JP4354157B2 - 液体潤滑剤、潤滑油組成物及び軸受油 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液体潤滑剤、潤滑油組成物及び軸受油に関し、特に、低粘度でありながら高い引火点を持ち、蒸発し難く、耐熱性に優れる液体潤滑剤、潤滑剤組成物及び軸受油に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電気機器、特にCD,DVD,HDD,ポリゴンスキャナーなどに使用されるスピンドルモータは、年々、高速化しており、現在では10000rpm以上の高速回転が要求されるようになってきている。
従来、これらスピンドルモータには玉軸受に代表される転がり軸受が使用されてきたが、性能及びコスト面から非接触型の動圧流体軸受や低コストの焼結含油軸受が用いられるようになってきている。これら動圧流体軸受及び焼結含油軸受の高速回転時の性能(主に回転トルク)は、用いられる潤滑剤の粘度によって定まることが多く、低粘度であるほど高速回転時の回転トルクは低くなる傾向にある。
一方、これらの潤滑剤は、軸受機構にいったん封入されてしまうと、補給がない状態で生涯潤滑性を維持しなければならないため、潤滑剤の蒸発損失や分解損失は極力避けなければならない。
通常の鉱油に代表される炭化水素基油では、低粘度化(低分子量)すると蒸発損失も増え、低粘度化と低蒸発化とを両立するのは困難である。また、この両立を目指し、基油に極性化合物であるエステルを用いた技術が開示されている(特開平11−172267、特開平2001−240885及び特開2002−146374など)。
【0003】
しかしながら、エステルのような極性物質を使用すると、各種樹脂材、例えばCDやDVDディスクなどの被覆材やモータフレームなどの構成材を変形、変色させるという不具合が発生する。特に光信号で記録を行う、CDやDVDにとっては、被覆樹脂が光学的に曇ったり、変形することは極力さけねばならない。
このようなことから、特性として優れているエステル系油剤も実質使用できない環境がある。これに対し、CD、DVD及び樹脂材を多く使用するモータ機器には、従来から鉱油よりも蒸発性が低く、耐熱性に優れるポリ−α−オレフィンを基油とした潤滑剤が使用されてきた。
しかし、モータの高速化に対応するため、近年、基油の低粘度化が加速し、現在では40℃における動粘度が10mm2 /s程度のものが求められるようになってきている。基油として市販されているポリ−α−オレフィンは1−デセンのオリゴマーであり、その重合度によって粘度が決まる。最も重合度が低い2量体のポリ−α−オレフィンは、40℃における動粘度が約5mm2 /sであり、その上の3量体のポリ−α−オレフィンは、40℃における動粘度が約17mm2 /sである。よって、40℃における動粘度が10mm2 /sである流体潤滑剤を調製しようとすると、必然的に5mm2 /sと17mm2 /sとのブレンドとなる。この場合、目標とする動粘度は達成しているものの、2量体のポリ−α−オレフィンが蒸発しやすいため、潤滑剤の損失量が、同粘度の鉱油と比較して多くなるという問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記の課題を解決するためになされたもので、低粘度でありながら高い引火点を持ち、蒸発し難く、耐熱性に優れる液体潤滑剤、潤滑剤組成物及び焼結含油軸受油又は流体軸受油を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、ポリ−α−オレフィンの原料を1−デセン(C(炭素数)10)に限らず、例えばC12(1−ドデセン)やC14(1−テトラデセン)とし、これらを重合することで、市販品の潤滑剤の中間分子量及び中間粘度流体を実現した。これにより、鉱油よりも蒸発性、耐熱性に優れ、かつ市販品(1−デセンオリゴマー)のブレンド調製液体よりも蒸発損失の少ない低粘度の液体潤滑剤を提供でき、さらにこの潤滑剤を基油として、各種添加剤を配合することにより、低粘度、低蒸発性、耐熱性、潤滑性に優れる潤滑剤組成物、それを用いた焼結含油軸受油又は流体軸受油を提供できることを見出し本発明を完成したものである。
【0006】
すなわち、本発明は、
炭素数21〜29の炭化水素からなり、40℃での動粘度が6〜16mm2 /s、100℃での動粘度が4.9mm2 /s以下、引火点が180℃以上、流動点が−15℃以下である液体潤滑剤、
