JP4350536B2 - 繊維布帛処理液、並びに、アレルゲン抑制繊維布帛及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ダニや花粉等のアレルゲンを抑制するアレルゲン抑制繊維布帛を製造する際に用いて好適な繊維布帛処理液、並びに、これを用いてなるアレルゲン抑制繊維布帛及びその製造方法に関する。
近年、アトピー性皮膚炎、気管支喘息、アレルギー性鼻炎等の多くのアレルギー疾患が問題視されている。これらはヒョウダニ等の住居内性ダニ類アレルゲン(Der1, 2等)や、スギ花粉等の花粉アレルゲン(Crij1,2等)等によって引き起こされる。ダニ類アレルゲンに関しては、死虫についてもアレルゲン物質を生活空間内に放散することが指摘されており、原因となるダニ類を単に死滅させても根本的な解決には至らない。花粉アレルゲンであるCrij1,2は分子量約37〜40kDaの糖タンパク質であり、鼻粘膜等に付着すると生体外異物として認識され、炎症反応等を引き起こすことがある。
アレルギー疾患対策としては、生活空間からのアレルゲンの完全排除や、アレルゲンの変性等による不活性化が挙げられる。
アレルゲンの完全排除は実際には困難であり現実的ではないので、以下、アレルゲンの不活性化について言及する。
上記アレルゲンは蛋白質であるため、酸化剤、還元剤、酸、アルカリ等による処理や加熱処理で変性し不活性化すると考えられるが、比較的安定性の高い蛋白質であり、不活性化には過酷な条件が必要とされている(非特許文献1等)。
比較的穏和な条件でアレルゲンを不活性化させる手段として、(1)茶抽出物や、ヒドロキシ安息香酸系化合物又はその塩等のアレルゲン抑制成分を含む組成物を、スプレー噴霧等する技術が開示されている(特許文献1、2)。しかしながら、この技術では手間がかかる上、アレルゲン抑制効果は一時的なものであり、根本的な解決にはならない。特に、寝具(シーツやカバー、布団側等)や衣類(洋服、寝衣、肌着、帽子、手袋、靴下等)等の繊維製品では、洗濯によってアレルゲン抑制成分が脱落するため、アレルゲン抑制効果が失われやすい。
そこで、繊維布帛自体を改質して、アレルゲン抑制効果を持続的に得る研究がなされており、繊維布帛に、アレルゲン抑制成分であるポリビニルフェノールを化学結合させる技術が提案されている(特許文献3)。
一方、繊維布帛には汗等を吸収する吸水・吸湿性が求められる。例えば、(メタ)アクリル酸系ビニル系単量体等を繊維布帛上で重合させることで、繰り返し洗濯等に対して安定な耐久性のある吸水・吸湿性付与処理を施すことができる。
さらに、上記単量体を重合する際に所望の特性を呈する物質を合わせて作用させることで耐久性を確保しつつ高機能化を図ることができる。例えば、繊維布帛上にアクリル酸系単量体を重合する際に、絹フィブロン水溶液を合わせて作用させることで、耐久性のある吸水・吸湿性と、絹のような柔軟性やドレープ性等の風合いを呈する改質繊維布帛が得られることが開示されている(特許文献4)。その他、繊維布帛上にアクリル酸系単量体を重合する際に、コラーゲンや抗菌剤(第四級アンモニウム塩型界面活性剤、キトサン等)の水溶液や分散液を合わせて作用させることで、耐久性のある吸水・吸湿性と、耐久性のある抗菌性を呈する改質繊維布帛が得られることが開示されている(特許文献5)。
特開平06−279273号公報 特開平11−292714号公報 特開2003−96670号公報 特開平06−158545号公報 特開平07−300770号公報 マニュエル・ロンバーデロ(Manuel Lombardero)、ペーター・ヘイマン(Peter Heymann)、トーマス・プラッツミルズ(Thomas Platts-Mills)、ジェイ・フォックス(Jay Fox)、マーチン・チャップマン(Martin Chapman)、 「Conformational stability of B cell epitopes on group I and group II Dermatophagoides spp. allergens」、(USA)、ザ ジャーナル オブ イミュノロジー(The Journal of Immunology)、Vol.144、p.1353-1360
しかしながら、特許文献3に記載の技術では、以下のような問題がある。
すなわち、ポリビニルフェノールは一般に水難溶性又は水不溶性を呈するため、繊維布帛処理液は必然的に水系の乳化液または分散液、あるいは非水系となる。ポリビニルフェノール自体が良好な水溶性を呈さず、しかも繊維布帛処理液として上記形態を採用せざるを得ないため、かかる繊維布帛処理液を用いて繊維布帛の改質を実施しようとしても、繊維布帛に対して有効成分を良好に化学結合させることが難しく、良好なアレルゲン抑制効果を安定的に得ることは難しい。加えて、繊維布帛処理液として乳化液等を用いる場合、多量に配合する乳化剤がアレルゲン抑制効果の発現を阻害する恐れもあり、非水系では工業生産上の制約も大きい。
また、同文献には、寝具や衣類等の繊維製品に不可欠な耐久性(耐繰り返し洗濯性等)に関しては一切言及されていない。さらに、アレルゲン抑制効果付与と同時に、吸水・吸湿性を付与することについても開示がない。
ここで、アレルゲン抑制効果と吸水・吸湿性付与を同時に実現するには、特許文献4、5の改質技術の適用が考えられる。また、アレルゲン抑制効果を良好に発現させるには有効成分の付着量を増すことが考えられる。
しかしながら、特許文献4、5の改質技術では、有効成分の付着量は繊維布帛の質量に対して高々5質量%である。良好なしかも耐久性のあるアレルゲン抑制効果、及び吸水・吸湿性を付与するべく、単に公知の改質技術を適用しようとしても、単なる有効成分の付着量の増加は、いわゆる糊付け状態を招き、柔軟性やドレープ性等の風合いに支障を来たすに過ぎない。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、繊維布帛の風合いを損なうことなく、良好でしかも耐久性のあるアレルゲン抑制効果及び吸水・吸湿性を安定的に付与する繊維布帛改質技術を提供することを目的とする。
