JP4385657B2 - 成膜装置および成膜方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は3次元中空容器、例えばプラスチックボトル、プラスチックカップ、プラスチックトレー、紙容器、紙カップ、紙トレー、その他中空のプラスチック成形品等の表面にプラズマ助成式化学蒸着法(PECVD)により薄膜を形成するための成膜装置および成膜方法に関し、特にパーティクルの発生を極めて少なく抑えつつ成膜が行えるようにした成膜装置および成膜方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、プラスチック容器等の3次元中空容器表面に薄膜を成膜し、容器のガスバリア性、水蒸気バリア性、表面の濡れ性等を向上させる試みがなされている。これらの機能性薄膜を成膜する方法の1つとしては、プロセスガスの化学反応を利用したプラズマ助成式CVD法により、容器表面に薄膜を形成させる方法であり、例えば、容器の外形とほぼ相似形の中空状の外部電極と、容器とほぼ相似形の内部電極の間に容器を設置し、成膜を行う方法(例えば、特許文献1参照。)、外部電極と内部電極とを容器の表面からほぼ一定の距離に配置して成膜する方法(例えば、特許文献2参照。)等がある。これらの方法を用いて容器内面に成膜を行う場合には、いずれも原料ガスをガス導入管でもある内部電極を通して容器内に導入することが一般に行われる。
しかしこれらの方法で実際に容器内面に成膜を行った場合、容器内面に成膜が行われると同時に原料ガス導入管表面および成膜チャンバ内表面等にも薄膜が形成される。そして成膜を繰り返すと、その薄膜の厚みが徐々に増加し、いずれ原料ガス導入管および成膜チャンバー内表面等より剥離し、容器内部にその微細部分がパーティクルとして付着してしまうといった問題点がある。
【0003】
そこで、成膜チャンバー内にクリーニング用のガスを導入し、高周波を印加してプラズマを発生させることにより、ガス導入管等に形成される薄膜を分解して除去する技術が提案されている(例えば、特許文献3参照。)。
しかしながら、この方法で薄膜を完全に分解するには長時間プラズマを発生させておく必要があり、その結果、稼働率が低下し、量産の障害となってしまう。また、形成される薄膜の組成によっては、プラズマを発生させるだけでは分解困難な薄膜(例えば、酸化珪素薄膜。)も存在する。
【0004】
【特許文献1】
特開平8−53117号公報
【特許文献2】
特開平8−175528号公報
【特許文献3】
特開2001−335946号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記従来技術の問題点を解決するためになされたもので、中空容器内表面にプラズマ助成式CVD法により薄膜を形成させるための成膜装置および成膜方法であって、特に、容器表面、成膜チャンバー内およびガス導入管等に付着したパーティクルを除去しながら薄膜の形成が行えるようにした成膜装置および成膜方法の提供を課題とする。
【0006】
【発明が解決しようとする手段】
本発明は上記した課題を解決すべくなされたものであって、請求項1の発明は成膜チャンバー内に配置してある中空容器の表面にプラズマ助成式CVD法により薄膜を形成するための成膜装置であって、イオン化した空気を成膜チャンバー内に導入するガス導入管を具備し、前記ガス導入管はその先端および先端に至る途中にイオン化した空気の吹き出し口が1つ以上設けられていて、そのうちの少なくとも1つが中空容器の肩部に対応する箇所に設けてあり、イオン化した空気が中空容器の開口部に向かってダウンフローで吹き出すように配置することにより、薄膜の形成とパーティクルの除去を一連の工程の中で行えること特徴とする成膜装置である。
【0007】
