JP4367724B2 - 無発塵空気イオン化装置及び方法 - Google Patents

無発塵空気イオン化装置及び方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、イオンを生成することによりクリーンルーム内で発生する静電気を除去する無発塵空気イオン化装置及び方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、半導体もしくは液晶製造のクリーンルーム等では、静電気の発生が問題となっている。例えば、半導体製造のクリーンルームの場合は、低湿度環境であることや、ウエハ及び及び半導体素子を運搬するプラスチック容器が帯電しやすいこと等が静電気の発生の原因となっている。この静電気は、ウエハ表面上に塵埃を付着させたり、ウエハ上のICや半導体素子を破壊してしまい、製品の歩留りを低下させている。
【0003】
また、クリーンルーム以外の生産環境においても、静電気の帯電による製品への塵埃付着、もしくは、静電気放電による静電破壊、及び電撃ショックにより、種々の生産障害が引き起こされ、問題となっている。
【0004】
そこで、従来より、このようなクリーンルーム等の生産環境における静電気を除去する対策として、イオンにより帯電体の電荷を中和する空気イオン化装置が利用されている。この空気イオン化装置は、正又は負の針状の電極に正又は負の高電圧をそれぞれ印加することにより、コロナ放電を発生させる。そして、上記電極先端の周囲の空気を正と負とにイオン化し、このイオンを気流によって搬送して帯電体上の電荷を逆極性のイオンで中和するものである。
【0005】
ところが、上記空気イオン化装置では、クリーンルーム内等のエア中に含まれる微量の不純物がコロナ電極上に堆積し、これら堆積した不純物が再飛散して発塵するという問題があった。そのため、空気イオン化装置では、コロナ電極の周辺を、不純物を含まないガスで覆う(シースする)ことにより、放電エネルギーによるコロナ電極の先端部への不純物の堆積を防止している。なお、このシースするために用いるガスをシースガスといい、シースガスとしては、半導体工場等で使用される高純度N2 ガス、もしくはクリーンルーム内の空気等が用いられている。
【0006】
上記不純物を含まないガス等でコロナ電極を覆うタイプの空気イオン化装置の一例として、図8に、特許第1843114号公報記載の空気イオン化装置の構成を示す。この装置では、コロナ電極上に空気中の微量不純物(主に、Si元素を含む物質)が析出する現象を利用した微粒子析出装置(イオン発生装置63)を設置している。
【0007】
すなわち、同図において、クリーンルーム51の天井に空気清浄装置の高性能フィルタ52が設けられており、イオン発生装置53が設置されている。このイオン発生装置53には、一対の正負の針状電極54a,54bが取り付けられており、これら針状電極54a,54bに正負の高電圧を印加することにより、コロナ放電が発生する。これによって針状電極54a,54bの周囲の空気がイオン化し、この正負のイオン55,56により帯電体57上の電荷が中和される。
【0008】
一方、クリーンルーム51の内部には空気供給路58が配設されており、その一端の吸気口59からエアポンプ60によりクリーンルーム51内の空気が吸い込まれ、他端の供給口61から吐出されるように構成されている。なお、この供給口61は、イオン発生装置53の針状電極54a,54bの近傍に配設されている。
【0009】
また、空気供給路58にはメンブレンフィルタ62と、微粒子析出装置としてイオン発生装置63が設けられており、イオン発生装置63には複数の針状電極64が設けられている。そして、電源65より交流又は直流電流を流すと、針状電極64がコロナ放電を行い、この際、電気的な吸引力により、0.005μm程度以下の超微粒子を0.03μm程度の大きさの微粒子として析出する。この微粒子は、針状電極64から再飛散する。更に、イオン発生装置63を通過した空気はメンブレンフィルタ62に送られ、このメンブレンフィルタ62によって微粒子が捕集され、微粒子を捕集された空気は、供給口61からイオン発生装置53の放電電極54a,54bの近傍に供給される。
【0010】
このようにして供給される空気は、イオン発生装置63及びメンブレンフィルタ62によって、0.005μm程度以下の超微粒子も除去されているため、イオン発生装置53が動作しても針状電極54上に微粒子が析出することはない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した従来の空気イオン化装置には、以下のような問題があった。従来、半導体や液晶製造工場等では、コロナ電極をシースするためのシースガスとして、工場内で多用されている高純度N2 ガスが利用されていた。しかしながら、この高純度N2 ガスは高価であるという問題があった。また、近年、高純度N2 ガスが使用されない工場において、あるいは、半導体製造工程における、N2 ガスを使用することによって酸素の欠乏が心配される工程においても、無発塵の空気イオン化装置に対する需要が高まってきている。