本発明者らは上記目的を達成するべく鋭意検討した結果、中性域では水難溶性又は水不溶性を呈するポリビニルフェノール等のアレルゲン抑制成分がアルカリpH領域で良好な水溶性を呈し、水性の繊維布帛処理液を構成し得ること、また該成分と特定の単量体成分とを繊維布帛上で合わせて重合することで、繊維布帛の表面および内部にアレルゲン抑制成分を良好に導入でき、しかも吸水・吸湿性付与効果も合わせて得られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の繊維布帛処理液は、少なくともアルカリpH領域で水溶性を呈するアレルゲン抑制成分(X)と、下記一般式(1)で示される2官能性単量体(A)と、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、スルホン酸基、リン酸基のうちいずれかの基を含む単量体(B)とを含み、前記アレルゲン抑制成分(X)としてポリビニルフェノールを含み、さらに溶媒として水及び/又は水性有機溶剤を含むpH12以上のアルカリ性水性溶液であることを特徴とする。
Figure 0004350536
発明の繊維布帛処理液はさらに、少なくとも1個のアジリジン基を含む単量体、及びポリカルボジイミド基、ポリエチレンイミン基、オキサゾリン基のうちいずれかの基を含む水溶性ポリマーから選択される架橋剤(C)を含むことが好ましい。
本発明の繊維布帛処理液は、溶媒として水及び/又は炭素数1〜3の脂肪族低級アルコールを含むことが好ましい。
本発明の繊維布帛処理液は、溶媒として、水のみを含むことが好ましい。
本発明のアレルゲン抑制繊維布帛は、下記本発明の第1又は第2のアレルゲン抑制繊維布帛の製造方法により製造されることを特徴とする。
本発明によれば、成分(X)と、成分(A)及び(B)、若しくは成分(A)〜(C)とが繊維の表面および内部に導入されたアレルゲン抑制繊維布帛を提供することができる。また、本発明によれば、繊維布帛に、これら成分がグラフト重合されたアレルゲン抑制繊維布帛を提供することができる。
本発明の第1のアレルゲン抑制繊維布帛の製造方法は、上記の本発明の繊維布帛処理液を繊維布帛に接触させる接液工程と、繊維布帛上で、アレルゲン抑制成分(X)と、成分(A)及び(B)、若しくは成分(A)〜(C)とを重合させる重合工程とを有することを特徴とする。
本発明では、前記重合工程において、繊維布帛に、アレルゲン抑制成分(X)と、成分(A)及び(B)、若しくは成分(A)〜(C)とをグラフト重合させることができる。
本発明の第2のアレルゲン抑制繊維布帛の製造方法は、
下記一般式(1)で示される2官能性単量体(A)と、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、スルホン酸基、リン酸基のうちいずれかの基を含む単量体(B)とを含み、溶媒として水及び/又は水性有機溶剤を含む繊維布帛処理液(Y1)、
又は、成分(A)と(B)に加えて、さらに少なくとも1個のアジリジン基を含む単量体、及びポリカルボジイミド基、ポリエチレンイミン基、オキサゾリン基のうちいずれかの基を含む水溶性ポリマーから選択される架橋剤(C)を含み、溶媒として水及び/又は水性有機溶剤を含む繊維布帛処理液(Y2)を繊維布帛に接触させる第1の接液工程と、
繊維布帛上で、成分(A)及び(B)、若しくは成分(A)〜(C)を重合させる第1の重合工程と、
繊維布帛に、少なくともアルカリpH領域で水溶性を呈するアレルゲン抑制成分(X)を含み、前記アレルゲン抑制成分(X)としてポリビニルフェノールを含み、溶媒として水及び/又は水性有機溶剤を含むpH12以上のアルカリ性水性溶液である繊維布帛処理液(Z)を接触させる第2の接液工程と、
繊維布帛上で、アレルゲン抑制成分(X)を重合させる第2の重合工程とを有することを特徴とする。
Figure 0004350536
繊維布帛処理液(Y1)、(Y2)、及び(Z)は、溶媒として、水及び/又は炭素数1〜3の脂肪族低級アルコールを含む水性溶液であることが好ましい。
本発明では、前記第1の重合工程と前記第2の重合工程とを同時に実施し、繊維布帛に、アレルゲン抑制成分(X)と、成分(A)及び(B)、若しくは成分(A)〜(C)とを同時にグラフト重合させることができる。
第1、第2の製造方法によって、成分(X)と、成分(A)及び(B)、若しくは成分(A)〜(C)とが重合された上記の本発明のアレルゲン抑制繊維布帛を製造することができる。なお、第1の製造方法では、繊維布帛に対して、これら成分をすべて同時に接触させ、重合させるのに対し、第2の製造方法では、アレルゲン抑制成分(X)と他の成分に分けて、2段階で接触させることを特徴としている。
本発明によれば、繊維布帛の風合いを損なうことなく、良好でしかも耐久性のあるアレルゲン抑制効果及び吸水・吸湿性を安定的に付与する繊維布帛改質技術を提供することができる。
以下、本発明について詳述する。
「繊維布帛処理液」
本発明の繊維布帛処理液は、繊維布帛を重合にて改質する処理液であり、少なくともアルカリpH領域で水溶性を呈するアレルゲン抑制成分(X)と、特定の単量体成分とを含み、かつ、溶媒として水及び/又は水性有機溶剤(これらは「水性溶媒」と総称する。)を含むアルカリ性水性溶液である。
「アレルゲン抑制成分」とは、ヒョウダニ等の住居内性ダニ類アレルゲン(Der1,2等)や、スギ花粉等の花粉アレルゲン(Crij1,2等)、犬・猫等の動物に由来するアレルゲン(Can f1, Fe d1等)等のアレルゲンを変性あるいは吸着し、アレルゲンの特異抗体に対する反応性を抑制する成分である。
