JP4398280B2 - 微粒子の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、有機化合物などの物質の微粒子、微粒子の製造方法、及び製造装置に関するものである。
物質の微粒子化は、極端な表面積の増大をもたらす。このため、物質を微粒子化することにより、物質固有の性質が出現しやすくなるという利点がある。また、難溶性・不溶性の物質である場合、その微粒子化により微粒子を水などの溶媒中に擬似的に可溶化した状態(微粒子が溶媒中に懸濁している状態であるが、光散乱が少ないために擬似的に可溶化しているように見える状態)にすることもできる。
このような微粒子化方法としては、従来、特許文献1(特開2001−113159号公報)に開示されている方法がある。ここでは、レーザ光を照射することにより有機顔料や芳香族縮合多環化合物の微粒子を生成する方法が開示されている。また、レーザ光照射による有機化合物の微粒子化については、非特許文献1〜3にも記載がある。
特開2001−113159号公報 Y.Tamaki et al., "Tailoring nanoparticles of aromatic and dye molecules by excimer laser irradiation", Applied Surface Science Vol. 168, p.85-88 (2000) Y.Tamaki et al., "Nanoparticle Formation of Vanadyl Phthalocyanine by Laser Ablation of Its Crystalline Powder in a Poor Solvent", J. Phys. Chem. A 2002, 106, p.2135-2139 (2002) B.Li et al., "Enhancement of organic nanoparticle preparation by laser ablation in aqueous solution using surfactants", Applied Surface Science Vol. 210, p.171-176 (2003)
上述した微粒子化の技術を用いれば、原料物質の新しい調製方法を提供できる可能性があり、幅広い分野での応用が期待される。例えば、素材分野において微粒子を基盤とする新規材料を開発したり、また、創薬分野においては、微粒子化により難溶性または不溶性の創薬候補物質のADME試験(吸収・分布・代謝・排泄試験)などを実施できる可能性がある。
しかしながら、上述のように微粒子化対象となる物質と溶媒とが混合された被処理液に対して微粒子化処理を行う場合、レーザ光照射による光破砕作用は、溶媒中でレーザ光が照射されている位置を通過した物質の粒子のみに生じることとなる。このため、上記した方法では、微粒子化処理を短時間で行いたい場合などにおいて、その微粒子化の効率が問題となる場合がある。
本発明は、以上の問題点を解決するためになされたものであり、レーザ光照射による物質の微粒子化を効率良く行うことが可能な微粒子の製造方法、製造装置、及び微粒子を提供することを目的とする。
このような目的を達成するために、本発明による微粒子の製造方法は、被処理液の溶媒中の物質を光破砕して、その微粒子を製造する製造方法であって、(1)物質及び溶媒が混合された被処理液を準備する準備ステップと、(2)溶媒中にある物質の粒子のうちで、微粒子化対象となる大粒子を所定の処理位置に選択的に捕捉する大粒子捕捉ステップと、(3)処理位置の被処理液に対して光破砕用レーザ光を照射することによって、溶媒中にある物質を微粒子化するレーザ光照射ステップとを備え、大粒子捕捉ステップにおいて、処理位置の被処理液に対して、900nm以上の波長を有する光捕捉用レーザ光を照射することによって、大粒子を捕捉し、レーザ光照射ステップでの光破砕用レーザ光の照射を開始する前に光捕捉用レーザ光の照射を停止するとともに、光破砕用レーザ光の照射を終了した後に光捕捉用レーザ光の照射を再開することを特徴とする。
