JP4389039B2 - アロジェニックな活性化cd4陽性細胞を主成分とする医薬組成物、およびその製造方法、ならびに該医薬組成物調製用キット - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、他人に由来する(以下、アロジェニックと略す)活性化CD(Cluster of Differentiation)4陽性細胞を製剤中の総細胞数に対して90%以上含有する医薬組成物およびその調製方法に関する。本発明のアロジェニックな活性化CD4陽性細胞を製剤中の総細胞数に対して90%以上含有する医薬組成物は、腫瘍再発の予防・治療、各種感染症の予防・治療、自己免疫疾患の予防・治療等に使用することができる。特に、腫瘍の再発予防あるいは免疫が低下した患者のウイルス感染症の予防・治療、呑食症等の自己免疫疾患の予防・治療に本発明の医薬組成物を使用することができる。
【0002】
【従来の技術】
生体防御に関係する免疫系を担う主要なものの一つとしてリンパ球がある。特に、Tリンパ球は、細胞性免疫を担う重要な細胞の一つである。本リンパ球は、モノクローナル抗体の反応性により分類されている。例えば、抗CD3抗体との反応性を有するTリンパ球は、CD3陽性細胞と分類される。発現される抗原とその機能の関係に関する多くの研究が行われている。Tリンパ球は、CD3抗原を発現するだけでなく、同時に種々の抗原を発現している。CD4抗原を発現するリンパ球(以下、CD4陽性細胞と略す)は、CD8抗原を発現するリンパ球(以下、CD8陽性細胞と略す)を活性化する役目を担うと考えられている。CD8陽性細胞は、強い細胞傷害性活性を有している。しかしながら、Tリンパ球の機能は多岐に及んでおり、発現している表面抗原のみで全ての機能を分類するのは一般的に困難であると考えられている。例えば、CD4陽性細胞が細胞傷害活性を有することも報告されている(Konomi Y,Sekine T,Takayama T,Fujii M,Tanaka T.Cytotoxic activity of CD4+ T cells against autologous tumor cells.Jpn. J. Cancer. Res.,Vol.86,p.854-60,(1995))。
【0003】
関根は、リンパ球を固相化抗CD3抗体とインターロイキン2により増殖できること及び、本増殖させた自己由来リンパ球は、抗腫瘍効果を有することを報告している(特開平3−80076号公報)。これ以外にも抗CD3抗体あるいはインターロイキン2により末梢血等に由来するリンパ球を増殖させられること、及び本自己由来リンパ球が抗腫瘍活性を有することが数多く報告されている。
【0004】
伊藤らは、抗CD3抗体とインターロイキン2により増殖させた自己由来リンパ球が先天性免疫不全患者のウイルス感染症に有効であることを報告している (伊藤仁也、関根暉彬;医学のあゆみ、181巻、6号、426-427頁(1997年))。
【0005】
骨髄移植は、患者とドナーの白血球血液型(以下、HLAと略す)が一致した場合行われているが、本HLAには数多くの種類が存在し、患者とドナーでのHLAが完全に一致する場合は、極めてまれである。そのため、HLAの主要なものが一致していれば、骨髄移植が行われている。しかしながら、HLAが完全に一致しないため、骨髄移植にともなって移植片対宿主病(Graft vs. Host Diseases;以下、GVHDと略す)が引き起こされる場合がある。本疾患は重篤な症状を示すことから、本疾患の治療目的で免疫抑制剤が使用される。免疫抑制剤を投与された患者はGVHDから回復できるものの、免疫抑制状態となりサイトメガロウイルスやエプスタイン・バー・ウイルス感染症を発症し、多くの場合、死に至る。
【0006】
Elizabethらは、このような免疫抑制状態で起こるウイルス感染症を予防・治療するために、骨髄の供与者のリンパ球からサイトメガロウイルスに特異的なCD8陽性細胞を誘導し、骨髄移植患者のサイトメガロウイルス感染症を治療できることを報告している(Elizabeth a.Walter,M.D. et al., N .Engl. J .of Med
.,Vol.333,p.1038-1044,(1995))。
【0007】
臨床において、アロジェニックなリンパ球をフェレーシスなどにより調製し、白血病などの治療を目的として本リンパ球の患者への投与が行われている。本療法は、Donor Leukocyte Transfusion(以下、DLTと略す)と呼ばれる。DLTは、治療効果が高いものの急性のGVHDが50%から80%の患者に認められ、致死的なGVHDも20%前後に認められる。(Kolb,H.J.et al.,Blood.,Vol.86,p.2041-2050,(1995)、Slavin,S.et al.,Exp.Hematol.,Vol.23,p.1553-1562,(1995))また、フェレーシスには数時間もの時間がかかり、ドナーの負担が非常に大きい。
【0008】
Giraltらは、CD8陽性細胞を除去した白血球を用いたDLTを報告している(Giralt,S.et al.,Blood.,Vol.86,p.4337-4343,(1995))。Ritzらは、フェレーシスにより調製したCD4陽性細胞を使用したDLTを報告している(Claret EJ.et al ,J.Clin.invest,Vol.100,No.4,p.588-866,(1997))。いずれの場合もGVHDを起こさずにGVL(Graft versus leukemia:軽度のGVH反応が患者にとって有利に働く反応)効果が誘導されたことを報告しているが、そのGVL効果は弱い。
【0009】
抗原特異的なアロジェニックなリンパ球では、GVHDを引き起こすことなく目的とするウイルス感染症に有効であるが、その有効スペクトルは、目的とするウイルスのみに限定されてしまう。そのため、複数の種類のウイルス感染には、抗原特異的な複数のリンパ球を誘導する必要がある。特に、予期しないウイルス等の病原体を原因とする感染症が発生した場合、その病原体に特異的なリンパ球の誘導には、時間的がかかるため抗原特異的なアロジェニックなリンパ球は治療用に使用できない。
さらに、原因菌が同定できないような感染症では、抗原特異的なリンパ球を誘導することは困難である。そのため、有効スペクトルが広い、あるいは、有効スペクトルの限定されないものが求められている。
【0010】
また、DLTのようなアロジェニックのリンパ球投与は、高い効果(例えば、抗腫瘍効果)が期待できるが、同時に重篤なGVHDを高頻度で引き起こす。また、CD8陽性細胞を除去したり、ただ単にCD4陽性細胞を選別した細胞を使用したDLTでは、GVHDは生じないものの、その効果は非常に低いものである。さらに、DLTでは、ドナーからフェレーシスにより白血球を採取するため、ドナーの肉体的な負担が大きく、フェレーシスを行うために特別の施設を必要とする。特に、ドナーが乳幼児の場合には、大量の白血球を採取することが困難である。そのため、広い適応範囲と高い有効性を有し、同時にGVHDを引き起こさず、ドナーの負担が少なく、特別の設備を必要としない予防治療用製剤の開発が求められている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