アレルゲン抑制効果は、例えば、ELISA法等にてアレルゲン量を定量化することで、確認できる。ELISA法用のアレルゲン量測定キットとしては、LCDアレルギー研究所社製 商品名「ELISAキット」等が市販されている。
アレルゲン抑制成分(X)としては、少なくともアルカリpH領域で水溶性を呈し、アレルゲン抑制効果を呈するものであれば特に限定されないが、例えば、ポリビニルフェノール、ポリ3,4,5−ヒドロキシ安息香酸ビニル、ポリチロシン、ポリ(1−ビニル−5−ヒドロキシナフタレン)、ポリ(1−ビニル−6−ヒドロキシナフタレン) 、ポリ( 1−ビニル−5−ヒドロキシアントラセン)等の芳香族ヒドロキシ化合物や、2−ヒドロキシフラン、2−ヒドロキシチオフェン、ヒドロキシベンゾフラン、3−ヒドロキシピリジン等の芳香族複素環式ヒドロキシ化合物等が挙げられる。これらは1種を単独で又は複数種を組み合わせて用いることができる。
中でも、アレルゲン抑制効果に優れることから、本発明では特にポリビニルフェノール等を用いることが好ましい。
ポリビニルフェノールとしては、ポリ−4−ビニルフェノール、ポリ−3−ビニルフェノール、ポリ−2−ビニルフェノール等が具体的に挙げられる。アレルゲンとの相互作用の際の立体障害を考えると、ポリ−4−ビニルフェノールが特に好ましい。
重合による改質では、用いる繊維布帛処理液は溶媒として水及び/又は水性有機溶剤を含む水性液の形態が好ましい。また、界面活性剤等の乳化剤は繊維布帛の表面に膜を形成し、有効成分の導入や導入した有効成分の機能発現に影響を及ぼす恐れがある。したがって、乳化剤を多量に含む乳化液や水分散液は不適であり、乳化剤を含まない、若しくは効果発現に影響を及ばさない程度に少量含む水性溶液の形態が好ましい。
ここで、「発明が解決しようとする課題」の項において述べたように、ポリビニルフェノール等は一般に水難溶性又は水不溶性を呈するため、従来は、水系の乳化液または分散液、あるいは非水系で使用されている。しかしながら、本発明者は、ポリビニルフェノール等のアレルゲン抑制成分が少なくともアルカリpH領域で良好な水溶性を呈し、重合による繊維布帛改質に用いて好適なものとなることを見出している。
本発明の繊維布帛処理液のpHは、アレルゲン抑制成分が水溶性を呈するアルカリ領域であれば特に限定されないが、12以上が好ましく、14超が特に好ましい。pHをかかる強アルカリ領域とすることで、ポリビニルフェノール等のアレルゲン抑制成分が優れた水溶性を呈する。
pHの調整は、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、アミン類、アミド類等のアルカリ剤を添加することで実施できる。アルカリ強度や原料コストを考慮すれば、アルカリ剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属塩が特に好ましい。
本発明では単量体成分が耐アルカリ性であることが必要である。
本発明では、単量体成分として、下記一般式(1)で示される2官能性単量体(A)と、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、スルホン酸基、リン酸基のうちいずれかの基を含む単量体(B)とを併用する。
Figure 0004350536
また、上記単量体成分(A)及び(B)に加えて、さらに架橋剤を配合することが好ましい。架橋剤としても耐アルカリ性のものを用いることが必要である。本発明では、少なくとも1個のアジリジン基を含む単量体、及びポリカルボジイミド基、ポリエチレンイミン基、オキサゾリン基のうちいずれかの基を含む水溶性ポリマーから選択される架橋剤(C)を用いることが好ましい。
成分(A)は上記一般式(1)で示される2官能性単量体であれば特に限定されないが、その具体例としては、下記一般式(2)〜(5)で表される化合物等が挙げられる。これらは1種を単独で又は複数種を組み合わせて用いることができる。
Figure 0004350536
成分(B)は水酸基、カルボキシル基、アミノ基、スルホン酸基、リン酸基のうちいずれかの基を含む単量体であれば特に限定されないが、その具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、スチレンスルホン酸、マレイン酸、イタコン酸、クルトン酸、ビニルスルホン酸、2−アリロキシ2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド2−メチルプロパンスルホン酸、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、下記一般式(6)〜(8)で表される化合物等が挙げられる。これらは1種を単独で又は複数種を組み合わせて用いることができる。
Figure 0004350536
成分(C)としては、1個のアジリジン基を含む単量体もしくは2個以上のアジリジン基を含む多官能性単量体を用いることができる。その具体例としては、下記一般式(9)〜(13)で表される化合物等が挙げられる。
Figure 0004350536
また、成分(C)としては、ポリカルボジイミド基、ポリエチレンイミン基、オキサゾリン基を含む水溶性ポリマーを用いることもできる。
かかる水溶性ポリマーとしては、例えば、日本触媒社製RP−18W、RP−20、CK−200、NK−100PMおよび200PM、NK−350及び380、PZ−33、DZ−22E、エポクロスWS−500(いずれも商品名)等が市販されている。
成分(C)は上記単量体、水溶性ポリマーを、1種単独で又は複数種を組み合わせて用いることができる。