また、本発明による微粒子の製造装置は、被処理液の溶媒中の物質を光破砕して、その微粒子を製造する製造装置であって、(a)物質及び溶媒が混合された被処理液を収容するための収容手段と、(b)収容手段に収容された被処理液の溶媒中にある物質の粒子のうちで、微粒子化対象となる大粒子を所定の処理位置に選択的に捕捉する大粒子捕捉手段と、(c)処理位置の被処理液に対して、溶媒中にある物質を微粒子化するための光破砕用レーザ光を照射するレーザ光源とを備えることを特徴とする。
上記した微粒子の製造方法及び装置によれば、微粒子化対象の物質を含む被処理液において、その溶媒中にある物質の粒子のうちで所定の粒径を超える大粒子を処理位置に捕捉するとともに、処理位置にある被処理液に対してレーザ光照射による光破砕処理を行っている。これにより、充分に微粒子化されていない大粒子に対して選択的に微粒子化処理が行われることとなる。したがって、レーザ光照射による物質の微粒子化を効率良く行うことが可能となる。
ここで、物質の大粒子の捕捉方法については、製造方法は、大粒子捕捉ステップにおいて、被処理液の流路を処理位置で制限することによって、大粒子を捕捉することが好ましい。同様に、製造装置は、大粒子捕捉手段が、収容手段内での被処理液の流路を処理位置において制限する流路制限手段を含むことが好ましい。また、このような流路制限手段としては、例えばフィルタ、キャピラリ、微小ギャップなどが挙げられる。
あるいは、製造方法は、大粒子捕捉ステップにおいて、処理位置の被処理液に対して光捕捉用レーザ光を照射することによって、大粒子を捕捉することが好ましい。同様に、製造装置は、大粒子捕捉手段が、処理位置の被処理液に対して光捕捉用レーザ光を照射する光捕捉用レーザ光源を含むことが好ましい。
上記のように、大粒子の捕捉にレーザ光による光捕捉を用いる場合には、製造方法は、大粒子捕捉ステップにおいて、レーザ光照射ステップでの光破砕用レーザ光の照射を開始する前に光捕捉用レーザ光の照射を停止するとともに、光破砕用レーザ光の照射を終了した後に光捕捉用レーザ光の照射を再開することが好ましい。また、製造装置は、レーザ光源による光破砕用レーザ光の照射タイミングと、光捕捉用レーザ光源による光捕捉用レーザ光の照射タイミングとを制御する制御手段を備えることが好ましい。このように光破砕用レーザ光及び光捕捉用レーザ光の照射タイミングを制御することにより、瞬間的にレーザ光捕捉による大粒子群の束縛を解除した状態で光破砕用レーザ光を照射できるため、生成微粒子を大粒子群から分離しやすくなる。これにより、微粒子化処理の効率を向上することができる。
また、光捕捉用レーザ光の波長は、900nm以上の波長であることが好ましい。これにより、被処理液の溶媒中の有機化合物などの物質において、光化学反応の発生を防止することができる。
また、製造方法は、処理位置の被処理液に対する光捕捉用レーザ光の照射において、レーザ光の干渉縞を利用することとしても良い。同様に、製造装置は、処理位置の被処理液に対する光捕捉用レーザ光の照射において、レーザ光の干渉縞を利用するための干渉光学系を備えることとしても良い。
このように干渉縞を利用する場合の構成としては、2つの光学スリットを含む光学系を干渉光学系とし、レーザ光の干渉縞として、2つの光学スリットのそれぞれを通過したレーザ光によって形成される干渉縞を用いる構成がある。あるいは、2つの光路を有して構成された光学系を干渉光学系とし、レーザ光の干渉縞として、2つの光路のそれぞれから照射されるレーザ光によって形成される干渉縞を用いる構成がある。
また、微粒子化対象となる物質を有機化合物としても良い。有機化合物としては、有機顔料や芳香族縮合多環化合物の他に、薬物等が挙げられる。薬物の場合、レーザ光照射による薬物での光化学反応等を充分に防止して、薬物の薬効を失うことなくその微粒子を製造することができる。また、薬物の微粒子化により薬物の表面積が増大し、生体組織への吸収性が向上する薬物微粒子を得ることができる。
また、本発明による微粒子は、上述した微粒子の製造方法により製造される微粒子である。このような微粒子によれば、効率良く製造された良好な状態の物質の微粒子を得ることができる。