請求項1〜4に記載の発明は、重篤なGVHDを引き起こさず、腫瘍の再発及びウイルス感染症治療、自己免疫疾患に高い治療効果を有し、治療の適応範囲が広い又は特定の治療に特に有効な医薬組成物を提供するものである。請求項5に記載の発明は、重篤なGVHDを引き起こさず、腫瘍の再発及びウイルス感染症治療、自己免疫疾患に高い治療効果を有し、治療の適応範囲が広い又は特定の治療に特に有効な予防用剤および治療用リンパ球医薬組成物をより簡易に効率良く調製できる調製用キットを提供するものである。請求項6〜9に記載の発明は、治療の広い適応範囲と高い治療の有効性を有するとともに、重篤なGVHDを引き起こさず、腫瘍の再発及びウイルス感染症、自己免疫疾患に対する予防用剤および治療用製剤を効率良く調製できる製造方法を提供するものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、ドナーの少量の末梢血よりリンパ球細胞を分離し、これを試験管内で増殖させ、この中からアロジェニックな活性化CD4陽性細胞を主成分として含む製剤を調製あるいは、CD4陽性細胞を末梢血より分離後、これを試験管内で増殖させることによりアロジェニックな活性化CD4陽性細胞を主成分として含む製剤を調製し、本製剤が、強い抗腫瘍効果、感染症治療効果、自己免疫疾患治療効果を有し腫瘍の再発及びウイルス感染症治療、自己免疫疾患治療に有効であり、同時に、実際的に問題となるような重篤なGVHDを引き起こさないことを明らかとし、本発明を完成するに至った。
【0013】
(1)本発明は、アロジェニックな活性化CD4陽性細胞を主成分とする予防用および治療用製剤に関する。
(2)本発明は、予防用および治療用製剤が腫瘍再発の予防用および治療用製剤である上記(1)記載の製剤に関する。
(3)本発明は、予防用および治療用製剤が感染症の予防用および治療用製剤である上記(1)記載の製剤に関する。
(4)本発明は、感染症がウイルス感染症である上記(3)記載の製剤に関する。
(5)本発明は、予防用および治療用製剤が自己免疫疾患の予防用および治療用製剤である上記(1)記載の製剤に関する。
【0014】
(6)本発明は、アロジェニックな活性化CD4陽性細胞が、移植臓器又は骨髄提供者由来の活性化CD4陽性細胞である上記(1)〜(5)のいずれかに記載の製剤に関する。
(7)本発明は、活性化CD4陽性細胞を製剤中の総細胞数に対して90%以上含有する上記(1)〜(6)のいずれかに記載の製剤に関する。
(8)本発明は、CD8陽性細胞の混入率が製剤中の総細胞数に対して10%以下である上記(1)〜(6)のいずれかに記載の製剤に関する。
【0015】
(9)本発明は、抗CD4抗体固相化担体を構成成分とする上記(1)〜(8)のいずれかに記載の製剤の調製用キットに関する。
(10)本発明は、インターロイキン2を構成成分とする上記(1)〜(8)のいずれかに記載の製剤の調製用キットに関する。
(11)本発明は、抗CD3抗体を構成成分とする上記(1)〜(8)のいずれかに記載の製剤の調製用キットに関する。
【0016】
(12)本発明は、アロジェニックな末梢血から抗CD4抗体によりCD4陽性細胞を分離することにより調製したCD4陽性細胞、あるいは、アロジェニックな末梢血から抗CD8抗体によりCD8陽性細胞を除去することにより調製したCD4陽性細胞を増殖活性化剤の存在下に増殖活性化させることを特徴とするアロジェニックな活性化CD4陽性細胞を主成分とする予防用および治療用製剤の製造方法に関する。
(13)本発明は、アロジェニックなリンパ球細胞を増殖活性化剤の存在下に増殖させた後、抗CD4抗体により活性化CD4陽性細胞を分離すること、又は、抗CD8抗体によりCD8陽性細胞を除去することを特徴とするアロジェニックな活性化CD4陽性細胞を主成分とする予防用および治療用製剤の製造方法に関する。
【0017】
(14)本発明は、増殖活性化剤が、インターロイキン2である上記(12)又は(13)に記載のアロジェニックな活性化CD4陽性細胞を主成分とする予防用および治療用製剤の製造方法に関する。
(15)本発明は、増殖活性化剤が、抗CD3抗体とインターロイキン2である上記(12)又は(13)に記載のアロジェニックな活性化CD4陽性細胞を主成分とする予防用および治療用製剤の製造方法に関する。
(16)本発明は、アロジェニックな活性化CD4陽性細胞が、移植臓器又は骨髄提供者由来の活性化CD4陽性細胞である上記(12)〜(15)のいずれかに記載のアロジェニックな活性化CD4陽性細胞を主成分とする予防用および治療用製剤の製造方法に関する。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明において、アロジェニックな活性化CD4陽性細胞とは、他人に由来し、増殖活性化剤により活性化された増殖活性を有するCD4陽性細胞をいう。増殖活性化剤としては、抗CD3抗体及び/又はインターロイキン2等が挙げられる。
アロジェニックな活性化CD4陽性細胞は、他人に由来すれば良いが、GVHDの危険性が少なく腫瘍の再発及びウイルス感染症、自己免疫疾患に対する予防および治療の観点から、臓器又は骨髄移植等を受けた患者の場合は、移植臓器又は骨髄等の提供者由来の活性化CD4陽性細胞であることが好ましい。
【0019】
本発明において、活性化CD4陽性細胞を主成分として含む製剤は、CD8陽性細胞等によるGVHDの危険性をなくす観点から、総細胞数に対して活性化CD4陽性細胞を90%以上含有することが好ましく、活性化CD4陽性細胞が95%以上含まれることがより好ましい。活性化CD4陽性細胞を主成分として含む製剤は、活性化CD4陽性細胞の割合だけでなく、CD8陽性細胞の混入の割合が低いものほど好ましい。CD8陽性細胞の混入率が、総細胞数に対して、10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましく、1%以下であることがさらに好ましい。
【0020】
本発明でいう製剤とは、アロジェニックな活性化CD4細胞を主成分として含んでいればどのような形態でも良い。
例えば、適当な溶液にアロジェニックな活性化CD4細胞を懸濁させた形態のものが使用できる。形態としては、注射剤、点滴剤等の液体が好ましく、特に、ヒト血清アルブミンが、0.01〜5%となるように添加した輸液用生理食塩液等にアロジェニックな活性化CD4細胞を懸濁した注射剤又は点滴剤がより好ましいが、これら形態の製剤に限定されるものではない。
本発明に使用できるアロジェニックな活性化CD4細胞あるいはそれを含む製剤を冷凍保存し、必要に応じて各種疾患の予防あるいは治療に使用することができる。
【0021】
投与方法としては、静脈への点滴又は静脈、動脈、局所等への注射が好ましい。投与する液量は、投与方法、投与する場所等に異なるが、50〜500mlとするのが好ましく、この液量に前記の量の細胞が含まれるようにするのが好ましい。投与頻度は1回/日〜1回/月とするのが好ましく、投与回数は少なくとも1回以上である。
CD4陽性細胞を主成分とする製剤の投与量は、患者の状態や治療対象等により、適宜選択できるが、通常、体重1Kgあたり1×102個から1×109個である。製剤の効力の観点から、より好ましくは、1×104個から1×108個であり、さらに好ましくは、1×105個から1×108個である。
【0022】
本発明の製剤に含まれるアロジェニックな活性化CD4陽性細胞は、種々の遺伝子を導入したり、本来持っているような遺伝子を欠落あるいは変異させたものであってもよい。
また、本発明の製剤は、ヒト免疫不全ウイルス感染に必要なコファクターを欠如した活性化CD4陽性細胞使用により、ヒト免疫不全ウイルスの予防あるいは治療、さらには、ヒト免疫不全ウイルスにより引き起こされる免疫不全状態での各種感染症の予防あるいは治療に使用できる。
本発明の製剤は、HLAが一致している場合だけでなく、HLAの一致していない患者にも使用できる。
【0023】
本発明の製剤の適用対象としては、骨髄移植等の移植患者、感染症を伴う患者、癌患者、免疫不全症患者、自己免疫性疾患、アレルギー患者等が挙げられる。
感染症としては、ウイルス感染症、細菌感染症、真菌感染症、原虫感染症、クラミジア感染症、マイコプラズマ感染症等が挙げられる。ウイルス感染症としては、サイトメガロウイルス、エプスタイン・バー・ウイルス感染症が挙げられるが本ウイルス感染症のみに限定されるものでなく、各種ウイルス感染症、例えばヘルペスシンプレックスウイルス、バリセロゾスターウイルス等のヘルペス属ウイルスあるいは、ヒト白血病ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス等の各種レトロウイルスによる感染症の予防及び治療用に使用できる。細菌感染症としては、緑膿菌、メチシリン耐性黄色ブドウ状球菌等を原因とするものに使用することができるが、人に病原性を示す細菌による感染症であればいずれの感染症に対しても使用できる。特に原因となる病原体が未知の場合や同定が困難な病原体による感染症あるいはそれに付随するような疾患の治療や予防に本発明は使用できる。
