の透明基板401,402に形成した配向膜404,405にそれぞれラビング処理等の配向処理を行い、液晶層407の液晶分子長軸を2枚の透明基板401,402間で連続的に90°捩じれるよう構成した、いわゆるTN液晶素子の場合を説明する。
【0100】
この場合、透明基板402側の液晶分子長軸の配向方向は液晶表示パネル200の吸収型偏光選択部材(偏光板)208の直線偏光透過偏光軸と平行、もしくは直交するように構成し、液晶層407は可視波長域においてウエーブガイドの条件を満たすように構成する。ウエーブガイドの条件は、例えばJ. Phys. D: Appl. Phys. Vol.8 (1975)の第1575〜1584頁のC. H. GoochとH. A. Tarryによる論文に記載されている。
【0101】
ここでは液晶の複屈折をΔn、液晶層の厚さをdとした場合、d・Δn=0.4452(波長633nm)とした。
【0102】
上記構成により本実施例の透過偏光軸可変部400は、2枚の透明基板401,402にそれぞれ形成された透明電極403,406に電位差がなく、液晶層407に電界が印加されないオフ状態では、画像表示部1000から出射し、反射型偏光選択部材300を透過した第1の直線偏光はこれと偏光軸が直交する第2の直線偏光光へ変化する。 一方、2枚の透明基板401,402にそれぞれ形成された透明電極403,406に電圧を印加し、液晶層407に電界が印加されるオン状態では画像表示部1000から出射し、反射型偏光選択部材300を透過した第1の直線偏光光はその偏光軸が変化することなく透過する。この際、透明電極403,406に印加する電圧は±5V、60Hzであれば十分に機能した。
【0103】
尚、実施例1では、透過偏光軸可変部400としてTN液晶素子の場合を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち透過偏光軸可変部400は入射した直線偏光光が透過する際にその偏光軸を変化させて入射した直線偏光光とは偏光軸が直交する直線偏光光へ変化させる状態と、偏光軸を変化させない状態のいずれかの状態に選択可能な部であれば良く、上記TN液晶素子の他にECB(Electrically Controlled Birefringence)液晶素子、強誘電液晶素子、反強誘電液晶素子等を用いることができる。
【0104】
つぎに、吸収型偏光選択部材500について説明する。
【0105】
吸収型偏光選択部材500は入射した光のうち第1の直線偏光成分は吸収し、これと偏光軸が直交する第2の直線偏光成分は透過する、もしくは第1の直線偏光成分は透過し、第2の直線偏光成分は吸収する機能を有するもので、いわゆる偏光板を用いることができる。つまり、吸収型偏光選択部材500としては、例えば延伸させたポリビニルアルコールにヨウ素を吸収させて偏光機能を付与した膜の両面に、トリアセチルセルロースの保護層を施した偏光板を用いることができる。
【0106】
尚、吸収型偏光選択部材500は、映り込みによる画質の劣化を抑えるために、その表面に正反射を抑える処理を施すことが望ましい。但し、ここで重要なのは本発明の表示装置は鏡としても機能するため、吸収型偏光選択部材500の正反射防止の処理として、表面に微細な凹凸を形成する、或いは表面に透明微粒子を含有する透明樹脂層を形成するなどして正反射成分を低減する方法は望ましくない。なぜなら、このような処理をした場合、映り込みの低減により画像表示性能は向上するが、鏡に映る像がぼけてしまい鏡の性能が劣化するという問題が生じるからである。
【0107】
従って、吸収型偏光選択部材500の正反射防止の処理としてはその表面に反射防止膜を形成することが望ましい。反射防止膜としては公知の技術を用いることができる。即ち、光学設計された屈折率の異なる数種の金属酸化物を蒸着により多層コートする方法、或いはフッ素化合物などの低屈折率材料を塗布する方法を用いれば良い。
【0108】
つぎに、本実施例の表示装置の各部材の軸の方向について、図9を用いて説明する。
【0109】
ここでは、吸収型偏光選択部材500は、入射した光のうち第1の直線偏光成分は吸収し、これと偏光軸が直交する第2の直線偏光成分は透過する場合を示す。尚、各軸の角度は画像表示面の水平方向3時の位置を基準とし、ここから逆時計周りの角度で示している。図9に示す通り、画像表示部1000を構成する液晶表示パネル200として、TN液晶表示パネルを用いた場合は、視角特性の水平方向の対称性を得るため、通常、偏光板の直線偏光の透過偏光軸は135°(または45°、本実施例では135°)とする。従って、反射型偏光選択部材300の直線偏光の透過偏光軸も同じく135°、透過偏光軸可変部400の透明基板402側と、透明基板401側の液晶分子長軸の配向方向はそれぞれ135°と45°、吸収型偏光選択部材500の直線偏光の透過偏光軸は45°とする。
【0110】
次に、本実施例1の表示装置の動作を、図10および図11を用いて説明する。
【0111】
実施例1の表示装置が画像表示状態の場合について、図10を用いて説明する。表示装置が画像表示状態の場合、透過偏光軸可変部400は、これを構成する液晶層407に電圧を印加しない状態、すなわちオフ状態となるよう、切り替えスイッチ813をオフとする。画像表示部1000の照明装置100から出射し、液晶表示パネル200の吸収型偏光選択部材(偏光板)208を透過した直線偏光は、画像光3001として画像表示部1000から出射される。この第1の直線偏光からなる画像光3001は、反射型偏光選択部材300を透過して、透過偏光軸可変部400に入射する。透過偏光軸可変部400を通過する画像光3001は第1の直線偏光から第2の直線偏光に変化する。透過偏光軸可変部400を透過した第2の直線偏光の画像光3001は、吸収型偏光選択部材500に入射する。吸収型偏光選択部材500は第1の直線偏光成分は吸収し、第2の直線偏光成分は透過するため、第2の直線偏光の画像光3001は吸収型偏光選択部材500を透過して、観察者に観察される。
【0112】
一方、観察者側(図中左側)から表示装置へ入射する外光3002は、非偏光であるが、吸収型偏光選択部材500を透過する際、第1の直線偏光成分は吸収され、第2の直線偏光成分のみが透過する。吸収型偏光選択部材500を透過した外光3002は透過偏光軸可変部400を透過する際、第2の直線偏光から第1の直線偏光に変化し、反射型偏光選択部材300を透過して画像表示部1000に向かう。この光は、第1の実施の形態で説明した通り、ほとんど観察者側へは戻ってこない。
【0113】
従って、画像表示状態では、画像表示部1000から出射した画像光3001はほとんど損失することなく観察者へ向かうため明るい画像を得ることができる。さらに、外光3002は鏡状態の場合に鏡として機能する反射型偏光選択部材300で反射されることがないので映り込みや、コントラスト比の低下といった外光に起因した画質の劣化がほとんど起こらない。
【0114】
図11は、本表示装置が鏡状態の場合を示す。本表示装置が鏡状態の場合、透過偏光軸可変部400は、これを構成する液晶層407に電界を印加するオン状態とするように、切り替えスイッチ813をオンにする。この場合、観察者側から本表示装置へ向かう外光3002は、非偏光であるが、吸収型偏光選択部材500を透過する際、第1の直線偏光成分は吸収され、第2の直線偏光成分のみが透過し、透過偏光軸可変部400に入射する。このとき透過偏光軸可変部400に入射した外光3002は透過偏光軸可変部400を偏光軸が変化することなく第2の直線偏光光のまま透過し、反射型偏光選択部材300に至る。反射型偏光選択部材300は第1の直線偏光成分は透過し、第2の直線偏光成分は鏡面反射するため、外光3002は反射型偏光選択部材300で反射する。反射型偏光選択部材300で反射した外光3002は透過偏光軸可変部400を偏光軸が変化することなく第2の直線偏光のまま透過し、さらに偏光選択部材500も透過して観察者へ向かうため鏡状態が実現する。
【0115】
この際、本実施例の画像表示部1000では、吸収型偏光選択部材(偏光板)208を備えているため、暗表示領域の画像光は、吸収型偏光選択部材(偏光板)208により吸収され、反射型偏光選択部材300に至ることがない。よって、反射型偏光選択部材300の反射性能の如何に関わらず、暗表示部領域から光の漏れを大幅に低減することができる。
【0116】
また、画像表示部1000から出射する画像光のうち、明表示領域から出射される画像光3001は、反射型偏光選択部材300を透過して透過偏光軸可変部400に入射する。本表示装置が鏡状態の場合、透過偏光軸可変部400はオン状態であり、このとき透過偏光軸可変部400を透過する画像光3001は、偏光軸が変化することなく第1の直線偏光光のまま透過するため、吸収型偏光選択部材500で吸収されて観察者にはほとんど観察されない。
【0117】
つまり、鏡状態の場合には画像表示部材からの光は観察者に至ることがなく、一方、周囲から表示装置に入射する外光3002は理想的には非偏光の半分の光が反射型偏光選択部材300で反射して、観察者側に向かうため明るい鏡として機能する。
【0118】
また、本実施例の表示装置は、鏡状態のときに、透過偏光軸可変部400をオンにして、液晶分子407aを立たせる構成である。一般にネマティック型液晶は、電圧オンの液晶分子を立たせた状態の方が、電圧オフの液晶分子が捻れた状態のときよりも、斜め方向に出射させる光の偏光軸のずれは小さい。このため、本実施の形態の表示装置は、従来の技術で述べた鏡状態で電圧オフにする構成のものと比較して、鏡状態のときに画像光(明表示光)3001の斜め方向への光漏れが少ないという効果も得られる。
【0119】
尚、吸収型偏光選択部材208や吸収型偏光選択部材500として機能する偏光板の特性は、画像表示状態の画質や鏡状態の鏡の見え易さに直接関係する。具体的には、偏光板の透過率は画像表示状態での画像の明るさと、鏡状態での反射像の明るさに寄与するため、高いことが望ましい。また、偏光板の偏光度は、画像表示状態でのコントラスト比と外光の不要な反射の量に直接関係している。偏光板の偏光度が高いほど、画像表示のコントラスト比が高くなり、外光の不要な反射が小さくなることから、偏光板の偏光度は高いことが望ましい。鏡状態においても偏光度が高いほど画像表示部材からの光の漏れが小さくなり反射像のコントラスト比が向上してより見え易い鏡状態が実現されるため、偏光板の偏光度はより高いことが望ましい。
【0120】
従って、吸収型偏光選択部材208や吸収型偏光選択部材500として用いる偏光板は高透過率でなおかつ高偏光度の偏光板を用いることが望ましい。しかし、一般に偏光板の透過率と偏光度との間には図12に例示するようなトレードオフの関係が存在する(日東技報、Vol38, No.1,May,2000,pp11-14)。図12はヨウ素系偏光板の透過率と偏光度の一般的な関係を示すグラフであり、横軸が偏光板の透過率、縦軸が偏光度を示す。このため、吸収型偏光選択部材208と吸収型偏光選択部材500として用いる偏光板の特性の選択が、画像表示状態の画質と鏡状態での鏡性能の両立に極めて重要となる。
【0121】
図3、及び図4は鏡状態における画像表示部1000からの光の漏れを示すグラフである。図3が明表示部、図4が暗表示部の光の漏れの大小を輝度値で表す。これらのグラフは表示装置が画像表示状態の場合に、輝度値450cd/m2の明表示を行う条件でのデータであり、横軸が表示装置表示部上の位置を示し、縦軸が正面方向での輝度値を示す。また、図中Aタイプ偏光板、Bタイプ偏光板、Cタイプ偏光板が吸収型偏光選択部材208として用いた偏光板のタイプを示し、比較のため吸収型偏光選択部材208をなくし、他の構成は本実施例1の表示装置と同じにした場合の光漏れも併記している。図3,図4のAタイプ偏光板は透過率41.5%、偏光度99.97%、Bタイプ偏光板は透過率43.6%、偏光度99.5%、Cタイプ偏光板は透過率45.4%、偏光度96.60%である。尚、図3および図4のデータは、吸収型偏光選択部材500として、Aタイプ偏光板を用いている。
【0122】
図3および図4に示すとおり、Aタイプ、Bタイプ、Cタイプのどの偏光板であっても吸収型偏光選択部材208を備えたことで、吸収型偏光選択部材208がない場合と比較して、光の漏れが著しく低減しており、コントラスト比の高い反射像を映し出す鏡が実現ができることがわかる。特に、偏光度が99.5%以上のAタイプおよびBタイプ偏光板の場合、図4に示す通り暗表示部での光の漏れが著しく低減して、コントラスト比がより高い反射像を映し出す高品位な鏡状態が実現ができることがわかる。
【0123】
従って、吸収型偏光選択部材208として用いる偏光板の偏光度は、少なくとも96.60%以上であることが望ましく、より高品位な鏡状態を実現するために偏光度が99.5%以上であることがより望ましい。
【0124】
一方、図13は吸収型偏光選択部材500として用いる偏光板の偏光度と、鏡状態での鏡の反射率、及び画像表示状態での外光の反射率(不要反射率)との関係を示すグラフである。横軸が、吸収型偏光選択部材500として用いる偏光板の偏光度、縦軸が反射率を示す。図13の通り、吸収型偏光選択部材500として用いる偏光板の偏光度を99.97%から96.60%と下げて、より高透過率なものとすることで、鏡状態での反射率が約10%向上し、より明るい鏡が実現できる。この際、画像表示状態での不要反射率の増加は小さかった。
【0125】
図14は、吸収型偏光選択部材208として用いる偏光板の偏光度と画像表示状態における明表示の輝度値の関係の一例を示すグラフであり、横軸が偏光板の偏光度、縦軸が相対輝度を示す。尚、図14のデータは、吸収型偏光選択部材500としてAタイプ偏光板を用いている場合のデータである。図14の通り、吸収型偏光選択部材208として用いる偏光板の偏光度を、99.97%から96.60%と低下させて、高透過率のものとすることで輝度値が約9.5%上昇し、より明るい画像が得られた。この関係は吸収型偏光選択部材208の偏光板の特性を固定し、吸収型偏光選択部材500の偏光板の偏光度を変えた場合も同じであった。