繊維布帛処理液中の成分(X)の濃度は特に限定されず、成分(X)のアレルゲン抑制能や、所望のアレルゲン抑制効果、用いる繊維布帛等に応じて適宜設定されるが、0.1〜30質量%が好ましい。成分(X)の濃度が低すぎると、良好なアレルゲン抑制効果を安定的に付与することが困難となる恐れがあり、濃度が高すぎると、液の粘度が高くなり、取り扱い性等が悪化する恐れがある。
繊維布帛処理液中の成分(A)の濃度は特に限定されないが、1〜20質量%が好ましい。また、成分(A)、(B)、(C)の配合比も特に限定されないが、1:0.01〜1:0.01〜1(質量比)が好ましい。
溶媒としては、少なくとも水性溶媒を用いる。
水性溶媒としては、アレルゲン抑制成分(X)と単量体成分(A)及び(B)、さらに必要に応じて架橋剤(C)を媒散するものであれば特に限定されず、水及び/又はアルコール類等の水性有機溶剤が使用できるが、肌への刺激が小さく生体への影響が小さいことから、特に水及び/又は炭素数1〜3の脂肪族低級アルコール(メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等)が好ましく用いられる。
水性溶媒は1種を単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。また、必要に応じて、ジメチルホルムアミド、アセトン、ジメチルスルホキシド等の非水性溶媒を併用することも差し支えない。
繊維布帛処理液には、成分(X)、及び成分(A)〜(C)、溶媒の他、各種添加剤を添加しても良い。
本発明では、吸湿性化合物(D)を添加することが好ましい。吸湿性化合物(D)としては、塩化カルシルム、塩化マグネシウム、シリカゲル等の無機化合物;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシメチレン等のポリエーテル;ポリビニルアルコール等のポリアルコール;ポリアクリル酸ナトリウム塩等のポリマー塩;ポリアクリル酸等のポリマー酸等が具体的に挙げられる。これらは1種を単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
アレルゲン抑制成分(X)と吸湿性化合物(D)とを併用して、繊維布帛を改質することで、より高いアレルゲン抑制効果が発現する。これは、繊維布帛上で、吸湿性化合物(D)が空気中の水分子を引き寄せて、アレルゲン抑制成分(X)とアレルゲンとの反応場を提供し、アレルゲン抑制反応を促進するためと考えられる。
吸湿性化合物(D)としては特に、吸湿性に優れ、かつ捉えた水分子を系中に放出し易いことから、ポリエーテルが好ましい。
その他、メラミン系樹脂、グリオキサール系樹脂、エポキシ系樹脂等の反応性樹脂やイミン系架橋剤等の成分(C)以外の架橋剤をさらに添加し、成分(X)および成分(A)〜(C)の重合に際し、これらを架橋させても良い。
重合反応を効率良く進行させるため、過酸化カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素、ベンゾイルパーオキシド、アゾビスイソブチロニトリル、ターシャリーブチルパーオキシド等の重合開始剤を添加することもできる。
成分(X)の溶解性向上等を目的として、各種界面活性剤等の乳化剤を添加することもできる。
また、保湿性向上等を目的として、アミノ酸類を多く含む、セリシン、コラーゲン、プロティン、リン脂質モノマー等の天然高分子保湿成分(E)を添加することもできる。
本発明の繊維布帛処理液の調製方法は特に限定されず、全構成成分を一括して添加混合し調製しても良いし、複数段階に分けて添加混合しても良い。複数段階に分ける場合には、例えば、水性溶媒、アルカリ剤、アレルゲン抑制成分(X)を混合して、成分(X)のアルカリ性水性溶液(Z)を調製してから、これに単量体成分(A)及び(B)、必要に応じて架橋剤(C)、さらに必要に応じて他の添加剤を添加混合するなどして、調製することができる。
本発明の繊維布帛処理液は以上のように構成され、詳細については後記するが、これを用いることで、繊維布帛を簡易に改質し、繊維布帛の風合いを損なうことなく、良好でしかも耐久性のあるアレルゲン抑制効果及び吸水・吸湿性を安定的に付与することができる。
「アレルゲン抑制繊維布帛」
本発明のアレルゲン抑制繊維布帛は、繊維布帛上で、アレルゲン抑制成分(X)と、上記一般式(1)で示される2官能性単量体(A)と、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、スルホン酸基、リン酸基のうちいずれかの基を含む単量体(B)と、さらに必要に応じて架橋剤(C)とを重合させてなることを特徴とする。
各成分の具体例については、上記したので説明を省略する。
本発明のアレルゲン抑制繊維布帛には、
(i)繊維布帛に、成分(X)、成分(A)及び(B)、必要に応じて成分(C)がグラフト重合されたもの、
(ii)繊維布帛上で、成分(X)、成分(A)及び(B)、必要に応じて成分(C)のホモポリマー及び/又はこれらの複数種が共重合したコポリマーが生成されたもの、
(iii)一部の成分が繊維布帛にグラフト重合し、残りの成分が繊維布帛上でホモポリマーおよび/又はコポリマーを生成したもの等が含まれる。
これらの中でも特に、有効成分が繊維布帛に強固に結合され、耐久性に優れたアレルゲン抑制繊維布帛が得られるため、(i)繊維布帛に、成分(X)、成分(A)及び(B)、必要に応じて成分(C)がグラフト重合されたものが好ましい。
基材となる繊維布帛の構成繊維としては特に限定されないが、綿、羊毛、絹、麻等の天然繊維や、ナイロン、アクリル、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリトリメチレンテレフタレート等の合成繊維、あるいはこれらから選択される複数種からなる混紡繊維や複合繊維等が挙げられる。