(A)炭素数21〜29の炭化水素からなり、40℃での動粘度が6〜16mm2 /s、100℃での動粘度が4.9以下、引火点が180℃以上、流動点が−15℃以下である液体潤滑剤に、(B)酸化防止剤、摩擦調整剤、分散剤、防錆剤、金属不活性化剤、泡消剤、粘度指数向上剤及び増ちょう剤の中から選ばれる少なくとも一種の添加剤を配合してなる潤滑剤組成物、並びに、
前記液体潤滑剤又は前記潤滑剤組成物からなる焼結含油軸受油又は流体軸受油を提供するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の液体潤滑剤は、炭素数21〜29の炭化水素からなり、40℃での動粘度が6〜16mm2 /s、100℃での動粘度が4.9mm2 /s以下、引火点が180℃以上、流動点が−15℃以下である。
本発明の液体潤滑剤における前記炭素数21〜29の炭化水素としては、炭素数4〜24の1−アルケン類から選ばれる少なくとも一種類の2量体以上のオリゴマーであると好ましく、炭素数12〜14の1−アルケン類から選ばれると特に好ましい。
1−アルケン類としては、例えば、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1ーヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン,1−ノナデセン,1−エイコセン,1−ヘンエイコセン,1−ドコセン,1−トリコセン,1−テトラコセン,1−ペンタコセン,1−ヘキサコセン,1−ヘプタコセン,1−オクタコセン,1−ノナコセン等が挙げられ、これらの中でも、特に1−ドデセン,1−テトラデセンが好ましい。
【0008】
本発明の液体潤滑剤は、40℃での動粘度が6〜16mm2 /s、100℃での動粘度が4.9mm2 /s以下であり、40℃での動粘度が10〜14mm2 /s、100℃での動粘度が4mm2 /s以下であると好ましい。本発明の液体潤滑剤は、低粘度とすることを目的としたものであるからである。
本発明の液体潤滑剤は、引火点が180℃以上であり、200℃以上であると好ましい。引火点が、180℃未満であると、蒸発性や耐熱性に劣るからである。
本発明の液体潤滑剤は、流動点が−15℃以下であり、−35℃以下であると好ましい。流動点が−15℃を超えると、低温時の粘性抵抗が増し、モータの始動性や動作に悪影響を及ぼす。
本発明の液体潤滑剤は、薄膜下における80℃、96時間後の蒸発量は12質量%以下であると好ましく、4質量%以下であるとさらに好ましい。
【0009】
本発明の潤滑剤組成物は、(A)前記液体潤滑剤に、(B)酸化防止剤、摩擦調整剤、分散剤、防錆剤、金属不活性化剤、泡消剤、粘度指数向上剤及び増ちょう剤の中から選ばれる少なくとも一種の添加剤を配合してなる。
【0010】
(A)成分は、前述した本発明の液体潤滑剤と同一である。
(B)成分の酸化防止剤としては、アミン系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤及び硫黄系化合物などが挙げられる。
アミン系酸化防止剤としては、例えば、モノオクチルジフェニルアミン、モノノニルジフェニルアミンなどのモノアルキルジフェニルアミン系、4,4’−ジブチルジフェニルアミン、4,4’−ジペンチルジフェニルアミン、4,4’−ジヘキシルジフェニルアミン、4,4’−ジヘプチルジフェニルアミン、4,4’−ジオクチルジフェニルアミン、4,4’−ジノニルジフェニルアミンなどのジアルキルジフェニルアミン系、テトラブチルジフェニルアミン、テトラヘキシルジフェニルアミン、テトラオクチルジフェニルアミン、テトラノニルジフェニルアミンなどのポリアルキルジフェニルアミン系、α−ナフチルアミン、フェニル−α−ナフチルアミン、ブチルフェニル−α−ナフチルアミン、ペンチルフェニル−α−ナフチルアミン、ヘキシルフェニル−α−ナフチルアミン、ヘプチルフェニル−α−ナフチルアミン、オクチルフェニル−α−ナフチルアミン、ノニルフェニル−α−ナフチルアミンなどのナフチルアミン系を挙げることができ、中でもジアルキルジフェニルアミン系のものが好ましい。上記のアミン系酸化防止剤は一種又は二種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0011】
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールなどのモノフェノール系、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)などのジフェノール系を挙げることができる。上記のフェノール系酸化防止剤は一種又は二種以上を組み合わせて使用してもよい。