また、請求項2の発明は、中空容器の表面にプラズマ助成式CVD法により薄膜を形成するための成膜方法であって、中空容器が収納可能なスペースを持つ成膜チャンバー内に中空容器を配置し、成膜チャンバーの一部に設けられた排気口より中空容器内部を含む成膜チャンバー内を減圧下に維持した状態で原料ガスを中空容器内に導入し、しかる後に高周波またはマイクロ波電力を印加して原料ガスをプラズマ化することにより中空容器の表面に薄膜を形成した後、ガス導入管よりイオン化した空気を成膜チャンバー内に導入する際に、イオン化した空気が前記ガス導入管の先端および先端に至る途中に少なくとも一つ以上設けられた吹き出し口から2方向以上に分かれ、且つ吹き出し口の少なくとも1つが中空容器の肩部に対応する箇所に設けられてあり、イオン化した空気が中空容器の開口部に向かってダウンフローで吹き出すことにより、中空容器内部を含む成膜チャンバー内を大気圧に戻すと同時に中空容器の表面のパーティクルの除去を行うことを特徴とする成膜方法である。
【0008】
さらにまた、請求項3の発明は、原料ガスを導入する導入管とイオン化した空気を導入する導入管が個別に設けられており、それぞれの導入管から原料ガスおよびイオン化した空気を導入することを特徴とする請求項2に記載の成膜方法である。
【0009】
さらにまた、請求項4の発明は、吹き出し口からイオン化した空気を導入し、中空容器の表面、チャンバーの内表面およびガス導入管に静電引力により付着しているパーティクルを除去できることを特徴とする請求項2または3に記載の成膜方法である。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の装置および成膜方法を、実施例を示す概略図を用いて説明する。
図1は、本発明の成膜装置の主要部分を示す説明図である。図中、10は本発明の成膜装置を構成する成膜チャンバーを示している。この成膜チャンバー10は、図面からも分かるように、内部に中空容器1が収容できるだけの円筒状のスペースを持つ外部電極2と、その外部電極2の端に設置される天蓋3と、もう一方の端に設置され、その一部に排気口4を持つ底蓋5よりなっており、排気口4には減圧状態を維持するための真空ポンプが接続されている。そして、この成膜チャンバー10には、原料ガスの供給も行えるガス導入管6が底蓋5を通して中空容器1内部にその先端部近辺が至るように設置されている。
このガス導入管6は、成膜に必要な原料ガスのみならずイオン化された空気が必要に応じてその吹き出し口7より成膜チャンバー10側に導入されるようになっている。本発明の成膜装置は、イオン化した空気を成膜チャンバー内に導入するガス導入管を具備することを特徴とするが、図示のガス導入管6はイオン化した空気を導入するだけでなく、成膜に必要な原料ガスも導入できるようになっている。イオン化した空気を成膜チャンバー内に導入するためのガス導入管と別個になっていてもよい。要するに、後述するように、イオン化した空気を成膜チャンバー内に導入でき、パーティクルの除去が効率よく排除できるような構成になっていればよい。
【0011】
以下、このような構成の成膜チャンバー10やガス導入管6等を具備してなる本発明の装置を用いた成膜方法について述べる。
成膜に当たっては、まず、成膜チャンバー10内に中空容器1を配置し、排気口4に接続された真空ポンプ(図示せず)により中空容器1内を含む成膜チャンバー10内を一定の減圧下に維持した状態でガス導入管6先端の吹き出し口7より原料ガスを中空容器1内に供給し、外部電極2より高周波を印加することにより中空容器1内の原料ガスをプラズマ化し、中空容器1の内表面へ薄膜を成膜する。続いて、ガス導入管6先端の吹き出し口7よりイオン化された空気を中空容器1内に吹き出し、成膜チャンバー10内に供給することにより中空容器1、成膜チャンバー10内およびガス導入管6等の電荷を中和し、中空容器1、成膜チャンバー10内およびガス導入管6に静電引力で付着しているパーティクルを除去しながら成膜チャンバー内を大気圧に戻して、一連の成膜工程を終了する。
【0012】