【0024】
癌患者としては、白血病等が挙げられるが、これに限定されるものではなく、各種固形腫瘍に対しての治療に使用できる。本発明の製剤は、腫瘍の再発を予防するだけでなく、腫瘍の治療用にも使用できる。
免疫不全症としては、先天性の免疫不全症と後天的な免疫不全症等が挙げられる。先天性の免疫不全症としては、重症複合免疫不全症、Wiscott Aldrich症候群、アデノシン・デアミネース欠損症、プリンヌクレオチド・ホスホリラーゼ欠損症等が挙げられるが、前記免疫不全症のみに限定されるものでない。後天的な免疫不全症としては、抗がん剤、免疫抑制剤、ステロイド剤等の使用による続発性免疫不全や、ヒト免疫不全ウイルスの感染によるエイズ等が挙げられるが、前記免疫不全症のみに限定されるものでない。本発明の製剤は、免疫能が低下した患者だけでなく、特定のウイルス等に対しての免疫能が欠如あるいは低下した患者に対しても予防的あるいは治療的に使用することができる。
【0025】
自己免疫性疾患としては、全身性エリテマトーデス、慢性関節リウマチ、シューグレン症候群、重症筋無力症、悪性貧血、橋本病等が挙げられるが、前記自己免疫性疾患のみに限定されるものでない。
アレルギー性疾患としては、気管支喘息、スギ花粉症、じんま疹等が挙げられるが、前記アレルギー性疾患のみに限定されるものでない。本発明の製剤は、各種アレルギーの治療あるいは症状の軽減を目的として使用することができる。
【0026】
以下、本発明のアロジェニックな活性化CD4陽性細胞を主成分とする予防用および治療用製剤の製造方法について説明する。
本発明のアロジェニックな活性化CD4陽性細胞は、ドナーの少量の末梢血よりリンパ球細胞を分離し、これを試験管内で増殖させ、この中からアロジェニックな活性化CD4陽性細胞を主成分として含む製剤を調製するか、または、ドナーの少量の末梢血よりリンパ球細胞を分離し、CD4陽性細胞を分離後、これを試験管内で増殖させることによりアロジェニックな活性化CD4陽性細胞を主成分として含む製剤を調製し製造する。
【0027】
ドナーからのアロジェニックな末梢血の採取は、採血やフェレーシス等どのような方法によっても行うことができるが、簡便性やドナーの肉体的負担を考えた場合、末梢血から調製することが好ましい。
採血方法としては、静脈からの採血が好ましく、血液の凝固が起こらないように、採血した血液にヘパリンやクエン酸を加えることができる。一回に採血する量としては、0.01mlから100ml程度であり、特に、その量に限定されない。しかしながら、ドナーの負担、採血の手間、リンパ球細胞の分離操作を考えた場合、5mlから50ml程度が好ましく、10mlから20mlの採血量がより好ましい。
【0028】
上記採取した血液からリンパ球細胞の分離は、ショ糖や市販のリンパ球分離剤等を用いる不連続密度勾配遠心法などの周知のリンパ球細胞の分離法によって操作し取得できる。
本発明におけるリンパ球細胞又はCD4陽性細胞の増殖は、周知のリンパ球細胞の培養法によって実施できる。その培養法は、特に、限定されるものではないが、例えば、特開平3−80076号公報に記載のように実施できる。
増殖の効率の観点から、増殖活性化剤として、インターロイキン2の存在下に培養することにより行うことが好ましく、インターロイキン2及び抗CD3抗体の存在下に培養することがより好ましい。例えば、インターロイキン2を含む培養用培地液にリンパ球細胞を浮遊させ、抗CD3抗体を固相化した培養容器に入れ培養を開始することができる。さらに、必要により各種マイトージェンを使用してCD4陽性細胞の増殖・活性化を行うこともできる。
【0029】
抗CD3抗体としては、リンパ球細胞の増殖・活性化を促進できる抗体であれば、特に、限定されるものではない。リンパ球細胞の刺激に用いる抗CD3抗体は、精製したCD3分子を用いて動物又は細胞に産生させることもできるが、安定性、コスト等に優れた市販のOKT−3抗体(製造元:オーソファーマスーティカル)が使用できる。
抗CD3抗体は、リンパ球細胞の増殖の効率、操作の容易性の観点から、固相化して用いることが好ましい。抗体を固相化する器具としては、ガラス、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリスチレン等の材質の培養容器が挙げられる。入手が容易であることから、市販のプラスチック製の滅菌済み細胞培養フラスコ等を使用することもでき、その大きさは適宜選択できる。
【0030】
固相化は、前記抗CD3抗体の希釈液を固相化する器具に添加し、例えば、4〜37℃で2〜24時間、静置することによって行うことができる。この抗CD3抗体の固相化には、抗CD3抗体を滅菌したダルベッコりん酸緩衝液等の生理的な緩衝液中に1〜30μg/mlの濃度に希釈して用いることが好ましい。
固相化後、使用時までコールドルームや冷蔵庫(4℃)で保存することができる。使用時に、液を除去して、必要あれば、常温のダルベッコりん酸緩衝液等の生理的な緩衝液で洗浄できる。
【0031】
また、本発明では培養用培地液中にインターロイキン2を用いることが、増殖の効率の観点から好ましい。インターロイキン2は、培養用培地液1〜2000U/mlの濃度となるように用いるのが好ましい。インターロイキン2は、市販されているものを用いることができる。インターロイキン2は、水、生理食塩液、ダルベッコりん酸緩衝液、RPMI−1640、DMEM、IMDM、AIM−V等の一般に広く用いられる細胞培養用培地液等に溶解して使用することができる。一度溶解したものは、活性の低下を防ぐため、冷蔵保存することが好ましい。
【0032】
培養用培地液としては、リンパ球細胞の培養に適したものであれば特に制限されず、血清等の生物由来の培養液、平衡塩類溶液にアミノ酸、ビタミン、核酸塩基などを加えた合成培地などが使用でき、RPMI−1640、AIM−V、DMEM、IMDM等が好ましいものとして挙げられ、RPMI−1640が特に好ましいものとして挙げられる。培養用培地は、正常ヒト血清を添加したものが増殖効果に優れ好ましい。これらの培地は市販品を用いることができる。
培養は、一般的な細胞培養の方法に従うことができる。例えば、CO2インキュベータ内で行うことができる。CO2濃度は1〜10%、特に5%が好ましく 、温度は、30〜40℃、特に37℃が好ましい。
【0033】
この培養は、日数に特に制限はないが、抗CD3抗体の刺激情報が細胞に伝達されることが前提となるため、2〜20日行うことが好ましく、3〜7日行うことが好ましい。この培養の期間内には、顕微鏡下で細胞の状態を観察し、適宜細胞数を計測しながら、培養液を適宜添加するのが好ましい。この培養では、通常、培養開始1〜2日目には目立った細胞の増殖はないが、3日目頃から細胞増殖が観察され、順調に増殖し出すと培養液がオレンジ色から黄色に変化するようになる。培養液の添加量は、添加前の培養中の液の液量に対して0.1〜5倍程度が好ましい。その添加割合は、培養液の劣化及びインターロイキン2活性の低下を防ぐために、1〜7日に1回行うことが好ましい。
【0034】
抗CD3抗体存在下の培養後、さらに抗CD3抗体の刺激無しに培養を継続することもできる。すなわち、抗CD3抗体を固相化していない器具、例えば培養用フラスコ、ローラーボトル、培養用ガスパーミアブルバッグ等で投与まで培養を継続する事ができる。これら条件でのリンパ球細胞の培養は、抗CD3抗体の刺激がないこと以外は、存在下の培養の条件と同じであることが好ましく、ヒト血清の濃度、無血清培地を適時使用することが、作業性、コスト性、安全性等においてより好ましい。
【0035】