硫黄系化合物としては、フェノチアジン、ペンタエリスリトール−テトラキス−(3−ラウリルチオプロピオネート)、ビス(3,5−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)スルフィド、チオジエチレンビス(3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル))プロピオネート、2,6−ジ−tert−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−メチルアミノ)フェノールなどが挙げられる。
これら酸化防止剤の好ましい配合量は、組成物全量基準で0.01〜10質量%の範囲であり、0.03〜5質量%の範囲が特に好ましい。
【0012】
(B)成分の油性剤としては、ステアリン酸、オレイン酸などの脂肪族飽和及び不飽和モノカルボン酸、ダイマー酸、水添ダイマー酸などの重合脂肪酸、リシノレイン酸、12−ヒドロキシステアリン酸などのヒドロキシ脂肪酸、ラウリルアルコール、オレイルアルコールなどの脂肪族飽和及び不飽和モノアルコール、ステアリルアミン、オレイルアミンなどの脂肪族飽和及び不飽和モノアミン、ラウリン酸アミド、オレイン酸アミドなどの脂肪族飽和及び不飽和モノカルボン酸アミド等が挙げられる。
これら油性剤の好ましい配合量は、組成物全量基準で0.01〜10質量%の範囲であり、0.1〜5質量%の範囲が特に好ましい。
【0013】
(B)成分の摩擦調整剤は、一般に油性剤又は極圧剤として用いられているものを使用することができ、特にリン酸エステル、リン酸エステルのアミン塩及び硫黄系極圧剤が挙げられる。
リン酸エステルとしては、下記の一般式(I)〜(V)で表されるリン酸エステル、酸性リン酸エステル、亜リン酸エステル、酸性亜リン酸エステルを包含する。
【0014】
【化1】
【0015】
上記一般式(I)〜(V)において、R1 〜R3 は炭素数4〜30のアルキル基、アルケニル基、アルキルアリール基及びアリールアルキル基を示し、R1 〜R3 は同一でも異なっていてもよい。
リン酸エステルとしては、トリアリールホスフェート、トリアルキルホスフェート、トリアルキルアリールホスフェート、トリアリールアルキルホスフェート、トリアルケニルホスフェートなどがあり、例えば、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、ベンジルジフェニルホスフェート、エチルジフェニルホスフェート、トリブチルホスフェート、エチルジブチルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、ジクレジルフェニルホスフェート、エチルフェニルジフェニルホスフェート、ジエチルフェニルフェニルホスフェート、プロピルフェニルジフェニルホスフェート、ジプロピルフェニルフェニルホスフェート、トリエチルフェニルホスフェート、トリプロピルフェニルホスフェート、ブチルフェニルジフェニルホスフェート、ジブチルフェニルフェニルホスフェート、トリブチルフェニルホスフェート、トリヘキシルホスフェート、トリ(2−エチルヘキシル)ホスフェート、トリデシルホスフェート、トリラウリルホスフェート、トリミリスチルホスフェート、トリパルミチルホスフェート、トリステアリルホスフェート、トリオレイルホスフェートなどを挙げることができる。
【0016】
酸性リン酸エステルとしては、例えば、2−エチルヘキシルアシッドホスフェート、エチルアシッドホスフェート、ブチルアシッドホスフェート、オレイルアシッドホスフェート、テトラコシルアシッドホスフェート、イソデシルアシッドホスフェート、ラウリルアシッドホスフェート、トリデシルアシッドホスフェート、ステアリルアシッドホスフェート、イソステアリルアシッドホスフェートなどを挙げることができる。
【0017】
亜リン酸エステルとしては、例えば、トリエチルホスファイト、トリブチルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリクレジルホスファイト、トリ(ノニルフェニル)ホスファイト、トリ(2−エチルヘキシル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリイソオクチルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、トリステアリルホスファイト、トリオレイルホスファイトなどを挙げることができる。
【0018】