この成膜装置と成膜方法の重要な特徴の1つは、イオン化した空気を成膜チャンバーに導入するガス導入管を具備し、そこからイオン化した空気を導入することである。このガス導入管は、図1に示したように原料ガスを容器内に提供する原料ガス導入管6を兼用しても、また別個に設けたものであってもよい。いずれにせよ、中空容器内表面へ薄膜を成膜した後、イオン化した空気を中空容器やチャンバー内に効率よく導入することが可能な構成になっていればよく、その一部に設けてある吹き出し口からイオン化した空気を導入し、中空容器、チャンバー内表面およびガス導入管等に静電引力により付着していたパーティクルを効率よく除去できる構成となっていればよい。
【0013】
また、イオン化した空気を導入するためのガス導入管の吹き出し口は、成膜チャンバー内にイオン化した空気を導入して成膜チャンバー内を大気圧に戻すとき、成膜チャンバー内表面およびガス導入管等に形成された膜の一部が剥がれ落ち、静電引力により付着しているパーティクルが中空容器内に吹き込んでくることをより確実に防げるようにするため、図2に示したように、中空容器内へのイオン化した空気の流れがダウンフローになるように、その吹き出し口をガス導入管の先端(A)に少なくとも1つ(27)、さらに先端に至る途中(B)、例えば中空容器の肩部などのパーティクルが残りやすい部位に対応する箇所のそれぞれに少なくとも1つ(28)設け、そこからイオン化した空気を直接吹き付けることによりパーティクルが除去できるようにしておくことが好ましい。
【0014】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明する。
<実施例1>
主要部の構成が図1に示すような成膜装置を用いて、下記のようにして、容量が500mlのポリエチレンテレフタレート(PET)製中空容器1の内表面に酸化珪素薄膜の成膜を行った。用いた原料ガスはヘキサメチルジシロキサンと酸素の混合ガスであり、それぞれの流量は10sccmと500sccmであった。
まず、成膜チャンバー10内を減圧した後、上記混合ガスをガス導入管6を通して中空容器10内に導入し、成膜時圧力50Pa、印加電力250wattで15秒間高周波を印加し、ポリエチレンテレフタレート(PET)製中空容器1の内表面に酸化珪素薄膜の成膜を行った。続いて、ガス導入管6先端の吹き出し口7から中空容器1内の流れがダウンフローになるように、圧力0.5MPaのイオン化した空気を中空容器1側から吹き出し、成膜チャンバー10内に供給しながら成膜チャンバー内を大気圧に戻し、第1回目の成膜を完了した。
この成膜工程を順次、同容量、同形状の1000個のPET製中空容器に対して行い、1000回目に成膜したボトルに400mlの超純粋を入れ、10回シャッフルし、水中に含まれる粒径10μm以上のパーティクル数を液中パーティクルカウンターを用いて計測した。
計測したパーティクル数を表1に示す。
【0015】
<実施例2>
図2に示すように、ガス導入管26を、イオン化した空気の吹き出し口を、ガス導入管の先端だけでなく、先端に至る途中の部分、すなわち中空容器21の肩部に相当する部分にも設け(吹き出し口28)、中空容器21の肩部にもイオン化した空気を直接吹き付けられるようにしたものとし、このガス導入管26の吹き出し口27、28から圧力0.5MPaのイオン化したの空気をダウンフロー状態で中空容器21の内部から供給したこと以外は実施例1と同様の条件で成膜工程を行い、さらに実施例1と同様にして、1000回目に成膜した中空容器中のパーティクル数を計測した。
計測したパーティクル数を表1に示す。
【0016】
<実施例3>
図3に示すように、ガス導入管36を、イオン化した空気の吹き出し口を、ガス導入管の先端だけでなく、先端に至る途中の部分、すなわち中空容器31の肩部に相当する部分(吹き出し口38)、およびガス導入管先端と吹き出し口38との中間部分(吹き出し口39)にもイオン化した空気を直接吹き付けられるようにしたものとし、このガス導入管36の吹き出し口37、38、39から圧力0.5MPaのイオン化した空気をダウンフロー状態で中空容器21の内部から供給したこと以外は実施例1と同様の条件で成膜工程を行い、さらに実施例1と同様にして、1000回目に成膜した中空容器中のパーティクル数を計測した。
計測したパーティクル数を表1に示す。
【0017】
<比較例1>