本発明によれば、被処理液の溶媒中にある物質の粒子のうちで所定の粒径を超える大粒子を選択的に捕捉し、捕捉された大粒子に対して微粒子化のためのレーザ光照射を行うことにより、物質の微粒子化を効率良く行うことが可能となる。
以下、図面とともに本発明による微粒子の製造方法、製造装置、及び微粒子の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。
図1は、本発明による微粒子の製造装置の第1実施形態を概略的に示す構成図である。本微粒子の製造装置1Aは、被処理液の溶媒中にある物質を光破砕して、その微粒子を製造する装置である。被処理液2は、液相の水などの溶媒4と、溶媒4中に含まれる微粒子化対象の物質の原料粒子5とから構成されている。なお、微粒子化作用の向上とレーザ光照射による熱劣化を防止する観点から、被処理液2を低温にすることが好ましい。この場合、図1には示していないが、被処理液2を冷却するための冷却手段をさらに備える構成としても良い。
図1に示すように、微粒子の製造装置1Aは、物質の原料粒子5及び溶媒4が混合された被処理液2を収容するための収容部材3を備えている。本実施形態においては、この収容部材3は、図中に模式的に示した流路41、42を介して循環ポンプ40に接続されており、これらの流路41、42とともに被処理液2の循環流路を構成する流路部材となっている。
この流路部材3に対し、物質の微粒子化処理を行うための処理位置30に対応する所定位置に流路制限部材20が設置されている。流路制限部材20は、流路部材3内を流れる被処理液2の溶媒4中にある物質の粒子のうちで、微粒子化対象となる大粒子6を、被処理液2の流路を制限することで処理位置30に選択的に捕捉する大粒子捕捉手段である。制限部材20は、その流路の制限構成により、微粒子化の目安となる所定の粒径を超える粒子を大粒子6として捕捉するように構成されている。捕捉される大粒子6は、原料粒子5自体、及び微粒子化が充分でない粒子を含む。
また、本製造装置1Aは、流路部材3内に収容された被処理液2に対して所定波長の光破砕用レーザ光を照射する高出力レーザ光源10を備えている。このレーザ光源10は、被処理液2の溶媒4中にある物質の原料粒子5などの大粒子6を微粒子化するために好適な波長のレーザ光を供給する。
レーザ光源10としては、レーザ光に設定すべき波長があらかじめ分かっている場合には、波長固定レーザ光源を用いることができる。あるいは、レーザ光源10として、波長可変レーザ光源を用いても良い。この場合、物質や溶媒の吸光特性などに基づいて、適切な波長のレーザ光を適宜に設定して照射することができる。また、必要に応じて、レーザ光源10に対して減衰フィルタや光減衰器などの光強度調整手段を設けても良い。
レーザ光源10は、コンピュータなどからなる制御装置15に接続されている。この制御装置15は、レーザ光源10による光破砕用レーザ光の照射タイミング及び照射強度等を制御する。また、本実施形態においては、この制御装置15は、循環ポンプ40等に対しても接続されている。制御装置15は、上記した製造装置1Aの各部の動作を制御することにより、本装置における微粒子の製造を制御する。
次に、図1に示した微粒子の製造装置1Aを用いた本発明による微粒子の製造方法について説明する。
まず、水などの溶媒4と、微粒子化対象となる物質の原料粒子5とを混合して、被処理液2を準備し、流路部材3、流路41、42、及び循環ポンプ40から構成されて収容手段として機能する流路内に被処理液2を導入する(準備ステップ)。このとき、原料粒子5は、溶解物質または非溶解物質の状態で溶媒4中に含まれた状態となる。続いて、循環ポンプ40を動作させ、上流側の流路41、流路制限部材20が設置された流路部材3、及び下流側の流路42の循環流路において、所定の流速で被処理液2を循環させる。このとき、流路制限部材20を通過する被処理液2の溶媒4中にある物質の粒子のうちで、微粒子化処理の対象となる原料粒子5などの大粒子6が制限部材20によって処理位置30に選択的に捕捉される(大粒子捕捉ステップ)。
