JP4366227B2 - 応力腐食割れ抑制方法 - Google Patents
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Description
304SS」という)のECPとの関係を測定した結果を示す。酸素も過酸化水素も濃度の減少に伴いECPが小さくなる。従って、原子炉冷却水に曝された構造材料のSCCを緩和するためにはECPを低減すること、つまり、原子炉水中に存在する酸素及び過酸化水素の濃度を低減することが有効である。
mVvsSHEを超えており、SCCにとって、厳しい条件となっている。しかし、ヒドラジンを給水系に0.8ppm程度の濃度で添加すると、炉底部の腐食電位は−100mVvs
SHEにまで低下し、さらに注入量を増やすと、−400mVvsSHE以上に低下する。したがって、水素注入とヒドラジンの添加を組み合わせることにより、ステンレスやニッケル基合金の炉内機器や配管のSCCからBWRを守ることができると期待される。
(化1),(化2)のように反応する。
N2H4+2H2O=N2+4H2O …(化2)
したがって、ヒドラジンを添加することによって、(化3),(化4)に示す水素と酸素および過酸化水素の反応が進行するのと合わせて、酸素と過酸化水素が消費される。そ
2H2+O2=2H2O …(化3)
H2+H2O2=2H2 …(化4)
の結果、図3に示すように、酸素や過酸化水素の濃度が低下し、腐食電位が低下する。これによって、図2で示す腐食電位とSCCのき裂進展速度の関係からSCCが抑制できる。
N2H4=N2+4H++4e- …(化5)
出する(反応相手があれば、その相手を還元する。)したがって、材料表面で酸素あるいは過酸化水素が電子を受け取る(反応相手があれば、その相手を酸化する)次の(化6),(化7)の反応、および、(化8)の金属材料の酸化溶出反応と混成電位を形成するこ
O2+4H++4e-=2H2O …(化6)
H2O2+2H++2e-=2H2O …(化7)
とによって、材料の腐食電位は低減することになる。ここで、Mは金属を表し、nは反応
M=Mn++ne- …(化8)
に関与する電子の数である。酸素の場合で、ヒドラジンの電位低減効果を図6に示した。酸素を50,300、および1000ppb の一定にしたときにヒドラジンの添加量を増やすと、ステンレスの腐食電位が低下することが実際に生じることがわかる。このとき、ステンレスの表面は酸化皮膜を形成していない状態で測定した。
N2H4+2Fe2O3=N2+2H2O+4FeO …(化10)
N2H4+2FeO=2Fe+N2+2H2O …(化11)
N2H4+4Fe(OH)3=4Fe(OH)2+N2+4H2O …(化12)
O2+4Fe(OH)2+2H2O=4Fe(OH)3 …(化13)
O2+4Fe3O4=6Fe2O3 …(化14)
化数の高い状態にもどる。したがって、酸化物が炉内の構造物や配管表面に付着していると、炉水に添加したヒドラジンが直接材料表面に及ぼす(化5)の還元作用は有効に活用できないことになる。したがって、炉水での(化1)及び(化2)の反応のみを利用してSCCを抑制することになる。特に、鉄クラッドと呼ばれる、鉄の酸化物を主成分とした不溶性の0.45μm 以下の粒径を持つ、給水から持込まれた鉄に起因する物質が材料表面に付着した場合は、ステンレスやニッケル基合金の高温水中の腐食によって生成した酸化物に比較して、量が多くや表面積が大きいために、その作用を十分考慮する必要がある。そこで、先述したように、ヒドラジンをできるだけ少なく使用して効率的に腐食電位を低下させたいことから、発明者らはヒドラジンが直接材料表面に及ぼす(化5)の還元作用を有効に活用できる方法が必要であることを発見した。
236191号公報は、残留熱除去系を化学除染した後にヒドラジンを注入し、酸素を消費することによって腐食を抑制する、プラント運転中の炭素鋼の保管についての記載が開示されている。また、キャビテーションを利用することの記載も見られる。この従来技術は、本発明と以下の点で異なっている。