【0126】
また、吸収型偏光選択部材208および吸収型偏光選択部材500のうちのどちらか一方に偏光度が99.5%以上の偏光板を用いれば、他方の偏光板の偏光度が96.6%以下であっても十分なコントラスト比が得られた。従って、画像表示状態において十分なコントラスト比を維持しつつ、輝度を向上するためには吸収型偏光選択部材208および吸収型偏光選択部材500のうちのどちらか一方の偏光板に偏光度の高い偏光板を用い、他方に偏光度の低い偏光板を用いることが有効である。
【0127】
以上から、吸収型偏光選択部材208の偏光板の偏光度をP1とし、吸収型偏光選択部材500の偏光板の偏光度をP2とした場合、画像表示状態における表示画像の明るさとコントラスト比、及び鏡状態における反射像のコントラスト比と明るさを高いレベルで両立するために以下の条件を満足することが望ましい。
条件1 0.966≦P1≦0.995≦P2。
条件2 0.966≦P2≦0.995≦P1を満足し、鏡状態では必ず画像表示部材を暗表示とする。
【0128】
尚、条件2で鏡状態では必ず画像表示部材を暗表示とするとした理由は、吸収型偏光選択部材500の偏光板の偏光度が低い場合、明表示領域からの光の漏れが大きくなり、反射像のコントラスト比が著しく低下してしまうからである。そこで、暗表示とすることにより、光の漏れを防止し、コントラスト比の低下を防止する。
【0129】
尚、本実施例1の表示装置では、照明装置100の点灯、消灯を、透過偏光軸可変部400の切り替えスイッチ813の切り替えと連動させる切替え部を設けて、全面鏡状態の場合に照明装置を消灯するようにしてもよい。この場合、画像表示部1000から光は出力されないので光の漏れがなくコントラスト比が高い反射像が得られる見やすい鏡を実現できるとともに、消灯した分だけ表示装置の消費電力が低減できるといった効果もある。
【0130】
また、画面の一部だけを鏡状態とし、残りの部分に画像を表示する場合には、照明装置は消灯せず、鏡状態の領域に該当する画像表示部1000の領域を暗表示とすることで高コントラスト比な反射像を実現する鏡の実現と、明るい画像表示領域を同一画面上に実現することができる。
【0131】
上記の通り、本発明の表示装置によれば、反射型偏光選択部材300は、透過偏光軸可変部400による偏光状態の制御により、実効的に透明な状態と、鏡として機能する状態とに切り換えられる。従って、画像表示状態では反射型偏光選択部材300を実効的に透明な状態とすることで明るい画像が得られる。また、周囲が明るい環境であっても、外光は表示装置でほとんど反射されないので、ハーフミラーを使用する場合のような映り込みや、それに伴うコントラスト比の低下といった画質の劣化が生じない。つまり、画像表示状態と鏡状態の切り換えを互いの性能を劣化することなく実現できる。
【0132】
また、本実施例の画像表示部1000では、吸収型偏光選択部材(偏光板)208を備えているため、暗表示領域の画像光は、吸収型偏光選択部材(偏光板)208により吸収され、反射型偏光選択部材300に至ることがない。よって、反射型偏光選択部材300の反射性能の如何に関わらず、鏡状態における暗表示部領域から光の漏れを大幅に低減することができる。
【0133】
尚、上記実施例では吸収型偏光選択部材500として第2の直線偏光成分は透過し、これと偏光軸が直交する第1の直線偏光成分は吸収する場合を示したが、吸収型偏光選択部材500として第1の直線偏光成分は透過し、第2の直線偏光成分は吸収するものを用いるようにしてもよい。この場合は、透過偏光軸可変部400が液晶層407に電圧を印加しない状態、すなわちオフ状態で鏡状態となり、透過偏光軸可変部400が液晶層407に電圧を印加する状態、すなわちオン状態で画像表示状態となるようにする。すなわち、表示装置全体の電力が切れている場合に鏡状態とすることができる。このことは本表示装置をハンドヘルドPCや、携帯電話といったできるだけ消費電力を小さくしたい機器に採用する場合、鏡機能を消費電力がない状態で実現できるためとても有利となる。
【0134】
尚、本実施例1の表示装置において、構成部材の界面における光の反射を低減するため、各部材を屈折率を合せた透明な粘着剤により光学的に結合する構成にすることも可能である。
【0135】
(実施例2)
本発明の実施例2の、鏡状態への切り替え機能付き表示装置を図15,図16を用いて説明する。本実施例2の表示装置は、基本構成が第2の実施の形態の図1、図2に示した表示装置と同様である。すなわち、本実施例2の表示装置は、実施例1で説明した表示装置の吸収型偏光選択部材500を、反射型偏光選択部材301と可変偏光選択部材600の組み合わせに置き換えたものである。従って、実施例1と同一部分には同じ符号を付け、その部分の詳細な説明は省略する。
【0136】
本表示装置の構成は、図15,図16に示したように、実施例1の表示装置の吸収型偏光選択部材500に代えて、第1の直線偏光成分は反射し、第2の直線偏光成分は透過する反射型偏光選択部材301と、入射した光のうち第1の直線偏光成分は吸収し、第2の直線偏光成分は透過する状態と、全偏光成分を透過する状態のいずれかの状態に選択可能な可変偏光選択部材600とを、透過偏光軸可変部400側から順に配置したものである。
【0137】
尚、観察者は可変偏光選択部材600側(図中左側)から本表示装置を観察することになる。
【0138】
画像表示部1000としては光の透過光量を調節することで画像を表示する液晶表示パネル200とその背面に配置した照明装置100とから構成されるものを用いることができきる。
【0139】
本実施例2では、以下図16を参照して、(実施例1)と同様、照明装置100としてはエッジライト方式、表示パネル200としてはTN液晶表示パネルを用いる場合を説明するが本発明はこれに限定されるものではない。
【0140】
反射型偏光選択部材300、及び反射型偏光選択部材301は、所定の直線偏光成分は透過し、これと直交する偏光軸を有する直線偏光成分は鏡面反射するものである。このような部材としては(実施例1)で述べた複屈折反射型偏光フィルム、或いは、コレステリック液晶層とその表と裏に1/4波長板を積層した部材を用いることができる。
【0141】
尚、反射型偏光選択部材300、及び反射型偏光選択部材301として、屈折反射型偏光フィルム、もしくはフィルム状のコレステリック液晶層と1/4波長板の積層部材といったフィルム状の部材を用いる場合は、以下のようにする。すなわちフィルム状の反射型偏光選択部材はそのままでは平坦性が低いため、透明な粘着剤を介して、ガラス板あるいはプラスチック板等の剛性が高く平坦で、なおかつ透明で光学的に等方な透明基材に粘着固定し、歪みがないようにすることが望ましい。フィルム状の反射型偏光選択部材300、及び反射型偏光選択部材301を、液晶表示パネル200の透明基板等の隣接する他の部材の基板等に粘着固定するようにしてもよい。
【0142】
透過偏光軸可変部400は、入射した直線偏光光が透過する際にその偏光軸を変化させて入射した直線偏光光とは偏光軸が直交する直線偏光光へ変化させる状態と、偏光軸を変化させない状態のいずれかの状態に選択可能な部であり、(実施例1)で説明した液晶素子を用いることができる。
【0143】
本実施例では、透過偏光軸可変部400は反射型偏光選択部材300と反射型偏光選択部材301との間に配置される。反射型偏光選択部材300と反射型偏光選択部材301は、本表示装置を鏡状態としたときに反射面として機能する部材である。このため、反射型偏光選択部材300及び反射型偏光選択部材301の間隔が大きくなると反射型偏光選択部材300及び反射型偏光選択部材301でそれぞれ反射した像に視差が生じるため、両者の間隔はできるだけ小さくすることが望ましい。つまり、反射型偏光選択部材300及び反射型偏光選択部材301の間に配置される透過偏光軸可変部400の厚さはできるだけ薄くすることが望ましい。
【0144】
本実施例2の表示装置は、鏡状態では人が自分の顔を写して観察することを主な用途とする。成人男子の全顔高さの平均が234.6mm(人間工学基準数値数式便覧;1992年、技報堂出版)であることから、眼から顔の端までの垂直距離をその半分の117.3mmと仮定し、鏡状態の本表示装置と眼の距離を300mmとし、さらに「平均的な視力1.0の解像力の定義が視角で最小1分」(視力の定義;1909年国際眼科学会)であることを考慮すると、視差を感じさせないためには反射型偏光選択部材300と反射型偏光選択部材301の間隔は幾何学的計算から0.11mm以下とすることが望ましい。
【0145】
つまり、現在、一般に液晶素子に使用されている厚さ0.7mmのガラス基板を透過偏光軸可変部400の透明基板401、402に採用すると本表示装置が鏡状態のとき反射した像には視差を生じることになる。従って、実用上視差の無い鏡を実現するためには透明基板401、402として0.05mm以下の透明基板を用いることが望ましい。このような透明基板401、402としては、ガラス或いは高分子フィルムを用いることができる。高分子フィルムとしては、特に光学的異方性がないものとしてトリアセチルセルロースや、キャスティング法(溶液流延法)により成膜した無延伸のポリカーボネート等を用いることができる。
【0146】
或いは、反射型偏光選択部材300及び反射型偏光選択部材301を透明基板401、402よりも液晶層407側に配置し、液晶層407を挟むように構成すれば反射型偏光選択部材300と反射型偏光選択部材301との間隔は液晶層の厚み程度になるため、視差のない鏡状態を実現できる。
【0147】
尚、用途によっては多少の視差は許容されるので、本発明は反射型偏光選択部材300と反射型偏光選択部材301の間隔が上記の値でない場合を除外するものではない。
【0148】
一方、可変偏光選択部材600は、入射した光のうち第1の直線偏光成分は吸収し、これと偏光軸が直交する第2の直線偏光成分は透過する状態と、全偏光成分が透過する状態のいずれかの状態を選択可能な部材である。このような部としてはゲストホスト型の液晶素子を用いることができる。ここで、ゲストホスト型液晶素子を用いた可変偏光選択部材600について図17,18を参照して説明する。
【0149】
ゲストホスト型液晶素子を用いた可変偏光選択部材600は、ITOからなる透明電極603およびポリイミド系高分子からなる配向膜604が全面的に積層形成された第1の透明基板601と、透明電極606および配向膜605が全面的に積層形成された第2の透明基板602と、これらに挟まれたゲストホスト型の液晶層607とを含む。
【0150】
尚、2枚の透明基板601,602にそれぞれ形成された透明電極603、606は配線及び切り替えスイッチ600aを介して電源に接続されており、透明電極603、606に電圧を印加しない状態と、電圧を印加する状態のいずれかの状態を選択できる。つまり、透明電極603,606に電位差がなく、液晶層607に電界が印加されない状態と、透明電極603,606に電圧を印加し、液晶層407に電界が印加される状態のいずれかの状態を選択可能に構成されている。
【0151】
液晶層607は、2枚の透明基板601,602を配向膜形成面が向かい合うように配置し、さらに図示しないスペーサーを挟んで、2枚の透明基板601、602の間に一定の間隙を設け、この間隙の周囲をシール材610で枠状にシールして空間を形成し、この空間にゲストホスト型の液晶を封入することで構成する。
【0152】
ここで、可変偏光選択部材600の動作について図17、図18を参照して説明する。図17、及び図18は可変偏光選択部材600の一例を示す一部概略断面図である。ゲストホスト型の液晶層607はネマチック液晶6072にゲストとして2色性色素6071を添加したものである。本実施例ではネマチック液晶として誘電異方性が正の液晶を用い、液晶分子長軸の配向方向はラビング処理を施した配向膜604、605によって、基板601,602に対して略水平で、なおかつ2枚の透明基板601、602間で捩じれのない配向、即ちホモジニアス配向とする。このとき2枚の透明基板601、602近傍の配向方向が互いに平行となるようなプレチルトを付けておく。プレチルトの角度はリバースチルトが起こらないよう2°以上付けることが望ましく、ここでは約4°のプレチルトを付けた。
【0153】
ここで、2色性色素6071は棒状構造をしており、液晶分子に平行な方向に配向する性質がある。このため、例えば液晶分子の配向を基板に対して水平方向から垂直方向へ変化させると、2色性色素もこれに習って水平方向から垂直方向へ配向が変化する。ここでは液晶層607として三菱化成株式会社製のゲストホスト液晶材料LA121/4(商品名)を用い、液晶層607の厚さは5μmとした。
【0154】
図17は、2枚の透明基板601、602にそれぞれ形成した透明電極603、606の間に電位差がなく液晶層607に電界が印加されていない状態、すなわち切り替えスイッチ600aがオフ状態を示す。この場合、液晶層607のネマチック液晶6072は初期配向状態、即ち基板に略水平(図中紙面の左右方向)なホモジニアス配向であり、2色性色素6071もこれに習って配向している。2色性色素6071は分子軸に略平行な吸収偏光軸を持っており、分子軸に平行な偏光成分は強く吸収し、これと直交する偏光成分は殆ど吸収しないという性質を持っている。このため透明基板面に対してほぼ垂直方向から入射するさまざまな偏波面をもつ入射光5000は液晶層607を通過する際、2色性色素6071の分子軸に平行な電気ベクトルの振動方向を有する直線偏光成分Lpは吸収され、これと直交する直線偏光成分Lsは透過する。
【0155】
図18は2枚の透明基板601、602にそれぞれ形成した透明電極603、606に電圧を印加し、液晶層607に電界を印加した状態、すなわち切り替えスイッチ600aがオン状態を示す。この場合、ネマチック液晶6072の分子長軸の配向方向は2枚の透明基板601、602に対して水平方向から垂直方向へ変化し、これに伴い2色性色素6071の配向方向も垂直方向へ変化する。このため透明基板面に対してほぼ垂直方向から入射するさまざまな偏波面をもつ入射光5000は殆どの偏光成分が吸収されることなく透過する。この際、本実施例では透明基板601、602の透明電極603、606に印加した電圧は±30V、60Hzとした。