次に、上記のように大粒子6が処理位置30に捕捉された状態で、制御装置15によってレーザ光源10が制御される。そして、流路部材3内で処理位置30にある被処理液2に対し、微粒子化対象の物質の吸光特性などに応じて設定された波長を有する光破砕用レーザ光が、レーザ光源10から被処理液2へと照射される。このレーザ光照射により、流路部材3内の被処理液2において、溶媒4中にあって制限部材20に捕捉された物質の大粒子6が光破砕作用によって微粒子化され、その微粒子7が生成される(レーザ光照射ステップ)。生成された微粒子7は、所定の粒径に達すると制限部材20による捕捉状態を脱し、下流側の流路42へと流れ出る。このようなステップを、循環ポンプ40によって被処理液2を循環させつつ行うことにより、被処理液2の溶媒4中の物質に対する微粒子化処理が行われる。
本実施形態による微粒子の製造方法及び製造装置の効果について説明する。
図1に示した微粒子の製造装置1A及び製造方法によれば、微粒子化対象の物質を含む被処理液2において、その溶媒4中にある物質の粒子のうちで所定の粒径を超える大粒子6を処理位置30に捕捉し、微粒子化された粒子だけが処理位置30を通過できる構成とする。そして、処理位置30にある被処理液2に対してレーザ光源10から光破砕用レーザ光を照射することによる光破砕処理を行っている。これにより、原料粒子5などの微粒子化が充分でない大粒子6に対して選択的に微粒子化処理が行われることとなる。したがって、レーザ光照射による物質の微粒子化を効率良く行うことが可能となる。
また、上記構成においては、被処理液2を収容する収容部材として流路部材3を用いるとともに、流路制限部材20によって大粒子6の捕捉を行っている。これにより、微粒子化対象となる物質の大粒子6を、処理位置30において好適に捕捉することができる。また、循環ポンプ40を設置して被処理液2を循環させることにより、流路制限部材20による大粒子6の効率的な捕捉を実現している。
なお、図1においては、被処理液2を収容する収容手段として流路部材3を示したが、この流路部材3は、流路41、42と合わせて全体で1つの流路部材(収容部材)として構成されていても良く、あるいは複数の流路部材を組み合わせて構成されていても良い。また、流路部材3に対して設けられる流路制限部材20については、流路部材3の一部または全部を流路制限部材20として利用する構成としても良く、あるいは別部材として用意された流路制限部材20を流路部材3に取り付けても良い。
また、被処理液2の収容については、被処理液2を循環させない構成としても良い。この場合、循環ポンプ40と流路42との接続を切断すれば良く、流路制限部材20を通過できた微粒子は微粒子化処理を完了したとみなされる。
ここで、レーザ光源10としては、パルスレーザ光源を用いることが好ましい。特に、被処理液2での余分な光化学反応や熱分解の発生を抑制しつつ、充分な効率で微粒子化を行うため、光破砕現象を引き起こす光強度の閾値を超えているのであれば、1パルス当たりの照射エネルギーが低く、高い繰返し周波数を有するパルスレーザ光源を用いることが好ましい。
また、レーザ光照射による微粒子化対象の物質を有機化合物としても良い。有機化合物としては、例えば、有機顔料、芳香族縮合多環化合物、薬物(薬剤、医薬品関連物質)などが挙げられる。これらの場合、レーザ光源10から被処理液2へと照射される光破砕用レーザ光の波長は、微粒子化対象の物質の電子遷移に起因する吸光帯よりも長い波長であることが好ましい。特に、光劣化(光化学反応)を避ける必要がある物質の場合、赤外域の波長であることが好ましく、さらに、900nm以上の波長であることが好ましい。これにより、レーザ光照射による物質の微粒子化を、品質劣化を低減しつつ好適に実現することができる。薬物の場合、上記方法で微粒子化を効率良く行うことにより、薬物の薬効を失うことなくその微粒子を製造することができる。
詳述すると、薬物として用いられる有機化合物では、分子構造の中に比較的弱い化学結合を含むことが多いが、このような有機化合物に紫外光などの光を照射すると、微粒子を部分的に生成することはできるものの、同時に、一部で電子励起状態を経由して有機化合物の光化学反応が生じて不純物が生成されてしまう場合がある。特に、有機化合物が体内に投与される薬物(医薬品)の場合、そのような不純物は副作用の原因となり、生体に悪影響を与えるおそれもあるため、このような事態は極力避けなければならない。これに対して、微粒子化処理の効率を向上させて光化学反応の発生を抑制することが可能な上記した製造方法で有機化合物の微粒子を製造することにより、不純物の生成を充分に抑制することが可能となる。
