JP4394804B2 - 地中連続遮水壁の構築方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、地中連続遮水壁(以下、「遮水壁」という)の構築方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
地盤を開削して構造物(ダム、地下ダム等)を施工する際に、鉛直遮水工としての遮水壁を構築して湧水等を防止する場合がある。また、廃棄物処分場等においては、遮水壁を構築して汚染水の浸出を厳重に防止する必要がある。
従来、このような遮水壁の構築方法として、(1)ソイルセメント固化壁工法及びグラウト工法、(2)鋼矢板工法、(3)壁式地下連続壁工法及びシート工法等の各種方法が用いられていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の方法は、以下のような問題点を有していた。
(1)ソイルセメント固化壁工法及びグラウト工法
本工法は、地盤中にセメント系や水ガラス系の硬化剤を注入する工法であることから、地盤の変形や地震等によりひび割れが生じる恐れがあり、遮水の信頼性に劣るという問題点を有していた。
【0004】
(2)鋼矢板工法
本工法は、不透水層まで鋼矢板を打設することにより、遮水性を確保する工法であることから、耐久性や化学的侵食に対する抵抗性に難点があり、また、継手部の遮水性にも難点があるという問題点を有していた。
【0005】
(3)壁式地下連続壁工法及びシート工法
壁式地下連続壁工法は、コンクリート等により地下連続壁を構築する工法であるが、その施工が煩雑であり、継手部の止水性に難点があるという問題点を有していた。
また、シート工法は、不透水層まで遮水シートを鉛直に打設する工法である。図4に示すように、本工法は、両端部に嵌合凹溝50aと嵌合凸部50bが形成されている複数の遮水シート50を使用し、嵌合凹溝50aと嵌合凸部50bとの間にシール材51を介在させた状態で両者を嵌合させることにより、複数の遮水シート50を接合して壁体を構築するものである。そのため、本工法においても、嵌合凹溝50aと嵌合凸部50bから構成される継手部の止水性に難点があるという問題点を有していた。
【0006】
本発明は前記の各問題点を解決するためになされたものであり、透水性能及び耐震性能が高く、加えて、施工が容易である地中連続遮水壁、及び、その構築方法を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、請求項1に記載の本発明は、遮水シートと、その周囲の固化壁とを一体化してなり、前記遮水シートの下側縁部には、当該遮水シートの位置決め時に使用する緊張ワイヤを挿通するためのリング部材が所定間隔で付設されている地中連続遮水壁の構築方法であって、以下の各工程を含むことを特徴とする地中連続遮水壁の構築方法を提供するものである。
(1)所定幅寸法、かつ、所定長さ寸法である、柔軟性を有し、連続する遮水シートを地上部に配置し、前記遮水シートの先端部を壁面安定液が充填された所定形状の掘削溝の深さ方向に降下させ、さらに、前記遮水シートを前記掘削溝の長さ方向に折り曲げながら、順次、前記長さ方向に送り出すとともに、前記リング部材に緊張用ワイヤを挿通し、所定間隔で立設した2本の支持部材を介して当該緊張用ワイヤを前記掘削溝の底部で緊張させることで位置決めを行いつつ、前記掘削溝内に前記遮水シートを連続的に建て込む遮水シート建て込み工程。
(2)前記壁面安定液を固化することで前記遮水シートの周囲に固化壁を構築して、前記遮水シートと前記固化壁とを一体化する固化壁構築工程。
ここで、遮水シート建て込み工程において、遮水シートの幅寸法は、ほぼ掘削溝の深さに相当する寸法であることが、施工性を高める上で好ましいものである。
【0008】
従って、本発明によれば、特別な継手部が存在しない連続した遮水シートを用い、固化壁と遮水シートを一体化した構造としているため、止水性をほぼ完全に高めることが可能である。また、柔軟性を有する遮水シートを使用しているため、地盤変形や地震等の変形に追随して変形可能であり、収縮等によりひび割れが生じる恐れがない。また、その施工性も向上する。
【0009】
前記遮水シートに近接して、鉛直方向に漏水検知孔を付設してもよい。
【0010】
前記遮水シートに近接して、鉛直方向に漏水検知孔が付設されていれば、当該漏水検知孔内の水位、水質等を観測することにより、効果的に漏水を検知することができる。
【0012】