【0156】
従って、液晶分子の配向方向を第1の直線偏光の偏光軸と一致させれば、入射した光のうち第1の直線偏光成分は吸収してこれと偏光軸が直交する第2の直線偏光成分は透過する状態と、全偏光成分が透過する状態のいずれかの状態を選択可能な可変偏光選択部材を実現できる。
【0157】
尚、可変偏光選択部材600には、外光の映り込みによる画質の劣化を抑えるために、その表面に正反射を抑える処理を施すことが望ましい。但し、ここで重要なのは本発明の表示装置は鏡としても機能するため、可変偏光選択部材600の正反射防止の処理として、表面に微細な凹凸を形成する、或いは表面に透明微粒子を含有する透明樹脂層を形成するなどして正反射成分を低減する方法は望ましくない。なぜなら、このような処理をした場合、映り込みの低減により画像表示性能は向上するが、鏡に映る像がぼけてしまい鏡の性能が劣化するという問題が生じるからである。従って、可変偏光選択部材600の正反射防止の処理としてはその表面に反射防止膜を形成することが望ましい。反射防止膜としては公知の技術を用いることができる。即ち、光学設計された屈折率の異なる数種の金属酸化物を蒸着により多層コートする方法、或いはフッ素化合物などの低屈折率材料を塗布する方法を用いることができる。
【0158】
図19は本実施例の各部材の軸の方向の説明図である。尚、各軸の角度の表示は画像表示面水平方向の3時の位置を基準とし、ここから逆時計周りの角度で示している。図19に示す通り、画像表示部1000を構成するTN液晶表示パネル200の吸収型偏光選択部材(偏光板)208の直線偏光の透過偏光軸は135°とする。従って、反射型偏光選択部材300の直線偏光の透過偏光軸も同じく135°、透過偏光軸可変部400の透明基板402側と、透明基板401側の液晶分子長軸の配向方向はそれぞれ135°と45°、反射型偏光選択部材301の直線偏光の透過偏光軸は45°、可変偏光選択部材600の透明基板602側と透明基板601側の液晶分子長軸の配向方向は共に135°とする。
【0159】
次に、実施例2の表示装置の動作を図面を参照して説明する。図20及び図21は本表示装置の基本構成と動作を説明するための概略構成図である。
【0160】
本実施例では可変偏光選択部材600が、オフ状態で第1の直線偏光成分(図中紙面上下方向)は吸収し、これと偏光軸が直交する第2の直線偏光成分(図中紙面垂直方向)は透過し、オン状態で全偏光成分を透過する場合を述べる。
【0161】
また、透過偏光軸可変部400としては、オフ状態では入射した直線偏光光が透過する際にその偏光軸を変化させて入射した直線偏光光とは偏光軸が直交する直線偏光光へ変化させ、オン状態では偏光軸を変化させない場合を述べる。
【0162】
図20は、画像表示状態の場合を示す。本表示装置が画像表示状態の場合は透過偏光軸可変部400はこれを構成する液晶層407に電圧を印加しない状態、すなわちオフ状態とする。また、可変偏光選択部材600もオフ状態とする。
【0163】
既に述べた通り、画像表示部1000は液晶表示パネル200とのその背面に配置した照明装置100から構成されており、照明装置100から出射し、液晶表示パネル200の吸収型偏光選択部材(偏光板)208を透過した第1の直線偏光が画像光3001として画像表示部1000から出射する。画像表示部1000から出射した第1の直線偏光光からなる画像光3001は反射型偏光選択部材300を透過して、透過偏光軸可変部400に入射する。
【0164】
透過偏光軸可変部400を通過する画像光3001は第1の直線偏光光から第2の直線偏光光に変化する。透過偏光軸可変部400を透過した画像光3001は反射型偏光選択部材301へ入射する。反射型偏光選択部材301は、第1の直線偏光成分は鏡面反射するが、第2の直線偏光成分は透過するため、透過偏光軸可変部400により第2の直線偏光光に変化した画像光3001は、反射型偏光選択部材301を透過して、可変偏光選択部材600に入射する。本表示装置が画像表示状態の場合、可変偏光選択部材600はオフ状態であり、これに入射する光のうち第1の直線偏光成分は吸収されるが、第2の直線偏光成分は透過する。従って、画像光3001は可変偏光選択部材600を透過して、観察者に観察される。
【0165】
一方、観察者側(図中左側)から表示装置へ向かう外光3002は非偏光であるが、表示装置が画像表示状態の場合、可変偏光選択部材600はオフ状態であり、これに入射する光は第1の直線偏光成分は吸収され、第2の直線偏光成分のみが透過する。可変偏光選択部材600を透過した外光3002は反射型偏光選択部材301を透過し、透過偏光軸可変部400を透過する際、第2の直線偏光光から第1の直線偏光光に変化して、反射型偏光選択部材300も透過して、画像表示部1000に向いほとんど観察者側へは戻ってこない。
【0166】
従って、画像表示状態では、画像表示部1000から出射した画像光3001はほとんど損失することなく観察者へ向かうため明るい画像を得ることができる。さらに、外光3002は表示装置ではほとんど反射されないので映り込みや、コントラスト比の低下といった外光に起因した画質の劣化が起こらない。
【0167】
図21は本表示装置が鏡状態の場合を示す。本表示装置が鏡状態の場合、透過偏光軸可変部400はこれを構成する液晶層407に電圧を印加してオン状態とする。可変偏光選択部材600もオン状態とする。
【0168】
この場合も画像表示部1000から出射し、反射型偏光選択部材300を透過した明表示に対応する画像光3001は透過偏光軸可変部400に入射する。このとき透過偏光軸可変部400を透過する画像光3001は偏光軸が変化することなく第1の直線偏光光のまま透過し、反射型偏光選択部材301で反射して画像表示部1000へ戻るため、観察者には観察されない。
【0169】
一方、観察者側から表示装置へ向かう外光3002は、表示装置が鏡状態の場合、可変偏光選択部材600はオン状態であり、ほとんどの偏光成分に対して透明な状態となるので、外光3002はそのほとんどが可変偏光選択部材600を透過する。可変偏光選択部材600を透過した外光3002は反射型偏光選択部材301に入射する。反射型偏光選択部材301に入射した外光3002のうち、第2の直線偏光成分は、反射型偏光選択部材301を透過し、第1の直線偏光成分は、反射型偏光選択部材301で反射され、再び可変偏光選択部材600を透過て観察者側へ向かう。一方、反射型偏光選択部材301に入射した外光3002のうち、反射型偏光選択部材301を透過した第2の直線偏光成分は偏光軸が変化することなく透過偏光軸可変部400を透過し、反射型偏光選択部材300で反射され、再び透過偏光軸可変部400と、反射型偏光選択部材301と可変偏光選択部材600を透過して観察者側へ向う。
【0170】
つまり、鏡状態の場合、画像光3001は反射型偏光選択部材301で反射し、画像表示部1000へ戻るため観察者に観察されない。また、外光3002は、第1の反射型偏光選択部材300、及び反射型偏光選択部材301により、そのほとんどの偏光成分が反射されるため、極めて明るい鏡として機能する。
【0171】
尚、上述の実施例1と同様、本実施例においても表示装置を鏡状態にする場合は、画像表示部1000の該当部分を暗表示にする、或いは画像表示部材を構成する照明装置100を消灯するといったことを上記動作と連動して行う構成にすることができる。この場合、画像表示部1000から画像光は出力されないので観察者に不要な迷光が向かって鏡の性能を損なうことがなくなり、特に照明装置100を消灯する場合は、鏡状態において消費電力を低減できるといった効果もある。
【0172】
上記の通り、本実施例の表示装置では、反射型偏光選択部材300及び反射型偏光選択部材301は、可変偏光選択部材600による偏光光の吸収の制御と、透過偏光軸可変部400による偏光状態の制御により、実効的に透明な状態と、鏡として機能する状態とに切り換えられる。従って、画像表示状態では反射型偏光選択部材300及び反射型偏光選択部材301を実効的に透明な状態とすることで明るい画像が得られ、さらに周囲が明るい環境であっても、外光は表示装置でほとんど反射されないので、ハーフミラーを使用する場合のような映り込みや、それに伴うコントラスト比の低下といった画質の劣化が生じない。つまり、画像表示状態と鏡状態の切り換えを互いの性能を劣化することなく実現できる。
【0173】
特に本実施例では、表示装置が鏡状態の場合、可変偏光選択部材600は透明状態となり、さらに反射型偏光選択部材301と反射型偏光選択部材300によって、外光はそのほとんどの偏光成分が反射されるため、実施例1の表示装置の2倍以上の極めて明るい鏡を実現できるという効果がある。
【0174】
尚、本表示装置を構成する各部材の界面反射を低減するため、各部材を屈折率を合せた透明な粘着剤により光学的に結合する構成にすることも可能である。
【0175】
尚、上記実施例では可変偏光選択部材600の液晶層607として、ネマチック液晶に誘電異方性が正の液晶を用いホモジニアス配向としていたが、液晶層607のネマチック液晶として誘電異方性が負の液晶を用い、初期状態(電界無印加状態)において液晶分子長軸の方向が透明基板に対して略垂直となるホメオトロピック配向としたものを用いることもできる。この場合、2枚の透明基板601、602の透明電極603、606に電圧を印加し、液晶層607に電界を印加した際、液晶分子長軸の配向方向は2枚の透明基板601、602に対して垂直方向から水平方向に変化するが、液晶分子が一定方向に配向するように、液晶の初期配向状態にわずかなプレチルト角を付けておくと良い。
【0176】
液晶層607のネマチック液晶として誘電異方性が負の液晶を用い、ホメオトロピック配向とした場合、2枚の透明基板601、602の透明電極603、606の間で電位差がなく液晶層607に電界が印加されていない状態、すなわちオフ状態では、液晶層607のネマチック液晶はその分子長軸の方向が透明基板に対して略垂直となっており、2色性色素もこれに習って配向しているため、外部からの入射光は液晶層607で殆ど吸収されることなく透過する。
【0177】
一方、2枚の透明基板601、602の透明電極603、606に電圧を印加し、液晶層607に電界を印加した状態、すなわちオン状態ではネマチック液晶の分子長軸の配向方向は2枚の透明基板601、602に対して垂直方向から水平方向へ変化し、これに伴い2色性色素の配向方向も水平方向へ変化する。2色性色素は分子軸に略平行な吸収偏光軸を持っており、分子軸に平行な偏光成分は強く吸収し、これと直交する偏光成分は殆ど吸収しないという性質を持っている。このため外部からの入射光は液晶層607を通過する際、2色性色素の分子軸に平行な方向に電気ベクトルの振動方向を有する直線偏光成分は吸収され、これと直交する直線偏光成分は透過する。
【0178】
つまり、液晶層607に電界を印加した状態の液晶の配向方向を第1の直線偏光の偏光軸と一致させれば、入射した光のうち第1の直線偏光成分は吸収し、第2の直線偏光成分は透過する状態と、全偏光成分が透過する状態のいずれかの状態を選択可能な可変偏光選択部材を実現できる。
【0179】
尚、本実施例2では、反射型偏光選択部材301の観察者側に可変偏光選択部材600を配置する場合を述べた。可変偏光選択部材は画像表示状態では反射型偏光選択部材301での外光の不要反射を抑制し、鏡状態では実効的に透明な状態となって鏡の明るさ向上に貢献する重要な部材である。しかし、本発明は様々な用途を考慮した場合、反射型偏光選択部材301の観察者側に可変偏光選択部材600を配置しない構成を除外するものではない。この場合、画像表示状態では、外光が反射型偏光選択部材301で反射して画像が見にくくなる場合があるが、鏡状態においては反射型偏光選択部材、及び反射型偏光選択部材301での外光の反射を阻害する部材がないため80%以上の極めて高い反射率が得られた。この反射率はアルミニウムの薄膜をガラス基板上に形成した鏡に匹敵する明るさであり、一般の鏡と同等の明るさの鏡が実現できる。
【0180】
(鏡領域の大きさ)
ここで、実施例1および実施例2の表示装置が、鏡状態の際に、観察者が自分の顔を映し観察することが主たる用途である場合、望ましい鏡領域のサイズを求める。成人男子の全顔高さの平均が234.6mm、頭幅の平均が幅156.4mm(人間工学基準数値数式便覧;1992年、技報堂出版)であることを考慮すると、観察者が観察位置を変えることなく顔全体を鏡に映すには鏡の大きさとして高さ117.3mm、幅78.2mm以上の大きさが必要である。
【0181】
本発明の表示装置は(実施例1)においては、透過偏光軸可変部400により、また、(実施例2)では透過偏光軸可変部400と可変偏光選択部材600により画像表示状態と鏡状態の切り換えを行っている。よって、上記大きさの鏡領域を実現するためには、透過偏光軸可変部400を構成する2枚の透明基板401,402にそれぞれ形成された透明電極403,406と、可変偏光選択部材600の2枚の透明基板601、602にそれぞれ形成された透明電極603、606は少なくとも高さ117.3mm、幅78.2mm以上の領域に対して欠けることなく連続的に形成されていることが望ましい。というのは、透明電極が例えばこの領域範囲内で分割形成されているとすると、透明電極のある部分は鏡として機能するが、透明電極の隙間が鏡として機能せず、この間隙が筋状に観察されるなどして、鏡としては満足な性能が得られなくなるためである。
【0182】
尚、実施例1および実施例2の表示装置を、携帯電話や携帯情報端末といった携帯機器に使用する場合は、表示装置の大きさ自体が、上記した鏡サイズの高さ117.3mm、幅78.2mmに満たない場合がある。そこで、顔全体を映すのではなく、部分的に化粧を直す、或いは目の中のコンタクトレンズを確認する等に使用するのに適した大きさの、鏡のサイズが得られるようにすることもできる。この場合、鏡に顔の4分の1が映る大きさにすれば良い。具体的には鏡の大きさとして高さ58.6mm、幅39.1mm以上にすることが望ましい。