酸性亜リン酸エステルとしては、例えば、ジブチルハイドロゲンホスファイト、ジラウリルハイドロゲンホスファイト、ジオレイルハイドゲンホスファイト、ジステアリルハイドロゲンホスファイト、ジフェニルハイドロゲンホスファイトなどを挙げることができる。以上のリン酸エステル類の中で、トリクレジルホスフェート、トリフェニルホスフェートが好適である。
【0019】
さらに、これらとアミン塩を形成するアミン類としては、例えば一般式(VI)
R4 nNH3-n ・・・(VI)
(式中、R4 は、炭素数3〜30のアルキル基もしくはアルケニル基、炭素数6〜30のアリール基もしくはアリールアルキル基又は炭素数2〜30のヒドロキシアルキル基を示し、nは1、2又は3を示す。また、R4 が複数ある場合、複数のR4 は同一でも異なっていてもよい。)
で表されるモノ置換アミン、ジ置換アミン又はトリ置換アミンが挙げられる。上記一般式(VI)におけるR4 のうちの炭素数3〜30のアルキル基もしくはアルケニル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよい。
【0020】
モノ置換アミンの例としては、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、オクチルアミン、ラウリルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミン、ベンジルアミンなどを挙げることができ、ジ置換アミンの例としては、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジオクチルアミン、ジラウリルアミン、ジステアリルアミン、ジオレイルアミン、ジベンジルアミン、ステアリル・モノエタノールアミン、デシル・モノエタノールアミン、ヘキシル・モノプロパノールアミン、ベンジル・モノエタノールアミン、フェニル・モノエタノールアミン、トリル・モノプロパノールなどを挙げることができ、トリ置換アミンの例としては、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリシクロヘキシルアミン、トリオクチルアミン、トリラウリルアミン、トリステアリルアミン、トリオレイルアミン、トリベンジルアミン、ジオレイル・モノエタノールアミン、ジラウリル・モノプロパノールアミン、ジオクチル・モノエタノールアミン、ジヘキシル・モノプロパノールアミン、ジブチル・モノプロパノールアミン、オレイル・ジエタノールアミン、ステアリル・ジプロパノールアミン、ラウリル・ジエタノールアミン、オクチル・ジプロパノールアミン、ブチル・ジエタノールアミン、ベンジル・ジエタノールアミン、フェニル・ジエタノールアミン、トリル・ジプロパノールアミン、キシリル・ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリプロパノールアミンなどを挙げることができる。
【0021】
硫黄系極圧剤としては、分子内に硫黄原子を有し、潤滑油基油に溶解又は均一に分散して、極圧性や優れた摩擦特性を発揮しうるものであればよい。このようなものとしては、例えば、硫化油脂、硫化脂肪酸、硫化エステル、硫化オレフィン、ジヒドロカルビルポリサルファイド、チアジアゾール化合物、チオリン酸エステル(チオフォスファイト、チオフォスフェート)、アルキルチオカルバモイル化合物、チオカーバメート化合物、チオテルペン化合物、ジアルキルチオジプロピオネート化合物などを挙げることができる。ここで、硫化油脂は硫黄や硫黄含有化合物と油脂(ラード油、鯨油、植物油、魚油等)を反応させて得られるものであり、その硫黄含有量は特に制限はないが、一般に5〜30質量%のものが好適である。その具体例としては、硫化ラード、硫化なたね油、硫化ひまし油、硫化大豆油、硫化米ぬか油などを挙げることができる。硫化脂肪酸の例としては、硫化オレイン酸などを、硫化エステルの例としては、硫化オレイン酸メチルや硫化米ぬか脂肪酸オクチルなどを挙げることができる。
【0022】
硫化オレフィンとしては、例えば、下記の一般式(VII)
R5 −Sa −R6 ・・・(VII)
(式中、R5 は炭素数2〜15のアルケニル基、R6 は炭素数2〜15のアルキル基又はアルケニル基を示し、aは1〜8の整数を示す。)
で表される化合物などを挙げることができる。この化合物は、炭素数2〜15のオレフィン又はその二〜四量体を、硫黄、塩化硫黄等の硫化剤と反応させることによって得られ、該オレフィンとしては、プロピレン、イソブテン、ジイソブテンなどが好ましい。
【0023】
ジヒドロカルビルポリサルファイドとしては、下記の一般式(VIII)