本発明は、ナイロン等のポリアミド繊維やポリエステル繊維、あるいはこれらの繊維を含む混紡繊維(例えば、ポリエステル/綿混紡繊維等)や複合繊維からなる繊維布帛に対して、特に顕著な効果を奏する。これらの繊維布帛は疎水性が高く、通常の繊維処理では改質が難しく、吸水・吸湿性の付与すら困難であるが、本発明はこれらの繊維布帛に対しても、効果的に吸水・吸湿性を付与し、さらには耐久性のあるアレルゲン抑制効果をも良好に付与することができる。
繊維布帛の形態も特に限定されず、織物、編物、不織布等が挙げられる。また、精練、染色、抗菌加工、SR加工、防炎加工、帯電防止加工などが施されたものであっても良い。また、敷物(絨毯等)、カーテン、壁紙、シートカバー、椅子の布張り、寝具(シーツ、カバー、布団側等)、衣類(洋服、寝衣、肌着、帽子、手袋、靴下等)、マスク、空気清浄機のフィルター等の最終製品に加工されたものであっても良いし、加工する前のものであっても良い。
本発明者は、成分(A)及び(B)、若しくは成分(A)〜(C)が繊維内部に容易に拡散して重合すること、アレルゲン抑制成分(X)と、成分(A)及び(B)、若しくは成分(A)〜(C)との相性が格段に優れ、これらを合わせて重合することで、繊維布帛の種類等に関係なく、これらの成分を繊維布帛の表面及び内部に良好に導入・定着させることができることを見出している。
アレルゲン抑制成分(X)を、成分(A)及び(B)、若しくは成分(A)〜(C)と合わせて重合することで、成分(X)を繊維布帛の表面及び内部に良好に導入できる理由は必ずしも定かではないが、アルカリpH領域下で、アレルゲン抑制成分(X)と単量体成分(A)及び(B)の二重結合部分とが化学的に結合し、重合されやすくなるものと推察される。
また、繊維布帛の表面のみならず内部へのアレルゲン抑制成分(X)の導入を実現したことで、繊維布帛の風合いを損なうことなく(いわゆる糊付け状態等を招くことなく)、アレルゲン抑制成分(X)の付着量を飛躍的に増大することができ、しかも導入した各成分は溶出や脱離し難いため、良好でしかも耐久性(耐繰り返し洗濯性等)のあるアレルゲン抑制効果を安定的に付与できることを見出している。特に、各成分がグラフト重合されたものは、繊維布帛と強固に結合するため、繊維の内部に導入されることと相俟って、より一層高い耐久性が実現できる。
本発明者はまた、単量体成分(A)及び(B)に加えて、架橋剤(C)を配合することで、アレルゲン抑制成分(X)と単量体成分(A)及び(B)とが架橋剤(C)を介してより強固に結合された状態で、繊維布帛に導入されるので、より耐久性に優れたアレルゲン抑制繊維布帛が得られることを見出している。
上記したように、成分(A)及び(B)、若しくは成分(A)〜(C)は、アレルゲン抑制成分(X)の繊維布帛の表面及び内部への導入・定着を促進させる成分であるが、同時に吸水・吸湿性付与効果を与える。
すなわち、成分(X)と、成分(A)及び(B)、若しくは成分(A)〜(C)とが導入された本発明のアレルゲン抑制繊維布帛は、柔軟性やドレープ性等の良好な風合いを確保しつつ、繊維の表面から内部に渡って、耐久性のあるアレルゲン抑制処理及び吸水・吸湿化処理が施されたものである。
本発明のアレルゲン抑制繊維布帛は、繊維布帛に、成分(X)と、成分(A)及び(B)、必要に応じて成分(C)を導入したものであるが、さらに必要に応じて他の成分を導入することは勿論差し支えない。
繊維布帛処理液で挙げた各種添加剤を用いることで、さらなる高機能化を図ることができる。例えば、吸湿性化合物(D)を付与することで、より高いアレルゲン抑制効果を発現させることができる。また、天然高分子保湿成分(E)を付与することで、保湿性を向上させることができる。
本発明のアレルゲン抑制繊維布帛は、良好なアレルゲン抑制効果を呈し、風合い、汗等の吸収性に優れ、耐洗濯性等の耐久性にも優れるため、アレルゲンの存在する環境で使用される繊維製品、生活用品、生活資材等、例えば、敷物(絨毯等)、カーテン、壁紙、シートカバー、椅子の布張り、寝具(シーツ、カバー、布団側等)、衣類(洋服、寝衣、肌着、帽子、手袋、靴下等)、マスク、空気清浄機のフィルター等に好適に利用することができる。
[アレルゲン抑制繊維布帛の製造方法]
次に、上記の本発明のアレルゲン抑制繊維布帛の製造方法について説明する。
(第1の製造方法)
本発明の第1の製造方法は、繊維布帛上で、成分(X)と、成分(A)及び(B)、若しくは成分(A)〜(C)とを同時に重合させることを特徴とする。
すなわち、成分(X)と、成分(A)及び(B)、若しくは成分(A)〜(C)とを含む上記の本発明の繊維布帛処理液(段落[0024]〜[0046]参照)を繊維布帛に接触させる接液工程と、繊維布帛上で成分(X)と、成分(A)及び(B)、若しくは成分(A)〜(C)を重合させる重合工程とを有することを特徴とするものである。
繊維布帛に繊維布帛処理液を接触(接液)させる方法としては特に限定されないが、浸漬処理法やパディング法等が挙げられる。例えば、パディング法では、繊維布帛に繊維布帛処理液を接触させた後、必要に応じて繊維布帛を絞り、繊維布帛処理液の付着量を調整する。さらに、必要に応じて50〜130℃程度で加熱乾燥(乾熱処理)する。なお、乾熱処理だけでは重合反応は進行しにくい。
以上の処理を行った後、重合を行う。
成分(X)と、成分(A)及び(B)、若しくは成分(A)〜(C)との重合は、繊維布帛処理液が付着した繊維布帛に対して、湿熱処理、電子線照射処理、紫外線照射処理、マイクロ波照射処理等の処理を施すことによって行うことができる。湿熱処理を採用する場合には、例えば、水蒸気を満たした90〜140℃程度の雰囲気中にて1〜90分間程度処理すれば良い。また、電子線照射処理、紫外線照射処理、マイクロ波照射処理を採用する場合には、接液工程の前にあらかじめ電子線、紫外線、マイクロ波を照射しておいても良いし、接液工程の後に照射を行っても良い。また、電子線照射処理、紫外線照射処理、マイクロ波照射処理を採用する場合には、重合反応の際に周囲の雰囲気を窒素等により置換すると、発生したラジカルの消失を防ぎ、重合成分の有効利用率の向上を図ることができるので好ましい。