【0183】
従って、透過偏光軸可変部400を構成する2枚の透明基板401,402に、それぞれ形成された透明電極403,406と、可変偏光選択部材600の2枚の透明基板601、602にそれぞれ形成された透明電極603、606は、少なくとも高さ58.6mm、幅39.1mm以上の領域に対して欠けることなく連続的に形成されていることが望ましい。
【0184】
(実施例3)
上述した実施例1及び実施例2の表示装置では、第1の直線偏光を画像光として出射する画像表示部1000として、裏面に照明装置を配置した液晶表示パネルを用いる構成であったが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0185】
直線偏光光を画像光として出射する画像表示部1000としては、他に2次元光学スイッチ素子として液晶表示パネルを用いた背面投射型表示装置を用いることができる。実施例3は、実施例1で説明した表示装置の画像表示部1000として、背面投射型表示装置を用いたものであり、実施例1と同一部には同じ符号を付け詳細な説明は省略する。
【0186】
本表示装置は、図22のように、透過型スクリーン703と、投射装置701と、ミラー702とから構成され、投射装置701から出射した投射光704がミラー702を介して透過型スクリーン703に照射される構造になっている。透過型スクリーン703は、実施例1の反射型偏光選択部材300と、透過偏光軸可変部400と、吸収型偏光選択部材500とを含む。
【0187】
投射装置701は、2次元光学スイッチ素子として液晶表示パネルを用いた液晶投射装置を用いることができる。投射装置701は、投射光として各色光の偏光状態が一致した直線偏光を出射するものを用いる。さらに、投射装置701から出射される画像光704は、ミラー702の反射面に対してs偏光光、或いはp偏光光となるよう構成する。これは一般に、反射面に入射する光は反射面に対してs偏光成分とp偏光成分とで位相差が生じるため、反射面に対してs偏光光、或いはp偏光光以外の偏光光が入射するとその偏光状態が変化してしまうからである。
【0188】
ミラー702は、光学的に等方な透明ガラスに銀またはアルミニウムのような反射性金属を蒸着したものを用いることができる。
【0189】
透過型スクリーン703は、図23に示す通り、フレネルレンズシート1402と、レンチキュラレンズシート1401と、反射型偏光選択部材300と、透過偏光軸可変部400と、吸収型偏光選択部材500とをこの順に配置した構成となっている。フレネルレンズシート1402は凸レンズと同じ作用をする光学部品であり、投射装置701からの主光線の方向を観察者側に曲げて適視範囲を広げる働きをする。レンチキュラレンズシート1401は投射装置701からの限られた投射光束を観察者の観察範囲に有効に配光する作用をする。これにより、明るい画像を得られる。
【0190】
図24及び図25に、本実施例で用いることのできるレンチキュラレンズシート1401の一例を説明する。レンチキュラレンズシート1401は、シリンドリカルレンズ状のレンズ1501を一方向に複数配列し、光の集光部以外の部分にブラックストライプ1502を設けた構成となっており、レンズ1501の焦点位置を観察面とすることで、理想的には投射光の損失なく、外光に対するコントラスト比の低下を抑制することができる構成となっている。一般にレンチキュラレンズシートは、その母線を表示面に対して垂直方向になるように配列することで、水平方向に広い視野角が得られる。
【0191】
尚、フレネルレンズシート1402とレンチキュラーレンズシート1401はともに、投射装置701からの投射光704の偏光の乱れが極力小さくなるように、複屈折性が小さい部材、例えばアクリル樹脂を用いた射出成形品を用いることが望ましい。
【0192】
反射型偏光選択部材300は、すでに述べた通り、鏡の反射面として機能する重要な部材であるため、歪むことがないよう剛性があり平坦で光学的に等方な透明な基板、例えば厚さ3mm程度の射出成形したアクリル樹脂板等に粘着剤により貼りあわせた構成にすることができる。
【0193】
反射型偏光選択部材300、透過偏光軸可変部400、吸収型偏光選択部材500の各軸の方向は、投射装置701から出射し、透過型スクリーン703に入射する投射光704を第1の直線偏光として、実施例1で述べた通りに作用するように配置する。
【0194】
次に本表示装置の動作を説明する。ここでは吸収型偏光選択部材500が、第1の直線偏光成分は吸収し、第2の直線偏光成分は透過する場合を説明する。
【0195】
本表示装置は、画像表示部材に背面投射型表示装置を用いたこと以外は、実施例1と同様の部材で構成しているので、動作も同様となる。即ち、本表示装置が画像表示状態の場合、投射装置701から出射した画像光704はミラー702で反射して、透過型スクリーン703に入射する。透過型スクリーン703に入射した画像光704はフレネルレンズ1402と、レンチキュラレンズ1401の作用により、観察者の観察範囲に有効に広がりながら反射型偏光選択部材300を透過して、透過偏光軸可変部400に入射する。本表示装置が画像表示状態の場合、透過偏光軸可変部400を通過する画像光704は第1の直線偏光光から第2の直線偏光光に変化し、吸収型偏光選択部材500を透過して観察者に観察される。
【0196】
一方、観察者側から本表示装置へ向かう外光は非偏光であるが、吸収型偏光選択部材500を透過する際、第1の直線偏光成分は吸収され、第2の直線偏光成分のみが透過する。吸収型偏光選択部材500を透過した外光は透過偏光軸可変部400を透過する際、第2の直線偏光光から第1の直線偏光光に変化し、反射型偏光選択部材300を透過して、フレネルレンズ1402と、レンチキュラレンズ1401、さらにはミラー702を介して投射装置701へ向かい観察者側へはほとんど戻ってこない。
【0197】
従って、画像表示状態では、投射装置701から出射し、フレネルレンズ1402と、レンチキュラレンズ1401を通過した画像光704はほとんど損失することなく観察者へ向かうため明るい画像を得ることができる。さらに、外光は表示装置でほとんど反射されないので映り込みやコントラスト比の低下といった外光に起因した画質の劣化が起こらない。
【0198】
本表示装置が鏡状態の場合は、投射装置701から出射した画像光704はミラー702を介して、透過型スクリーン703に入射する。透過型スクリーン703に入射した画像光704はフレネルレンズ1402と、レンチキュラレンズ1401の作用により、観察者の観察範囲に有効に広がりながら反射型偏光選択部材300を透過して、透過偏光軸可変部400に入射する。表示装置が鏡状態の場合、透過偏光軸可変部400を透過する画像光704は偏光軸が変化することなく第1の直線偏光光のまま透過し、吸収型偏光選択部材500で吸収されるため、観察者には観察されない。
【0199】
一方、観察者側から表示装置へ向かう外光は非偏光であるが、吸収型偏光選択部材500を透過する際、第1の直線偏光成分は吸収され、第2の直線偏光成分のみが透過して透過偏光軸可変部400に入射する。透過偏光軸可変部400に入射した外光は透過偏光軸可変部400を偏光軸が変化することなく第2の直線偏光光のまま透過し、反射型偏光選択部材300に至る。反射型偏光選択部材300は第1の直線偏光成分は透過し、第2の直線偏光成分は鏡面反射するため、外光は反射型偏光選択部材300で反射する。反射型偏光選択部材300で反射した外光は透過偏光軸可変部400を偏光軸が変化することなく第2の直線偏光光のまま透過し、偏光選択部材500も透過して観察者へ向かう。
【0200】
従って、鏡状態では画像光704は吸収型偏光選択部材500で吸収され、観察者に至ることがなく、表示装置に入射する外光は理想的には非偏光の半分の光が反射型偏光選択部材300で反射して、観察者側に向かうため明るい鏡として機能する。
【0201】
尚、本表示装置を鏡状態にする場合は、鏡状態となる領域に該当する領域では投射装置701の画像を暗表示にする。この場合、投射装置701からの画像光はほとんど漏れないので観察者に不要な光が向かうことがないのでコントラスト比が高い反射像が得られる鏡状態が実現できるといった効果がある。
【0202】
また、上記説明では吸収型偏光選択部材500が第2の直線偏光成分は透過し、第1の直線偏光成分は吸収する場合を示したが、吸収型偏光選択部材500が第1の直線偏光成分は透過し、第2の直線偏光成分は吸収するものを使用してもよい。この場合は表示装置の消費電力が0の場合に、鏡として機能させることができる。
【0203】
また、本実施例では透過型スクリーン703を、図23に示す通り、フレネルレンズシート1402と、レンチキュラレンズシート1401と、反射型偏光選択部材300と、透過偏光軸可変部400と、吸収型偏光選択部材500とをこの順に配置した構成とした。しかし、この構成とは別に、図26に示す通り、透過型スクリーン703をフレネルレンズシート1402と、レンチキュラレンズシート1401と、反射型偏光選択部材300と、透過偏光軸可変部400と、反射型偏光選択部材301と、可変偏光選択部材600とをこの順に配置した構成としてもよい。この場合は、実施例2で説明した表示装置の画像表示部1000に、背面投射型表示装置を用いたこととなり、実施例2での説明と同様な動作、作用が得られる。
【0204】
また、本実施例の透過型スクリーン703を構成する鏡機能部(反射型偏光選択部材300と透過偏光軸可変部400と反射型偏光選択部材301と可変偏光選択部材600)と光学系(フレネルレンズシート1402とレンチキュラレンズシート1401)のうち鏡機能部を光学系から着脱可能な構造として、鏡機能が不要なときには鏡機能部を取り外す構成としてもよい。あるいは、画像表示部を含まず鏡機能部を独立して備えたスクリーンを構成し、この鏡機能スクリーンを任意の表示装置に必要に応じて装着する構成とすることも可能である。
【0205】
(実施例4)
本発明の実施例4の表示装置を図27、図28を用いて説明する。本実施例4は、実施例2で説明した表示装置の透明基板401、402(図16参照)に、導電性の金属線状パターンを千数百オングストロームのピッチで形成し、これら金属線状パターンに、反射型偏光選択部材301と透明電極403、及び、反射型偏光選択部材300と透明電極406の機能を兼用させる構成としたものである。従って、上記説明と同一部には同じ符号を付け詳細な説明は省略する。
【0206】
本実施例4では、透過偏光軸可変手段400の透明基板401、402にアルミニウムの金属線状パターンを千数百オングストロームのピッチで形成する。この場合、金属線状パターンに入射する光は、金属線状パターンの線の長手方向と平行な直線偏光成分は反射し、これと直交する方向の直線偏光成分は透過するため、金属線状パターンは反射型偏光選択部材として機能する。また、これらの隣り合う線状パターンの一部を電気的に接続することにより、電位を同一あるいは略同一の状態にすることができるため、特定の直線偏光成分を透過する透明電極としても機能させることができる。つまり、金属線状パターンは反射型偏光選択部材と透明電極の機能を兼用する。尚、隣り合う線状パターン同士の電気的な接続は、反射型偏光選択部材の機能に悪影響を与えないように、周縁部などの鏡領域以外の場所で行うようにする。
【0207】
ここでは、透過偏光軸可変部400は、図27のように、金属線状パターン311及びポリイミド系高分子からなる配向膜404が全面的に積層形成された第1の透明基板401と、同じく金属線状パターン310及び配向膜405が全面的に積層形成された第2の透明基板402と、液晶層407とを含む。
【0208】
2枚の透明基板401,402にそれぞれ形成された金属線状パターン311、310は、図示しない配線、及びスイッチング素子を介して電源に接続されており、金属線状パターン311、310に電圧を印加しない状態と、電圧を印加する状態のいずれかの状態を選択可能に構成されている。つまり、金属線状パターン311、310に電位差がなく、液晶層407に電界が印加されない状態と、金属線状パターン311、310に電圧を印加し、液晶層407に電界が印加される状態のいずれかの状態を選択可能に構成されている。また、金属線状パターン310、311の線の長手方向はお互いに直交するように構成・配置する。
【0209】
液晶層407は、2枚の透明基板401,402を配向膜404、410の形成面が向かい合うように配置し、さらに図示しないスペーサーを挟むことで2枚の透明基板401、402の間に一定の間隙を設け、この間隙の周囲をシール材410で枠状にシールして空間を形成し、この空間に誘電異方性が正のネマチック液晶を封入することで構成する。
【0210】
図28は本実施例の各部材の軸の方向の説明図である。尚、各軸の角度の表示は画像表示面水平方向の3時の位置を基準とし、ここから逆時計周りの角度で示している。図28に示す通り、画像表示部1000を構成するTN液晶表示パネル200の吸収型偏光選択部材(偏光板)208の直線偏光の透過偏光軸は135°とする。従って、反射型偏光選択部材として機能する金属線状パターン310の直線偏光の透過偏光軸も同じく135°、透過偏光軸可変部400の透明基板402側と、透明基板401側の液晶分子長軸の配向方向はそれぞれ135°と45°、反射型偏光選択部材として機能する金属線状パターン311の直線偏光の透過偏光軸は45°、可変偏光選択部材600の透明基板602側、と透明基板601側の液晶分子長軸の配向方向は共に135°とする。
【0211】
上記構成により本実施例4の表示装置は、金属線状パターン310が実施例2の反射型偏光選択部材300と電極406の機能を果たし、金属線状パターン311が実施例2の反射型偏光選択部材301と電極403の機能を果たすため、本実施例4の表示装置は、実施例2の表示装置と同様に動作し、同じ効果が得られる。
【0212】
