JP4376100B2 - 光ファイバ母材の延伸方法 - Google Patents

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Description

本発明は、大径の光ファイバ母材から、線引きに好適な外径に延伸して縮径する延伸方法に係り、特には延伸開始段階における作業が簡便で信頼性が高く、曲がりの低減された光ファイバ母材が得られる光ファイバ母材の延伸方法に関する。
近年、光ファイバ母材の製造技術の向上に伴ない、大径の光ファイバ母材の製造が可能になってきている。しかしながら、大径の光ファイバ母材を線引きして外径125μmの光ファイバとするには、加熱炉を大型化したり、線引き技術に熟練を要するなど、今日まで培ってきた線引き技術を大きく変更する必要がある。
そこで、例えば、公知のVAD法で製造した大径の光ファイバ母材を、これまで使用してきた線引き用光ファイバ母材とほぼ同等の径に一旦延伸し縮径して、線引き用光ファイバ母材とし、これを光ファイバに線引きする方法や、VAD法で製造した大径の光ファイバ母材を延伸し縮径して、この上にさらに外付け法でガラス微粒子を堆積させて得た光ファイバ母材を線引きする方法が採られている。
これらの方法には、ガラス微粒子を堆積させた多孔質母材を加熱炉で脱水し、さらに透明ガラス化する工程がある。通常、透明ガラス化は、1000〜1650℃に保持された炉心管内に多孔質母材を回転させながらゆっくりと送り込むことで行われる。例えば、多孔質母材の下端部分が加熱炉の加熱源近傍に位置するように吊り下げ、ガラス化温度まで昇温させた後、多孔質母材を徐々に回転させながら引き下げ、下端から上端に向かって透明ガラス化する方法である。
多孔質母材の透明ガラス化は、初めにガラス化が始まる箇所で大きな密度変化が生じており、回転中心のずれや温度分布の僅かな違い、形状の差異により、ガラス化後の母材形状に大きな影響を与え、図1に示すように、結果的に屈曲した光ファイバ母材が製造されることがある。
このような光ファイバ母材にあっては、多孔質スートとコアロッドからなる複合母材を加熱炉で加熱しているため、焼結・透明ガラス化が開始される先端位置に大きな屈曲を生じていることがある。
従来、このように先端に局部的な屈曲部を有する光ファイバ母材の曲がりの修正は、ガラス旋盤等を用いて行われている。ガラス旋盤による修正作業は、加熱源にガスバーナーを用いているため、局所加熱が可能となり、曲がりを生じている部分のみを修正することができ、外径100mm以下の光ファイバ母材の修正加工、特に外径80mm以下のものに対しては十分に修正加工が可能である。
しかしながら、さらに光ファイバ母材の外径が大きくなるにつれ、母材の先端部に形成されるテーパー部も大型化し、ガラス旋盤では、バーナーの火力の不足から修正加工できないか、極めて長い加熱時間を必要とするなどの問題がある。
また、透明ガラス化加工で光ファイバ母材の先端部近傍のダミー棒やテーパー部が湾曲すると、延伸加工の際、加熱炉にセットして炉の下端から出ているダミー棒を引き取るため、ダミー棒を加熱炉の直下に設置されたチャックやローラーで押さえると、光ファイバ母材が加熱炉のヒーターの中心からずれてセットされ、ときには光ファイバ母材がヒーターに接触することさえある。また、ダミー棒の軸線が湾曲しているため、延伸しようとしてこの状態で無理にチャックやローラーで把持すると、ダミー棒が破損することがある。
このため、ダミー棒が破損しないように様々なチャックが考案され、ダミー棒の軸線が多少曲がっていても、これに合わせて把持するチャックが開発されている。しかし、ローラー延伸では、このような曲がりを補正するような機構を採り入れることが困難である。
本発明は、先端部に屈曲部を有する光ファイバ母材であっても容易にその曲がりを修正でき、同時に延伸縮径を可能とする光ファイバ母材の延伸方法を提供することを目的としている。