本発明では、この工程において、繊維の表面のみならず、繊維の内部でも重合反応が進行する。なお、本発明の製造方法では、
(i)繊維布帛に、成分(X)と、成分(A)及び(B)、若しくは成分(A)〜(C)とがグラフト重合される場合、
(ii)繊維布帛上で、成分(X)と、成分(A)及び(B)、若しくは成分(A)〜(C)のホモポリマー及び/又はこれらの複数種が共重合したコポリマーが生成される場合、
(iii)一部の成分が繊維布帛にグラフト重合し、残りの成分が繊維布帛上でホモポリマー及び/又はコポリマーを生成する場合等が含まれる。
但し、(i)の繊維布帛に、成分(X)と、成分(A)及び(B)、若しくは成分(A)〜(C)とをグラフト重合することが特に好ましい。
重合反応終了後、繊維布帛に付着している未反応化合物を除去するため、洗浄を行うことが好ましい。
また、本発明の製造方法では、接液工程の前、あるいは重合工程の後に、繊維布帛に対して公知の抗菌剤、SR剤、防炎剤、帯電防止剤等を付与することも可能である。
(第2の製造方法)
本発明の第2の製造方法は、成分(A)及び成分(B)を含む繊維布帛処理液(Y1)、若しくは成分(A)〜(C)を含む繊維布帛処理液(Y2)を繊維布帛に接触させる第1の接液工程と、繊維布帛上で、成分(A)及び(B)、若しくは成分(A)〜(C)を重合させる第1の重合工程と、繊維布帛に、成分(X)を含むアルカリ性水性溶液である繊維布帛処理液(Z)を接触させる第2の接液工程と、繊維布帛上で、成分(X)を重合させる第2の重合工程とを有することを特徴とする。
本発明の第2の製造方法において、第1の重合工程と第2の重合工程とは同時に実施することが好ましい。この場合には、製造工程を簡略化できるだけでなく、アレルゲン抑制成分(X)の導入促進が図られるため、好適である。
繊維布帛処理液(Z)は、上記の本発明の繊維布帛処理液(段落[0024]〜[0046]参照)から、成分(A)〜(C)を除いたものである(段落[0045]参照)。繊維布帛処理液(Y1)、(Y2)、及び(Z)に用いる溶媒は、本発明の繊維布帛処理液と同様のものを用いることができる。各液の調製方法、接液方法、重合方法は、上記の第1の製造方法と同様である。
本発明の第1、第2の製造方法によれば、良好なアレルゲン抑制効果を呈し、風合い、吸水・吸湿性に優れ、耐久性(耐洗濯性等)にも優れる本発明のアレルゲン抑制繊維布帛を簡易に製造することができる。
特に、繊維布帛上で、成分(X)と、成分(A)及び(B)、若しくは成分(A)〜(C)とを同時に接液・重合させる第1の製造方法は、成分(X)の重合促進効果が高く、アレルゲン抑制効果、吸水・吸湿性、耐久性により優れたアレルゲン抑制繊維布帛を製造することができる。また、工程数が少ない点からも、第1の製造方法は好適である。
次に、本発明に係る実施例および比較例について説明する。各例においてアレルゲン抑制繊維布帛を含む改質繊維布帛を作製し、評価を行った。
(評価項目および評価方法)
<アレルゲン抑制効果>
各例において作製した改質繊維布帛を33cm×30cmに裁断し、評価布片とした。また、エチルアルコール50質量%水溶液100質量部に対して、ダニアレルゲンを2mg/g含む塵ゴミ5質量部を分散させたアレルゲン分散液を調製した。先の評価布片全体に、調製したアレルゲン分散液1mlを均一に振り撒いたものを評価に供した。
[評価(1)]
上記処理を行った評価布片を室温下で8時間静置した後、アレルゲン判定キット「ダニスキャン」(アサヒフードアンドヘルスケア社製)を用いてアレルゲン性を測定した。「ダニスキャン」の使用説明書に基づき、下記基準にて判定した。
1:ダニアレルゲンの汚染はない(テストラインT=0)
2:ややダニアレルゲンで汚染されている(T<Cコントロールライン)
3:ダニアレルゲンで汚染されている(T=C)
4:ダニアレルゲンで非常に汚染されている(T>C)
[評価(2)]
上記処理を行った評価布片を室温下で2時間静置した後、「マイティーチェッカー」(シントーファイン社製)を用いて、アレルゲン成分を抽出し、アレルゲン量を測定した。判定基準は以下の通りとした。
++:ダニアレルゲン量が35μg/m
+ :ダニアレルゲン量が10μg/m超35μg/m以下
± :ダニアレルゲン量が5μg/m超10μg/m以下
− :ダニアレルゲン量が1μg/m以下
<吸湿性>
下記関係式により吸湿率Hを求めた。
H={(H1−H0)/H0}×100(%)
ここで、H0は絶乾質量であり、評価繊維布帛を120℃で3時間乾燥した後の質量である。H1は吸湿質量であり、上記乾燥処理後に、温湿度雰囲気下に24時間静置して調湿した後の質量である。温湿度雰囲気としては、衣服内気候に相当する30℃、90%RHと、外気に相当する20℃、65%RHとの2種類に設定した。
<吸水性>
JIS L 1096 6−26−1 A法(滴下法)に準拠して測定した。
<耐久性>
上記のアレルゲン抑制効果(評価(1)及び(2))、吸湿性・吸水性評価を、それぞれ、初期(洗濯前)と20回洗濯後の計2回行い、耐久性を評価した。洗濯は、洗濯試験JIS L−0217 103法に基づいて以下のようにして行った。