なお、実施例2で述べた通り、反射型偏光選択部材300,301は表示装置を鏡状態としたときに反射面として機能する部材である。このため、反射型偏光選択部材300と反射型偏光選択部材301の間隔が大きくなると反射型偏光選択部材300と反射型偏光選択部材301のそれぞれで反射した像に視差が生じるため、両者の間隔はできるだけ小さくする必要があり、実用的には0.11mm以下とすることが望ましい。本実施例4では特に反射型偏光選択部材300として機能する金属線状パターン310と、反射型偏光選択部材301として機能する金属線状パターン311との間には、数μm程度の液晶層407と1μm未満の配向膜404、410等の薄膜があるだけなので、両者の間隔は10μmにも満たない。このため、明るく視差のない高品位な鏡が実現できるという効果がえられる。
【0213】
また、金属線状パターン310,311は、平坦なガラスなどの基板上に形成されるため、温度や湿度などの環境の変化を受けにくく、環境の変化によるゆがみが発生しにくい鏡が実現できるという効果もある。
【0214】
また、本発明では、金属線状パターン310,311は、可視光の範囲で均一な反射を得られるものであれば良く、線状パターンの具体的構造やピッチ、パターン高さ等は特に限定されるものではない。また、アルミニウム以外にクロムや銀などで形成した金属線状パターンを用いても良い。
【0215】
(実施例5)
上記実施例1〜実施例4では、第1の直線偏光を画像光として出射する画像表示部1000の上部に、反射型偏光選択部材300と透過偏光軸可変部400と偏光選択部材500からなる鏡機能部、或いは、反射型偏光選択部材300と透過偏光軸可変部400と反射型偏光選択部材301と可変偏光選択部材600からなる鏡機能部を配置した場合を説明した。これらの場合、画像表示部1000は、鏡機能部が配置されていなくても画像表示が可能であり、機器の使用目的によっては鏡機能部を着脱式にして、鏡機能が不要な場合に鏡機能部を取り外すなど、利便性を向上することができる。
【0216】
しかしながら、本発明はこれらに限定されるものではない。つまり、鏡機能部がある場合に画像表示が可能になるような構成、あるいは鏡機能部と画像表示部材の一部構成を共用した構成であっても良い。
【0217】
図29を用いて、実施例5の表示装置について説明する。本実施例5は、実施例1との共通部分が多いため(例えば図8参照)、実施例1と同様な部材には同じ符号を付け詳細な説明は省略する。
【0218】
本表示装置は、実施例1で説明した表示装置において、照明装置100として赤色、緑色、青色の3原色を時分割に照射可能なものを用い、画像表示部1000から観察者側の吸収型偏光選択部材(偏光板)208を取り除いたものである。従って、反射型偏光選択部材300と透過偏光軸可変部400と吸収型偏光選択部材500からなる鏡機能部を取り除いた場合、本実施例の液晶表示パネル200は鮮明な画像を表示することができない。
【0219】
本実施例の液晶表示パネル200は、実施例1の液晶表示パネル200において、吸収型偏光選択部材(偏光板)208を取り除いたほかに、カラーフィルタを無くし、フィールド順次カラー表示方式に対応できるように液晶の応答が高速化可能なものとした。
【0220】
フィールド順次カラー表示方式は例えば特開平5−19257号公報、特開平11−52354号公報などに技術の詳細が記載されている。本方式は3原色の照明光を時分割で液晶表示パネルに照射し、それに同期させて液晶を駆動することによりカラー画像の表示を実現するものである。すなわち、液晶表示パネルは1フレームの表示を行うために、3原色に対応した3つのサブフレームを順次表示する必要があるため液晶がより高速に応答する必要がある。フィールド順次カラー表示方式に対応するように液晶の応答を速くするには、例えばTNモードを用いる場合は上記ウェーブガイドの条件を満足するために複屈折Δnの大きな液晶を用い、液晶層207の厚さを2μm程度と薄く構成すれば良い。
【0221】
尚、本実施例では以下、TNモードの場合を説明するが、フィールド順次カラー表示方式に対応した応答特性が得られる構成であれば、本発明の液晶表示パネルは上記構成に限定されるものではない。
【0222】
照明装置100は透明媒体からなる導光体193と、導光体193の端面に配置した赤色、緑色、青色の3原色の光を出射する光源190と、導光体193の裏面に配置した偏光維持反射シート192と、導光体193の前面に配置した偏光維持拡散部191とから構成される。
【0223】
赤色、緑色、青色の3原色の光を出射する光源190としては3原色のそれぞれの色光を発光する3つのチップを一体化したLED(Light Emitting Diode)を用いることができる。このようなLEDは日亜化学工業株式会社から発売されている。
【0224】
導光体193は、透明なアクリル樹脂から構成され、端面から入射した光を全反射により内部に閉じ込める構成と、内部を伝搬する光の反射角度を変えることで液晶表示パネル200側へ光を放射する微細な傾斜面を有する多数の凹凸面または段差で構成された傾斜反射面194を裏面(液晶表示パネル200と反対の側の面)に備える。これは後述する理由から液晶表示パネル200側から導光体193に入射する光の偏光状態を維持するためである。
【0225】
傾斜反射面194はアルミニウム、銀等の金属薄膜、或いは誘電体多層膜により鏡面反射面とすることが望ましいが、これらに限定されるものではなく、このような特別な反射部材を付与しなくとも、空気とアクリル樹脂との屈折率の差により必要とされる反射機能が満たされるものとする。
【0226】
ここでは、傾斜反射面194は平均ピッチ200μm、平均高さ10μm、平均傾斜角度41°とした。尚、傾斜反射面194の高さを光源190に近いところでは低く、光源190から遠い場所では高くなるよう連続的に変化させる、或いは傾斜反射面194のピッチ、もしくは傾斜角度を光源190からの距離により連続的に変化させる、或いは導光体193の厚さを光源190から離れるに従って薄くなるよう構成するなどして、導光体193から出射する光の均一性を高めるようにしても良い。
【0227】
尚、導光体193の形状は液晶表示パネル200側から導光体193に入射する光の偏光状態を略維持するものであれば本形状に限定されるものではい。
【0228】
偏光維持反射シート192はガラス板や樹脂板、樹脂フィルム等の基材上に偏光状態を維持する反射面を形成したものであり、液晶表示パネル200側から照明装置100へ戻ってきた光を再びその偏光状態を維持したまま液晶表示パネル200側へ反射する機能を有する。ここで述べる偏光状態を維持する反射面とは少なくとも垂直入射光に対しては、直線偏光光は同じ直線偏光光のまま反射し、円偏光はその回転方向が逆の円偏光として反射する反射面のことである。具体的には反射面として基材にAl、Ag等の金属薄膜を被着したもの、或いは光源光の波長帯域に対して高い反射率が得られるように構成した誘電体多層膜による鏡面反射面を使用する。
【0229】
偏光維持拡散部191は導光体193から出射した光の出射角度分布や面内での輝度分布を均一化するためのものであり、さらにこれを通過する光の偏光状態は略維持するものである。偏光維持拡散部191としては光学的に等方な透明基材上に複数の球状透明ビーズを面状に密に並べ、透明な樹脂で固定したもの、或いは光学的に等方な透明基材上に形成したホログラム拡散板、或いはSPIE, Vol. 1536, Optical Materials Technology for Energy Efficiency and Solar Energy Conversion X (1991), pp138-148に記載のLCG(light control glass)等を使用することができる。
【0230】
図30は本実施例の各部材の軸の方向の説明図である。図示の通り、液晶表示パネル200として、TN液晶表示パネルを用いた場合は視角特性の水平方向の対称性を得るため、通常、偏光板209の直線偏光の透過偏光軸は45°もしくは135°とする(本実施例では45°)。透明基板202側の液晶配向軸、及び透明基板201側の液晶配向軸はそれぞれ45°と135°とし、反射型偏光選択部材300の直線偏光の透過偏光軸を135°、透過偏光軸可変部400の透明基板402側と、透明基板401側の液晶分子長軸の配向方向はそれぞれ135°と45°、吸収型偏光選択部材500の直線偏光の透過偏光軸は45°とする。
【0231】
次に本実施例の動作を説明する。光源190から出射した光は導光体193に入射し、導光体193を全反射を繰り返しながら伝播していく。導光体193を伝播する光のうち傾斜傾斜面194に至った光はその進行方向が変わり、導光体193の表面側から出射する。導光体193から出射した光は偏光維持拡散部191により出射角度分布や、面内での輝度分布が均一化された後、液晶表示素子200に照射される。
【0232】
液晶表示パネル200に照射された光のうち、偏光板209を透過した直線偏光光は、液晶層207を通過して反射型偏光選択部材300に入射するが、この際、液晶層208を透過する光の偏光状態は液晶層207に印加する電圧によって変化させることができる。このため画像情報発生部から伝えられる画像情報に対応した電圧を透明基板202、201上の透明電極203、205に印加し、液晶層207に電界を印加することで、液晶層207を通過する光の偏光状態を変え、反射型偏光選択部材300を透過する光量を制御することで直線偏光光からなる光学画像を形成することができる。即ち、実施例1において液晶表示パネル200の観察者側に配置した吸収型偏光選択部材(偏光板)208の機能を、本実施例の反射型偏光選択部材300が兼用することになる。
【0233】
反射型偏光選択部材300を透過した画像光は透過偏光軸可変部400に入射する。本表示装置が画像表示状態の場合、透過偏光軸可変部400はこれを構成する液晶層407に電圧を印加しない状態、すなわちオフ状態とする。
【0234】
ここで、反射型偏光選択部材300を透過する直線偏光成分を第1の直線偏光成分とし、これと偏光軸が直交する直線偏光成分を第2の直線偏光成分とすると、透過偏光軸可変部400を通過する画像光は第1の直線偏光光から第2の直線偏光光に変化する。透過偏光軸可変部400を透過した画像光は吸収型偏光選択部材500に入射する。吸収型偏光選択部材500は第1の直線偏光成分は吸収し、第2の直線偏光成分は透過するため、透過偏光軸可変部400により第2の直線偏光光に変化した画像光3001は吸収型偏光選択部材500を透過して、観察者に観察される。
【0235】
本表示装置が鏡状態の場合、透過偏光軸可変部400はこれを構成する液晶層407に電界を印加してオン状態とする。このとき本表示装置には上記実施例において吸収型偏光選択部材として設けていた吸収型偏光選択部材(偏光板)208がないため、照明装置100が点灯していると画像光が観察者側に漏れるため反射像のコントラスト比が低下して見やすい鏡が実現できない。従って、照明装置100は鏡状態の場合には消灯する。本実施例の場合、照明装置100の光源190としてLEDを用いることで高速に点灯、消灯ができるので、鏡状態と画像表示状態は観察者にストレスを感じさせないぐらい高速に切り替えられる。
【0236】
一方、観察者側から本表示装置へ向かう外光は吸収型偏光選択部材500を透過する際、第1の直線偏光成分は吸収され、第2の直線偏光成分のみが透過して透過偏光軸可変部400に入射する。透過偏光軸可変部400に入射した外光は透過偏光軸可変部400を偏光軸が変化することなく第2の直線偏光のまま透過し、反射型偏光選択部材300に至る。反射型偏光選択部材300は第1の直線偏光成分は透過し、第2の直線偏光成分は鏡面反射するため、外光3002は反射型偏光選択部材300で反射する。反射型偏光選択部材300で反射した外光3002は透過偏光軸可変部400を偏光軸が変化することなく第2の直線偏光のまま透過し、さらに吸収型偏光選択部材500も透過して観察者へ向かう。
【0237】
従って、本実施例の表示装置は、鏡状態では照明装置を消灯するため、画像光が観察者に至ることがなく、外光のうち、理想的には非偏光の半分の光が反射型偏光選択部材300で反射して、観察者側に向かうため明るい鏡として機能する。
【0238】
この他に本実施例には以下の特有の効果がある。
【0239】
図31は本実施例特有の効果を説明するための図である。ここで、反射型偏光選択部材300を透過する直線偏光成分を第1の直線偏光成分とし、これと偏光軸が直交する直線偏光成分を第2の直線偏光成分とすると、偏光板209は第2の直線偏光成分を透過する。
【0240】
本表示装置では上記の通り、照明装置100から液晶表示パネル200に照射された光のうち偏光板209を透過した第2の直線偏光光(図中紙面垂直方向)は、液晶層207を通過して反射型偏光選択部材300に入射する。この際、液晶層207を透過する光の偏光状態は画像情報に対応して変調され、明表示領域を通過する光3100は第2の直線偏光光から第1の直線偏光光に変化して反射型偏光選択部材300を透過して、観察者へ向かう。
【0241】
一方、暗表示領域を通過する光3101は第2の直線偏光光のまま反射型偏光選択部材300に入射するため、反射型偏光選択部材300で反射して観察者には至らない。反射型偏光選択部材300で反射した光3101は再び第2の直線偏光光のまま液晶層207及び偏光板209を透過して照明装置100に戻る。この際、照明装置100を構成する偏光維持拡散部、導光体、及び偏光維持反射シート192は液晶表示素子200側から戻る光の偏光状態を略維持したまま、透過、或いは反射する。このため照明装置100で反射して液晶表示パネル200に向かう光3101は概ね第2の直線偏光光となっているため偏光板209でほとんど吸収されることなく液晶層207に入射する。液晶層207に入射した光3101のうち、明表示領域に入射した光は今度は第2の直線偏光光から第1の直線偏光光に変化して反射型偏光選択部材300を透過して、観察者へ向かい画像光として有効利用できる。
【0242】