本発明の光ファイバ母材の延伸方法は、光ファイバ母材を電気炉で加熱延伸してより小径とする延伸加工において、該光ファイバ母材の一端から延伸するにあたり、予め光ファイバ母材先端部の屈曲部を電気炉内で加熱軟化させて曲がりを修正し、該曲がりの修正確認に、光ファイバ母材又はこれに接続されたダミー棒の先端と延伸軸とのずれを検出することを特徴としている。このとき、光ファイバ母材を吊り下げ機構に装着して電気炉内に吊り下げ、光ファイバ母材先端部の屈曲部を加熱軟化させて、光ファイバ母材又はこれに接続されたダミー棒の先端と延伸軸とのずれを検出し、該ずれが10mm以下になった後、延伸を開始する。なお、ずれの検出には、非接触式位置検出装置を用いるとよく、これにはレーザー測定器や画像処理装置が挙げられる。
本発明の光ファイバ母材の製造方法によれば、光ファイバ母材先端部の曲がりの修正を延伸加熱炉にセットした状態で行うことが可能となる。つまり、光ファイバ母材先端部の曲がり修正を行い、修正確認後、延伸するためにダミー棒把持を行うので、ダミー棒に曲がりによる外力は作用せず、ダミー棒が破損することはない。また、ダミー棒の中心軸のずれを許容するための特別なチャックも不要となる。
さらに、屈曲部の外径は比較的細いため、大径の直胴部と比較してそれより若干低い温度で軟化させて修正することができる。このため屈曲部の曲がり修正を行った後に、光ファイバ母材の延伸を開始しても、温度が高すぎることはなく、直胴部の延伸を高い信頼性で実施することができる。
また、先端部の曲がりを修正した後延伸するため、延伸して得られるより小径の光ファイバ母材の曲がりをさらに小さくすることができる。
本発明では、先ず、大径の光ファイバ母材を公知の方法で作製し、透明ガラス化した後、形状を測定し、ガラス化開始位置(先端部)で屈曲を生じているものについては、曲がりの大きさと加熱炉のクリアランスを考慮し、無理なく加熱炉への装着が可能か否かを調べる。
次に、装着が可能と判断した光ファイバ母材については、屈曲部がヒーターのほぼ中央に位置するようにセットする。通常、この位置は、加熱炉のなかで温度が最高になる領域であり、一般的にはヒーターのほぼ中央か若干上よりの位置となる。
さらに、延伸引き取りに際して、下端部のダミー棒に耐熱性セラミックス材からなる引き取り用支持棒を接続しておく。これには、例えば、互いに嵌合させたものをピン等で機械的に結合する。このとき、結合部に多少の緩みがあっても差し支えない。多少の結合部の緩みは、曲がりの大きな光ファイバ母材を加熱炉に装着する際、クリアランスとして有効に作用する。この時点ではまだ、引き取り用支持棒を延伸用のチャック又はローラー等で把持せず、下端部をフリーな懸垂状態としておく。
このような状態にして大径の光ファイバ母材を加熱し、屈曲部を軟化させると、曲がりは自重で修正される。次に、曲がりが修正されたことを確認して、例えば、ダミー棒の先端と延伸軸とのずれが10mm以下になったことを確認して、引き取り用支持棒の下端にさらにアルミニウム製の引き取り棒を取り付けて延伸を開始する。なお、曲がり修正が完了したことを確認するには、加熱炉の下端から出ているダミー棒の位置を目視して確認することもできるが、ずれの検出には、非接触式位置検出装置を用いるとよく、これには、レーザー測定器による位置検出、或いはCCDカメラを用いた画像処理装置等を用いて容易に確認でき、作業の自動化が可能となる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながらさらに詳細に説明する。
図1に示す大径光ファイバ母材の延伸方法について説明する。光ファイバ母材1は、外径40〜180mmの大径で棒状の石英系ガラスからなる母材1aと、その両端に溶着された石英系ガラス等からなるダミー棒1b,1cからなっている。さらに光ファイバ母材1の上端には、窒化珪素セラミックス製吊り下げ用支持棒2が取り付けられる。