また、上記のように、薬効を失うことなく保持しつつ薬物の微粒子化を実現することにより、微粒子化前の形態では評価できなかった物理化学的研究、スクリーニングなどの候補化合物の探索、決定や、ADME試験、動物での前臨床試験における一般毒性、一般薬理、薬効薬理、生化学的研究、及び臨床試験などができるようになる。また、上記した製造方法により、極めて多種類の生体に投与可能な薬物を得ることができる。このため、薬物の選択の幅を飛躍的に拡大することができる。また、薬物の微粒子化により薬物の表面積が増大し、生体組織への吸収性が向上するため、少量で有効な薬物微粒子を得ることができる。このような微粒子化処理は、薬物以外の有機化合物に対しても有効である。
微粒子化の対象となる有機化合物の具体例としては、例えば、薬物である酪酸クロベタゾンやカルバマゼピン等の難溶性、あるいは不溶性薬物がある。また、上記した微粒子の製造方法及び装置は、上記医薬品物質以外にも、医薬品候補物質(天然物、化合物ライブラリー等)、あるいは医薬部外品、化粧品等にも適用可能である。
また、薬物などの有機化合物の溶媒としては、上記したように水を用いることが好ましく、若干のアルコール類、糖類、塩類が入っていても良い。あるいは、水以外の溶媒を用いても良い。そのような溶媒としては、1価アルコールであるエチルアルコール、2価アルコールであるグリコール類(プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等)、3価アルコールであるグリセロールなどがある。また、植物油であるダイズ油、トウモロコシ油、ゴマ油、ラッカセイ油なども溶媒として用いることができる。これらの溶媒は、注射剤として使用する場合に、非水性注射剤の有機溶媒として好適に用いることができる。
なお、図1に示した微粒子の製造装置1Aにおいて、微粒子の製造時での処理位置30の被処理液2に対するレーザ光照射の停止については、あらかじめ微粒子化処理に必要なレーザ光の強度及び時間を求めておき、その処理時間に基づいてレーザ光照射を制御することが可能である。あるいは、処理位置30に対して被処理液2中での物質の微粒子化状態をモニタするモニタ手段を設置し、そのモニタ結果に応じて制御しても良い。
また、被処理液2の流路を処理位置30において制限することによって大粒子6を捕捉する流路制限部材20としては、図2〜図4にその構成例を示すように、具体的には様々な構成を用いることができる。
図2は、図1に示した製造装置に用いられる流路制限部材の一例を示す図である。図2に示す構成では、循環ポンプ40を用いた循環流路の一部を構成する流路部材3内に、所定の粒径を超える大粒子6を捕捉するフィルタ21を流路制限部材として設置している。このとき、流路部材3内は、フィルタ21よりも上流側の処理前液室31と、下流側の処理後液室32とに分けられており、フィルタ21の上流側の位置が、大粒子6が捕捉される処理位置30となっている。また、流路部材3の上流側でフィルタ21上の処理位置30に対向する面には、例えば石英などからなる光通過窓11が設けられている。
このような構成によれば、フィルタ21によって微粒子化対象となる物質の大粒子6を選択的に捕捉して、レーザ光照射による物質の微粒子化を効率良く行うことができる。このようなフィルタ21としては、レーザ光源10からの光破砕用レーザ光の照射を受けるため、例えばガラスウールなどの素材で作られたフィルタなど、レーザ光照射に対して耐性が高いフィルタを用いることが好ましい。また、フィルタ21がある程度の光透過性を有する場合、フィルタ21内に入り込んだ物質の粒子に対しても光破砕処理を行うことができるため、微粒子化処理の効率を向上する上で好ましい。
