JP4354683B2 - 農業機械用タイヤ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、泥濘地や湿田等で使用される農業機械に供するタイヤに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
トラクターや田植え機などの農業機械に装着されるタイヤは、泥濘地や湿田等の圃場を走行する際のトラクションが重視されるために、特許文献1に記載されるタイヤを典型例とする、ラグパターンを有することが、通例である。すなわち、図1に示すように、タイヤのトレッド1の周方向に間隔を置いて比較的に高さの高いラグ2を八の字状に配置したラグパターンに成るものが一般的である。
【0003】
かような比較的に大きなラグを有する農業機械用タイヤにおいて、燃費向上などを所期して軽量化をはかる場合、大きな比重を占めるラグの軽量化が有効である。ここで、ラグはトラクションを得るために所定の高さが必要であるところから、ラグの軽量化は、その幅を狭くすることが順当な策となるが、ラグ剛性が低くなって、タイヤ転動時のラグの動きが大きくなる不利をまねく。すなわち、ラグの摩耗進展速度が速くなって、タイヤ寿命が低下したり、ラグの部分的摩耗が進行して偏摩耗を引き起こすことになる。
【0004】
さらに、ラグ剛性が低くなると、舗装路の走行においては、タイヤ1回転当りの転がり周長が該タイヤの本来の周長より小さく変化する。これは、ラグの剛性が低くなって、舗装路走行において、ラグが倒れ込み変形を起こすためである。かように、タイヤ本来、換言すると設計通りの転がり周長での走行が、舗装路において達成されない場合、特に4輪駆動の車両に装着した場合に、前、後輪で転がり周長の変化が生じると、いずれかのタイヤにスリップが発生し、偏摩耗やノッキングを引き起こす原因となる。
【0005】
また、ラグのバットレス部の端面に、図2に示すように、主に意匠の観点から凹所3を設ける場合があり、この凹所3はラグの重量削減にも有効である。しかしながら、凹所3はラグのバットレス部端面の輪郭形状と相似して設けられのが通例であり、凹所3を囲む縁取りがあるため、タイヤを圃場で使用する際に、凹所3、とりわけ走行時にラグの背面側となる部分3aに泥が付着し易く、圃場外に持ち出される問題をまねく。
【0006】
【特許文献1】
特開平11−115417号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、この発明は、農業機械用タイヤの軽量化、特にラグの軽量化を、偏摩耗や上記の転がり周長の変化をまねくことなしに達成する、方途について提案することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この発明の要旨構成は、次のとおりである。
(1)タイヤの赤道からトレッド端側へ、タイヤの赤道に対して傾いた向きに延びるラグを、トレッドの周方向に間隔を置いて複数配置した農業機械用タイヤであって、ラグは、タイヤの赤道からトレッド端側へ少なくとも1つの折曲部を介して延在し、かつタイヤの赤道側の端部および折曲部を除く部分の幅を狭くして成り、ラグのバットレス部の端面に、該端面内を起点としてラグの蹴り出し側に拡開して蹴り出し側のラグ溝に連通する、凹所を有することを特徴とする農業機械用タイヤ。
【0010】
(2)上記(1)において、ラグのタイヤの赤道側の端部および折曲部に隣接する部分の幅が、端部および折曲部での幅の50〜90%であることを特徴とする農業機械用タイヤ。
【0011】
(3)上記(1)または(2)において、凹所のタイヤ径方向の開口幅はラグ溝側が起点側の1.3 〜2.5 倍であることを特徴とする農業機械用タイヤ。
【0012】
(4)上記(1)、(2) または(3)において、ラグの踏み込み側始端がタイヤの赤道から離間した位置にあることを特徴とする農業機械用タイヤ。
【0013】
(5)上記(1)ないし(4)のいずれかにおいて、ラグのタイヤの赤道側の端面はラグの延在方向と交差する向きを有することを特徴とする農業機械用タイヤ。
【0014】