116295号公報に記載されている。化学除染は、材料表面の酸化皮膜を、シュウ酸などの有機酸を還元剤として使用して鉄酸化物を還元溶解し、クロム酸化物を過マンガン酸イオンで酸化溶解することで、除去する技術である。特開2000−105295号公報に記載されている。オゾンを用いた技術も特開2003−98294号公報に開示されている。
BWRに本発明を適用するときの、水素とヒドラジンの注入に関わるシステム構成の例を、図1を使って説明する。
116a,116bに入り、原子炉冷却水再循環ポンプ107a,107bによって駆動され、ジェットポンプ115a,115bの作動流体となって、炉水を巻き込みながら、原子炉圧力容器101の下部に流れ込む。
107b,107c点でサンプリングされた炉水のアンモニア濃度を測定して、ヒドラジンの注入量について制御をかけることもできる。また、これらの点で、ヒドラジンの濃度を手分析あるいはヒドラジン濃度センサを使って測定してもよい。
205aに貯蔵される。薬液タンク内の残量が少なくなったとき、あらかじめ準備してあった薬液タンク205bに切り替える。切り替えはバルブ204aを閉じて、バルブ204bを開くことで行う。薬液は注入流量を流量計203でモニターしながら、注入ポンプ202によって、原子炉冷却水浄化系配管110に注入される。注入ポンプ202と原子炉冷却水浄化系配管110の間には、逆止弁201a,201bを二重に設置して、さらにバルブ200を設けて、万が一にも注入装置の不具合による炉水の漏洩を防止する。薬液タンク205a,205bは気密構造とし、薬液タンク内部から外部への高濃度のヒドラジンや過酸化水素が気化漏洩しないように設計されている。内部が負圧になったときには外部から大気が入るように弁206a,206bを設置する。
BWRに本発明を適用した別の実施例を図10を使って説明する。BWRのシステム,ヒドラジンと水素の注入、および酸化皮膜の除去は実施例1と同じである。
BWRに本発明を適用した別の実施例を図11を使って説明する。BWRのシステム,ヒドラジンと水素の注入、および酸化皮膜の除去は実施例1と同じである。本実施例では、ヒドラジン注入装置122を制御棒駆動装置冷却水系130に接続する。制御棒駆動装置冷却水系130には、復水器113で凝縮した蒸気を復水ろ過脱塩器103を通し、浄化したあと、復水貯蔵タンク129を経た水が供給されている。制御棒駆動装置冷却水系130も、原子炉冷却水浄化系と同様に、原子炉の起動および停止操作時にも水が流れているので、一つの運転サイクルの広い時期にわたり還元性窒素化合物を添加することができる。
BWRに本発明を適用した別の実施例を図12を使って説明する。BWRのシステム,ヒドラジンと水素の注入、および酸化皮膜の除去は実施例1と同じである。本実施例では、ヒドラジン注入装置122を原子炉冷却水再循環系配管サンプリングライン131に接続する。原子炉冷却水再循環系配管サンプリングライン131を用いることで炉内に直接ヒドラジンを注入することができる利点があり、特に原子炉の下部の構造物に対して効果が大きい。その反面で、炉の上部に位置する構造物への効果が余り期待できないことと、原子炉冷却水再循環系配管116a,116bの2系統にヒドラジン注入装置122をそれぞれ接続しないと、炉内における腐食環境緩和効果にムラが生じる場合がある。
酸化皮膜を除去する工程について、別の実施例を説明する。実施例1と原子炉の停止時までは同じである。図13に示すように、停止時に、格納容器の開放につづき、原子炉圧力容器101が開放される。ここで、炉心128から燃料を取り出し、再び圧力容器の蓋を閉める。次に酸化や還元を伴う化学除染を実施し、炉内および原子炉冷却水再循環系配管116a,116bの酸化皮膜を取り除く。終了後、原子炉圧力容器101を開放し、他の作業を実施した後、原子炉圧力容器、ついで格納容器を復旧し、起動に備える。原子炉冷却水再循環系配管116a,116bの配管のみを酸化皮膜除去する場合、圧力容器が開放された後、原子炉冷却水再循環系配管116a,116bの配管と原子炉圧力容器101との間を閉止する。その後、酸化や還元を伴う化学除染を原子炉冷却水再循環系配管116a,116bの配管にのみ実施し、原子炉冷却水再循環系配管116a,116bの酸化皮膜を取り除く。終了後、閉止部を開き、圧力容器、ついで格納容器を復旧し、起動に備える。起動後、水素と還元性窒素化合物を注入する。