また、このように被処理液の流路にフィルタを設置する構成では、上流側から下流側に向けて、捕捉可能な物質の粒径が次第に小さくなるように複数段のフィルタを設置する構成としても良い。この場合、複数段のフィルタのそれぞれに対応するように複数のレーザ光源を設置することが好ましい。このような構成によれば、微粒子化の効率をさらに向上することができる。
図3は、図1に示した製造装置に用いられる流路制限部材の他の例を示す図である。ここでは、被処理液2の循環流路に対する流路制限部材として、図3(a)に示すキャピラリ部材23を用いている。キャピラリ部材23は、上流側から下流側に向けて内径が小さくなる円錐状もしくはテーパ状の内部空間を有するキャピラリ22を複数束ねたキャピラリアレイである。あるいは、キャピラリアレイに代えて単一のキャピラリを流路制限部材として用いることも可能である。
本構成例においては、図3(b)に示すように、循環ポンプ40を用いた循環流路の所定位置に、上記したキャピラリ22を流路制限部材として設置している。このとき、キャピラリ22の内部空間において、所定の粒径を超える大粒子6が捕捉され、この大粒子6に対してレーザ光源10によって光破砕用レーザ光が照射される。このような構成によれば、キャピラリ22によって物質の大粒子6を選択的に捕捉して、レーザ光照射による物質の微粒子化を効率良く行うことができる。
図4は、図1に示した製造装置に用いられる流路制限部材の他の例を示す図である。ここでは、被処理液2の循環流路に対する流路制限部材として、図4(a)に示す流路制限部材24を用いている。流路制限部材24は、2枚の側板24aと、上流側から下流側に向けて内幅が小さくなるように側板24aを一体に支持するスペーサ24bとによって構成されている。
本構成例においては、図4(b)に示すように、循環ポンプ40を用いた循環流路の所定位置に、上記した流路制限部材24を流路制限部材として設置している。このとき、流路制限部材24の側板24aで挟まれた微小ギャップにおいて、所定の粒径を超える大粒子6が捕捉され、この大粒子6に対してレーザ光源10によって光破砕用レーザ光が照射される。このような構成によれば、流路制限部材24によって物質の大粒子6を選択的に捕捉して、レーザ光照射による物質の微粒子化を効率良く行うことができる。なお、このような構成では、流路制限部材24における側板24aの非平行度は、スペーサ24bの形状によって決められる。
以上の図2〜図4に示したように、図1に示した構成における流路制限部材20としては、例えばフィルタ、キャピラリ、微小ギャップを利用した構成など、様々な構成を用いることが可能である。
図5は、本発明による微粒子の製造装置の第2実施形態を概略的に示す構成図である。本製造装置1Bにおいて、物質の原料粒子5及び溶媒4が混合された被処理液2を収容する流路部材3、流路41、42を介して流路部材3に接続された循環ポンプ40、光破砕用レーザ光を被処理液2に照射するレーザ光源10の構成については、図1に示した構成と同様である。
本実施形態においては、流路部材3に対し、物質の微粒子化処理を行うための処理位置30にある被処理液2に対して光捕捉用レーザ光を照射する光捕捉用レーザ光源25が設置されている。光捕捉用レーザ光源25は、流路部材3内を流れる被処理液2の溶媒4中にある物質の粒子のうちで、微粒子化対象となる大粒子6を、光捕捉用レーザ光を照射することで処理位置30に選択的に光捕捉する大粒子捕捉手段である。このレーザ光源25は、そのレーザ光パワーやレーザスポット形状などに応じ、微粒子化の目安となる所定の粒径を超える粒子を大粒子6として捕捉するように構成されている。
また、図5に示す構成では、光破砕用レーザ光源10及び光捕捉用レーザ光源25は、流路部材3を挟む位置に、両者が同じ光軸となるように配置されている。また、流路部材3において、レーザ光源10、25に対向する面には、例えば石英などからなる光通過窓36、37がそれぞれ設けられている。なお、図5には示していないが、本装置1Bにおいては、光破砕用レーザ光源10からの照射レーザ光が、対向する光捕捉用レーザ光源25にダメージを与えないように、処理位置30付近で焦点を形成する光学系を設けることが好ましい。