(6)上記(1)ないし(4)のいずれかにおいて、ラグのタイヤの赤道側の端部は、タイヤの回転軸に対して平行の先端壁面を有し、該先端壁面はタイヤの回転軸を含む面に対して25〜45°の角度で傾斜してなることを特徴とする農業機械用タイヤ。
【0015】
【発明の実施の形態】
図3に、この発明に従う農業機械用タイヤのトレッド要部を周方向に展開した面を示す。この農業機械用タイヤは、そのトレッド1のタイヤ赤道面Oを境とする、トレッド半部のそれぞれにおいて、トレッドの周方向に間隔を置いて複数のラグ4を配置して成る。
【0016】
各ラグ4は、タイヤの赤道Oからトレッド端E側へ、タイヤの赤道Oに対して傾いた向きに延び、かつタイヤの赤道Oからトレッド端E側へ少なくとも1つ、図示例で2つの折曲部5aおよび5bを介して延在する。
【0017】
さらに、ラグ4において、タイヤの赤道O側の端部4aおよび折曲部5a,5bを除く部分の幅を、図4に点線で示すように、端部4aおよび折曲部5a,5b対比で狭くすることが肝要である。
【0018】
ここで、ラグ高さが同一の場合、ラグ剛性とラグ幅とは基本的に比例の関係にあるため、図4に示したように、点線部の面積減少によってラグ剛性が低下することが予想される。そして、上記の転がり周長の変化に影響を与える、タイヤ転動時のラグの変形(動き)量は、ラグ剛性に反比例するため、面積減少によるラグ剛性の低下はラグの変形量の増加、強いては上記タイヤ性能の低下に繋がる。
【0019】
ところが、このラグの変形量は、端部4aおよび折曲部5a,5bの各部分での剛性に大きく影響を受けること、さらにラグがタイヤの赤道Oからトレッド端Eまで連続していることから、図3または図4に示したように、ラグ4の幅を狭くする部分を端部4aおよび折曲部5a,5bを除く部分とすれば、ラグの変形量の増大をまねくことなく、ラグの面積減少を実現できることを新たに見出した。すなわち、この発明に従って、端部4aおよび折曲部5a,5bを除く部分の幅を狭くすることによって、ラグ全体の変形量を従来並みに抑えた上でラグの軽量化を達成することができたのである。
【0020】
なお、ラグの幅狭とする部分、具体的にはラグ4の端部4aおよび折曲部5a,5bに隣接する部分の幅は、端部4aおよび折曲部5a,5bの各幅の50〜90%であることが好ましい。すなわち、図3に示すように、端部4aでの幅a1 とこれに隣接する部分の幅b1 との間でa1 :b1 =100 :50〜90を満足させ、同様に折曲部5aでの幅a2 とこれに隣接する部分の幅b2 との間でa2 :b2 =100 :50〜90および折曲部5bでの幅a3 とこれに隣接する部分の幅b3 との間でa3 :b3 =100 :50〜90をそれぞれ満足させることが有利である。
【0021】
なぜなら、上記端部4aおよび折曲部5a,5bの各部において隣接する部分の幅が各部対比で50%未満では、必要とするラグ剛性を確保することが難しくなり、一方同90%をこえると、ラグの軽量化並びにコストダウンをはかることが難しくなる。
【0022】
ここで、上記したラグの幅とは、ラグを折曲部を境として区分した際、その各区分毎、つまり図示例では3つの区分におけるラグの延在方向L1 ,L2 ,L3(図4参照)と直交する向きの幅を意味する。そして、端部4aおよび折曲部5a,5bの各幅は、各部における最大幅とし、一方端部および折曲部に隣接する部分の幅は、その隣接する部分における最小幅とする。ここで、上記延在方向は、端部および折曲部を境とした各区分における、ラグの踏み込み側の辺、例えば図4における4c、4dおよび4eの各辺を基準とし、つまりこれら辺と平行線を延在方向とする。なお、基準となるラグの踏み込み側の辺が曲線の場合は、端部および折曲部を結ぶ線分を、それぞれの辺とする。
【0023】
次に、この発明の農業機械用タイヤでは、図5に示すように、ラグ4のバットレス部の端面4bに、該端面内を起点としてラグ4の蹴り出し側に拡開して蹴り出し側のラグ溝6に連通する領域をえぐって成る、凹所7を設けて、ラグの更なる軽量化に併せて、タイヤに意匠性を付与する。
【0024】
すなわち、タイヤの転動に伴って土中に入ったラグ4のバットレス面には、タイヤの回転によって土からの接線力をタイヤ周方向に受けるため、ラグの端面4bに設けた凹所に、先に図2に示したように縁取りがあると、段差部分(図2中の3a部分)に垂直方向の力が加わるため、泥土が付着する核となる。