延伸作業は、先ず、光ファイバ母材1が加熱炉3に接触せずに吊り下げ可能かを延伸軸と炉内壁との距離から検討し、光ファイバ母材1の曲がりが吊り下げ可能な程度であれば、光ファイバ母材1を吊り下げ用支持棒2を介して母材吊り下げ機構4に取り付けて吊り下げ、加熱炉3内に挿入し、光ファイバ母材下部の屈曲部が所定の位置に来るようにセットする。図2は、光ファイバ母材1を延伸装置に装着した状態を示している。なお、延伸軸とは、吊り下げ用支持棒2又は母材吊り下げ機構4に錘を取り付け、これを加熱炉3の中心を通るように吊り下げて得られる鉛直線のことである。
このとき、光ファイバ母材下端のダミー棒1cが加熱炉3のヒーター5から出ない場合は、窒化珪素セラミックス製引き取り用支持棒6を取り付けてから装着するか、一旦光ファイバ母材1をさらに下げて加熱炉からダミー棒1cを突出させ、引き取り用支持棒6を取り付けた後に、光ファイバ母材1を加熱炉3の所定の位置にセットしてもよい。
この状態で加熱を開始して昇温し、ヒーター温度が1800〜1900℃の温度領域では、一時昇温を停止するか、昇温勾配を緩やかにして加熱する。光ファイバ母材1の加熱部が軟化すると、下端部分のガラスと下端に吊り下げられた引き取り用支持棒6の自重で、ゆっくりと曲がりの修正が始まる。図3は、このようにして光ファイバ母材下部の屈曲部が修正された状態を示している。
光ファイバ母材1の曲がりが修正され始めたのを確認して、図4に示すように、引き取り用支持棒6の下端にアルミニウム製引き取り棒7を取り付ける。
次に、図5に示すように、母材吊り下げ機構4を作動させて光ファイバ母材1を所定の速度で下方に移動させると同時に、光ファイバ母材1の最下端に取り付けられているアルミニウム製引き取り棒7をチャック8で把持して下方に移動させることで、光ファイバ母材1は延伸され、所定の径に縮径される。
本発明の延伸方法により、曲がりのない線引きに好適な光ファイバ母材が容易に得られ、ガラスロッドとしても精度の高い真直度を有し、様々な用途に好適に利用可能である。
先端部に曲がりを有する光ファイバ母材の一例を示す概略側面図である。 先端部に曲がりを有する光ファイバ母材を延伸装置に装着した状態を示す概略縦断面図である。 光ファイバ母材先端部の曲がりが修正された状態を示す概略縦断面図である。 光ファイバ母材下端の引き取り用支持棒に引き取り棒を接続した状態を示す概略縦断面図である。 大径光ファイバ母材の延伸状態を示す概略縦断面図である。
符号の説明
1……光ファイバ母材、
1a……母材、
1b,1c……ダミー棒、
2……吊り下げ用支持棒、
3……加熱炉、
4……母材吊り下げ機構、
5……ヒーター、
6……引き取り用支持棒、
7……引き取り棒、
8……チャック。

Claims (4)

  1. 光ファイバ母材を電気炉で加熱延伸してより小径とする延伸加工において、該光ファイバ母材の一端から延伸するにあたり、予め光ファイバ母材先端部の屈曲部を電気炉内で加熱軟化させて曲がりを修正し、該曲がりの修正確認に、光ファイバ母材又はこれに接続されたダミー棒の先端と延伸軸とのずれを検出することを特徴とする光ファイバ母材の延伸方法。
  2. 光ファイバ母材を吊り下げ機構に装着して電気炉内に吊り下げ、光ファイバ母材先端部の屈曲部を加熱軟化させて、光ファイバ母材又はこれに接続されたダミー棒の先端と延伸軸とのずれを検出し、該ずれが10mm以下になった後、延伸を開始する請求項1に記載の光ファイバ母材の延伸方法。
  3. 非接触式位置検出装置を用いてずれを検出する請求項2に記載の光ファイバ母材の延伸方法。
  4. 非接触式位置検出装置として、レーザー測定器又は画像処理装置を用いる請求項3に記載の光ファイバ母材の延伸方法。
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