酸化皮膜を除去する工程について、別の実施例を説明する。本実施例では、図14に示すように、一つの運転サイクルで、定格運転時に化学的に酸化皮膜を除去する。原子炉の出力が定格に到達した後、水素とヒドラジンを炉水に添加する。主蒸気配管線量率モニター118のモニター値がプラントごとに定まった線量率の上限を超えないように監視しながら、ヒドラジンの注入量を増加する。ヒドラジンの添加により、腐食電位を−500から−400mVvsSHEまで低下すると、酸化皮膜が還元されて、炉水に金属が溶出し始めるので、一時的な一定の期間この電位を保持することにより酸化皮膜を薄くすることができる。その後、注入量を腐食電位のモニターにより必要最小限まで減らして定常的な水素とヒドラジンの添加を行う。
205b…薬液タンク。
Claims (9)
- 窒素酸化物が炉水と接する沸騰水型原子炉の構造物あるいは配管の表面に存在する酸化物を取り除き、前記沸騰水型原子炉における一つの運転サイクル中に、前記構造物あるいは前記配管の表面から前記酸化物が取り除かれた状態で、水素が炉水に添加されている間に、還元性窒素化合物の中から選ばれた少なくとも一つ以上の還元性窒素化合物を前記炉水に添加することを特徴とする応力腐食割れ抑制方法。
- 前記構造物または配管の腐食電位が−100mV(水素電極基準)以下となるように前記水素および前記還元性窒素化合物の炉水濃度を決定する請求項1に記載の応力腐食割れ抑制方法。
- 前記構造物あるいは配管の表面に存在する酸化物は少なくとも溶接部を含むように取り除かれる請求項1または請求項2に記載の応力腐食割れ抑制方法。
- 前記還元性窒素化合物は、ヒドラジン類,ヒドラゾン類,ヒドラジド類、およびヒドロキシルアミン類から選ばれた少なくとも一つ以上の化合物である請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の応力腐食割れ抑制方法。
- 前記構造物および配管はステンレスまたはニッケル基合金によって構成されている請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の応力腐食割れ抑制方法。
- 酸化物を取り除く方法は、レーザー光,放電,炉水の噴流によるキャビテーション,超音波,砥石または樹脂たわしによる研磨・研削,ショット、またはサンドブラスト等の物理的方法、あるいは、化学除染と呼ばれる酸化物の酸化や還元を伴う、酸やアルカリによる溶解等の化学的方法である請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の応力腐食割れ抑制方法。
- 前記酸化物を取り除く工程が、原子炉の停止時である請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の応力腐食割れ抑制方法。
- 前記酸化物を取り除く工程が原子炉の運転サイクルの一時期であって、少なくともヒドラジンまたは水素のいずれか一方の添加量を一時的に腐食電位が−500〜−400mV(水素電極基準)になるように制御して酸化物の溶解を促進し、その後あらかじめ設定された水素および還元性窒素化合物の濃度で注入を実施する請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の応力腐食割れ抑制方法。
- 前記水素の注入が給水系または原子炉冷却水浄化系を用いて行われ、前記還元性の窒素化合物の注入が給水系,炉浄化系,再循環系,制御棒駆動水系の中から選ばれた少なくとも一つ以上の箇所から行われる請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の応力腐食割れ抑制方法。
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