試験装置の水槽の標準水量を示す水位線まで液温40℃の水を入れ、これに標準使用量となる割合で洗濯用合成洗剤を添加して溶解し、洗濯液とする。この洗濯液に浴比が、1対30になるように評価繊維布帛を投入して運転を開始する。5分間洗浄処理した後、運転を止め、評価繊維布帛を脱水機で脱水し、次に洗濯液を30℃以下の新しい水に替えて、同一の浴比で2分間すすぎ洗いを行う。2分間のすすぎ洗いを行った後、運転を止め、評価繊維布帛を脱水し、再び2分間すすぎ洗いを行い、脱水し、直接日光の影響を受けない状態でつり干し又は平干しする。その後、必要に応じて素材繊維の適正温度でドライアイロン仕上げを行う。
(実施例1)
生地質量が110g/mのポリエステル仮撚加工糸を用いたポンジ織物に対して、常法にてリラックス、精練、プレセット、アルカリ減量加工、染色を順次行った。この繊維布帛を基材として用い、改質処理を行った。
表1に示す組成の本発明の繊維布帛処理液を調製し、これをパディング法にて繊維布帛に付与した。絞り率は60質量%とした。その後、110℃98%RHのスチームで5分間処理する湿熱処理を施し、重合を行った。重合反応終了後、洗浄、仕上げセットを行い、本発明のアレルゲン抑制繊維布帛を得た。
なお、成分(X)含有液であるポリ−4−ビニルフェノールアルカリ性水溶液としては、ポリ−4−ビニルフェノール(アルドリッチ社製、質量平均分子量8000)30質量%を含み、アルカリ剤として8N水酸化ナトリム水溶液を用いてpHを14超とした調製液を用いた。
Figure 0004350536
(比較例1)
実施例1と同じポリエステルポンジ織物を用い、常法にてリラックス、精練、プレセット、アルカリ減量加工、染色、仕上げセットを順次行い、ポリエステル100%のタフタ織物を得た。この繊維布帛を基材として用い、改質処理を行った。
表2に示す組成の繊維布帛処理液を調製し、これをパディング法にて繊維布帛に付与した。絞り率は60質量%とした。その後、110℃98%RHのスチームで5分間処理する湿熱処理を施し、重合を行った。重合反応終了後、洗浄、仕上げセットを行い、比較用の改質繊維布帛を得た。
なお、比較用のアレルゲン抑制成分含有液であるポリ−4−ビニルフェノール水分散液としては、ポリ−4−ビニルフェノール(アルドリッチ社製、質量平均分子量8000)10質量%、エチレングリコール(和光純薬社製)30質量%、乳化剤(第一工業製薬社製「ノイゲンEA87」)10質量%を含む調製液を用いた。この液のpHは6であった。
Figure 0004350536
(実施例2)
表3に示す組成の本発明の繊維布帛処理液を調製した以外は実施例1と同様にして、本発明のアレルゲン抑制繊維布帛を得た。
Figure 0004350536
(比較例2)
表4に示す組成の繊維布帛処理液を調製した以外は実施例1と同様にして、比較用の改質繊維布帛を得た。
Figure 0004350536
(比較例3)
表5に示す組成の繊維布帛処理液を調製した以外は実施例1と同様にして、比較用の改質繊維布帛を得た。
Figure 0004350536
(実施例1、2および比較例1〜3の評価結果)
評価結果を表6、7に示す。
繊維布帛上で、アレルゲン抑制成分(X)と、成分(A)及び(B)、若しくは成分(A)〜(C)とを重合して改質した実施例1、2では、表に示すように、得られた改質繊維布帛にはアレルゲン抑制成分(X)が導入されており、初期において良好なアレルゲン抑制効果を呈することが確認された。また、20回洗濯後もアレルゲン抑制効果の低下はほとんどなく、アレルゲン抑制成分(X)が脱離し難い状態で定着していることが確認された。これはアレルゲン抑制成分(X)が繊維の表面のみならず内部にも導入されたためである。得られた改質繊維布帛は、柔軟性やドレープ性等の風合いも良好であった。さらに、この繊維布帛は、初期および20回洗濯後の双方において、高い吸水・吸湿性を示した。このように、実施例1、2で得られた改質繊維布帛は、初期および20回洗濯後の双方において、大きな特性変化はなく、耐久性にも優れるものであった。
架橋剤(C)を用いて重合を行った実施例1では、吸水・吸湿性、耐久性の点で、特に良好な結果が得られた。
これに対して、アレルゲン抑制成分の水分散液を用い、繊維布帛処理液を中性とした比較例1、繊維布帛上でアレルゲン抑制成分(X)のみを重合しようとした比較例2、3では、得られた改質繊維布帛はいずれも、アレルゲン抑制効果、吸水・吸湿性、耐久性が実施例1、2に比して劣るものであった。これら比較例では、アレルゲン抑制成分が繊維の表面にのみ導入され、内部への重合が十分に行われていないものと思われる。また、比較例2、3では吸水・吸湿性が著しく不良であった。
Figure 0004350536
Figure 0004350536
(実施例3)
生地質量が100g/mのナイロンタフタに対して、常法にて精練、プレセット、染色を順次行った。この繊維布帛を基材として用い、改質処理を行った。
表8に示す組成の本発明の繊維布帛処理液を調製し、パディング法にて繊維布帛に付与した。絞り率は50質量%とした。その後、105℃98%RHのスチームで5分間処理する湿熱処理を施し、重合を行った。重合反応終了後、洗浄、乾燥、仕上げセットを行い、本発明のアレルゲン抑制繊維布帛を得た。
Figure 0004350536
(比較例4)
実施例3と同じナイロンタフタを用い、常法にて精練、プレセット、染色、乾燥、仕上げセットを順次行い、ナイロン100%のタフタ織物を得た。この繊維布帛を基材として用い、改質処理を行った。
表9に示す組成の繊維布帛処理液を調製し、パディング法にて繊維布帛に付与した。絞り率は50質量%とした。その後、105℃98%RHのスチームで5分間処理する湿熱処理を施し、重合を行った。重合反応終了後、洗浄、乾燥、仕上げセットを行い、比較用の改質繊維布帛を得た。
なお、比較用のアレルゲン抑制成分含有液であるタンニン酸水溶液としては、タンニン酸(和光純薬社製)10質量%を含む調製液を用いた。この液のpHは3であった。