つまり、暗表示領域に入射した光は、最初は反射型偏光選択部材300で反射するため画像光とはならない。しかし、反射型偏光選択部材300で反射した光は照明装置100に向い、照明装置100において偏光状態が略維持された状態で反射され、再び液晶表示パネル200に向かう。このため、大きな損失が無い状態で光の再利用が行われることになり、明表示領域の明るさが向上することになる。
【0243】
また、一般に、カラーフィルタの光透過率は25%程度と低いのだが、本実施例ではカラーフィルタを用いないため、より効率良く光の再利用が行われることになる。
【0244】
ここで、一般に液晶表示パネルでは画面全面を白表示する場合と、一部分を白表示する場合とでは白表示の輝度は変わらない。一方、CRT(Cathode Ray Tube)では画面全面を白表示する場合に対して、画面の15%の部分を白表示する場合には白表示を4倍程度明るくできるといわれている。このことは例えば太陽光など部分的に高輝度な画像の表示を行う場合に、CRTでは液晶表示パネルよりも迫力ある画像が得られるという画質の差となって現れる。
【0245】
本実施例の表示装置では暗表示領域に入射した光を再利用することで、明表示領域の明るさを向上することができるため、画面全面を白表示する場合に比べて、一部分を白表示する場合に白表示を明るくすることができる。従って、CRTに近い迫力ある画像が得られることになる。
【0246】
さらに、本表示装置を携帯電話などの携帯機器の表示部として用いる場合には以下の効果が得られる。本表示装置は照明装置を点灯する場合はフィールド順次カラー表示方式によるカラー表示装置として機能するが、照明装置を消灯した場合には、カラーフィルタが無いため明るいモノクロ表示の反射型液晶表示パネルとして機能させることができる。ここで、カラー表示の場合には1フレームの表示を行うのに赤色、緑色、青色の少なくとも3つのサブフレームを表示する必要があるが、モノクロ表示の場合はサブフレームを設ける必要がないため駆動周波数を3分の1以下にすることができる。駆動周波数を3分の1以下に下げることができれば消費電力は大幅に低減することができるため、駆動周波数切替部を設けてカラー表示状態と、モノクロ表示状態とで駆動周波数を変えられるようにすると、モノクロ表示状態の消費電力は大幅に低減できる。
【0247】
つまり本表示装置を携帯機器の表示部として用いた場合、機器が使用状態のときは照明装置を点灯し、カラー表示状態とすることで迫力があり、明るく高品位な画像が得られ、一方、機器が待機時には照明装置を消灯し、駆動周波数を下げ、モノクロ表示状態とすることで消費電力をきわめて低くできる。このため、例えば携帯電話の待受け時間を長くできるなど携帯機器のバッテリーによる使用時間を長くすることができる。
【0248】
さらにこれらの効果は画像表示状態と鏡状態を互いの性能を劣化することなく切替可能であるうえに成り立つことは上述の通りである。また、本実施例では液晶表示パネルの観察者側の透明基板に金属線状パターンを形成し、各パターン同士の一部を電気的に接続した構造とすることで、該金属線状パターンに透明電極と反射型偏光選択部材の機能を兼用させる構成としても良い。
【0249】
(実施例6)
以下、本発明の他の実施例を図面をもとに説明する。
【0250】
図32を用いて、本発明の実施例6の鏡状態への切り替え機能付き表示装置を説明する。本表示装置は、上述した実施例1において、画像表示部1000として、反射型液晶パネル3000を用いたものであり、上記実施例と同じ部材には同じ符号をつけ詳細な説明は省略する。
【0251】
本実施例6の表示装置は、反射型液晶素子3000を含み、反射型液晶素子は、透明基板3030と、反射部を備える反射基板3100と、これら2枚の基板をビーズ等のスペーサを介して張り合わせ、枠状のシール材によりシールすることにより形成した空間に封止した液晶層3130とを有する。また、透明基板3030には、位相差板3020、反射型偏光選択部材300、透過偏光軸可変部400、及び吸収型偏光選択部材500が重ねて配置されている。
【0252】
反射基板3100としては、ガラスや高分子フィルム等の平坦な絶縁基板をもちい、ここでは厚さ0.7mmのガラス基板を用いた。反射基板3100には走査電極と信号電極、及びこれらの交差部に備えられた例えばTFT(Thin Film Transistor)等からなるスイッチング素子3110と、これらの上部に形成した絶縁層3090と、絶縁層の上に形成され、絶縁層3090に開けられたスルーホール3120を介してスイッチング素子と電気的に接続されたマトリクス状に細分化された画素電極3070とが備えられる。
【0253】
画素電極3070はアルミニウム、銀といった反射率の高い金属からなり、絶縁層3090上に形成された微細な凹部または凸部形状により、拡散反射性の反射部として機能するものである。画素電極3070の上層にはポリイミド系高分子からなる配向膜3060が全面的に形成され、その表面はラビング法等により表面処理がなされる。
【0254】
透明基板3030としてはガラス、高分子フィルムなどの光学的に等方で平坦な透明絶縁基板を用いることができ、ここでは厚さ0.7mmのガラス基板を用いた。透明基板3030には、反射基板3100の画素電極3070に対応する位置にカラーフィルタ3040を形成する。カラーフィルタ3040はそれぞれ赤色、緑色、青色の3原色に対応した透過スペクトルを有する3種類のカラーフィルタを交互に繰り返し、画素電極3070に対応する位置に配置したものである。
【0255】
また、カラーフィルタ3040の画素間に相当する位置にはブラックマトリクスを形成して画素間からの漏れ光を抑えるようにしてもよい。カラーフィルタ3040の上層には図示しないオーバーコート層を介してITOからなる透明電極3050を全面的に形成し、さらに透明電極3050の上層にポリイミド系高分子からなる配向膜3210を全面的に形成して、その表面をラビング法等により表面処理を行っている。
【0256】
透明基板3030と反射基板3100は、透明電極3050形成面、及び反射電極3070形成面が対向するよう貼り合せられている。この際、両基板間にビーズスペーサを分散配置し、両基板の表示面相当部分の周囲を枠状のシール材によりシールすることで一定の間隙を有する空間が形成される。
【0257】
両基板3030,3100の間隙には、誘電異方性が正のネマチック液晶にカイラル剤を少量(0.1〜0.2%)添加した液晶組成物を封入、封止して液晶層3130を構成した。液晶層3130のΔndは0.365μmとした。液晶層3130の液晶分子長軸の方向は透明基板3030、及び反射基板3100上に形成された配向膜3210、及び配向膜3060に行なわれた表面処理(配向処理)によって配向方向が規定され、2枚の基板間で連続的に所定の角度だけねじれた状態となる。
【0258】
透明基板3030には位相差板3020が積層される。位相差板3020としては例えばポリカーボネート、ポリサルホン、ポリビニルアルコール等の一軸延伸した高分子フィルムを用いることができる。ここでは位相差板3020としてΔndが0.18μmのポリカーボネートからなる位相差板を用いた。
【0259】
透明基板3030、位相差板3020、反射型偏光選択部材300、透過偏光軸可変部400、吸収型偏光選択部材500はそれぞれアクリル系の接着剤により光学的に結合するように接着した。
【0260】
図33は、観察者側から見た際の本表示装置の各部材の軸の方向を示す図である。各軸の角度は画像表示面の水平方向3時の位置を基準とし、ここから逆時計周りの角度で示している。図33に示す通り本表示装置は反射基板3100側の液晶配向軸を295°、透明基板3030側の液晶配向軸の方位角を65°、位相差板3020の遅相軸を135°、反射型偏光選択部材300の直線偏光の透過偏光軸を30°、透明基板402側の液晶配向軸を30°、透明基板401側の液晶配向軸を120°、吸収型偏光選択部材500の直線偏光の透過偏光軸を120°とした。
【0261】
次に本表示装置の動作を図面を参照して説明する。尚、本実施例においても上記実施例1等と同様、反射型偏光選択部材300を透過する直線偏光成分を第1の直線偏光成分をとし、これと偏光軸が直交する直線偏光成分を第2の直線偏光成分とする。
【0262】
図34は本表示装置が鏡状態の場合を示す。この場合、観察者側から本表示装置へ向かう外光3002は非偏光であるが、吸収型偏光選択部材500を透過する際、第1の直線偏光成分は吸収され、第2の直線偏光成分のみが透過して透過偏光軸可変部400に入射する。透過偏光軸可変部400に入射した外光3002は透過偏光軸可変部400を偏光軸が変化することなく第2の直線偏光のまま透過し、反射型偏光選択部材300に至る。反射型偏光選択部材300は第1の直線偏光成分は透過し、第2の直線偏光成分は鏡面反射するため、外光3002は反射型偏光選択部材300で反射する。反射型偏光選択部材300で反射した外光3002は透過偏光軸可変部400を偏光軸が変化することなく第2の直線偏光のまま透過し、さらに吸収型偏光選択部材500も透過して観察者へ向かう。
【0263】
つまり、本表示装置は鏡状態の場合、外光3002は反射型液晶素子3000に至ることがなく、反射型偏光選択部材300で反射して、観察者側に向かい明るい鏡として機能する。
【0264】
尚、本表示装置を鏡状態にする場合は、反射型液晶素子3000を非表示状態にして無駄な電力を消費することがないようにすることができる。
【0265】
図35、及び図36は本表示装置が画像表示状態の場合を示す。画像表示状態については図32も参照しながら説明する。この場合、観察者側(図中左側)から表示装置へ向かう外光3002は非偏光であるが、吸収型偏光選択部材500を透過する際、第1の直線偏光成分は吸収され、第2の直線偏光成分のみが透過する。吸収型偏光選択部材500を透過した外光3002は透過偏光軸可変部400を透過する際、第2の直線偏光光から第1の直線偏光光に変化し、反射型偏光選択部材300を透過して反射型液晶素子3000に入射する。反射型液晶素子3000に入射した第1の直線偏光光は位相差板3020、液晶層3130を通過し、画素電極3070で反射して、再び液晶層3130、位相差板3020を通過して反射型偏光選択部材300に入射する。この際、液晶層3130を透過する光の偏光状態は液晶層3130に印加する電圧によって変化する。
【0266】
ここで、スイッチング素子3110は、画素電極3070にスルーホール3120を介して接続されており、画素電極3070に印加する電圧をスイッチングすることで、透明電極3050と画素電極3070とに挟まれた液晶層3130に印加する電圧を画素毎に制御することができる。従って、画像情報に対応した電圧を透明電極3050と画素電極3070とに印加し、液晶層3130に所定の電圧を印加することで、液晶層3130を通過する光の偏光状態を制御し、反射型偏光選択部材300を透過する光量を制御して光学画像を形成することができる。
【0267】
図35は明表示の場合を示す。本実施例の構成では、液晶層3130に電圧が印加されていないとき、反射型液晶素子3000に入射した光は第1の直線偏光光のまま反射し、再び反射型偏光選択部材300を透過して、透過偏光軸可変部400に入射する。透過偏光軸可変部400に入射した光はこれを透過する際、第1の直線偏光光から第2の直線偏光光に変化し、吸収型偏光選択部材500を透過して、観察側へ向かい明表示となる。
【0268】
図36は暗表示の場合を示す。本実施例の構成では、液晶層3130に所定の電圧を印加すると、反射型液晶素子3000に入射した第1の直線偏光光は反射型液晶素子3000で反射し、出射する際、第2の直線偏光光となって、再び反射型偏光選択部材300に入射する。反射型偏光選択部材300に再入射した第2の直線偏光光は反射型偏光選択部材300で反射して再び反射型液晶素子3000に入射する。反射型液晶素子3000に入射した第2の直線偏光光は反射型液晶素子3000で反射し、出射する際、第1の直線偏光光となる。
【0269】
しかし、この際、反射型液晶素子3000の透明基板3030には赤色、緑色、青色の3原色に対応したそれぞれ異なる透過スペクトルを有する3種類のカラーフィルタ3040が交互に繰り返し形成されている。従って、例えば、図示のように最初に反射型液晶素子3000に入射した光が、緑色のカラーフィルタ3040Gに入射、透過し、2回目の入射では青色のカラーフィルタ3040Bに入射することになれば、光はほとんど吸収されて暗表示となる。また、反射型液晶素子3000に入射した光が同じ色のカラーフィルタを通過するとしても、往路復路を2回で合計4回カラーフィルタを通過することになるので暗い表示が得られる。すなわち、本実施例の構成では暗表示の暗さを向上させるための部材として、カラーフィルタを利用している。
【0270】
さらに十分暗い暗表示を実現するには、カラーフィルタを4回通過する際に、異なる色のカラーフィルタを通過することが望ましい。このためカラーフィルタの配列は上下左右で隣り合うカラーフィルタの色ができるだけ異なるようにするためストライプ状ではなく、デルタ配列にすることが望ましい。
【0271】
また、反射型液晶素子3000の透明基板3030は厚ければ厚いほど、反射型偏光選択部材300で反射した光が反射型液晶素子3000の異なる位置を通過して、異なる色のカラーフィルタを通過し易くなるため、透明基板3030は実用的な範囲内でできるだけ厚くすることが望ましい。
【0272】
上記の通り、本実施例6の表示装置によれば、反射型偏光選択部材300は、透過偏光軸可変部400による偏光状態の制御により、実効的に透明な状態と、鏡として機能する状態とに切り換えられる。従って、画像表示状態では反射型偏光選択部材300を実効的に透明な状態とすることで明るい画像が得られる。さらに周囲が明るい環境であっても、ハーフミラーを使用する場合のような映り込みや、それに伴うコントラスト比の低下、画像光の明るさ低下といった画質の劣化が生じない。つまり、画像表示状態と鏡状態の切り換えを互いの性能を劣化することなく実現できる。
【0273】
