JP4353383B2 - 車両用前照灯装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両用前照灯装置に関し、特に、リフレクタを可動にした光軸調節(エーミング)機構を有する車両用前照灯装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
前照灯のケースに対してリフレクタの角度を変化させてエーミングを行うようにした前照灯装置が知られている。図11は、従来の前照灯装置の要部を示す断面図である。前照灯装置100は、図示しない車両に固定されたケース110と、ケース110の前面に取り付けられたレンズ120と、ケース110に対して矢印A方向に傾動可能なリフレクタ130とからなる。矢印A方向でのリフレクタ130の動きを妨げないように、リフレクタ130とケース110との間には間隙が形成される。
【0003】
このような従来の前照灯装置において、リフレクタ130を、多方向に光を反射可能なマルチリフレクタとし、レンズ120をクリアレンズとした場合、前記リフレクタ130とケース110との間隙を通してレンズ120側からケース110の内面が素通しとなり、美観を損なうおそれがある。そこで、リフレクタ130の周縁部とオーバラップしてケース110の内面が見えないようにするため、レンズ120の内面にカバー部材140を固着している。エーミングが可能な前照灯装置は、例えば、特開平7−105701号公報に開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の前照灯装置では、次のような問題点がある。第1に、カバー部材140を有することから、部品点数が増加する。第2に、リフレクタ130とカバー部材140とをオーバラップさせているため、リフレクタ130のリフレクタ面はその周縁部が有効に利用されない。したがって、大きいリフレクタ面を確保しようとした場合、リフレクタ130を大きくしなければならず、その結果、前照灯全体のサイズが大きくなる。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑み、小型化、部品点数の減少、および美観の維持等を図りつつ、エーミングを可能にした車両用前照灯装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決し、目的を達成するための本発明は、中心部にバルブを設けたリフレクタを支持したケースと、前記ケース前面に取付けられたレンズとを有する車両用前照灯装置において、前記ケースの前縁を前記リフレクタ外周縁近傍まで前方に延出させるとともに、該ケースの前縁の一部を、前記リフレクタ外周縁からさらに外周方向へ張出させた点に第1の特徴がある。
【0007】
また、本発明は、前記リフレクタおよび前記バルブを前記ケースに対して傾動させる光軸調節手段を具備し、前記ケースの前縁とリフレクタの外周縁との間には、前記傾動を許容する間隙が設けられている点に第2の特徴がある。
【0008】
また、本発明は、前記ケースの前縁には縦方向に筋状の模様を呈するように段差を形成し、この段差の幅と前記間隙とを略同一に設定した点に第3の特徴がある。
【0009】
さらに、本発明は、前記ケースを車体フレームに支持させるステー部材と、前記ステー部材に形成され、車体前方に突き出した位置決め部材とを具備し、前記リフレクタ外周縁からさらに外周方向へ張出させた前記ケースの前縁の裏面に前記位置決め部材を嵌合させて車体フレームに対する前記ケースの位置決めをした点に第4の特徴がある。
【0010】
上記特徴によれば、車両前方から見た場合、前記リフレクタ外周縁近傍まで延出されているケースの前縁部分が、前記リフレクタ外周縁に連続する部材として観察される。したがって、車両前方から見た場合の前照灯の美観が損なわれにくい。
【0011】
特に、リフレクタ外周縁背後に前記ケースの内面が見えた場合にも、前記前縁とリフレクタ外周縁との連続感が全体の美観の低下を抑制するので、第2、第3の特徴のように、美観維持のためにリフレクタ外周縁とケースとの間をラップさせる必要がなくなるので、リフレクタのリフレクタ面全体が有効に利用される。
【0012】