本発明の製剤として使用するためには、主成分としてCD4陽性細胞を分離し、GVHDを引き起こすであろうと予想されるCD8陽性細胞やCD56陽性細胞等を除去し高い純度とすることが必要である。
本発明のCD4陽性細胞の分離は、増殖・活性化する前であっても、増殖・活性化後のいずれの場合でも実施できる。
CD4陽性細胞の分離方法は、CD4陽性細胞自体を積極的に分離する方法であっても、CD8陽性細胞やCD56陽性細胞を除去するいずれの方法でも実施することができる。あるいは、これらの方法を適宜組み合わせてCD4陽性細胞の分離を行うこともできる。
【0036】
CD4陽性細胞、CD8陽性細胞、CD56陽性細胞の分離には、CD4陽性細胞を分離する方法であれば限定されないが、例えば、磁気ビーズ表面に、抗CD4抗体あるいは抗CD8抗体、抗CD56抗体を固定化(結合)したものを使用することができる。
例えば、CD4陽性細胞自体を積極的に分離する場合、磁気ビーズ表面に、抗CD4抗体を固定化(結合)したもので実施できる。磁気ビーズは、磁気ビーズ標識抗CD4抗体(輸入販売元:ベリタス株式会社:DB11116)等の市販品を用いることもできる。
【0037】
CD4陽性細胞の分離操作法は、周知の一般的な分離方法に従うことができる。分離効率等の観点から、使用する磁気ビーズ標識抗CD4抗体の磁気ビーズ数は分離するCD4陽性細胞数に対して、好ましくは、0.1〜100倍、より好ましくは、0.1〜10倍、さらに好ましくは、0.5〜5倍である。分離するCD4陽性細胞と磁気ビーズ標識抗CD4抗体との反応温度は、反応の効率や細胞に与える傷害の観点から、好ましくは、4〜40℃の範囲で行うことも好ましい。反応容量は、分離操作、無菌操作の観点から、好ましくは、0.5〜1000ml、より好ましくは0.5〜100ml、さらに好ましくは、1〜10mlの範囲である。なお、CD4陽性細胞を分離する際に使用する分離用磁石は、制限されないが、例えば、マグネットMPC−1(輸入販売元:ベリタス株式会社:DB12001)等の市販品を用いることもできる。培養は磁石板上で培養することが好ましい。
【0038】
一方、CD8陽性細胞やCD56陽性細胞を除去することができる分離方法としては、磁気ビーズ表面に、抗CD8抗体を固定化(結合)したもの、抗CD56抗体を固定化(結合)したもので実施できる。
使用する磁気ビーズ標識抗CD8抗体又は磁気ビーズ標識抗CD56抗体の磁気ビーズ数は、分離効率等の観点から、分離するCD8又はCD56陽性細胞数に対して、好ましくは、1〜1000倍、より好ましくは1〜200倍、より好ましくは、1〜50倍である。
分離するCD8陽性細胞又はCD56陽性細胞と磁気ビーズ標識抗CD8抗体又は磁気ビーズ標識抗CD56抗体との反応温度は、反応の効率や細胞に与える傷害の観点から、好ましくは、4〜40℃である。
反応容量は、分離操作、無菌操作の観点から、好ましくは、0.5〜1000ml、より好ましくは0.5〜100ml、さらに好ましくは、0.5〜100ml、特に1〜10mlが好ましい。また、CD4陽性細胞を分離する際と同様に使用する分離用磁石は、制限されないが、例えば、マグネットMPC−1(輸入販売元:ベリタス株式会社:DB12001)等の市販品を用いることもできる。
【0039】
なお、CD4陽性細胞の純度を上げる観点から、上記の方法を適宜組み合わせてCD4陽性細胞の分離を行うことが好ましい。例えば、最初にCD8及びCD56陽性細胞を除去し、更に、CD4陽性細胞を積極的に分離することがより好ましい。
上記以外にも、上記抗体を使用したパニング法、ロゼット法、カラム法等によりCD4陽性細胞の分離をすることができる。CD4陽性細胞を分離する方法であれば方法に限定されず、どのような方法でも使用できる。
【0040】
本発明のアロジェニックな活性化CD4陽性細胞は、前記のように、抗CD4抗体固相化担体、抗CD8抗体固相化担体、抗CD56抗体固相化担体、インターロイキン2、抗CD3抗体を適宜組み合わせて調製できる。
本発明において、構成成分を単独の試薬として、あるいは、少なくとも2個以上の構成成分を複数の試薬として組合わせたキットとして作成し、これを使用することにより、より容易に本発明の製剤の調製を行うことができる。
例えば、抗CD4抗体固相化担体、抗CD8抗体固相化担体、抗CD56抗体、インターロイキン2、抗CD3抗体を構成成分として、これら構成成分からなる単独の試薬として、あるいは、これら構成成分からなる単独の試薬を少なくとも2個以上の複数の試薬として組合わせたキットとして作成し、これを使用することにより、より容易に本発明の製剤の調製を行うことができる。
【0041】
【実施例】
以下、実施例により本発明を説明する。
(実施例1)
1.骨髄提供者(以下、ドナーと略す)からの採血
白血病患者にHLAの一致した骨髄移植を実施後、35日後よりIII度の重症GVHDが認められたことより、mPSLpulse療法として、m−PSL (ソルメドロール社製)20mg/kg 2days、10mg/kg 2days、5mg/kg 2days、7日目より免疫抑制剤(CyclosporinA(サンディミュン社製)を3mg/kg投与し、軽快したが移植後免疫不全状態となった。75日目にはサイトメガロウイルスによる間質性肺炎、腸炎、Virus asociated hemophagocytic syndrome(以下 、VHASと略す)を発症し、112日目には水痘による肺炎、VHASを発症した。またサイトメガロウイルスのウイルス血症を繰り返し、135日目には再び肺炎とVAHSを発症した。このため移植後免疫不全とサイトメガロウイルス感染症の治療に対してアロジェニックな活性化CD4陽性細胞療法を行うことを決定し、骨髄移植と同一ドナーより、静脈から末梢血30mlをヘパリン加採血した。
【0042】
2.末梢血単核球の分離
クリーンベンチ(昭和科学株式会社製:S−1100)内で無菌的に(以下、無菌的に、と略す)、採血した注射筒の注射針を、接合部近くを触らないようにはずし19G×11/2”注射針(発売元:株式会社ニプロ)につけ替えた。
50ml遠沈管(岩城硝子株式会社製:2341−050)2本に、洗浄用培地(RPMI1640+6)(株式会社日研生物医学研究所製:GM1106(500ml))を15mlずつ注ぎ込み、その遠沈管に、採血した血液全てを2本等量になるようにゆっくりと注いだ。
遠沈管の蓋を完全に閉めた後、2〜3回転倒混和した。10mlピペット(輸入発売元:コーニングコースタージャパン:4105)でリンホセパールI(株式会社免疫生物研究所製:23010(100ml))を15ml遠沈管(岩城硝子株式会社製:2327−015)6本に3mlづつ入れ、次に、培地で希釈した血液10mlをそれぞれの遠沈管に、液面を乱さないようにゆっくり重層した。
回転数1,800rpm、遠心分離温度20℃、ブレーキをOFFの状態で15分間遠心した(遠心機は株式会社コクサン製(H−700R)を使用)。
【0043】
遠心後、無菌的に、遠沈管のリンパ球層の約1cm上までリンパ球細胞を吸い取らないように吸引機でゆっくり吸い取った。5mlピペットマンで血餅の層を吸い取らないようにリンパ球細胞の層をとり、あらかじめ、洗浄用培地(RPMI1640+6)を25ml入れておいた50ml遠沈管に回収した。遠沈管の蓋を閉め2〜3回転倒混和した後、回転数1,800rpm、遠心分離温度20℃の状態で10分間遠心した。
遠心後、上清を捨て、細胞沈さをボルテックスにかけて、良くほぐした。洗浄用培地を50ml入れ良く転倒混和した後、細胞数測定用に10μl、CD4、CD8含有率測定用に1.5mlマイクロチューブ(輸入発売元:アシスト株式会社;72.690)2本に500μlずつサンプリングした。
【0044】
3.チュルク液による細胞数の測定
上記2.において、細胞数測定用にサンプリングした細胞懸濁液10μlを40μlのチュルク液(武藤化学薬品社製)と混合し、血球計算版(エルマー社製:9731)に10μlアプライし、顕微鏡(オリンパス光学工業株式会社製:211320)下で細胞数を測定した。その結果、総細胞数は8.5×107個だった。