光破砕用レーザ光源10、及び光捕捉用レーザ光源25は、コンピュータなどからなる制御装置15に接続されている。この制御装置15は、レーザ光源10による光破砕用レーザ光の照射タイミングと、レーザ光源25による光捕捉用レーザ光の照射タイミングとを制御する。また、本実施形態においては、この制御装置15は、循環ポンプ40等に対しても接続されている。制御装置15は、上記した製造装置1Bの各部の動作を制御することにより、本装置における微粒子の製造を制御する。
次に、図5に示した微粒子の製造装置1Bを用いた本発明による微粒子の製造方法について説明する。
まず、溶媒4及び物質の原料粒子5が混合された被処理液2を準備し、流路内に被処理液2を導入する(準備ステップ)。続いて、循環ポンプ40を動作させ、流路41、流路部材3、及び流路42の循環流路において、所定の流速で被処理液2を循環させる。また、流路部材3内の処理位置30にある被処理液2に対し、レーザ光源25から光通過窓37を介して光捕捉用レーザ光を照射する。このとき、流路部材3を通過する被処理液2の溶媒4中にある物質の粒子のうちで、原料粒子5などの大粒子6が光捕捉用レーザ光の光軸近傍に選択的に集められ光捕捉される(大粒子捕捉ステップ)。
次に、上記のように大粒子6が処理位置30に捕捉された状態で、制御装置15によってレーザ光源10が制御される。そして、流路部材3内で処理位置30にある被処理液2に対し、所定波長を有する光破砕用レーザ光が、レーザ光源10から光通過窓36を介して被処理液2へと、光捕捉用レーザ光と同一の光軸によって照射される。このレーザ光照射により、流路部材3内の被処理液2において、溶媒4中にあって光捕捉用レーザ光によって光軸上に光捕捉された物質の大粒子6が光破砕作用によって微粒子化され、その微粒子7が生成される(レーザ光照射ステップ)。生成された微粒子7は、所定の粒径に達すると光捕捉用レーザ光による光捕捉状態を脱し、下流側の流路42へと流れ出る。このようなステップを、循環ポンプ40によって被処理液2を循環させつつ行うことにより、被処理液2の溶媒4中の物質に対する微粒子化処理が行われる。
本実施形態による微粒子の製造方法及び製造装置の効果について説明する。
図5に示した微粒子の製造装置1B及び製造方法によれば、被処理液2の溶媒4中にある物質の粒子のうちで所定の粒径を超える大粒子6を処理位置30に捕捉するとともに、処理位置30にある被処理液2に対して光破砕用レーザ光を照射することによる光破砕処理を行っている。これにより、大粒子6に対して選択的に微粒子化処理が行われることとなり、レーザ光照射による物質の微粒子化を効率良く行うことが可能となる。
また、上記構成においては、光捕捉用レーザ光源25によって照射されるレーザ光を用いた光捕捉によって大粒子6の捕捉を行っている。これにより、微粒子化対象となる物質の大粒子6を、処理位置30において好適に捕捉することができる。また、このような構成では、レーザ光源25から被処理液2へと照射される光捕捉用レーザ光の波長は、光化学反応の発生及びそれによる物質の劣化(例えば薬物の品質劣化)を避けるため、光破砕用レーザ光と同様に、900nm以上の波長であることが好ましい。
制御装置15によるレーザ光源10、25でのレーザ光の照射タイミングの制御条件については、光捕捉用レーザ光を照射することによる大粒子6の捕捉において、レーザ光源10からの光破砕用レーザ光の照射を開始する前にレーザ光源25からの光捕捉用レーザ光の照射を停止するとともに、光破砕用レーザ光の照射を終了した後に光捕捉用レーザ光の照射を再開することが好ましい。このように、光破砕用レーザ光が被処理液2に照射されている間は光捕捉を停止することにより、処理位置30において大粒子6が光破砕された生成微粒子7を効率良く分離して、微粒子化の効率を向上することができる。
ここで、光捕捉用レーザ光源25からのレーザ光によって光捕捉される大粒子6の粒径などの捕捉条件(光捕捉力)は、光捕捉用レーザ光の波長、物質粒子及び溶媒の屈折率、捕捉しようとする物質粒子の直径、照射レーザ光強度、光捕捉用レーザ光の開口数(絞り込み角度)、スポット径などに大きく依存する。例えば、波長1064nm、溶媒が水(n=1.33)、捕捉対象となる物質が薬物(n=1.6)、開口数0.35(対物レンズ10倍)、照射レーザ光強度2.8mW、スポット径1.4μm、捕捉対象となる粒子の直径が10μmの条件で、3次元的な光捕捉を行うことが可能である。