また、第4の特徴によれば、前方に延出されたケースの前縁部分の裏面が窪んだ状態になり、この窪みの部分を利用して、ステーと前照灯ケースとの位置関係を所望のように設定することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明を詳細に説明する。図2は、本発明の一実施形態に係る前照灯装置を搭載した自動二輪車の全体側面図である。同図において、自動二輪車1は、ヘッドパイプ2から略水平後方に延びたメインチューブ3、およびヘッドパイプ2から下後方に延びたダウンチューブ4を含む車体フレームによって車体の骨格が構成されている。ヘッドパイプ3は上部ブリッジ5および下部ブリッジ6を介して連結されたフロントフォーク7が設けられておりフロントフォーク7の上端にはハンドル8が取付けられる.フロントフォーク7の下端にはフロントフェンダ9で上方が覆われた前輪10が軸支されている。ハンドル8にはミラー11、およびハンドルカバー12が取り付けられている。
【0014】
車体前部はカウル13で覆われていて、カウル13の最前部つまりフロントカウル13aには前照灯(詳細は後述)および計器14が収容されている。メインチューブ3とダウンチューブ4で囲まれた空間には狭角V型2気筒のエンジン15が搭載されており、このエンジン15のフロントバンク(前気筒)はカウル13で覆われている。また、エンジン15の下方に位置するクランクケース16はスキッドプレート17で保護され、クランクケース16の下部から後方にかけた部分はアンダガード18で保護されている。エンジン14から出る排気ガスは車体後方のサイレンサ19から放出される。
【0015】
メインチューブ3の上部には、燃料タンク20が設けられており、燃料タンク20から後方にはシート21およびリヤキャリア22が設けられている。メインチューブ3の後部にはテールランプ23、ウインカ24が取り付けられ、さらにこれら灯具の下部にはリアフェンダ25が配置されている。車体後方に延びたスイングアーム26には後輪27が支持されていて、この後輪27にはチェーン28でエンジンの回転が伝達される。
【0016】
次に、前記フロントカウル13a内に収容された前照灯(以下、「ヘッドライト」という)について説明する。図3はヘッドライト29の左側面図である。ヘッドライト29はフロントカウル13aに固定されたケース30およびその前面に取り付けられたレンズ31を有する。レンズ31はクリアレンズである。ケース30には取付部32が複数設けられており、この取付部32をフロントカウル13aの内面に設けられたボス33に当接させ、これらを図示しないボルトで締結することによってヘッドライト29をフロントカウル13aに支持させている。
【0017】
前記フロントカウル13aは前記ヘッドパイプ2に固定されるステー34に取り付けられる。ステー34は車体前方に突き出した位置決め部材35をヘッドライト29の所定位置に係合させるとともに、上下に設けられた取付部36をフロントカウル13aのボス37に当接させ、この取付部36を、図示しないボルトでボス37に固定する。
【0018】
続いて、ヘッドライト29の構造を説明する。図1はヘッドライト29の外観を示す正面図、図4は同背面図、図5は図1のV−V位置での断面図である。図1,図5において、ケース30の中央部には後述のエーミング手段によって傾動可能なリフレクタ38が配置されている。リフレクタ38はマルチリフレクタ面を有している。ケース30の内面のうち、少なくともリフレクタ38の外縁後方領域Bは光を吸収するように黒の着色が施されている。リフレクタ38の左右部分に位置するケース30の内面領域39はリフレクタ38の縁と略同一高さまで前方に延出させてあり、かつケース30の内面と同色になるよう、黒の着色が施されている。なお、図5に示すように、レンズ31とケース30との合わせ面には防水のためのシール47が設けられている。
【0019】
前記内面領域39にはリフレクタ38の左右に形成された段38aと同様の段39a(図の繁雑を避けるため段の一部に符号を付している)が形成されていて、ヘッドライト29の前方から見たときに、双方の段38a,39aが呈する筋状模様の連続が外観の一体感をきわだたせている。なお、間隙Gを、延出された前記内面領域39上の段39aの幅と略同一にすることで、双方の段38aおよび段39aの外観の連続性が一層高められる。延出された前記内面領域39の、ヘッドライト29中央側のエッジとリフレクタ38との間には間隙Gが設けられていて、リフレクタ38のエーミング時の傾動を可能にしている。
【0020】