【0045】
4.CD4陽性細胞の解析
上記2.において調製した2本の細胞懸濁液を6,000rpm、4℃で5分間遠心し、細胞を沈殿させた(遠心機は株式会社佐久間製作所製:M−150を使用した)。
上清をきれいに吸い取った後、ダルベッコりん酸緩衝液(発売元:株式会社ニプロ:1000ml、以下PBS(−)と略す)8μlとCD4/CD8抗体(輸入販売元:日本ベクトン・ディッキンソン株式会社:340039)8μlをそれぞれのチューブに入れ良く攪拌した後、4℃で30分間反応させた。
反応後、シース液(コールター株式会社製:アイソトンII)800μlをそれぞれのチューブにいれボルテックスで攪拌した後、6,000rpm、4℃で5分間遠心し、細胞を沈殿させた。上清をきれいに吸い取った後、シース液を800μl加え、ピペッティングし、細胞をほぐした後、FACS測定用チューブ(輸入販売元:日本ベクトン・ディッキンソン株式会社:2052)に入れた。
FACSはFACScan(輸入販売元:日本ベクトン・ディッキンソン株式会社)を使用した。FACSの測定はマニュアルに従って行った。
その結果、CD4及びCD8陽性細胞の占める比率はいずれも28%あった。
総細胞数とFACS解析でのCD4及びCD8陽性細胞の占める比率からCD4及びCD8陽性細胞はいずれも2.4×107個あった。
【0046】
5.OKT3固相化フラスコ(中)及び(大)の調製
PBS(−)で5μg/mlに調製しておいたOKT3(輸入発売元:ヤンセン協和株式会社、製造元:オーソファーマスーティカル:OKT3注)溶液を、培養用フラスコ(中)(住友ベークライト株式会社製:MS−2125R)に5ml、培養用フラスコ(大)(住友ベークライト株式会社製:MS−2080R)に10ml入れ、底面に溶液を均一に浸した。使用直前までコールドルームで保存した。
【0047】
6.磁気ビーズ標識抗CD8抗体によるCD4陽性細胞の調製と培養
上記2.において調製した細胞懸濁液50ml中20ml(総細胞数3.4×107個、CD4及びCD8陽性細胞数がそれぞれ9.5×106個)を50mlチューブに移し、回転数1,000rpm、遠心分離温度20℃で10分間遠心した。
遠心後、上清を捨て、細胞沈さをボルテックスをかけて、良くほぐした。
CD8陽性細胞数の4倍量のビーズ数を含む磁気ビーズ標識抗CD8抗体(輸入販売元:ベリタス株式会社:DB11108)300μlを15mlチューブ (輸入発売元:アシスト株式会社:No.62.553.002S)にいれ、マグネットMPC−1(輸入販売元:ベリタス株式会社:DB12001)に装着し、1分間反応させた。ビーズを吸わないように溶液をとり、マグネットからチューブをはずした。
チューブにPBS(−)溶液を1ml入れ良く攪拌した後、マグネットに装着した。1分間反応後、ビーズを吸いとらないように溶液をとり、マグネットからチューブをはずした。
もう一度、PBS(−)溶液を1ml入れ良く攪拌した後、マグネットに装着した。1分間反応後、ビーズを吸いとらないように溶液をとり、マグネットからチューブをはずした。
【0048】
遠心して回収した細胞懸濁液に、反応用培地(洗浄用培地45mlとヒト血清5mlを混合して作製)5mlを入れ、軽く懸濁した後、磁気ビーズ標識抗CD8抗体の入っているチューブに、細胞を移し、マイルドミキサー(タイテック株式会社製:PR−12)で軽く振とうしながら30分間コールドルームで反応させた。反応後、チューブをマグネットに装着し、1分間反応させた。ビーズを吸いとらないように溶液をとり、新しい15mlチューブに移した。再度、マグネットに装着し、1分間反応後、ビーズをとらないように溶液をとり、新しいチューブに回収し、回転数1,000rpm、遠心分離温度20℃で10分間遠心した。遠心後、上清を捨て、細胞沈さをボルテックスをかけて、良くほぐした。
【0049】
培養用培地20ml(培地(RPMI1640+7)(株式会社免疫生物研究所製)44ml、35,000U/ml IL−2(シータス社製)1ml、ヒト血清5mlを混合し培養用培地とした。以下、培養用培地と略す)を回収したCD4陽性細胞に加え軽く懸濁した。
上記5.と同様にして作製したOKT3固相化フラスコ(中)のOKT3溶液を吸引機で吸い取った。PBS(−)10mlをフラスコに注ぎ込みフラスコの蓋を閉め激しく振った後、蓋を開け、液を捨てた。
再度、クリーンベンチ内でPBS(−)10mlをフラスコに注ぎ込みフラスコの蓋を閉め激しく振った後蓋を開け、液を捨てた。フラスコ内と蓋に残っている液を吸引機で丁寧に吸い取った。
そのフラスコに細胞懸濁液を移し、細胞数測定用に10μl、CD4、CD8陽性細胞含有率測定用に1000μl(1.5mlチューブ2本に500μlずつとる)サンプリングし、37℃ CO2インキュベーター(三洋電機株式会社製:ステリカルトインキュベータMIP−3033、湿度95%)で培養を開始した(培養0日目)。上記4.と同様にしてCD4陽性細胞の解析を行った。
その結果、CD4陽性細胞は46%、CD8陽性細胞は5%あった。
【0050】
7.トリパンブルー溶液による細胞数の測定
上記6.において、細胞数測定用にサンプリングした細胞懸濁液10μlを20μlのトリパンブルー溶液(輸入販売元:シグマアルドリッチジャパン株式会社:T−8154)と混合し、血球計算版(エルマー社製9731)に10μlアプライし、顕微鏡(オリンパス光学工業株式会社製:211320)下で細胞数を測定した。
その結果、総細胞数は2.6×107個だった。
【0051】
8.CD4陽性細胞の拡大培養
上記6.において培養していた細胞液に、培養3日目、4日目に培養用培地を25mlずつ加えた。
培養5日目に培養量をさらに拡大するためOKT3固相化フラスコを大きいサイズにした。すなわち、上記5.と同様にして作製したOKT3固相化フラスコ(大)のOKT3溶液を吸引機で吸い取り、PBS(−)50mlをフラスコに注ぎ込みフラスコの蓋を閉め激しく振った後、蓋を開け、液を捨てた。
再度、無菌的にPBS(−)50mlをフラスコに注ぎ込みフラスコの蓋を閉め激しく振った後、蓋を開け、液を捨てた。フラスコ内と蓋に残っている液を吸引機で丁寧に吸い取った。
そのフラスコに今まで培養していたフラスコを軽く数回たたき、底面に付着していた細胞をはがした後、細胞懸濁液を移した。
さらに新しい培養用培地50mlを今まで培養していたフラスコに入れ、残った細胞を懸濁し、新しいフラスコに移した。新しいフラスコを37℃ CO2インキュベーターに入れ、培養を継続した。
【0052】
9.CD4陽性細胞の凍結保存
上記8.において培養していた細胞液に、 培養6日目に一度、細胞の一部を凍結保存した。保存方法は、最初、フラスコを軽く数回たたき、底面に付着していた細胞をはがした後、フラスコ内の培養液500μlを取り出し、トリプトソイ(TSA)寒天培地(株式会社免疫生物研究所製:P94501)にまき、37℃ CO2インキュベーター(東京理化器械株式会社製:SLI−450)内に入れ無菌試験をした。
フラスコ内の培養液10μlを取り出し、上記3.と同様に細胞数を数えた。
【0053】
次に50mlチューブ2本に、培養していた細胞を40mlづつ移し、1,000rpm、20℃で5分間遠心した。上清を捨て細胞沈さをボルテックスにかけた後 、細胞懸濁液と細胞保存液(ヒト血清5ml、ジメチルスルホキシド(ナカライテスク株式会社製、以下、DMSOと略す)5mlと培地(RPMI1640+7)40mlを混合し作製した。)をそれぞれ5分間氷中で冷やした後、4.5mlの細胞保存液で細胞懸濁液を1本にまとめ軽くピペッティングし、細胞を均一にした後、細胞保存用チューブ(輸入発売元:コーニングコースタージャパン:430289(2.0ml))3本に等量づつ入れた。
さらにチューブをバイセル(日本フリーザー社製)に入れ、−80℃で数日保存し、その後、液体窒素タンク(Minnesota Valley Engineering社製:XC47/11)中で保存した。
培養時の細胞濃度は1.9×106個/ml、保存細胞数はチューブ1本あたり5.1×107個だった。