ところで、本実施例では反射型液晶パネル3000に、吸収型偏光選択部材として機能する偏光板を設けない場合を述べた。これは、画像表示状態の明るさを向上するにはできるだけ、光を吸収する部材を減らすことが重要だからである。特にカラー表示が可能な反射型液晶表示パネルではもともと画像が暗いため、吸収型偏光選択部材と、透過偏光軸可変部と、反射型偏光選択部材からなる鏡機能部によってさらに画像が暗くなることが許容されない状況にあるからである。従って、例えば野外など外光が強い場所での使用頻度が高いなどの用途であれば反射型液晶素子3000に偏光板を設けるようにしてもよい。
【0274】
さらに、所定の直線偏光成分に対する透過率が100%に近い高透過率の偏光板であれば、反射型液晶素子3000、すなわち反射型偏光選択部材300と透明基板3030の間に偏光板の透過偏光軸を反射型偏光選択部材の透過偏光軸と合わせて配置しても画像の明るさはほとんど低減しないので望ましい。この場合、一般に高透過率の偏光板は偏光度が低いため反射型液晶パネル単体では十分なコントラスト比の画像表示はできないが、吸収型偏光選択部材500として偏光度が高い偏光板を使用すれば表示性能に問題は生じない。寧ろ、画像表示の際にはより暗い暗表示が実現して高コントラスト比の画像表示が実現できるという利点がある。
【0275】
つまり、画像表示部材として基板内に反射部を内蔵した反射型液晶表示パネルを用いる場合は、吸収型偏光選択部材に偏光度が高い偏光板を用い、画像表示部材の反射型偏光選択部材側に配置する吸収型偏光選択部材には偏光度が低く、透過率が高い偏光板を用いると、画像の明るさと、高いコントラスト比が両立する。
【0276】
尚、本実施例では反射型の液晶表示パネルを用いる場合を説明したが、反射部材として機能する画素電極の一部に開口部を設け部分的に透過するようにして、反射表示と透過表示を兼用するようにしてもよい。この場合、反射部材の裏面側には1/4位相差板と偏光板、及び照明装置を配置するとよい。このような構成によれば、夜間や建物内など外光の弱い状況下でも、照明装置を点灯することで画像の表示が可能となる。
【0277】
(実施例7)
本発明の他の実施例を図面をもとに説明する。
【0278】
図37を用いて実施例7の鏡状態への切り替え機能付き表示装置を説明する。また、図38は本表示装置を用いた携帯電話の概観を示す模式図であり、図38(a)は画像表示状態を示し、図38(b)は鏡状態を示す。図39は図38に示した本表示装置を用いた携帯電話の回路構成の一例を示す。
【0279】
本実施例7の携帯電話810は少なくともアンテナ811、スピーカー812、テンキー等のボタン814、マイクロフォン815、鏡状態と画像表示状態の切替スイッチ813、及び本表示装置の画像表示部1000と鏡機能部801とを含んで構成される。
【0280】
本実施例7の携帯電話810は、電話機能を実現する通信部10、操作を入力する操作部20、および、情報表示状態と鏡状態を切替可能な本発明による表示部30を備えている。通信部10は、アンテナ811と接続して通信信号の送信/受信処理を実行する送信/受信部821と、マイクロホン815およびスピーカ812を通して音声情報の入出力を行うとともに該音声情報と送受信信号との信号変換処理を実施する信号処理部822と、入力される操作指示に応じて送受信動作を制御する通信制御部823とを備える。操作部20は、各種操作入力を行うテンキー/ボタン814と、情報表示状態と鏡状態を切り替えるための切替スイッチ813とを備える。
【0281】
表示部30は、照明装置836を備えて情報表示を行う画像表示部1000と、通信部10や操作部20からの制御指示を受け入れて表示部の動作制御を行う表示制御部831と、表示制御部831からの制御信号に応じて画像表示部1000を駆動する駆動回路部832と、画像表示部1000に重畳配置され鏡状態と透過状態とを選択的に実現する鏡機能部801と、鏡機能部801の透過偏光軸可変部400への印加電圧を少なくとも発生する印加電圧発生部834と、切替スイッチ813からの指示や通信状態に応じて鏡機能部801の状態を切り替えるよう印加電圧発生部834を制御する鏡制御部833と、表示制御部831及び鏡制御部833からの制御信号に応じて照明装置の点灯、消灯を行う照明スイッチ835とを備える。
【0282】
本表示装置は図37に示す通り、反射型偏光選択部材300と透過偏光軸可変部400と吸収型偏光選択部材500とを含む鏡機能部801の面積を、画像表示部1000の画像表示領域1001の面積よりも大きくしたものであり、これ以外は基本的に上記実施例1と同じ構成、機能を有するので上記実施例と同一部には同じ符号を付け詳細な説明は省略する。
【0283】
鏡機能部801の反射型偏光選択部材300は透過偏光軸可変部400を構成する基板に透明な粘着材により固定されている。また、反射型偏光選択部材300が画像表示部1000と中途半端に接触して干渉縞などが発生することがないように鏡機能部801と画像表示部1000との間は携帯電話のフレーム810Fに形成された凸部801aをスペーサーとして、一定の空間801Sを設けている。
【0284】
ここで、上述の通り、本表示装置は鏡状態のとき、そこにデータ等の情報を表示するのではなく、観察者が自分の顔を映し出し、それを観察することが主たる用途であると規定すると、鏡の大きさは上記の通り、高さ58.6mm、幅39.1mm以上あることが望ましい。しかし、画像表示部材は画像表示部を大きくすると消費電力が上がるなどの問題があるため、あまり大きくはできない。一方、鏡機能部はその面積を大きくすることで問題は生じない。よって、本実施の形態7では、鏡機能部の面積を画像表示領域1001の面積にかかわらず、できるだけ大きくする構成にしている。
【0285】
また、本表示装置の鏡機能部801は透過偏光軸可変部400による偏光状態の制御により、実効的に透明な状態と、鏡の状態を切り替えることができるものである。従って、大面積の鏡機能部801がロゴマーク等のデザインが施された上に配置されても実効的に透明状態の場合には下地に影響を与えないため、機器のデザインの自由度は奪われない。
【0286】
次に本実施例の携帯電話810の動作を図38を参照して説明する。
【0287】
図38(a)に示すとおり、携帯電話が使用状態、或いは待機時であっても画像表示を行う場合は、鏡機能部801は実効的に透明な状態となっており、明るい画像表示が得られ、また、画像表示部周辺のロゴマークやデザインも可視状態となっている。一方、鏡状態の場合は、図38(b)に示すとおり画像表示部よりも大きな鏡面が現れ実用的な鏡が得られることになる。
【0288】
尚、本実施例7の表示装置は、鏡状態と画像表示状態は切替スイッチ813によりワンタッチで行えるよう構成しているため、操作性が高い。切替スイッチ813は、透過偏光軸可変部400の液晶層を挟む一対の電極に±3V〜±5V程度の交流電圧を印加する場合と、一対の電極を短絡する状態とを切り替えられるように構成する。さらに切替スイッチ813に連動して、鏡状態の場合には画像表示部1000を無表示状態にし、照明装置も消灯するようにして消費電力を低減する。
【0289】
また、鏡状態から画像表示状態への切替が、着信により自動的に切り替わるように構成することにより、スイッチ操作なしで着信情報を見ることができるためさらに使用者の利便性が向上する。
【0290】
尚、鏡状態と画像表示状態の切り替えは透過偏光軸可変部400としてTN液晶素子を用いる場合は数十m秒と高速で切り替わるので、使用者には何ら不便を与えることはない。
【0291】
また、本実施例では鏡機能部801の面積を画像表示領域1001の面積よりも大きくしたが、本発明において、鏡機能部801あるいは鏡状態を実現できる領域の面積と、画像表示領域1001あるいは透過型/反射型の画像表示部材の面積との比率はこの例に限定されるものではない。もちろん、上記各実施例のように両面積をほぼ同一としても良く、あるいは、鏡機能部の面積をより小さくしたり、特定の領域を除いて鏡機能部を画像表示部に重ねる構成とすることも可能である。例えば、携帯電話が通信可能状態にあるかどうかを示すマークだけが常にチェックできるように、マークの表示部分だけを鏡機能部で覆わない構成とすることができる。
【0292】
さらに、本実施例では鏡機能部の全面を鏡状態とする場合について説明したが、例えば、鏡機能部の鏡領域を複数に分割して、各分割領域毎に鏡状態と画像表示状態の切り替えを行う構成とすることができる。より具体的には、例えば、透過偏光軸可変部や可変吸収型偏光選択部材への電圧印加を分割した領域毎に行ったり、マトリクス状に画素電極を配置して鏡状態の任意の絵や文字を表示させる構成とすることができる。
【0293】
(実施例8)
本発明の他の実施例を図面をもとに説明する。
【0294】
図40、図41、図42を用いて、本発明の実施例8について説明する。実施例8において、実施例7と同様な部分については同じ符号をつけて詳細な説明は省略する。
【0295】
本実施例8の構成は、ユーザーが既存の携帯電話に鏡機能を付与することを可能にする着脱式の鏡機能部である。図41に示す通り、着脱可能な鏡機能部801は、反射型偏光選択部材300と、透過偏光軸可変部400と、吸収型偏光選択部材500とを含んで構成され、これらは互いに透明な粘着材により接着固定されている。また、吸収型偏光選択部材500の表面にはフィルム、または薄いアクリル板からなる透明な保護部材500Pが透明な粘着材によって貼り合わされている。反射型偏光選択部材300の周縁部にはスポンジ状で弾性を有する枠状のスペーサー843が備えられており、必要に応じてスペーサ843の表面に両面テープ844が備えられる。このスペーサー843は、鏡機能部を携帯電話等の機器に取り付ける際に反射型偏光選択部材300が、他の部材と接触せず、一定の空間を維持するようにするために配置されている。これにより、反射型偏光選択部材300と他の部材とが接触して干渉縞などが発生することを防止している。
【0296】
透過偏光軸可変部400は、これを構成する透明基板状に形成した透明電極に接続された配線を介して鏡機能駆動部840と接続されている。
【0297】
図42に示すとおり、鏡機能駆動部840は小型電池からなる電源845と、切替スイッチ846と電源845からの電力供給により透過偏光軸可変部400を駆動する電圧を発生する駆動回路847とから構成され、切替スイッチ846の操作により透過偏光軸可変部400を駆動して鏡機能部を鏡状態と透明な状態とに切り替えるものである。
【0298】
この鏡機能部801を携帯電話810に取り付ける場合、鏡機能部801と鏡機能駆動部840との間の配線は、携帯電話のストラップ取り付け部841を経由して取り付け、配線842及び鏡機能駆動部840がストラップであるかのように取り付ける構成とすることができる。この場合、鏡機能駆動部840を誤って引っ張ってしまってもその力は携帯電話のストラップ取り付け部841で止まり、鏡機能部には直接付加がかからないという利点がある。
【0299】
(実施例9)
本発明の実施例9の表示装置を図43をもとに説明する。
【0300】
図43の実施例9の表示装置は、画像光を出射する画像表示部として有機エレクトロルミネッセンス(EL:electroluminescence)表示パネル900を用いたものであり、上記実施例1等と同じ部材には同じ符号を付けて詳しい説明は省略する。
【0301】
本表示装置は、第1の直線偏光の画像光を出射する有機EL表示パネル900と、反射型偏光選択部材300と、透過偏光軸可変部400と、吸収型偏光選択部材500とから構成される。有機EL表示パネル900は、反射型偏光選択部材300と対面する側に第1の直線偏光成分は透過し、これと偏光軸が直交する第2の直線偏光成分は吸収する吸収型偏光選択部材208と位相差板901が配置される。
【0302】
位相差板901としては1/4波長板を用いれは良く、例えば1軸延伸したポリカーボネート、ポリサルホン、ポリビニルアルコールなどの高分子フィルムを用いることができる。尚、一般に1/4波長板を構成する材質の屈折率の波長依存性(以下、波長分散)により、一種類の位相差板で可視波長の全域に対し1/4波長板として機能する位相差板を構成することは困難であるが、波長分散の異なる少なくとも2種類の位相差板をその光学軸を直交するように貼り合わせることで広い波長域で1/4波長板として機能するよう構成したものを使用することができる。
【0303】
有機EL表示パネル900は有機薄膜からなる発光層に電流を注入することにより電気エネルギーを光エネルギーに変換して発光する自発光型の表示デバイスであり、透明基板902にITOからなる透明電極903、ホール輸送層904、発光層907、電子輸送層906、Al等で構成される反射性の金属電極905を順次積層した構造となっている。これらの積層膜は劣化を抑制するために透明基板902と封止部材909との間に酸素や水分を取り除いた状態でシール剤908によって密閉される。
【0304】
有機EL表示パネルでは、陽極である透明電極903と陰極である反射性金属電極905との間に直流電圧を印加すると、透明電極903から注入されたホールがホール輸送層904を経由して、また、陰極(反射性金属電極)905から注入された電子が電子輸送層を経由して、それぞれが発光層907に到達し、電子-ホールの再結合が生じてここから所定波長の発光が生じると考えられている。発光層907から出射する光は一般的には指向性がなく全方位に等方的に出射するため、金属電極905に向かった光を効率良く表示光として利用するためには金属電極は反射率の高い電極材料を用いることが望ましい。
【0305】
尚、有機EL表示パネル900の構成は、上記構成に限定されるものではない。つまり、本発明に係る有機EL表示パネルは少なくとも発光層と、発光層の裏面に配置した反射性部材とから構成される自発光型の表示デバイスを用いることができる。
【0306】
次に、図43を用いて本実施例9の表示装置の動作を説明する。図43の、右側が画像表示状態、左側が鏡状態を示す。
【0307】