Figure 0004350536
(比較例5)
表10に示す組成の繊維布帛処理液を調製した以外は実施例3と同様にして、比較用の改質繊維布帛を得た。
なお、比較用のアレルゲン抑制成分含有液であるカテキン水溶液としては、三井農林社製「サンカテキン」(カテキン含有量10質量%)を用いた。この液のpHは6であった。
Figure 0004350536
(実施例3および比較例4、5の評価結果)
評価結果を表11、12に示す。
繊維布帛上で、アレルゲン抑制成分(X)および成分(A)〜(C)を重合した実施例3では、実施例1と同様、得られた改質繊維布帛は、成分(X)が脱離し難い状態で定着しており、風合いが良好であり、初期および20回洗濯後の双方において、良好なアレルゲン抑制効果および高い吸水・吸湿性を示し、耐久性に優れるものであった。
これに対して、アレルゲン抑制成分として、タンニン酸又はカテキンを用い、繊維布帛処理液を中性又は酸性とした比較例4、5では、得られた改質繊維布帛は、アレルゲン抑制効果、吸水・吸湿性、耐久性が、実施例3に比して劣るものであった。
Figure 0004350536
Figure 0004350536
なお、以上の例ではダニアレルゲンについてのみ評価を行っているが、本発明者は、本発明の改質技術が、花粉アレルゲン等の他のアレルゲンに対しても同様の効果を呈することを確認している。
本発明の繊維布帛改質技術は、アレルゲンの存在する環境で使用される繊維製品、生活用品、生活資材等、例えば、敷物(絨毯等)、カーテン、壁紙、シートカバー、椅子の布張り、寝具(シーツ、カバー、布団側等)、衣類(洋服、寝衣、肌着、帽子、手袋、靴下等)、マスク、空気清浄機のフィルター等に好ましく適用することができる。

Claims (10)

  1. 少なくともアルカリpH領域で水溶性を呈するアレルゲン抑制成分(X)と、
    下記一般式(1)で示される2官能性単量体(A)と、
    水酸基、カルボキシル基、アミノ基、スルホン酸基、リン酸基のうちいずれかの基を含む単量体(B)とを含み、
    前記アレルゲン抑制成分(X)としてポリビニルフェノールを含み、
    さらに溶媒として水及び/又は水性有機溶剤を含むpH12以上のアルカリ性水性溶液であることを特徴とする繊維布帛処理液。
    Figure 0004350536
  2. さらに、少なくとも1個のアジリジン基を含む単量体、及びポリカルボジイミド基、ポリエチレンイミン基、オキサゾリン基のうちいずれかの基を含む水溶性ポリマーから選択される架橋剤(C)を含むことを特徴とする請求項1に記載の繊維布帛処理液。
  3. 溶媒として、水及び/又は炭素数1〜3の脂肪族低級アルコールを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の繊維布帛処理液。
  4. 溶媒として、水のみを含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の繊維布帛処理液。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の繊維布帛処理液を繊維布帛に接触させる接液工程と、
    繊維布帛上で、アレルゲン抑制成分(X)と、成分(A)及び(B)、若しくは成分(A)〜(C)とを重合させる重合工程とを有することを特徴とするアレルゲン抑制繊維布帛の製造方法。
  6. 前記重合工程において、
    繊維布帛に、アレルゲン抑制成分(X)と、成分(A)及び(B)、若しくは成分(A)〜(C)とをグラフト重合させることを特徴とする請求項に記載のアレルゲン抑制繊維布帛の製造方法。
  7. 下記一般式(1)で示される2官能性単量体(A)と、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、スルホン酸基、リン酸基のうちいずれかの基を含む単量体(B)とを含み、溶媒として水及び/又は水性有機溶剤を含む繊維布帛処理液(Y1)、
    又は、成分(A)と(B)に加えて、さらに少なくとも1個のアジリジン基を含む単量体、及びポリカルボジイミド基、ポリエチレンイミン基、オキサゾリン基のうちいずれかの基を含む水溶性ポリマーから選択される架橋剤(C)を含み、溶媒として水及び/又は水性有機溶剤を含む繊維布帛処理液(Y2)を繊維布帛に接触させる第1の接液工程と、
    繊維布帛上で、成分(A)及び(B)、若しくは成分(A)〜(C)を重合させる第1の重合工程と、
    繊維布帛に、少なくともアルカリpH領域で水溶性を呈するアレルゲン抑制成分(X)を含み、前記アレルゲン抑制成分(X)としてポリビニルフェノールを含み、溶媒として水及び/又は水性有機溶剤を含むpH12以上のアルカリ性水性溶液である繊維布帛処理液(Z)を接触させる第2の接液工程と、
    繊維布帛上で、アレルゲン抑制成分(X)を重合させる第2の重合工程とを有することを特徴とするアレルゲン抑制繊維布帛の製造方法。
    Figure 0004350536
  8. 繊維布帛処理液(Y1)、(Y2)、及び(Z)は、溶媒として、水及び/又は炭素数1〜3の脂肪族低級アルコールを含む水性溶液であることを特徴とする請求項に記載のアレルゲン抑制繊維布帛の製造方法。
  9. 前記第1の重合工程と前記第2の重合工程とを同時に実施し、繊維布帛に、アレルゲン抑制成分(X)と、成分(A)及び(B)、若しくは成分(A)〜(C)とを同時にグラフト重合させることを特徴とする請求項又はに記載のアレルゲン抑制繊維布帛の製造方法。
  10. 請求項5〜9のいずれか一項に記載のアレルゲン抑制繊維布帛の製造方法により製造されるアレルゲン抑制繊維布帛。
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