従って、本発明によれば、柔軟性を有する連続する遮水シートを使用し、当該遮水シートを掘削溝の深さ方向に降下させ、さらに、当該遮水シートを掘削溝の長さ方向に折り曲げながら、順次、長さ方向に送り出すことにより、容易に遮水シートを掘削溝内に建て込むことができる。
そのため、特別な継手部が存在しない連続する遮水シートを用いて、効率的に遮水壁を構築することが可能となる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の一形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
[遮水壁Sの構成]
図1に示すように、本発明の遮水壁Sは、柔軟性を有し、かつ、連続する遮水シート10と泥水固化壁20とを一体化した構造である。そして、遮水シート10に接した状態で、壁面に所定数の孔部(図示せず)が形成されているパイプ材を鉛直方向に埋設することにより、漏水検知孔31が形成されており、地盤内から当該漏水検知孔31内へ流入する流入水の水位、水質等を観測することが可能となっている。
なお、所定の区間ごとに、隣接する遮水シート10,10’同士は、その端部10b,10a’で溶着されており(図3参照)、無継手の構造となっている。また、遮水シート10の下側縁部10cには、所定間隔で、緊張用ワイヤ34を挿通するためのリング部材11が付設されていている(図2参照)。
【0015】
[遮水壁Sの構築方法]
次に、前記遮水壁Sの構築方法について説明する。
遮水壁Sの構築方法は、掘削溝構築工程、遮水シート建て込み工程及び固化壁構築工程の各工程から構成されており、これらの各工程を繰り返すことにより所望形状の遮水壁Sを構築するものである。
【0016】
(1)掘削溝構築工程
本工程は、遮水シート建て込み工程の前において、対象地盤に、所定形状及び所定寸法の掘削溝Kを形成する工程であり、従来の方法と同様に、壁面安定液を用いながら、内部に遮水シート10を建て込むことができる形状に、掘削溝Kを掘削する。
なお、遮水シート10の根入れ深さは、不透水層に到達するように定める必要があるため、それを考慮して掘削深さを定める必要があることは言うまでもない。
【0017】
(2)遮水シート建て込み工程(図2,図3参照)
本工程は、前記掘削溝K内に、遮水シート10を建て込む工程であり、当該遮水シート10の建て込み方法に特徴を有している。
まず、ほぼ掘削溝Kの深さに相当する幅寸法であり、かつ、所定長さであるロール状に捲回された連続する遮水シート10を、当該ロールの回転軸が掘削溝Kの長さ方向に一致する向きとなるように地上部に配置する。
続いて、遮水シート10の先端部を掘削溝Kの深さ方向に降下させ、当該掘削溝Kの長さ方向に90度に折り曲げ(折線L1は45度、図2(b)参照)、順次、前記ロール状の遮水シート10を送り出すことにより、掘削溝Kの長手方向に遮水シート10の建て込みを連続的に行う。
【0018】
なお、前記送り出しを行う際に、ロール状の遮水シート片の後端部に、他の遮水シート片を溶着することにより、連続的に遮水シート10を送り出すことが可能となる。そのため、地上部において、遮水シート10を溶着して接合することができることから、従来のように継手部を形成する必要がなく、止水性をほぼ完全に高めることが可能となるとともに、施工効率を大幅に向上させることができる。
【0019】
所定区間について、遮水シート10の建て込みが終了したら、その先端部を送り出し方向側に折り曲げ、さらに、当該先端部を90度上方に折り曲げる(折線L2は45度、図2(b)参照)。これにより、遮水シート10の短辺10eが、掘削溝Kの長さ方向に一致することになり、側面視で左右の端部が同一形状に形成されることになる。なお、以下の説明において遮水シート10の送り出し方向(図3における左側、但し、符号は図2で示す)の端部を先端接合部10aと称し、他方の端部(図3における右側)を終端接合部10bという。
【0020】
ここで、図2に示すように、遮水シート10の下側縁部10cに付設されているリング部材11に緊張用ワイヤ34を挿通し、所定間隔で立設した2本の支持部材32を介して、当該緊張用ワイヤ34を地上部に吊り上げ、緊張用ワイヤ34を緊張させることにより、遮水シート10の位置決めを確実に行うことが可能となる。
また、この場合、地上部において、遮水シート10の上側縁部10dを、吊りワイヤ33及び吊具12等を使用して支持しながら行うと、更に効率的である。
【0021】
(3)固化壁構築工程