ケース30の外周面には、前記取付部32が張出していて、この取付部32にはボルト貫通孔32aが穿たれている。レンズ31の中央下部にはヘッドライト29の内方に向けてポジションライト40が突出して配置されている。なお、レンズ31には意匠的な効果を高めるための線41が施されている。
【0021】
図4において、前方に延出されている前記内面領域39の背面39bは、前記延出部分に相当する部分が窪みになっている。この窪みには前記ステー34の位置決め部材35の先端が嵌合して、フロントカウル13aに対するヘッドライト29の位置決めがなされる。ケース30の背面中央にはバルブ用の給電端子42が突出している。また、ケース30の背面にはエーミング用に2本の調節ボルト43,44が係合している。調節ボルト43は上下のエーミング用であり、調節ボルト44は左右のエーミング用である。これら調節ボルト43,44は後述のように、リフレクタ38に設けられるナットと係合してリフレクタ38を傾動させるのに用いられる。さらに、ケース30の背面にはヘッドライト29内を換気するための通気孔45が設けられていて、この通気孔45から雨等による水滴が直接浸入しないようにチューブ46が取付けられている。
【0022】
次に、リフレクタ38の傾動つまりエーングの機構について説明する。図6は、左右のエーミング機構を示す図4のW−W位置での断面図、図7は同じく図4のX−X位置での断面図である。図6において、ケース30の底面には先端が球状をなすスタッドボルト48が植立されている。一方、リフレクタ38の背面端部には止めネジ49によってキャップ50が固定されている。キャップ50は前記スタッドボルト48の球状端部と適合する凹部を有しており、この凹部と前記球状端部とが係合して自在継手を構成している。この自在継手の回動中心が左右方向のエーミングのピボット中心となる。
【0023】
また、ケース30の底面には既述のように調節ボルト44が貫通して設けられており、その軸方向の移動は止め輪51によって規制されている。リフレクタ38の背面端部には調節ボルト44と適合するナット52が軸52aで軸支されていて、調節ボルト44はこのナット52と係合している。なお、調節ボルト44の頭とケース30間には防水のためのシール53が介挿されている。また、ナット52は多少の可撓性をもたせるため、樹脂材料で形成するのが好ましい。
【0024】
このように構成された左右のエーミング機構において、調節ボルト44を回動させると、この調節ボルト44に係合しているナット52が進退する。ナット52は軸52aでリフレクタ38と係合しているので、リフレクタ38はナット52の進退に追従して変位させられ、前記スタッドボルト48の球状端部を中心として傾動する。リフレクタ38の左右傾動軌跡は図中2点鎖線で示している。
【0025】
前記X−X位置でのリフレクタ38の左右傾動軌跡は図7の通りである。図7において、バルブ53はリフレクタ38の中心に固定されているソケット54に支持されている。ソケット54はゴムのカバー55で覆われており、後端には既述のように給電端子42が設けられている。カバー55はケース30から後方に延出している筒状部56の外周に係合する環状部55aとエーミング時にソケット54の動きを許容する中心ダイヤフラム55bとからなる。
【0026】
次に、上下のエーング機構について説明する。図8は、上下のエーミング機構を示す図4のY−Y位置での断面図、図9は図4のZ−Z位置での断面図、図10は図4のT−T位置での断面図である。図8において、ケース30の底面には既述のように調節ボルト43が貫通して設けられており、リフレクタ38は、この調節ボルト43の回動によってスタッドボルト48の球状端部をピボット中心として上下方向に傾動される。
【0027】
調節ボルト43は、止め輪57によってその軸方向の移動が規制されている。リフレクタ38の背面端部には調節ボルト43と適合するナット58が軸58aで軸支されていて、調節ボルト43はこのナット58と係合している。なお、調節ボルト43の頭とケース30間には防水のためのシール59が介挿されている。また、ナット58は多少の可撓性をもたせるため樹脂材料から形成するのが好ましい。
【0028】