【0054】
10.保存CD4陽性細胞の取出しと復活化
上記9.において凍結保存しておいたCD4陽性細胞を1本取り出し、37℃のヒートブロック(タイテック株式会社製:TAL−1G)で4分間温めた。
無菌的に、15ml遠沈管に洗浄用培地(RPMI1640+6)を10ml注ぎ込み、そこにトランスファーピペット(輸入発売元:株式会社アシスト:86.1172.001)で保存リンパ球細胞を培地に入れ懸濁した。
1,000rpm、20℃、5分間遠心後、上清を捨て軽くタッピングしたあと 、培養用培地50mlに懸濁し、クローニングプレート(グライナー社製:704160)に細胞懸濁液を移した。
細胞を顕微鏡で観察後、培養用37℃ CO2インキュベーターに入れ培養を再び開始した(培養0日目)。
培養2日目に細胞がプレートいっぱいに増殖していることを顕微鏡で確認後、クローニングプレートの細胞をフラスコ(225cm2)(225cm2CELL CULTURE FLASK 輸入発売元:コーニングコースタージャパン:3000)に移した。さらに新しい培養用培地50mlをクローニングプレートに入れ、共洗いした後、フラスコに移し、培養用37℃ CO2インキュベータに入れ培養を続けた。
【0055】
培養4日目、上記5.と同様にして作製したOKT3固相化フラスコ(大)のOKT3溶液を吸引機で吸い取り、PBS(−)50mlをフラスコに注ぎ込みフラスコの蓋を閉め激しく振った後、蓋を開け、液を捨てた。再度、無菌的にPBS(−)50mlをフラスコに注ぎ込みフラスコの蓋を閉め激しく振った後、蓋を開け、液をデカントで捨てた。フラスコ内と蓋に残っている液を吸引機で丁寧に吸い取った。
そのフラスコに今まで培養していたフラスコを軽く数回たたき、底面に付着していた細胞をはがした後、細胞懸濁液を移した。さらに新しい培養用培地150mlを今まで培養していたフラスコに入れ、残った細胞を懸濁し、新しいフラスコに移した。
新しいフラスコを37℃ CO2インキュベーターに入れ、培養を継続した。
【0056】
11.培養用バッグによるCD4陽性細胞の培養
上記10.において培養していたフラスコを、培養6日目、軽く数回たたき、底面に付着していた細胞をはがした後、フラスコ内の培養液1mlを取り出し、サブローデキストロース(クロラムフェニコール添加)寒天培地(株式会社免疫生物研究所製:P93101)と羊血液寒天培地(株式会社免疫生物研究所製:P96201)に等量づつまき、37℃ インキュベーター内に入れ無菌試験をした。
【0057】
フラスコ内の培養液10μlを取り出し、上記7.と同様にして細胞数を数えた。バッグ培養用調製済みAIM−V培地(輸入総発売元:ライフテックオリエンタル株式会社:087−0112BK(10リットル)にIL−2、ヒト血清およびオキザロ酢酸を終濃度がそれぞれ200U/ml、1%および1mMとなるように加えた)と、CP−2(LL−7.1)培地(株式会社免疫生物研究所製:CP3204(1リットル))が等量入った750ml培地入りカルチャーバッグA−1000(発売元:株式会社ニプロ:細胞培養用バッグ)を37℃に温めた。
そのバッグと50mlシリンジ(発売元:株式会社ニプロ:08−912−01)を無菌的に接続し、シリンジからフラスコの培養液をすべて注ぎ込んだ。
鉗子でチューブをはさみ、チューブの先を2ヵ所チューブシーラー(SEBRA社製)でシールし、バッグを培養用37℃ CO2インキュベーター(株式会社ヒラサワ製:CPD−300A)に入れ培養を継続した。
【0058】
12.CD4細胞の無菌試験及びエンドトキシンアッセイ
上記11.において培養していたバッグを、培養7日目(投与前日)に培養バッグのサンプリングポートから24G×1”注射針(発売元:株式会社ニプロ)をつけた1mlシリンジ(発売元:株式会社ニプロ:08−010−4)で培養液を約1ml無菌的にサンプリングした。
最初のその液は捨て、同じシリンジでもう一度約1mlサンプリングし、羊血液寒天培地に約200μlまき、残りを乾熱滅菌スピッツ管(生化学工業株式会社製:800800)に入れた。サンプリングの終わったバッグのサンプリングポートをアルコール綿をはさんだ鉗子でよく拭き蓋をした後、培養用37℃ CO2インキュベーターに入れ培養を続けた。
寒天プレートは、37℃ インキュベーターに入れ無菌試験し、乾熱滅菌スピッツ管は1,500rpm、20℃で5分間遠心した。
【0059】
調製済み主剤溶液(エンドトキシン用キット(トキシカラーシステムLS−200セット生化学工業株式会社製:010135)およびエンドトキシン用キット(トキシカラーシステムET−1セット 生化学工業株式会社製:010035)を使用)を乾熱滅菌試験管(生化学工業株式会社製:800801)3本に乾熱滅菌ディスポーザブルマイクロピペット(生化学工業株式会社製:800806)を使って100μlづつ入れた。
ブランク用試験管に注射用蒸留水(発売元:大塚製薬株式会社)を100μl、陽性コントロール用試験管にスタンダード液を100μl、乾熱滅菌ディスポーザブルマイクロピペットを使って入れた。
検体用試験管に注射用蒸留水を80μl、遠心の済んだ培養上清を20μl、乾熱滅菌ディスポーザブルマイクロピペットを使って入れた。3本の試験管を37℃ウオーターバス(株式会社井内盛栄堂製:RACOM−ACE HT−80)で30分間反応させた。
【0060】
30分後、それぞれの試験管に400μlづつ0.8M酢酸溶液(和光純薬工業株式会社製:特級)を入れ、試験管をボルテックスで攪拌後、96ウエルプレート(住友ベークライト社製:MS−8096F)に400μlづつ反応溶液を移し、吸光度405nm(リファレンス630nm)の値をプレートリーダー(東洋測器社製: ETY−96)で測定した。検体の吸光度の値を5倍した値が陽性コントロールの値を超えていないことを確認した。
【0061】
13.回収前の投与用CD4陽性細胞のFACSによる解析
CD4陽性細胞を回収する前に、バッグ培養した培養液の一部をサンプリングし、上記7.と同様にして細胞数を、上記4.と同様にしてCD8陽性細胞含有率を測定した。
その結果、総細胞数3.0×109個、CD8陽性細胞が6%含まれていた。
総細胞数とFACS解析CD8陽性細胞の占める比率からCD8細胞は1.8×108個あった。そこで、細胞を回収投与する前に、磁気ビーズ標識抗CD8抗体でCD8陽性細胞をさらに取り除くことにした。
【0062】
14.磁気ビーズ標識抗CD8抗体によるCD4陽性細胞の調製および回収
バッグ培養した培養液を無菌的に250ml遠沈管(輸入発売元:コーニングコースタージャパン:25350−250)2本に入れ、1,500rpm、20℃で8分間遠心した。
遠心後、上清を捨て、ボルテックスで細胞沈さをほぐし、残りの培養液を遠沈管に入れ再び、1,500rpm、20℃で8分間遠心した。
遠心後、上清を捨て、ボルテックスで細胞沈さをほぐし、細胞洗浄液(生理食塩水入りバッグ(発売元:大塚製薬株式会社:10−17−S(1000ml))に19G注射針と5mlシリンジ(テルモ社株式会社製:SS−05S)を用いて20%ヒト血清アルブミン溶液(日本製薬株式会社製(20ml))4.5mlを入れよく混ぜ、これを細胞洗浄液とした。以下、細胞洗浄液と略す。)をそれぞれの遠沈管に250mlづつ入れ1,800rpm、20℃で8分間遠心した。
遠心後、上清を捨て、ボルテックスで細胞沈さをほぐした。細胞洗浄液を50mlづつ遠沈管に入れ、50mlチューブ2本にそれぞれの細胞懸濁液を移した。1,800rpm、20℃で8分間遠心した。遠心後、上清を捨て、ボルテックスで細胞沈さをほぐした。
細胞洗浄液を10mlづつ50mlチューブに入れた。
【0063】
CD8陽性細胞数の4倍量の数を含む磁気ビーズ標識抗CD8抗体5mlを15mlチューブ2本に等量づついれ、マグネットMPC−1に装着し、1分間反応させた。
ビーズを吸わないように溶液をとり、マグネットからチューブをはずした。チューブにPBS(−)溶液を1ml入れ良く攪拌した後、マグネットに装着した。1分間反応後、ビーズを吸いとらないように溶液をとり、マグネットからチューブをはずした。