本工程は、遮水シート10の周囲に泥水固化壁20を構築して一体化する工程であり、従来の方法により掘削溝K中に充填されている壁面安定液を固化することにより行うことができる。
このとき、遮水シート10における終端接合部10bを除いた部分について、泥水固化壁20の構築を行う。
【0022】
(4)繰り返し工程
図3に示すように、これら一連の工程が終了した後、再度、掘削溝構築工程、遮水シート建て込み工程を行い、先行して建て込まれている遮水シート10(以下、「先行遮水シート」という)の終端接合部10bと、後から建て込む遮水シート10’(以下、「後行遮水シート」という)の先端接合部10a’とが一致する位置に、後行遮水シート10’を建て込む。そして、先行遮水シート10の終端接合部10bと、後行遮水シート10’の先端接合部10a’とを溶着して接合し、当該接合部を含めて固化壁構築を行う。
このようにして、遮水壁Sを地盤内に順次構築することにより、所望形状に形成するすることができる。
【0023】
なお、遮水壁の構造によっては、先行遮水シートと後行遮水シートを、相対する方向から建て込み、中央部分において、両者の先端接合部同士を溶着して接合することも可能である。
【0024】
[遮水壁Sの作用]
前記遮水壁Sは、地中継手部が存在せず、遮水シート10と泥水固化壁20とを一体とした構造としているため、止水性をほぼ完全に高めることが可能である。また、柔軟性を有する遮水シート10を使用しているため、地盤変形や地震等の変形に追随して変形可能であり、加えて、施工性も向上する。さらに、遮水シート10に接した状態で、鉛直方向に漏水検知孔31が付設されていることから、当該漏水検知孔31内の水位、水質等を観測することが可能となり、モニタリング機能を有する遮水壁Sとすることができため、浸入水に関する各種対応策等を講じる際に有益である。
なお、漏水検知孔31内の状況を常時監視することにより、浸入水の有無をリアルタイムで検知することも可能になる。
【0025】
以上、本発明について、好適な実施形態についての一例を説明したが、本発明は当該実施形態に限られず、各構成要素については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜設計変更が可能である。特に、遮水シート建て込み工程において、遮水シートの折り曲げ角度等は、適宜選択されるものである。
また、前記遮水シート10内にその破損等を電気的に検知するための検知手段を設けることも有益である。
【0026】
【発明の効果】
本発明によれば、透水性能及び耐震性能が高く、加えて、施工が容易である地中連続遮水壁、及び、その構築方法を提供することができる。また、従来の遮水工と比較して、施工費用を低減させることができる。
なお、本発明の遮水壁は、ほぼ総ての対象地盤において適用が可能であるため、非常に有益である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の遮水壁を示す平面図である。
【図2】本発明の遮水壁の構築方法を示す図であり、(a)は平面図、(b)は側断面である。
【図3】本発明の遮水壁の繰り返し工程の概要を示す側断面図である。
【図4】従来の遮水シートを示す斜視図である。
【符号の説明】
K 掘削溝
S 遮水壁
L1,L2 折線
10、10’ 遮水シート
10a,10a’ 先端接合部
10b 終端接合部
20 泥水固化壁(固化壁)
31 漏水検知孔
Claims (1)
- 遮水シートと、その周囲の固化壁とを一体化してなり、
前記遮水シートの下側縁部には、当該遮水シートの位置決め時に使用する緊張ワイヤを挿通するためのリング部材が所定間隔で付設されている地中連続遮水壁の構築方法であって、
以下の各工程を含むことを特徴とする地中連続遮水壁の構築方法。
(1)所定幅寸法、かつ、所定長さ寸法である、柔軟性を有し、連続する遮水シートを地上部に配置し、
前記遮水シートの先端部を壁面安定液が充填された所定形状の掘削溝の深さ方向に降下させ、
さらに、前記遮水シートを前記掘削溝の長さ方向に折り曲げながら、順次、前記長さ方向に送り出すとともに、前記リング部材に緊張用ワイヤを挿通し、所定間隔で立設した2本の支持部材を介して当該緊張用ワイヤを前記掘削溝の底部で緊張させることで位置決めを行いつつ、
前記掘削溝内に前記遮水シートを連続的に建て込む遮水シート建て込み工程。
(2)前記壁面安定液を固化することで前記遮水シートの周囲に固化壁を構築して、前記遮水シートと前記固化壁とを一体化する固化壁構築工程。
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