【0012】
更に、図8に示すような空気イオン化装置では、微粒子析出装置であるイオン発生装置63に針状電極64及び高圧の電源65を使用しており、装置が大型で、高価であるという問題があった。
【0013】
本発明は、上記のような従来技術の問題点を解決するために提案されたものであり、その目的は、高純度N2 ガスを使用せずにイオン発生電極からの発塵を防止し、小型かつ安価な無発塵空気イオン化装置を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
従来、コロナ電極上に析出する粒子は、クリーンルーム内の空気中に含まれる超微細粒子が静電気力によってコロナ電極上に析出し、粗大化したものと考えられていたが、近年の研究により、クリーンルーム内の空気中の微量ガス成分が、コロナ放電の化学反応作用により粒子化し、それが静電気力によってコロナ電極上に析出したものであることが分かってきた。なお、この微量ガス成分は、主に、Si元素を含むガスであって、シリコンシーラントから脱ガスしたシロキサンであると考えられている。
【0015】
そこで、本発明者は、クリーンルーム内の空気中の微量ガス成分を効率良く除去する方法について鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成するに至ったものである。
【0016】
すなわち、請求項1記載の発明による無発塵空気イオン化装置は、コロナ電極を備え、コロナ放電により正または負のイオンを生成するイオン発生装置と、空気中の微量ガス成分を除去するガス吸着材又はガス分離膜からなるガス除去手段と、前記ガス除去手段によって微量ガス成分が除去された空気を、シースガスとして前記コロナ電極の周囲に供給するシースガス供給手段とを具備することを特徴としている。
【0017】
請求項記載の発明は、請求項1記載の発明を方法の観点から捉えたものであり、空気中の微量ガス成分をガス吸着材又はガス分離膜により除去し、前記微量ガス成分が除去された空気を、シースガスとしてコロナ電極の周囲に供給し、コロナ放電により前記コロナ電極に正または負のイオンを生成させることを特徴としている。
【0018】
請求項1及び記載の発明によれば、クリーンルーム内の空気や圧縮空気等に含まれる例えばシロキサン等の微量ガス成分が除去され、その処理された空気がシースガスとしてコロナ電極の周囲に供給される。このため、コロナ電極がシースガスで覆われ、このシースガス内でイオンが発生する。
【0019】
このように、シースガス内から微量ガス成分が除去されているため、そのような微量ガス成分が粒子化してコロナ電極上に析出するということがなくなる。従って、従来のように高価な高純度N2 ガスを使用することなく、クリーンルーム内の空気や圧縮空気等をシースガスとして使用することができる。そのため、高純度N2 ガスを使用しない工場や、酸欠の可能性のある工程等においても、本発明による装置または方法を使用することが可能となる。また、従来のように微粒子析出装置としてイオン化装置を設ける必要もないため、簡単な構成で安価な装置を提供することができる。
【0020】
また、ガス除去手段を、ガス吸着材又はガス分離膜によって構成することにより、簡単な構造で保守が容易であり、小型かつ安価な装置とすることができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の具体的な実施の形態を図面を参照して説明する。
【0022】
[1.構成]
図1は、本発明の一実施の形態による空気イオン化装置を示す概略構成図である。同図において、クリーンルームの天井には、清浄な空気を送り込む高性能フィルタであるULPAフィルタ1と、イオン発生装置2とが設置されている。このイオン発生装置2には、図8に示すイオン発生装置53と同様に正と負の各コロナ電極3a、3bが設けられている。これら各コロナ電極3a,3bには、それぞれ直流パルス電源4a,4bが接続されている。
【0023】
また、このイオン発生装置2には、下方に向かってシースガスノズル5a,5bが設けられており、これらシースガスノズル5a,5b内には上記コロナ電極3a,3bが配置されている。このシースガスノズル5a,5bには、バルブ6を介して、シースガス供給部7からシースガスが供給されている。
【0024】