【0025】
これに対して、この発明に従って設けた凹所7は、図5に示したように、凹所7の終端がラグ溝6に連通し、上記した従来における段差部分が存在しない、換言すると泥土が付着する核がないため、凹所への泥土の付着を回避できる。
【0026】
ここで、凹所7のタイヤ径方向の開口幅について、起点側をcおよび同ラグ溝6側をdとしたとき、d:1.3 〜1.7 cであることが有利である。すなわち、ラグ溝6側の開口幅dが起点側の開口幅cと同等程度であると、タイヤ転動中に生じるタイヤ径方向の力によって凹所のタイヤ周方向の2辺(図5において上下辺に対応)の縁にも上記の垂直方向の力が加わる結果、泥付着の核となる。この現象は、上記2辺の縁に垂直方向の力が加わるのを防止すれば回避することが可能であり、そのためには、d:1.3 〜1.7 cとすることが推奨される。
【0027】
また、ラグ4の踏み込み側始端、つまり図3における始端4sがタイヤの赤道Oから離間した位置にあることが、タイヤの転動時、特に泥濘地での使用時にラグ間に泥が付着するのを防止する上で有利である。
【0028】
さらに、ラグ4のタイヤの赤道O側の端部、つまり踏み込み側の端部4aはラグの延在方向と交差する向きを有することが、上記の泥付着の防止性能を維持しつつ、ラグの踏み込み側端部付近の陸部剛性を確保するのに有効である。
【0029】
ところで、ラグの踏み込み側の端部は、その輪郭に沿った形状の先端壁面を有するのが一般的であり、図3に示した例では、端部4aの先端壁面は進行方向に突出した山型を呈している。湿田や畑等を走行する際、かような山型先端壁面を有する端部4aでは、山型先端壁面の進行方向に突出した部分で土が振り分けられて、その両側へと逃げてしまう結果、タイヤが土中に僅かではあるが沈みこむ傾向がある。そして、この沈みこみによって、農業機械用タイヤの牽引力が低下することが新たに判明した。
【0030】
すなわち、タイヤの沈下量が大きくなると、タイヤの前進に伴う排土量も大きくなって走行抵抗が増加するため、実質的な牽引力の低下をまねくのである。
【0031】
そこで、図7に示すように、図3に示したラグ4の踏み込み側の端部4aにおいて、まずタイヤの回転軸に対して平行の先端壁面8を設けることによって、タイヤを湿田や畑等で進行させた際、土が端部4aの両側に逃れられない構造を与える。すなわち、タイヤの回転軸に対して平行の先端壁面8は、タイヤの進行方向に正対して地面と接触するため、土を先端壁面8の下敷きにして押し固めることができる。この固められた土の上にラグが乗る結果、上記の沈みこみは回避され、牽引力の向上が達成される。
【0032】
なお、タイヤの回転軸に対して平行の先端壁面8は、図7にて先端壁面8を点線で示すように、端部4aにおける少なくとも踏み込み側の最先端部分に対応させて設ける必要がある。具体的には、図7(c)に示すように、端部4aのタイヤの赤道Oから離間した境界点P(図7の例では、端部4aとその隣接域との間の変曲点)を始点とする先端壁面8の幅tが、点Pからタイヤの赤道Oまでの距離Tの30〜80%程度にわたることが好ましい。
【0033】
勿論、端部4aの全域にわたってタイヤの回転軸に対して平行の先端壁面8を設けてもよい。例えば、図8に示すラグパターンは、端部4aの全域がタイヤの回転軸に対して平行であり、この場合は端部4aの全域にわたってタイヤの回転軸に対して平行の先端壁面8を設けることによって、その幅の拡がりをもって、沈み込みの抑制に対して最上の効果を得ることができる。この図8の例においても、先端壁面8の幅tが、点Pからタイヤの赤道Oまでの距離Tの30〜80%程度にわたることが好ましい。
【0034】
また、踏み込み側の端部4a付近は、ラグ相互の間隔が最も狭いために土が詰まり易い部分であり、土が詰まるとラグパターンによるグリップ力の低下から牽引力の低下を招くことになる。ここに、上記の先端壁面8を設けるに当たって、図7(b) および図8(b) に示す、タイヤの回転軸を含む面に対する先端壁面の傾斜角度αを25〜45°の範囲とすることが、土の排出性を改善する上で有利である。
【0035】