R7 −Sb −R8 ・・・(VIII)
(式中、R7 及びR8 は、それぞれ炭素数1〜20のアルキル基又は環状アルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアルキルアリール基又は炭素数7〜20のアリールアルキル基を示し、それらは互いに同一でも異なっていてもよく、bは1〜8の整数を示す。)
で表される化合物である。ここで、R7 及びR8 がアルキル基の場合、硫化アルキルと称される。
【0024】
上記一般式(VIII)におけるR7 及びR8 は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、各種ペンチル基、各種ヘキシル基、各種ヘプチル基、各種オクチル基、各種ノニル基、各種デシル基、各種ドデシル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、フェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基、ベンジル基、フェネチル基などを挙げることができる。
【0025】
このジヒドロカルビルポリサルファイドとしては、例えば、ジベンジルポリサルファイド、各種ジノニルポリサルファイド、各種ジドデシルポリサルファイド、各種ジブチルポリサルファイド、各種ジオクチルポリサルファイド、ジフェニルポリサルファイド、ジシクロヘキシルポリサルファイドなどを好ましく挙げることができる。
【0026】
チアジアゾール化合物としては、例えば、下記一般式(IX)
【化2】
【0027】
(式中、R9 及びR10は、それぞれ水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基を示し、c及びdは、それぞれ0〜8の整数を示す。)
で表される1,3,4−チアジアゾール、1,2,4−チアジアゾール化合物、1,4,5−チアジアゾールなどが好ましく用いられる。
このチアジアゾール化合物としては、例えば、2,5−ビス(n−ヘキシルジチオ)−1,3,4−チアジアゾール、2,5−ビス(n−オクチルジチオ)−1,3,4−チアジアゾール、2,5−ビス(n−ノニルジチオ)−1,3,4−チアジアゾール、2,5−ビス(1,1,3,3,−テトラメチルブチルジチオ)−1,3,4−チアジアゾール、3,5−ビス(n−ヘキシルジチオ)−1,2,4−チアジアゾール、3,5−ビス(n−オクチルジチオ)−1,2,4−チアジアゾール、3,5−ビス(n−ノニルジチオ)−1,2,4−チアジアゾール、3,5−ビス(1,1,3,3,−テトラメチルブチルジチオ)−1,2,4−チアジアゾール、4,5−ビス(n−ヘキシルジチオ)−1,2,3−チアジアゾール、4,5−ビス(n−オクチルジチオ)−1,2,3−チアジアゾール、4,5−ビス(n−ノニルジチオ)−1,2,3−チアジアゾール、4,5−ビス(1,1,3,3,−テトラメチルブチルジチオ)−1,2,3−チアジアゾールなどを好ましく挙げることができる。
【0028】
チオリン酸エステルとしては、アルキルトリチオフォスファイト、アリール又はアルキルアリールチオフォスフェート、ジラウリルジチオリン酸亜鉛などが挙げられ、特にラウリルトリチオフォスファイト、トリフェニルチオフォスフェートが好ましい。
アルキルチオカルバモイル化合物としては、例えば、下記一般式(X)
【化3】
【0029】
(式中、R11〜R14は、それぞれ炭素数1〜20のアルキル基を示し、eは1〜8の整数を示す。)
このアルキルチオカルバモイル化合物としては、例えば、ビス(ジメチルチオカルバモイル)モノスルフィド、ビス(ジブチルチオカルバモイル)モノスルフィド、ビス(ジメチルチオカルバモイル)ジスルフィド、ビス(ジブチルチオカルバモイル)ジスルフィド、ビス(ジアミルチオカルバモイル)ジスルフィド、ビス(ジオクチルチオカルバモイル)ジスルフィドなどを好ましく挙げることができる。
【0030】
さらに、チオカーバメート化合物としては、例えば、ジアルキルジチオカルバミン酸亜鉛を、チオテルペン化合物としては、例えば、五硫化リンとピネンの反応物を、ジアルキルチオジプロピオネート化合物としては、例えば、ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネートなどを挙げることができる。これらの中で、極圧性、摩擦特性、熱的酸化安定性などの点から、チアジアゾール化合物、ベンジルサルファイドが好適である。
【0031】