一方、シースガス供給部7にはエアポンプ8が設けられており、送風力によってクリーンルーム内の空気を取り込むように構成されている。なお、クリーンルーム内の空気の代わりに圧縮空気が用いられる場合は、減圧弁9によって一定の圧力に減圧されて取り込まれるようになっている。
【0025】
10は、活性炭もしくは酸化触媒等を担持したガス吸着材であり、空気中の微量ガス成分を吸着することによって除去するようになっている。11はバルブ、及び12は流量計であり、これらによってシースガス供給部7における空気の流量が調整されるようになっている。13はメンブレンフィルタであり、シースガスとして供給する空気中の塵埃を捕集するようになっている。
【0026】
[2.作用効果]
次に、上述した構成を有する本実施の形態の作用効果について説明する。すなわち、シースガス供給部7において、クリーンルーム内の空気がエアポンプ8によって取り込まれるか、もしくは、圧縮空気が減圧弁9によって一定の圧力に減圧されて取り込まれる。この取り込まれた空気は、ガス吸着材10を通過することによって微量ガス成分が除去される。その後、メンブレンフィルタ13を通過することによって塵埃が捕集される。
【0027】
このようにして、シースガス供給部7において微量ガス成分が除去された空気、すなわちシースガスは、バルブ6を介して各コロナ電極3a,3b近傍に供給される。一方、正負各々の直流パルス電源4a,4bによってコロナ電極3a,3bに高電圧が印加されることにより、コロナ放電が発生する。これによって、シースガスノズル5a,5bそれぞれにおいて、コロナ電極3a,3bの周囲の空気がそれぞれ正と負とにイオン化する。この正イオン14及び負イオン15が、シースガスによってシースガスノズル5a,5bの外部へ運び出され、ULPAフィルタ1からの垂直一方向整流によってクリーンルームの下方に搬送される。
【0028】
以上のように、本実施の形態によれば、次のような効果が得られる。すなわち、クリーンルーム内の空気もしくは圧縮空気中の微量ガス成分をガス吸着材10によって除去して、その処理した空気をコロナ電極3a,3bの周囲に供給し、この空気中でイオンを発生させるため、空気中の微量ガス成分が粒子化してコロナ電極3a,3b上に析出することがない。このため、高純度N2 ガスを使用しなくても、クリーンルーム内の空気をシースガスとして使用することができる。また、ガス吸着材によって微量ガス成分を除去する構成であるため、図8に示すイオン発生装置63のような微粒子析出装置に比較して、構造が簡単でかつ保守が容易であり、小型で安価な装置とすることができる。
【0029】
[3.ガス吸着材によるシロキサンの除去効率測定実験]
ここで、図2〜図4により、ガス吸着材によるシロキサン(環状低分子シロキサン)の除去性能の測定実験について示す。図2は、この測定実験のための実験装置の概略図である。
【0030】
図2において、吸着材21は、Cu−Mn酸化触媒がセラミクス担持体によって担持された構成となっており、ハニカム状に成形されている(例えば、神戸製鋼製のAKHllLE)。この吸着材21は、Al2 3 を20〜65重量%、SiO2 を5〜55重量%、マンガン酸化物をMnOに換算して5〜50重量%、銅酸化物をCuOに換算して2〜50重量%含有する材料が、セラミクス担持体に担持されてなる。
【0031】
本実験では、デシケータ22内にシリコンシーラントを投入し、シロキサンを発生させる。そして、エアポンプ23によって供給される搬送空気3.1リットル/minと共に、発生したシロキサンをホルダ34に支持された吸着材21に搬送し、シロキサンの除去を行った。このとき、この吸着材21の前後で、Tenax−GRを充填した捕集管24,25、エアポンプ26,27及び流量計28,29によって流量0.1リットル/minで搬送空気をサンプリングし、ガスクロマトグラフィー法を用いてシロキサンの微量分析を行った。なお、30,31,32はバルブであり、33は流量計である。
【0032】
図3に、微量分析される3種類の環状低分子シロキサン(D3、D4、D5)の構造を示す。また、図4に、以上のようにして測定された結果を示す。すなわち、図4の表に示すように、吸着材21の入口でサンプリングされた各シロキサンの総量と、吸着材21の出口でサンプリングされた各シロキサンの総量とから、シロキサンの除去効率が求められた。この表に示すように、いずれのシロキサンも吸着材21によって90%以上の効率で除去されていることが分かる。
【0033】
[4.他の実施の形態]
なお、本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、以下に示すような各種態様も可能である。すなわち、具体的な各部材の形状、あるいは取付位置及び方法は適宜変更可能である。例えば、空気中の微量ガス成分を除去する手段としてガス吸着材に限らず、ガス分離膜を用いても良い。