また、被処理液2に対する光捕捉用レーザ光の具体的な照射構成については、様々な構成を用いて良い。例えば、被処理液2に対して複数の光捕捉用スポットを形成する観点から、レーザ光の干渉縞を利用して光捕捉用レーザ光の照射を行っても良い。この場合、レーザ光の干渉縞を形成するための干渉光学系が用いられる。そのような干渉光学系の構成例としては、図6に模式的に示すように、2つの光学スリット51a、51bのそれぞれを通過した光捕捉用レーザ光源25からのレーザ光によって形成される干渉縞52を用いる構成がある。あるいは、図7に模式的に示すように、2つの光路53a、53bのそれぞれで照射される光捕捉用レーザ光源25a、25bからのレーザ光によって形成される干渉縞54を用いる構成がある。
本発明による微粒子の製造方法、製造装置、及び微粒子は、上記した実施形態及び実施例に限られるものではなく、様々な変形が可能である。例えば、物質の大粒子を処理位置に捕捉する捕捉手段としては、上記したフィルタ、キャピラリ、微小ギャップ、光捕捉用レーザ光源以外にも、大粒子を捕捉可能な他の手段を用いても良い。
本発明は、レーザ光照射による物質の微粒子化を効率良く行うことが可能な微粒子の製造方法、製造装置、及び微粒子として利用可能である。
微粒子の製造装置の第1実施形態を概略的に示す構成図である。 図1に示した製造装置に用いられる流路制限部材の一例を示す図である。 図1に示した製造装置に用いられる流路制限部材の他の例を示す図である。 図1に示した製造装置に用いられる流路制限部材の他の例を示す図である。 微粒子の製造装置の第2実施形態を概略的に示す構成図である。 光捕捉用レーザ光の照射に用いられる干渉光学系の構成例を示す図である。 光捕捉用レーザ光の照射に用いられる干渉光学系の構成例を示す図である。
符号の説明
1A、1B…微粒子の製造装置、2…被処理液、3…流路部材(収容部材)、4…溶媒、5…物質の原料粒子、6…大粒子、7…微粒子、10…光破砕用レーザ光源、11…光通過窓、15…制御装置、20…流路制限部材、21…フィルタ、22…キャピラリ、23…キャピラリ部材、24…流路制限部材、25…光捕捉用レーザ光源、30…処理位置、31…処理前液室、32…処理後液室、36、37…光通過窓、40…循環ポンプ、41、42…流路。

Claims (4)

  1. 被処理液の溶媒中の物質を光破砕して、その微粒子を製造する製造方法であって、
    物質及び溶媒が混合された被処理液を準備する準備ステップと、
    前記溶媒中にある前記物質の粒子のうちで、微粒子化対象となる大粒子を所定の処理位置に選択的に捕捉する大粒子捕捉ステップと、
    前記処理位置の前記被処理液に対して光破砕用レーザ光を照射することによって、前記溶媒中にある前記物質を微粒子化するレーザ光照射ステップと
    を備え
    前記大粒子捕捉ステップにおいて、前記処理位置の前記被処理液に対して、900nm以上の波長を有する光捕捉用レーザ光を照射することによって、前記大粒子を捕捉し、
    前記レーザ光照射ステップでの前記光破砕用レーザ光の照射を開始する前に前記光捕捉用レーザ光の照射を停止するとともに、前記光破砕用レーザ光の照射を終了した後に前記光捕捉用レーザ光の照射を再開することを特徴とする微粒子の製造方法。
  2. 前記処理位置の前記被処理液に対する前記光捕捉用レーザ光の照射において、レーザ光の干渉縞を利用することを特徴とする請求項記載の製造方法。
  3. 前記レーザ光の干渉縞として、2つの光学スリットのそれぞれを通過したレーザ光によって形成される干渉縞を用いることを特徴とする請求項記載の製造方法。
  4. 前記レーザ光の干渉縞として、2つの光路のそれぞれから照射されるレーザ光によって形成される干渉縞を用いることを特徴とする請求項記載の製造方法。
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