もう一度、PBS(−)溶液を1ml入れ良く攪拌した後、マグネットに装着した。1分間反応後、ビーズを吸いとらないように溶液をとり、マグネットからチューブをはずした。
【0064】
その2本のチューブに前述の調製しておいた細胞懸濁液を10mlづつ入れ、軽く懸濁した後、マイルドミキサーで軽く振とうしながら30分間コールドルームで反応させた。
反応後、チューブをマグネットに装着し、1分間反応させた。ビーズを吸いとらないように溶液をとり、新しい15mlチューブに移した。
再度、マグネットに装着し、1分間反応後、ビーズをとらないように溶液をとり、新しいチューブに回収し、回転数1,000rpm、遠心分離温度20℃で10分間遠心した。
【0065】
遠心後、上清を捨て、細胞沈さをボルテックスにかけて、良くほぐした。
細胞懸濁液をファイナル液(250ml遠心管に生理食塩液200mlと、20%ヒト血清アルブミン溶液10mlを入れリンパ球細胞投与用液、ファイナル液とした。以下、ファイナル液と略す。)に十分懸濁した後100マイクロのメッシュ(輸入販売元:日本ベクトン・ディッキンソン株式会社:2350)に通した後、細胞懸濁液の液量を測定した。
また、細胞数とCD4含有率を測定するため、細胞懸濁液をサンプリングした。
50mlシリンジを分離バッグT−030(300mlテルモ株式会社製 :BB−T030CJ)と接続し、細胞懸濁液をシリンジから分離バッグに注ぎ込んだ。注ぎ終わったら内筒でシリンジに残った液を押し出し、最後に鉗子でチューブをはさんだ。チューブをチューブシーラーでシールしシリンジをはさみで切り離した。
測定の結果、液量は200ml、総細胞数は8.0×108個だった。
【0066】
15.回収後の投与用CD4陽性細胞のFACSによる解析
上記4.と同様にして、回収後の投与用CD4陽性細胞のFACSによる解析を行った。その結果、CD4陽性細胞は99%であり、CD8陽性細胞は1%であった。
【0067】
16.CD4陽性細胞の患者への投与
上記14.で、調製したCD4陽性細胞は、患者体重あたり3×107個/kgで患者静脈より1時間かけて投与した。
【0068】
(実施例2)
1.保存CD4陽性細胞の取出しと復活化
前記、実施例1の9.において凍結保存しておいたCD4陽性細胞を1本取り出し、前記、実施例1の10.と同様にして保存CD4陽性細胞の取出しと復活化を行った。
【0069】
2.磁気ビーズ標識CD抗8抗体及び磁気ビーズ標識抗CD4抗体によるCD4陽性細胞の調製と培養
上記1.において培養した細胞を培養3日目に、より純度の高いCD4陽性細胞を分け取るため、培養細胞に最初、磁気ビーズ標識抗CD8抗体を反応させ、ネガティブフラクションを回収し、次にそのフラクションと磁気ビーズ標識抗CD4抗体を反応させ、ポジティブフラクションを回収し培養した。
すなわち、培養した培養液の一部をサンプリングし、前記、実施例1の3.と同様にして細胞数を、前記、実施例1の4.と同様にしてCD4及びCD8陽性細胞含有率を測定した。
その結果、細胞濃度は7.8×105個/ml、CD8陽性細胞が5.2%、CD4陽性細胞が86%含まれていた。
そこで25mlの培養液つまり2×107個の細胞を前記、実施例1の6.と同様にして磁気ビーズ数とCD8陽性細胞数の比率が1:1になるように15μlの磁気ビーズ標識抗CD8抗体を使用し、反応用培地を1mlにしてCD4陽性細胞の調製をした。
【0070】
次に、CD4陽性細胞数と等量のビーズ数を含む磁気ビーズ標識抗CD4抗体(輸入販売元:ベリタス株式会社:DB11116)121μlを新しい15mlチューブ(輸入発売元:アシスト株式会社:No.62.553.002S)にいれ、マグネットMPC−1(輸入販売元:ベリタス株式会社:DB12001)に装着し、1分間反応させた。ビーズを吸わないように溶液をとり、マグネットからチューブをはずした。
チューブにPBS(−)溶液を1ml入れ良く攪拌した後、マグネットに装着した。1分間反応後、ビーズを吸いとらないように溶液をとり、マグネットからチューブをはずした。もう一度、PBS(−)溶液を1ml入れ良く攪拌した後、マグネットに装着した。1分間反応後、ビーズを吸いとらないように溶液をとり、マグネットからチューブをはずした。
【0071】
磁気ビーズ標識抗CD8抗体を使用し、CD4陽性細胞の調製をした細胞懸濁液を磁気ビーズ標識抗CD4抗体の入っているチューブに移し、マイルドミキサー(タイテック株式会社製:PR−12)で軽く振とうしながら30分間コールドルームで反応させた。反応後、チューブをマグネットに装着し、1分間反応させた。
ビーズを吸いとらないように溶液をとった。チューブをマグネットからはずし、新しい反応用培地5mlをチューブにいれ軽く攪拌した後、再度、マグネットに装着した。1分間反応後、ビーズをとらないように溶液をとった。チューブをマグネットからはずし、培養用培地10mlを回収したCD4陽性細胞に加え軽く懸濁した。
【0072】
前記、実施例1の5.と同様にして作製したOKT3固相化フラスコ(中)のOKT3溶液を吸引機で吸い取った。PBS(−)10mlをフラスコに注ぎ込みフラスコの蓋を閉め激しく振った後、蓋を開け、液を捨てた。再度、クリーンベンチ内でPBS(−)10mlをフラスコに注ぎ込みフラスコの蓋を閉め激しく振った後蓋を開け、液を捨てた。フラスコ内と蓋に残っている液を吸引機で丁寧に吸い取った。
そのフラスコに細胞懸濁液を移し、37℃ CO2インキュベーター(三洋電機株式会社製:ステリカルトインキュベータMIP−3033、湿度95%)で培養を継続した(培養3日目)。
【0073】
培養5日目、前記、実施例1の5.と同様にして作製したOKT3固相化フラスコ(大)のOKT3溶液を吸引機で吸い取り、PBS(−)50mlをフラスコに注ぎ込みフラスコの蓋を閉め激しく振った後、蓋を開け、液を捨てた。
再度、無菌的にPBS(−)50mlをフラスコに注ぎ込みフラスコの蓋を閉め激しく振った後、蓋を開け、液を捨てた。フラスコ内と蓋に残っている液を吸引機で丁寧に吸い取った。
培養していたフラスコを軽く数回たたき、底面に付着していた細胞をはがした後、細胞懸濁液を15mlチューブに移した。チューブをマグネットに装着し、1分間反応させた。
ビーズを吸いとらないように細胞懸濁液を新しい15mlチューブに回収した。
再度、チューブをマグネットに装着し、1分間反応させた。ビーズを吸いとらないように細胞懸濁液を用意したOKT3固相化フラスコ(大)に移した。
さらに新しい培養用培地40mlを新しいフラスコに移し、37℃ CO2インキュベーターに入れ、培養を継続した。
培養6日目、9日目に培養用培地をそれぞれ50ml、150mlずつ加えた。
培養9日目に培養液をOKT3固相化フラスコからフラスコ(225cm2)(225cm2 CELL CULTURE FLASK 輸入発売元:コーニングコースタージャパン:3000)に移した。
【0074】
3.CD4陽性細胞の無菌試験及びエンドトキシンアッセイ
上記2.において培養していたフラスコを、培養10日目(投与前日)に前記、実施例1の12.と同様にしてCD4陽性細胞の無菌試験及びエンドトキシンアッセイを行ない、菌等の汚染のないことを確認した。
【0075】
4.回収前の投与用CD4陽性細胞のFACSによる解析
CD4陽性細胞を回収する前に、前記、実施例1の13.と同様にして、回収前の投与用CD4陽性細胞のFACSによる解析を行った。
その結果、CD4陽性細胞は99.75%であり、CD8陽性細胞は0.25%だった。
【0076】
5.CD4陽性細胞の回収
上記2.においてフラスコ培養した培養液50mlを無菌的に50ml遠沈管に入れ、1,500rpm、20℃で8分間遠心した。遠心後、上清を捨て、ボルテックスで細胞沈さをほぐし、細胞洗浄液を遠沈管に50ml入れ1,800rpm、20℃で8分間遠心した。遠心後、上清を捨て、ボルテックスで細胞沈さをほぐした。