このように構成された上下のエーミング機構において、調節ボルト43を回動させると、この調節ボルト43に係合しているナット58が進退する。ナット58は軸58aでリフレクタ38と係合しているので、リフレクタ38はナット58の進退に追従して変位させられ、前記スタッドボルト48の球状端部をピボット中心として傾動する。リフレクタ38の上下傾動軌跡は図中2点鎖線で示している。
【0029】
前記Z−Z位置、およびT−T位置でのリフレクタ38の上下傾動軌跡はそれぞれ図9および図10の通りである。図9において、図7と同符号を付した部分は同一部分であり、説明は省略する。なお、図10において、ケース30の背面に設けられた通気孔45には透湿防水シート60が設けられ、ヘッドライト29内の湿気は外部へ排出する一方、外部からの水の浸入を防止できるようにしている。さらに、チューブ46内はラビリンス構造にして、より一層の防水性を確保している。
【0030】
なお、上記エーミング機構では、調節ボルト43,44は、これらの一方を操作してリフレクタ38の傾動させた場合、その傾動中心つまりピボット軸上に他方が位置している。したがって、これら調節ボルト43,44の一方の操作によってリフレクタ38が傾動しても他方の動きは微小である。そして、この微小の動きはナット52またはナット58とリフレクタ38との連結部分の遊びと、これらナット52,58の変形によって吸収されるので、調節ボルト43,44の円滑な動きが確保されている。
【0031】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、請求項1〜請求項3の発明によれば、リフレクタとケースとをラップさせてケース内部を目隠しするためのカバーを廃したので部材の数を低減できる。また、リフレクタの外周縁と外観上連続させた部材としているケースの前縁はケースと一体加工が可能であるため、製造や組立ての工数を低減させることができる。
【0032】
特に、請求項2、3の発明によれば、リフレクタ面のすべてを有効に利用できるので、リフレクタを必要以上に大きくしなくて済み、結果的に前照灯装置の小型化につなげられる。また、請求項4の発明によれば、ケース裏面の窪みを利用して車体に対する前照灯装置の位置決めを容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態に係る前照灯装置の正面図である。
【図2】 本発明の一実施形態に係る前照灯装置を搭載した自動二輪車の側面図である。
【図3】 本発明の一実施形態に係る前照灯装置の側面図である。
【図4】 本発明の一実施形態に係る前照灯装置の背面図である。
【図5】 図1のV−V位置での断面図である。
【図6】 図4の位置でのW−W断面図である。
【図7】 図4のX−X位置での断面図である。
【図8】 図4のY−Y位置での断面図である。
【図9】 図4のZ−Z位置での断面図である。
【図10】 図4のT−T位置での断面図である。
【図11】 従来の前照灯装置の要部断面図である。
【符号の説明】
29…ヘッドライト、 30…ケース、 31…レンズ、 32…取付部、 34…ステー、 35…位置決め部材、 38…リフレクタ、 39…延出部
Claims (2)
- 中心部にバルブを設けたリフレクタを支持したケースと、前記ケース前面に取付けられたレンズとを有する車両用前照灯装置において、
前記リフレクタおよび前記バルブを前記ケースに対して傾動させる光軸調節手段を具備し、
前記ケースの前縁が、該ケースの内面の色と同色の黒で着色され、かつ、前記リフレクタ外周縁近傍まで前方に延出されており、さらに、該ケースの前縁の一部が、前記リフレクタ外周縁からさらに外周方向へ張り出されており、
前記ケースの前縁とリフレクタの外周縁との間には、前記傾動を許容し、かつ、ケース内面を見通せるように設定された間隙が設けられているとともに、
前記ケースの前縁には、前記間隙を形成したリフレクタ外周縁と略同一方向に延びた複数の筋状模様が生じるような段差が形成され、この段差の幅が前記間隙と略同一に設定されていることを特徴とする車両用前照灯装置。 - 前記ケースを車体フレームに支持させるステー部材と、
前記ステー部材に形成され、車体前方に突き出した位置決め部材とを具備し、
前記リフレクタ外周縁からさらに外周方向へ張出させた前記ケースの前縁の裏面に前記位置決め部材を嵌合させて車体フレームに対する前記ケースの位置決めをしたことを特徴とする請求項1記載の車両用前照灯装置。
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