これら摩擦調整剤の好ましい配合量は、組成物全量基準で0.01〜10質量%の範囲であり、0.05〜5質量%の範囲が特に好ましい。配合量が0.01質量%未満の場合は、他成分との相乗効果による摩擦特性の向上効果が不十分な場合があり、配合量が10質量%を超えても、配合量に相当する効果の向上がみられない場合がある。
【0032】
(B)成分の分散剤としては、例えば、金属スルホネート、金属フェネート、金属サリチレート、金属ホスホネート、コハク酸イミドなど挙げることができる。
これら分散剤の好ましい配合量は、組成物全量基準で0.01〜10質量%の範囲であり、0.5〜5質量%の範囲が特に好ましい。
【0033】
(B)成分の防錆剤としては、例えば、ドデセニルコハク酸ハーフエステル、オクタデセニルコハク酸無水物、ドデセニルコハク酸アミドなどのアルキル又はアルケニルコハク酸誘導体、ソルビタンモノオレエート、グリセリンモノオレエート、ペンタエリスリトールモノオレエートなどの多価アルコール部分エステル、Ca−石油スルフォネート、Ca−アルキルベンゼンスルフォネート、Ba−アルキルベンゼンスルフォネート、Mg−アルキルベンゼンスルフォネート、Na−アルキルベンゼンスルフォネート、Zn−アルキルベンゼンスルフォネート、Ca−アルキルナフタレンスルフォネートなどの金属スルフォネート、ロジンアミン、N−オレイルザルコシンなどのアミン類、ジアルキルホスファイトアミン塩等が使用可能である。
これら防錆剤の好ましい配合量は、組成物全量基準で0.01〜5質量%の範囲であり、0.05〜2質量%の範囲が特に好ましい。
【0034】
(B)成分の金属不活性化剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系、チアジアゾール系、没食子酸エステル系の化合物等が使用可能である。
これら金属不活性化剤の好ましい配合量は、組成物全量基準で0.01〜0.4質量%であり、0.01〜0.2質量%の範囲が特に好ましい。
(B)成分の消泡剤としては、液状シリコーンが適しており、例えば、メチルシリコーン,フルオロシリコーン,ポリアクリレートが使用可能である。
これら消泡剤の好ましい配合量は、組成物全量基準で0.0005〜0.01質量%である。
【0035】
(B)成分の粘度指数向上剤としては、ポリアルキルメタクリレート、ポリアルキルスチレン、ポリブテン、エチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸エステル共重合体などのオレフィン共重合体が使用可能である。
これら粘度指数向上剤の好ましい配合量は、組成物全量基準で0.1〜15質量%であり、0.5〜7質量%の範囲が特に好ましい。
【0036】
(B)成分の増ちょう剤としては、金属セッケンが好ましく、例えば、12−ヒドロステアリン酸Li金属塩、12−ヒドロステアリン酸Ca金属塩、12−ヒドロステアリン酸Na金属塩又は下記一般式(1)で示すものが挙げられる。
(R−COO)n Mx ・・・(1)
(Mx は、Na,Mg,Al,K,Ca,Li,Ti,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Zn等の元素であり、Rは、炭素数4〜30のアルキル基、アルキルアリール基、アルケニル基、アリールアルキル基を示す。nは1〜3の整数である。)
(1)式において、Mx がMg,Al又はZnであるものが好ましい。
これら増ちょう剤の好ましい配合量は、組成物全量基準で0.01〜10質量%であり、0.5〜5質量%の範囲が特に好ましい。
【0037】
本発明の潤滑剤組成物は、40℃での動粘度が6〜16mm2 /sであると好ましく、8〜14mm2 /sであると特に好ましく、10〜14mm2 /sであるとさらに好ましい。
また、引火点が200℃以上であると好ましく、210℃以上であるとさらに好ましく、流動点が−35℃以下であると好ましく、−40℃以下であるとさらに好ましい。
さらに、薄膜下における80℃、96時間後の蒸発量が12質量%以下であると好ましく、4質量%以下であるとさらに好ましい。
以上の本発明の液体潤滑剤及び潤滑剤組成物は、低粘度でありながら高い引火点を持ち、蒸発し難く、耐熱性に優れるため、高速モータ等に使用される焼結含油軸受油又は流体軸受油に適している。
【0038】
【実施例】
次に、実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明する。
なお、実施例及び比較例で用いる基油の性状及び含油軸受油の性能は、次のようにして測定した。
(1)動粘度
JIS K 2283に従って測定した。
(2)全酸価
JIS K 2501の5項に従って測定した。