【0034】
ここで、図5〜図7により、ガス分離膜によるシロキサン(環状低分子シロキサン)の除去性能の測定実験について示す。図5は、この測定実験のための実験装置の概略図である。
【0035】
図5において、ガス分離膜モジュール41は、ポリイミド製中空糸膜(細いチューブ状の膜)から構成されている(例えば、宇部興産製のガス分離膜モジュールNM−B05)。この膜は、酸素O2 、窒素N2 及び水蒸気のみを選択的に透過し、シロキサン等の微量不純物ガスを分離する。図6に、チューブ状のガス分離膜41aによりシロキサンSi(この記号は、シロキサン分子を代表的に示している。)が除去される様子を概念的に示す。すなわち、チューブ状のガス分離膜41aの入口Aから、シロキサン分子を含む空気が供給されると、酸素分子O2 、窒素分子N2 はガス分離膜41a(出口B側)を透過するが、シロキサン等の微量不純物ガスは、ガス分離膜41aを透過せずに素通りして出口Cより排出される。これによって、空気からシロキサン等の微量不純物ガスが除去される。
【0036】
本実験では、図5に示すように、コンプレッサ42、エアドライヤ43及びメンブレンフィルタ44を介して圧縮空気20.1リットル/minをガス分離膜モジュール41の入口Aに供給した。そして、分離膜モジュール41の入口Aと出口Bとの間で、捕集管45及び流量計46、又は捕集管47、エアポンプ48及び流量計49により、それぞれ流量0.1リットル/minで(圧縮)空気をサンプリングし、ガスクロマトグラフィー法を用いてシロキサンの微量分析を行った。なお、50,51は流量計であり、52はバルブである。
【0037】
図7に、以上のようにして測定された結果を示す。この表に示すように、ガス分離膜41により、各シロキサンが70〜90%以上の効率で除去されていることが分かる。すなわち、ガス分離膜41を用いた場合にも、高効率でのシロキサンの除去が可能であることが分かった。
【0038】
【発明の効果】
上述したように、本発明によれば、空気中に含まれる微量ガス成分が除去され、その処理された空気がシースガスとしてコロナ電極の周囲に供給されるため、そのような微量ガス成分がコロナ放電の化学反応作用によって粒子化し、コロナ電極上に析出するということがなくなる。従って、従来のように高価な高純度N2 ガスを使用することなく、クリーンルーム内の空気や圧縮空気等をシースガスとして使用することができる。そのため、高純度N2 ガスを使用しない工場や、酸欠の可能性のある工程等においても、空気イオン化装置を使用することが可能となる。また、従来のように微粒子析出装置としてイオン発生装置を設ける必要もないため、簡単な構成でかつ安価な装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態による無発塵空気イオン化装置の構成を示す概略図である。
【図2】ガス吸着材による微量ガス成分の除去性能を測定した実験装置の構成を示す概略図である。
【図3】図2に示す実験装置において微量分析される環状分子シロキサンの構造を示す図である。
【図4】図2に示す実験装置による測定結果を示す図表である。
【図5】ガス分離膜による微量ガス成分の除去性能を測定した実験装置の構成を示す概略図である。
【図6】ガス分離膜によりシロキサンが除去される様子を説明する概念図である。
【図7】図6に示す実験装置による測定結果を示す図表である。
【図8】従来の無発塵空気イオン化装置の構成を示す概略図である。
【符号の説明】
1…ULPAフィルタ
2…イオン発生装置
3a,3b…コロナ電極
4a,4b…直流パルス電源
5a,5b…シースガスノズル
7…シースガス供給部
8…エアポンプ
9…減圧弁
10…ガス吸着材
13…メンブレンフィルタ
14…正イオン
15…負イオン

Claims (2)

  1. コロナ電極を備え、コロナ放電により正または負のイオンを生成するイオン発生装置と、
    空気中の微量ガス成分を除去するガス吸着材又はガス分離膜からなるガス除去手段と、
    前記ガス除去手段によって微量ガス成分が除去された空気を、シースガスとして前記コロナ電極の周囲に供給するシースガス供給手段とを具備することを特徴とする無発塵空気イオン化装置。
  2. 空気中の微量ガス成分をガス吸着材又はガス分離膜により除去し、前記微量ガス成分が除去された空気を、シースガスとしてコロナ電極の周囲に供給し、コロナ放電により前記コロナ電極に正または負のイオンを生成させることを特徴とする無発塵空気イオン化方法。
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