すなわち、先端壁面8のタイヤの回転軸を含む面に対する傾斜角度と、牽引力およびトレッドセンター付近での泥詰まり量との関係を、それぞれ図9および図10に示すように、両性能を満足するには傾斜角度αを25〜45°の範囲とすればよいことがわかる。なお、泥詰まり量については、傾斜角度αが40〜50°の範囲で優れた結果が得られているが、傾斜角度αが45°を超えて水平に近づくに連れて、ラグによるエッジ効果が損なわれる結果、総合的な牽引力が低下するため、45°以下とすることが好ましい。さらに、軽量化の効果をも考慮すると、傾斜角度αは30°またはその前後5°程度とすることが有利である。
【0036】
【実施例】
図1(従来例)図3(発明例1)、図7(発明例2)および図8(発明例3)に示したところに従って、下記に示す種々の仕様の下に、サイズが9.5 −24の後輪用の農業機械用タイヤをそれぞれ試作した。なお、その他の構造は、当該サイズの農業機械用タイヤの一般に従って作製した。
【0037】
【0038】
かくして得られた各タイヤを標準リムに組み込み、表1に示す内圧および負荷荷重に調整した後、25馬力トラクターの後輪に装着しまたはドラム試験に供し、表1に示す条件に従って各項目の評価を行った。また、前輪には、サイズが6−14の農業機械用タイヤを共通して使用した。その結果を、従来タイヤの結果を100 としたときの指数にて表1に併記する。
【0039】
【表1】
【0040】
【発明の効果】
この発明によれば、農業機械用タイヤとしての基本性能を阻害することなしに、軽量化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 従来の農業機械用タイヤのトレッドパターンを示す図である。
【図2】 従来の農業機械用タイヤのラグを示す斜視図である。
【図3】 この発明の農業機械用タイヤのトレッドパターンを示す図である。
【図4】 この発明の農業機械用タイヤのトレッドパターンを示す図である。
【図5】 この発明の農業機械用タイヤのラグを示す斜視図である。
【図6】 ラグの偏摩耗の評価手法を説明する図である。
【図7】 この発明の農業機械用タイヤの他のトレッドパターンを示す図である。
【図8】 この発明の農業機械用タイヤの別のトレッドパターンを示す図である。
【図9】 先端壁面のタイヤの回転軸を含む面に対する傾斜角度と牽引力との関係を示す図である。
【図10】 先端壁面のタイヤの回転軸を含む面に対する傾斜角度と泥詰まり量との関係を示す図である。
【符号の説明】
1 トレッド
2 ラグ
3 凹所
4 ラグ
4a 端部
4b 端面
5a,5b 折曲部
6 ラグ溝
7 凹所
8 先端壁面
Claims (6)
- タイヤの赤道からトレッド端側へ、タイヤの赤道に対して傾いた向きに延びるラグを、トレッドの周方向に間隔を置いて複数配置した農業機械用タイヤであって、ラグは、タイヤの赤道からトレッド端側へ少なくとも1つの折曲部を介して延在し、かつタイヤの赤道側の端部および折曲部を除く部分の幅を狭くして成り、
ラグのバットレス部の端面に、該端面内を起点としてラグの蹴り出し側に拡開して蹴り出し側のラグ溝に連通する、凹所を有することを特徴とする農業機械用タイヤ。 - 請求項1において、ラグのタイヤの赤道側の端部および折曲部に隣接する部分の幅が、端部および折曲部での幅の50〜90%であることを特徴とする農業機械用タイヤ。
- 請求項1または2において、凹所のタイヤ径方向の開口幅はラグ溝側が起点側の1.3 〜2.5 倍であることを特徴とする農業機械用タイヤ。
- 請求項1、2または3において、ラグの踏み込み側始端がタイヤの赤道から離間した位置にあることを特徴とする農業機械用タイヤ。
- 請求項1ないし4のいずれかにおいて、ラグのタイヤの赤道側の端面はラグの延在方向と交差する向きを有することを特徴とする農業機械用タイヤ。
- 請求項1ないし4のいずれかにおいて、ラグのタイヤの赤道側の端部は、タイヤの回転軸に対して平行の先端壁面を有し、該先端壁面はタイヤの回転軸を含む面に対して25〜45°の角度で傾斜してなることを特徴とする農業機械用タイヤ。
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