細胞洗浄液を50mlづつ遠沈管に入れ、50mlチューブ2本にそれぞれの細胞懸濁液を移した。1,800rpm、20℃で8分間遠心した。遠心後、上清を捨て、ボルテックスで細胞沈さをほぐした。細胞洗浄液を10mlづつ50mlチューブに入れた。
【0077】
遠心後、上清を捨て、細胞沈さをボルテックスにかけて、良くほぐした。細胞懸濁液をファイナル液(250ml遠心管に生理食塩液200mlと、20%ヒト血清アルブミン溶液10mlを入れリンパ球細胞投与用液、ファイナル液とした。)に十分懸濁した後100マイクロのメッシュ(輸入販売元:日本ベクトン・ディッキンソン株式会社:2350)に通した後、細胞懸濁液の液量を測定した。また、細胞数とCD4含有率を測定するため、細胞懸濁液をサンプリングした。
50mlシリンジを分離バッグT−030(テルモ株式会社製:BB−T030CJ(300ml))と接続し、細胞懸濁液をシリンジから分離バッグに注ぎ込んだ。注ぎ終わったら内筒でシリンジに残った液を押し出し、最後に鉗子でチューブをはさんだ。チューブをチューブシーラーでシールしシリンジをはさみで切り離した。測定の結果、液量は200ml、総細胞数は8.0×107個だった。
【0078】
6.回収後の投与用CD4陽性細胞のFACSによる解析
前記、実施例1の13.と同様にして、回収後の投与用CD4陽性細胞のFACSによる解析を行った。
その結果、CD4陽性細胞は99.75%であり、CD8陽性細胞は0.25%であった。
【0079】
7.CD4陽性細胞の患者への投与
上記5.で調製したCD4陽性細胞は、患者体重あたり1.0×106個/kgで患者静脈より30分かけて投与した。
【0080】
(実施例3)
1.PHAおよびCon−Aによるリンパ球幼若化反応の測定
PHAおよびCon−Aによるリンパ球球幼若化反応の検査は、株式会社エスアールエルに依頼した。その結果、前記、実施例1の2.のCD4陽性細胞投与前の患者の末梢血リンパ球幼若化反応は、19098cpmであったが、CD4陽性細胞投与後(3週間後)のリンパ球幼若化反応は、38204cpmであった。このことより、CD4陽性細胞投与により患者の免疫能が上昇することが明らかとなった。
【0081】
2.CD4陽性細胞数の測定
末梢血中のCD4陽性細胞の測定は以下のように行った。
全血100μlを5mlのチューブに入れ、CD4/CD8抗体(コールター社製:T4RD1/T8−FITC 6603802)を10μl入れ、よく攪拌した後4℃、30分間反応させた。
反応後、Multi−Q Prep(コールター社製)で溶血、固定し、その後PBS(輸入総発売元:ライフテックオリエンタル株式会社)を加え6,000rpm、5分間遠心し、細胞を洗浄した後シース液を800μl加え、ピペティングし、細胞をほぐした後、FACS測定用チューブ(輸入発売元:日本ベクトン・ディッキンソン株式会社:2052)に入れた。FACSはコールターXLを使用した。
前記、実施例1の2.記載のCD4陽性細胞投与前の末梢血中のCD4陽性細胞数は、20個/μlであったが、CD4陽性細胞投与後(2週間後)のCD4陽性細胞数は110個/μlであった。
このことより、CD4陽性細胞投与により患者の免疫能が上昇することが明らかとなった。
【0082】
3.サイトメガロウイルスの検出
末梢血中のサイトメガロウイルスの検出は、PCRによる検出を株式会社エスアールエルに依頼した。
CD4陽性細胞投与前においてはサイトメガロウイルスが検出されたのに対して、CD4陽性細胞投与2週間後においては、サイトメガロウイルスは、検出されなかった。
このことよりCD4陽性細胞は、免疫抑制下の生体において抗ウイルス活性を有することが明らかとなった。
【0083】
4.副作用および投与後臨床所見
CD4陽性細胞投与による急性の副作用は認めなかった。
CD4陽性細胞の投与から4週間後に発疹が認められた。
皮疹は紅斑となり全身の50%以上に認められたが消化管GVHDおよび肝GVHDは生じず、グレード2に属する非常に軽度なものであった。
骨髄移植後重症なGVHDをおこしたにもかかわらず、アロジェニックな活性化CD4陽性細胞の投与により実質的に問題となるようなGVHDは、引き起こされなかったことが確認できた。
また投与後2週目に行った骨髄穿刺検査にて白血病の再発および髄液検査にて中枢神経再発が確認されたが、抗癌剤の投与なしで5週目には寛解した。
さらに、2ヶ月後においても白血病の再発が認められておらず、アロジェニックな活性化CD4陽性リンパ球細胞は、抗腫瘍活性も有することが明らかとなった。
さらに、Hemophagocytic syndromeが消失したことから、自己免疫疾患に対して有効であることも明らかとなった。
【0084】
【発明の効果】
請求項1〜4に記載の予防用剤および治療用リンパ球医薬組成物は、重篤なGVHDを引き起こさず、高い治療効果を有し、治療の適応範囲が広い又は特定の治療に特に有効である。請求項5に記載の調製用キットは、重篤なGVHDを引き起こさず、高い治療効果を有し、治療の適応範囲が広い又は特定の治療に特に有効な予防用剤および治療用リンパ球医薬組成物をより簡易に効率良く調製できる。請求項6〜9に記載の予防用剤および治療用医薬組成物の製造方法は、治療の広い適応範囲と高い治療の有効性を有するとともに、重篤なGVHDを引き起こさない予防用剤および治療用医薬組成物を効率良く製造できる。
Claims (9)
- アロジェニックな末梢血リンパ球由来の活性化CD4陽性細胞を製剤中の総細胞に対して90%以上含有する感染症、腫瘍再発、自己免疫疾患の予防用および治療用の医薬組成物。
- アロジェニックな末梢血リンパ球が、臓器提供者もしくは骨髄提供者由来の末梢血リンパ球である請求項1に記載の感染症、腫瘍再発、自己免疫疾患の予防用および治療用の医薬組成物。
- 活性化が、固相化抗CD3抗体およびインターロイキン2によって活性化される請求項1または2に記載の感染症、腫瘍再発、自己免疫疾患の予防用および治療用の医薬組成物。
- 予防用および治療用の医薬組成物が、グレード2をこえる重篤なGVHDを引き起こさない製剤である請求項1〜3の何れか1に記載の感染症、腫瘍再発、自己免疫疾患の予防用および治療用の医薬組成物。
- インターロイキン2、抗CD3抗体、および抗CD4抗体固相化担体を構成成分とする請求項1〜3のいずれか1に記載の感染症、腫瘍再発、自己免疫疾患の予防用および治療用の医薬組成物の調製用キット。
- アロジェニックな末梢血由来リンパ球より抗CD8抗体固相化担体によりCD8陽性細胞を除去する工程と、該工程によりCD8陽性細胞を除去して調整したCD4陽性細胞を固相化抗CD3抗体およびインターロイキン2を含む増殖活性剤の存在下に増殖させる工程とからなる、アロジェニックな活性化CD4陽性細胞を製剤中の総細胞数に対して90%以上含有する感染症、腫瘍再発、自己免疫疾患の予防用および治療用の医薬組成物の製造方法。
- アロジェニックな末梢血由来リンパ球より抗CD8抗体固相化担体によりCD8陽性細胞を除去する工程と、抗CD4抗体固相化担体によりCD4陽性細胞を分離する工程と、該工程により分離調整したCD4陽性細胞を抗CD3抗体およびインターロイキン2を含む増殖活性剤の存在下に増殖させる工程とからなる、アロジェニックな活性化CD4陽性細胞を製剤中の総細胞数に対して90%以上含有する感染症、腫瘍再発、自己免疫疾患の予防用および治療用の医薬組成物の製造方法。
- アロジェニックな活性化CD4陽性細胞が、移植臓器又は骨髄提供者由来の活性化CD4陽性細胞である請求項6又は請求項7に記載のアロジェニックな活性化CD4陽性細胞を製剤中の総細胞数に対して90%以上含有する感染症、腫瘍再発、自己免疫疾患の予防用および治療用の医薬組成物の製造方法。
- 予防用および治療用の医薬組成物が、グレード2をこえる重篤なGVHDを引き起こさない製剤である請求項6〜8の何れか1に記載の感染症、腫瘍再発、自己免疫疾患の予防用および治療用の医薬組成物の製造方法。
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