(3)引火点
JIS K 2265に従って測定した。
(4)流動点
JIS K 2269に従って測定した。
(5)アニリン点
JIS K 2256に従って測定した。この値が低いほど、樹脂やゴムなどに溶解、膨潤させやすい。
(6)薄膜残さ試験(残油率)
JIS K 2540の潤滑油熱安定度試験に示されている容器及び恒温空気浴を用い、サンプル量を1gとして、80℃、96時間の残さ量を測定した。それを百分率で表し残油率とした。
また、96時間後の油剤外観を観察し、油に不溶なスラッジの有無を確認した。
なお、測定中は絶えず空気を10リットル/hr流し込んだ。
(7)耐荷重性試験
ASTM D 2783に準拠して、回転数1,800rpm,室温の条件で行った。最大非焼付荷重(LNL)と融着荷重(WL)から荷重摩耗指数(LWI)を求めた。この値が大きいほど耐荷重性が良好である。
(8)耐摩耗性試験
ASTM D 2783に準拠して、荷重392N、回転数1,200rpm、油温80℃、試験時間60分の条件で行った。1/2インチ球3個の摩耗痕径を平均して平均摩耗痕径を算出した。
【0039】
参考例1、実施例2及び比較例1〜4
液体潤滑剤として、表1に示す種類のものを調製し、その性能を評価した。その結果を表1に示す。
なお、表1中、比較例1の市販ポリ−α−オレフィンは、Amoco社製、商品名 DURASYN162、比較例2の市販ポリ−α−オレフィンは、Amoco社製、商品名 DURASYN164を用いた。
【0040】
【表1】
※表1中の引火点における、COC法及びPM法は、JIS K 2265に準拠し、PM法は特に引火点の低いものに適用される。
【0041】
実施例3〜9及び比較例5
(A)成分の基油(液体潤滑剤)及び(B)成分の添加剤として、表2に示す成分を用いた潤滑剤組成物を調製し、その性状及び性能を評価した。その結果を表2に示す。
【0042】
【表2】
※表2中の摩擦調整剤のジ(モノ)メチルアシッドフォスフェートアミン塩は、モノ−体:ジ−体=50:50(モル比)の混合物である。
【0043】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明の液体潤滑剤及び潤滑剤組成物は、低粘度でありながら高い引火点を持ち、蒸発し難く、耐熱性に優れる。このため、高速モータ等に使用される焼結含油軸受油又は流体軸受油に有用である。
Claims (13)
- 1−テトラデセンの二量体である炭素数28の炭化水素からなり、40℃での動粘度が10〜14mm2/s、100℃での動粘度が4.9mm2/s以下、引火点が180℃以上、流動点が−15℃以下、薄膜下における80℃、96時間後の蒸発量が4質量%以下である、焼結含油軸受油用又は流体軸受油用液体潤滑剤。
- 前記引火点が200℃以上である請求項1に記載の液体潤滑剤。
- 前記流動点が−35℃以下である請求項1に記載の液体潤滑剤。
- 1−テトラデセンの二量体である炭素数28の炭化水素からなり、40℃での動粘度が10〜14mm 2 /s、100℃での動粘度が4.9mm 2 /s以下、引火点が180℃以上、流動点が−15℃以下、薄膜下における80℃、96時間後の蒸発量が4質量%以下である液体潤滑剤に、(B)酸化防止剤、摩擦調整剤、分散剤、防錆剤、金属不活性化剤、泡消剤、粘度指数向上剤及び増ちょう剤の中から選ばれる少なくとも一種の添加剤を配合してなる焼結含油軸受油用又は流体軸受油用潤滑剤組成物。
- (B)成分の酸化防止剤が、アミン系酸化防止剤からなる請求項4に記載の潤滑剤組成物。
- (B)成分の摩擦調整剤が、リン酸エステル及び/又はリン酸エステルのアミン塩からなる請求項4に記載の潤滑剤組成物。
- (B)成分の増ちょう剤が金属セッケンからなる請求項4に記載の潤滑剤組成物。
- 40℃での動粘度が6〜16mm 2 /sである請求項4に記載の潤滑剤組成物。
- 引火点が200℃以上である請求項4に記載の潤滑剤組成物。
- 流動点が−35℃以下である請求項4に記載の潤滑剤組成物。
- 薄膜下における80℃、96時間後の蒸発量が12質量%以下である請求項4に記載の潤滑剤組成物。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の焼結含油軸受油用又は流体軸受油用液体潤滑剤からなる焼結含油軸受油又は流体軸受油。
- 請求項4〜11のいずれかに記載の焼結含油軸受油用又は流体軸受油用潤滑剤組成物からなる焼結含油軸受油又は流体軸受油。
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