成膜を行なった後、ガス導入管6先端の吹き出し口から吹き出す空気がイオン化されていないこと以外は実施例1と同様の条件で成膜工程を行ない、さらに実施例1と同様にして、1000回目に成膜した中空容器中のパーティクル数を計測した。
計測したパーティクル数を表1に示す。
【0018】
<比較例2>
成膜を行った後、イオン化した空気をガス導入管の先端から導入する代わりに、中空容器内の空気の流れがアップフローになるように、イオン化していない大気圧下の空気を成膜チャンバー下方から導入して、チャンバー内を大気圧にしたこと以外は実施例1と同様の条件で成膜工程を行い、さらに実施例1と同様にして、1000回目に成膜した中空容器中のパーティクル数を計測した。
計測したパーティクル数を表1に示す。
【0019】
<比較例3>
実施例1で用いたのと同容量、同形状のPET製中空容器を用い、その内表面には成膜しないで、400mlの超純水をいれ、10回シャッフルし、水中に含まれる粒径10μm以上のパーティクル数を液中パーティクルカウンターを用いて計測した。
計測したパーティクル数を表1に示す。
【0020】
【表1】
【0021】
【発明の効果】
本発明によれば、中空容器の内表面にプラズマ助成式CVD法により薄膜を成膜する場合に、連続して成膜を行った場合でも、中空容器等内へのパーティクルの付着・混入を極めて少なくすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の成膜装置の主要部分を示す説明図である。
【図2】ガス導入管の概略の構成およびイオン化した空気の容器内での流れを示す概略図である。
【図3】ガス導入管の概略の構成およびイオン化した空気の容器内での流れを示す概略図である。
【符号の説明】
1、21、31・・・中空容器
2・・・外部電極
3・・・天蓋
4・・・排気口
5・・・底蓋
6、26、36・・・ガス導入管
7、27、28、37、38、39・・・吹き出し口
10・・・成膜チャンバー
Claims (4)
- 成膜チャンバー内に配置してある中空容器の表面にプラズマ助成式CVD法により薄膜を形成するための成膜装置であって、イオン化した空気を成膜チャンバー内に導入するガス導入管を具備し、前記ガス導入管はその先端および先端に至る途中にイオン化した空気の吹き出し口が1つ以上設けられていて、そのうちの少なくとも1つが中空容器の肩部に対応する箇所に設けてあり、イオン化した空気が中空容器の開口部に向かってダウンフローで吹き出すように配置することにより、薄膜の形成とパーティクルの除去を一連の工程の中で行うこと特徴とする成膜装置。
- 中空容器の表面にプラズマ助成式CVD法により薄膜を形成するための成膜方法であって、中空容器が収納可能なスペースを持つ成膜チャンバー内に中空容器を配置し、成膜チャンバーの一部に設けられた排気口より中空容器内部を含む成膜チャンバー内を減圧下に維持した状態で原料ガスを中空容器内に導入し、しかる後に高周波またはマイクロ波電力を印加して原料ガスをプラズマ化することにより中空容器の表面に薄膜を形成した後、ガス導入管よりイオン化した空気を成膜チャンバー内に導入する際に、イオン化した空気が前記ガス導入管の先端および先端に至る途中に少なくとも一つ以上設けられた吹き出し口から2方向以上に分かれ、且つ吹き出し口の少なくとも1つが中空容器の肩部に対応する箇所に設けられてあり、イオン化した空気が中空容器の開口部に向かってダウンフローで吹き出すことにより、中空容器内部を含む成膜チャンバー内を大気圧に戻すと同時に中空容器の表面のパーティクルの除去を行うことを特徴とする成膜方法。
- 原料ガスを導入する導入管とイオン化した空気を導入する導入管とが個別に設けられており、それぞれの導入管から原料ガスおよびイオン化した空気を導入することを特徴とする請求項2記載の成膜方法。
- 吹き出し口からイオン化した空気を導入し、中空容器の表面、チャンバーの内表面およびガス導入管に静電引力により付着しているパーティクルを除去できることを特徴とする請求項2または3に記載の成膜方法。
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