表示装置が画像表示状態の場合、透過偏光軸可変部400はこれを構成する液晶層407に電圧を印加しない状態、すなわちオフ状態とする。画像表示状態の場合、発光層から出射した光は直接、或いは裏面の金属電極905で反射した後、透明基板902から出射する。
【0308】
透明基板902から出射した画像光3201は位相差板901を透過し、吸収型偏光選択部材208を通過する際、第1の直線偏光成分は透過し、これと偏光軸が直交する第2の直線偏光成分は吸収される。吸収型偏光選択部材208を透過した画像光3201は反射型偏光選択部材300も透過して、透過偏光軸可変部400に入射する。この場合、透過偏光軸可変部400を通過する画像光3201は第1の直線偏光から第2の直線偏光に変化する。透過偏光軸可変部400を透過した画像光3201は吸収型偏光選択部材500に入射する。吸収型偏光選択部材500は第1の直線偏光成分は吸収し、第2の直線偏光成分は透過するため、透過偏光軸可変部400により第2の直線偏光光に変化した画像光3201は吸収型偏光選択部材500を透過して、観察者2000に観察される。
【0309】
一方、観察者2000側から表示装置へ入射する外光3202は、非偏光であるが、吸収型偏光選択部材500を透過する際、第1の直線偏光成分は吸収され、第2の直線偏光成分のみが透過する。吸収型偏光選択部材500を透過した外光3202は透過偏光軸可変部400を透過する際、第2の直線偏光光から第1の直線偏光光に変化し、反射型偏光選択部材300を透過して有機EL表示パネル900に入射する。
【0310】
有機EL表示パネル900に入射した外光3202は吸収型偏光選択部材208を透過して、位相差板901を透過する際、その作用を受けて、円偏光(ここでは例えば右回りの円偏光)となる。位相差板901を透過した外光3202は金属電極905で反射する際、位相がπずれて回転方向が逆の円偏光(左回りの円偏光)になる。金属電極905で反射した外光3202は再び位相差板901を透過する際、その作用を受けて今度は第2の直線偏光となり吸収型偏光選択部材208で吸収されるため観察者2000側へは戻らない。
【0311】
従って、画像表示状態では、有機EL表示パネル900から出射した画像光3201はほとんど損失することなく観察者へ向かうため明るい画像を得ることができる。また、周囲から表示装置に入射する外光3202は鏡状態の場合に鏡として機能する反射型偏光選択部材300での反射はなく、さらに、有機EL表示パネル900の金属電極905で反射した光は吸収型偏光選択部材208で吸収されるため、観察者2000にほとんど視認されない。つまり、外光の不要反射が抑制された、コントラスト比の高い画像表示が実現できる。
【0312】
一方、表示装置を鏡状態とする場合、透過偏光軸可変部400はこれを構成する液晶層407に電界を印加してオン状態とする。鏡状態の場合、観察者2000側から表示装置へ向かう外光3203は非偏光であるが、吸収型偏光選択部材500を透過する際、第1の直線偏光成分は吸収され、第2の直線偏光成分のみが透過して透過偏光軸可変部400に入射する。このとき透過偏光軸可変部400に入射した外光3203は透過偏光軸可変部400を偏光軸が変化することなく第2の直線偏光光のまま透過し、反射型偏光選択部材300に至る。反射型偏光選択部材300では第1の直線偏光成分は透過し、第2の直線偏光成分は鏡面反射するため、外光3203は反射型偏光選択部材300で反射する。反射型偏光選択部材300で反射した外光3203は透過偏光軸可変部400を偏光軸が変化することなく第2の直線偏光のまま透過し、さらに偏光選択部材500も透過して観察者へ向かうため鏡状態が実現する。
【0313】
このとき、鏡状態となっている領域に該当する有機EL表示パネル900の表示領域は、鏡機能の動作と連動して、非発光の状態とすることが望ましい。この動作により、反射型偏光選択部材300の裏面側からの光の漏れを完全になくすことができるため、高いコントラスト比の反射像を映し出す高品位な鏡を実現することができ、さらに発光量を抑制した分だけ表示装置の消費電力が低減される。
【0314】
ただし、必ずしも非発光の状態にしなくともよく、有機EL表示パネル900から画像光が出射している場合であっても、有機EL表示パネル900から出射する画像光は吸収型偏光選択部材208を透過した第1の直線偏光光であるため、反射型偏光選択部材300を透過し、透過偏光軸可変部400を偏光軸が変化することなく第1の直線偏光光のまま透過して、吸収型偏光選択部材500で吸収されて観察者2000にはほとんど観察されないため、高いコントラスト比の反射像を映し出す鏡を実現することはできる。
【0315】
尚、吸収型偏光選択部材208や吸収型偏光選択部材500として機能する偏光板の特性は画像表示状態の画質や鏡状態の鏡の見え易さに直接関係する。このため、実施例1と同様、画像表示状態において十分なコントラスト比を維持しつつ、輝度を向上するためには吸収型偏光選択部材208と吸収型偏光選択部材500のどちらか一方の偏光板に偏光度の高い偏光板を用い、他方に偏光度の低い偏光板を用いることが有効である。
【0316】
上述してきた各実施例のように、本発明の表示装置によれば、鏡として機能する反射型偏光選択部材が、実効的に透明な状態と、鏡として機能する状態とに任意に切り換えられるので、画像表示状態と鏡状態の切り換えを互いの性能を劣化することなく実現できるという効果がある。つまり、画像表示状態では画像光がほとんど損失しない明るい画像が得られ、周囲が明るい環境であっても、映り込みやそれに伴うコントラスト比の低下といった外光に起因した画質の劣化がない高品位な画像が得られるという効果がある。
【0317】
一方、鏡状態では、外光を効率良く反射するため明るい鏡を実現でき、さらに画像光の光の漏れが抑制されるため、コントラスト比が高い反射像を映し出す鏡を実現できるという効果がある。従って、鏡状態のときには、人が自分の顔や姿を映して観察するのに適した見やすい反射像が得られる。
【0318】
【発明の効果】
上述してきたように、本発明によれば、高画質な画像を表示する状態と、人が自分の顔や姿を映して観察するのに適した見やすい反射像が得られる鏡状態とに切り替え可能な装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態の鏡状態への切り替え機能付き表示装置の基本構成と動作を表示装置の基本構成と動作を説明するための説明図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態の鏡状態への切り替え機能付き表示装置の基本構成と動作を表示装置の基本構成と動作を説明するための説明図である。
【図3】図1、図2の表示装置が鏡状態の場合の明表示領域の光の漏れを示すグラフである。
【図4】図1、図2の表示装置が鏡状態の場合の暗表示領域の光の漏れを示すグラフである。
【図5】本発明の第2の実施の形態の鏡状態への切り替え機能付き表示装置の基本構成と動作を表示装置の基本構成と動作を説明するための説明図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態の鏡状態への切り替え機能付き表示装置の基本構成と動作を表示装置の基本構成と動作を説明するための説明図である。
【図7】本発明の実施例1の表示装置の構成を示す断面図である。
【図8】本発明の実施例1の表示装置を構成する各部材の断面図である。
【図9】本発明の実施例1の表示装置を構成する各部材の軸の方向の説明図である。
【図10】本発明の実施例1の表示装置の動作を説明するための説明図である。
【図11】本発明の実施例1の表示装置の動作を説明するための説明図である。
【図12】一般的な偏光板の偏光度と透過率の関係の一例を示すグラフである。
【図13】本発明の実施例1の表示装置に係る吸収型偏光選択部材500の偏光度と、鏡状態での反射率及び画像表示状態での外光の反射率との関係を示すグラフである。
【図14】本発明の実施例1の表示装置に係る吸収型偏光選択部材208の偏光度と、画像表示状態での表示輝度の関係を示すグラフである。
【図15】本発明の実施例2の表示装置の構成を示す断面図である。
【図16】本発明の実施例2の表示装置を構成する各部材の断面図である。
【図17】本発明の実施例2の表示装置の可変偏光選択部材600の構成の一例を示す断面図である。
【図18】本発明の実施例2の表示装置の可変偏光選択部材600の構成の一例を示す断面図である。
【図19】本発明の実施例2の表示装置を構成する各部材の軸の方向の説明図である。
【図20】本発明の実施例2の表示装置の動作を示す説明図である。
【図21】本発明の実施例2の表示装置の動作を示す説明図である。
【図22】本発明の実施例3の表示装置の概略構成を示す説明図である。
【図23】本発明の実施例3の表示装置の透過型スクリーンの部分断面図である。
【図24】本発明の実施例3の表示装置のレンチキュラレンズシートの一例を示す一部断面図である。
【図25】本発明の実施例3の表示装置のレンチキュラレンズシートの一例を示す一部斜視図である。
【図26】本発明の実施例3の表示装置に係る透過型スクリーンの部分断面図である。
【図27】本発明の実施例4の表示装置を構成する各部材の断面図である。
【図28】本発明の実施例4の表示装置を構成する各部材の軸の方向の説明図である。
【図29】本発明の実施例5の表示装置を構成する各部材の断面図である。
【図30】本発明の実施例5の表示装置を構成する各部材の軸の方向の説明図である。
【図31】本発明の実施例5の表示装置の動作を説明するための説明図である。
【図32】本発明の実施例6の表示装置を構成する各部材の断面図である。
【図33】本発明の実施例6の表示装置を構成する各部材の軸の方向の説明図である。
【図34】本発明の実施例6の表示装置の動作を説明するための説明図である。
【図35】本発明の実施例6の表示装置の動作を説明するための説明図である。
【図36】本発明の表示装置の動作を説明するための概略構成図である。
【図37】本発明の実施例7の表示装置の一部断面図である。
【図38】(a),(b)本発明の実施例7に係る携帯電話の概観を示す上面図である。
【図39】本発明の実施例7に係る携帯電話の概略機能構成を示すブロック図である。
【図40】本発明の実施例8に係る携帯電話の概観を示す上面図である。
【図41】本発明の実施例8に係る着脱可能な鏡機能部の一例を示す一部断面図である。
【図42】本発明の実施例8に係る鏡機能部の駆動部の概略機能構成を示すブロック図である。
【図43】本発明の実施例9の表示装置の一例を示す一部断面図である。
【図44】従来の表示装置のシャッタ状態における光の漏れを示すグラフである。
【符号の説明】
100…照明装置、200…液晶表示パネル、208…吸収型偏光選択部材、300…反射型偏光選択部材、301…反射型偏光選択部材、400…透過偏光軸可変部、500…吸収型偏光選択部材、600…可変偏光選択部材、701…投射装置、702…ミラー、703…透過型スクリーン。
Claims (4)
- 第1の偏光状態を有する光を出射する画像表示部と、
前記画像表示部に重畳して配置され、前記画像表示部からの画像光を透過する画像表示状態と、外部から前記画像表示部へ向かう光を反射する鏡状態とのうちいずれかを選択可能な鏡機能部とを備え、
該鏡機能部は、
前記画像表示部側から順に配置された、反射型偏光選択手段と、
透過偏光軸可変手段と、
吸収型偏光手段と、を含み、
前記反射型偏光選択手段は、予め定めた偏光軸の第1の偏光を透過し、前記第1の偏光と偏光軸が交差する第2の偏光を反射し、
前記透過偏光軸可変手段は、入射した前記第1の偏光を前記第2の偏光へ変化させて透過する状態と、入射した光の偏光軸を変化させないで透過する状態とに切り替え可能であり、
前記吸収型偏光選択手段は、前記第1の偏光および前記第2の偏光のうち一方を透過し、他方を吸収し、
前記画像表示部が、一定の間隙をもって接合された一対の透明基板と、
これら透明基板間に狭持された液晶層と、
前記一対の透明基板の少なくとも一方に透明電極により形成されるマトリクス状に配置された画素電極群と、
該液晶層の視認側に配置した前記第1の偏光は透過して前記第2の偏光は吸収する画像光用偏光選択手段と、
該液晶層の裏面側に配置した偏光板と、
さらにその背面に配置した照明装置とを有し、
前記鏡機能部が鏡状態に切り替えられた場合、その動作に連動して、前記画像表示部の発光状態を非発光状態に切替える切り替え手段を設けたことを特徴とする表示装置。 - 請求項1に記載の表示装置において、
前記切り替え手段は、前記鏡機能部が鏡状態の場合に前記照明装置を消灯することを特徴とする表示装置。 - 請求項1に記載の表示装置において、
前記切り替え手段は、前記鏡機能部が鏡状態の場合に該鏡状態の領域と重なる前記画像表示部の領域の前記液晶層を暗表示状態にすることを特徴とする表示装置。 - 表示装置を備える機器であって、
該表示装置は、
所望の画像を表示するための画像光を出射する画像表示部と、
前記画像表示部に重畳して配置された、前記画像光を透過する画像透過状態と外光を反射する鏡状態とに切り替え可能な鏡機能部とを有し、
該鏡機能部は、
前記画像表示部側から順に配置された、反射型偏光選択手段と、
透過偏光軸可変手段と、
吸収型偏光選択手段とを含み、
前記反射型偏光選択手段は、予め定めた偏光軸の第1の偏光を透過し、前記第1の偏光と偏光軸が交差する第2の偏光を反射し、
前記透過偏光軸可変手段は、入射した前記第1の偏光を前記第2の偏光へ変化させて透過する状態と、入射した光の偏光軸を変化させないで透過する状態とに切り替え可能であり、
前記吸収型偏光選択手段は、前記第1の偏光および前記第2の偏光のうちの一方を透過し、他方を吸収し、
前記反射型偏光選択手段は、周縁部に弾性を有する枠状のスペーサを有し、
前記画像表示部は、前記第1の偏光を透過し、前記第2の偏光を吸収する画像光用偏光選択手段を備え、前記画像光用偏光選択手段を透過した前記第1の偏光を前記画像光として出射することを特徴とする機器。
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